4月4日
エースの目覚め 涌井が「18」で“初勝利”
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2009/04/04/05.html
【西武5—2ロッテ】帰り際のバスへ向かう通路。西武・涌井はため息をつきながら「むちゃくちゃ疲れた」とつぶやいた。重圧がかかる開幕戦。チームの勝 利、という仕事を果たしたエースはようやく肩の荷を下ろした。
「勝ってよかったです。でも自分の力で勝ったわけじゃないんで。細川さんとボカチカに感謝です」
初回から飛ばした。140キロ台後半を連発したが3回2死一、二塁、井口に3球ファウルで粘られた後の8球目。真ん中スライダーを左中間に運ばれて天を 仰いだ。「どこに投げてもファウルだったんで、打ち損じを狙って(ストライクゾーンに)投げたんですけど」。変化球の微妙な制球にも苦しんだ。5回まで費 やした球数は110球。それでも続投を志願。味方が逆転した直後の6回をしっかり抑えて2失点で降板した。
【西武5—2ロッテ】帰り際のバスへ向かう通路。西武・涌井はため息をつきながら「むちゃくちゃ疲れた」とつぶやいた。重圧がかかる開幕戦。チームの勝 利、という仕事を果たしたエースはようやく肩の荷を下ろした。
「勝ってよかったです。でも自分の力で勝ったわけじゃないんで。細川さんとボカチカに感謝です」
初回から飛ばした。140キロ台後半を連発したが3回2死一、二塁、井口に3球ファウルで粘られた後の8球目。真ん中スライダーを左中間に運ばれて天を 仰いだ。「どこに投げてもファウルだったんで、打ち損じを狙って(ストライクゾーンに)投げたんですけど」。変化球の微妙な制球にも苦しんだ。5回まで費 やした球数は110球。それでも続投を志願。味方が逆転した直後の6回をしっかり抑えて2失点で降板した。
2月のWBC代表合宿中だった。ゲームの話ばかりしていた涌井は松坂に「チームの雰囲気を考えろ」と初めて怒られた。しかし、決勝の韓国戦の9回、同点とされて心配した松坂がブルペンに姿を現すや「ここから行きますよ。僕たちが盛り上げないと」と声を掛けた。松坂に「1カ月で変わったな」と言わしめた。 自身は慣れない中継ぎで3試合に登板して1勝0敗。仲間を信頼することの尊さをしっかり学んで帰ってきた。
27年ぶり敵地開幕を制した渡辺監督は「本当に粘り強く投げてくれた」と涌井を評価した。ビジター用の新ユニホーム。松坂(レッドソックス)から受け継 いだ背番号18を背負って昨季開幕戦黒星のリベンジも果たした。「これで去年みたいに乗っていけたら…」。連覇へ。エースが最高のスタートを演出して見せた。
27年ぶり敵地開幕を制した渡辺監督は「本当に粘り強く投げてくれた」と涌井を評価した。ビジター用の新ユニホーム。松坂(レッドソックス)から受け継 いだ背番号18を背負って昨季開幕戦黒星のリベンジも果たした。「これで去年みたいに乗っていけたら…」。連覇へ。エースが最高のスタートを演出して見せた。
4月10日
涌井2勝!岩隈に投げ勝った…西武
http://hochi.yomiuri.co.jp/photo/20090410-194171-1-L.jpg
◆楽天0―6西武(10日・Kスタ宮城) ゲームセットをベンチで見届けると、涌井はやっと笑顔を見せた。「岩隈さんからは、なかなか点は取れないし、初回から飛ばしました」エース対決を制し、両肩にのしかかった重圧から解放された。
◆楽天0―6西武(10日・Kスタ宮城) ゲームセットをベンチで見届けると、涌井はやっと笑顔を見せた。「岩隈さんからは、なかなか点は取れないし、初回から飛ばしました」エース対決を制し、両肩にのしかかった重圧から解放された。
マウンドでは一切、表情を変えなかった。
1点リードの3回2死満塁でセギノールを三振に取っても、4点リードの7回2死一、三塁で伊志嶺を打ち取っても、淡々とベンチに戻っていった。
1回から変化球も低めに集まり、要所の直球はキレが増した。8回を終わって138球を投げ「相変わらず投げているなと思った。
