アンドレ・マルロー(André Malraux)1901年11月3日 - 1976年11月23日は。20世紀フランスを代表する作家・政治家・冒険家であり、文学と行動が一体化した稀有な人物である。

20代でインドシナの反植民地運動に参加し、中国では中国国民党と中国共産党の革命現場に身を投じ、スペイン内戦では共和国空軍を組織し、第二次世界大戦ではレジスタンスに参加、ド・ゴール政権下では文化大臣を務めた。生涯を通じて「行動する知識人」の象徴として知られる。文学的には、アジア革命三部作(『征服者』1928年、『王道』1930年、『人間の条件(マルロー)』1933年)で一世を風靡し、特に『人間の条件』でゴンクール賞を受賞。人間は神なき世界で死を前にしてどう意味を創出するのか、という実存的問いを、革命・冒険・芸術という「行動」の場で追求した。戦後は『芸術の心理学』や『反回想録』などの大著を残し、美術や文化史にも大きな影響を与えた。マルローの特徴は、フィクションとノンフィクションの境界を曖昧にし、自身の体験を大胆に投影しながらも、普遍的な人間の条件を描く点にある。英雄主義と虚無主義が共存し、革命の失敗や死の必然性を直視しながらも「行動する」ことの尊厳を肯定する姿勢は、20世紀の知識人に強い衝撃を与えた。日本語訳では新潮文庫が最も読みやすく、岩波文庫や光文社古典新訳文庫でも一部作品が刊行されている。2026年現在も、彼の「行動と運命」のテーマは、現代の混沌とした世界でなお鮮烈に響いている。