「え……?」
間の抜けた声を発したのは自分、それは分かる。
分からないのは目の前で何が起きたか。
煉獄の仇である怪物へ殴り掛かり、反対にボコボコにされた。
そこまでは覚えている。
悔しさと痛みに歯をキツく食い縛り、自分を見下ろす怪物を睨み付けようと顔を上げた。
分からないのは目の前で何が起きたか。
煉獄の仇である怪物へ殴り掛かり、反対にボコボコにされた。
そこまでは覚えている。
悔しさと痛みに歯をキツく食い縛り、自分を見下ろす怪物を睨み付けようと顔を上げた。
けれど、そこにはしんのすけが考えていたのとはまるで違う光景が広がっている。
二本の足で立つ怪物、両腕と頭部のチェンソーが不気味に振動し聞く者を威圧。
だが最も注目すべきは、
二本の足で立つ怪物、両腕と頭部のチェンソーが不気味に振動し聞く者を威圧。
だが最も注目すべきは、
「――――――」
針に似た歯が生え揃った口。
その下顎部分が吹き飛ばされ、夥しい量の血を滝のように流していることだろう。
その下顎部分が吹き飛ばされ、夥しい量の血を滝のように流していることだろう。
「――――!!!!!!!!!!!??????!!!!??!!!!」
言葉にならない、というよりは言葉を発せない。
気が狂ったとしか思えない動きで動揺と痛みを表すチェンソーの悪魔を、しんのすけは訳が分からず見上げる。
煉獄を殺された怒りは未だ健在、しかし次から次へと変化する状況により齎された困惑で頭が冷えた。
どうしていきなり口が無くなったのか、この怪物がやったのではないなら誰がやったのか。
よろよろと立ち上がって振り返ると、張本人が肩で息をしている。
気が狂ったとしか思えない動きで動揺と痛みを表すチェンソーの悪魔を、しんのすけは訳が分からず見上げる。
煉獄を殺された怒りは未だ健在、しかし次から次へと変化する状況により齎された困惑で頭が冷えた。
どうしていきなり口が無くなったのか、この怪物がやったのではないなら誰がやったのか。
よろよろと立ち上がって振り返ると、張本人が肩で息をしている。
「~~~~っ!!何だこの、ふざけた銃は…!」
しんのすけより先にギニューを相手取った男、脹相だ。
額に脂汗を滲ませ悪態をぶつけるのは、両手に持った青い銃。
アタッシュケース状態から変形させたアタッシュショットガンである。
額に脂汗を滲ませ悪態をぶつけるのは、両手に持った青い銃。
アタッシュケース状態から変形させたアタッシュショットガンである。
乱入したしんのすけが叩きのめされ、トドメを刺すと思いきやギニューは何故か自分自身を突き刺した。
意味不明の行動に理解が追い付かず困惑するも、ギニューが持つ能力を思い出せば自ずと答えは弾き出される。
ボディーチェンジ、他者との肉体入れ替え。
自分が今入っている体を相手の体と交換する、つまりそれまで負っていた傷は全て相手に押し付けられる。
なら入れ替えの直前に自らを痛め付けるのも納得だ。
敵はしんのすけの持つ体を手に入れるつもりと分かれば、黙って指を咥えて見ている訳にはいかない。
チマチマ銃を撃ったところで止まる保障は無い、ならばより強力な一撃で阻止するのみ。
手にしたアタッシュケースを変形させ撃った弾は、ギニューの下顎を吹き飛ばし見事成功。
意味不明の行動に理解が追い付かず困惑するも、ギニューが持つ能力を思い出せば自ずと答えは弾き出される。
ボディーチェンジ、他者との肉体入れ替え。
自分が今入っている体を相手の体と交換する、つまりそれまで負っていた傷は全て相手に押し付けられる。
なら入れ替えの直前に自らを痛め付けるのも納得だ。
敵はしんのすけの持つ体を手に入れるつもりと分かれば、黙って指を咥えて見ている訳にはいかない。
チマチマ銃を撃ったところで止まる保障は無い、ならばより強力な一撃で阻止するのみ。
手にしたアタッシュケースを変形させ撃った弾は、ギニューの下顎を吹き飛ばし見事成功。
と、大手を振って喜ぶ以上に支給された武器へ苦々しい思いが勝った。
怪力の固有魔法を使って尚も、桁違いの反動で吹き飛びかけたのだ。
魔法を使わず撃っていたら、両腕の骨が粉砕されたのは確実。
不破諫がパンチングコングプログライズキーで変身し、ようやく使いこなせたレベルの銃。
強力なのは間違いないが気軽には使えないと、身を以て理解した。
怪力の固有魔法を使って尚も、桁違いの反動で吹き飛びかけたのだ。
魔法を使わず撃っていたら、両腕の骨が粉砕されたのは確実。
不破諫がパンチングコングプログライズキーで変身し、ようやく使いこなせたレベルの銃。
強力なのは間違いないが気軽には使えないと、身を以て理解した。
だが今はアタッシュショットガンへの愚痴より、ギニューをどうにかするのが先。
様子を見るにしんのすけは悟空の体のまま。
またいつ懲りずに体を入れ替えようとするか分からない以上、余計な抵抗をされる前に大人しくさせる必要がある。
様子を見るにしんのすけは悟空の体のまま。
またいつ懲りずに体を入れ替えようとするか分からない以上、余計な抵抗をされる前に大人しくさせる必要がある。
「!!!!!!!!!」
尤も現状は実質ボディーチェンジを使用不能にされたに等しい。
ギニューが他者と肉体を入れ替える為には、「ボディーチェンジ」と言葉に出さなければ発動しない。
制限されているとはいえ基本的には不死の悪魔の肉体の為か、下顎を吹き飛ばされても死んではいない。
しかし言葉を発せずボディーチェンジを封じられては死んだも同然だ。
ギニューが他者と肉体を入れ替える為には、「ボディーチェンジ」と言葉に出さなければ発動しない。
制限されているとはいえ基本的には不死の悪魔の肉体の為か、下顎を吹き飛ばされても死んではいない。
しかし言葉を発せずボディーチェンジを封じられては死んだも同然だ。
(こ、この女ふざけた真似を…!!いや今はどうだっていい!急ぎ治さねば…!)
脹相への怒りは一旦置いて、傷を回復しなければどうにもならない。
折角悟空の体を見付けられても、ボディーチェンジ出来なければ無意味。
悪魔は血を摂取すれば傷を治せる。
網走監獄で飲みかけの輸血パックを飲み干し、傷が治ったのはこの目でしかと見た。
とにかく喋れるようにしなくてはと、焦り自身のデイパックに手を伸ばす。
折角悟空の体を見付けられても、ボディーチェンジ出来なければ無意味。
悪魔は血を摂取すれば傷を治せる。
網走監獄で飲みかけの輸血パックを飲み干し、傷が治ったのはこの目でしかと見た。
とにかく喋れるようにしなくてはと、焦り自身のデイパックに手を伸ばす。
「伸びろ!如意棒!」
ドンとあらぬ方向から襲う衝撃。
狙われたのはデイパック、輸血パックを取り出す筈が手から消え失せた。
口を開けたデイパックは地面へと落とされ、中身があっちこっちに散らばる。
弾かれたように振り返れば、しんのすけとも脹相とも違う別の参加者の姿。
メガネを掛けた少年が棒をこちらへ向けており、今のはこの少年の仕業と察した。
狙われたのはデイパック、輸血パックを取り出す筈が手から消え失せた。
口を開けたデイパックは地面へと落とされ、中身があっちこっちに散らばる。
弾かれたように振り返れば、しんのすけとも脹相とも違う別の参加者の姿。
メガネを掛けた少年が棒をこちらへ向けており、今のはこの少年の仕業と察した。
(…!!この…ガキ…!!)
