これからのおまえは、二度と俺を忘れられなくなるからな

発言者:角鹿 彰護
対象者:至門


《スラムビル》開催の外部に開かれた賭け格闘技試合……それを好機として単身での潜入を試みる角鹿。
しかしそれは、“魔女”狩りを潰すネズミを呼び込むための“敵”の罠であり、“魔女”に捕捉された彼は至門の前へと連行される。

大量の血痕、人間の抉られた眼球や千切れた歯や耳の一部……
残酷極まる闘争が繰り広げられた舞台の上で、遂に角鹿は“敵”の首領ともいうべき男と対面する。

「よぉ、やっぱり来たようだなぁ。兄ちゃん、俺に用があるのかい?」

「俺は至門ってんだ。兄ちゃんの顔は知らねえなぁ……忘れてたら悪いが、どっかで会ってたか?」

着崩れたダークスーツの中年男が、どこかとぼけた口調で侵入者へ言葉を発した。
感情の窺えない爬虫類じみた無表情が、角鹿を値踏みしていた。

問いかけに、角鹿は悪意を滴らせるような微笑を浮かべ、答える


「気にしなくていい……」


その声は、泥のように重く、火のように熱い。吐息からは肉食獣めいた生臭い殺意が薫っていた。


「これからのおまえは、二度と俺を忘れられなくなるからな」

「そうかい。生憎どうも一期一会になりそうな風向きなんだがなぁ」


殺意を隠さぬ挑発を、至門は鼻先で嘲り嗤った。銃器で武装した十人以上の護衛に加えて、
枯れた容貌ながらとりわけ濃い殺気を放つ一人の白人という壁がある限り、今の角鹿には至門を害することは不可能だった。
だが、“敵”の根源を前にした彼の戦意は僅かも削がれることはなく……
至門が告げる、余興(見世物)として賭け試合の優勝者と戦ってもらうという指示に対しても、それをぶつける機会が訪れた事に全身を震わせるばかりであった。

己をここまで叩き落し、造り変えた敵。しかもそれは、これ以上ないほど下劣で悪辣な男であった。
その怒りと憎悪を、今すぐ破壊衝動として転換し、思うさまにぶち撒けてやりたい……

「いいだろう──やってやる」

優勝者の男は、様々な格闘技を織り交ぜた闘い方で、鍛え上げた角鹿を執拗に追い詰めていく。
凄惨な闘いを勝ち残ったというだけはあり、角鹿は痛めつけられるも……
少年時代より親しんだ修身武道としての「試合」ではない、原始的な「殺し合い」へ臨む事にもはや今の彼は躊躇しない。


組み付かれた体勢から抜け出す為に、彼は対戦相手の片耳を強烈な握力と非情さで引き千切る。
拘束が緩んだ後、倒れ込む相手の顔面に肘打ちと頭突きを叩き込み、柘榴の如く潰す。
さらに立ち上がった角鹿は口元を卑しく歪め、観客と相手に見せつけるように、耳の肉片を拾い、咀嚼し飲み込んでやる。
最後は、怒りに任せて立ち上がろうとする相手の頭部を、失神しようがお構いなしに靴底で踏み砕く。
――三度目で陶器が割れたような音が鳴り。五度目には粘土を混ぜるのにも似て湿った音となった。

都合十二回の踏み付けを終えた後に残ったのは、後頭部が扁平に歪み潰れた、対戦相手の屍のみだった。


この俺を恐れろ。

これが、おまえが生み出した地獄から帰ってきた男だ。


その非情を働いた己の姿を、角鹿彰護はどこまでも理性的に観察していた。
罪悪感など微塵もなく、冷血な歓喜と男根にみなぎる異様な熱だけがある。
残虐な行為に躊躇がなくなり、むしろこの至門の眼前で見せつけることに昏く熱い喜びすら感じる様であった。




  • ページタイトルだけだと一般的エロゲーで間男が言いそうな台詞に見えてしまった -- 名無しさん (2020-08-10 00:38:15)
  • 昏式「これからのおまえは、二度と俺を忘れられなくなるからな♂」 -- 名無しさん (2020-08-10 12:35:03)
  • はい…それはもう……(墓、角鹿氏の作中での行動、ブライアンの存在、虚空のバロックの先輩関連等等を見ながら -- 名無しさん (2020-08-10 12:36:32)
  • もう病みつきになっちまったよ。お前のせいだ、どうしてくれる♂ -- 名無しさん (2020-09-12 07:44:22)
  • ちなみに人間の頭の固さはカボチャと同じ。人の頭をどうにかする訓練にはカボチャを使おう -- 名無しさん (2020-09-13 01:40:57)
  • 🎃の時期ですねぇ -- 名無しさん (2020-09-21 15:40:19)
  • お前のカボチャを銃で撃ち殺して、死姦した後に精液と唾を吐き付けてやる♂ -- 名無しさん (2020-11-12 17:07:00)
  • ブライアン兄貴がこの光景恍惚として眺めてそう -- 名無しさん (2020-11-22 10:26:17)
  • そしてほくそえむ無名の魔女 -- 名無しさん (2020-11-29 14:46:02)
  • 無名ちゃんは腐っていた・・・? -- 名無しさん (2020-11-29 16:09:00)
  • 人類を腐界に染め上げる無名の魔女か… -- 名無しさん (2020-11-29 19:52:54)
  • 大丈夫、最終的に愛などいらぬとか二転三転して拗らせない? -- 名無しさん (2020-12-07 13:19:59)
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最終更新:2021年12月07日 02:29