チェンジ・ロワイアル@ ウィキ
迷いを捨てた火花が今、散った
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匿名ユーザー
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戦兎は両腕を幾度も振るい続ける。
少しでも動きを緩めれば相手の強烈な一撃を食らうのは確実。
動くたびに全身に刻まれた傷が痛み、疲労で息も上がっている。
それでも戦わなければ、生き残る事も、守る事もできない。
少しでも動きを緩めれば相手の強烈な一撃を食らうのは確実。
動くたびに全身に刻まれた傷が痛み、疲労で息も上がっている。
それでも戦わなければ、生き残る事も、守る事もできない。
「フン、生っチョロいぞ!」
「クソッタレが…!」
「クソッタレが…!」
獣のように咆え、炎に包まれた両腕を叩きつける。
不死身の異名を持つ杉元の戦意を消すのは安易ではない。
全身に細かい切り傷を作りながらも、眼前の敵を地獄に叩き落とさんと苛烈に攻め続ける。
だが届かない。永遠の記憶、その力を纏った帝王は兵士の猛攻を児戯同然と見下していた。
何度炎を放とうとも、DIOの身を守る漆黒のローブに阻まれる。
杉元だけに相手を押し付ける気は毛頭ない。しかし戦兎も眼前の敵を相手にするだけで手一杯だった。
世界の名を冠する力が拳を放つ。それも一発二発どころではない。
機関銃もかくやといった勢いの拳を、歯を食い縛り両腕の爪で防ぐ。
嘗て共闘した、メダルで変身する戦士の力。
それが今はザ・ワールドの拳を何とか防ぎ、爪は徐々に破損していく。
不死身の異名を持つ杉元の戦意を消すのは安易ではない。
全身に細かい切り傷を作りながらも、眼前の敵を地獄に叩き落とさんと苛烈に攻め続ける。
だが届かない。永遠の記憶、その力を纏った帝王は兵士の猛攻を児戯同然と見下していた。
何度炎を放とうとも、DIOの身を守る漆黒のローブに阻まれる。
杉元だけに相手を押し付ける気は毛頭ない。しかし戦兎も眼前の敵を相手にするだけで手一杯だった。
世界の名を冠する力が拳を放つ。それも一発二発どころではない。
機関銃もかくやといった勢いの拳を、歯を食い縛り両腕の爪で防ぐ。
嘗て共闘した、メダルで変身する戦士の力。
それが今はザ・ワールドの拳を何とか防ぎ、爪は徐々に破損していく。
「無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!」
「ぐ、あぁああああああああああああっ!!」
「ぐ、あぁああああああああああああっ!!」
とうとう爪が砕け散り、遮る物の無くなった拳が戦兎…ディケイドオーズの身体へ到達する。
800年前の錬金術師が生み出した装甲は致命的なダメージこそ防いでいる。
だがそれでも、これまでの戦闘における傷が蓄積した身には堪えた。
殴り飛ばされ無様に地面を転がる。
一瞬、杉元がこちらに意識を向けるも直ぐに戦闘へ引き戻された。
エターナルに変身したDIOを前に余所見など自殺行為でしかない。
蓬莱人の肉体は2回の復活を許してはいるものの、その奇跡に頼り切るつもりはない。
杉元にとっての不死身とは死んでも生き返るのではなく、敵を殺して生き残る事に有るのだから。
800年前の錬金術師が生み出した装甲は致命的なダメージこそ防いでいる。
だがそれでも、これまでの戦闘における傷が蓄積した身には堪えた。
殴り飛ばされ無様に地面を転がる。
一瞬、杉元がこちらに意識を向けるも直ぐに戦闘へ引き戻された。
エターナルに変身したDIOを前に余所見など自殺行為でしかない。
蓬莱人の肉体は2回の復活を許してはいるものの、その奇跡に頼り切るつもりはない。
杉元にとっての不死身とは死んでも生き返るのではなく、敵を殺して生き残る事に有るのだから。
体中の痛みを押し殺し、戦兎は立ち上がる。
死んでいないのなら上出来だ。
敵は強大。因縁深い星狩りの怪物にも全く引けを取らない程。
ならばこちらも切り札を切らせてもらおう。
取り出したカードに描かれているのは、自身が変身する戦士、その中で最も強大な力を持つ姿。
戦況を一気に変えられるだけの力を、今解放した。
死んでいないのなら上出来だ。
敵は強大。因縁深い星狩りの怪物にも全く引けを取らない程。
ならばこちらも切り札を切らせてもらおう。
取り出したカードに描かれているのは、自身が変身する戦士、その中で最も強大な力を持つ姿。
戦況を一気に変えられるだけの力を、今解放した。
『KAMEN RIDE BUILD!』
『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!』
『FORM RIDE BUILD GENIUS!』
『完全無欠のボトルヤロー!スゲーイ!モノスゲーイ!』
ビルドの基本形態であるラビットタンクフォームと違い、白一色に染められた装甲。
60本ものボトルが全身に、複眼があった箇所にも例外なく突き刺さった。
パンドラパネルを再構築させ生み出した特殊なフルボトルにより誕生した、ビルドの最終形態。
ジーニアスフォームがここに顕現した。
60本ものボトルが全身に、複眼があった箇所にも例外なく突き刺さった。
パンドラパネルを再構築させ生み出した特殊なフルボトルにより誕生した、ビルドの最終形態。
ジーニアスフォームがここに顕現した。
「貴様、その姿は…」
「また随分トンチキな恰好になったな、おい」
「また随分トンチキな恰好になったな、おい」
