CF (Conversion Factor) のページ
自分の研究に使えそうな各種CFのメモ。
α_OXについては、Rigby et al. (2009)の Section 3あたりにまとまっているので、いつか読むことにする。
AGN光度
From Marconi et al. (2004), Rigby et al. (2009)
X線光度とAGN bolometric光度のうち、だいたい5-40%ほどを占めると言われている (e.g., Ward et al.1987) が、その割合はAGN光度や降着率に依存することが知られている。が、簡単のために、X線光度に定数をかけてbolometric光度とする研究もたくさん存在してしまっているのが現状である。
AGNのバンド間のCFと、intrinsic AGN光度のCF (=いわゆるbolometric correction)
f(14-195 keV) / f(2-10 keV) = 2.67 for Swift/BAT
f(20-100 keV) / f(2-10 keV) = 1.74 for BeppoSAX/PDS
f(17-60 keV) / f(2-10 keV) = 1.34 for INTEGRAL/IBIS
また、2-10 keV光度をintrinsic AGN光度に変換する式は
log(L / Lsun) = 0.03776 [log(L_2-10 / Lsun)]^2 + 0.5340 log(L_2-10 / Lsun) + 2.276
その他にも、簡単なconversion factorは多数存在するが、Ho (2008) のSection 5.10には、
L(bol) = 220 L(Hα)
L(bol) = 83 L(2-10 keV)
L(bol) = 28 L(2-10 keV)
L(bol) =15.8 L(2-10 keV)
という関係式が載っている。Ho et al. (2008)では、bolometric correctionについては、X線の情報が手に入る限り、X線の光度およびフラックスから行うのが良いと主張している。
また、可視光域の連続光も、大半はAGNのdiskからの放射が寄与していると思われており、bolometric correctionについては、
L(bol) = 7 L(5100A)
というのがよく使われる(例えば、Schweitzer et al. 2008)。
他にAGN bolometric luminosityとの相関関係としては、[OIV] 25.89umとの関係が知られている。
log L(bol) = log L[OIV] +3.4 +/- 0.4 (Rigby et al. 2009)
BLR
BLRは定義から考えると1型AGNでのみ観測が可能である。近傍Seyfertの典型的なBLRの輝線としてはHα, Hβが知られているが、これらの平均的なEWは
EW_Hα = 400 Å (Smith et al. 2002)
EW_Hβ = 80 Å (Young et al. 1997)
が知られている。AGNの統一モデルを信じて、1型と2型AGNの中心に違いがないとするのであれば、これらの関係は(隠されて見えないが) 2型AGNでも適用できると仮定してもよい。
Covering factor
covering factorとAGN光度は逆相関の関係にあることが、観測的に知られている。
covering factor ~ -0.226 * logLx + 10.342 (Hasinger et al. 2008)
covering factor ~ 0.8*exp(-Lx/Lc) + 0.2(1-exp(-Lx/Lc)) (Burlon et al. 2011)
covering factor ~ 1/(1+Lopt^0.414) (Maiolino et al. 2007)
Covering factorとLxの関係を図示したものは、
ここにおいてある。
また、この関係以外にも、covering factorとAGN光度には逆相関があることを示しているものとして、Hao et al. (2005), Simpson 2005 (両方とも[OIII]光度をAGN光度の指標としている)や、Ichikawa et al. (2012b) (hard X-rayをAGN光度の指標としている。)がある。また、 radio-loud AGNに対しても同様の関係が得られており、詳細はHill et al. (1996), Simpson & Rawlings (2000), Grimes et al. (2004)を参照のこと。これらの結果が得られているのが、receding torus model (Lawrence 1991) が現在まで強く指示されている所以である。
最近では、10keV以上の硬X線全天カタログが充実してきており、低光度側 (Lx~1e41erg/s) まで含めたobscuring fractionが求められてきている。 Beckmann et al. (2009) や Burlon et al. (2011) によると、1e42-1e43 erg/s あたりをピークにして、obscuring fractionは高光度側で下がり続ける。これはさきほど述べたreceding torus modelを指示する結果そのものだが、一方で低光度側でも、obscuring fractionは減少を続ける。これらはBallantyne (2014) では、
