春。それは花が芽吹き開く季節。そして、みんなが一歩先へ進む時期。
「朝ごはんできたから運んでくれない?」
「おっけ。今日もまた美味しそうだな」
「もうっ……早く食べるよっ!」
「おっけ。今日もまた美味しそうだな」
「もうっ……早く食べるよっ!」
─────
「「いただきます」」
2人と手を合わせ朝ご飯を食べ始める。今日は、というか今日も白ご飯中心の食事になった。
「やっぱり和食はこれが日本の朝食だって感じがするな。特にこのみそ汁なんて一口飲んだだけでホッとする」
「……毎日飲みたい?」
「……もちろん。こんなに美味しいからな」
「そっ、か……」
全くこの人は……意味分かって言ってるんだよね?
「ほら、早く食べないと学校遅れるぞ」
箸が止まり黙り込んでしまった私を促すトレーナー。気を遣ってくれたのか、そうじゃないのか判断に迷う。
「分かったから。ちょっと待ってよ」
「「いただきます」」
2人と手を合わせ朝ご飯を食べ始める。今日は、というか今日も白ご飯中心の食事になった。
「やっぱり和食はこれが日本の朝食だって感じがするな。特にこのみそ汁なんて一口飲んだだけでホッとする」
「……毎日飲みたい?」
「……もちろん。こんなに美味しいからな」
「そっ、か……」
全くこの人は……意味分かって言ってるんだよね?
「ほら、早く食べないと学校遅れるぞ」
箸が止まり黙り込んでしまった私を促すトレーナー。気を遣ってくれたのか、そうじゃないのか判断に迷う。
「分かったから。ちょっと待ってよ」
─────
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした……ってもうこんな時間」
時計の針がそろそろ8時を指そうとしていた。いつもどおり食べていたつもりが少し遅くなってたみたい。
「とりあえずすぐ洗える物は洗っておいてっと。ちょっと洗えてないのあるけど、晩ごはんの時に一緒に洗っちゃうから置いてていい?」
「おう、大丈夫大丈夫。あれだったらオレが洗っとくけど」
「いいの、使ったの私なんだし私に洗わせて……っとおまたせ。行こっか」
「ん、立てるか?」
靴を履いてる私にサッと手を差し伸ばしてくれる。そういうところほんと……
「ありがと、助かる」
差し伸ばしてくれた手を握り立ち上がる。それを確認したトレーナーが手を離そうとするけど、
「……ねぇ、途中まで手、繋いでもいい、かな?」
「……人増えてきたら離すからな」
「ありがと。じゃあ行こっ」
握った手をそっと握り変える。1番深く繋がる形に。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした……ってもうこんな時間」
時計の針がそろそろ8時を指そうとしていた。いつもどおり食べていたつもりが少し遅くなってたみたい。
「とりあえずすぐ洗える物は洗っておいてっと。ちょっと洗えてないのあるけど、晩ごはんの時に一緒に洗っちゃうから置いてていい?」
「おう、大丈夫大丈夫。あれだったらオレが洗っとくけど」
「いいの、使ったの私なんだし私に洗わせて……っとおまたせ。行こっか」
「ん、立てるか?」
靴を履いてる私にサッと手を差し伸ばしてくれる。そういうところほんと……
「ありがと、助かる」
差し伸ばしてくれた手を握り立ち上がる。それを確認したトレーナーが手を離そうとするけど、
「……ねぇ、途中まで手、繋いでもいい、かな?」
「……人増えてきたら離すからな」
「ありがと。じゃあ行こっ」
握った手をそっと握り変える。1番深く繋がる形に。
─────
学園までの通学路。この時間にしては人もまだそれほど多くなく、その分手を繋いだ幸せをゆっくり噛みしめるように一歩一歩踏みしめて進んでいく。
学園までの通学路。この時間にしては人もまだそれほど多くなく、その分手を繋いだ幸せをゆっくり噛みしめるように一歩一歩踏みしめて進んでいく。
「もう桜が咲き始めてるな。去年こんなに早かったっけ」
「うーん、もう少し遅かったかも。でもこうして2人で見られるの嬉しいな」
「そうだな。エスキモーはこの1年どうだった?」
「トレーナーに出会って、チームに入って……いろいろあったけどどれも楽しかったかな。でもやっぱりこうしてトレーナーと2人で肩を並べて歩いてる時が1番幸せかな」
「オレもエスキモーと一緒に進んでる時が幸せを実感できるよ……っと人が増えてきたな。手を離すぞ」
「あっ……うん」
不意に幸せな時間が途切れる。終わっ、ちゃった……
「うーん、もう少し遅かったかも。でもこうして2人で見られるの嬉しいな」
「そうだな。エスキモーはこの1年どうだった?」
「トレーナーに出会って、チームに入って……いろいろあったけどどれも楽しかったかな。でもやっぱりこうしてトレーナーと2人で肩を並べて歩いてる時が1番幸せかな」
「オレもエスキモーと一緒に進んでる時が幸せを実感できるよ……っと人が増えてきたな。手を離すぞ」
「あっ……うん」
不意に幸せな時間が途切れる。終わっ、ちゃった……
「……なあ、まだ先の話なんだけど、GWは実家に帰ろうと思うんだ」
「うん、それで?」
躊躇うように口を開いたと思ったらトレーナーの予定? そんなこと……
「エスキモーさえよかったら、一緒に来ないか?」
散ったと思った幸せがより大きな幸福を連れて舞い戻ってきた。まるで桜の花びらのように。
「え……それって……」
「親が担当の子の顔見せに来いってうるさいんだよ。あとご飯作ってもらってることポロッと言っちゃったから母親が張り切っちゃってさ……嫌だったら断るけど、どうだ?」
「行く。何があっても絶対行く」
「分かった、そう言っとく。日にち決まったらまた伝えるから」
「……うん、楽しみにしてるね」
「うん、それで?」
躊躇うように口を開いたと思ったらトレーナーの予定? そんなこと……
「エスキモーさえよかったら、一緒に来ないか?」
散ったと思った幸せがより大きな幸福を連れて舞い戻ってきた。まるで桜の花びらのように。
「え……それって……」
「親が担当の子の顔見せに来いってうるさいんだよ。あとご飯作ってもらってることポロッと言っちゃったから母親が張り切っちゃってさ……嫌だったら断るけど、どうだ?」
「行く。何があっても絶対行く」
「分かった、そう言っとく。日にち決まったらまた伝えるから」
「……うん、楽しみにしてるね」
──私の幸せの花びらはまだ芽吹いたばかり。いつか満開になるその日を待ちわびながら、学園への道を一歩一歩ゆっくりと歩いていく。