とんだ邪魔をと怒りが湧き上がるも、殺すのは後だ。
どうせ悟空の体を手に入れれば赤子の手を捻るより容易く始末できるのだから。
少年から視線を外し散らばった支給品に目をやる。
輸血パックは、あった。
少し離れた位置へ落ちた二つのパウチ、幸い破損は無いようで地面を赤く汚してはいない。
獲物を捉えた獣のように飛び掛かった。
どうせ悟空の体を手に入れれば赤子の手を捻るより容易く始末できるのだから。
少年から視線を外し散らばった支給品に目をやる。
輸血パックは、あった。
少し離れた位置へ落ちた二つのパウチ、幸い破損は無いようで地面を赤く汚してはいない。
獲物を捉えた獣のように飛び掛かった。
が、ギニューの目論見は悉く潰える。
手を伸ばしかけた寸前で輸血パックが地面諸共弾けた。
飛び散る赤い液体を呆然と見つめ手を伸ばしたまま固まるギニュー、その後方。
やったのは顔を顰めアタッシュショットガンを構える脹相だ。
手を伸ばしかけた寸前で輸血パックが地面諸共弾けた。
飛び散る赤い液体を呆然と見つめ手を伸ばしたまま固まるギニュー、その後方。
やったのは顔を顰めアタッシュショットガンを構える脹相だ。
ギニューがまた何か余計な事をしでかす前にと撃ったが、この反動には慣れそうも無い。
怪力の固有魔法を使い、最初の時よりもどっしりと構えた上で引き金を引いた。
にも拘わらず反動で体が浮きかけたのだ。
怪力の固有魔法を使い、最初の時よりもどっしりと構えた上で引き金を引いた。
にも拘わらず反動で体が浮きかけたのだ。
ギニューには当たらなかったがこれで良い。
一時的とはいえ敵は動きを止め隙を晒した、このチャンスを見逃す手はない。
一時的とはいえ敵は動きを止め隙を晒した、このチャンスを見逃す手はない。
「やれ柊!」
「任せてください!」
「任せてください!」
デイパックを手放させた仲間へ指示を送り、間髪入れずにナナが飛び出した。
両手を振り被り冷気の嵐を放つ。
ギニューが気付いた時には最早手遅れ。
全身を凍り付かせ、チェンソーの悪魔は身動きを完全に封じられた。
両手を振り被り冷気の嵐を放つ。
ギニューが気付いた時には最早手遅れ。
全身を凍り付かせ、チェンソーの悪魔は身動きを完全に封じられた。
「上手くいったか…」
氷像と化したギニューを油断なく睨みながらも、作戦の成功に安堵の声を漏らす。
自分がギニューの隙を作り、ナナがフリーズロッドで凍らせる。
シンプルな内容だが相手が手強かった為に少々骨が折れた。
自分がギニューの隙を作り、ナナがフリーズロッドで凍らせる。
シンプルな内容だが相手が手強かった為に少々骨が折れた。
「大丈夫ですか?しんのすけ君」
「う、うん。…カチコチになってるゾ」
「お?何だ、終わったのか?」
「う、うん。…カチコチになってるゾ」
「お?何だ、終わったのか?」
凍り付いたギニューを燃堂が軽く小突くも動き出す様子は無い。
事前にナナから説明を聞いていたが、確かに効果は本物のようだ。
どうも呪物とも違うらしい杖の正体が気にならないでもないがそれは後回し。
フリーズロッドの効果は強力だが永久的には続かない。
今の内にもっと強固に拘束しておくべきだろう。
事前にナナから説明を聞いていたが、確かに効果は本物のようだ。
どうも呪物とも違うらしい杖の正体が気にならないでもないがそれは後回し。
フリーズロッドの効果は強力だが永久的には続かない。
今の内にもっと強固に拘束しておくべきだろう。
「柊、後はこいつを――」
言い終えるより先に動いた。
燃堂の首根っこを引っ掴み、ナナとしんのすけを押し飛ばして。
直後、猛烈な熱と共に氷が弾け飛んだ。
燃堂の首根っこを引っ掴み、ナナとしんのすけを押し飛ばして。
直後、猛烈な熱と共に氷が弾け飛んだ。
(何だと…!?)
早過ぎる。
フリーズロッドの凍結能力は確かに長続きするものではない。
それにしたってナナから聞いていた効果時間より、明らかに早い。
距離を取る中で、チェンソーの悪魔が再び姿を現わす。
先程までとは違う、より異形らしい部位を生やして。
フリーズロッドの凍結能力は確かに長続きするものではない。
それにしたってナナから聞いていた効果時間より、明らかに早い。
距離を取る中で、チェンソーの悪魔が再び姿を現わす。
先程までとは違う、より異形らしい部位を生やして。
「虫、か…?」
頭部より生えた角、というよりは顎。
腹部からも昆虫の肢に似たナニカが服を破って出現し、触手のように揺らめいている。
まるでクワガタムシの特徴が内側から生えたようだ。
数時間前、元々デンジの肉体を与えられた絵美理が変異した姿。
溶原性細胞の感染者に起こるアマゾン化。
クワガタアマゾンにチェンソーの悪魔のまま変化したのである。
腹部からも昆虫の肢に似たナニカが服を破って出現し、触手のように揺らめいている。
まるでクワガタムシの特徴が内側から生えたようだ。
数時間前、元々デンジの肉体を与えられた絵美理が変異した姿。
溶原性細胞の感染者に起こるアマゾン化。
クワガタアマゾンにチェンソーの悪魔のまま変化したのである。
「あの姿は…?」
「ま、また虫さんだゾ…」
「ま、また虫さんだゾ…」
チェンソーの怪物とはどこか違う異形にナナも眉を顰める。
一方で虫を思わせる特徴にしんのすけの顔は強張りを抑えられない。
彼にとって虫とは東側の街で遭遇した謎の巨大な虫を思い起こさせるもの。
チェンソーの怪物に虫、煉獄が死んだ瞬間がリピートされどうにも嫌な予感がしてしまう。
一方で虫を思わせる特徴にしんのすけの顔は強張りを抑えられない。
彼にとって虫とは東側の街で遭遇した謎の巨大な虫を思い起こさせるもの。
チェンソーの怪物に虫、煉獄が死んだ瞬間がリピートされどうにも嫌な予感がしてしまう。
(なんだ、これは……)
困惑するのはしんのすけ達だけではない。
クワガタアマゾンへと変貌したギニュー自身もまた、己に起きた変化へ理解が追い付かない。
プロフィールには記載されていなかった、チェンソーの悪魔とは明らかに別の能力。
絵美理が後天的に得た何らかの力と予想していたソレに、自分も変身した。
と言ってもチェンソーの悪魔のように意識して変身したのではない。
凍らせれている間にも意識はあり、どうにかしなくてはと強い焦りを覚えた時だ。
肉体の内側が激しい熱を帯び、気が付いたら氷を溶かして顎と肢を生やし、この奇怪な見た目になったのは。
一体どんな力なのか正体は分からずとも、凍結を強引に解除出来たなら問題はない。
クワガタアマゾンへと変貌したギニュー自身もまた、己に起きた変化へ理解が追い付かない。
プロフィールには記載されていなかった、チェンソーの悪魔とは明らかに別の能力。
絵美理が後天的に得た何らかの力と予想していたソレに、自分も変身した。
と言ってもチェンソーの悪魔のように意識して変身したのではない。
凍らせれている間にも意識はあり、どうにかしなくてはと強い焦りを覚えた時だ。
肉体の内側が激しい熱を帯び、気が付いたら氷を溶かして顎と肢を生やし、この奇怪な見た目になったのは。
一体どんな力なのか正体は分からずとも、凍結を強引に解除出来たなら問題はない。
そのように楽観視出来れば、どれ程楽なことだったろう。
(何なんだこれはああああああああああ!!??!)
