したらば2スレ/(741-751)リアル・レディ・ジェネレーション アトム級17歳女子vsライト級男子世界チャンピオン
ライト級とはいえ、世界チャンピオンにまでなった俺に、女子と試合をしろとのオファーが来たときは耳を疑った。
しかも、相手はこの試合のためにプロテストを受け、受かったばかりという17歳の少女である。
さらに階級は女子でも最も軽いアトム級とくれば、枕営業の一つも疑わずにはいられなかった。
しかも、相手はこの試合のためにプロテストを受け、受かったばかりという17歳の少女である。
さらに階級は女子でも最も軽いアトム級とくれば、枕営業の一つも疑わずにはいられなかった。
リアル・レディ・ジェネレーション、RLGを名乗る女子格闘技団体が、最近メキメキと規模を大きくしていることは小耳に挟んでいる。
曰く、
『今までの格闘技界は男子中心社会であり、女子も男子が作り上げた練習法に則って男子が作った技術を身に付けてきた』
『それでは女子が強くなれるはずがない。女子と男子では骨格も重心も全然違うのだから』
『女子が男子より弱いとされるのは、偏にその一点だけが問題であり、女子のポテンシャルは男子に劣るものではない』
『女子のための練習をして女子のための技術を身に付ければ、女子も男子と同じ、むしろ男子を超える強さを身に付けられる』
『それでは女子が強くなれるはずがない。女子と男子では骨格も重心も全然違うのだから』
『女子が男子より弱いとされるのは、偏にその一点だけが問題であり、女子のポテンシャルは男子に劣るものではない』
『女子のための練習をして女子のための技術を身に付ければ、女子も男子と同じ、むしろ男子を超える強さを身に付けられる』
『本当の女の強さを見せてあげる』
……有識者が聞けば苦笑いも出ないような声明だが、可憐な美少女を集めたRLGの興業は大当たりに大当たりを繰り返し、
その影響力と発言力はもはや無視しようが無いものになっている。
その影響力と発言力はもはや無視しようが無いものになっている。
『階級差によるグローブハンデ無し。それ以外は完全にボクシングルールで構わない』
『もしもRLGの選手が勝った場合は、プロボクシングの男女混合化及び女子選手の階級無差別化について検討されたし』
『もしもRLGの選手が勝った場合は、プロボクシングの男女混合化及び女子選手の階級無差別化について検討されたし』
……頭に血が上った女には何を言っても無駄。ぶん殴って言うことを聞かせるしかないということは経験上よく分かっている。
プロ生活4年目。せっかく念願の世界チャンピオンになれたのに、イヤなタイミングで悪目立ちしちまった。
ツいてないぜ。
ツいてないぜ。
写真の中の少女は、赤いビキニのリングコスチューム。
腹筋も割れていないような可憐で華奢な姿を晒して小生意気に微笑んでいる。
腹筋も割れていないような可憐で華奢な姿を晒して小生意気に微笑んでいる。
(私が怖いの? 男のクセに)
そう聞こえてくるようだ。
相当な美少女だった。おまけに、中学生みたいな顔して、胸回りと腰回りは熟れ熟れときてやがる。
グラビアアイドルの間違いじゃないのか。
そりゃ、興業のチケットも捌けるだろうよ。
そりゃ、興業のチケットも捌けるだろうよ。
格闘技はスポーツだ、ショーだ、と分かっていても、こっちが死に物狂いで体を鍛え技を磨いてリングに上がっているのに、
彼女たちがその倍も十倍も観客を集めている事実に苛立ちを覚えずにはいられない。
彼女たちがその倍も十倍も観客を集めている事実に苛立ちを覚えずにはいられない。
どうせ、女を殴り倒した男という、汚名を着るのが避けられないなら、
いっそ、過剰なくらいボコボコにして、この業界の流れに逆波を立ててやろうか……
試合が始まるまでの俺は、そんな風に考えていた。
彼女は………………強かった。
フットワークやパンチの基本自体が、今まで戦ってきた相手とは全く異なっていた。
男では考えられないほど、大きく足を開いたスタンス。
そこから腰をくねらせ、柳のように揺れながら、信じられない角度で拳を打ち出してくる。
男では考えられないほど、大きく足を開いたスタンス。
