前回までのあらすじ
「そうだな…なんとなく『勃起』を連想させるニュアンスだ」
「そうだな…なんとなく『勃起』を連想させるニュアンスだ」
『改めて自己紹介から始めよう。僕の名前は斉木楠雄。超能力者だ』
突如として自分の脳内に出現した男の存在にナナは困惑する。
これまでこの殺し合いにおける最大のテーマは、精神の入れ替りのはずだった。
現在の身体の元の持ち主の精神は、精神が別に参加者として登録されていない限り、そもそもこの戦いの舞台にいないはずだった。
そのはずなのに、この男…斉木楠雄はこのような形で自分に言葉を伝えて来た。
これまでこの殺し合いにおける最大のテーマは、精神の入れ替りのはずだった。
現在の身体の元の持ち主の精神は、精神が別に参加者として登録されていない限り、そもそもこの戦いの舞台にいないはずだった。
そのはずなのに、この男…斉木楠雄はこのような形で自分に言葉を伝えて来た。
『「信じられない」、そう思っているな』
「!」
それは明らかに、今のナナの心を読んだとしか思えない言葉であった。
『今の僕とお前は一心同体らしいからな。読む気が無くとも勝手に伝わってくる。こんなことでいちいち驚いてもらっては困る』
またまたナナの反応に合わせた返答をしてくる。
脳裏に映った男の像は、口が開かなくとも言葉を伝えてくる。
どうも、ナナの精神に直接語り掛けてきているようだった。
脳裏に映った男の像は、口が開かなくとも言葉を伝えてくる。
どうも、ナナの精神に直接語り掛けてきているようだった。
『これまでの情報の共有とかもする必要は無い。僕はお前の動向をこれまで全て見て来たからな』
「……全部、ですか?私についても?」
『いや、厳密には全てではない』
『この僕の意識が生じたのは深夜の頃、お前が燃堂とラーメン屋で話し始めたあたりからだ』
『この僕の意識が生じたのは深夜の頃、お前が燃堂とラーメン屋で話し始めたあたりからだ』
「あそこから…?」
そんなタイミングからだということには、ナナは正直驚く。
あの場面のどこに意識が目覚める要素があったというのだと思ってしまう。
その疑問は、ここでは解決されない。
あの場面のどこに意識が目覚める要素があったというのだと思ってしまう。
その疑問は、ここでは解決されない。
『あのころから、お前が見て感じてきたこと、考えてきたことが全て僕に伝わっている』
斉木楠雄は自分がナナの心を読めていることを強調してくる。
取り繕って猫を被ることなんか無駄だとでも言うように。
取り繕って猫を被ることなんか無駄だとでも言うように。
ナナは、そのことに対し不快感を抱く。
思考を読まれていただなんてことを知っていい気持ちになるわけがない。
ましてや、それが異性であるのならなおさらだ。
思考を読まれていただなんてことを知っていい気持ちになるわけがない。
ましてや、それが異性であるのならなおさらだ。
『心が読めると自称していたくせにそんなことを思うのか』
「それとこれとは話が別です」
『まあ、確かにそうだな。悪かった』
「それとこれとは話が別です」
『まあ、確かにそうだな。悪かった』
その謝罪の言葉は本心であることは、ナナに感じられた。
まるで、心が繋がっているかのようだった。
聞こえてくる声も、確かに相手が本心から考えていることであると分からされている感覚があった。
正直、ナナとしてはその感覚を信じたくないと思っているが。
そして、もし本当に悪いと思っていたとしても、不快な気持ちが消えることはないだろう。
まるで、心が繋がっているかのようだった。
聞こえてくる声も、確かに相手が本心から考えていることであると分からされている感覚があった。
正直、ナナとしてはその感覚を信じたくないと思っているが。
そして、もし本当に悪いと思っていたとしても、不快な気持ちが消えることはないだろう。
『あと今までずっと思っていたことなんだが、僕の顔で明るくあざとい女子の演技をするのは止めろ』
『今は男子高校生の姿だという自覚はないのか』
『不自然過ぎるし気持ち悪く見えるぞ』
