ルルブや公式のQ&Aを読んでも裁定が不明瞭なものを紹介する。もしこれらの判断が必要になる場合、このページを参考にしつつGMに判断を仰ぐべきだろう。

集団戦スペシャル問題

スペシャルに関するルルブの記述の曖昧さ、そして【内縛陣】の記述により、集団戦の攻撃でスペシャルが出た場合の扱いが二択ある問題。
1.通常の攻撃の効果に加えて好きな変調ひとつを与える
2.通常の攻撃の効果の代わりに好きな変調ひとつを与える
普通に読めば1なのだが、1では【内縛陣】の「命中判定がスペシャルだった場合、スペシャルの効果を優先」という文言が意味を為さない。よって2の可能性が残る、というもの。
(筆者の卓では1を採用している)
参照:基本ルルブ66P,80P

【世鬼】スペシャル問題

【世鬼】は集団戦の攻撃忍法にもかかわらず射撃戦ダメージを与えることを選ぶことができるが、命中判定でスペシャルが出た際射撃戦ダメージを選んだときの処理が明確でない問題。
1.与えているのは射撃戦ダメージだが集団戦の攻撃忍法なので、集団戦のスペシャル同様の効果を適用する(その効果は上記集団戦スペシャル問題を参照)
2.与えているのは射撃戦ダメージなので、集団戦のスペシャル効果は適用されず、特殊な効果は起きない
射撃戦ダメージ1d6点、という裁定も考えられるが、「接近戦や射撃戦の命中判定」ではないためあり得ない。
参照:基本ルルブ66P,117P

マヒ累積問題

呪いとは異なりマヒは特技を「使用不能」にする効果であり、「未修得」にする効果ではないので、「修得している特技」から対象を選ぶマヒは既にマヒを受けた特技に累積することもあると読める問題。
1.既にマヒを受けた特技にもマヒは累積する(効果はない)。
2.既にマヒを受けた特技を除外してマヒの対象を決める。
修得している特技の数だけ累積する、とあるため2が濃厚なのだが、あえて呪いと記述を変えている意味が不明。
さらに、マヒを受けた特技は記載通り使用不能になるだけなのか、未修得になるのかで【修業】や【貪狼】の対象にできるか否かなどの問題が生じる。

なお、「修得している特技の数」について、呪いの方も同様に「修得している忍法の数」という記載がある。呪いは呪われた忍法を「未修得」にする効果であるので、厳密に言えばこの「修得している忍法の数」は呪いを受ければ受けるほど減っていくはずだが、文脈から見て単なるミスだろう。「呪いを受けていない状態で修得していた忍法の数」が正しいと思われる。
(筆者の卓では2を採用している)
参照:基本ルルブ65P,66P,102P

「この効果は累積しない」の定義

全く不明。例えば
1.同じキャラクターからその忍法の効果が2回かけられた場合、2回目は無効
2.同じキャラクターからその忍法の効果を2回かけることはできない(忍法の使用自体を制限)
3.別のキャラクターからでも、その忍法の効果が既にかかっているなら、2回目は無効
4.その忍法の効果が既にかかっているなら、1回目の方を無効にし、2回目の方を適用する
5.別のキャラクターからでも、その忍法の効果を2回かけることはできない(忍法の使用自体を制限)
などの裁定があり得る。しかし忍法によって効果が違うことや、ダメージを発生させる場合それが誰の忍法によるダメージなのかによって【埋火】などに影響してしまうこともあり難しい。
(筆者の卓では4を適用している。ただし、【教導】【影斬】【才槌】【禁術】【大鋸】【指名手配】【虚無時間 MIROKU】は効果が特殊なので特例の裁定を行う)

【電撃作戦】で発生する戦闘に【迷宮】を使用した場合の処理

解釈は2つありうる。
1.通常の場合、戦闘シーンを選び戦闘を仕掛けたらそれを発生させずドラマシーンにするものなので、戦闘の代わりにドラマシーンを行うと解釈できる。よって、【電撃作戦】使用者は二度目のドラマシーンを開始できる。
2.【電撃作戦】使用時は既にドラマシーンである。戦闘シーンを発生させようとはしているが、まだ発生していない。よって、戦闘が発生せずドラマシーンになるということは既に発生しているドラマシーンに戻るということを意味するため、単純に【電撃作戦】が無効化されることとなる。
なお、1.の「二度目のドラマシーン」については、【魔界転生】がある以上あり得ないものではないことに注意。
そもそも【迷宮】どころかNo.9自体滅多に使われないものなので、使う者がGMに自己申告して裁定を仰げばいいだろう。