そこから腰をくねらせ、柳のように揺れながら、信じられない角度で拳を打ち出してくる。
フリッカー気味のパンチはムチのようにしなり、短いはずのリーチが2倍3倍にも感じた。
予想より伸びてくるジャブは、インパクトをずらして衝撃を吸収しているはずの脳を、予想以上に揺らす。
バランスを崩したと思って手を出せば、不自然な体勢から細い体が折れ曲がるようなスウェイ。
そこからバネ仕掛けのように戻ってきて放つパンチは、ストレートかフックかアッパーかも分からない、
子供の頃に見たアニメのホーミングミサイルのような軌道で、俺の予想もしなかった場所へ猛速で突き刺さるのだ。
子供の頃に見たアニメのホーミングミサイルのような軌道で、俺の予想もしなかった場所へ猛速で突き刺さるのだ。
序盤は完全に彼女の独り舞台。
俺はいいように翻弄され、1ラウンドで1回、2ラウンドで2回、リングを舐めさせられた。
3ラウンド目は完全にゴングに救われた。TKO…… いや、失神KO寸前だった。
彼女が8階級以上も下でなければ、俺はとっくに負けていただろう。
彼女が8階級以上も下でなければ、俺はとっくに負けていただろう。
中盤で、ようやく彼女の動きに慣れてきた。
パワーとタフネスの差に任せて、急所のみを徹底的にブロック。
そしてまともにパンチを当てることを諦め、ガード自体にインパクトを合わせたジャブで、執拗に細腕を痛めつけていく。
クリーンヒットを取らなければパンチを効かせられない彼女。
どこにでも当たりさえすれば、硬く握った拳の跡を彼女の柔肌に刻み込める俺。
……それでようやく、互角の試合に持ち込めたというのは、ボクサーとしては屈辱的なことだったが。
彼女の腕にいくつもの痣が刻まれる頃には、ようやく一方的な虐殺劇がまともな試合に変わっていた。
そして、終盤。
最終ラウンドのゴングが鳴る。
ポイントでは未だ圧倒的にリードしている彼女は、痣だらけの腕を重そうに上げてファイティングポーズを取った。
ガードの上からしか叩かれていないはずなのに、顔やボディにさえ青痣が浮かんでいる。
だが、俺も無傷ではない。
彼女のパンチは確かに軽いが、スナップのキレが抜群で、俺は顔と言わずボディと言わずそこら中が醜く腫れ上がっていた。
醜いはずの俺を見て、彼女が微笑む。
試合前の挑発的な微笑みでも、試合序盤に見せた嘲笑的な笑顔でもなかった。
俺が刻み付けた、青いアイシャドーと赤い頬紅に彩られた彼女は、思わず見とれてしまうほど美しかった。
マウスピースを噛みしめて、彼女がダッシュで間合いを詰めてくる。
基本的にアウトボクシングでペースをつかんでいた彼女が見せる、初めてのインファイト。
まさか、これが彼女の本来のスタイルなのだろうか?
恐怖と、そして高揚に包まれ、俺は我知らず微笑みを浮かべながら、彼女の拳を丁寧にブロックした。
……ブロックが弾け飛んだ。
その彼女の右フックは、今までの戦いが嘘のように重かった。
よろめいた俺に、返しの左フック。
8階級以上も下の彼女の拳から、スーパーヘヴィ級のような衝撃が伝わり、両手を弾かれた俺のガードはがら空きになった。
バカな。
一体なぜ、ミニマム級どころかアトム級の彼女のパンチに、こんな重さが……
左フック。かろうじてスゥエイ。バランスが崩れる。
右フック…… と見せかけて、彼女の腰が渦を巻くようにうねり、左フックが飛んできた。
首が折れるような衝撃が奔り、俺はリングに叩きつけられた。
(まさか、コレをくらって立ち上がってくるなんて……)
カウント9で立ち上がった俺を見上げる、彼女の驚きに見開かれた目が、そう言っていた。
(このパンチはなるべく使いたくないのに……)
とでも言いたげに、悲しげに眉を潜めた彼女。
だが、次の瞬間には迷いを振り切るように凛と俺を睨み付けた。
そして、彼女が再び突進してくる。
俺はふらつく足を踏みしめ、亀のようにガードを固めて身構えた。
彼女の火を噴くような左右の連打に、ロープにもたれたままダウンを取られるまで、それから20秒もかからなかった。
立ち上がるのが精一杯で、満足なファイティングポーズも取れなかった俺が、
試合を止められずに済んだのは、レフェリーが男だったからだろう。
(まだ、立つんですか?)