ジーニアスフォームのディケイドビルドが放つ存在感は、DIOと杉元も無視できない。
二人分の視線を集める戦兎は、決着を付けるべく駆け出した。
二人分の視線を集める戦兎は、決着を付けるべく駆け出した。
○
校舎内を走る一匹の獣。
黄色い体に長い耳、ギザギザとした尻尾は既存の動物には有り得ない特徴だ。
背にはカエルらしき生物が緑色の肌を更に青白くして、しがみついていた。
ポケモンとケロン人の肉体にそれぞれ精神を閉じ込められた、善逸と鳥束である。
黄色い体に長い耳、ギザギザとした尻尾は既存の動物には有り得ない特徴だ。
背にはカエルらしき生物が緑色の肌を更に青白くして、しがみついていた。
ポケモンとケロン人の肉体にそれぞれ精神を閉じ込められた、善逸と鳥束である。
ピカチュウの長い耳が何かの音をキャッチした。
音の発生源は直ぐ近くにある部屋からのようだった。
先客の存在に心臓が跳ね上がる。
部屋にいる者が殺し合いに乗っていない、友好的な参加者ならば何の問題もない。
しかし聞こえてくる音からして、穏便に事を済ませられそうも無い事は嫌でも分かる。
恐らく戦闘が起きているのだろう。
殺し合いに抗う者と乗った者の争いか、又は乗った者同士で血みどろの屠り合いを引き起こしているのか。
どちらにせよ建物内も安全では無い。
無視して別の部屋に行く事も出来るが、もし戦っている参加者が自分の知り合いなら、
禰豆子が巻き込まれているのだとしたらという可能性を考えれば、善逸は確かめずにはいられない。
先客の存在に心臓が跳ね上がる。
部屋にいる者が殺し合いに乗っていない、友好的な参加者ならば何の問題もない。
しかし聞こえてくる音からして、穏便に事を済ませられそうも無い事は嫌でも分かる。
恐らく戦闘が起きているのだろう。
殺し合いに抗う者と乗った者の争いか、又は乗った者同士で血みどろの屠り合いを引き起こしているのか。
どちらにせよ建物内も安全では無い。
無視して別の部屋に行く事も出来るが、もし戦っている参加者が自分の知り合いなら、
禰豆子が巻き込まれているのだとしたらという可能性を考えれば、善逸は確かめずにはいられない。
気付かれないように近付き、恐る恐るドアの隙間から室内を覗いた。
○
「ウキャア!」
「て、てりゃぁっ…!」
「て、てりゃぁっ…!」
机と椅子の残骸がそこかしこに散らばっている。
アーマードライダー斬月が振るった剣は躱され、オランウータンが突き出した拳は盾で防がれる。
代り映えのしない攻防を一体どれくらい続けただろう。
アーマードライダー斬月が振るった剣は躱され、オランウータンが突き出した拳は盾で防がれる。
代り映えのしない攻防を一体どれくらい続けただろう。
「ふぅ、ふぅ…」
傍から見れば単純な攻防も、甜歌にとっては命懸けだ。
二匹のオランウータンの眼光、初めて経験する戦闘、一歩間違えば即座に殺される恐怖。
それらに心を蝕まれる。しかし戦いを放棄する事は絶対にできない。
スーツの下で汗ばみながら、震えを消し去るように剣の柄を強く握った。
二匹のオランウータンの眼光、初めて経験する戦闘、一歩間違えば即座に殺される恐怖。
それらに心を蝕まれる。しかし戦いを放棄する事は絶対にできない。
スーツの下で汗ばみながら、震えを消し去るように剣の柄を強く握った。
「ウキ……」
剣を構える斬月を睨みつけ、貨物船は思考する。
巨大なメロンを被り姿を変えた事には驚いた。
スタンド使いとはどこか違う敵を警戒しながら戦っていたが、その内貨物船はある事が分かった。
多分相手は戦いに関しては素人の可能性が高い、と。
盾や剣を振るう動きは、ただ我武者羅にこちらを近づけさせまいとしているだけ。
本人なりに必死に戦っているのかもしれないが、嘗て自分を破壊したスタンド使い達のような気迫は感じられない。
であるならば、チマチマと様子見しつつ手を出すより、分身と二匹掛かりで攻め立てた方が手っ取り早いんじゃあないだろうか。
それに今の姿へ変わるのに使った道具、あれは中々興味深い。
主に献上すればきっと喜んでくれるはず。
ならあの奇妙なベルトは壊さないようにしなくては。
決断するや否や、貨物船は分身と共に斬月へ襲い掛かろうとした。
巨大なメロンを被り姿を変えた事には驚いた。
スタンド使いとはどこか違う敵を警戒しながら戦っていたが、その内貨物船はある事が分かった。
多分相手は戦いに関しては素人の可能性が高い、と。
盾や剣を振るう動きは、ただ我武者羅にこちらを近づけさせまいとしているだけ。
本人なりに必死に戦っているのかもしれないが、嘗て自分を破壊したスタンド使い達のような気迫は感じられない。
であるならば、チマチマと様子見しつつ手を出すより、分身と二匹掛かりで攻め立てた方が手っ取り早いんじゃあないだろうか。
それに今の姿へ変わるのに使った道具、あれは中々興味深い。
主に献上すればきっと喜んでくれるはず。
ならあの奇妙なベルトは壊さないようにしなくては。
決断するや否や、貨物船は分身と共に斬月へ襲い掛かろうとした。
「甜歌さん避けてください!」
突然背後から飛んできた指示へ、甜歌は咄嗟に横へと跳んだ。。
机の残骸だらけの床へ転がった直後、教室内の空気が一気に下がったような感覚がした。
恐る恐る顔を上げると、目に映ったのは信じられない光景。
自分達を殺そうとしていた二匹のオランウータン、その両方が飛び掛かろうとした体勢のまま、綺麗に凍っていたのだから。
机の残骸だらけの床へ転がった直後、教室内の空気が一気に下がったような感覚がした。