obscuring fraction = 0.1 (logL - 40)^3 exp(-0.32(logL-41)^2)
の関数で表現できると報告されている。
α_OX (可視とX線の光度比)
X線と可視光の光度比については様々な議論があるが、可視光線が吸収に弱いこと、X線も強い吸収には弱いことを考えると、なかなかに変換は難しい。
Tananbaum et al. (1979)には、以下の変換係数が載っている。
α_OX = -0.384 log[ L(2 keV) / L(2500A)]
だいたい、QSOの場合は、1.2 < α_OX < 1.8程度になる。また、α_OXに関してよく知られている
相関関係として、
α_OX ∝ L(UV)^{-β}
という関係がある。つまり、明るいAGNほど、α_OXが小さい、つまり、相対的にX線光度が小さいことが知られている(Just et al. 2007; Steffen et al. 2006)。
Black Hole Accretion Rate (BHAR)
中心ブラックホールへの質量降着率は観測的には、
dotM=0.15*(ε/0.1)(22.4Lx/1e45ergs^-1) Msun/yr
ここで、Lxは2-10 keVにおける光度 (Chen et al. 2013)。
星生成率
Kennicutt (1998) に様々な物理量から星生成率を求める変換式が載っている。以下、論文に出会うたびにまとめた星生成率一覧。
Radio
そもそも星生成銀河では、遠赤外線と電波(~GHz)に非常に強い相関があることが知られていた (Condon 1992)。この関係は、当初近傍宇宙においてのみ確認されていたが、現在はz ~ 1.3 の遠方宇宙においても同様の関係があり、宇宙の歴史において普遍的な関係のようである (Garrett 2002)。この2つのバンドにおいて、トレースしているエネルギー源は少し異なり、遠赤外線は、恒星の紫外線によってダストが温められ、その再放射が遠赤外線でピークを迎え、それをトレースしているのに対し、電波は、超新星爆発等により加速された電子由来のシンクロトロン放射をトレースしていると考えられている (Helou 1985)。これら2つのうち、電波により求められる星生成率 (SFR) は、
SFR = L(1.4 GHz) / (4.0 × 1. 0 e28) Msun /yr
となる(Kennicutt 1998)。ただし、ここでのL(1.4 GHz)の単位は erg/s/Hz。
IR
赤外線が星生成の何をトレースしているかは上記で説明した通り。星生成率は、
SFR = L(FIR) / (2.2 × 1. 0 e43) Msun /yr
となる。また、赤外線には多数のcoronal lineがあり、多くのものが星生成のtracerとして使われている。例えば、[Ne II] 12.81 um輝線はその代表例で、
SFR (Msun / yr) = 8.9e-8 L(NeII) / Lsun (Diamond-Stanic & Rieke 2012)
の関係が報告されている。それ以外にも、赤外線領域には多数の
PAH輝線があり、それぞれ赤外線光度と以下の関係がある。
これらから、赤外線光度と星生成率の関係をはしごして、星生成率が求まる。
X-ray
星生成銀河は、X線をまったく出していないわけではない。High Mass X-ray Binaryや超新星残骸、そして銀河風などからX線を放出している。特に軟X線(0.5-2 keV)領域では、超新星残骸、およびHigh Mass X-ray Binaryからの寄与が大きく(Pereira-Santaella et al. 2011)、硬X線(2-10 keV)領域では、High Mass X-ray Binaryからの寄与が主となる。これらの数はもちろん星生成率に大きく依存するだろうから、星生成銀河のX線光度が、星生成率のtracerになる可能性は十分にある。このような議論はSunyaev et al. (1978)で見られるように、1970年代にはすでに理論的には予言されていた。その後、Einstein衛星が活躍するようになって、赤外線や電波とX線光度に相関があることを示す論文が出始めた(Griffiths & Padovani 1990)。現在では2-10 keVという比較的硬X線の領域でも星生成銀河は観測されており、赤外線や電波との相関関係から、星生成率が見積もられている(Ranalli et al. 2003)。
SFR = 2.2×1.0e-40 L(0.5-2 keV) Msun / yr
SFR = 2.0×1.0e-40 L(2-10 keV) Msun / yr
また、近傍のLIRGサンプルに対してXMM Newtonの観測によって、星生成率を求めた研究もあり、Pereira-Santaella et al. (2011)によると、
SFR_{UV+IR} (Msun/yr) = 3.4e-40 L(0.5-2 keV) (erg/s)
SFR_{UV+IR} (Msun/yr) = 3.9e-40 L(2-10 keV) (erg/s)