変化が起きたのは外見だけでは無い。
ギニューの内面、精神にも明らかな異常が発生している。
内側より湧き出る衝動、本能とも言うべきものが強く訴えかけるのだ。
ギニューの内面、精神にも明らかな異常が発生している。
内側より湧き出る衝動、本能とも言うべきものが強く訴えかけるのだ。
肉が欲しい、タンパク質が必要、空腹を凌げ。
人の肉を喰わせろ。
人の肉を喰わせろ。
溶原性細胞に発症した事で起こる食人衝動。
網走監獄で食べたプリンアラモードなどでは満足できない。
人の肉を、あの生姜焼きの味をもう一度堪能したいと己の中で何かが叫ぶ。
網走監獄で食べたプリンアラモードなどでは満足できない。
人の肉を、あの生姜焼きの味をもう一度堪能したいと己の中で何かが叫ぶ。
他所の惑星の住民を殺し、その肉を喰らう奴はフリーザ軍にもいた。
だが狂ったように人肉を求める思考では無かった筈だ。
一体あの女は何の力を手にしたんだと、既にいない殺人鬼への苛立ちが募る。
だが狂ったように人肉を求める思考では無かった筈だ。
一体あの女は何の力を手にしたんだと、既にいない殺人鬼への苛立ちが募る。
何よりもギニューを混乱させ、苦しめるのは
(肉などどうでもいい!オレはフリーザ様を…!フリーザ様、を……フリーザ様の…)
フリーザの肉が食べたい。
湧き出る衝動にギニューの頭はおかしくなりそうだった。
こんな事を考えるなど有り得ない、断じてあってはならない。
偉大なる宇宙の帝王への不敬どころでは済まされない、反逆行為にも等しいふざけた考え。
湧き出る衝動にギニューの頭はおかしくなりそうだった。
こんな事を考えるなど有り得ない、断じてあってはならない。
偉大なる宇宙の帝王への不敬どころでは済まされない、反逆行為にも等しいふざけた考え。
(うぐぐぐぐぐ…どうなっているんだこれは…!?)
溶原性細胞の感染者が発症した時、アマゾン化と共に複数の特徴が現れる。
内の一つが現在ギニューを苦しめる、「自分と親しい存在を真っ先に捕食したがる衝動」。
ギニューにとって親しい存在と言えば全滅した特戦隊の四人と、主であるフリーザ。
放送でハワードの精神が入っているとはいえフリーザの肉体を見たからだろう。
あの御方を食べたい、フリーザ様の肉を噛み千切って我が物にしたい。
平時のギニューならば絶対に抱かない欲に、腹の虫を鳴らしたのは。
内の一つが現在ギニューを苦しめる、「自分と親しい存在を真っ先に捕食したがる衝動」。
ギニューにとって親しい存在と言えば全滅した特戦隊の四人と、主であるフリーザ。
放送でハワードの精神が入っているとはいえフリーザの肉体を見たからだろう。
あの御方を食べたい、フリーザ様の肉を噛み千切って我が物にしたい。
平時のギニューならば絶対に抱かない欲に、腹の虫を鳴らしたのは。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
顎を震わせギニューは駆け出す。
これは良くない、こんなのはフリーザに忠誠を誓った自分では無い。
一刻も早くどうにかしなくては、自分は本当に狂ってしまう。
絵美理のようにトチ狂った言動を繰り返し、フリーザの為でなく自分が腹を満たす為に殺して回るケダモノ。
それでは駄目だ、主催者を出し抜きフリーザを完全復活させる目的は永遠に叶わない。
だが一体どうすればと視線を乱雑に動かし、一点を見つめる。
これは良くない、こんなのはフリーザに忠誠を誓った自分では無い。
一刻も早くどうにかしなくては、自分は本当に狂ってしまう。
絵美理のようにトチ狂った言動を繰り返し、フリーザの為でなく自分が腹を満たす為に殺して回るケダモノ。
それでは駄目だ、主催者を出し抜きフリーザを完全復活させる目的は永遠に叶わない。
だが一体どうすればと視線を乱雑に動かし、一点を見つめる。
「!!!」
あった、どうにかなるかもしれないものが。
使った所で確実に解決する保障はない。
しかも使えば確実にリスクが襲い掛かる。
仮にギニューがもっと冷静ならば躊躇しただろうが、半ば錯乱した今の彼にそれを求めるのは酷。
一か八か、これしかないと手を伸ばす。
使った所で確実に解決する保障はない。
しかも使えば確実にリスクが襲い掛かる。
仮にギニューがもっと冷静ならば躊躇しただろうが、半ば錯乱した今の彼にそれを求めるのは酷。
一か八か、これしかないと手を伸ばす。
「おい待て!」
またしても邪魔をしようとする連中へ、腹部の肢を突き出す。
ナナが使った如意棒のように伸び、先端の爪で切り裂くつもりだ。
回避するもギニューへの妨害は間に合わない。
地面に落ちた杖を拾い、叩きつける勢いで振るった。
ナナが使った如意棒のように伸び、先端の爪で切り裂くつもりだ。
回避するもギニューへの妨害は間に合わない。
地面に落ちた杖を拾い、叩きつける勢いで振るった。
「!!!!!」
声は出せない、ただ胸中で必死に望みの物を寄越せと願う。
杖は、応えた。
「……???」
カランと、虚空から現れたモノ。
濡れた地面に転がり、今も振り続ける雨に晒される、ギニューが望んだナニカ。
柄と鍔、長く伸びたソレは、
濡れた地面に転がり、今も振り続ける雨に晒される、ギニューが望んだナニカ。
柄と鍔、長く伸びたソレは、
「刀…?」
呟いたのは誰か。
どこからか現れたのは刀。
何故、杖を振った結果出て来たのが刀なのか。
ギニューの願いを杖は正しく受け取らなかったのか。
どこからか現れたのは刀。
何故、杖を振った結果出て来たのが刀なのか。
ギニューの願いを杖は正しく受け取らなかったのか。
いいや違う、杖は確かにギニューの願いを叶えた。
湧き出る衝動を抑え、ボディーチェンジを可能とする。
今の状況を変えられる物を求めたギニューへ、望み通りの物を寄越したのである。
湧き出る衝動を抑え、ボディーチェンジを可能とする。
今の状況を変えられる物を求めたギニューへ、望み通りの物を寄越したのである。
「…!!」
杖を放り投げ刀を手に取る。
武器として構えるのではない、これの使い道はそんな事ではない。
チェンソーを出現させ刀身を力任せに両断。
柄のある方を放り、先端部分が残った刀身を血が出るのも構わず強く握り締め、
武器として構えるのではない、これの使い道はそんな事ではない。
チェンソーを出現させ刀身を力任せに両断。
柄のある方を放り、先端部分が残った刀身を血が出るのも構わず強く握り締め、
飲み込んだ。
咀嚼はできない、自ら喉の奥に突っ込み腹の底へと落とす。
咀嚼はできない、自ら喉の奥に突っ込み腹の底へと落とす。
「は…?」
傍から見ていた脹相達には訳が分からないだろう。
刀が出て来たのもそうだが、それを喰らったのだから。
刀が出て来たのもそうだが、それを喰らったのだから。
状況への理解が追い付かない者達と、奇行としか呼べぬ行動へ走った異形。
彼ら全員を地面に落ちた折れた刀、そこに浮かび上がる「目」が見つめていた。
彼ら全員を地面に落ちた折れた刀、そこに浮かび上がる「目」が見つめていた。
○
「――――」
変化が起こる。
欠けた部位が正しき姿を取り戻す。
肉が蠢き骨が再構築され、人では有り得ぬ現象は彼の体が悪魔である証。
欠けた部位が正しき姿を取り戻す。
肉が蠢き骨が再構築され、人では有り得ぬ現象は彼の体が悪魔である証。
「――――っはぁ…!戻ったか…!」
戻った。
金属のような皮膚も、針に似た歯の一本一本までもが完全に数分前と同じ。
発する事の叶わなかった言葉を口にし、改めて回復を理解。
撃たれて吹き飛んだチェンソーの悪魔の下顎は、綺麗さっぱり元通り。
