政宗手ずから作ったという料理はうまい。野菜の煮物に味噌汁、玄米飯という質素な料理ではあったが、旅に疲れた体にちょうどいい塩加減でさすがだと感心した。
極楽浄土もかくありなん、と幸村は湯に浸かりながら思う。
「何かと不便だろ」と雑用を手伝ってくれる人間をつけてくれたのはありがたく思う。
だがそれが。
「お背中でもお流ししましょう」
どうして片倉小十郎なのだろう。
「い、いや、一人でできます故、心配御無用にて」
「いやいや、政宗様の大事な客人だ。丁重にもてなしてやれ、と仰せつかってるんでね」
湯殿に入りながら腕まくりとたすきがけをする小十郎を見上げ、幸村は首を振った。顔の半分を湯に浸け、小十郎からなるべく身を隠す。
裸、というわけではない。下穿きをちゃんとはいている。しかし裸同然であり、油断した格好ではある。あまり見られたくない。
「それとも、何かい? 俺がお前を殺すとでも思ってるのかい?」
「上田まで、隙あらば殺そうと参られたことがござろう」
首から上を湯から出す。しばし睨み合うが、小十郎がすぐに視線を外した。
「そういや、そんなこともあったねぇ。……あれが、政宗様の命ではないと思ってんのか?」
「政宗殿は、某を己が手で討ち取りたいと思うている筈」
小十郎は片目を眇めて笑った。
「まったく、どうしてそんなにあの人を想える。甲斐と奥州、それも敵対する者同士。障害が多いほど燃えるっていうんなら、相手を間違ってるぜ」
「間違ってなどおらぬ。某は、政宗殿が好きだ」
「言うねぇ」
だったらいいことを教えてやるよ、と糠の詰まった袋を放りながら言った。幸村は糠袋を受け取り、意味深な笑い方をする小十郎に近づく。
「俺は政宗様を抱いた」
「…………!!」
「嘘だと思うか? だったから聞くが、政宗様は操を誓ったのか?」
「……そういう、訳では……」
「そういう訳だ。邪魔なんだよてめぇは。とっとと失せろ」
呆然と、小十郎を見上げる。
小十郎は笑っていた。ぐらり、と視界が傾ぐ。
あの書状は一体誰が書いたのだろう。
どうして自分がこんな目に遭うのだろう。
こんな目に遭わせるための、書状なのか。
政宗の身を案じるなと。もうお前の手元に政宗の心はないのだと。
絶望の底に突き落とすための。
極楽浄土もかくありなん、と幸村は湯に浸かりながら思う。
「何かと不便だろ」と雑用を手伝ってくれる人間をつけてくれたのはありがたく思う。
だがそれが。
「お背中でもお流ししましょう」
どうして片倉小十郎なのだろう。
「い、いや、一人でできます故、心配御無用にて」
「いやいや、政宗様の大事な客人だ。丁重にもてなしてやれ、と仰せつかってるんでね」
湯殿に入りながら腕まくりとたすきがけをする小十郎を見上げ、幸村は首を振った。顔の半分を湯に浸け、小十郎からなるべく身を隠す。
裸、というわけではない。下穿きをちゃんとはいている。しかし裸同然であり、油断した格好ではある。あまり見られたくない。
「それとも、何かい? 俺がお前を殺すとでも思ってるのかい?」
「上田まで、隙あらば殺そうと参られたことがござろう」
首から上を湯から出す。しばし睨み合うが、小十郎がすぐに視線を外した。
「そういや、そんなこともあったねぇ。……あれが、政宗様の命ではないと思ってんのか?」
「政宗殿は、某を己が手で討ち取りたいと思うている筈」
小十郎は片目を眇めて笑った。
「まったく、どうしてそんなにあの人を想える。甲斐と奥州、それも敵対する者同士。障害が多いほど燃えるっていうんなら、相手を間違ってるぜ」
「間違ってなどおらぬ。某は、政宗殿が好きだ」
「言うねぇ」
だったらいいことを教えてやるよ、と糠の詰まった袋を放りながら言った。幸村は糠袋を受け取り、意味深な笑い方をする小十郎に近づく。
「俺は政宗様を抱いた」
「…………!!」
「嘘だと思うか? だったから聞くが、政宗様は操を誓ったのか?」
「……そういう、訳では……」
「そういう訳だ。邪魔なんだよてめぇは。とっとと失せろ」
呆然と、小十郎を見上げる。
小十郎は笑っていた。ぐらり、と視界が傾ぐ。
あの書状は一体誰が書いたのだろう。
どうして自分がこんな目に遭うのだろう。
こんな目に遭わせるための、書状なのか。
政宗の身を案じるなと。もうお前の手元に政宗の心はないのだと。
絶望の底に突き落とすための。
ちょっと補足。今みたいにマッパで風呂に入るようになったのは江戸以降で、戦国時代は下着みたいな薄い服を着て湯に入っていたらしい。
何のためかは知らん、が、そのほうが断然エロいし萌えるので採用した。
この場合幸村は薄いズボンみたいのをはいている。けして全裸ではない。
何のためかは知らん、が、そのほうが断然エロいし萌えるので採用した。
この場合幸村は薄いズボンみたいのをはいている。けして全裸ではない。




