登場人物メモ
WEB原作ベースの登場人物メモ。名称の後ろに”*”のあるものは重複。
”ダブルコーテーション”内は原作より引用。()内はWEB版出典話数です。
- [アウグステ・ヴォー・エストビルグ]
- 初出46話。 アナリゼの実母。ローテン=リンゲン大公女にしてエストビルグ王ゲルギュ5世の正妃。アナリゼによき縁談があるように徹底的な教育を施した。四十間近。夫ゲルギュ5世より一回り程度は若い。女性的な卵形の柔らかい輪郭の中に適切な配置を与えられた両の瞳は青く、目尻のかすかな浮き上がりが女の明確な自我を物語る。細く繊細な鼻と唇。ある種潔癖とさえ感じられる空気を纏う。結い上げられた明るい茶色の髪(75)。
- [アナリース・ヴォー・エストビルグ]
- 初出9話。 エストビルグ国王ゲルギュ5世と正妃アウグステの長女であり、アウグステの産んだただ一人の子。16歳。ライトブラウンの髪、鳶色の瞳。マンガとかによく居る高校の真面目な委員長風。サンテネリ・エストビルグ両国の和解のため、多分に政略的な理由でぼくと婚姻を結ぶ。結婚を機に名前をサンテネリ風の読み、アナリゼに変更。18歳の結婚式ではぎこちない笑顔、手を握られた際は鳥肌を立てた。細身の伸びやかな肢体は母から、鳶色の瞳と屹立する鼻梁は父から受け継いだのであろうとマルセルの感想(75)。
- [アナリゼの教育係]
- 初出46話。 女官。貴婦人にふさわしい立ち居振る舞いと舞踊、洗練された食事作法などの礼儀作法を教える。文字の読み書きや簡易的な算術、そして正教典の読解については選び抜かれた正統派の正教僧が行った。
- [アニェス・エン・アキアヌ]
- 初出93話。 内務卿アキアヌ公エランの正妻子、ピエルの孫娘。深い黒髪、美しい睫毛に彩られた大きな瞳は髪の黒よりも幾分薄い。比較的大ぶりの、しかし上品な曲線を描く口は見るものに強い印象を与える瞳と対を成し、権高さと紙一重の凛とした存在感を纏っている。19歳。大改革の結果としてグロワス14世が国外脱出したため、彼と結ばれることはなかった。
- [アブラム・ブラーグ]
- 初出3話。 凄腕の時計職人。ギョロリとした黒目。張り出した額と大きな瞳が独特の存在感。仕事の話が始まるとその巨大な瞳は猛禽類のように急に焦点を結ぶ。(73)。少し小柄な壮年の男性。100年前の正教正統派による聖句派追放のあおりで帝国より移住してきた多くの時計職人が国外退去したが、再びサンテネリに戻ってきた少数の職人の一人。グロワス13世の子供達に一本ずつ手製の時計を製作している(101)。
- [アルバ公爵]
- 初出28話。 アングラン首相。議会の最大党派を率いる領袖であり、アングラン諸島北部に領地をもつ大諸侯。ニコチン中毒気味。アナリゼの失言をネタにサンテネリにしかけたが不発。古く硬直していたサンテネリの最近の変化を王によるものとして懸念する。長く政権を担った勤王派、”大アルバ”(88)。政権交代を機に政界を引退。
- [アントワン・ブラーグ]
- 初出97話。 アブラムの息子。プロザンへ出張している。
- [アンリ]
- 初出107話。 バロワ侯爵。メアリ妃の同母兄。デルロワズ公退任後、軍務副卿として軍の実権を握る。シュトロワ条約締結後、アキアヌ大公ピエルが首相を、デルロワズ公ジャンが軍務卿職を辞した。数ヶ月の空位の後に首相の座はフロイスブル侯爵バルデル(旧家宰マルセル次男)が占めた。軍務卿は空位のまま、副卿バロワ侯爵アンリ(メアリ妃同母兄)が実権を握る
- [イレン教区大僧卿]
- 初出21話。 イレン教区の首座を占める。レムル半島でに正教会を治める僧王の一つ下の位階であり、宗教界のほぼ頂点。老練な一種の政治家。
- [ヴァランティナ・エン・デルロワズ]
- 初出93話。 メアリの同母妹、ルイーゼの娘。デルロワズ公ジャンの側妻子。バルデルの見立てではとても物静かな、気性穏やかな人物とのことだが、ロベルはとても明るい、太陽のような方と評価した。ロベルと結婚。
- [ヴァンサン・エネ・エン・バロワ]
- 初出70話。 王妃メアリの父。バロワ家当主。グロワス12世時に?指揮経験のある将軍(83)。元近衛総監。国軍との統合後は身を引き、軍務卿デルロワズ公配下で国家親衛隊司令官を務める。メアリのほかに明らかになっている子供はルイーゼ、アンリ。先王時代から対エストビルグの戦で活躍した歴戦の武人。デルロワズ家による国軍掌握に対するバランスとして侯爵に昇叙し元帥に任命された。グロワス13世の調整。孫娘メリア王女14歳時に死去。
- [エラン]
- 初出84話。 アキアヌ大公の長子。父の補佐役として関係各所を飛び回り、王も頻繁に顔を合わせている。グロワス13世からは父親に似ぬ実直さと褒められた。付帯法院で活躍するレスパンに苦渋を飲まされている。
- [エリクス・ポルタ]
- 初出41話。 登場時50代。サンテネリ最高学府グロワス9世校の常設人文学講座教授。レスパンの師。南部の地主の三男として生まれ、幼時から抜群の言語能力と記憶力をみせる。父の計らいでレムル半島のビズ大学法学部に留学。法学士号を取得後は半島の諸都市の人文学常設講座を巡り、処女作『道徳の起源について』を上梓。45歳の時に発表した大著『人文学の基礎としての理性の探究』において中央大陸全土の思想界を文字通り席巻した。学生たちへの指導の経験を生かしたわかりやすいたとえ話は社交界でも人気を博す。”彼の周囲には一切、女の影がなかった。”