ベンチに帰ったら、監督も(次の投手を)準備していたんで、気持ちを切らしました」と2年ぶりの完封こそ逃したが、8回3安打無失点。エースらしい堂々とした投球で開幕から2連勝だ。
1点リードの3回2死満塁でセギノールを三振に取っても、4点リードの7回2死一、三塁で伊志嶺を打ち取っても、淡々とベンチに戻っていった。
1回から変化球も低めに集まり、要所の直球はキレが増した。8回を終わって138球を投げ「相変わらず投げているなと思った。
ベンチに帰ったら、監督も(次の投手を)準備していたんで、気持ちを切らしました」と2年ぶりの完封こそ逃したが、8回3安打無失点。エースらしい堂々とした投球で開幕から2連勝だ。
WBCでは岩隈に先発マウンドを譲ったが、シーズンに入れば負けなかった。
「岩隈さんは(WBCで)疲れているけど、僕は疲れてませんから。でも、勝ててうれしいです」
試合前には渡辺監督から「何点欲しい?」と聞かれ、「2点です」と宣言。
自分が予想した以上の投球で、1点あれば十分のピッチングだった。
「岩隈さんは(WBCで)疲れているけど、僕は疲れてませんから。でも、勝ててうれしいです」
試合前には渡辺監督から「何点欲しい?」と聞かれ、「2点です」と宣言。
自分が予想した以上の投球で、1点あれば十分のピッチングだった。
成長するために、練習の鬼になった。
大迫トレーニングコーチがオフの練習メニューを渡したが「結構、すごいメニューだったけど、本当に全部こなした」とびっくりするほど。
指揮官も「開幕戦に投げるということは、エースとぶつかるということ。でも、ウチのエースだし、勝てばいい。成長していく上では必要だから」と改めて信頼の高さを口にした。
ロッテ・清水、楽天・岩隈を撃破し、次はダルビッシュだ。「次もテンポよく投げて、勝てればいいですね」緊張はない。むしろ、楽しんでいるようだ。
大迫トレーニングコーチがオフの練習メニューを渡したが「結構、すごいメニューだったけど、本当に全部こなした」とびっくりするほど。
指揮官も「開幕戦に投げるということは、エースとぶつかるということ。でも、ウチのエースだし、勝てばいい。成長していく上では必要だから」と改めて信頼の高さを口にした。
ロッテ・清水、楽天・岩隈を撃破し、次はダルビッシュだ。「次もテンポよく投げて、勝てればいいですね」緊張はない。むしろ、楽しんでいるようだ。
4月17日
ダル 親友対決制して50勝目
九回を締めた武田久からウイニングボールを手渡されるとニコッ。
ともにWBC代表で、4度目となる同級生右腕の対決はダルビッシュに軍配が
上がった。今季2勝目は、プロ5年目で節目の通算50勝だ。
「(50勝目が)対涌井でよかったです。(涌井は)あんまり調子がよくなかった
みたいで、僕もあんまりリズムに乗れなかった」
自らの不調を他人のせいにできるほど、2人は仲がいい。
「投げ合って一番楽しいのは涌井ですね。結構(携帯)メールもしますよ」。
ともにWBC代表で、4度目となる同級生右腕の対決はダルビッシュに軍配が
上がった。今季2勝目は、プロ5年目で節目の通算50勝だ。
「(50勝目が)対涌井でよかったです。(涌井は)あんまり調子がよくなかった
みたいで、僕もあんまりリズムに乗れなかった」
自らの不調を他人のせいにできるほど、2人は仲がいい。
「投げ合って一番楽しいのは涌井ですね。結構(携帯)メールもしますよ」。
だが、真剣勝負となれば話は別だ。この日は試合ではめったに着ない長袖の
アンダーシャツを着用し、「涌井のまねをして七分丈にした」と腕まくり。
大親友へのリスペクト? それともおちょくり? 投げにくかったため四回から
半袖のシャツに着替えたが、涌井を意識しての投球が続いた。
アンダーシャツを着用し、「涌井のまねをして七分丈にした」と腕まくり。
大親友へのリスペクト? それともおちょくり? 投げにくかったため四回から
半袖のシャツに着替えたが、涌井を意識しての投球が続いた。