【電撃作戦】使用後の処理

  • 戦闘が終わったらドラマシーンに戻るのか?
  • 戻るとしたら、戦闘に参加していたキャラクターはシーンに出ている扱いになるのか?
など、地味に謎。【電撃作戦】の効果には「戦闘シーンに入る」としか書いていないため、以後は通常の戦闘シーンと見なして終了次第手番を終了する方が無難か。

自分を選ぶ

  • 【不意打ち】【裏コード】【赤眼】【仙食】【郷談】などの忍法で自分を目標に選ぶことは可能か?
  • 攻撃忍法など、戦闘中使用する忍法で自分を目標に選ぶことは可能か?
  • 可能な場合、【社会戦】で、自分は自分の【居所】を獲得している扱いとしてよいのか?
など。特に【仙食】と【郷談】で問題になるのだが、効果文を読んでも【仙食】のフレーバーテキストを読んでも特に自分には使えないと読めるような記述はなく、可能、というのが濃厚。
攻撃忍法については【慈拳】などで特に重要。これも自分には攻撃できないという記述はルルブのどこにも見当たらず(基本65Pには「戦闘に参加しているキャラクターの中から、目標を一体選びます」と書かれており、「他のキャラクター」ではない)、可能なように思える。
【社会戦】については【試練】や【朽気】で重要になる。公式リプレイや公式シナリオ集ではプレイヤー同士、あるいはNPCとプレイヤーの【居所】を互いに交換する場面があり、少なくとも自分の【居所】を他人に渡すことは可能な模様。ということは自分の【居所】は獲得している、という扱いにするのが自然だろう。
いずれにしても公式裁定はないためGMの裁定を仰ごう。

主人が戦闘脱落した後の従者

1.自動的に脱落する。
2.脱落せず戦闘を続行できる。
3.脱落せず戦闘を続行できるがGMの操作になる。
公式裁定はない。ただし、公式リプレイ「シノビガミ悪」において、従者より先に主人(PC)が脱落しても従者が戦闘に残っている例がある。基本的にはこの裁定(2に該当)に準ずるべきだろう。

【死人鴉】問題

【死人鴉】は戦闘から脱落した後も攻撃忍法が使えるという異色の忍法だが、その異色さ故にいくつか難しい裁定がある。
  • 【クリティカルヒット】及び【範囲攻撃】の使用は可能か?
  • 【魔血】【獣技】などで攻撃忍法を使用することは可能か?
  • 【追加忍法】による攻撃忍法の使用は可能か?
  • 命中判定に【完全成功】を使うことは可能か?
  • 以上のように奥義を使った場合、奥義の情報を獲得されたり奥義破りはされるのか?

順に見ていく。
まず、【死人鴉】はあくまで攻撃忍法の使用を解禁するものなので、【クリティカルヒット】と【範囲攻撃】はタイミングが同じだけで攻撃忍法ではないため使用不能と思われる。
次に、【魔血】【獣技】についてだが、そもそも【死人鴉】で発動可能な攻撃忍法には「自分が修得している」なども書かれておらず、一切の縛りがない。しかしだからといってあらゆる攻撃忍法を使用できるわけがないので、この一文は「本来攻撃忍法は使えない状況であるが、特別に使えるようにする」という意味だと解釈するのが自然だろう。そしてそこに「修得」の縛りはないので、「修得していなくても使える」つまり【魔血】や【獣技】のような効果で使用可能になっている攻撃忍法は使用可能だと考えられる。
【追加忍法】についても【魔血】や【獣技】と同様に扱っていいだろう。
【完全成功】に関しては、元々シーンに出ていない時に使う忍法などにも使用できるので、【死人鴉】による攻撃の命中判定にも使用可能だと思われる。
そして問題はその奥義の情報や奥義破りの扱いだが、基本69P欄外に特例処置が書かれている。【追加忍法】でシーンに出ていない時に使用できる忍法を使った場合は情報も獲得されるし奥義破りもされるというのだ。しかし、【死人鴉】と【追加忍法】によって使用された攻撃忍法がシーンに出ていない時に使用できる忍法と見なされるべきかということに関しては意見が分かれる点だろう。個人的にはシーンに出ていない時に忍法が使用されている以上、この記述に従うべきだと考えるが、忍法自体にそのような記述がある忍法でなければこれは適用されないと考えてもつじつまは合う。
なお【完全成功】に関しては特に特例処置が書かれていないため、【死人鴉】での命中判定に使われた場合、情報を得たり奥義破りはできないだろうと思われる。

