戦装束を脱ぎ平服に着替えた元就は、ひと足先に自室に戻っていた。
窓から見える海には、もうすぐ西日が沈もうかとしている。
(落日、か…)
太陽が海の向こうに消えて行く様を、元就は目を細めて見つめた。
夜は、嫌いだ。
日輪の恩恵を受けられない夜は、酷く自分の存在がちっぽけなものに感じるからだ。
窓から見える海には、もうすぐ西日が沈もうかとしている。
(落日、か…)
太陽が海の向こうに消えて行く様を、元就は目を細めて見つめた。
夜は、嫌いだ。
日輪の恩恵を受けられない夜は、酷く自分の存在がちっぽけなものに感じるからだ。
(アンタ、本当は寂しいんだろ?)
「……つくづく、目障りなヤツよ」
不意に浮かんだ『西海の鬼』の姿に、元就は露骨に顔を歪める。
鬼の、否、女の分際で、よくも我の内へ無遠慮に入り込もうとしたな。
仲間のためならその肌をも晒す、ふしだらな女の分際で……
理不尽な感情に、元就は自身の理性を制御するのを、暫しの間忘れていた。
ともすれば、涙目でこちらを睨んできた全裸の元親の姿が、脳裏によみがえってくる。
次いで、あの時勢いで鷲掴みにしてしまった豊満な胸の感触を思い出した元就は、己の内に巣食う邪念を、首を振る事で無理矢理消し去ろうとした。
その時、
「失礼します。元就様、長曾我部様をお連れ致しました」
「──通せ」
使用人の呼びかけを聞いて我に返った元就は、短く返事をすると、元親を部屋へ
招き入れた。
不意に浮かんだ『西海の鬼』の姿に、元就は露骨に顔を歪める。
鬼の、否、女の分際で、よくも我の内へ無遠慮に入り込もうとしたな。
仲間のためならその肌をも晒す、ふしだらな女の分際で……
理不尽な感情に、元就は自身の理性を制御するのを、暫しの間忘れていた。
ともすれば、涙目でこちらを睨んできた全裸の元親の姿が、脳裏によみがえってくる。
次いで、あの時勢いで鷲掴みにしてしまった豊満な胸の感触を思い出した元就は、己の内に巣食う邪念を、首を振る事で無理矢理消し去ろうとした。
その時、
「失礼します。元就様、長曾我部様をお連れ致しました」
「──通せ」
使用人の呼びかけを聞いて我に返った元就は、短く返事をすると、元親を部屋へ
招き入れた。
使用人に促されて、元就の自室へ足を踏み入れた元親は、自分を見つめてくる
男の猜疑に満ちたような視線を、不快気に受け止めた。
「別に、アンタの首を掻こうだなんて、思ってねぇよ。第一、使用人と一緒に来
てんのに、武器を隠し持てる訳ないじゃないか」
「違う。長曾我部、何だその格好は。貴様の着替えは、用意させた筈だぞ」
左目を前髪で隠しながら現れた元親は、普通の男性用の着物の上に、薄紫色の女
性の着物を羽織っていたのだ。
「……しょうがねぇだろ。だって女物のヤツは、すべておはしょり作れないどこ
ろか、俺には小さすぎるモノばっかだったんだから」
瀬戸内のカイとゲルダ11
男の猜疑に満ちたような視線を、不快気に受け止めた。
「別に、アンタの首を掻こうだなんて、思ってねぇよ。第一、使用人と一緒に来
てんのに、武器を隠し持てる訳ないじゃないか」
「違う。長曾我部、何だその格好は。貴様の着替えは、用意させた筈だぞ」
左目を前髪で隠しながら現れた元親は、普通の男性用の着物の上に、薄紫色の女
性の着物を羽織っていたのだ。
「……しょうがねぇだろ。だって女物のヤツは、すべておはしょり作れないどこ
ろか、俺には小さすぎるモノばっかだったんだから」
瀬戸内のカイとゲルダ11