ニュートラルコーナーからゆっくりと出てくる彼女の、痛ましそうな目がそう言っていた。
(これ以上、このパンチを食らったら…… 無事じゃ済まないのに)
パンチドランカー、不幸な事故。
彼女の目にうっすらと揺れる涙が、不吉な言葉を連想させる。
(なのに、どうして?)
マウスピースを噛みしめて、潤んだ瞳で問いかけてくる彼女。
俺はファイティングポーズを取りながら、今にも口から飛び出しそうなマウスピースを噛みしめて答える。
(俺は、ボクサーだから……)
グローブを軽く突き出し、握った拳を見せて、楽しそうな顔で笑って見せる。
(そして、男だから!)
腫れて塞がりかかった視線に、ありったけの思いを乗せて彼女を見つめると、
俺は最後の力を振り絞ってリング中央へダッシュした。
生涯最高の切れ味だったかもしれない。
燃え尽きる寸前の輝きのような、俺の渾身の右ストレートを、彼女は羽毛のようなヘッドスリップでかわした。
彼女の豊満な胸が揺れる。
同時に、彼女の右フックが、俺の脇腹に突き刺さっていた。
鉄球のようなヘヴィブローに、胃液がこみ上げる。
彼女の胸が柔らかそうに左右に揺れると、返しの左フックが俺のレバーに突き刺さっていた。
ああ、なるほど。
あの、大きなオッパイを利用しての、男では有り得ない、素早く大きなシフトウェイト。
これが、この超ヘヴィブローの正体か。
気づいた時には、もう足が動かなくなっていた。
棒立ちのまま、内臓を右に左に揺さぶられる。
俺は彼女の美しく揺れる胸を見つめることしかできなかった。
とてつもなく長い10秒が過ぎたころには、俺の下半身は完全に感覚をなくしていた。
ガードがだらりと垂れ下がり、無防備な顔面が彼女の前に晒される。
彼女と目が合った。
(これで、終わりよ!)
彼女の目がそう言っていた。
腕は、上がらない。
俺は、それでも耐え抜こうと、マウスピースを噛みちぎりそうなほど歯を食いしばった。
彼女の胸が一際大きく揺れると、彼女の小さく、柔らかく、重い拳が、
俺のボディに深々と突き刺ささっていた。
ははっ、もう頭は打たない、ってか
さすが女の子。お優しいね
最後の最後、手を抜き、情けをかけた彼女の拳に撃ち抜かれ、俺の体はゆっくりと前のめりに傾いていく……
倒れたら、3ノックダウン。
試合終了だ。
負けるわけにはいかない。
この試合には、かかっているものが大きすぎる。
俺一人の敗北では済まない。
ボクサーとして、8階級以上も下の相手に負けるわけにはいかない。
男子として、女子に負けるわけにはいかない!
どんなに歯を食いしばっても、もう立てない足で…… それでもダウンを拒否するために、目の前で立っているものにすがりつく。
血と汗と、そして花のような香りがして、俺は彼女にクリンチのようにしがみついていた。
彼女はなおも、俺との体の隙間に拳を滑り込ませ、ボディを叩いて突き放そうとしたが……
何かに気付いたように拳を止めると、俺の体をそっと抱きしめた。
「もういい…… もう、いいんですよ」
綺麗な声が、優しく耳元で囁く。
「貴方は、よく戦いました…… 本当に強かった。とっても、カッコよかったです」
彼女に抱きしめられると、豊満な胸の柔らかさが全身に伝わる。
俺のガードを叩き壊し、リングに沈めたとは思えない、柔らかく優しい感触だった。
俺は、よくやったのか?