- [オーブル子爵]
- 初出76話。 グロワス7世のブルテ公国征服時に軍伯として立てられた貴族。左足を引きずった大柄な、五十がらみの壮年の男。王と王妃の結婚1周年を祝う夜会で泥酔し、ブルテ公に絡み剣を抜いた。グロワス12世時代にエストビルグとの戦闘を経験している。
- [オテル1世(15期)]
- 初出73話。 エストビルグ国王。もとは蛮地と呼ばれた大陸東部の公国国王であったが、正教新暦1453年、”正教の威光のもと諸王を束ねる権威を与えられた人界の君主が領する地”の皇帝に選出され、エストビルグ朝帝国を創始する。
- [オルリオ公]
- 初出36話。 グロワス13世の母マルグリテの弟。グロワス13世の叔父。”「小太り」から”小”を取るべきかどうか、見る人が迷う程度には肥え”た男性、薄い金髪の男性。大きな野心を持たない人物に見えたが、エストビルグの調略によってコンディ公らを抱き込み大回廊の勅命の否認に動いた。ちゃっかりアナリゼを狙うひひ爺。
- [カーテム伯爵]
- 初出88話。 アルバ公爵の政権運営を舌鋒鋭く批判してきた独立派の若き領袖。勤王派アルバ公爵に代わり首相の座につく。三王同盟の破壊と新大陸植民地における完全な覇権の確立を政策に掲げる。前者はプロザンの取り込みによって、後者は現地植民地民兵の侵攻によって達成。二重戦争の最初の二年、首相カーテム伯爵と独立派内閣の威勢は絶頂を極めたが、二重戦争の良好な経過を受けて内閣が決定したサンテネリ本土への侵攻の失敗により窮地に立たされる。”「そのような建前はいい! なんだね、要求は。え?」”
- [外務副官の一人]
- 初出104話。 回心後の王の会議での振る舞いを見てこの人なんにもしてないじゃん・・・って思って同僚に手紙を書いた。”「偉大なる国王陛下が臣下に下賜されるものは、この世で最も大切でありながら最も元手のかからぬもの。時間である」”
- [ガイユール若公]
- 初出99話。 ゾフィの弟。14歳の娘がいる。
- [学監]
- 初出80話。 グロワス9世校校長。禿。”「恐れながら! 陛下、この者は!」”
- [ガストン・シャントル]
- 初出2話。 30代。金髪。国民議会代表の一人。銀行家の長男で金髪。仕事ができそうなイケイケ風。
- [カミユ・エン・アキアヌ]
- 初出42話。 アキアヌ大公妃。40弱。豊かな銀髪を大きく結い上げている。客人をもてなす機会が多く、ベテランの女主人。従来のアキアヌ家傍流の姫。帝国語にも堪能。アキアヌ公との夜会に同伴したアナリゼをホストした。
- [カルル・ヴォー・バダン]
- 初出26話。 バダン宮中伯。帝国大使。アナリゼの結婚を機にサンテネリ駐在となったエストビルグ宮廷の大物。政治における実務の要の一人、サンテネリでいう内務卿的立場。見た目は人の良さそうな五十代くらいのおじさん。グロワス13世をプロザンのフライシュ3世より与しやすいとみて帝国内におけるサンテネリ和約を進めた。ぼくのことは「遊びを楽しむ賢しげな子ども」と評価(28)。
- [カレル]
- 初出51話。 フライシュ3世の従僕。イーザン大聖堂でぼくとフライシュ王に蒸留酒入りの水筒を持ってきた。
- [グレイス]
- 初出109話。 旧アングラン中核州の一つアルバニス代表議員。連邦王国軍北部方面司令官?。連邦共和国第二代枢密院主催者。グロワス14世の印象を記した手記を残す。
- [クレメンス・エネ・エン・プルヴィユ]
- 初出13話。 内務卿のおじさん。流通、インフラ、文教環境、地方行政、警察(なかでも秘密警察)を管轄する。東部シュトー地方の軍伯に出自を持つプルヴィユ子爵家当主。細身の長身で頬がこけた40代後半。インテリやくざの雰囲気。ぼくに「高性能な地雷除去装置」と呼ばれた。グロワス13世の”回心”前はアキアヌ派閥に近づいていた模様。
- [グロワス11世]
- 初出41話。 建築様式にその名を遺す。
- [グロワス12世]
- 初出57話。 帝国やアングランと争いながら新大陸領土を拡大した。(57)長く子に恵まれなかったことから四人の側妃を娶る。正妃マリエンヌとの子グロワスを厳しく育てた。渇病に侵された死の間際、子グロワスを自らの子ではないと罵ったと伝わる。(102)
- [グロワス12世の側妃たち]
- 初出21話。 4人(102)。正妃マリエンヌとの仲は良好であったが、ぼくの憑依前のグロワス13世の勘気を懸念して自発的に光の宮殿を退去。
- [グロワス13世(歴史)*]
- 初出4話。 ”サンテネリ国王(在位1712?1735)。父グロワス12世の死去に伴い即位。アキアヌ大公を首班とする枢密院の主催者として二重戦争を開始。在位中に顕著となった王権の失墜は、のちの大改革(レフォルマシオン・グロー)の一因となった。”(101)
- [グロワス13世(幼年期)*]