恐る恐る顔を上げると、目に映ったのは信じられない光景。
自分達を殺そうとしていた二匹のオランウータン、その両方が飛び掛かろうとした体勢のまま、綺麗に凍っていたのだから。
○
「ウオォオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!!」
拳の応酬。そう文字にするのは簡単だ。
しかし実際に行われているのは、苛烈極まりない、激戦と呼ぶに相応しい光景。
ビルドジーニアスとザ・ワールド、彼らが放ったストレートの数は百をとっくに超えている。
丸太の如き太さのザ・ワールドの腕に比べれば、ビルドジーニアスに分が悪いと思われるだろう。
だが実際に分が悪いのはザ・ワールドの方であった。
拳と拳がぶつかり合い、その度に本体へのフィードバックでDIOの手に鈍い痛みが襲い来る。
しかし実際に行われているのは、苛烈極まりない、激戦と呼ぶに相応しい光景。
ビルドジーニアスとザ・ワールド、彼らが放ったストレートの数は百をとっくに超えている。
丸太の如き太さのザ・ワールドの腕に比べれば、ビルドジーニアスに分が悪いと思われるだろう。
だが実際に分が悪いのはザ・ワールドの方であった。
拳と拳がぶつかり合い、その度に本体へのフィードバックでDIOの手に鈍い痛みが襲い来る。
「こ、こいつ…!!」
DIOには到底受け入れられない事実だ。
敵は最強のスタンド、ザ・ワールド以上の破壊力とスピードを持つ。
自らのスタンドに絶対の自信を持つDIOにとって、これほど屈辱的な事があろうか。
歯が砕けんばかりに噛み締めても現実は変わらない。
通常のビルドを遥かに上回るスペックを持つビルドジーニアス。
加えて、60本のフルボトルの性能を自在に操るというビルドジーニアスの固有能力。
この力を使い、戦兎はドラゴンフルボトルの成分を引き出している。
友であり相棒でもある男、万丈龍我にも引けを取らないレベルに格闘能力を強化しているのだ。
蒼いエネルギーを纏った拳は、DIOという邪悪の精神の具現を打ち倒さんと攻め立てる。
変身方法こそ違うものの、葛城親子の頭脳の結晶と、友の力。
この二つが揃った今の戦兎は、負ける気がしなかった。
敵は最強のスタンド、ザ・ワールド以上の破壊力とスピードを持つ。
自らのスタンドに絶対の自信を持つDIOにとって、これほど屈辱的な事があろうか。
歯が砕けんばかりに噛み締めても現実は変わらない。
通常のビルドを遥かに上回るスペックを持つビルドジーニアス。
加えて、60本のフルボトルの性能を自在に操るというビルドジーニアスの固有能力。
この力を使い、戦兎はドラゴンフルボトルの成分を引き出している。
友であり相棒でもある男、万丈龍我にも引けを取らないレベルに格闘能力を強化しているのだ。
蒼いエネルギーを纏った拳は、DIOという邪悪の精神の具現を打ち倒さんと攻め立てる。
変身方法こそ違うものの、葛城親子の頭脳の結晶と、友の力。
この二つが揃った今の戦兎は、負ける気がしなかった。
「ウラァッ!」
「ヌゥッ!?スギモト、貴様…!!」
「ヌゥッ!?スギモト、貴様…!!」
DIOが対処すべきは戦兎のみではない。
至近距離からエターナルの顔面に向けて火炎が迸る。
ダメージこそゼロに等しいが、仮面越しに伝わる熱さは不快以外の何物でもない。
振り下ろしたエッジは左腕で防御される。
ドーパントや仮面ライダーにも有効な刃は肉を容易く貫くが、杉元が気にする素振りは無い。
炎を纏った右拳をエターナルの腹部目掛けて突きだすも、蹴り上げられた敵の左脚に妨害された。
至近距離からエターナルの顔面に向けて火炎が迸る。
ダメージこそゼロに等しいが、仮面越しに伝わる熱さは不快以外の何物でもない。
振り下ろしたエッジは左腕で防御される。
ドーパントや仮面ライダーにも有効な刃は肉を容易く貫くが、杉元が気にする素振りは無い。
炎を纏った右拳をエターナルの腹部目掛けて突きだすも、蹴り上げられた敵の左脚に妨害された。
(この女ァ…!)
DIOは気付いていた。
杉元はロストドライバーとメモリを破壊しに来ていると。
戦兎が腰の機械にカードを入れて変身した瞬間を見た杉元は、DIOも同じく腰の機械で姿を変えたと察した。
故に、敵の戦力を削ぐ為にドライバーの破壊を狙うのは至極当然。
そんな真似を許す気は微塵もない。
だが先程まではザ・ワールドの力の前に戦兎は手も足も出ず、DIOも余裕を持って杉元の相手をしていた。
それが一転、ザ・ワールドは徐々に追いつめられ、どうしてもそちらに意識を持って行かれるDIOも、杉元に手を焼いている。
時を止められない以上、現状を打破する術は無く、忌々しさに表情が歪み、
杉元はロストドライバーとメモリを破壊しに来ていると。
戦兎が腰の機械にカードを入れて変身した瞬間を見た杉元は、DIOも同じく腰の機械で姿を変えたと察した。
故に、敵の戦力を削ぐ為にドライバーの破壊を狙うのは至極当然。
そんな真似を許す気は微塵もない。
だが先程まではザ・ワールドの力の前に戦兎は手も足も出ず、DIOも余裕を持って杉元の相手をしていた。
それが一転、ザ・ワールドは徐々に追いつめられ、どうしてもそちらに意識を持って行かれるDIOも、杉元に手を焼いている。
時を止められない以上、現状を打破する術は無く、忌々しさに表情が歪み、
(…いや、待て)
ス、と元の引き締まった表情へと戻った。
時は止められない。だが、打つ手なしと断じるには早過ぎるのでは?