「し、仕方ないじゃないですか!あれが普段の私なんですから!」
『今は男子高校生の姿だという自覚はないのか』
『不自然過ぎるし気持ち悪く見えるぞ』
「し、仕方ないじゃないですか!あれが普段の私なんですから!」
まさかの文句も飛んできて、つい大きな声で反論する。
確かに言われてみれば今までの自分の言動は「柊ナナ」としてはあまり不自然ではないだろうが、「斉木楠雄」としては奇異だったかもしれない。
でもこの件については自分は悪くないとナナは思う。
確かに言われてみれば今までの自分の言動は「柊ナナ」としてはあまり不自然ではないだろうが、「斉木楠雄」としては奇異だったかもしれない。
でもこの件については自分は悪くないとナナは思う。
いや、こんな無駄話で時間を潰している暇はない。
今話すべきことは他にある。
今話すべきことは他にある。
もし今自分が見ているものが本当に斉木楠雄であるならば、ナナは彼に聞きたいこと・言いたいことがたくさんある。
そんなナナの考えを見透かすかのように、男の像は言葉を続けた。
そんなナナの考えを見透かすかのように、男の像は言葉を続けた。
『お前が知りたいことは分かっている。僕が本物の斉木楠雄の精神なのか、何故この殺し合いのテーマに反するかのように出てきて、今更話せているのか、そして主催陣営にいる僕の兄について…他にもまだまだあるだろう』
『それらのことについて話したいのは僕も同じだ』
『それらのことについて話したいのは僕も同じだ』
確かにナナは今言われた通りの疑問を持っていた。
真偽はともかく、相手の言葉に集中したいと思い始めた。
真偽はともかく、相手の言葉に集中したいと思い始めた。
「柊、さっきから誰と話しているんだ?」
「お?」
「お?」
そんな折に、戦兎と燃堂の声も聞こえて来た。
これは斉木の声とは違い脳内に直接響いてきているわけではない。
近くにいる彼らが耳に直接届けている声だ。
これは斉木の声とは違い脳内に直接響いてきているわけではない。
近くにいる彼らが耳に直接届けている声だ。
今のナナと斉木の会話は普通の時間の流れで行われている。
ナナとは違い、戦兎は斉木楠雄の声が聞こえていない。
逆に、ナナが斉木に対して返事した声は聞こえていた。
戦兎から見れば、ナナは額に触れて目を閉じた後、急に怪訝な表情を浮かべながら独り言をぶつぶつ呟いているように見えている。
ナナとは違い、戦兎は斉木楠雄の声が聞こえていない。
逆に、ナナが斉木に対して返事した声は聞こえていた。
戦兎から見れば、ナナは額に触れて目を閉じた後、急に怪訝な表情を浮かべながら独り言をぶつぶつ呟いているように見えている。
「さっき斉木楠雄の名前を呼んでいたが…もしかして、そいつと話せているのか?お前の中にいたということか!?」
「………はい」
「………はい」
そんなナナの様子からその答えにたどり着く。
ナナは目をつぶりながらも戦兎の声を認識し、肯定する。
ナナは目をつぶりながらも戦兎の声を認識し、肯定する。
「どういうことだ…?身体側の人物の精神も存在していたということか?俺たちは精神を入れ替えられたわけじゃないのか…?」
「相棒が何だって?」
「相棒が何だって?」
戦兎もまたそこから生じる疑問も導き出す。
燃堂はその近くで状況を分かっていないままポカンとしている。
そして、少しの間考え込み、ナナの耳元に近づいて矢継ぎ早に喋り始める。
燃堂はその近くで状況を分かっていないままポカンとしている。
そして、少しの間考え込み、ナナの耳元に近づいて矢継ぎ早に喋り始める。
「なあ斉木楠雄、本当にそこにいるのなら、そして知っているのなら教えてくれ!俺たちは何故こんなことをやらされている!ボンドルドやお前の兄は一体何を企んでいる!奴らはどうやって俺たちの身体を変えた!」
「お?相棒いるのか?どこだ?」
「お?相棒いるのか?どこだ?」
戦兎はナナの中にいるであろう斉木楠雄に向かって質問攻めにする。
肉体の記憶を見ることが出来るのではと考えてナナにサイコメトリーを試させたのだが、予想外の出来事に少々焦ってしまっていた。
