概要
リッドゾーンの戦いとは、
蜉蝣時代の戦乱の中で、
アルファ694年9月、
ベルザフィリス国軍と
アル国軍の間に起きた戦いである。
それまでも、建国以降ギリギリの綱渡りの様な戦いを繰り広げてきた
ルーディアが、自身が指揮官として望む戦いでは、生涯ではじめて完敗を喫することとなる戦いである。
戦闘に至るまでの背景
▲694年2月における勢力図
両軍の戦力
戦闘経緯
フィッツがとった作戦は、わざと負けて相手を引き込み殲滅するというごく初歩の戦法であったが、それを実現させるために擁した努力は並大抵のものではなかった。
まず初戦では砦の東にある湖に軍勢を密かに移動させ水攻めの準備をするが、
ルーディアに看破され、待ち伏せされて撃退される。
続いて、
ザッツ砦の戦いでも敗戦、撤退しながら陣を敷きなおし迎撃しようとするが、これも
ガイヴェルドによって撃退されている。
こうして、少しずつ
ルーディアを誘い込む
フィッツ。
ルーディアも
ガイヴェルドも優れた将であり、相手の誘き出し作戦にかかるほどあさはかではない。
しかし
フィッツは、
ルーディアの将としての実力も才能もすべて調べ尽くし、「あと一歩のところで取り逃がした、次は逃がさない」というギリギリのラインを攻め、相手にこれは罠ではなく真実の勝利だと信じ込ませて深入りさせていく。
並の将なら芝居ではなく本当に全滅させられる様な戦局から、
フィッツは軍勢を最低限の損害で見事に後退させて
ルーディアを誘い込み、ついに反撃の時を迎えた。
ルーディア自身が、「倒せそうなのにいつもあと一歩で逃げられている」ことの違和感に気付き、
フィッツの策の可能性を考え、一旦軍勢を撤退させようとしたその瞬間、
フィッツの夜襲による総攻撃が始まった。
密かに呼び寄せていた猪突を好む
ラミア、
バドン、そして
レガードを従わせた
フィッツ自身の軍勢が三方向から同時に攻撃を仕掛け、狭い街道で完全に包囲された
ベルザフィリス国軍は逃げ道を失い、統率もなくなり大混乱に陥る。
ベルザフィリス国軍は、一晩で三分の一の兵力を失い、
アルシェも囚われる。
ラミアと
メリアの性格を熟知して、前半戦の忍耐と精神力を必要とする「わざと負ける戦い」には召集せず、後半の破壊力を存分に発揮できる殲滅戦に投入したのは、
フィッツの人事の妙であった。
そして、奇襲・夜襲で大軍を打ち破る事を得意としていた
独眼竜ルーディアが、もう一人の
独眼竜フィッツが謀った夜襲によって完膚なきまでに叩かれた戦いであった。
夜の川に馬ごと落ちた
ルーディアだが、奇跡的に一命を取り留めていた。
彼女は、この地に隠れ住んでいた
レイラという少女に救われ、看護を受けていた。
レイラの親は
アル国の内政官であったが、暴君
ザグルスに諫言した為処刑され、彼女は追っ手から逃れるためこの地に1人で隠れ住んでいた。
ルーディアは、一つの決意を固めると、自らの居場所に
ベルザフィリス国軍本陣の旗を立てた。
「敵が先にこの旗を見つければ死を、味方が先に見つければ生を」と言い放ち、策もなく自らの運のすべてをここに賭けたのだ。
そして数刻後、
ルーディアの前に姿を現した軍勢は、
ガイヴェルドが敗残軍をまとめて再編した味方のものであった。
自らの運がまだ尽きていない事を知った
ルーディアは、急ぎ軍勢をまとめると本国へと撤退していく。
戦いの結末
ルーディアは、
カルディスの様に常勝を誇りとするタイプではなく、敗戦から学び、前回の戦いより強くなるタイプの将である。
この戦いでも、勝ちすぎることの危険を学んだ彼女は、11月9日に諸将の前で今回の敗戦の責任は自らの驕りにあったと自分自身を戦犯者とし、その髪を切ろうとしたが、
グレシアに説得されこの戦いは戦犯者なしとして記録されることとなった。
これより、しばらく
ベルザフィリス国は、攻撃ではなく防衛に徹することとなるが、
アル、
バルド、
シャリアル三国が、連合軍を組むことなくそれぞれ各個に動いたこともあり、派遣された各将が各地で戦果をあげ、国境を越えてきた軍勢を撃退し、
ベルザフィリス国軍は少しずつ盛り返していた。
最終更新:2024年08月11日 22:07