時は止められない。だが、打つ手なしと断じるには早過ぎるのでは?
(可能なはずだ。ザ・ワールドとエターナルが合わされば……)
エターナルの力は身体能力の強化や、高い防御力のマントだけではない。
ディケイド鎧武へ放った、蒼いエネルギーの斬撃。
あのエネルギーを、エターナルエッジ以外に流す事も可能なはず。
ディケイド鎧武へ放った、蒼いエネルギーの斬撃。
あのエネルギーを、エターナルエッジ以外に流す事も可能なはず。
(試してみるか)
さっきと同じ感覚で、メモリからエネルギーを引き出す。
蒼く揺らめく炎のようなエネルギーは、DIOの意思に従いザ・ワールドへと流れ込む。
ザ・ワールドの拳が蒼く燃え盛った。
ザ・ワールドを焼き尽くす炎ではない、更なる力が齎された証だ。
蒼く揺らめく炎のようなエネルギーは、DIOの意思に従いザ・ワールドへと流れ込む。
ザ・ワールドの拳が蒼く燃え盛った。
ザ・ワールドを焼き尽くす炎ではない、更なる力が齎された証だ。
「なに…?」
殴り合う相手の変化に戦兎は怪訝な視線を向ける。
蒼く燃える拳が、ビルドジーニアスとぶつかり合う。
炎が見掛け倒しでない事は即座に理解した。
蒼く燃える拳が、ビルドジーニアスとぶつかり合う。
炎が見掛け倒しでない事は即座に理解した。
「くっ、こいつ強くなってる…!?」
今の今まで拳の威力も速さも、勝っていたのはビルドジーニアスの方。
ならばこれは何だ。
ザ・ワールドのラッシュは勢いを増し、ビルドジーニアスへと襲い来る。
ならばこれは何だ。
ザ・ワールドのラッシュは勢いを増し、ビルドジーニアスへと襲い来る。
「ほう…こういった使い方も悪くはないな」
自身の考えが正しかった事に満足気な笑みを浮かべるDIO。
ブルーフレアとなったエターナルに宿る総エネルギー量は、レッドフレアとは比べ物にならない程莫大。
風都の仮面ライダー、Wの究極の姿であるエクストリームと同等と言っても過言ではない。
加えて、DIOが使っているのはT2ガイアメモリ。
試作品であるT1メモリと違い、ブルーフレアのエネルギーにも余裕で耐えられる。
ブルーフレアとなったエターナルに宿る総エネルギー量は、レッドフレアとは比べ物にならない程莫大。
風都の仮面ライダー、Wの究極の姿であるエクストリームと同等と言っても過言ではない。
加えて、DIOが使っているのはT2ガイアメモリ。
試作品であるT1メモリと違い、ブルーフレアのエネルギーにも余裕で耐えられる。
「っ、だからって負けられるかよ…!」
対するビルドジーニアス、強化されたザ・ワールドを前にしても引くつもりは無し。
「フン、随分と粘るじゃあないか」
DIOからすれば無駄な抵抗にしか見えない。
一度はザ・ワールドを凌駕した。それは認めてやろう。
だがその差は一瞬でひっくり返された。やはりこのDIOに勝てる道理などない。
一度はザ・ワールドを凌駕した。それは認めてやろう。
だがその差は一瞬でひっくり返された。やはりこのDIOに勝てる道理などない。
「貴様もだ。チンケな炎しか出せぬのなら、ケーキの蝋燭にでも灯しているのが似合いだぞ?」
「チッ!」
「チッ!」
DIOが余裕を取り戻し、杉元へとエッジを突き刺す。
顔を逸らして躱す。頬に赤い線が生まれるなど些細なこと。
足に力を込めて跳躍、蓬莱人の身体能力を駆使しエターナルの頭上を飛び越し背後へ着地。
すかさず迫るエターナルの回し蹴り。12tのキック力の前には蓬莱人と言えども、紙のように引き裂かれる。
それを杉元またもや跳躍、何と伸ばされたエターナルの脚の上に着地した。
不安定な位置で、顔面目掛けて蹴りを繰り出す。だが到達はしない。
エターナルは伸ばした脚とは反対の、軸となった足の踵で地面強く踏みつけ一回転する。
バランスを崩された杉元は落下、地面へ体が付く前に刺し殺そうと、エターナルはエッジを持った右手を伸ばす。
だがDIOが感じたのは肉を突き刺す感触ではなく、金属同士がぶつかる感触。
回避は間に合わないと悟った杉元は咄嗟にコルト・パイソンを抜き放ち、銃身で刃を防いだのだった。
地面を転がり距離を取りながら、引き金を引く杉元。
銃弾を斬り落としつつ、DIOは追撃を仕掛ける。
顔を逸らして躱す。頬に赤い線が生まれるなど些細なこと。
足に力を込めて跳躍、蓬莱人の身体能力を駆使しエターナルの頭上を飛び越し背後へ着地。
すかさず迫るエターナルの回し蹴り。12tのキック力の前には蓬莱人と言えども、紙のように引き裂かれる。
それを杉元またもや跳躍、何と伸ばされたエターナルの脚の上に着地した。
不安定な位置で、顔面目掛けて蹴りを繰り出す。だが到達はしない。
エターナルは伸ばした脚とは反対の、軸となった足の踵で地面強く踏みつけ一回転する。
バランスを崩された杉元は落下、地面へ体が付く前に刺し殺そうと、エターナルはエッジを持った右手を伸ばす。
だがDIOが感じたのは肉を突き刺す感触ではなく、金属同士がぶつかる感触。
回避は間に合わないと悟った杉元は咄嗟にコルト・パイソンを抜き放ち、銃身で刃を防いだのだった。
地面を転がり距離を取りながら、引き金を引く杉元。