対して燃堂は、近くに斉木がいると思ったのか辺りを見渡し始める。
肉体の記憶を見ることが出来るのではと考えてナナにサイコメトリーを試させたのだが、予想外の出来事に少々焦ってしまっていた。
対して燃堂は、近くに斉木がいると思ったのか辺りを見渡し始める。
「あの、戦兎さん。ちょっとうるさいです」
『同感だ』
「あ、ああ…すまん」
「お?」
『同感だ』
「あ、ああ…すまん」
「お?」
煩わしそうに軽くあしらわれ、戦兎は少し後ずさる。
「しかしどういうことだ?俺の中には佐藤太郎がいるような感じはしない。何故柊には身体側の人物の精神がある?」
疑問に感じる部分はまだ存在する。
戦兎はこれまで、佐藤太郎の人生の断片の記憶が見えるといった現象はあれど、本人が自分に語り掛けるなんてことは起きなかった。
ふと少しそのことについて考えてみると、そんな自分とナナには違う点があることに気づく。
戦兎はこれまで、佐藤太郎の人生の断片の記憶が見えるといった現象はあれど、本人が自分に語り掛けるなんてことは起きなかった。
ふと少しそのことについて考えてみると、そんな自分とナナには違う点があることに気づく。
「俺は夢の形で佐藤太郎の記憶を見た。だが、柊は眠っても自分の過去しか見れなかった。……肉体の記憶が見えるのならば、身体側の精神は存在しないということになるのか?」
戦兎はそう考察する。
何故斉木楠雄の身体にだけ元の精神が存在しているかの理由は分からないが、逆に存在しない条件ならばそんな風に考えられる。
何故斉木楠雄の身体にだけ元の精神が存在しているかの理由は分からないが、逆に存在しない条件ならばそんな風に考えられる。
『本当にそうかは分からないが、可能性はあるかもしれないな』
「……実際にその通りかはまだ分かりませんが、可能性としてはあるようです」
「……実際にその通りかはまだ分かりませんが、可能性としてはあるようです」
ナナは戦兎の考察に対する斉木の言葉を届ける。
残念ながら、彼も答えは知らないようだ。
残念ながら、彼も答えは知らないようだ。
「なあ桐生、相棒どこにいんだー?全然見つかんねーぞ」
斉木、ナナ、戦兎が少々手間取る会話をする中で、燃堂は状況を全く理解できていないまま行動している。
ベッドの下といったスペースのある場所だけでなく、机の引き出しの中とか狭い所までを探り始めている。
どう考えてもそこに人間はいないだろうに。
ベッドの下といったスペースのある場所だけでなく、机の引き出しの中とか狭い所までを探り始めている。
どう考えてもそこに人間はいないだろうに。
「もしかしてあいつウンコ行ったんか?そんなら俺っちが見に行ってくるぜ」
『おい、今すぐそこの馬鹿を止めろ。そして目を離すな』
『おい、今すぐそこの馬鹿を止めろ。そして目を離すな』
燃堂が急に3人のいる病室から出て一人で行動しようとした矢先、ナナの脳内の斉木楠雄が呼び止めた。
そして、要求を話し始めた。
そして、要求を話し始めた。
『今の僕は自分の口を使えない。残念だが、桐生戦兎とは直接会話できない。僕の言葉は後でまとめてお前から伝えろ。そうじゃなきゃ、僕の持つ情報の伝達は円滑に進められないだろう』
『あと燃堂を抑えさせろ。確実に邪魔になる。終わるまでここから離せ』
「………斉木さんとの会話は私しかできないみたいです。話すこともたくさんあります。集中したいので待っていてくれませんか?それから、燃堂さんをここから離してください。斉木さんもそう頼んでいます」
『あと燃堂を抑えさせろ。確実に邪魔になる。終わるまでここから離せ』
「………斉木さんとの会話は私しかできないみたいです。話すこともたくさんあります。集中したいので待っていてくれませんか?それから、燃堂さんをここから離してください。斉木さんもそう頼んでいます」
ナナは戦兎に斉木からの要求を伝える。
はっきり言って、ナナを通じて話すのは全員にとってかなりやりづらい。
そして燃堂がここにいては、斉木と話すナナの声に一々いらん反応をして話の進行の障害になる可能性があるとの判断だ。