ボクサーの名誉を、男の誇りを、守れたのか?
彼女の、血に塗れたグローブで優しく撫でられ、とっくに力尽きていた体から急速に意識が遠ざかっていく。
俺は彼女の胸に抱かれ、眠るように意識を失ったのだった。
柔らかい感触で、目が覚める。
「大丈夫ですか?」
優しい、心配そうな声に見上げると、柔らかそうに揺蕩う巨大な何かが二つ、俺の視界を塞いでいた。
フトモモの感触に、俺は彼女に膝枕されているのだと気づく。
「ああ…… 大丈夫だ」
気恥ずかしさに起き上がろうとしたが、体はまだ動かなかった。
「無理しないで」
そう言って、彼女は丁寧にワセリンを塗った頬の傷の上に、冷たいエンスウェルを押し付けてくれる。
自分の綺麗な顔には、まだ痣が残っているのに。
グローブを脱いだ白魚のような指は、ヒビでも入ったのか、鈍い赤に腫れていた。
……こんな細い指を拳に固めて、あんなハードパンチを繰り出したのだ。
拳が持たなくて当たり前だ。
バンテージとグローブがなければ、彼女の手は俺の骨もろとも粉々に砕けていただろう。
「負けたよ…… 強かった、お前は」
彼女のヒザに身を預け、彼女の拳を見ると、俺の口からは自然とそんな言葉が零れていた。
目からは自然と涙が零れていた。彼女は、それを隠すように俺の視界を巨乳で塞ぎながら、
「貴方も、強かったですよ…… さすが、男子です」
女の子にノックアウトされてまだ動けない俺に、そんなことを言うのだった。
リングの上にも、観客席にも、もう他に誰もいなかった。
ドクターも俺のセコンドもいない。そもそも医務室でも控室でもない。
リングの上で彼女と二人、どうしてこんなことになっているのか。
考えようとしたが、頭がぼんやりと痛んだので、俺は彼女のフトモモに身を委ねた……
「……あっ」
俺の涙から目を反らした彼女が、俺の股間に目を止めて、声を上げる。
……恥ずかしながら、彼女の爆乳を間近でたっぷり拝んだせいで、おれの股間はギンギンに勃起していた。
「うっ…… い、いや」
たまらず顔を隠そうとした俺を見下ろし、彼女は優しく微笑む。
「ごめんなさい。気がつかなくて…… そうですよね、男の人ですものね」
彼女は、自分の大きすぎる胸を腕で隠すようにして……
次の瞬間、真っ赤なブラをはらり、と俺の顔に落とした。
「ふふっ…… リングの上で、こんなこと…… なんだか、イケない試合みたい」
彼女は年相応に屈託なく…… しかし、たまらなく妖艶に微笑んだ。
「ムリしないで、痛んだら言ってくださいね」
第二試合は、さっきの第一試合なんて比べ物にならないほど無残な結果になった。
彼女の胸から繰り出される、左右のダイナマイト・フックを浴びると、
俺の鈴口はいとも簡単に大量のマウスピースを吐き出してダウンしてしまう。
3ノックダウンさせられるまで、1ラウンドどころか1分もかからなかった。
恥ずかしいまでの戦力差。
「気持ちよかったみたいですね。よかった……」
一滴残らずマウスピースを吐き出して、完全にノビてしまった俺の股間を見下ろし、彼女は聖母のような笑顔を浮かべた。
俺はこの日、体ばかりか心まで完全に彼女にノックアウトされた。
パワーとタフネスの差に任せて、急所のみを徹底的にブロック。
そしてまともにパンチを当てることを諦め、ガード自体にインパクトを合わせたジャブで、執拗に細腕を痛めつけていく。
クリーンヒットを取らなければパンチを効かせられない彼女。
どこにでも当たりさえすれば、硬く握った拳の跡を彼女の柔肌に刻み込める俺。
……それでようやく、互角の試合に持ち込めたというのは、ボクサーとしては屈辱的なことだったが。
彼女の腕にいくつもの痣が刻まれる頃には、ようやく一方的な虐殺劇がまともな試合に変わっていた。
そして、終盤。
最終ラウンドのゴングが鳴る。
ポイントでは未だ圧倒的にリードしている彼女は、痣だらけの腕を重そうに上げてファイティングポーズを取った。
ガードの上からしか叩かれていないはずなのに、顔やボディにさえ青痣が浮かんでいる。
だが、俺も無傷ではない。
彼女のパンチは確かに軽いが、スナップのキレが抜群で、俺は顔と言わずボディと言わずそこら中が醜く腫れ上がっていた。
醜いはずの俺を見て、彼女が微笑む。
試合前の挑発的な微笑みでも、試合序盤に見せた嘲笑的な笑顔でもなかった。
俺が刻み付けた、青いアイシャドーと赤い頬紅に彩られた彼女は、思わず見とれてしまうほど美しかった。
マウスピースを噛みしめて、彼女がダッシュで間合いを詰めてくる。
基本的にアウトボクシングでペースをつかんでいた彼女が見せる、初めてのインファイト。
まさか、これが彼女の本来のスタイルなのだろうか?
