ねえ、産地偽装の巨人さん?少し商談をしたいのですが。私があれを無様な鉄屑にした場合、残骸はそちらの上司が幾らで買ってくださるかしら



大国主が操る環境改造型人造惑星(アメノクラト)と交戦するセシルとジェイス。

結晶樹の防御を突破し、一気呵成にアメノクラトを屠ろうとするも、周到に潜ませていた(・・・・・・)伊賦夜衆によりセシルは全身を串刺しにされてしまう。

戦闘特化型ではない兵器の弱点を重々理解した上で、それをあたかも隙であるかのように見せつけて友軍と共に運用する。そして見事罠にはまり、致命傷を負ったセシルへ念には念を入れて(・・・・・・・・)徹底的に刃を突き立てていく。

来世(つぎ)はもう少し注意深く生きなさい、と忠告を告げながら慎重に慎重を重ねて、徹底的に殺して殺して――

「分かったように喋るな、愚神。間抜けはどちらか教えてあげる」

『―――何?』

そして始まる異常事態にスメラギは困惑の声を漏らした。

胴体の内部を刃で蹂躙され、蝋人形もかくやとばかりに蒼白だったセシルの肌に徐々に血色が戻っていく。逆に獲物を仕留めたはずの伊賦夜衆が身をよじり、苦悶にのたうち始める。

殺されたはずの側が活力を取り戻し、殺した側が悶え狂う。そんな因果の狂った光景を創り出した女は巨人の長へ蠱惑的な笑みを向ける。

「ねえ、産地偽装の巨人さん?少し商談をしたいのですが。私があれを無様な鉄屑にした場合、残骸はそちらの上司が幾らで買ってくださるかしら」

全身を刺し貫かれながら平然と、鈴の鳴るように玲瓏たる口調で語りかける女商人(セシル)を前に、限界突破(オーバードライブ)もまた不敵に笑った。

「そりゃあんた、言い値に決まってんだろうが――!」

いい返事である、ならば――いざ。


「創生せよ、天に描いた星辰を──我らは煌めく流れ星」


今ここに、中津国を呪う大喰らいの世界蛇が殺意をもってその牙を剥いた。




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最終更新:2021年01月23日 15:44