『鏖呪ノ嶼』の舞台、
申仏島で古くから影響力を持つ有力者一族。
先祖は村上水軍に連なる豪族と伝えられ、島の網元として財を成してきた。
そんな一族は大戦の終戦後突如として、それまで蓄積した財産を一挙に投じ、島の北部の港街一帯を
売春業を営む一大歓楽地へと変貌させた。
結果蜜柑栽培などの農業や漁業を主要な産業とした申仏島の様相は一変、法規制が強まる現代に至るまでも
“売春島”としてその名を知られる事になる。
一族は申仏島中西部にある高台に、豪壮な和洋折衷建築の本陣屋敷を構えている。
現在の当主は一人娘の
珠夜で、東京の大学を卒業後帰郷、老年の父・吉延に代わってその座に就いた。
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――しかし、それらはあくまで表向きの姿。
吉延の実兄であり、戦中に島へ帰還した 二ツ栗晴茂の妾として連れてこられ、彼を殺した罪で私的に報復された青沼シヅの怨念によって、約70年もの間彼ら一族は強大な 呪いにかかっている状況にある。
それに対抗すべく、呪いの最初の犠牲者となった二ツ栗嘉右衛門、その後妻であり青沼シヅの義理の姉妹でもあった 菊乃の命で一族は 呪術師を雇い入れることとなり……
以降二ツ栗家は自分達が生き延び、家を存続させるために様々な人間達を呪術の贄として捧げていくこととなった。
表向きの顔である売春業の管理というのも、 死者である青沼シヅの呪いを防ぐための“呪詛返し”としての『軍神』を維持することに真の目的がある。
『申仏島遊興振興会』の男達は軍神の生贄(食糧とも言える)となる女性達を娼館から計画的に捕らえ集めて、月に一度軍神島へと送り込む。
そこで彼女達は「死よりも恐ろしい」責め苦を味わいながら、昏い穴の中で軍神に喰われてしまう。
さらに二ツ栗家はインターネット上で運営される『天網光明の会』という宗教法人を通じ、多額の報酬と引き換えに呪術による“復讐代行業”も執り行っている。
様々な種類の怨みや怒りが生まれ行く現代社会の中では、彼らに仕事を依頼する人々は後をたたず、
風俗業による利益が徐々に右肩下がりとなる中で、二ツ栗家へと流れる金銭はかなりの額に上るという。
そうして生み出された利益は島の醜悪な実態を包み隠すために方々へとばら撒かれていくが……
それでも島の秘密を探り、真実を外からの光に晒そうとする者達に対して、二ツ栗家は容赦をしない。それが身内の人間であろうとも。
『振興会』の人間によって娼館の内と外は常時監視されており、不審な動きを見せた者は暴力で口を塞がれるか、生贄に捧げられるか……島の外に出ることは一生叶わなくなる。
また権力を持つ者などで一族に不都合となるような人物は突然の「祟り」によって片づけられ、同時に島の内情に探りを入れようとする者に恐怖心を抱かせ離れていくよう仕向ける。
――こうして、 暴力と呪術による夥しい数の犠牲者を生み出し続けながら、吉延の娘である二ツ栗珠夜の代まで一族は存続し続けてきた。
しかし、青沼シヅの呪いに対抗する術を一族に授けた 蒔山太夫が姿を消し、結界に徐々に綻びが生まれつつあった。
そんな中で、太夫の元で呪術を研鑽し長年呪殺を行ってきた文鳴啾蔵と、一族に雇われていたが密かに島から逃げ出した呪術師・吐月完が三年ぶりの再会を果たし、島と一族は再び濃密な呪と死の気配に包まれていく。
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●一族とその関係者
- 先々代当主・二ツ栗嘉右衛門
- 嘉右衛門の後妻・二ツ栗菊乃
- 蒔山太夫(守護の結界作成および“軍神”の創造、その他二ツ栗への呪いを防ぐ諸々の“呪式”と維持の仕組を構築)
- 苦松刑部(申仏島内において、太夫の構築した結界の維持・管理(“軍神”も含む)、島の外部からの介入を排除する呪式作成等を担当)
- 文鳴啾蔵(島の外へ赴き、二ツ栗家が陰で請け負った復讐代行の依頼を、呪殺によって実行する役目を主に担当(二ツ栗家にとって危険な人物・組織の呪術による排除も含))
- 控えめに言ってクソ一族 -- 名無しさん (2024-06-04 12:13:52)
- クソ(凶悪な)防諜システムもあるよ!(『今私の事を調べたな!これでお前とも縁ができた!』 -- 名無しさん (2024-06-21 10:45:05)
- 悪の組織やんけ -- 名無しさん (2024-06-21 12:55:38)
- (色んな意味で)イン・モラル一族でもありますね -- 名無しさん (2024-07-07 00:07:29)
- シヅがギコギコやられてるのを見て嘔吐したシーンで何一丁前に人間の感性残してんだよクズの一族に仕えてる癖によってなった -- 名無しさん (2024-07-07 01:10:38)
最終更新:2024年07月07日 01:10