の関係が報告されている。また、この関係を信じると、一般的なAGNに対しては、星生成によるX線のコンタミはほぼ無視できることがわかる。AGNはLx>1.0e42 erg/sであるので、星生成のみでこれを達成しようとすると、だいたい200 Msun / yr もの激しい星生成を起こさないといけない。このようなAGNは近傍では非常にレアである。ただし、遠方ではこのような爆発的な星生成銀河は多数発見されている(Mor et al. 2012)。
また、考えうるX線由来のSFRのコンタミとしては、LMXBが考えられる。HMXB (相方がO, B型星) と異なり、LMXBは相方が普通の星なので、それらの寿命を考えると、recent star formationのindicatorにはなりえない。これらの寄与、つまり、LMXBの数は、銀河のstellar mass, Mstarに寄るとかんがえられる。なので、Mstarが大きいものに対しては、X線を用いた星生成率はあまり有効ではないと言える。これらの議論については、Mineo et al. (2012)を参考にするとよい。
Lines
それ以外のものとしては、最近はHerschelの打ち上げによる遠赤外線の観測が活発に行われはじめたことから、[CII] 158 um光度から星生成率への変換も調べられている。
log SFR = log L[CII] - 7..08+/- 0.3 (Sargsyan et al. 2012)
その他にも星生成indicatorであるPAH輝線と[NeII] 12.8 umと[NeIII] 15.6 umの相関についてなどを調べたものとしては、LaMassa et al. (2012)がある。
PAHの等価幅と埋もれたAGNのサイン
PAHはPDR由来の輝線であり、星生成の有用なtracerといわれている。熱容量が非常に小さいため、少ないエネルギーで効率的に輝線を出し、非常に輝線が強い。それゆえ、観測が容易である。このPAH輝線はAGNがある領域ではそのhardなスペクトル(主にX線) によって破壊が進むため、他の水素輝線のような輝線とは異なりAGNの輝線へのコンタミがない、「純粋な」星生成と言われている。このPAH輝線のEWによって、埋もれたAGNのサインの有無を調べることができる。
- EW(PAH 3.3 um) <40 nm for AGN, > 40 nm for Starburst galaxies
- EW(PAH 6.2 um) < 100 nm for AGN, 100 nm < EW < 400 nm for composite, EW > 400 nm for Starburst galaxies
赤外線光度と他の波長の光度相関
AGNを持たない銀河のSEDを見た時、3.3-12umあたりに様々な輝線が立っているのを見ることができる。これはpolycyclic aromatic hydrocarbon (PAH) とよばれる輝線群で、ベンゼン環で構成されたシートのようなものが紫外線に励起されることによって観測される。これらは様々な振動モードによって、中間赤外線領域に様々な波長の輝線を残す。そのうちの代表的なものが7.7um輝線で、これらを含む8um帯バンドと赤外線光度にはよい相関があることが示されている。近傍の星生成銀河を対象にした研究(Barvouzet et al. 2008)によると、
L_TIR = 377.9 × (L_8um)^0.83
という関係が報告されている。また、さらに高光度側の赤外線銀河(L_IR>10^10 Lsun)のみに対しては、
L_TIR = 1.91×(L_8um)^1.06
というのがCaputi et al. (2007)によって報告されている。
また、12umと赤外線光度の相関も報告されており、
logL_TIR = log(0.89) + 1.094logL_12um (Pérez-González et al. 2005)
logL_TIR = 1.02 + 0.972logL_12um (Takeuchi et al. 2005)
などがある。それぞれのエラーはfactor2-3程度。
Supernova (SN) Rate
type-II (core-collapse) supernova (SN)は、M>8Msun以上の大型星でのみ起きることを考えると、type-II SN rateは、星生成率となんらかの相関があるかもしれない。
Condon 1992では、type-II SN rate (v_SN)と電波光度に相関があることを報告しており、その関係は
L (W/Hz) = 1.3e23 v^{-0.8} (GHz) v_SN (yr^-1)
で表現される。ここで、Lはnon-thermalな電波光度で、vは観測周波数である。この関係はgalactic SN remnantsから出されているが、M82, Arp 220のときもその関係はあんまり変わらないことから、一般的なSB銀河でも成り立つと報告されている (Huang et al.1994; Smith et al. 1998)。一般的な星生成銀河の星生成率が10Msun/yrくらいのときに、type-II SN rateはだいたい一桁落ちる。これは、SNを起こす星が8Msun以上であることを考えると、reasonableといえる。
NLR光度とBlack Hole質量