- 初出102話。 10歳で父親グロワス12世に引き渡されるまでは内向的で庭いじりを趣味とする男の子であったが、10歳以降、父親の元で苛烈なしつけを受ける過程で変質、過激な言動が目立つようになる。一方で正教への厚い信仰を見せた。彼の出自を疑う声からの影響も考えられる。
- [グロワス13世(正教新暦1716年2月15日以降)*]
- 初出61話。 弱者の演説後5日間自室に引きこもり近侍たちを心配させたのちの変貌した王。確かな足取り、震えのない手、穏やかな振る舞いはかつての彼の姿のように見えるが、ブラウネは彼が何か大切なものを失った、あるいは彼から「欲」が消えたように感じている。深まった目の下の隈を両手でもみほぐし、こめかみを親指で押し込む癖がついた。正教新暦1735年5月、枢密院会議を終え、執務室に戻った王は突如意識を失った(93)。正教新暦1735年8月21日薨去(100)。グロワス13世が世を去った1735年以降に彼に対し否定的な情報が爆発的な増大を見せる。(102)
- [グロワス13世(憑依前人格)*]
- 初出4話。 熱狂的懐古主義の20歳。短く刈り込んだ白に近い金髪、翠の瞳(54)。髭を綺麗に剃っている。甘いものが好きだが食べ方が汚い。宗教に熱狂し、軍拡や身分制度の強化により古き良き社会秩序の復古を目指す。フライシュ3世と親交が深く、個人的な手紙のやりとりもしていた。
- [グロワス王太子*]
- 初出84話。 グロワス・エネ・エン・ルロワ。小グロワス。両親の特徴を程よく受け継いだ外見。母からは深い栗色の髪を、父からは翠色の瞳を受け継いだ。異母姉メアリ・アンヌと並べば頭一つ低いとは言え、年齢の割には大柄。人並みの知性と好奇心に加え、人見知りしない明るい性格。この世界では異端の父親の教育方針により、”歳相応の域を少しだけ超えた向こう見ずな感性”を備えている。父の死により17歳にしてグロワス14世として即位。
- [グロワス14世*]
- 初出108話。 グロワス13世とアナリゼ妃の息子。小グロワス。1735年、17歳で即位し枢密院主催者を受け継ぐ。13世死去の直前に首相に返り咲いたアキアヌ大公の元に3年間修業したのち親政。アキアヌ大公の引退後フロイスブル侯爵バルデルを首相に指名し、王兄ジェント大公ロベルを旗頭とするルロワ譜代首魁を閣僚に登用。1740年「国民の会議に関する枢密院令」を発。国民会設立を承認。大改革によりシュトロワを脱出後、一時エストビルグに滞在するも「王位復帰宣言」に反発、新大陸へ出奔。1745年、新大陸に上陸し旧サンテネリ植民諸州で歓迎を受ける。機能としての王、職業としての王の立場を表明。同年8月、連邦共和国暫定首都フィーリアスに開催の連邦会議において連邦王国への変更が決議された結果、1745年9月20日グロワス1世として即位。独立戦争各地の戦場で先陣を切ったが、サラスの戦いにて没。
- [グロワス7世]
- 初出4話。 大王と呼ばれるサンテネリ王国中興の祖。グロワス13世の憧れとみられた人物。
- [グロワス9世]
- 初出79話。 短い在位期間をこれといった業績を残すことなく終えた。彼が唯一残したサンテネリ最古の大学、グロワス9世校には彼の胸像が多数並ぶ。
- [グロワス皇太子(9期)]
- 初出39話。 900年前の人物。ユニウス、そして彼が率いる黒針鼠部隊のマリーと共にガイユール公領を征した。
- [ゲルギュ5世]
- 初出13話。 エストビルグ王。40代後半。アナリースの父親。側妃の子。隣国プロザンとシュバル公領をめぐって小競り合いを続けているが、サンテネリの動向を気にして決定打を打てなかった。面長。鼻梁は高く目元に深い皴。肩まで伸ばした茶の髪は齢相応に分量が少なくなりつつある。立派な顎髭(75)。
- [子犬さん]
- 初出47話。 ゾフィの依頼をうけてメアリが作った毛糸のぬいぐるみ。ロワ家の黒犬に継ぐ、メアリのぬいぐるみ第二作。金色の毛並みを持つ垂れ耳の犬をかたどっており、彼女の両手にすっぽり収まる大きさ。
- [コンディ公]
- 初出36話。 ルロワ軍伯。遙か昔にルロワ家から別れた遠い親族諸侯。確たる家職を持たない、歴史は古いが存在感は薄い家の一つ。当代は齢七十に近いこともあり半隠居状態。貴族会の議長を務めている。大回廊の勅命の承認を拒否した。
- [ザヴィエ・エネ・エン・ガイユール]
- 初出2話。 サンテネリ北西部に超巨大な家領を持つガイユール家の長。白銀のオールバック、頬から顎にかけて白髪交じりの髭を伸ばしたナイスミドル。最近の趣味は狩猟。グロワス13世に手綱をつける必要を感じていたが、彼の変節後ぼくに惹かれていく娘に複雑な思いを抱く。
- [ザラ(21期)]
- 初出110話。 ガリアール出版の編集者。メリア(21期)の友人。
- [侍従]
- 初出2話。 侍従長メリーズ子爵?(102)。深いバリトンボイス。威厳マックスなおじさん。ぼくの大判布をしめてくれる。幼年期からグロワス13世を見守った
- [シモン・エネ・エン・モンブリエ]
- 初出2話。 50代半ばを過ぎた少し太めのおじさん。サンテネリ王国財務監にして中西部の軍伯。名前・付称・貴族称・領地名。シモン(名前)・エネ(当主)・エン(治める)・モンブリエ(地域)。レムル半島の大学で学んだインテリのキャリア官僚風。ぼくの婚姻費用の捻出に始まり、いつも財政的問題に頭を悩ます。