金属のような皮膚も、針に似た歯の一本一本までもが完全に数分前と同じ。
発する事の叶わなかった言葉を口にし、改めて回復を理解。
撃たれて吹き飛んだチェンソーの悪魔の下顎は、綺麗さっぱり元通り。
悪魔を知る者がいれば、珍しくも無い光景と顔色一つ変えないだろう。
血液とは悪魔にとってのガソリンであり、どんな薬よりも効果がある回復アイテム。
血さえ摂取すればあらゆる重症もあっという間に治る。
それこそ肉体部位の欠損でさえも、血を飲めば無問題。
とはいえギニューがやったのは血液接種とは程遠い行為。
刀を飲み込んだ、それで下顎が元に戻った。
悪魔の特性とは当て嵌まらない、だというのに何故再生が可能となったのか。
血液とは悪魔にとってのガソリンであり、どんな薬よりも効果がある回復アイテム。
血さえ摂取すればあらゆる重症もあっという間に治る。
それこそ肉体部位の欠損でさえも、血を飲めば無問題。
とはいえギニューがやったのは血液接種とは程遠い行為。
刀を飲み込んだ、それで下顎が元に戻った。
悪魔の特性とは当て嵌まらない、だというのに何故再生が可能となったのか。
まず現在ギニューの肉体となっているデンジは、チェンソーの悪魔以外にも人間ではない存在と化している。
クワガタアマゾン、溶原性細胞の感染によりアマゾン化が起きてしまった。
これにより血だけでなく、人肉でも傷の再生がある程度可能という変異を引き起こした。
しかしギニューが食べたのは刀、人肉以前にそもそも食べ物ですらない。
クワガタアマゾン、溶原性細胞の感染によりアマゾン化が起きてしまった。
これにより血だけでなく、人肉でも傷の再生がある程度可能という変異を引き起こした。
しかしギニューが食べたのは刀、人肉以前にそもそも食べ物ですらない。
但しそれは、杖が出したのが普通の日本刀だったらの話。
杖の力で現れた刀、銘は虚哭神去。
十二鬼月の頂点に君臨する上弦の壱、黒死牟の刀である。
黒死牟が振るう虚哭神去は鬼殺隊の日輪刀と、決定的に違う点が一つ。
この刀は黒死牟自身の能力で生み出した、つまり鬼の血肉で作られている。
形こそ日本刀に変化していようと、刀身を走る血管と浮かび上がった目がその名残。
元が血肉であるのなら、チェンソーの悪魔とクワガタアマゾンの特性を併せ持つ肉体にとっては十分糧となる代物だ。
ギニューは虚哭神去の正体は知らずとも、刀を見た瞬間に空腹が強まったのを感じた。
故に賭けに出る思いで刀を飲み込み、結果は再生した下顎が物語り説明するまでも無い。
十二鬼月の頂点に君臨する上弦の壱、黒死牟の刀である。
黒死牟が振るう虚哭神去は鬼殺隊の日輪刀と、決定的に違う点が一つ。
この刀は黒死牟自身の能力で生み出した、つまり鬼の血肉で作られている。
形こそ日本刀に変化していようと、刀身を走る血管と浮かび上がった目がその名残。
元が血肉であるのなら、チェンソーの悪魔とクワガタアマゾンの特性を併せ持つ肉体にとっては十分糧となる代物だ。
ギニューは虚哭神去の正体は知らずとも、刀を見た瞬間に空腹が強まったのを感じた。
故に賭けに出る思いで刀を飲み込み、結果は再生した下顎が物語り説明するまでも無い。
杖はギニューの願いを叶えた。
それで終わるのなら、単に願いを叶えてくれるラッキーアイテムなら。
ギニューも絵美理ももっと早くに杖を使い、欲しい物を手にした筈だ。
それで終わるのなら、単に願いを叶えてくれるラッキーアイテムなら。
ギニューも絵美理ももっと早くに杖を使い、欲しい物を手にした筈だ。
「ぬぐっ!?」
そうしなかった理由が、杖が抱える重大なデメリットが襲い来る。
アマゾンになった時とはまた別の熱が、体の内側より発生。
皮膚がドス黒く変色、アマゾンの特徴で浮かんだ青黒い血管よりも尚色濃い。
変化が起きたのは体色のみではない、体全体が異様に膨れ上がった。
四肢は元より胴体すらも大きさを増し、着ていた看守用の制服が張り裂ける。
アマゾンになった時とはまた別の熱が、体の内側より発生。
皮膚がドス黒く変色、アマゾンの特徴で浮かんだ青黒い血管よりも尚色濃い。
変化が起きたのは体色のみではない、体全体が異様に膨れ上がった。
四肢は元より胴体すらも大きさを増し、着ていた看守用の制服が張り裂ける。
「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
雄叫びを上げるは完全なる変化を遂げた怪物。
黒光りする皮膚を持ち、巨大化したチェンソーを唸らせる。
腹部の肢も獲物を待ちわびるかのように揺れ、先端の爪も心なしか鋭さを増したように見える程。
杖で願いを叶えた者は、杖を守る異形と化す。
嘗て杖を使った小さな生き物達と同じ運命を、ギニューもまた辿ったのだ。
黒光りする皮膚を持ち、巨大化したチェンソーを唸らせる。
腹部の肢も獲物を待ちわびるかのように揺れ、先端の爪も心なしか鋭さを増したように見える程。
杖で願いを叶えた者は、杖を守る異形と化す。
嘗て杖を使った小さな生き物達と同じ運命を、ギニューもまた辿ったのだ。
◆
なにがどうしてこうなったのかを、誰も説明できない。
杖を振るって刀を出し、それを食べたら巨大な怪物になった。
ギニューに起きた変化を見たまま告げればこうだ。
巨大化した理由を知りたくとも、懇切丁寧に教えてくれるとは思っていない。
第一今となっては理由云々を深く考えている余裕は無い。
敵が巨大になった、つまりシンプルに脅威が増した。
その一点さえ理解出来れば、焦りはそのまま言葉になって飛び出す。
杖を振るって刀を出し、それを食べたら巨大な怪物になった。
ギニューに起きた変化を見たまま告げればこうだ。
巨大化した理由を知りたくとも、懇切丁寧に教えてくれるとは思っていない。
第一今となっては理由云々を深く考えている余裕は無い。
敵が巨大になった、つまりシンプルに脅威が増した。
その一点さえ理解出来れば、焦りはそのまま言葉になって飛び出す。
「柊!」
「っ!はい!」
「っ!はい!」
燃堂を押し付けるようにナナへ預け、ナナもまた燃堂の腕を引いて走り出す。
ポカンとした顔でギニューを見上げる燃堂へ、一々説明などしていられない。
等身大のサイズの時でさえ脹相達に任せるしかなかったのだ。
こんな規格外のサイズになった相手に出来ることなどあるとは思えない。
離れていろと言いたいのだろう脹相へ反論する気もなく、燃堂を無理矢理に引っ張って少しでもギニューから遠ざかる。
逃げる二人を見送らずに脹相は構え、遅れてしんのすけも我に返った。
巨大ロボットや大怪獣などとの戦いも経験してきたしんのすけだが、やはり見上げる程の敵の出現には驚きを隠せない。
ヒエール・ジョコマンとの戦いで操縦したカンタムロボもなければ、ミライマンの力も借りられない。
孫悟空の力で打ち倒す他ないだろう。
ポカンとした顔でギニューを見上げる燃堂へ、一々説明などしていられない。
等身大のサイズの時でさえ脹相達に任せるしかなかったのだ。
こんな規格外のサイズになった相手に出来ることなどあるとは思えない。
離れていろと言いたいのだろう脹相へ反論する気もなく、燃堂を無理矢理に引っ張って少しでもギニューから遠ざかる。
逃げる二人を見送らずに脹相は構え、遅れてしんのすけも我に返った。
巨大ロボットや大怪獣などとの戦いも経験してきたしんのすけだが、やはり見上げる程の敵の出現には驚きを隠せない。
ヒエール・ジョコマンとの戦いで操縦したカンタムロボもなければ、ミライマンの力も借りられない。
孫悟空の力で打ち倒す他ないだろう。
(…あの杖か?)