AGNの宇宙論的進化を見る上で、一つの大きな指標となるのが、AGNのBlack Hole質量である。これを各zごとに見てやることで、宇宙のとある時代に、どのようなAGNが活発に成長していたかをtraceすることができる (Netzer et al. 2003)。AGN, および銀河に存在する超巨大Black Hole (Super Massive Black Hole; SMBH) の質量を求める方法は数多く提案されているが、最も正確で信頼されているのは力学的な方法である。SMBH周りの星の運動を見る方法 (Genzel et al. 1997), 電離ガスを見る方法 (Harms et al. 2004), そして水メーザーを見る方法 (Miyoshi et al. 1995) である。これらは銀河やAGNの中心部分を分解して調べる必要があるため、いわゆる近傍の天体に対してのみ適用が可能である。遠方の場合、AGNではreverberation mapping (Peterson et al. ??) や、それを元にしたSingle epoch method (Kaspi et al. 2001, 2004) などが用いられているが、この方法はAGNのBLRからの輝線を捉えるため、いわゆる2型への適用が難しい。現在、力学的方法が適用できないような2型AGNに対しては、X線の変動を利用してBH質量を求める方法 (Hayashida et al. ??)や、近赤外線でバルジの大きさとBH質量の相関を利用して求める方法 (Mushotzky et al. 2008) などがあるが、それ以外の方法として注目されているのが、NLR光度とBH質量の相関関係である (Dasyra et al. 2008, 2011)。NLRはAGNをエネルギー源として明るく輝くほどには小さい領域でありながら、バルジの重力ポテンシャルが充分に効く程度には大きなスケールを持っている。なので、バルジのstellar dispersionなどと相関を持つことが期待される (see Greene & Ho for the detail discussion)。実際、Dasyra et al. (2008, 2011)では、NLR由来であるfine-structure lineである[S IV] 10.51 um, [NeIII] 15.56 um, [Ne V] 14.32 umや[O IV] 25.89 umなどとブラックホール質量が、見事に相関をもつ、という報告をしている。
赤外線光度関数
赤外線光度関数は、宇宙の、ダストに埋もれたエネルギー源の光度分布を反映している。これら赤外線光度関数に寄与するエネルギー源は大きく分けて2種類あり、一つは星生成、もう一つはAGNである。これら2つの寄与が赤外線光度によって、あるいはredshiftによってどのように変わるのかという情報を得ることは、宇宙全体の星生成・超巨大ブラックホールの進化を知ることと直結する非常に重要な仕事である。
赤外線光度関数のz進化
この研究は中間赤外線の情報が必要不可欠となるが、Spitzerの登場により様々なdeep surveyが行われ、遠方の情報が得られるようになったことで飛躍的に研究が進んだ。その中で重要なものを取り上げると、以下のようなものがある。
- z<1 (Le Floch et al. 2005)
このような近傍のz進化はLe Floc'h et al. (2005)がまずは取り上げられる。彼らは、Chandra Deep Field South (CDF-S)において、静止系15um の光度関数を求めている。最も大事な発見は、zが0->1に向かうに連れて、赤外線光度・密度ともに増大していた点である。つまり、遠方に向かうにつれてU/LIRGの重要性が増していくことを示した。
SMBHとbulgeのscale relation
Local Universe (z<0.1)
近傍の銀河については、力学的な手法(stellar, gas, maser) を用いてBH質量が求められている。最近ではSMBHの質量(M_BH)とbulgeの物理パラメータには様々な相関関係があることがわかってきている。典型的には、
M_BH - σ relation (Ferrarese & Merritt 2000; Gebhardt et al. 2000; Gültekin et al. 2009)
M_BH - Lbulge (Kormendy & Richstone 1995; Marconi & Hunt 2003)
M_BH - Mbulge (Magorrian et al. 1998; Häring & Rix 2004)
などがある。M_BHとσ, Lbulge, Mbulgeがなぜ相関をもつのかはきちんとした理解にはまだ至っていないが、σ, Lbulge, Mbulgeそれぞれの相関関係については、定性的には以下のように考えてみるとわかりやすいかもしれない。まず、σとM_bulgeについては、星やガスの速度分散は、それらをトラップしているモノ (=バルジ) の質量と相関、そして、Lbulge-Mbulgeについては、星の光度というのは、そこにある星の数、つまりは星の質量と比例すると思えばよい。