- [ジャン(9期)]
- 初出70話。 9期、マルグリテ女王の時代のデルロワズ公子。当時の王太子はグロワス。
- [ジャン・エネ・エン・デルロワズ]
- 初出20話。 急逝した先代の後を継ぎデルロワズ家の当主になったイケメン。陸軍副卿。メアリと婚姻を結び勢力強化をもくろむ。陸軍副卿に据え置かれることに強い不満を持っていたが、陸海統合軍元帥の立場をちらつかされてぼくに従った。元海軍卿の退役後、サンテネリ国軍総司令官に就任(33)。枢密院体制下での役職は軍務卿(36)。長身で適度に鍛え上げられた逆三角形の上半身。黒髪を七三で流して固めた彫りの深い顔立ち。顎周りには贅肉の欠片もない精悍さ。彫りが深い顔立ちに黒曜石のような瞳。丸の内の商社に勤める若手サラリーマンイメージ。国軍総司令官の彼は15年掛け旧来の貴族主導の無秩序な連隊を整理。
- [ジュール・エン・レスパン*]
- 初出41話。 とびきりの美少年。女性と見まごうばかりの薄く繊細な口元。官能的に通った鼻筋。そして細く長い手足。まだ幼さを残す茶色の瞳。アキアヌ公領内に領地を持つ子爵家の四男でただ一人側妻の子。幼少時から抜群の記憶力を見せた。8歳時に母を失い、16歳で軍籍となるも乱闘騒ぎを起こし1年で放逐。シュトロワに流れ着き、貴族らしからぬ学問の道に足を踏み入れた。グロワス9世校ではエリクス・ポルタの指導を受ける。卒業後は弁護士を予定。正教新暦1716年の学位認定式典における王への献辞奉納者。ブルノー・ボスカルとドローテからはジューと呼ばれている(77)。道端に死体の積みあがる旧市に住み、付近の子どもに勉強を教えてトラブルを起こしていたが、ごろつき警官を追い払ったことで住民の信頼を得た。彼を貴族と思って警官が引き下がったことについて本人は不満に思っている。大学卒業後、シュトロワの貴族会付帯法院にて行われた貴族と平民の訴訟で平民側代訴人を務めた彼は勝利、一躍時の人となるが、件の貴族の恨みを買いリーユへ左遷。シュトロワに戻るまで10年余りを過ごす。
- [ジュール・レスパン上級判事*]
- 初出88話。 女性と見まごう繊細な美貌はその面影を残しつつも、骨張った顎筋と眉の直下に収まる黒い瞳が成熟した男性の頼もしさを主張する。リーユ左遷から舞い戻ったレスパンの職。シュトロワの付帯法院の上級判事。レスパン家からの遺産相続を拒否し、若い頃の彼であれば侮蔑と共にはね除けたであろう、”顧客”からの”贈り物”を受け取って生活している。枢密院勅令審査による遅延工作のため政府より命を狙われていた。王の説得を受け正教新暦1731年8月、貴族会付帯法院判事職を辞してリーユ経由カレスの港からアングランに亡命(91)。グロワス13世の死後サンテネリに帰還し、国民会改革派を率いる。1750年王党派極右青年により暗殺。レスパン遺稿を残しグロワス13世再評価の契機となる(101)。
- [ジュール・レスパンの母]
- 初出65話。 レスパン男爵家の侍女。館に奉公する平民の中で最も容姿が整っていた。妊娠を機に側妻となる。望まれていた女児を得るため3度の流産を経て死亡。当時8歳のジュールにと母は平民であったがために酷使され使いつぶされたという強烈な印象を残す。
- [シュトゥビルグ王国王子]
- 初出46話。 14歳になったアナリゼが引き合わされた将来の夫候補たちの一人。アナリゼよりも1歳下の優しそうな内気で小太りな少年。皇女との対面に気後れしているのか、少し硬質な、か細い声で挨拶をしていた。アウグステのお眼鏡にはかなわなかった模様。
- [セリーヌ]
- 初出99話。 ガイユール若公の娘。14歳。正妃子のガイユール大公女。祖父ザヴィエは小グロワスとの縁談を望んでいるが、王太子の基盤が2大外様に支えられていることが明白になる一方、ロベルとの縁談を進めた場合、軍事と経済の結びつきは王太子の勢力に危機感を与えかねないとして困難な状況となった。
- [ゾフィ・エン・ガイユール]
- 初出2話。 14歳。公爵家長女。緩やかにうねる濃い濃茶の髪。ぼくより頭一つ小さい程度の小柄。彫りの深い顔立ち。天真爛漫で元気がいい。物おじしない性格で、流行が大好き。
- [ゾフィの愛馬]
- 初出39話。 茶色い毛並みの、大人しくてとても可愛い子。
- [ゾフィの母]
- 初出7話。 ガイユール大公妃。”??殿方って、本当に単純なこと。”
- [ゾフィ付きの侍女]
- 初出66話。 昔からゾフィに付いているガイユール家臣の娘。”「ガイユール公爵様。ゾフィ妃様がお待ちでいらっしゃいます。??とてもお元気で、ちょっとそわそわしていらっしゃいますよ」”
- [デルロワズ公の本妻]
- 初出70話。 中部に領地を持つラブル侯爵家の娘。フロイスブル家同様、国政の中心たる家宰職を占めた譜代の名門貴族。ルイーゼ曰く”とても控えめで落ち着いた淑女”。
- [ドゥアルヌ公夫人]
- 初出102話。 幼少期のグロワス13世を10歳まで養育した、高い地位とそれに伴う教養を備えた女性。彼女の残した日記によれば、”グロワス少年は「想像の翼逞しく」「繊細な心根と深く内省を求める思慮」を備えていた”という。
- [トラフォード子爵]
