ローマ字化(ろーまじか) 英Romanization, 仏romanisation,独Romanisierung
『言語学大辞典術語』
ローマ字(Roman alphabet)以外の文字が行なわれている国で,その言語をローマ字で転写することをいう.たとえば,現在の日本では,漢字と仮名が使われているが,ときにローマ字で日本語を写すことがある.一方では,国字運動として日本語をローマ字で書こうという主張があるほか,特に欧米の言語で物を書く場合,日本語の固有名詞などをローマ字にする必要が絶えず起こってくる.
ローマ字(Roman alphabet)以外の文字が行なわれている国で,その言語をローマ字で転写することをいう.たとえば,現在の日本では,漢字と仮名が使われているが,ときにローマ字で日本語を写すことがある.一方では,国字運動として日本語をローマ字で書こうという主張があるほか,特に欧米の言語で物を書く場合,日本語の固有名詞などをローマ字にする必要が絶えず起こってくる.
現在は,日本のようにまだローマ字以外の固有の文字を使用している国はいくつかある.しかし,近代化の進むに従って,もとは固有の文字を使っていた所で,その固有の文字を捨てて,正式にローマ字を採用した国もある.トルコ共和国などはその一例である.昔はイスラム教を信奉していたので,アラビア文字を用いていたが,近代化に際してローマ字に改めた.このローマ字化は,古いイスラム世界から新しい欧米文化への転換を意味する.一方,ヴェトナムでは古くは漢字を使用していたが,今ではヴェトナム語に適応した独特のローマ字を採用している.これを,チュー・クオック・グー*(chũ' Quõc ngũ,字・国語)と称する.これは,ヴェトナムの漢字文化圏離脱を象徴している.文字は文化と深く関わりをもつものであるから,ローマ字化は文化の革新を表わすということができる.ローマ字はアルファベットの一種であるから,その表音性が文字として効率が高いという実用的な便益があるが,それとともに,欧米文化を基調とする近代文化の優越性が考えられる.