さて、これらのスケール関係をまとめた論文としては、Sani et al. (2011) やGültekin et al. (2009)が有名である。Sani et al. (2011)はLbulge, Mdyn, Mstellarを求めるのにSpitzer/IRAC 3.6umを用いており、過去の研究で使われていたV bandやK bandと比べて、M-LbulgeはK bandと同程度、V bandと比べるとタイトな相関が見られた、と報告している。相関関係はこれらの論文を参照すること。また、最近ではこの関係に載らない天体も報告されてきており、非常に重いSMBHを持つ天体 (M_BH > 10^10 Msun; MacConnell et al. 2011; van den Bosch et al. 2012) や、pseudo-bulgeを持つ天体などは、いわゆるclassical bulgeをもつ天体よりも、BH質量が小さめのところにsequenceをつくる、という報告がされている(Greene et al. 2008; Hu 2009; Sani et al. 2011)。
higher redshift (z>0.1)
SMBHとbulgeのスケーリング関係がどのようにz進化していくか、については、2000年前後から議論が始まっている。M-sigma relationに関して言えば、例えば、Shields et al. (2003)では、z~2までスケーリング関係はlocal universeと一緒(つまり、進化しない)という報告がされている一方で、Woo et al. (2008)などでは、z~0.6くらいまでのサンプルに対して、local universeと比べ、factor 3ほど進化しているという報告がされている。また、M_BH v.s. Mbulge relationは、high-zではその比は大きくなっていくだろうというのが容易に想像がつく。これは、high-zに行けば行くほど、local universeではあまり見つからないM_BH ~ 10^9-10MsunといったSMBHが多数見つかる一方で、銀河そのものの質量は、せいぜい<1000倍程度のものが見つかる程度なので、high-zに行けば行くほど、相対的にM_BHの値はでかくなっていくだろう、というところから来ている(e.g., Netzer 2003; Fan et al. 2006)。ただ、M_bulge, sigmaともにhigh-zに行けば行くほど高感度・かつ高空間分解能の観測が必要となるため、実質的には大きなscatterを持っているのが現状である。
そんな中、Mstellarだけは、higher-zに行っても、比較的に容易に求めることができる。これは、各天体のSEDを描き、そのfittingから求めることが出来るからだ(正確には、銀河の光度を求め、そこからMstellarへの相関関係を用いて焼きなおす)。この方法を用いることで、Decarli et al. (2010)では、Mstellar/M_BHのz進化を議論しており、
M_stellar / M_BH ∝ z^{-0.28}
に従うと報告している。
AGNのX線光度と電波光度の相関関係(radio-quiet/-loudの分類)
AGNはすべての波長で明るく輝くことで知られているが、それは電波領域においても例外ではない。電波領域でAGNを観測すると、ほぼすべてのAGNに対して、シンクロトロン放射が由来とおもわれる、coreのようなものが観測される。これはあるときは電波ジェットの根本だったり、何らかのoutflowが原因であったりする (Wilson & Ulvestad 1987; Pedlar et al. 1985)。古くから電波の明るさでAGNは2種類(radio-quiet/loud; RQ/RL) に分類されてきたが、これらは可視の光度と電波の光度比を用いたradio-loudness parameter(R_rB= L(6cm) / L_B)というものの値で分けられる。
具体的には
R_rB <1ならば、RQ
R_rB >1ならば、RL
で分類される。これらは経験的に、jetの兆候を持たないAGNをRQAGN, jetが観測されているAGNをRLAGNとしたときに、
0.1 < R_rB < 1 for RQ
10 < R_rB < 100 for RL
というbimodalな関係が報告されていたこと (Kellerman et al. 1989) から、先に述べた関係が経験的に作られたのである。これはSDSSとFIRST surveyの両天体の計10,000天体を用いたサンプルでも報告されている(Ivezic et al. 2002)。
以上のR_rBの心は、電波光度を、可視光光度がAGN光度だと思って、規格化しているものであるが、実際には様々なコンタミが可視光線には入ってくる。例えば母銀河の星生成成分や、特に2型AGNで顕著であるextinctionによる減光など、実際にintrinsicな可視光の光度を見積もることは簡単ではない。また、観測からもR_rBが本当にbimodalに分布するかどうかは必ずしも真ではないということが報告され始めてきた(Ho & Peng 2001)。これを受けて、Terashima et al. (2003)では、新たなradio-loudness parameterとして、以下のようなものを採用している。
R_rX = L(1.4 GHz) / Lx (ここでLxはabsorption corrected 2-10keV光度)
これの心は、様々な吸収の影響を受けやすい可視光線のかわりに、吸収が効きづらく、AGN以外の寄与が少ないX線光度を用いることで、よりintrinsicなAGN光度indicatorとなるだろう、というものである。この時のRQ/RLの基準は
