概要

リーズライディの戦いとは、アルファ1741年、ヴァン・フレイ国とクレアティボ国の間で行われた戦いである。
両国と、それに関わる数多くの国を巻き込んだ覇権争奪戦であると同時に、ヴァン・フレイ国はダルスバード艦隊、クレアティボ国は神座であるガウデバ人魔融合を成し遂げたベルバットという、それまで存在すら知られていなかった常識を覆す存在が同時に投入された戦いである。


戦闘に至るまでの背景


青色=ヴァン・フレイ国の提案によって結成されたアルファにおける六界連合軍となる同盟諸国。
赤色=クレアティボ国を中心とした同盟諸国。
黄色=明確に中立を宣言した国。

世界は混沌の時代から、ヴァン・フレイクレアティボという巨大な二つの勢力に色分けた次の段階へと移りつつあった。
クレアティボ国は、ヴァン・フレイ国を中心とした連合結成(六界連合軍結成への布石だが、この時点ではクレアティボ国は六界の存在を知らない)に露骨に反抗の意志を示していた。

リルムの命令により、クレアティボ国はドーク・ドーン国へ、ノールッチ国はオルサス国へ、ローザ国はフェローラ国へ同時に侵攻を開始、勢力の拡大を行った。
フェローラドーク・ドーン両国からの救援要請を受けたヴァン・フレイ国は、個々の戦場に援軍を送るより、今回の派兵の根本となるクレアティボ国を叩くことで、他二国の侵攻を断念させ、同時にそれぞれの連合の盟主同士の直接対決によるこの世界の支配権を決める決戦を決意、近隣の連合諸国を率いて出陣した。

ヴァン・フレイ国には、アーズ国の援助により完成した切り札、空駆ける船ダルスバードがあったが、クレアティボ国にも神座であるガウデバ、そして戦乱を求めて自ら仕官してきた人魔融合を完成させたベルバットという切り札を密かに用意していた。


両軍の戦力

攻撃側 守備側

ヴァン・フレイ国軍
軍勢
クレアティボ国軍
総兵力84000 兵力 総兵力72000
ガラ 総指揮 ヴェスパー
フローラ 軍師
主要参戦者

ガラ

ミュー

ラン

ゴトラス

ティアナ

ヴェスパー

フランツィスカ

マーノ

ベルバット

ガウデバ

ジュディス

サヌア

レイア

ロリスザード

シーナ

リーザス

グラーバル

フローラ

ローザ

マルキィ

ミッドガルツ


戦闘経緯


連戦に継ぐ連戦ながら、ガライザラアリアス国、フェローラ国といった隣接諸国を完全に従えたヴァン・フレイ国は、それまで国境に配置していた兵力を中央に集めることができた為、この決戦に主力部隊を存分に投入することができた。
更にクレアティボの軍勢が、というより、アルファに存在するあらゆる軍勢が、見たこともないダルスバード空中艦隊が海上に姿を現し、驚きの表情を見せるクレアティボ国艦隊に一斉砲火を浴びせる。
反撃を試みるクレアティボ艦隊だが、自分達の攻撃が届かない範囲から一方的に砲火を浴びて次々と艦は沈んでいく。
しかし、ダルスバード艦隊が消費する魔力は想像以上に大きく、まだ空中艦隊の運営に慣れていないこともあり、すぐに魔力を使い果たしてしまい、ヴァン・フレイ国艦隊も一時後退する。


一方、地上戦においても激しい戦いが行われ、マーノベルバットが前線にてヴァン・フレイ国軍を食い止めるが、ダルスバード艦隊の脅威は地上戦の視界にもはっきりと映り、兵士達は動揺、ろくに戦わずにリーズライディ城へと後退する。
最前線で敵を防ぐはずだったフランツィスカも、輸送艦隊が壊滅的打撃を受けている光景を目にして、ガウデバを海中に沈められてはすべての計画が無に帰すと、早々に前線より離脱して輸送艦隊の撤退を優先させる。

この戦いで、縦横無尽の働きを見せたグラーバルは、そのまま追撃に移ろうとしたが、あまりにもすばやい撤退に罠の存在を警戒したミッドガルツが停止を進言、そのため、結果論ではあるが、クレアティボ国軍は、初日でリーズライディが落城し、壊滅してもおかしくなかった最悪の事態を免れた。

ヴァン・フレイ国軍は、リーズライディを三日に及んで包囲していたが、これはダルスバード艦隊の魔力補充の時間稼ぎであった。
リーズライディは貿易都市であり、なるべく無傷で手に入れたかったこともあり、艦隊による直接攻撃は避けたかった。
そこで、城壁のみを艦隊で攻撃し、敵軍の士気を挫いた上で攻略することとなった。
だが、城内においてはダルスバード艦隊の脅威に対抗するべく、フランツィスカが、総指揮官ヴェスパーを差し置いて、ガウデバの投入を決意。