それに、今ので燃堂は斉木楠雄がこの病院内にいると思い始めた。
ナナが黙っていたら今度は一人で勝手に探しに行きかねない。
はっきり言って、ナナを通じて話すのは全員にとってかなりやりづらい。
そして燃堂がここにいては、斉木と話すナナの声に一々いらん反応をして話の進行の障害になる可能性があるとの判断だ。
それに、今ので燃堂は斉木楠雄がこの病院内にいると思い始めた。
ナナが黙っていたら今度は一人で勝手に探しに行きかねない。
「…どうしても俺は話を聞けないのか?」
『本当なら確かに桐生戦兎は僕らの様子を見張った方が良いだろう。しかしだ、燃堂がこうなってしまってはどうすることもできない』
『関わりの深かった僕が言うのだがらそうなのだと、仕方ないから、とりあえず今は我慢しろと言え』
「………燃堂さんがこうなっては仕方ない、関わりの深かった自分だから分かる、今は耐えてください、と言っています」
『本当なら確かに桐生戦兎は僕らの様子を見張った方が良いだろう。しかしだ、燃堂がこうなってしまってはどうすることもできない』
『関わりの深かった僕が言うのだがらそうなのだと、仕方ないから、とりあえず今は我慢しろと言え』
「………燃堂さんがこうなっては仕方ない、関わりの深かった自分だから分かる、今は耐えてください、と言っています」
ナナを通じて戦兎は斉木楠雄の意思を受けとる。
そして少しの間悩み、結論を出す。
そして少しの間悩み、結論を出す。
「……分かった。そっちの方は頼む。俺はとりあえず杉元達の方に向かおうと思う。燃堂、こっちにこい」
「お?」
「お?」
戦兎は言われた通り燃堂を連れて一旦離れることを選ぶ。
対し燃堂は相変わらず状況を分かってない。
対し燃堂は相変わらず状況を分かってない。
「とりあえず俺たちは一旦この部屋から出る。また頃合いを見計らってここに戻ってくるから、その時に何を聞けたか教えてくれ。そっちの方が早く終わったら俺たちの方に来てくれ」
戦兎はナナにこれからどう動くつもりなのかを伝える。
なるべく早く、合流できるようにと思ってだ。
なるべく早く、合流できるようにと思ってだ。
「ほら、行くぞ燃堂」
「お?弟のお前は行かねえのか?」
「いいからさっさと行ってください!」
「お?弟のお前は行かねえのか?」
「いいからさっさと行ってください!」
「ほら、こっちだ」
「ちょ、おい待っ、お~…」
「ちょ、おい待っ、お~…」
戦兎はおとなしく引き下がり、燃堂を連れて現在彼らがいる病室から出る。
戦兎は燃堂を無理矢理気味に引きずって廊下の方に出る。
戦兎は燃堂を無理矢理気味に引きずって廊下の方に出る。
ナナの中にいるらしき斉木楠雄と話ができないのは残念だが、自分が声を聞けないのならしょうがない。
それに、燃堂が明らかに障害になることは戦兎も理解できてしまう。
かといって、部屋の外に一人で放り出すわけにもいかない。
しっかり見張っておかないとやはり勝手に別の場所に行きかねない。
危険な目に合わせないためにも、一緒に出るしかなかった。
それに、燃堂が明らかに障害になることは戦兎も理解できてしまう。
かといって、部屋の外に一人で放り出すわけにもいかない。
しっかり見張っておかないとやはり勝手に別の場所に行きかねない。
危険な目に合わせないためにも、一緒に出るしかなかった。
「なあ桐生どこ行くんだよ?相棒ウンコじゃねーのか?」
「ウンコじゃねーよ。とりあえず杉元のとこ行くぞ」
「お?そっちいるんか?」
「……まあ、そういうことにしておこう。一応、いないとも思っておいてくれ」
「ウンコじゃねーよ。とりあえず杉元のとこ行くぞ」
「お?そっちいるんか?」
「……まあ、そういうことにしておこう。一応、いないとも思っておいてくれ」
そして、戦兎は外の見張りに出ている杉元佐一と我妻善逸の方に行くことに決めた。
ナナもまた、本当なら一人にしておくべきではない。
単純に危険かもしれないということもある。
それとは別に、ただの勘ではあるが、ナナに対する疑念も残っている。
先ほどの彼女の様子から斉木楠雄に接触できたことには一応嘘はないのだろうと思う。