R_rX <1e-4.5ならば、RQ
R_rX >1e-4.5 ならば、RL
というものである。また、Panessa et al. (2006, 2007)では、近傍の低光度AGNサンプルを用いて、X線光度と電波光度の相関関係を求めている。いわゆるRLAGNとRQAGNを分類してこの相関図にプロットすると、それぞれのサンプルの傾きは一緒で、切片が異なるのみ、という面白い結果が得られている。
log Lx = (0.97 +/- 0.01) log L_6cm + (5.23 +/- 0.28) for Seyferts
log Lx = (0.97 +/- 0.02) log L_6cm + (2.42 +/- 0.92) for RLAGN
N_HとA_Vの関係
ガスの吸収量の目安として、水素柱密度(N_Hと書く。単位はcm^-2)というものがあり、X線などではたいていN_Hで吸収量を表す。いっぽう、可視や赤外ではA_V(単位はmag)という表現がある。これらの関係式は、
N_H / A_V = 2.0e22 cm^-2 mag^-1
で与えられる(Maiolino et al. 2001)。
Tauどおしの関係
中間赤外線の観測を行うと、多くの場合、10um周辺に非常に幅広な吸収線や輝線を見ることができる。これはSi-Oのstretching modeによるもので、AGNを観測する場合、トーラスに存在するダストの影響により、face-onでは9.7umの輝線が、そしてedge-onでは吸収線が見られることがSpitzerの観測によってわかってきた(Hao et al. 2007)。また、このような9.7um ケイ素の吸収線のoptical depth tau9.7umと、X線のoptical depth tauXには、
tau9.7 = 0.07tauX
の関係がある(Draine & Li)。
また、銀河を観測した場合、3.4umにはaliphatic hydrocarbonによる吸収線が見られる (Imanishi et al. 2010等) が、これらはmolecular materialよりかは、diffuse ISMを通ってきた光を観測し場合によく見られる (Chiar et al. 2000)。このtau3.4と、ケイ素由来によるtau9.7の比を調べることで、その天体の炭素とケイ素のざっくりとした比を調べることができる。我々の銀河の場合、この値は
tau3.4 / tau9.7 ~0.06 (Chiar et al. 2000)
で、系内の場所による依存はほとんどみられない。近傍のAGNに対してこの比率を調べている研究としてはRoche et al. (2007) があるが、彼らの、AGN中心100pcスケールを分光したサンプルからは、この比は0.06-0.17の間でもとまっており、AGN中心も銀河系とそれほどかわらないISMを持っているかもしれない。ただし、3.4umの吸収線を正確に測るのは、3.3, 3.4 um PAH輝線などのコンタミや、S/Nを稼がないといけない等の理由からそれほど簡単ではない場合が多いこと、また、正確に計測された場合でも、tau3.4umの絶対値そのものは銀河系の値よりも小さいものが多い (Imanishi 2000) ため、AGN近傍と銀河系ではダストの種族・比率はそもそも違うかもしれない、という疑問点は残っている。
また、9.7umとVバンドのextinctionの比は、銀河系のextinction curveを仮定すると、
A9.7um / A_V ~ 0.075 (Draine & Li 2007)
となる。
各バンド間の相関関係
AGNの各赤外線バンド間の相関関係をまとめた(Ichikawa et al. 2012)。
logL(AKARI 9um) = logL(IRAS 12um) - 0.051
logL(AKARI 9um) = logL(WISE 12um) + 0.057
logL(AKARI 18um) = logL(IRAS 25um) - 0.058
logL(AKARI 18um) = logL(WISE 22um) - 0.016
metallicity
太陽のmetallicityは
12+log(O/H) = 8.69 (Allende Prieto et al. 2001)
で表される。
free-free放射とHβ輝線光度
HII regionを由来とするfree-free放射は、電波領域、具体的にはmm波領域で見てやると、特定の銀河では顕著に明るい場合がある。ただし、このmm波領域というのは、遠赤外線から延びるダスト放射や、より低周波側から伸びてくるnon-thermal jetの放射などが寄与してくるため、AGNの場合、free-free放射単体の寄与をきれいに見積もることは難しい場合が多い。そこで、free-free放射量を、同じくHII region起源のHβ輝線から見積もる関係式が、いくつかのグループで求められている (Caplan & Deharveng 1986; Condon 1992)。
その関係式は、電子温度を10^4 K, N(He+)/N(H+) ~ 0.08程度と仮定すると、free-free放射Svは、
Sv/mJy ~ 3.57e12 × (F(Hβ) / erg・cm^-2・s^-1) × (v/GHz)^-0.1
となる。
最終更新:2015年01月28日 11:58