ギニューが巨大化する前、奇妙な杖を振るった。
もしかすれば杖をこちらで振るか、破壊さえすれば元の大きさに戻るかもしれない。
確証は無いが試す価値はある。
ギニューの近くに転がる杖を確保すべく駆け出す。
もしかすれば杖をこちらで振るか、破壊さえすれば元の大きさに戻るかもしれない。
確証は無いが試す価値はある。
ギニューの近くに転がる杖を確保すべく駆け出す。
「それに触るなあああああああああああ!!!」
杖を振るった者は杖の破壊を強く拒否する。
脹相目掛けて頭上よりクワガタアマゾンの肢が襲来。
このまま杖へと突き進んでは叩き潰される末路以外ない。
進行方向を変更、真横へ跳躍し直後に地面へ爪が突き刺さった。
脹相目掛けて頭上よりクワガタアマゾンの肢が襲来。
このまま杖へと突き進んでは叩き潰される末路以外ない。
進行方向を変更、真横へ跳躍し直後に地面へ爪が突き刺さった。
「しんのすけファイアー!」
己自身に喝を入れしんのすけもまた動き出す。
敵の接近に気付いたギニューは、もう一本の肢を振るう。
対処方法は殺し合いでしんのすけを幾度も救ったぷにぷに拳の奥義。
やっつやっぱり柔軟弾丸で跳ね回り肢を回避。
敵の接近に気付いたギニューは、もう一本の肢を振るう。
対処方法は殺し合いでしんのすけを幾度も救ったぷにぷに拳の奥義。
やっつやっぱり柔軟弾丸で跳ね回り肢を回避。
「おわわわわ…!?」
続けて振り下ろされたチェンソーもどうにか躱す。
しかし巨大になった分当然ながら射程距離も元のサイズの倍。
大きく跳ねて刃の直撃こそ避けたは良いものの、杖からも離されてしまった。
そう簡単には近付かせてももらえない。
しかし巨大になった分当然ながら射程距離も元のサイズの倍。
大きく跳ねて刃の直撃こそ避けたは良いものの、杖からも離されてしまった。
そう簡単には近付かせてももらえない。
「がが…がああああああああああああ!!!!」
杖の副作用で巨大化したギニューだが、この状況を喜ぶ気には全くなれない。
口は治ったからボディーチェンジも使える。
巨体を利用すれば参加者を一掃できる。
そういった自身に有利な事情を噛み締める余裕がギニューには全く無いのだ。
傷は回復した、だがアマゾンの持つ食人衝動自体は未だ健在。
加えて杖を守らなければという、副作用によって植え付けられた余計な思考まで生まれる始末。
ついでとばかりに、ギニューの視線は先程から脹相をやけに追っている。
厳密に言えば脹相の肉体となった、バルクホルンの胸をだ。
口は治ったからボディーチェンジも使える。
巨体を利用すれば参加者を一掃できる。
そういった自身に有利な事情を噛み締める余裕がギニューには全く無いのだ。
傷は回復した、だがアマゾンの持つ食人衝動自体は未だ健在。
加えて杖を守らなければという、副作用によって植え付けられた余計な思考まで生まれる始末。
ついでとばかりに、ギニューの視線は先程から脹相をやけに追っている。
厳密に言えば脹相の肉体となった、バルクホルンの胸をだ。
溶原性細胞に発症したアマゾンは特定の部位へ執着を見せる。
ギニューにも同様の症状が表れており、彼の場合は胸。
それも女性の胸だ。
走り回る度に服の上から揺れ動く乳房に食らい付き、噛み千切り、味わいたい。
本来のギニューならば有り得ない執着心は、肉体であるデンジの少年らしい健全な欲をアマゾン化により歪められた影響か。
ギニューにも同様の症状が表れており、彼の場合は胸。
それも女性の胸だ。
走り回る度に服の上から揺れ動く乳房に食らい付き、噛み千切り、味わいたい。
本来のギニューならば有り得ない執着心は、肉体であるデンジの少年らしい健全な欲をアマゾン化により歪められた影響か。
「オレは…杖…フリーザ様…肉を……」
嘗て杖を使い怪物と化した者は杖を折った方が良い考えとは反対に、杖を折らないでという気持ちも生まれた。
その際「心が二つある」と称したがギニューの場合はより深刻だ。
元から持つフリーザへの忠誠、アマゾン化による食人衝動、フリーザの肉に加え女の豊満な胸を喰いたい執着心、そして杖を守らねばという使命感。
忠誠心以外の余計な思考が混ざり、正常な判断力を奪われる。
その際「心が二つある」と称したがギニューの場合はより深刻だ。
元から持つフリーザへの忠誠、アマゾン化による食人衝動、フリーザの肉に加え女の豊満な胸を喰いたい執着心、そして杖を守らねばという使命感。
忠誠心以外の余計な思考が混ざり、正常な判断力を奪われる。
「肉を…女の…杖…胸…フリーザ様……オレは…!」
心が二つどころではない。
マーブル模様のようにかき混ぜられた思考は、ギニューを暴走へと導くのに十分過ぎた。
マーブル模様のようにかき混ぜられた思考は、ギニューを暴走へと導くのに十分過ぎた。
「オレはニクーザ様の胸の杖を守るんだあああああああああああああっ!!!!!」
両腕のチェンソーを足元に突き刺す。
そこにしんのすけ達はいない。
ただ単に雨を大量に含んだ砂浜を傷付け、一体なんの意味があるのだろうか。
暴走する余り敵の居場所も分からなくなったのか?
否、たとえ暴走していようとも杖を守る強迫観念にも似た意思は生きている。
突き刺さったチェンソーが回転し、泥をそこら中に撒き散らす。
変化はすぐに起きた。
両腕のチェンソーを突き刺した位置から根が張り出したではないか。
ギニュー自身が大木と化したかのように、彼を中心にして根の侵食が広がっていく。
そこにしんのすけ達はいない。
ただ単に雨を大量に含んだ砂浜を傷付け、一体なんの意味があるのだろうか。
暴走する余り敵の居場所も分からなくなったのか?