前回の戦いとは違い、ダルスバード艦隊の接近を待ち受けていたクレアティボ国軍。
城壁に設置したカタパルトからワイヤーのついた巨大な銛を打ち込み、ワイヤーを使って艦内に爆薬を流し込んで爆発させる作戦で、艦隊を動揺させる。
艦隊の魔力補充に要した三日間は、クレアティボ国軍に艦隊迎撃の準備期間を許してしまったこととなる。
ダルスバード艦隊は火を噴きながら一旦後退し、やむを得ず地上部隊が本来の城壁攻めを開始することとなる。だが、それを待ち構えていたクレアティボ国軍は、ついに切り札である神座ガウデバを解き放つ。

「まるで、おとぎ話に出てくる破壊神………」

今度は、ヴァン・フレイ国軍の兵士が、見たこともない存在に驚愕し、恐怖する番であった。
桁違いの炎を放つガウデバは、まさに破壊を司る者として戦場を混乱に陥れ、そこにベルバットが出陣、人魔融合を成し遂げたベルバットの苛烈な攻撃が更なる恐怖を与え、ヴァン・フレイ国軍は混乱状態となる。

この僅か数時間の戦いで、ミューベルバットに討たれて戦死、ゴトラスも、かつての部下だったフランツィスカによって戦死。
だが、クレアティボ国も決して一方的な勝利ではなく、ヴァン・フレイ国軍を追撃していたマーノグラーバルの騎馬部隊が蹂躙、マーノを討ち取る。
更に、人魔融合の無尽蔵に湧き出る力に、体のほうがついてこられなくなったベルバットが一時撤退、クレアティボ国軍も、予想外のヴァン・フレイ国軍の抵抗により一時後退する。

ヴァン・フレイ国軍は、一時撤退も考えたが、フローラアゼルは、この戦いは単なる両国の戦いではなく、その背後に背負った六界連合軍結成に繋がる戦いであり、ここで撤退すれば諸国の連合が結成されても、ヴァン・フレイ国頼りにならずと勝手な行動をとる。だからこそ、この戦いはここで決着をつけるべきと主張した。

大きく後退したダルスバード艦隊との連絡はとれなかったが、クレアティボ国軍が先に攻撃を仕掛けてくれば、あの破壊神の存在に兵士が浮き足立つ為、どうしてもヴァン・フレイ国軍から攻め込まなければならなかった。そう考えた総指揮官ガラは、夜明けと同時に全軍を四方に別けて、リーズライディを東西南北から同時攻撃、ガウデバがどこから出現しても、残り三方向がリーズライディを陥落させるという作戦をとった。

翌日、四方に別れて一斉攻撃をしかけるヴァン・フレイ国軍だが、城壁に固定されていると思われたガウデバが、自ら動いてきたことに兵士達は再び戸惑いはじめる。
兵士を奮い立たせるべく、総指揮官であるガラ自らが前線に出て果敢に戦うが、巨大すぎる破壊神の前に散華する。
総指揮官戦死を隠したまま、フローラは全軍にリーズライディ陥落を命令、両軍は統率のない混戦状態となる。

そんな中、それまで「寝ぼけ」状態だったガウデバが完全に覚醒、今まで自分に命令し続けていたフランツィスカを握りつぶして暴走を始める。
だが、サヌアロリスザードが、後に伝説として語り継がれる剣技を見せてガウデバを撃ち破り、更に前日の撃退によって音信不通となっていたダルスバード艦隊が戦場に帰還、主砲でガウデバを完全に破壊する。

ガウデバの崩壊を合図に、クレアティボ国軍は敗走、リーズライディは陥落した。


戦いの結末

この決戦の敗北により、クレアティボ国王女リルムは停戦を決意、ヴァン・フレイ国に降伏の使者を送った。
だが、それが「一時の眠り」にすぎなかった事が、数年後明らかになる。
また、クレアティボ国の敗北により、ローザ国、ノールッチ国も撤退を決意、後に北の魔女と南の魔女による決戦と呼ばれた戦いはこうして終わりを遂げ、アルファヴァン・フレイ国を中心に、とりあえずのまとまりと力関係が確立、諸国を説得してルーイガルドに向けて六界連合軍を派遣することとなる。

なお、この戦いの少し前にクレアティボ国はアストリア国を併合している。
アストリア国首脳は当然独立を要求、ヴァン・フレイ国にも協力を要請したが、「リーズライディの戦いが開戦された時点でのクレアティボ国領を一国として考える」と言われ、後ろ盾を得ることはできなかった。
これは、ルーイガルド侵攻作戦が控えていたこともあり、なるべくクレアティボ国の要求を呑んで、多少譲歩しても素早く休戦協定を結びたかった思惑があったためであるが、この時アストリア国の復旧に協力していれば、後のジョルディアの戦いは起こらなかったのでは、との意見もある。

最終更新:2024年07月31日 01:43