- 初出28話。 アングラン首相アルバ公爵の秘書官。30過ぎ。海運業で身を立て準男爵号を買った商人の次男。 名前の初出は88話。
- [ドリー婦人]
- 初出65話。 ジュールの日ごろの世話をしている年配女性。レスパン家の元侍女であり、未亡人として独り暮らしていたところを実家の手配で送られてきた。”雪の王”がもたらした厳寒に体調を崩し、そのまま回復せず、学位授与式の一月ほど前に死亡(80)。
- [ドローテ・フロール]
- 初出77話。 ボスカルの恋人。フロールの店を両親と切り盛りする看板娘。18歳? くすんだ金髪に包まれた愛嬌のある丸顔。張りのある声と、押しの強い笑顔。男好きのする身体。仕事中は髪を結い編み上げている。レスパンの恐れ知らずな振る舞いが自分たちにも悪影響を及ぼさないか心配気味。
- [パール・ジャンヴィル]
- 初出54話。 整った容姿によりサンテネリ王の御者の大任を仰せつかった中流平民。王が自分の名前を憶えていることに衝撃を受けた。
- [バルデル・エン・フロイスブル]
- 初出68話。 ブラウネの弟。短く刈り込んだ赤みの強い金髪、黒い瞳。父と異なり綺麗にそり上げた髭。緋色の上着。背はグロワス王よりも少し低く、ブラウネと同じくらいで男性としては小柄だが、活力がある。初登場時19歳。グロワス13世から父親譲りの実直さと評される(84)。兄ロジェの急逝によりバルデル・エネ・エン・フロイスブル侯爵となり、バロワ家の家宰にして枢密院の宮廷大臣の地位を占めた(87)。王子ロベルが担ぎやすい神輿になることを危惧し、忠誠の対象と定めた(90)。二重戦争後アキアヌ公ピエル辞任により空席となった首相の座を姉ブラウネの強い後押しを受けて獲得(93)。ロベルを玉座につけようとの意図を持つ。死に瀕した王の強い意志により3年の期限付きで首相の座をアキアヌ老太公ピエルに譲る(94)。” ??私がお守りせねばならぬ。(90)”
- [ピエル・エネ・エン・アキアヌ]
- 初出12話。 アキアヌ大公。30代後半のアキアヌ公領の当主。ルロワ家が断絶した場合、王位請求権の第一となる。開明的な思想の持ち主、平民の護り手と呼ばれているがどこかうさんくさい。もとは筋肉質な体形だったようだが、中年太りが本格化しお腹がぽこりと出てきた。大規模農場を推進し収益をあげている。枢密院への王権委任後は王国の僕を自称(86)。二重戦争後引責辞任(93)に追い込まれるが、王の依頼を受けて小グロワスが成人するまで3年の期限付きで首相に再任(94)。
- [フェリシア・エン・フロイスブル侯爵夫人]
- 初出15話。 ブラウネの継母。フロイスブル侯爵の側妻。男爵家の娘。正妻の侍女にして親友。負けん気の強い性格。正妻の推薦をうけ側妻となった。亡きお嬢様の忘れ形見としてブラウネに愛を注ぐ。複数の男児あり。ぼくの結婚直後、純真なアナリゼをカバーするべく女官長に就任(26)。ゾフィよりも小柄(66)。”正妃アナリゼを優雅に・母国から切り離すこと。同時に、サンテネリ国内の様々な悪意から彼女を断固として守ること(73)”を求められた。マルセルの死を切っ掛けに職を辞した(84)。
- [フライシュ=ヴォーダン・ヴォー・プロザン*]
- 初出53話。 父からはヴォーダンと呼ばれる正妃腹のプロザン王太子。18歳。父譲りの栗色の髪をサンテネリ風に短く刈り、同じく父譲りの、父より少し小さい青い瞳。少し角張った顎と細く屹立した鼻梁を持つ(54)。のちのフライシュ=ヴォーダン2世。
- [フライシュ=ヴォーダン2世*]
- 初出83話。 フライシュ3世の死去に伴い後を襲ったプロザンの新王。サンテネリを脅威に感じた彼はアングランとの密約に同意し、帝国内シュトゥビルグ王国への侵攻と同時にアングランとの協商条約を締結。三王同盟脱退時には側近に何度となく「あのグロワス王とやれるのか?」と尋ねている。(104)
- [フライシュ3世]
- 初出9話。 プロザン国王。40代。身長170程度。弱小国を一代にして国際政治の中心的プレイヤーにのし上げた英君。数十度の戦場に自ら赴き、領土を倍近くまで広げてきた。洗練された徴兵制度と練兵システム、最新の装備で国威を高めている。ぼくの即位の三年程前、ゲルギュ5世の正統性の嫌疑を口実にエストビルグ内シュバル公領を軍事占領した。”王の周囲は言葉の海”と呼ばれるほどのおしゃべり好き(54)。完璧主義者で、みごとなサンテネリ語と筆跡を誇る。グロワス13世と文通を交わしていた。強くカールの掛かった栗色の長髪、鋭い眼光の持ち主。右頬の中心辺りに流れ弾によるほぼ水平の長い切り傷があり、右耳も失っている。壊滅寸前の部隊に留まり大砲を撃つ旗を持って突っ込む、勝利後は一兵卒と肩を組んで酒を酌み交わすなど、戦場の逸話には事欠かない。意外にも負け戦に強いタイプ。熱心な正教信者、中でも「聖句典派」と呼ばれる、教会を介さず聖句典から直接啓示を得ようと試みる一派の信仰を持っている。正教新暦1726年に死去。
- [フライシュ4世]
- 初出109話。 プロザン国王。フライシュ=ヴォーダン王の息子。マルグリテの夫。1748年、サンテネリ共和国と講和し祖国戦争から離脱。側妃を持たなかった。
