申仏島

さるぼとけじま


『鏖呪ノ嶼』の舞台となる、瀬戸内海の離島。
戦前までは漁業と蜜柑栽培以外に特筆すべき産業はなかったが、昭和30年から突如として大量に女たちが集められ、売春を商う一大歓楽街が勃興した歴史を持つ。


  • 申仏島歓楽街
島の北岸にあるフェリー港に隣接する、昭和から続く遊郭。
地方の風俗業では異例なほどハイレベルな女たちが集まっている、との評判がある。

  • 黝ヶ淵若宮(ゆうがふちわかみや)
島の南にある岬の近辺には、昼でも海面が黒く見えるほど水深が深い入り江が広がっている。
その黝ヶ淵を見下ろす山の上には、二ツ栗家の寄贈で昭和30年に建立された若宮神社がある。

  • 軍神島(ぐんしんじま)
申仏島の東沖合に浮かぶ小さな無人島。
かつては地蔵島と呼ばれていたが、戦後はその名が定着している。
島名の由来については語りたがらない島民も多い。

+ ...
…しかし、これら申仏島の各地にはそれぞれ二ツ栗家にとって重要な役割が与えられており、しかも各々が密接な関係に置かれている。
全ては黝ヶ淵の怨霊に対抗するべく島に招かれた蒔山太夫の呪式を維持する為、
眩い人造の明かりの裏で必要な犠牲が選別され、護りの要たる人造呪霊を生かし続ける仕組みが常に駆動し続けているのだ。

●黝ヶ淵若宮
かつて怨霊がただの人であった時、罪を咎めた二ツ栗家の使用人たちによって私刑として生きたまま海に沈められた地。
海の底を根源として、二ツ栗家の縁者に対する怨霊の発する呪いは大量の海水と黝い頭髪として蠢いており……
常に二ツ栗家全員を鏖殺せんとしている。太夫はそこに呪いの侵入を防ぐ結界の要を置き、自ら呪式を維持修復すると共に、
雇い入れた術師の監視により、外部からの干渉を防いでいる。
しかし、ここに少しでも綻びが生じることがあれば、あるいは呪式の大本を組んだ太夫の身に何かあれば、鏖殺の呪いを防ぎきることは困難となる。

●歓楽街
若宮の結界を守るための呪霊―『軍神』の主食(・・)となる女達を選別する場。
全国各地から集まった女性の中で、島の秘密に近づき過ぎた者、たとえいなくなったとしても探される心配のない者などが優先的に選ばれていく。
『振興会』の男達は夜の闇に乗じて少数の標的を船に連れ去った後、『軍神』の棲家となっている軍神島へ向かい、
そのまま、昏い昏い穴の中へと女性達を突き落とし――仕事は完了となる。
何十年もの間この手口で、女性達は二ツ栗家が生き延びるための犠牲とされたのであり、今まで一人として穴から這い出て地上に戻った者はいない。

●軍神島
黝ヶ淵の怨霊に対抗するため、“彼女”がまだ人間だった時分に縁深かった『軍神』と呼ばれた
ある男性の魂を蒔山太夫は利用する事を考えつき、そして“彼”と“彼女”が生前共に暮らしてきた住居の跡地に、巨大な呪霊を降臨させた。
そこが現在の軍神島であり、かつてあった住居は『軍神』降臨の際に破壊され大地は抉られ“彼”の巨体が蠢く穴が口を開けている。
そこで女性は見るも悍ましい怪物と対面を果たすこととなる。
二ツ栗の血と大量の蛭と、“彼”の魂で編まれたその呪霊により、彼女達は肉体と魂の尊厳を破壊されつくし、“彼”が飽きるまで玩弄され続けるのだ。




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最終更新:2025年03月09日 01:00