魔女さんのある意味最大のブーメラン発言
「まんまと一杯食わされたって訳……ああ愉快。おまえは間抜けな道化が一番似合うと、ずっと思っていたもの」
「それに引き換え、彼は随分やるものね。たった独りで地獄の底から帰ってきた……私の待つ、この約束の地へ」
スラムビル最上階、長椅子に身を横たえる
年端もいかぬ少女と、
畏敬の念を以て彼女の足指を舐める中年男の姿があった。
街の王である至門の前でその凶暴さを見せつけた上で、爆炎と共に姿を消した敵対者。
その報告を聞き、少女は失態を演じた至門の姿を声を上げて嗤うと共に、彼の“敵”である男、その再来を感慨深く思っている様子であった。
自らに弓引いた敵の正体に察しのつかない至門の口内に、魔女は容赦なく爪先を蹴り入れる。
悶絶する男の姿を冷ややかに眺め、彼女はだからおまえは愚図なのだと罵る。
「男というのはみんなそう……蹂躙した後は端から忘れて、
どんな因果が残されたのかを知ろうともしない。やりっぱなしな所は獣並みねえ」
「女の私は違うわよ。美しい因果の綾糸がはっきりと見えているもの。
敵だ味方だなどと、せせこましい利害の枠は一度払ってみることね」
そして、私が無残に犯され殺された、はじまりの“あの日”の事を思い出せ、と告げる。
その言葉にようやく、至門の中で
七年前の出来事と、あの
凄まじき憎悪を己に向けてきた男の出現とが結びつこうとするが……
「だが判らねえ。一体あの日の事に、奴がどういう形で関わっているんだ?」
思い出せないのではなく、どうしても理解ができない。
彼にとって、それは靴底で踏み潰した蟲の死骸のように小さく、
これまでその行く末に考えを及ぼすことすら、思いつきもしなかったが故に。
そんな男の姿に、魔女は更なる失望と侮蔑の溜息を漏らす。
「おまえは本当につまらない男ね……二言目にはなぜ、どうしてとそればかり」
少女は、その瞳にすべてを包み込むような清らかさと慈愛の慈しみの光を湛え、語る。
「行為に意味を与えるものは、ひとえにこめられた質量だけよ。
意味不明で無価値な愚行だろうと、貫く力がそこに意味を与える……与えてしまうの」
「逆もそう。どれだけ意義深く崇高だろうと、貫けなければ無意味の屑に終わるわ。
復讐だろうと愛だろうと、価値を持つのは正しい理由とやらじゃない。
個人が秘めたその質量……それだけなのよ」
そのまま、地に這ったままの中年男には目もくれず、
無名の魔女は、ガラスの向こう……夜の邪法街の無数の灯をその瞳に映していた。
「この街は閉じた因果の輪……入った以上、もう誰もどこにも行くことはできないのよ。“魔女”だろうと、人間だろうと」
- この台詞がまんま最終ルートの伏線でしたね・・・ -- 名無しさん (2020-02-13 10:43:19)
- 正誤なんか関係ないなんて台詞の後であのラストなんだからほんと凄いよこいつわ -- 名無しさん (2020-04-26 13:08:50)
- ね。可愛いよね -- 名無しさん (2020-04-26 13:39:19)
- おは至門 -- 名無しさん (2020-06-29 00:32:40)
- でもこいつ光の奴隷とかに邪魔されたら頭おかしいんじゃねえのか!ってブチギレそうなぐらいには器小さいよな -- 名無しさん (2025-03-15 13:24:13)
- 全人類の罪贖うなんて私なんて凄いんだろうって自分に酔っ払ってるだけのただのクズやしそりゃそう -- 名無しさん (2025-03-15 13:30:26)
- 光の奴隷の総統も絶対値で勝負とか言っておいてゼファーさんの逆襲には文句タラタラだったしそんなもんよ -- 名無しさん (2025-03-15 18:00:19)
- ↑文句言ってたっけ?グランド√だとイヴァンみたいにお前の理由がわからない!とか言ってたけど。最終的にはカグツチと俺とお前の聖戦は終わらんぜ!とか言ってたし。このおばさんこのあと中年の愛は愛なんかじゃないやめろー!とか暴れるやん -- 名無しさん (2025-03-15 18:08:27)
最終更新:2025年03月15日 18:08