だが斉木と会話している様子を、声や反応を見ておかないと後から斉木から得た情報を隠される、もしくは嘘を混ぜられるのではないかという思いも出てくる。
もちろんそんなことは面と向かって言えない。
疑念もやはりただの勘違いかもしれない。
だが何にしても、一人にするのはあまり良いことでは無いだろう。
ナナもまた、本当なら一人にしておくべきではない。
単純に危険かもしれないということもある。
それとは別に、ただの勘ではあるが、ナナに対する疑念も残っている。
先ほどの彼女の様子から斉木楠雄に接触できたことには一応嘘はないのだろうと思う。
だが斉木と会話している様子を、声や反応を見ておかないと後から斉木から得た情報を隠される、もしくは嘘を混ぜられるのではないかという思いも出てくる。
もちろんそんなことは面と向かって言えない。
疑念もやはりただの勘違いかもしれない。
だが何にしても、一人にするのはあまり良いことでは無いだろう。
杉元達と固まって行動していれば燃堂とナナの付き添いを杉元と役割分担できたかもしれない。
斉木楠雄の出現が予想外の事だったとはいえ、少し後悔の気持ちも出てくる。
しかし過ぎてしまったことはもう遅い。
せめて悪い結果にならないことを祈りながら桐生戦兎は燃堂を引っ張って病院の外目指して歩き出した。
斉木楠雄の出現が予想外の事だったとはいえ、少し後悔の気持ちも出てくる。
しかし過ぎてしまったことはもう遅い。
せめて悪い結果にならないことを祈りながら桐生戦兎は燃堂を引っ張って病院の外目指して歩き出した。
【D-2と3の境界 聖都大学附属病院内 廊下/昼】
【燃堂力@斉木楠雄のΨ難】
[身体]:堀裕子@アイドルマスターシンデレラガールズ
[状態]:後頭部に腫れ、鳥束の死に喪失感
[装備]:如意棒@ドラゴンボール
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:お?
1:お?
[備考]
※殺し合いについてよく分かっていないようです。ただ何となく異常な場であるとは理解したようです。
※柊ナナを斉木楠雄の弟だと思っているようです。
※自分の体を使っている人物は堀裕子だと思っているようです。
※桐生戦兎とビルドに変身した後の姿を、それぞれ別人だと思っているようです。
※斬月に変身した甜花も、同じく別人だと思っているようです。
※斉木空助を斉木楠雄の兄とは別人だと思っているようです。
※斉木楠雄が近くにいると思っているようです。
[身体]:堀裕子@アイドルマスターシンデレラガールズ
[状態]:後頭部に腫れ、鳥束の死に喪失感
[装備]:如意棒@ドラゴンボール
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:お?
1:お?
[備考]
※殺し合いについてよく分かっていないようです。ただ何となく異常な場であるとは理解したようです。
※柊ナナを斉木楠雄の弟だと思っているようです。
※自分の体を使っている人物は堀裕子だと思っているようです。
※桐生戦兎とビルドに変身した後の姿を、それぞれ別人だと思っているようです。
※斬月に変身した甜花も、同じく別人だと思っているようです。
※斉木空助を斉木楠雄の兄とは別人だと思っているようです。
※斉木楠雄が近くにいると思っているようです。
【桐生戦兎@仮面ライダービルド】
[身体]:佐藤太郎@仮面ライダービルド
[状態]:ダメージ(中・処置済み)、全身打撲(処置済み)、疲労(中)
[装備]:ネオディケイドライバー@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品、ライズホッパー@仮面ライダーゼロワン、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを打破する。
1:斉木楠雄が柊の中にいたのか?何故だ?何か有用な情報を得られればいいのだが…
2:佐藤太郎の意識は少なくとも俺の中には存在しないということか?