銃弾を斬り落としつつ、DIOは追撃を仕掛ける。
「ム…?」
しかし体へ違和感が生じた。
視線を移せば、ビルドジーニアスが腕から伸ばした蔓のようなもので、ザ・ワールドを拘束するのが見えた。
視線を移せば、ビルドジーニアスが腕から伸ばした蔓のようなもので、ザ・ワールドを拘束するのが見えた。
ローズフルボトルの力を引き出し、相手の動きを封じたビルドジーニアス。
とはいえ長くは続かないだろう。
ブルーフレアのエネルギーを纏ったザ・ワールドならば、いとも簡単に引き千切られる。
その前に勝負を決めるべくカードを取り出した。
とはいえ長くは続かないだろう。
ブルーフレアのエネルギーを纏ったザ・ワールドならば、いとも簡単に引き千切られる。
その前に勝負を決めるべくカードを取り出した。
ビルドジーニアスの力は現在の戦兎が使えるライダーの中で最も強力だ。
その反面、気軽には使えない事情も存在する。
ネオディケイドライバーの説明書に記されていた、一つの制限。
ジーニアスのカードを使ってた場合、変身していられるのは極短い時間内のみであり、時間を過ぎれば強制的に通常のビルドへ戻る。
加えて再変身するにも、ある程度の時間を置かなければならない。強力故に課せられた制限。
その反面、気軽には使えない事情も存在する。
ネオディケイドライバーの説明書に記されていた、一つの制限。
ジーニアスのカードを使ってた場合、変身していられるのは極短い時間内のみであり、時間を過ぎれば強制的に通常のビルドへ戻る。
加えて再変身するにも、ある程度の時間を置かなければならない。強力故に課せられた制限。
一刻も早く決着を付けようと、カードをドライバーへ挿入しようと手を伸ばす。
「ウキャキャ!」
「は、離して……!」
「は、離して……!」
カードを叩き込もうとした手が凍り付いたように止まった。
正面玄関から飛び出して来たのは一匹のオランウータン。
DIOの指示を受け校舎内へ侵入した貨物船だ。
出て来たのはその一匹のみではない。
少女が一人、貨物船に担がれ戦兎達の前に姿を現した。
正面玄関から飛び出して来たのは一匹のオランウータン。
DIOの指示を受け校舎内へ侵入した貨物船だ。
出て来たのはその一匹のみではない。
少女が一人、貨物船に担がれ戦兎達の前に姿を現した。
○
使える武器が入っていて助かった。
冷気を放つ杖を眺め、ナナは内心で安堵した。
冷気を放つ杖を眺め、ナナは内心で安堵した。
ナナの要求に燃堂は特に反対する事も無く、デイパックを寄越した。
燃堂のなかでは未だに、ナナは斉木楠雄の弟という事になっている。
親友の弟の頼みとあらば、快く聞き入れてやるのが自分の勤め。
そんな風に語る燃堂へ適当に相槌を打ちつつ、礼を言って中身を素早く確認した。
そうして発見したのが、氷の結晶のような先端の杖だった。
燃堂曰く、妙に冷たいからスプーン曲げを試すのに使う気は起きず、適当に仕舞っていたらしい。
こいつが持っても宝の持ち腐れだなと、内心呆れつつ貨物船へと杖を振るった。
燃堂のなかでは未だに、ナナは斉木楠雄の弟という事になっている。
親友の弟の頼みとあらば、快く聞き入れてやるのが自分の勤め。
そんな風に語る燃堂へ適当に相槌を打ちつつ、礼を言って中身を素早く確認した。
そうして発見したのが、氷の結晶のような先端の杖だった。
燃堂曰く、妙に冷たいからスプーン曲げを試すのに使う気は起きず、適当に仕舞っていたらしい。
こいつが持っても宝の持ち腐れだなと、内心呆れつつ貨物船へと杖を振るった。
「フリーズロッドって言うみたいで、今みたいに相手を凍らせる効果があるみたいです」
「そ、そうなんだ…ゲームの装備みたいだね……」
「まぁ、仮面ライダーがいるくらいですし、こういう魔法の杖があっても不思議はないですね!」
「そ、そうなんだ…ゲームの装備みたいだね……」
「まぁ、仮面ライダーがいるくらいですし、こういう魔法の杖があっても不思議はないですね!」
貨物船の動きを封じたナナは、立ち上がった甜歌と言葉を交わす。
ナナが見た限り、どうやら二匹の猿も甜歌が戦いの素人と気付いたようだった。
ほんの少し遅れていたら、仮面ライダーに変身していてもどうなっていたか分からない。
ナナが見た限り、どうやら二匹の猿も甜歌が戦いの素人と気付いたようだった。
ほんの少し遅れていたら、仮面ライダーに変身していてもどうなっていたか分からない。
「ありがとう、ナナちゃん。甜歌の方が助けられちゃったね…」
「そんなこと無いですよ!甜歌さんが変身してなかったら私も燃堂さんもどうなっていたか…。
それにまだ終わってません。この杖、そう長く相手を凍らせる事はできないみたいなんです」
「そんなこと無いですよ!甜歌さんが変身してなかったら私も燃堂さんもどうなっていたか…。
それにまだ終わってません。この杖、そう長く相手を凍らせる事はできないみたいなんです」
だから、と続くナナの言葉は唐突に遮られた。
「さ、斉木さん…?」
か細い声がナナの鼓膜へ届いた。
甜歌でも燃堂でもない、教室内の人間のものではない声が。