【機忍】【ご当地戦法】【滅苦】などが未修得になった場合の処理

【機忍】【ご当地戦法】【滅苦】はいずれも特定の他の忍法を修得可能にするものであるが、【特別教室】や呪いの効果でこれらが未修得になった場合、その効果で修得した忍法はどうなるのか?という問題。
最も安全なのは、それらが未修得になったらその効果で修得した忍法も未修得になる、というもの。あまりルールの穴を突くような行為が好きでないGMはそういう裁定をすることも多いだろう。
逆に危険なのは、それらが未修得になろうが既に修得した忍法は消えない(消える理由がない)というもの。ルルブの記述に忠実に従うとそう解釈せざるを得ず、また【滅苦】の「器術が消えると未修得になる」というデメリット効果が消え、メリットだけが残る結果となってしまう。これは極めて問題で、功績点2点払って【末裔】で【滅苦】を修得しさえすれば、【滅苦】で【特別教室】を修得、1サイクル目の最初に【特別教室】の効果で【滅苦】を消すことで一切のデメリットなしであらゆる流派の装備忍法を修得可能ということになってしまう。これはごく通常の思考を持つGMであれば看過すべきではないものと言えるのではないだろうか。
よって、ある程度ルールの穴を突いた行為も許し、そういったバランスの崩壊も防ぎたい、というのであれば、ルルブの記述にはない特別措置をGMが考えることがほぼ確実に必要になってくる。そこで下記に似たような現象を引き起こし得る忍法(他の忍法に干渉する装備忍法)の一覧を記載するので、GMは参考にして欲しい。

■他の忍法に干渉する装備忍法
【機忍】(斜歯流派)
【魔具螺】(斜歯秘伝)
【鷹の目】(鍔鑿組
【忍法回路】(指矩班
【ご当地戦法】(世界忍者連合)
【爪紅】(多羅尾)
【特別教室】(旧校舎)
【開祖】(伊賀者)
【鈎陣】(伊賀者)
【滅苦】(金色庵)

従者を持つ装備忍法が未修得になったり途中修得した場合の処理

【配下】が未修得になったら従者は従者でなくなるのか?【特別教室】などでセッションの途中で修得した場合は途中から従者が参加するのか?というもの。【魔界転生】【教導】などを考えるとさらに面倒くさい話になってくる。ほぼその都度GM裁量でいい事案だとは思われる。

【ご当地戦法】、巡らしで選べる忍法の範囲

「自分の流派以外の流派忍法」が何を指すのか、という裁定。
基本ルルブ41Pによれば、
  • 下位流派の流派忍法は、その上位流派の流派忍法としても扱う
  • 下位流派のキャラクターは、その上位流派のキャラクターとしても扱う
とある。よって、例として世界忍者連合のキャラクターが【ご当地戦法】を使う場合、
「自分の流派」は世界忍者連合、ハグレモノであるため、「自分の流派以外の流派忍法」は世界忍者連合、ハグレモノ以外の流派忍法となる。
ここで、不知火の【百燐】を修得したいと考える場合、
【百燐】は不知火の忍法でもあり、ハグレモノの忍法でもある。
さて、【ご当地戦法】で【百燐】を修得することはできるのか?という問題である。

解釈は二つ。
1.【百燐】はハグレモノの忍法であり、世界忍者連合のキャラクターはハグレモノのキャラクターでもあるので、これは自分の流派の流派忍法である。よって修得できない。
2.【百燐】はハグレモノの忍法であるが、同時に不知火の忍法でもある。よって、自分の流派の流派忍法ではあるものの、同時に自分の流派以外の流派忍法でもあることになる。【ご当地戦法】の「自分の流派以外の流派忍法」という条件は満たしているので、修得できる。

1と2、どちらが自然とも言いづらい。
2の解釈をできなくするには、「自分の流派の流派忍法」の修得を禁じる必要があるため、例えば「自分の流派の流派忍法以外の流派忍法」と記述しなければならなかった。
これは忍法修得時に解決できる問題なので、セッション開始前にGM判断をあおぐべきだろう。

なお、似たような効果の他流派の血や【滅苦】に関しては、「自分の流派以外の流派の流派忍法」と記載されている。よって世界忍者連合が他流派の血で【百燐】を修得することは何の不明瞭さもなく可能である。41Pには、流派としての不知火をハグレモノと同一視するような規定はないからだ。

※ただ、基本ルルブ41Pを読み込んでいないプレイヤーからしてみれば、世界忍者連合から見て不知火はどう見ても別流派であり、【ご当地戦法】で【百燐】を修得できないという裁定は容易に理解できるものではない。卓にルルブ原理主義者がいなければ、黙ってしれっと使えば指摘を受けることはまずないだろう。その方が、無駄な時間を使わずに済むかもしれない。
最終更新:2019年02月02日 17:31