- [ブラウネ・エン・フロイスブル]
- 初出2話。 サンテネリ王国宰相を司る侯爵家の長女。グロワス13世より2歳年上の思慮深く冷静な姫。碧眼。赤みの強い金髪を大きく編んで胸元に垂らしている。実はお酒好き。その胸囲は豊満。(秘書課三沢さん似)正教新暦1716年9月懐妊(81)。
- [ブラウネ・フロイスブル(21期)]
- 初出110話。 メリア(21期)の娘。奔放気味な恋を母に心配されている。
- [ブルテ公]
- 初出76話。 ブルテ公国の主。泥酔して剣を抜いたオーブル子爵を説得しようとしていた金髪の小柄な青年。
- [ブルノー・ボスカル(第二部第二章)*]
- 初出88話。 正式な妻とは別にドローテとも結婚。娘を設けている(88)。シュトロワ法院を追い出され、リーユに流れたジュールのためにリーユの有力者に顔を繋ぎ、立ち居振る舞いを教え、”上手くやる”術を身につけさせた。(88)
- [ブルノー・ボスカル*]
- 初出77話。 シュトロワで食料品の卸売業を営むブルノー商会の3男。法学士。学業面では目立ったところはないが、明るく素直でコミュニケーション能力に優れ、ジュール・レスパンの親友に納まった。レスパンよりも3歳年上の丸い短?。深い茶の髪をいつも丁寧に梳くしけずり、いかにも富裕市民の子弟といった風体。枢密院の雪の王対策を評価していた。恋人のドローテからはブルーと呼ばれている(78)。第19期から20期にかけての研究により”大組織者(オルガトゥールグロー)”の名を不動のものとし、歴史家は当然として社会工学や政治学の専門家達にとっても研究対象でありつづけている。
- [ブルノーの長兄]
- 初出88話。 ボスカル商会の代表として枢密院参与に任じられている。ブルノーに王女マルグリテの輿入れによるプロザンとの手打ちの情報を渡した。
- [フレデール]
- 初出96話。 メゾ・ブシュオン店主。
- [フローリア・エン・ルロワ]
- 初出85話。 ブラウネの娘。「サンテネリの娘」。ブラウネの末子。サンテネリの娘。物静かな少女。母譲りの赤みを帯びた金髪、そして純度の高い蒼眸の持ち主。マルグリテの影響で衣装に興味がある。祖国戦争終結のための第二次シュトロワ条約の結果アングラン王に嫁ぎ、アングラン国母となる。
- [ペテル・ヴォー・ワイゼンベル]
- 初出74話。 帝国大管長ワイゼンベル公。齢60を優に超え、真っ白な髪も薄くなった老人。にもかかわらず立派な上背と豊富な肉付きの体が存在感を示す。サンテネリ語は流暢ではない。グロワス13世の推進する三国和約に対して、違約国への懲罰規定の明記を求めたが、マルセルが提案した子女の婚姻による保障で手を打った。
- [ベルノー・エネ・エン・トゥルーム]
- 初出29話。 サンテネリ外務卿。旧エストビルグ駐在大使。家領はサンテネリ南西部アキアヌ家領の南部に位置。元はアキアヌ公家を牽制する軍伯として封建された譜代家。数代前に伯爵から一つ登り侯爵となった。外見も雰囲気も(バダン宮中伯と同じく)職場にいそうなあか抜けないおじさん。仕事ぶりは真面目で基本的にお堅い。冗談を言ったりもしない。ただ、部下の面倒見はそこそこいい。仕事と家庭にしか興味がない雰囲気が大人としての安心感みたいなものを感じさせる。
- [ポール・オー・ヴェストフィールト]
- 初出42話。 駐サンテネリアングラン大使。190センチ以上の細身で、堂々たる老木の趣。サンテネリ語はもちろん、帝国語も使いこなす。アングラン語の「オー」はサンテネリの「エン」意味する領地の付号であり、”ヴェストフィールト地方を領有する家のポールさん”。男爵。アングラン議会の最大野党を率いる実力者で、首相たるアルバ公爵とは互いに認め合う政敵。
- [ぼく]
- 初出1話。 地場の造園業3代目若社長。私文出身でインテリ気味。メンタルがだいぶあれで物理的に飛んだ結果、サンテネリ王国国王に憑依転生。以降グロワス国王13世として振る舞い、市民革命抜きの共和制移行を果たす。4人の妃と子供たちに恵まれるも40代で没。身長大体175センチ。
- [ぼくの両親]
- 初出21話。 東京の結構有名な大学を出て、そこで出会った都会のお嬢さんと恋に落ちた。お嬢さんもインテリ。理屈っぽい性格をしている。母とぼくの祖母の関係は良くない。
- [マリー・エネ・エン・バロワ(9期)]
- 初出10話。 バロワ家の始祖。ユニウスの幼馴染みにして第一の部下。平民の出自と考えられている。マルグリテ女王麾下に黒針鼠の初代指揮官を務める。ユニウス死後は女王の親衛隊を指揮し、後にバロワの地に封じられた。一説にはユニウスの愛人と言われる。
- [マリエンヌ・エン・ルロワ]
- 初出21話。 グロワス12世の正妃にしてぼくの母后。40代半ば。忠実な正教徒。旧姓オルリオ。オルリオ家の次女。ぼくと同じ金髪をゆるやかに流した少しふくよかな美人。ゆったりした、穏やかな感じの人物。母皇としての確かな振る舞いにぼくは敬意を抱いている。”プロ正妃”
- [マルグリテ・エン・ルロワ]
- 初出86話。 ゾフィの初子。「サンテネリの娘」。闊達な性格。11歳時は被服に夢中。二重戦争の結果、同い年のプロザン王太子フライシュに輿入れ。3男2女を産む(109)。