振り返ると、扉の隙間から小さな影が顔を覗かせているのが見えた。
新たな侵入者に身構えるナナ達。
だがヨロヨロとふらつきながら姿を見せた存在に、三人は呆気に取られた。
甜歌でも燃堂でもない、教室内の人間のものではない声が。
振り返ると、扉の隙間から小さな影が顔を覗かせているのが見えた。
新たな侵入者に身構えるナナ達。
だがヨロヨロとふらつきながら姿を見せた存在に、三人は呆気に取られた。
「え…?カ、カエル…?それに…何?」
「お?何だありゃ?宇宙人か?」
「お?何だありゃ?宇宙人か?」
緑色のカエルらしき存在と、その後ろから慌てて出て来た黄色い動物のような生物。
オランウータンだけでなくこんな姿の生物まで参加者にいたとは予想外だ。
奇妙な二匹の登場にナナ達は困惑する。
オランウータンだけでなくこんな姿の生物まで参加者にいたとは予想外だ。
奇妙な二匹の登場にナナ達は困惑する。
「ピカピカ!(おい!何してんだよ!)」
幽鬼のような足取りで教室内の人間に近付く鳥束を、善逸は慌てて止めようとする。
さっきまで自分の背で幻覚を見ているかのようにブツブツ言っていたのに、どうして急に動き出したのか。
善逸の困惑など知ったことではないとばかりに、鳥束零太はある一人の参加者を凝視していた。
その人物とは柊ナナ。正確に言えばナナの肉体である斉木楠雄をだ。
見るからに戸惑っている相手へ、鳥束は救いを求めるように震える手を伸ばす。
さっきまで自分の背で幻覚を見ているかのようにブツブツ言っていたのに、どうして急に動き出したのか。
善逸の困惑など知ったことではないとばかりに、鳥束零太はある一人の参加者を凝視していた。
その人物とは柊ナナ。正確に言えばナナの肉体である斉木楠雄をだ。
見るからに戸惑っている相手へ、鳥束は救いを求めるように震える手を伸ばす。
「さ、斉木さん…お願いしますよ……いつもの超能力で…俺のケツを……治してください……」
鳥束が斉木へ求めるのは、自身の傷の治療。
万能の超能力者である斉木ならば、どんな重い傷でも一瞬で治すことくらい訳ない。
しかしそれは、ここにいるのが斉木本人だったらの話だ。
肉体は斉木でも、精神は無能力者のナナに超能力は現在全く使用できない。
そもそも殺し合いの参加者は、肉体と精神がそれぞれ別人だと、鳥束自身も知っているはず。
万能の超能力者である斉木ならば、どんな重い傷でも一瞬で治すことくらい訳ない。
しかしそれは、ここにいるのが斉木本人だったらの話だ。
肉体は斉木でも、精神は無能力者のナナに超能力は現在全く使用できない。
そもそも殺し合いの参加者は、肉体と精神がそれぞれ別人だと、鳥束自身も知っているはず。
尤も今の鳥束の状態を考えれば、無理も無い話かもしれない。
最初はモテまくる計画を立てるくらいに浮かれていたが、今や計画は完全に頓挫したと言っていい。
モテオーラを放っていた青年の肉体から、人語を話す人型カエルという不気味な姿に変えられ、
尻と腹部をこれまで味わった事が無い激痛が苛んでいる。
更には、未だに自身の腹の奥底に粘着力の強い精液が残っている、おぞましい感覚。
鳥束自身がウコチャヌプコロの被害にあった訳では無いが、ボディーチェンジによりウコチャヌプコロの痛みを丸々引き受ける羽目になった。
悲惨な状態に肉体のみならず、精神的にもすっかり参っていた。
それこそ全裸のナースに慰められるという、ふざけた幻覚に逃げるくらいに。
最初はモテまくる計画を立てるくらいに浮かれていたが、今や計画は完全に頓挫したと言っていい。
モテオーラを放っていた青年の肉体から、人語を話す人型カエルという不気味な姿に変えられ、
尻と腹部をこれまで味わった事が無い激痛が苛んでいる。
更には、未だに自身の腹の奥底に粘着力の強い精液が残っている、おぞましい感覚。
鳥束自身がウコチャヌプコロの被害にあった訳では無いが、ボディーチェンジによりウコチャヌプコロの痛みを丸々引き受ける羽目になった。
悲惨な状態に肉体のみならず、精神的にもすっかり参っていた。
それこそ全裸のナースに慰められるという、ふざけた幻覚に逃げるくらいに。
そんな時に斉木の姿を見たのだ。
精神は別人と言う事を忘却したのか、或いは不都合な現実から逃避しているのか、
こうして救いを求めている。
精神は別人と言う事を忘却したのか、或いは不都合な現実から逃避しているのか、
こうして救いを求めている。
一方でナナは困惑するばかりだった。
突然現れたカエルのよな生き物が、何故か自分へ助けを求めている。
しかもあろうことか、このカエルは確かに「斉木さん」と口にした。
自分の知る限り、斉木と親交がある人間は二人。
内の一人は殺し合いが始まってからずっと、行動を共にしている。
となれば必然ともう一人の男に絞られる。
突然現れたカエルのよな生き物が、何故か自分へ助けを求めている。
しかもあろうことか、このカエルは確かに「斉木さん」と口にした。
自分の知る限り、斉木と親交がある人間は二人。
内の一人は殺し合いが始まってからずっと、行動を共にしている。
となれば必然ともう一人の男に絞られる。
(まさか、こいつは鳥束零太なのか…?)