否、たとえ暴走していようとも杖を守る強迫観念にも似た意思は生きている。
突き刺さったチェンソーが回転し、泥をそこら中に撒き散らす。
変化はすぐに起きた。
両腕のチェンソーを突き刺した位置から根が張り出したではないか。
ギニュー自身が大木と化したかのように、彼を中心にして根の侵食が広がっていく。
「これは…」
巨大になっただけでなく、これまた新たな手に出た。
元の大きさの時には使わなかった攻撃に、脹相の警戒も強まる。
根はやがて脹相の足元にも到達。
ここから何をする気なのかと言う疑問は、地面から響いた稼働音で解消。
飛び退いた直後に足元から刃が突き出される。
回転するソレは正しくチェンソーの刃。
だがギニューの両腕と頭部に生えたものとは違う。
刃全体へ走り脈動する血管に、ギョロギョロと蠢く複数の目玉。
ギニューが喰らったあの不気味な日本刀と同じ特徴が、チェンソーにあるではないか。
元の大きさの時には使わなかった攻撃に、脹相の警戒も強まる。
根はやがて脹相の足元にも到達。
ここから何をする気なのかと言う疑問は、地面から響いた稼働音で解消。
飛び退いた直後に足元から刃が突き出される。
回転するソレは正しくチェンソーの刃。
だがギニューの両腕と頭部に生えたものとは違う。
刃全体へ走り脈動する血管に、ギョロギョロと蠢く複数の目玉。
ギニューが喰らったあの不気味な日本刀と同じ特徴が、チェンソーにあるではないか。
鬼喰いの剣士。
長き歴史の中でそう呼ばれた者が鬼殺隊にいた。
彼らは人でありながら鬼を喰らい、一時的に鬼と同じ怪力や再生能力を駆使する特異体質。
数百年を生きた上弦の壱をして、実物を見たのはたった二人だけという非常に稀な存在だ。
長き歴史の中でそう呼ばれた者が鬼殺隊にいた。
彼らは人でありながら鬼を喰らい、一時的に鬼と同じ怪力や再生能力を駆使する特異体質。
数百年を生きた上弦の壱をして、実物を見たのはたった二人だけという非常に稀な存在だ。
ギニューも、肉体であるデンジも鬼喰いの剣士ではない。
しかし殺し合いにおいて、悪魔のアマゾン化という異なる世界同士の異形が混ざり合う事態が起きた。
血を糧とする悪魔、人肉を糧とするアマゾン。
他者の血肉を己の燃料として取り込む異形の力が一つに宿り、そこへ加えて取り込んだのは上弦の鬼の一部。
であるならば、予期せぬ突然変異染みた現象が起きる筈は無いと、どうして否定できようか。
しかし殺し合いにおいて、悪魔のアマゾン化という異なる世界同士の異形が混ざり合う事態が起きた。
血を糧とする悪魔、人肉を糧とするアマゾン。
他者の血肉を己の燃料として取り込む異形の力が一つに宿り、そこへ加えて取り込んだのは上弦の鬼の一部。
であるならば、予期せぬ突然変異染みた現象が起きる筈は無いと、どうして否定できようか。
鬼喰いの剣士はただ鬼を喰らって怪力や治癒力を高めるだけではない。
喰らった鬼が鬼舞辻無惨に近ければ近い程、より強大な力を行使できる。
つまり力を着けた鬼と同じく、血鬼術すら人の身でありながら使う事が可能。
喰らった鬼が鬼舞辻無惨に近ければ近い程、より強大な力を行使できる。
つまり力を着けた鬼と同じく、血鬼術すら人の身でありながら使う事が可能。
悪魔、アマゾン、そして鬼。
三つの人喰いの異形の力をギニューは我が物としているのだった。
三つの人喰いの異形の力をギニューは我が物としているのだった。
「しんのすけ!足元にも気を付けろ!」
「わ、分かったゾ!」
「わ、分かったゾ!」
しんのすけに注意を促しつつも回避へ集中。
次から次へと足元からチェンソーが生え、付近一帯には稼働音が鳴り止まない。
足を斬られ機動力を奪われては、回避もままならずあっという間にミンチ確定だ。
地面の振動と近付く稼働音を頼りに飛び跳ね回る。
避けるだけでなく攻撃にも移りたいが、果たしてあの巨体相手に有効打を与えられるのかは自信がない。
的が大きくなれば当て易いとはいえ、流石に限度がある。
素手や拳銃のみならず、アタッシュショットガンですらここまでの大きさでは大したダメージにならないだろう。
本当に厄介な事になったと舌打ちが零れた。
次から次へと足元からチェンソーが生え、付近一帯には稼働音が鳴り止まない。
足を斬られ機動力を奪われては、回避もままならずあっという間にミンチ確定だ。
地面の振動と近付く稼働音を頼りに飛び跳ね回る。
避けるだけでなく攻撃にも移りたいが、果たしてあの巨体相手に有効打を与えられるのかは自信がない。
的が大きくなれば当て易いとはいえ、流石に限度がある。
素手や拳銃のみならず、アタッシュショットガンですらここまでの大きさでは大したダメージにならないだろう。
本当に厄介な事になったと舌打ちが零れた。
「イロハオエ~♪」
海藻のように捕えどころのない動きはぷにぷに拳の奥義が一。
ひとつひとより和毛和布を使い、そこから更にフラダンスにも似た動きへと発展。
傍目には気の抜けるような動作にしか映らないが、チェンソーを回避しているのだから大したもの。
尤もしんのすけが浮かべる表情に余裕は無い。
如何せん手数はギニューのが圧倒的に上。
回復ポッドのお陰で万全の状態にまで治ったから良かったものの、負傷を引き摺ったまま戦いに臨んでいたらきっとこうはならなかった。
悟空の体を持つしんのすけと言えども、限界が訪れていただろう光景は現実のものと化した筈。
ひとつひとより和毛和布を使い、そこから更にフラダンスにも似た動きへと発展。
傍目には気の抜けるような動作にしか映らないが、チェンソーを回避しているのだから大したもの。
尤もしんのすけが浮かべる表情に余裕は無い。
如何せん手数はギニューのが圧倒的に上。
回復ポッドのお陰で万全の状態にまで治ったから良かったものの、負傷を引き摺ったまま戦いに臨んでいたらきっとこうはならなかった。
悟空の体を持つしんのすけと言えども、限界が訪れていただろう光景は現実のものと化した筈。
避けるだけでは一向に埒が明かない。
ギニューの巨大化がいつまで続くか分からない以上、無駄に体力を消費するのは得策に非ず。
危険は承知で勝負に出る。
そう決断した脹相は一旦距離を取り、ストライカーユニットを装着。
地面から襲い来るチェンソーも、空中というフィールドまでは届かない。
ギニューの巨大化がいつまで続くか分からない以上、無駄に体力を消費するのは得策に非ず。
危険は承知で勝負に出る。
そう決断した脹相は一旦距離を取り、ストライカーユニットを装着。
地面から襲い来るチェンソーも、空中というフィールドまでは届かない。
(俺が惹き付ければ、しんのすけが杖を取りに行ける筈だ…!)