- [マルグリテの弟]
- 初出87話。 ゾフィの長男。マルグリテ7歳の際、5歳の誕生日を待たずに亡くなった。
- [マルグリテ女王(9期)]
- 初出9話。 ルロワ朝初期の名君。シュトールエンルロワ旧城の広間に飾られた『女王戴冠』のモチーフ。第9期半ばに即位した。サンテネリの完全な統一に加え、レムル半島まで配下に治めたと言われる(実際は数都市を一時的に奪取したのみ)(57)。ルロワ家嫡流最後の王。生涯結婚せず、子も残さなかったため、傍流の親王家に王位が移り、現在までその血を繋いでいる。翡翠色の目。ガイユール公領を屈服させ帝国を撃退、独立諸侯の大粛正を行い、現在のサンテネリ王国の基礎を築いた。近衛軍の原型と黒針鼠を率いて殺戮を繰り返す際の彼女の笑顔から、「微笑女王」とかいう二つ名がある。
- [マルセル・エネ・エン・フロイスブル]
- 初出4話。 フロイスブル侯爵。ルロワ家宰。ブラウネの父。短く刈りこんだ赤毛、頬はそりあげて鼻下と顎に髭を残す。ごく平均的な五十代の男。ブラウネに似た優し気な瞳の持ち主。次男。兄の早世により側妻の子ながら意図せず家督を継いだ。グロワス13世をいさめたため逆鱗に触れ失脚していたが、1モード(完全に自分のせいなので本気で謝る)で謝罪したぼくワス13世により復職。陸海軍の縮小と改革、近衛軍の段階的な解体等、大きな財政改革を進める。ぼくが特に信用する人物。ぼくの結婚とブラウネの側妃内定を機に引退。長子ロジェの急死後、後を追うようにこの世を去った。
- [マルセル・フロイスブル(21期)]
- 初出110話。 メリア(21期)の夫。サンテネリ有数の名門貴族フロイスブル家の嫡子。早起きが苦手な妻の代わりに朝食を作ってくれる。
- [メアリ=アンヌ・エン・ルロワ]
- 初出60話。 王女メリア。国王グロワス13世の第一子。父譲りの白みがかった金髪(83)。グロワス13世が女児の名は母が付ける慣習を固持したため、母メアリが名付けた。自身の名であると同時にバロワ家始祖マリーに遡るメアリと夫の母たる母后マリエンヌにあやかったアンヌより。姉弟の中ではメリア姉さん(エネ・メリア)と呼ばれ、本人も長女を自覚していた。ゾフィを疑似的な姉として慕い、彼女の姿勢、新しくあること、知ること、作ることに強い影響を受ける。バロワ領への里帰りの際は母メアリが着用した近衛軍服を纏い、ガイユール様式をリバイバルさせた。思春期には父グロワス13世を嫌悪する振る舞いを見せる。二重戦争中の正教新暦1731年、軍学校に入隊(83)。軍学校を卒業後、国家親衛軍近衛連隊、つまり母の実家バロワ領に勤務(95)。18期中葉のサンテネリを震撼させた一連の動乱において、国家親衛軍近衛連隊司令官ルロワ少将として大きな役割を果たす(92)。「「シュトロワ城下の会談」にてレスパンの説得を受ける(108)。
- [メアリ・エン・バロワ]
- 初出6話。 バロワ伯爵令嬢(24歳)。サンテネリ近衛軍総監の娘。ボブよりは少し長く肩の下辺りまでで切りそろえた、金髪中分け。瞳は翠色。しっかり女性的な体系。バリキャリ系。兄、弟、妹がいる。グロワス13世の元で軍功を望んだが女として退けられた。側妃となり、ぼくの初めての子を妊娠(59)。正教新暦1716年10月2日、グロワス13世の初子である女児を出産。慣例を破り、王と王妃の私的な関係を含んだ新聞号外が市中に配られた(82)。娘を産んで2年後男児を産んだが、虚弱ゆえに2歳の誕生日を迎えることなくこの世を去っている。原因として当時30歳だった母体の影響が指摘されている(83)。
- [メアリの妹*]
- 初出23話。 メアリの同母妹。ルイーゼを参照。
- [メリア(21期)*]
- 初出60話。 サンテネリ小等学校第5期の平凡な学力の生徒。工員の父と看護婦の母を持つ労働者階級の少女。秋には進学か就職かを決める全国知検が控えてナーバス気味。郊外の住宅地に住み、両親の仕事の都合でシュトロワ中心部には行ったことがなかった。幼い頃買ってもらった物語絵本で読んでから、なんとなくメアリ=アンヌ王女のことが好き。全国知検で高得点を叩き出したことから学問の道へ進む。成人後マルセルと結婚、メリア・フロイスブルとなる。
- [メリア・フロイスブル(21期)*]
- 初出110話。 学者・研究者。サンテネリ初の女性軍人であり政治家であるメアリ・アンヌ・エン・ルロワを研究。在学中、レスパン遺稿に記録されたグロワス13世の献辞捧呈式挨拶を読み、歴史学に人生をささげる決意をする。サンテネリ有数の名門貴族家フロイスブル家の嫡子マルセルと結婚。娘ブラウネを授かる。早起きが苦手。
- [ユニウス・エン・デルロワズ]
- 初出19話。 900年程前の人物。思想家。デルロワズ公子・王国大元帥(106)。マルグリテ女王に仕えた初代ブラウネの真の主。マルグリテ女王に反旗を翻し刑死したと伝えられるが、ユニウスの死後、女王が彼の部下を引き立てたことから真相は別にあると考えられる。近衛バロワ家初代もユニウスの部下である。時代背景に則さない、降ってわいたような開明思想を持っていた。
- [ラース]
