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降下
- 巡航状態から最終的に目的地(空港)へ着陸するためには、適当なタイミングで降下を開始しなければなりません。高高度で巡航しているときほど、より遠くから降下を開始しなければならないのは想像が付きますが、目測だけを頼りに降りていくと、高度が高すぎることに気付いて最後に急降下するパターンに陥りがちです。一方、早めに降下しすぎてしまうと長時間の低空飛行を強いられますし、低高度では遠くから目的地を視認できなくなってしまい、アプローチへの対応が遅れてしまいます。
- しかし、適切な計算と計器の情報に基づいた操縦により、正確に降下することができます。空港周辺まで近づいたときに、滑走路へのアプローチを開始するのにちょうど良い高度になるように機体を降ろしていく訳です(実はフライト中でここが一番面白い)。計器の操作方法は航法計器、降下の計算と航法計器の活用方法は降下開始地点(降下距離),降下距離を測るにまとめていますので、ここでは操縦について説明します。
- 高高度を降下角一定で降下する際、特に注目すべき計器はFPMと速度計です。例えば、降下角3°で降りるには、FPMがHUDのピッチ角目盛り0~-5°の中間より少し下あたりを指すようにピッチ角を調整すればよいだけです。降下中はパワーを微調整しながら対気速度を一定に保ち、機体を安定させます。対気速度はキリの良い数字まで落とした方が、視覚的に速度維持しやすく、また(以下で説明する)減速タイミングも計りやすいのではないかと思います。
- FPMを使用して降下角一定で降りていく場合、昇降計が示す降下率はあまり参照する必要がありません。ちなみに降下角と対気速度が一定でも、高度が下がるほど降下率は小さくなっていきます(が気にせず対気速度と降下角を維持しましょう)。これは、高度が上がるほど、速度計が示す速度(IAS)と実際の速度(TAS)がかけ離れていくことに起因しています(こちらも参照)。
減速
- 高度10,000フィート以下の空域に入るまでに、速度を250ノット以下に減速させます。パワーを絞り、速度が落ちていくのに応じて、ピッチ角を微調整して降下角を維持します。このB737なら降下角3°であれば、減速区間は2,000フィートあれば余裕が持てるでしょう(=12,000フィートから減速開始)。300ノットからの減速なら、(12,000フィート時点の降下率から見積もって)毎秒マイナス1ノットのペースでも十分間に合います。
- もしパワーをアイドルにしても減速が間に合わないと感じたら、機首を上げて降下角を緩めたり、水平飛行したり、スポイラーを開いたりして調整します。ただし降下角を変えて減速した場合、その後の高度処理で挽回しないと、目的地付近で高度が高すぎになってしまうかもしれません。
- 滑走路へのアプローチを開始するまでに、さらに減速を行います。減速により失われていく揚力は、機首上げによって補うことになりますが、AoAが4°くらいまで増加してきたら、フラップを一段下げて(『F』キー)揚力を増加させ、AoAが過大になるのを防ぎます。これをフラップ75~100%まで繰り返しながら減速を続けます。このB737では、フラップを下げた状態でAoAが4°付近で飛行できる速度が、アプローチ~着陸速度の目安となります。傾向として、フラップを降ろしてもゆっくり飛べない機種ほど、AoAをより大きめに取って揚力を稼ぐ必要があります。
- 減速が遅れると、着陸時に慌てることになりますが、早すぎても間延びしたフライトになってしまうので、状況に応じて、ちょうど良いタイミングで減速を完了させましょう(毎秒マイナス1ノットで100ノット減速するのに約5.6マイル必要)。
最終更新:2015年12月27日 10:22