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滑走路方位へ向けた旋回が完了し、滑走路への降下角(パス角)が3°になる距離にまで近づいたら、ファイナルアプローチを開始します。ギアダウンしていること、フラップが100%展開されていることを確認します(着陸装置を降ろさないまま500フィート以下まで降下すると警報が鳴ります)。

姿勢と速度

  • 減速でも触れていますが、このB737ではAoA約4°で飛行できる速度が、進入~着陸速度の目安になるので、ピッチ角+0.5~1°くらいの姿勢で、パス角3°の降下が可能な速度を維持します。着陸速度が130ノット付近かそれよりも低くなる機種(大抵は小型機)は、着陸時のAoAは2°(ピッチ角-0.5~-1°&降下角3°)くらいに抑えた方が、姿勢は安定する傾向にあります。逆にAoA4°では160ノットを超えてしまうような機種では、AoAをより大きめ(最大10°(ピッチ角+7°&降下角3°)近く)に取って、できるだけ着陸速度を抑えながらアプローチします。
  • アプローチ中、適切なパス角を維持するために一時的に降下率を増減させるときでも、着陸速度は一定に保つようにします。降下率を大きくするときは、機首を下げると同時にパワーを落とし、降下率を小さくするときは、機首を上げると同時にパワーを上げます。降下率を増減させるために行うピッチ角の変動は、基準となる姿勢から±1°以内に収められるようになるとよいでしょう。そのためには、早めの修正操作が必要になります。
  • 速度が安定しないと、ピッチ角や降下角も安定しません。同じ機種でも燃料搭載量によって適切な着陸速度は多少変動しますが、まずは暫定的に決めた速度でアプローチを確立して、その後に少しずつ速度を増減させてみた方が機体はコントロールしやすいと思います。
  • 昇降計は、FPMと共に低空での降下で活用できます。着陸速度に対する大まかな降下率を知っておくと、そこを基準に降下率を増減させて降下角を微調整するのに役立つでしょう。

着陸速度に対する降下率(降下角3°)
速度(kt)
(TAS)
降下率
(feet/min)
90 477
100 530
110 583
120 636
130 689
140 742
150 795
160 848
170 901
180 954

ILSアプローチ

  • YSFLIGHTのデフォルト設定では、視程は良く、滑走路灯火も常時ONになっているので、少し遠くからでも目視でアプローチすることは可能です。ILSを使うにしても、(滑走路は見えているので)アプローチ中の計器に依存する割合はそれほど高くはならないと思います。しかし、滑走路灯火をOFF(飛行中なら『Ctrl』→『L』キー)にしたり、視程を低く設定したりした場合、滑走路を視認できる距離まで、純粋にILSの指示に従ってアプローチすることになります。このとき、目視とはまた違った計器飛行の操縦感覚に慣れる必要があります。とは言っても、基本的に理想の着陸コースから外れたときに行うべき修正操作(機体コントロール)の方法は同じです。計器の操作方法については、航法計器を参照してください。
  • ILS進入では、基本的にグライドスロープよりも先にローカライザーをキャプチャーするようにアプローチします。ローカライザーのコースを維持しながら水平飛行中に、上からグライドスロープ指示器のマーカーが降りてくるのを待つ感じです。そのためには、例えば2,000フィート上空から進入を開始したいのであれば、滑走路から6マイルよりも離れた地点でローカライザーをインターセプトする必要があります(高度と距離の関係については、降下開始地点(降下距離)参照)。

グライドスロープのキャプチャーを待つ

  • ローカライザーが指示する水平方向のコースをインターセプトして維持する要領は、VORのコース上を飛行するのと同じです。ただし、CDIの針の動きはVORのときよりも敏感なので、インターセプトアングルは30°以内と浅い角度で合流します。そして針が中央に近づくほど浅い角度で合流し、針が中央に来た時点で機首方位と滑走路方位が同じになるようにします(横風が吹いていない場合)。ロール(機体をバンクさせる)操作と航跡のイメージができていないと、ローカライザーを中心に蛇行してしまうかもしれません。また、分かっていても、微小なコース修正を繰り返している間は忘れてしまいがちなので注意しましょう。コースに乗ったら、バンク角と方位の微妙な変化を監視して、機体がコースから外れようとしていたら修正します。

