この世には、死ぬよりも恐ろしいことがある。
それが呪われた者の末路とされる、死後の地獄堕ちである。
――地獄がどんなものであるのかは定かではない。
だが安息などは一切なく、恐怖と苦痛だけが永遠に繰り返し続く世界であることは確かであると伝えられる。
ゆえに、呪いに携わる者たちは死そのものよりも、呪いにより死んだ後の地獄堕ちの方を恐れている。
それは、呪いの業を以て実質的に二ツ栗家を支配した二ツ栗菊乃や、常人には理解しがたい価値観を持つ苦松刑部らにとっても同様であり……
最終更新:2025年02月22日 15:24