三回にボカチカにソロを浴び、六回は2四球から1点を失ったが、8回3安打2失点。
奪った三振は今季最多の8を数えた。涌井と同じWBC戦士の片岡、中島へは
「意識してもいいことないので…。でも、中島さんから(2つ)三振を取れてよかった」。
気温11度の肌寒さの中、129球の熱投だ。
通算42勝の涌井との対戦成績は2勝1敗。これからも負けるつもりはない。
奪った三振は今季最多の8を数えた。涌井と同じWBC戦士の片岡、中島へは
「意識してもいいことないので…。でも、中島さんから(2つ)三振を取れてよかった」。
気温11度の肌寒さの中、129球の熱投だ。
通算42勝の涌井との対戦成績は2勝1敗。これからも負けるつもりはない。
エースの力投でチームは3連勝。楽天、西武と並んで首位に浮上しても、
「今の時期はそんなに(順位は)関係ありません」とキッパリ。そして、続けた。
「まだ結果オーライの投球をしている。内容のある投球をしないと」。
白星にも満足はしていない。ダルビッシュは、さらなる高みを求める。
「今の時期はそんなに(順位は)関係ありません」とキッパリ。そして、続けた。
「まだ結果オーライの投球をしている。内容のある投球をしないと」。
白星にも満足はしていない。ダルビッシュは、さらなる高みを求める。
4月24日
史上初の快投!涌井、毎回&全員から12K
【西武3―1ロッテ】涌井が史上初の快投だ。西武の涌井秀章投手(22)は24日、ロッテ戦で自己最多となる毎回の12三振を奪い、1失点完投で3勝目を挙げた。過去に松坂(現レッドソックス)ら3人しか達成していない全員三振を記録したが、毎回三振での達成は史上初の快挙。164球の熱投でチームの連敗を2で止め、5割復帰に導いた。
小雨が舞い、底冷えがする西武ドームの駐車場。涌井は「風呂上がりで熱いから」と半袖姿で現れた。風呂場では銀仁朗の頭にボディーソープをかけて遊ぶなどまだまだ余力は十分。完投勝利で火照った体に所沢の冷気が心地よかった。
「珍しく気合が入ってました。相手(唐川)は年下なんで負けられないな、と思いました。みんな疲れていたんで早く試合を終わらせたかった」。今季リーグ最短試合の2時間26分にまとめ、笑顔を見せた。
164球を投げ12奪三振はともに自己最多。しかも史上初の毎回&全員三振のおまけ付きだ。その快挙を呼び込んだのは伸びのある直球だ。4回、井口を144キロ直球で、2死二塁からはサブローをこの日最速の145キロ直球でともに空振り三振に仕留めた。バッテリーを組んだ銀仁朗も「ストレートがエグかったんで」と直球主体の組み立てで勝負。12三振中、直球で奪った三振は6。全164球のうち、直球は74球を占め、140キロ台に達しなかったのはわずか3球だけだった。涌井も「直球で狙って取った三振が多かった」と手応えを口にした。
一昨年、昨年と「直球のスピードが出ない」と悩んだ時期もあった。今季のテーマは「制球をあまり意識せず、強く腕を振ること」。腕を強く振るために下半身を徹底した走り込みで鍛えた。WBC期間中も与田投手コーチが「ワクが一番よく走っていた」と感心。下半身は一回り大きくなり、昨年12月のハワイ優勝旅行で買ったジーンズの左ひざの部分が座ったと同時に破れてしまったほど。「これじゃあダメージ・ジーンズですよ」と苦笑いするしかなかった。
渡辺監督も「まさにエースの投球」と最大級の賛辞を贈る。チームを5割に復帰させる好投にも涌井に慢心はない。「たまたまですよ。もっと省エネしなと。次にどう影響が出るかです」。若きエースが追い求める究極の理想はまだかなたにある。
5月1日
ダル「涌井が踏ん張ってたから踏ん張れた」…日本ハム
日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が、苦しみながらも西武涌井に勝ちを譲らなかった。4月17日に続く今季2度目の同期生対決で、自己ワーストタイの6四死球を与えながらも9回132球を投げ11奪三振で1失点に抑えた。過去4度の直接対決で涌井に白星を与えたことは1度もない。チームは延長12回に勝ち越され3連敗となったが、プロ通算5度目となったエース対決でも、親友の前に立ちはだかった。