PK学園にいれば鳥束がやって来る可能性はあると踏んでいた。
しかしまさか、こんな状況で出会うとは思いもしなかった。
突然の事態にナナの意識が貨物船から外れる。
それが大きな失敗だった。
しかしまさか、こんな状況で出会うとは思いもしなかった。
突然の事態にナナの意識が貨物船から外れる。
それが大きな失敗だった。
凍らされながらも貨物船は意識を保っていた。
体は指一本動かせないが、頭を働かせるのはできる。
このままでは凍ったままの自分は、トドメを刺されるのを待つばかり。
そう悲観したが嬉しい事に、新たな参加者の存在により敵は意識を持って行かれた。
チャンスは今しかない。
凍り付いた体が徐々に熱を取り戻し、動き出す時を今か今かと待っている。
体は指一本動かせないが、頭を働かせるのはできる。
このままでは凍ったままの自分は、トドメを刺されるのを待つばかり。
そう悲観したが嬉しい事に、新たな参加者の存在により敵は意識を持って行かれた。
チャンスは今しかない。
凍り付いた体が徐々に熱を取り戻し、動き出す時を今か今かと待っている。
そしてその時は来た。
「ウキャアアアアア!!」
「ウキ!ウキィイイイイイイ!!」
「ひっ、きゃっ…!」
「ウキ!ウキィイイイイイイ!!」
「ひっ、きゃっ…!」
凍結から解放され、貨物船は即座に分身と共に甜歌へ飛び掛かった。
不意を突かれた甜歌が地面に押し倒される。
余計な抵抗をされる前に、急ぎ事を済ませなければならない。
貨物船は斬月の腰へ手を伸ばし、ドライバーを力任せに剥ぎ取った。
メロンの装甲が消え、ライドウェアのみとなる斬月。
その姿も長くは続かず、すぐに生身である甜歌の姿へと戻った。
不意を突かれた甜歌が地面に押し倒される。
余計な抵抗をされる前に、急ぎ事を済ませなければならない。
貨物船は斬月の腰へ手を伸ばし、ドライバーを力任せに剥ぎ取った。
メロンの装甲が消え、ライドウェアのみとなる斬月。
その姿も長くは続かず、すぐに生身である甜歌の姿へと戻った。
「甜歌さん!」
我に返り、貨物船を再び凍らせるべく杖を構える。
が、二度も氷漬けにされてたまるかと、貨物船は捕えた甜歌を盾にした。
人質の存在がナナへ待ったを掛けた。
このまま杖を振るえば甜歌まで氷漬けとなる。
暫しの躊躇、貨物船はその隙を見逃さない。
が、二度も氷漬けにされてたまるかと、貨物船は捕えた甜歌を盾にした。
人質の存在がナナへ待ったを掛けた。
このまま杖を振るえば甜歌まで氷漬けとなる。
暫しの躊躇、貨物船はその隙を見逃さない。
「ウキッ!」
「ッ!?」
「ッ!?」
甜歌を捕えた本体に代わり分身が動く。
床に転がる机や椅子の残骸、その中からへし折れた机の脚を手に取る。
先端が鋭利になっている脚ならば、人間一人を刺し殺すのが可能。
オランウータンの腕力で投擲する。狙いはフリーズロッドを持つナナだ。
標的となったナナは、分身が残骸を手にした時点で既に動いていた。
自らの身体を倒し床を転がり、残骸を回避した。
床に転がる机や椅子の残骸、その中からへし折れた机の脚を手に取る。
先端が鋭利になっている脚ならば、人間一人を刺し殺すのが可能。
オランウータンの腕力で投擲する。狙いはフリーズロッドを持つナナだ。
標的となったナナは、分身が残骸を手にした時点で既に動いていた。
自らの身体を倒し床を転がり、残骸を回避した。
ナナの命は奪えなかった。
だが別の者は殺せた。
「びゅっ」
運悪くナナの背後にいた為に、机の脚が突き刺さった。
口内に侵入し、舌を貫き綺麗に貫通する。
勢いは死なず小さな体は教室の奥へと吹き飛ばされ、そのまま動かなくなった。
口内に侵入し、舌を貫き綺麗に貫通する。
勢いは死なず小さな体は教室の奥へと吹き飛ばされ、そのまま動かなくなった。
彼にとっては不幸であり、そしてある意味では幸運だろう。
鳥束零太は死ぬ事で、己の身体を蝕む痛みから解放されたのだから。
【鳥束零太@斉木楠雄のψ難(身体:ケロロ軍曹@ケロロ軍曹) 死亡】
(しまった!鳥束が…)
有益な情報を持っているだろう人間の死に、ナナは己の失態を呪う。
その間にも貨物船は次の手に出る。
甜歌を捕えたまま教室を飛び出し、正面玄関へと走った。
向こうが気付き阻止しようとするも、分身が砕け散った机を投擲し妨害する。
仮に追いついても甜歌を抱えている限りは、迂闊に凍らせられないだろう。
その間にも貨物船は次の手に出る。
甜歌を捕えたまま教室を飛び出し、正面玄関へと走った。
向こうが気付き阻止しようとするも、分身が砕け散った机を投擲し妨害する。
仮に追いついても甜歌を抱えている限りは、迂闊に凍らせられないだろう。
「お、降ろして…!」
必死に藻掻く甜歌を無視し、貨物船は外の戦場へと姿を見せた。
○
「甜歌!?」
ナナ達といたはずの少女が捕まってしまっている。
一体中で何があった、ナナ達はまだ校舎の中か?
疑問を口に出しかけたが、実際に声として出ることは叶わなかった。
一体中で何があった、ナナ達はまだ校舎の中か?