囮役は敵の注意を惹き付ける役目上、必然的に最も危険に晒される。
しかし悪戯に時間と体力を無駄にするよりは、リスクがあろうと勝てる選択をするべきだ。
二回目となるストライカーユニットも体が覚えているお陰か、苦も無く飛行が可能。
真正面のギニューへ突撃。
腕を振り被るのが見えたならうかうかしていられない、回避行動へと移る。
直撃はしなくとも暴風が叩きつけられたような余波が襲い掛かり、必死に耐えねば紙屑のように吹き飛ばされそうだ。
反対の腕が攻撃動作に移るのを待たずに直進。
顔の真横を通過し、耳元で蚊が飛んでいるかのような不快感をギニューは味わう。
耳らしき器官は見当たらないが反応は有りだ、後頭部付近へと回り込んだ脹相に意識が向かう。
振り返ると頭部のチェンソーが迫り真下へと回避。
しかし悪戯に時間と体力を無駄にするよりは、リスクがあろうと勝てる選択をするべきだ。
二回目となるストライカーユニットも体が覚えているお陰か、苦も無く飛行が可能。
真正面のギニューへ突撃。
腕を振り被るのが見えたならうかうかしていられない、回避行動へと移る。
直撃はしなくとも暴風が叩きつけられたような余波が襲い掛かり、必死に耐えねば紙屑のように吹き飛ばされそうだ。
反対の腕が攻撃動作に移るのを待たずに直進。
顔の真横を通過し、耳元で蚊が飛んでいるかのような不快感をギニューは味わう。
耳らしき器官は見当たらないが反応は有りだ、後頭部付近へと回り込んだ脹相に意識が向かう。
振り返ると頭部のチェンソーが迫り真下へと回避。
「そうだ、こっちを見ろ」
狙い通りギニューはしんのすけから意識を外し、先に脹相を仕留めに来た。
地面に突き刺したチェンソーを引っこ抜き、これでしんのすけも動き易くなった筈。
後は杖を拾えるまでこっちで動き回り、しんのすけのほうへ気付かせないようにするだけ。
文字にすれば単純でも実際にやる脹相は命懸けだ。
胴体付近を飛び回ると足を振り上げた、蹴り落とす気だろう。
一撃でも食らえばまともな死体は残らない、後方へと退く。
余波が襲うも蹴りが当たっていないなら上等。
上昇しようとし、ゾクリと背筋を冷たいものが走った。
蹴りは避けた、だから問題ない筈。
違うただの蹴りじゃない、伸ばしたままの脚を突き破って巨大な刃が迫り来る。
地面に突き刺したチェンソーを引っこ抜き、これでしんのすけも動き易くなった筈。
後は杖を拾えるまでこっちで動き回り、しんのすけのほうへ気付かせないようにするだけ。
文字にすれば単純でも実際にやる脹相は命懸けだ。
胴体付近を飛び回ると足を振り上げた、蹴り落とす気だろう。
一撃でも食らえばまともな死体は残らない、後方へと退く。
余波が襲うも蹴りが当たっていないなら上等。
上昇しようとし、ゾクリと背筋を冷たいものが走った。
蹴りは避けた、だから問題ない筈。
違うただの蹴りじゃない、伸ばしたままの脚を突き破って巨大な刃が迫り来る。
「――っ!!!」
両腕のチェンソーを引っ込められるのは知っていた。
だが足からもチェンソーを生やせるとは思わず、焦りは急上昇。
スピードを一気に引き上げ、全身に負担が圧し掛かる。
体中が悲鳴を上げるも、チェンソーの直撃を受けるのに比べたら屁でも無い。
回避には成功、今の無茶な動きだけで大分体力を持って行かれた。
更に最悪な事に、脹相が一撃避けるだけでも命懸けでもギニューには関係ない。
避け終えたばかりの脹相へと迫る腕のチェンソー。
回転数を上げる刃を前に休む間もなく回避に移ろうとし、しかし思考とは裏腹に動きが追い付かない。
無茶をしたツケだ、痛む体は次の行動へ動くのを遅らせた。
時間にすればほんの数秒でも、余りに致命的と言う他無い。
最早回避は間に合わない、今から動いた所で精々腕一本くらいはチェンソーから逃れられる程度。
残された選択肢は黙って死を受け入れる、ではなく防御。
ウィッチには空を飛び、固有魔法以外にも使える力が残されている。
だが足からもチェンソーを生やせるとは思わず、焦りは急上昇。
スピードを一気に引き上げ、全身に負担が圧し掛かる。
体中が悲鳴を上げるも、チェンソーの直撃を受けるのに比べたら屁でも無い。
回避には成功、今の無茶な動きだけで大分体力を持って行かれた。
更に最悪な事に、脹相が一撃避けるだけでも命懸けでもギニューには関係ない。
避け終えたばかりの脹相へと迫る腕のチェンソー。
回転数を上げる刃を前に休む間もなく回避に移ろうとし、しかし思考とは裏腹に動きが追い付かない。
無茶をしたツケだ、痛む体は次の行動へ動くのを遅らせた。
時間にすればほんの数秒でも、余りに致命的と言う他無い。
最早回避は間に合わない、今から動いた所で精々腕一本くらいはチェンソーから逃れられる程度。
残された選択肢は黙って死を受け入れる、ではなく防御。
ウィッチには空を飛び、固有魔法以外にも使える力が残されている。
アタッシュショットガンを地面に放り両手を翳す。
魔法力が生み出すは身を守る魔力のシールド。
平時でも使えるがストライカーユニットを履いたウィッチは、より強力な盾を作れる。
叩きつけられるチェンソー、回転する刃に魔力が削り取られる錯覚を覚えた。
バルクホルンの体には掠り傷一つ付かない、刃はシールドを壊せなかった。
魔法力が生み出すは身を守る魔力のシールド。
平時でも使えるがストライカーユニットを履いたウィッチは、より強力な盾を作れる。
叩きつけられるチェンソー、回転する刃に魔力が削り取られる錯覚を覚えた。
バルクホルンの体には掠り傷一つ付かない、刃はシールドを壊せなかった。
「くぉ――」
防いだのはあくまで生身の体への直撃のみ。
チェンソーを叩きつけられた衝撃自体は強化されたシールドだろうと防ぎ切れない。
バッターに打たれたボールの如く殴り飛ばされた。
勢いが強過ぎるが為に空中で持ち直せず、ロクに身動きも取れない。
いつまでこの状態なんだと焦り、直後に背中から叩きつけられる。
背後にあるのはフリーザの宇宙船だ。
金属製の機体に激突した痛みで一瞬呼吸が止まり、目からチカチカと火花が散る。
地面に落ちた時には受け身も取れず、うつ伏せに倒れ小さく身動ぎするばかり。
チェンソーを叩きつけられた衝撃自体は強化されたシールドだろうと防ぎ切れない。
バッターに打たれたボールの如く殴り飛ばされた。
勢いが強過ぎるが為に空中で持ち直せず、ロクに身動きも取れない。
いつまでこの状態なんだと焦り、直後に背中から叩きつけられる。
背後にあるのはフリーザの宇宙船だ。
金属製の機体に激突した痛みで一瞬呼吸が止まり、目からチカチカと火花が散る。
地面に落ちた時には受け身も取れず、うつ伏せに倒れ小さく身動ぎするばかり。
「脹相おねえさん!」
攻撃された仲間を無視し、杖を取りに行く。
合理的な思考は最初から頭には無く、足を止めて振り返った。
どんな状況だろうと友や仲間を蔑ろにしない。
しんのすけの美点だがこの場においては悪手だ。
杖に近付こうとする不届き者の存在をギニューが再び察知、両腕を地面に突き刺す。
合理的な思考は最初から頭には無く、足を止めて振り返った。
どんな状況だろうと友や仲間を蔑ろにしない。
しんのすけの美点だがこの場においては悪手だ。
杖に近付こうとする不届き者の存在をギニューが再び察知、両腕を地面に突き刺す。
「ツエーザ様の胸に触れるな肉があああああああああああ!!!」
正気を失った言葉と共にチェンソーを生やす。
足元から響く稼働音に慌てて回避へ移るが一手遅い。
脚の肉が削がれ胴着が赤く染まる。
