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順調に飛行を続けていれば、レーダーには既に目的地(空港オブジェクトの集まり)が映っているはずです。空港へ向かう針路と滑走路方位は必ずしも一致している訳ではないので、多くの場合、滑走路に向けて回り込む必要が出てきます。ここでは基本的なアプローチ方法を紹介します。
アプローチ開始前に、
ヘディングバグもしくはNAV1の
コースセレクタの指針を着陸する滑走路の方位に合わせておきます。こうすることで、滑走路と平行・直角に飛行することが容易になります。滑走路方位は、飛行開始前に開始位置のリストで確認しておいたり、
ILSを使用する場合は識別名から分かります。滑走路方位が分からないと、一度接近・通過して目視で確認するなど手間が掛かってしまいます。計器の操作方法については、
航法計器を参照してください。
トラフィックパターン
- 基本的なアプローチ方法です。タッチアンドゴーの練習やコンパクトにアプローチしたい場合に便利です。トラフィックパターンの概念や使われる用語については他サイトを参照してもらうとして、ここでは「こうすれば大体うまく降りられる」パターンの一つを紹介します。トラフィックパターンは左旋回が基本ですが、右旋回でアプローチしたい場合、『F1』キーでコパイロット側の視点に切り替えると右側の良好な視界が得られます(対応機種のみ)。
- 滑走路からの距離約2.5マイル(レーダーやDMEで確認)、高度1,500フィート上空でダウンウィンドレグを飛行します。フラップは100%下げておきます。側方視点(『H(K)』キー)で滑走路端を通過したことを確認したら、ギアダウン(『G』キー)して降下を開始します。降下角は、着陸まで約3°が目安です。
- 1,250フィートまで降下したらベースレグへ旋回します。ベースレグに乗ったら、斜め前方視点(『U』+『H(K)』キー、ジョイスティックならPOVボタン(ハットスイッチ)の斜め上)で滑走路の位置を確認します。そして機体の進行方向および滑走路延長上に向かって伸びる仮想のライン(軸線)をイメージして、「これ以上近づくとオーバーシュートする」手前でファイナルへの旋回を開始します。その位置は機体の速度や旋回性能などによって異なりますが、思ったよりも手前から旋回しないと間に合わない印象を受けると思います。これは練習しながら掴んでみてください。
- ベースレグ/ファイナルへの旋回は、理想的なコースから外れないように、バンク角30°付近でメリハリをつけて旋回します(目標方位の7~8度手前でバンクを戻し始めるとちょうど良いくらいのロールスピード)。また、速度と降下角はできるだけ一定に保ちます。
- 軸線よりも早めにファイナルターンしきってしまいそうな場合、バンク角を緩めて機体を軸線に合わせていく操作が必要になります。このB737だと窓枠により視界が少々狭いですが、滑走路が見えた時点で必要に応じて修正を行います。状況にもよりますが、まずは15°くらいまで緩めて様子をみるとよいでしょう。
- ファイナルアプローチ開始時の高度は、既に400フィートを切っていると思います。滑走路に大分近づいているので、早めに機体を安定させて着陸します。
ILSを併用する
- トラフィックパターンの経路を飛行する場合でも、着陸する滑走路のILSを受信しておけば、グライドスロープ指示器のマーカーを確認しながら降下パスの下をくぐるまでダウンウィンドレグを水平飛行して、ファイナルに入ってから計器の指示に従って降下を開始するという方法も(現実的かどうかは別として)可能です。
航法計器を活用する
- 自機のレーダーと空港VOR, ILSを利用してアプローチすることもできます。レーダーを使うという点では、管制官がする誘導を自分で行うようなものです。VOR, ILSの使い方が身に付いたら、自然と行えるようになっているかもしれません。
- ここでは、短距離フライトを例に実践してみます。フィールド『TOHOKU』, 開始位置『MATSUSHIMA_RW25_01』で、目的地は『SENDAI_RW27』とします。
- 飛行開始したら、離陸前に航法計器の設定をします。まず『3』キーでレーダーを表示させます。11時方向、25マイルくらい離れた地点が目的地の空港です。飛行ルートはVOR SENDAI コース220とします。VORの受信にはNAV2を使用して、NAV1はILS用にスタンバイ(着陸滑走路の方位270をセット)しておきます。もう少し空港に近づくとILSを受信できるようになるので、STATIONリスト(STATION FOR NAV1)も表示しておきましょう。
- 離陸後、上昇しながらVOR SENDAI コース220をインターセプトします。巡航高度3,000フィート、巡航速度180ノット、フラップは25%下げのままでよいでしょう。
VOR SENDAI コース220(レーダー上のコースはイメージ)
- ほどなくして、STATIONリストからILS SENDAI RW27を選択できるようになるので、NAV1で受信します。
- このままコース220を飛行し続けても滑走路方位に正対しないので、DME 10マイルを目安に方位180に左旋回してベースレグへ入ります。同時にパワーをアイドルにして降下・減速を開始します。
NAV1でILSを受信/直線コース(紫)とアプローチコース(水色)
- 方位180で降下中にギアダウン&フルフラップとし、高度1,000フィートを目標に降下を続けます。レーダーを見て、滑走路方位に近づいてきたことを確認したら、現在の方位から45~60度右旋回してローカライザーをインターセプトします。
- このとき、NAV2のOBSコースも滑走路方位と同じ270に指定しておけば、(NAV1がILSのローカライザーをキャプチャーするよりも前に)CDIの動きを見ながらターンを行えます。空港VORのコースを滑走路方位に合わせる方法は、ILSが設置されていない空港へのアプローチにおいても役に立ちます。
- ローカライザーとグライドスロープをキャプチャーしたら、その指示に従ってファイナルアプローチを開始します。
- 今回は、主に水平経路のアプローチに焦点を当てて説明しましたが、高度処理については、降下開始地点(降下距離),降下距離を測るを参照してください。
最終更新:2015年12月27日 11:14