マウンド、親友への執着心は結実しなかった。ダルビッシュの意地と根性は延長12回、死闘での白星へはつながらなかった。9回、1-1のまま同点、サヨナラ勝ちを信じて中継ぎ陣へ託したバトンは、有終ゴールまで届かなかった。「(勝敗は)それは別に…。9回、しっかり投げられたと思います」。自身4連勝、チームの連敗ストップはならなかった。エースとしての責任を果たした少しの安堵(あんど)感が、少しだけ疲れをやわらげた。
今季2度目の涌井との投げ合いが、カンフル剤になった。150キロ超を連発する直球が、この日は最速149キロ止まり。高い修正能力で異変を打破しようとしたが「修正不能だった? まあ、そんな感じですね」。手探りで何度もギアを入れ替えた。勝負球を変化球主体に変更した。「お互いが、お互いを引っ張った感じ」。マウンドを簡単には降りないライバルとの投手戦へ、持ち込んだ。
最大の難所は6回。先制点を与え、なおも無死二塁のピンチだった。GG佐藤への2球目、カウント0-2とした直後だった。81球目を投げ終えた後、左足付け根がつったという。投げ終えた瞬間、足を引きずるようなアクション。吉井投手コーチとトレーナーがベンチを飛び出した。治療のためベンチへと1度は戻ったが約3分後にグラウンドへ登場。GG佐藤を空振り三振、ボカチカに死球は与えたが、銀仁朗を遊併で切り抜けた。
不調を訴えながら2戦連続、今季最多タイの11三振を積み上げた。西武打線を圧倒したが、1試合3死球は自身初。07年6月16日中日戦(札幌ドーム)以来となるワーストタイの6四死球の乱調ながらも、要所を締めた。中村球審とストライクゾーンの感覚が合わず時折、戸惑うシーンもあったが、我慢して最少失点に抑えた。涌井が降板した時にはベンチから拍手した。「ナイスピッチングだと思ったんで」。誰も入り込む余地がない2人だけの世界が、折れそうな心の支えになった。
楽天に連敗、首位陥落して一夜明けたこの日、手負いの全力投球でチームにパワーを注入した。今季初完封した前回の4月24日オリックス戦に続く快投で、今季2度目の延長戦まで持ち込んだ。梨田監督も賛辞で労をねぎらった。「9回、1点だからね。変化球も使っていたし、ダルなりに良かった」。今季の札幌ドーム初白星は逃したが、不調の中での内容に「仕事はできている」と充足感は得た。進化のゴールが見えない、結果だけで価値判断できない132球だった。
炎の投げ合い!名勝負!ダルと涌井に拍手だ!
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2009/05/02/01.html
【日本ハム1—2西武】ひりひりするような緊張感。これがエース対決だ。5度目の“直接対決”。先にはマウンドを降りたくない。その一心で両雄は耐え抜い た。9回1死二塁。涌井は敬遠で田中を一塁に歩かせたところで降板。ダルビッシュはベンチから惜しみない拍手を送った。
【日本ハム1—2西武】ひりひりするような緊張感。これがエース対決だ。5度目の“直接対決”。先にはマウンドを降りたくない。その一心で両雄は耐え抜い た。9回1死二塁。涌井は敬遠で田中を一塁に歩かせたところで降板。ダルビッシュはベンチから惜しみない拍手を送った。
ダルビッシュ ナイスピッチングって思ったので…。お互いがしっかりと引っ張り合うことができた。勝ち負けはつかなかったけれど、別にそれはどうでもよ かった。涌井が踏ん張っていたから、自分も踏ん張れた
6四死球が象徴するように、ダルビッシュの調子は決して良くなかった。「直球が全然良くなくて、変化球に頼る投球だった」。4回1死満塁ではG・G・佐 藤、ボカチカを変化球で連続三振。さらに6回途中には左足付け根に張りを訴えて一時、ベンチへと下がった。それでもストレッチで応急処置を施すと後続を 断った。2試合連続の11奪三振。ただ前回登板と違ったのはそのすべてが変化球だったことだ。