皮を裂かれただけだ、骨には到達しておらず移動に支障は無い。
何よりこの程度の痛みに構っていては、今度こそ本当に真っ二つ。
入れ替える筈の悟空の体ですら躊躇なく斬る様子を見ると、ギニューからは冷静さが抜け落ちているらしい。
相手の事情を知る由の無いしんのすけはチェンソーを避け続ける。
これまで同様、悟空の身体能力とぷにぷに拳を組み合わせた動きは効果を発揮。
最初の一撃以降は当たっていないが、避けてばかりでは状況は変わらない。
脹相が心配でもチェンソーが邪魔で近づけず、焦りと悔しさに汗が滲む。
そんなしんのすけの後方で、脹相の元に近付く人影があった。
足元から響く稼働音に慌てて回避へ移るが一手遅い。
脚の肉が削がれ胴着が赤く染まる。
皮を裂かれただけだ、骨には到達しておらず移動に支障は無い。
何よりこの程度の痛みに構っていては、今度こそ本当に真っ二つ。
入れ替える筈の悟空の体ですら躊躇なく斬る様子を見ると、ギニューからは冷静さが抜け落ちているらしい。
相手の事情を知る由の無いしんのすけはチェンソーを避け続ける。
これまで同様、悟空の身体能力とぷにぷに拳を組み合わせた動きは効果を発揮。
最初の一撃以降は当たっていないが、避けてばかりでは状況は変わらない。
脹相が心配でもチェンソーが邪魔で近づけず、焦りと悔しさに汗が滲む。
そんなしんのすけの後方で、脹相の元に近付く人影があった。
「おい!大丈夫かよちょーそー!」
「…何でこっちに来た」
「…何でこっちに来た」
これまでのバカを絵に描いた能天気な表情とは打って変わり、真剣な顔つきで声を掛ける少女。
燃堂に思わず脹相は呆れを抱く。
幾らバカでも巨大な怪物が暴れ回っていれば、危機感を抱くだろうに。
安全圏まで逃げれば良いものを、何故わざわざ戻って来たのか。
いや、理由は単純。
こいつはバカだが下衆ではない、人間として当たり前の善性を持っているから。
宇宙船内でしんのすけを論した時、困惑を抱きつつもただのバカではないと察せられた。
肩を貸されどうにか立ち上がりふと顔を上げ、ナナが駆け寄って来るのが見える。
メガネの位置がずれ焦りを顔に出している姿から、何があったかは安易に察しが付く。
きっと制止も聞かずに自分の元へ走り出した燃堂を慌てて追いかけて来たに違いない。
つくづく燃堂に振り回される奴だと、緊迫した場には不釣り合いな呆れ笑いが浮かぶ。
燃堂に思わず脹相は呆れを抱く。
幾らバカでも巨大な怪物が暴れ回っていれば、危機感を抱くだろうに。
安全圏まで逃げれば良いものを、何故わざわざ戻って来たのか。
いや、理由は単純。
こいつはバカだが下衆ではない、人間として当たり前の善性を持っているから。
宇宙船内でしんのすけを論した時、困惑を抱きつつもただのバカではないと察せられた。
肩を貸されどうにか立ち上がりふと顔を上げ、ナナが駆け寄って来るのが見える。
メガネの位置がずれ焦りを顔に出している姿から、何があったかは安易に察しが付く。
きっと制止も聞かずに自分の元へ走り出した燃堂を慌てて追いかけて来たに違いない。
つくづく燃堂に振り回される奴だと、緊迫した場には不釣り合いな呆れ笑いが浮かぶ。
「燃堂さん…!あなたは本当に…勝手に動いて…!」
「お?何だ相棒の弟。お前相棒よりも体力ねぇのか?」
「…っ!また来るぞ!」
「お?何だ相棒の弟。お前相棒よりも体力ねぇのか?」
「…っ!また来るぞ!」
チェンソーを起点に侵食する根は脹相達の元へと近付く。
間近に迫った脅威を目撃しては、ナナも文句を言っている場合では無いと即座に切り替えた。
燃堂への文句など生きていれば幾らでも言う機会がある。
反対の肩を脹相に貸して一先ず宇宙船内に避難。
数秒遅れて三人が立っていた場所へ生えるチェンソー、もう少し遅れていたらを考えれば背筋が寒くなる。
ハッチを通じて中に入り奥へと進む三人。
その間にもチェンソーは次々に地面から顔を出し、機体表面を削り取った。
フリーザ軍の技術力で生み出された船故か、今のところ大破を免れてはいる。
だがいつまで持ちこたえられるかは不明、現にハッチ付近は耐え切れずに斬られ断面が火花を散らす。
せめて迎撃システムでも使えれば別だが操縦はおろか、レーザー砲の一つも動かない。
公平さを保つために大半のシステムをオミットしたのだろうけれど、この状況では余計な真似をと主催者に恨みを言いたくなる。
言っても状況は微塵も好転しない為、無駄に怒って体力を使う気は無いが。
間近に迫った脅威を目撃しては、ナナも文句を言っている場合では無いと即座に切り替えた。
燃堂への文句など生きていれば幾らでも言う機会がある。
反対の肩を脹相に貸して一先ず宇宙船内に避難。
数秒遅れて三人が立っていた場所へ生えるチェンソー、もう少し遅れていたらを考えれば背筋が寒くなる。
ハッチを通じて中に入り奥へと進む三人。
その間にもチェンソーは次々に地面から顔を出し、機体表面を削り取った。
フリーザ軍の技術力で生み出された船故か、今のところ大破を免れてはいる。
だがいつまで持ちこたえられるかは不明、現にハッチ付近は耐え切れずに斬られ断面が火花を散らす。
せめて迎撃システムでも使えれば別だが操縦はおろか、レーザー砲の一つも動かない。
公平さを保つために大半のシステムをオミットしたのだろうけれど、この状況では余計な真似をと主催者に恨みを言いたくなる。
言っても状況は微塵も好転しない為、無駄に怒って体力を使う気は無いが。
「お?何だここ、めちゃくちゃ床が揺れてんぞ?」
「燃堂さんそっちじゃありません!じっとしてないで早く!」
「奥に行け…!ここも限界だ…!」
「燃堂さんそっちじゃありません!じっとしてないで早く!」
「奥に行け…!ここも限界だ…!」
如何にフリーザ軍の宇宙船と言えども、一方的に攻撃を受け続けては破壊されるのも時間の問題。
不自然に揺れ動く床に首を傾げる燃堂を引き摺り、直後船内へチェンソーの刃が出現。
真下から絶えず削られ、とうとうチェンソーの侵入を許してしまった。
脹相の言う通り同じ箇所に留まるのは自殺行為以外の何者でもない。
まだある程度は耐えられるエリアへ向かうも、それだって直に限界を迎える。
そうやって場所を変え移動続けたとて、最終的には逃げ場無しとなるのは明白。
今から外へ逃げ出したってあっという間にチェンソーの餌食だ。
仲間との合流場所に選んだ宇宙船は、今やナナ達にとって巨大な鉄の棺桶も同然。
自軍の船を破壊する蛮行も、暴走したギニューにはまともな判断が不可能。
敵自ら攻撃を止めてくれる展開には期待するだけ無駄。
残された道は二つ、このまま宇宙船諸共運命を共にするか。
或いは、ただ一人戦う少年がその運命を変えるか、だ。
不自然に揺れ動く床に首を傾げる燃堂を引き摺り、直後船内へチェンソーの刃が出現。
真下から絶えず削られ、とうとうチェンソーの侵入を許してしまった。
脹相の言う通り同じ箇所に留まるのは自殺行為以外の何者でもない。
まだある程度は耐えられるエリアへ向かうも、それだって直に限界を迎える。
そうやって場所を変え移動続けたとて、最終的には逃げ場無しとなるのは明白。
今から外へ逃げ出したってあっという間にチェンソーの餌食だ。
仲間との合流場所に選んだ宇宙船は、今やナナ達にとって巨大な鉄の棺桶も同然。
自軍の船を破壊する蛮行も、暴走したギニューにはまともな判断が不可能。
敵自ら攻撃を止めてくれる展開には期待するだけ無駄。
残された道は二つ、このまま宇宙船諸共運命を共にするか。
或いは、ただ一人戦う少年がその運命を変えるか、だ。