恐怖と、そして高揚に包まれ、俺は我知らず微笑みを浮かべながら、彼女の拳を丁寧にブロックした。
……ブロックが弾け飛んだ。
その彼女の右フックは、今までの戦いが嘘のように重かった。
よろめいた俺に、返しの左フック。
8階級以上も下の彼女の拳から、スーパーヘヴィ級のような衝撃が伝わり、両手を弾かれた俺のガードはがら空きになった。
バカな。
一体なぜ、ミニマム級どころかアトム級の彼女のパンチに、こんな重さが……
左フック。かろうじてスゥエイ。バランスが崩れる。
右フック…… と見せかけて、彼女の腰が渦を巻くようにうねり、左フックが飛んできた。
首が折れるような衝撃が奔り、俺はリングに叩きつけられた。
(まさか、コレをくらって立ち上がってくるなんて……)
カウント9で立ち上がった俺を見上げる、彼女の驚きに見開かれた目が、そう言っていた。
(このパンチはなるべく使いたくないのに……)
とでも言いたげに、悲しげに眉を潜めた彼女。
だが、次の瞬間には迷いを振り切るように凛と俺を睨み付けた。
そして、彼女が再び突進してくる。
俺はふらつく足を踏みしめ、亀のようにガードを固めて身構えた。
彼女の火を噴くような左右の連打に、ロープにもたれたままダウンを取られるまで、それから20秒もかからなかった。
立ち上がるのが精一杯で、満足なファイティングポーズも取れなかった俺が、
試合を止められずに済んだのは、レフェリーが男だったからだろう。
(まだ、立つんですか?)
ニュートラルコーナーからゆっくりと出てくる彼女の、痛ましそうな目がそう言っていた。
(これ以上、このパンチを食らったら…… 無事じゃ済まないのに)
パンチドランカー、不幸な事故。
彼女の目にうっすらと揺れる涙が、不吉な言葉を連想させる。
(なのに、どうして?)
マウスピースを噛みしめて、潤んだ瞳で問いかけてくる彼女。
俺はファイティングポーズを取りながら、今にも口から飛び出しそうなマウスピースを噛みしめて答える。
(俺は、ボクサーだから……)
グローブを軽く突き出し、握った拳を見せて、楽しそうな顔で笑って見せる。
(そして、男だから!)
腫れて塞がりかかった視線に、ありったけの思いを乗せて彼女を見つめると、
俺は最後の力を振り絞ってリング中央へダッシュした。
生涯最高の切れ味だったかもしれない。
燃え尽きる寸前の輝きのような、俺の渾身の右ストレートを、彼女は羽毛のようなヘッドスリップでかわした。
彼女の豊満な胸が揺れる。
同時に、彼女の右フックが、俺の脇腹に突き刺さっていた。
鉄球のようなヘヴィブローに、胃液がこみ上げる。
彼女の胸が柔らかそうに左右に揺れると、返しの左フックが俺のレバーに突き刺さっていた。
ああ、なるほど。
あの、大きなオッパイを利用しての、男では有り得ない、素早く大きなシフトウェイト。
これが、この超ヘヴィブローの正体か。
気づいた時には、もう足が動かなくなっていた。
棒立ちのまま、内臓を右に左に揺さぶられる。
俺は彼女の美しく揺れる胸を見つめることしかできなかった。
とてつもなく長い10秒が過ぎたころには、俺の下半身は完全に感覚をなくしていた。
ガードがだらりと垂れ下がり、無防備な顔面が彼女の前に晒される。
彼女と目が合った。
(これで、終わりよ!)