疑問を口に出しかけたが、実際に声として出ることは叶わなかった。
「無駄ァッ!」
「ぐあっ!?」
「ぐあっ!?」
無駄のないストレートがビルドジーニアスの装甲を叩く。
ローズフルボトルの拘束を脱したザ・ワールドによるものだった。
火花を散らしながら後退し、ビルドジーニアスの姿に変化が起きた。
全身に突き刺さったフルボトルは消滅し、ボディも赤と青の二色へと変わる。
ジーニアスフォームの制限時間が切れたのだ。
ローズフルボトルの拘束を脱したザ・ワールドによるものだった。
火花を散らしながら後退し、ビルドジーニアスの姿に変化が起きた。
全身に突き刺さったフルボトルは消滅し、ボディも赤と青の二色へと変わる。
ジーニアスフォームの制限時間が切れたのだ。
「ウキ!」
戦兎の動揺を引き出した貨物船は、DIO向けて片手を差し出す。
全身を白い装甲で覆っていた為、一瞬迷ったもののザ・ワールドを出現させている事からDIOと判断。
掌には甜歌から奪い取った戦極ドライバーとロックシード。
DIOの役に立つ、己の掲げる方針に従い奇妙な道具を献上した。
部下が差し出した物を手に取り、DIOは小さく鼻を鳴らす。
ディケイドとエターナルという戦士の存在を把握しているDIOには、その使い道が直ぐに分かった。
形こそ違うが、恐らくはこれらも仮面ライダーへ変身する為のアイテム。
チラリと視線を横にやれば、哀れに思う程怯えている少女が一人。
全身を白い装甲で覆っていた為、一瞬迷ったもののザ・ワールドを出現させている事からDIOと判断。
掌には甜歌から奪い取った戦極ドライバーとロックシード。
DIOの役に立つ、己の掲げる方針に従い奇妙な道具を献上した。
部下が差し出した物を手に取り、DIOは小さく鼻を鳴らす。
ディケイドとエターナルという戦士の存在を把握しているDIOには、その使い道が直ぐに分かった。
形こそ違うが、恐らくはこれらも仮面ライダーへ変身する為のアイテム。
チラリと視線を横にやれば、哀れに思う程怯えている少女が一人。
「今度は猿かよ……ってかあの娘は…?」
「甜歌…!」
「甜歌…!」
何時の間にやら戦兎の隣に並んだ杉元が訝し気に眉をひそめる。
そちらはともかく、戦兎の反応を見るに少女は奴の仲間。
意図せず人質を取った形となったDIOは、ふと自身の支給品を思い出す。
ジークなる者の脊髄が入ったワイン、エターナルメモリ、そして最後の支給品。
いずれは3つ目の支給品も使ってみようかと考えていたが、今が丁度いいかもしれない。
仮に失敗しようが大した痛手にはならない。
早速試そうと、まずは一度エターナルの変身を解きジョナサンの姿へと戻った。
そちらはともかく、戦兎の反応を見るに少女は奴の仲間。
意図せず人質を取った形となったDIOは、ふと自身の支給品を思い出す。
ジークなる者の脊髄が入ったワイン、エターナルメモリ、そして最後の支給品。
いずれは3つ目の支給品も使ってみようかと考えていたが、今が丁度いいかもしれない。
仮に失敗しようが大した痛手にはならない。
早速試そうと、まずは一度エターナルの変身を解きジョナサンの姿へと戻った。
「その小娘を押さえていろ。私から視線を逸らさせるな」
指示を受け、貨物船は甜歌の顔をDIOの方へ固定する。
必死に身を捩らせ抵抗しているが、精々子猫が暴れている程度のかわいいものだ。
大柄なオランウータンの力には敵いそうも無い。
デイパックから小瓶を取り出すと甜歌へ近付ける。
当然黙って見ている戦兎達ではない。
必死に身を捩らせ抵抗しているが、精々子猫が暴れている程度のかわいいものだ。
大柄なオランウータンの力には敵いそうも無い。
デイパックから小瓶を取り出すと甜歌へ近付ける。
当然黙って見ている戦兎達ではない。
「フン、暫し待っていろ」
「DIO!甜歌に何しやがる…!」
「ウキィ!」
「おわっ!?もう一匹いやがったのか!?」
「DIO!甜歌に何しやがる…!」
「ウキィ!」
「おわっ!?もう一匹いやがったのか!?」
邪魔しに来ることなど分かっていた。
ザ・ワールドと貨物船の分身が戦兎と杉元を足止めする。
拳をライドブッカーで防ぎ、ジャンプして飛び掛かって来た所を後退して躱す。
DIOの目的が何かは分からないが、甜歌へロクでもないことをしでかそうとしているのは確実だ。
焦る心とは裏腹に、傷と疲労で身体は油の切れた機械のように動きのキレが落ちている。
ザ・ワールドと貨物船の分身が戦兎と杉元を足止めする。
拳をライドブッカーで防ぎ、ジャンプして飛び掛かって来た所を後退して躱す。
DIOの目的が何かは分からないが、甜歌へロクでもないことをしでかそうとしているのは確実だ。
焦る心とは裏腹に、傷と疲労で身体は油の切れた機械のように動きのキレが落ちている。
「クソッ!どけ…!!」
戦兎の叫びを雑音と聞き流し、小瓶の蓋を開ける。
長く時間を掛けるつもりはない。
DIOは顔を逸らそうとする甜歌の鼻元へ、小瓶の中身を嗅がせた。
長く時間を掛けるつもりはない。
DIOは顔を逸らそうとする甜歌の鼻元へ、小瓶の中身を嗅がせた。