平行移動するようにコース修正する場合、適切なタイミングでバンクの”切り返し”を行う

  • グライドスロープをキャプチャーして、マーカーが中央より少し上の位置まで降りてきたら、ギアダウン(『G』キー)とフラップを100%展開して空気抵抗の増加を利用しつつ降下を開始します(低高度・変則的な進入をするときは、操作に余裕を持たせるため、滑走路方位へ向かう前にギアダウンしておいた方がよい場合もあります)。グライドスロープの標準的なパス角は3°です。FPMと昇降計を参照しながら適切な降下パスを維持すれば、ローカライザーほど神経質に修正操作をしなくて済みます。それでも、最初から最後までマーカーを中央に維持し続けるのは難しいので、降下パスに対して中央~少し高めくらいの間に収まるように意識した方が(低めがちになるよりも)機体をコントロールしやすいかもしれません。滑走路に近づいてくると、マーカーは少しの高度変化に対しても大きな動きを見せるので、それまでに安定した降下を確立して、滑走路の接地点が見えてきた時点で、目視での着陸操作へとスムーズに移行できるようにします。

目視でのアプローチ

  • ILSを使用しないときでも、HUDを活用すれば(特に垂直コースは)楽にアプローチできます。水平コースは、トラフィックパターンでの説明通り、滑走路から伸びる軸線を意識します。垂直コースは、降下角3°でFPMと滑走路端がぴったり重なって見えていれば適切なパス角で降下していることになります。滑走路端が降下角3°のラインより上(下)にいれば”低い(高い)”と判断し、適切なパス角に合流できるよう降下率を調整します。

軸線とパス角をイメージする

フレア

  • 理想的な降下パスでは、滑走路末端の50フィート上空を通過します。その後、適切なタイミングでフレア(機首上げ操作)を掛けます。
  • フレアを掛けるタイミング(目視での対地高度)は、機種毎に覚える必要があります。なぜなら、着陸速度(降下速度),機体重量(慣性),地上からコックピットまでの高さなどは機種により様々だからです。コックピット視点がジャンボジェットのように高い機体では、目視のみでフレア開始高度を判断するのが難しくなるため、高度計の表示を目安にフレアを掛けるタイミングを計るのも良い方法かもしれません。
  • YSFLIGHTでは地面効果は再現されていないので、その分の揚力は自分の操縦で補う必要があります。

フレア開始直前

  • FPMの動きを見ながら、降下角が1°未満に減少するまでスムーズにピッチアップを行います。機首上げ操作に対する降下率の変化は、やや遅れてついてくることに留意します。この操作中は、まだエンジン出力は絞りません。

パワーアイドル直前

  • 機首上げによって降下率が減少し始めたことをFPMや昇降計で確認したら、スロットルをアイドルまで戻して、機体がタッチダウン(接地)するのを待ちます。パワーアイドルで滑空中、更に僅かずつピッチアップを繰り返してソフトな着陸を目指します。このB737なら接地時点の最終的なピッチ角は+4~5°くらいになっていると思います。対気速度の増減に応じて昇降率が大きく変化するような機種では、接地までパワーを残したままの方がスムーズに降りられるかもしれません。

タッチダウン

  • フレア開始~接地までの各種操作タイミング/速度/量は、何度も練習することで機種毎にコツを掴めるようになります。大事なのは、いつも同じ進入姿勢(降下角とピッチ角)で操作を開始することです。毎回異なった姿勢で進入しては、定型的な操作が覚えられません。

接地・減速

  • スキール音がしたら、スポイラーを全開にしてリバーサー(『.』キー(押し続ける))を掛けます。メインギア接地後は、機首を下げてノーズギアも早めに接地させるのが一般的な旅客機の着陸スタイルです。60ノット程度まで減速したらリバーサーを解除し、ブレーキ主体で減速を続けます。デフォルトのキー割り当ては、『B』キーでスポイラーとブレーキが連動してON/OFFしますが、それぞれ独立したキー配置に変更した方が、操作の自由度は増すでしょう(ジョイスティック/キー割り当て参照)。リバーサーの効きが弱い(もしくは装備されてない)機体や、短い滑走路への着陸、もしくは最寄りの誘導路までに減速を間に合わせたいときは、接地直後からスポイラーとブレーキを適宜併用します。

練習

  • YSFLIGHTには着陸練習用のメニューが用意されています(シミュレーション(S) → 着陸訓練(L))。
    • Good Visibilityで練習するときは、飛行開始直後に『Pause』キーで一時停止してからILSを設定するとよいでしょう。Good Visibility以外のレベルでは、管制付きでILSも最初から設定されていますが難易度は高めです。
    • 飛行開始時の燃料搭載量はわずかなので機体は軽く、着陸速度は通常よりやや遅めになることは留意しておきましょう。



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着陸 操縦
最終更新:2015年12月27日 10:22