彼女の目がそう言っていた。
腕は、上がらない。
俺は、それでも耐え抜こうと、マウスピースを噛みちぎりそうなほど歯を食いしばった。
彼女の胸が一際大きく揺れると、彼女の小さく、柔らかく、重い拳が、
俺のボディに深々と突き刺ささっていた。
ははっ、もう頭は打たない、ってか
さすが女の子。お優しいね
最後の最後、手を抜き、情けをかけた彼女の拳に撃ち抜かれ、俺の体はゆっくりと前のめりに傾いていく……
倒れたら、3ノックダウン。
試合終了だ。
負けるわけにはいかない。
この試合には、かかっているものが大きすぎる。
俺一人の敗北では済まない。
ボクサーとして、8階級以上も下の相手に負けるわけにはいかない。
男子として、女子に負けるわけにはいかない!
どんなに歯を食いしばっても、もう立てない足で…… それでもダウンを拒否するために、目の前で立っているものにすがりつく。
血と汗と、そして花のような香りがして、俺は彼女にクリンチのようにしがみついていた。
彼女はなおも、俺との体の隙間に拳を滑り込ませ、ボディを叩いて突き放そうとしたが……
何かに気付いたように拳を止めると、俺の体をそっと抱きしめた。
「もういい…… もう、いいんですよ」
綺麗な声が、優しく耳元で囁く。
「貴方は、よく戦いました…… 本当に強かった。とっても、カッコよかったです」
彼女に抱きしめられると、豊満な胸の柔らかさが全身に伝わる。
俺のガードを叩き壊し、リングに沈めたとは思えない、柔らかく優しい感触だった。
俺は、よくやったのか?
ボクサーの名誉を、男の誇りを、守れたのか?
彼女の、血に塗れたグローブで優しく撫でられ、とっくに力尽きていた体から急速に意識が遠ざかっていく。
俺は彼女の胸に抱かれ、眠るように意識を失ったのだった。
柔らかい感触で、目が覚める。
「大丈夫ですか?」
優しい、心配そうな声に見上げると、柔らかそうに揺蕩う巨大な何かが二つ、俺の視界を塞いでいた。
フトモモの感触に、俺は彼女に膝枕されているのだと気づく。
「ああ…… 大丈夫だ」
気恥ずかしさに起き上がろうとしたが、体はまだ動かなかった。
「無理しないで」
そう言って、彼女は丁寧にワセリンを塗った頬の傷の上に、冷たいエンスウェルを押し付けてくれる。
自分の綺麗な顔には、まだ痣が残っているのに。
グローブを脱いだ白魚のような指は、ヒビでも入ったのか、鈍い赤に腫れていた。
……こんな細い指を拳に固めて、あんなハードパンチを繰り出したのだ。
拳が持たなくて当たり前だ。
バンテージとグローブがなければ、彼女の手は俺の骨もろとも粉々に砕けていただろう。
「負けたよ…… 強かった、お前は」
彼女のヒザに身を預け、彼女の拳を見ると、俺の口からは自然とそんな言葉が零れていた。
目からは自然と涙が零れていた。彼女は、それを隠すように俺の視界を巨乳で塞ぎながら、
「貴方も、強かったですよ…… さすが、男子です」
女の子にノックアウトされてまだ動けない俺に、そんなことを言うのだった。
リングの上にも、観客席にも、もう他に誰もいなかった。
ドクターも俺のセコンドもいない。そもそも医務室でも控室でもない。
リングの上で彼女と二人、どうしてこんなことになっているのか。
考えようとしたが、頭がぼんやりと痛んだので、俺は彼女のフトモモに身を委ねた……
「……あっ」
俺の涙から目を反らした彼女が、俺の股間に目を止めて、声を上げる。
……恥ずかしながら、彼女の爆乳を間近でたっぷり拝んだせいで、おれの股間はギンギンに勃起していた。
「うっ…… い、いや」
たまらず顔を隠そうとした俺を見下ろし、彼女は優しく微笑む。
「ごめんなさい。気がつかなくて…… そうですよね、男の人ですものね」