涌井 ダルとの投げ合いは楽しくもあり、しんどくもありました。でも、向こうは9回を投げきった。こっちは結果として試合に勝ったけれど、自分は勝った 気がしない。次こそですね
投球内容は対照的だった。全投球中、直球は48%にあたる66球。今季のこだわりは「勝負どころでの力勝負」。5回1死満塁のピンチでは田中を追い込む と、サインに何度も首を振って最後は145キロの直球で浅い中飛に仕留めた。それだけに6回1死二、三塁で高橋にカーブを中前に運ばれた場面を、「ワンバ ウンドのカーブを振らせようとしたけど…。後悔ですね」と振り返った。
4月29日には互いに電話で近況を報告。侍ジャパンの同僚で、開幕から4連続完投勝利を達成した楽天・田中の話題などでひとしきり盛り上がった後、ダル ビッシュは「(ワクと投げ合うのは)もう嫌だよ」と本音を漏らしたという。
ダルビッシュ132球、涌井137球。2人がプライドを込めた計269球に、投手、そして野球の神髄を見た。
4月29日には互いに電話で近況を報告。侍ジャパンの同僚で、開幕から4連続完投勝利を達成した楽天・田中の話題などでひとしきり盛り上がった後、ダル ビッシュは「(ワクと投げ合うのは)もう嫌だよ」と本音を漏らしたという。
ダルビッシュ132球、涌井137球。2人がプライドを込めた計269球に、投手、そして野球の神髄を見た。
5月15日
成績不振に苦しんだ昨年の流れを変えようと、 七分袖だったアンダーシャツを、 2年前に最多勝を獲得した時と同じ長袖に近いタイプにした。
http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20090516-495063.html
マウンドより、ベンチ前のキャッチボールで肩を温めた球数の方が多かったかもしれない。18点の大量援護を受けた西武涌井秀章投手(22)は「4回の5点で十分だったけど、8点とってもらった時(7回)は、リズムが狂いそうになりましたね」。長い攻撃時間に待たされても、集中力は切らさなかった。2年ぶりの完封で、チームに今季初の4連勝をもたらした。借金を返済し「いい流れを止めなくて良かった」とホッと一息ついた。
マウンドより、ベンチ前のキャッチボールで肩を温めた球数の方が多かったかもしれない。18点の大量援護を受けた西武涌井秀章投手(22)は「4回の5点で十分だったけど、8点とってもらった時(7回)は、リズムが狂いそうになりましたね」。長い攻撃時間に待たされても、集中力は切らさなかった。2年ぶりの完封で、チームに今季初の4連勝をもたらした。借金を返済し「いい流れを止めなくて良かった」とホッと一息ついた。
表情もペースも崩さず、4安打で投げきった。2回に1死三塁とされたが、大松をフォークで三振。里崎には鋭い144キロシュートでバットをへし折り、投ゴロに仕留めてリズムに乗った。「早打ちや打ち損じに助けられた。四球がいつもより多くて(4つ)良くなかったけど、低めに集められた」。120球目、最後の打者竹原には145キロで空振り三振。余力も十分だった。
今季4勝目を挙げ、うちロッテに3勝。対戦防御率1・13と抜群の相性を誇るが、昨年は防御率6・17で「嫌な打線」という苦手意識は今も根強く残る。それでも負けたくない理由があった。昨年のレギュラーシーズン最終登板で3年連続2ケタ勝利を挙げたが、内容は5回で10安打5失点と最悪だった。9得点した打線の援護に救われ「10勝がかかっていなかったら降板させていた」(渡辺監督)という屈辱を味わった。
エースの意地をかけ、今年は相手につけいるスキも与えない。4月24日に毎回の全員奪三振という史上初の記録を達成したのもロッテ戦だった。成績不振に苦しんだ昨年の流れを変えようと、七分袖だったアンダーシャツを、2年前に最多勝を獲得した時と同じ長袖に近いタイプにした。「うちは交流戦が苦手といわれているので頑張ります」。大量点でもしっかりとゲームを引き締めたエースの存在感が際立った。【柴田猛夫】