- 初出101話。 16期、サンテネリ王国を中心に、中央大陸諸王侯・貴族の伝記集『諸王国の記録』を記したサンテネリの人文学者。サンテネリひいては大陸の歴史を、正教の神がその存在を人を通じて現世に現す過程とみなし、神の御裾の元、この世にその意思を実現する人間という構図で彼が描いた「流れ」は後の歴史学に大きな影響を与えた。
- [リシャル]
- 初出95話。 メアリの子。メアリ・アンヌの2歳下の弟。一歳で死去。王が瀉血を反対したことにメアリは不信を捨てきれなかった。
- [ルイーゼ*]
- 初出69話。 メアリの同母妹。明るく社交的で、女性であること、美しくあることを誇る性格。王の暗殺未遂をうけてメアリが自殺を図った際、最初に異変に気付き姉の救助を命じる。国軍と近衛軍の一体化をもくろみたぼくがデルロワズ公爵との婚姻を進めた際、自身の話かと思い違いしたメアリは絶望、誤解が解けたのちとても怒った。結果としてぼくからのプロポーズとなる。新暦1715年? デルロワズ公と結婚。夫ジャンが正妻を省みず、側妻ルイーゼとばかり親しくすることを不安に感じて姉メアリに相談(70)。
- [レスパン男爵]
- 初出65話。 ジュールレスパンの父。アキアヌ公領内の小貴族。
- [ロジェ・エン・フロイスブル]
- 初出68話。 ブラウネの弟。バルデルの兄。フロイスブル屋敷訪問時はモンフェルにて家領の差配をしていて不在。早世した(87)。
- [ロベル]
- 初出85話。 ロベル・エン・ルロワ。ブラウネの長子。青い瞳。寡黙な性格。一歳違いの異母弟グロワスと容姿・性格ともに対極。深みのある金髪と青い瞳は、グロワスの茶髪翠眼と比していくらか父に似ている。口数少なく控えめな性格も父譲り。実は甘いものがあまり好きではない(90)。身長が父より幾分高く、目が母ゆずりの青であるところ以外、まさにメアリが若い頃に見た“グロワス王子“そのもの(95)。二重戦争で獲得した低地地方南部の都市ジェントを中心とした名ばかりの所領を与えられ、大公爵となる予定(95)。 祖国戦争終了後、弟グロワス14世の出奔を受け空位となった玉座を受け継ぐ。即位後はロベル3世。
- [ロベル3世]
- 初出108話。 復古王。グロワス13世とブラウネ妃の息子。ロベル。グロワス14世の兄。祖国戦争時いまだジェント大公であったが国民会に参加。親族ルロワ譜代閥を抑え、姻戚デルロワズ公家を使い軍を制御下に置く。平民議員とアキアヌ閥貴族議員を中核とする”改革派”と手を結び、戦時下のサンテネリの分断を防いだ。復古王。グロワス13世とブラウネ妃の息子。グロワス14世の兄。祖国戦争時いまだジェント大公であったが国民会に参加。親族ルロワ譜代閥を抑え、姻戚デルロワズ公家を使い軍を制御下に置く。平民議員とアキアヌ閥貴族議員を中核とする”改革派”と手を結び、戦時下のサンテネリの分断を防いだ。1期共和制を経て枢密院主催となり、1770年の王権移譲によりサンテネリを完全なる共和制へ落着させることで父の願いを遂げた。最後の枢密院主催者。
- [海軍卿グリルエン侯爵]
- 初出5話。 グロワス13世によりもたらされた「海軍の再建と新領土獲得再チャレンジ」をうのみにし海軍縮小に反発していたが、陸軍卿就任をちらつかされて黙った。「グリルエン侯爵」名の開示は実に102話。
- [元鋳物職人の負傷兵]
- 初出55話。 三十台半ば。分厚い、頑強そうな肌と太い眉が印象的な男。勇者の宮殿で徽章をつけようとするぼくに恨み言を囁きかけた。
- [故フロイスブル侯爵夫人]
- 初出15話。 ブラウネの母。譜代伯爵家の出身。身体が弱く出産の折りに命を落とした。
- [初代ブラウネ]
- 初出19話。 フロイスブル家初代。女性。マルグリテ女王に仕えた。家訓”勇者の元で槍を振るえ”を残している。
- [女性]
- 初出14話。 メアリをつれてピクニックをしていたぼくを短刀で襲った。新大陸の戦争で息子を失い、家業は軍の支払いの度重なる延期により破産。屋根裏部屋で女中をしながらぼくの殺害の機会を待っていた。取り調べ中の「事故」により死亡。
- [召使いの少女]
- 初出46話。 幼少のアナリゼが仲良くしていた年若い召使い。アナリゼが食卓で彼女に手を振ったことを教育係に見とがめられて失職。
- [総務の小林さん(24・女)]
- 初出3話。 地元企業のお嬢さん。廊下とかですれ違うと明るく話しかけてくる。秘書課の三沢さんと超絶仲が悪い。※書籍版では”微妙に仲が悪い”に変更。
- [総務部長の吉永さん(48・男)]
- 初出2話。 ぼくが頼りにしていた。
- [駐サンテネリ王国帝国大使]
- 初出13話。 ぼくとアナリース皇女の婚約によるサンテネリとエストビルグの歴史的和解のしるしとしてアナリース皇女の姿絵を持ってきた。バダンの着任に伴い彼の元で大使副官となる(28)。
- [秘書の三沢さん(25・女)]
- 初出2話。 見た目はほんわか風だが生真面目でシャキッとしている。
- [秘書課の佐々木さん(26・女)]
- 初出2話。 三沢さんと仲があまりよくない。
- [踊り子たち]
- 初出42話。 アキアヌ大公の家飲みの際に登場。多分劇場の大スター。恐らく女の子達の誰かが大公の愛人。挨拶されたブラウネはにこやかにうなずくだけだった。