彼女は、自分の大きすぎる胸を腕で隠すようにして……
次の瞬間、真っ赤なブラをはらり、と俺の顔に落とした。
「ふふっ…… リングの上で、こんなこと…… なんだか、イケない試合みたい」
彼女は年相応に屈託なく…… しかし、たまらなく妖艶に微笑んだ。
「ムリしないで、痛んだら言ってくださいね」
第二試合は、さっきの第一試合なんて比べ物にならないほど無残な結果になった。
彼女の胸から繰り出される、左右のダイナマイト・フックを浴びると、
俺の鈴口はいとも簡単に大量のマウスピースを吐き出してダウンしてしまう。
3ノックダウンさせられるまで、1ラウンドどころか1分もかからなかった。
恥ずかしいまでの戦力差。
「気持ちよかったみたいですね。よかった……」
一滴残らずマウスピースを吐き出して、完全にノビてしまった俺の股間を見下ろし、彼女は聖母のような笑顔を浮かべた。
俺はこの日、体ばかりか心まで完全に彼女にノックアウトされた。
それから数年………………
男女・階級無差別のボクシングは、正式な競技として世間に認められていた。
『女子の骨格と重心に合った技術』を身に着けた少女たちは、
次々と男たちをリングに沈め、女の強さを証明した。
その、強く美しい少女たちの中でも、最高に強く美しい少女。
俺の愛する彼女は、今やヘヴィ級世界王者をリングに沈め、無差別級統一女王としてボクサーの頂点に君臨している。
若い彼女の成長についていけず、随分引き離されてしまった。
俺も、もっともっと頑張らなければ。
俺の次の試合の相手は、彼女の後輩。
彼女の話では、しなやかで長い手足と豊かで重いバストを持つ、女子選手に典型的なオールラウンダーで、RLGではそこそこスジのいい方らしい。
どちらが勝つと思う? と聞いたら、彼女は苦笑しながら、4-6で彼女の後輩が有利かな、と言った。
貴方のガッツには期待しているけど、あまり加減が得意じゃない子だから、無理だけはしないでね、と。
……彼女は俺に甘いので、実際には3-7…… いや、2-8、と言ったところだろうか。
上等だ。この程度の逆境も跳ね返せないようでは、いつまでたっても到底彼女に追いつくことはできない。
俺はもっと強くならなくては……
ランキングを13位まで女子に独占されているようでは、
あの日、『男は強い』と言ってくれた彼女に、顔向けできないじゃないか。
― 完 ―
男女・階級無差別のボクシングは、正式な競技として世間に認められていた。
『女子の骨格と重心に合った技術』を身に着けた少女たちは、
次々と男たちをリングに沈め、女の強さを証明した。
その、強く美しい少女たちの中でも、最高に強く美しい少女。
俺の愛する彼女は、今やヘヴィ級世界王者をリングに沈め、無差別級統一女王としてボクサーの頂点に君臨している。
若い彼女の成長についていけず、随分引き離されてしまった。
俺も、もっともっと頑張らなければ。
俺の次の試合の相手は、彼女の後輩。
彼女の話では、しなやかで長い手足と豊かで重いバストを持つ、女子選手に典型的なオールラウンダーで、RLGではそこそこスジのいい方らしい。
どちらが勝つと思う? と聞いたら、彼女は苦笑しながら、4-6で彼女の後輩が有利かな、と言った。
貴方のガッツには期待しているけど、あまり加減が得意じゃない子だから、無理だけはしないでね、と。
……彼女は俺に甘いので、実際には3-7…… いや、2-8、と言ったところだろうか。
上等だ。この程度の逆境も跳ね返せないようでは、いつまでたっても到底彼女に追いつくことはできない。
俺はもっと強くならなくては……
ランキングを13位まで女子に独占されているようでは、
あの日、『男は強い』と言ってくれた彼女に、顔向けできないじゃないか。
― 完 ―