3:外にいる杉元と合流する
4:体力の回復にも努める。
5:甜花を正気に戻し、DIOを倒す。あいつの手を汚させる訳にはいかない。
6:他に殺し合いに乗ってない参加者がいるかもしれない。探してみよう。
7:首輪も外さないとな。となると工具がいるか
8:エボルトの動向には要警戒。誰の体に入ってるんだ?
9:翼の生えた少年(デビハム)は必ず止める。
10:ナナに僅かな疑念。できれば両親の死についてもう少し詳しいことが聞きたい
11:ナナも一人にするべきでは無いと思うが…今はどうにもできないか
[備考]
※本来の体ではないためビルドドライバーでは変身することができません。
※平成ジェネレーションズFINALの記憶があるため、仮面ライダーエグゼイド・ゴースト・鎧武・フォーゼ・オーズを知っています。
※ライドブッカーには各ライダーの基本フォームのライダーカードとビルドジーニアスフォームのカードが入っています。
※令和ライダーのカードが入っているかは後続の書き手にお任せします。
※参戦時期は少なくとも本編終了後の新世界からです。『仮面ライダークローズ』の出来事は経験しています。
※参加者が並行世界から集められている可能性を知りました。
※ジーニアスフォームに変身後は5分経過で強制的に通常のビルドへ戻ります。また2時間経過しなければ再変身不可能となります。
[身体]:佐藤太郎@仮面ライダービルド
[状態]:ダメージ(中・処置済み)、全身打撲(処置済み)、疲労(中)
[装備]:ネオディケイドライバー@仮面ライダージオウ
[道具]:基本支給品、ライズホッパー@仮面ライダーゼロワン、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを打破する。
1:斉木楠雄が柊の中にいたのか?何故だ?何か有用な情報を得られればいいのだが…
2:佐藤太郎の意識は少なくとも俺の中には存在しないということか?
3:外にいる杉元と合流する
4:体力の回復にも努める。
5:甜花を正気に戻し、DIOを倒す。あいつの手を汚させる訳にはいかない。
6:他に殺し合いに乗ってない参加者がいるかもしれない。探してみよう。
7:首輪も外さないとな。となると工具がいるか
8:エボルトの動向には要警戒。誰の体に入ってるんだ?
9:翼の生えた少年(デビハム)は必ず止める。
10:ナナに僅かな疑念。できれば両親の死についてもう少し詳しいことが聞きたい
11:ナナも一人にするべきでは無いと思うが…今はどうにもできないか
[備考]
※本来の体ではないためビルドドライバーでは変身することができません。
※平成ジェネレーションズFINALの記憶があるため、仮面ライダーエグゼイド・ゴースト・鎧武・フォーゼ・オーズを知っています。
※ライドブッカーには各ライダーの基本フォームのライダーカードとビルドジーニアスフォームのカードが入っています。
※令和ライダーのカードが入っているかは後続の書き手にお任せします。
※参戦時期は少なくとも本編終了後の新世界からです。『仮面ライダークローズ』の出来事は経験しています。
※参加者が並行世界から集められている可能性を知りました。
※ジーニアスフォームに変身後は5分経過で強制的に通常のビルドへ戻ります。また2時間経過しなければ再変身不可能となります。
◆
『さて、あいつらはもう行ったようだ。早速だが話の続きを始めよう……と思ったが、お前はまだ不服なことがあるようだな、柊ナナ』
燃堂と戦兎が出てった後、斉木は話の続きをしようとして、途中で止めた。
『お前はまだ、僕のことを信用しきれないのだな』
「………」
斉木楠雄の確認に対し、ナナは無言を貫く。
どうせ心が読まれているなら、返事をする意味はない。
どうせ心が読まれているなら、返事をする意味はない。
ナナには、斉木楠雄は主催者側の存在なのではという考えがまだあった。
主催陣営の本部からこの脳内映像と声を能力で届けているのでは、
自分がこの肉体へのサイコメトリーを試すタイミングを見計らっていたのでは、
さっきの説明ももっともらしいことを言って誤魔化したのでは、
あれこれ言って自分たちに都合のいい方向にもっていくため騙そうとしているのでは、
そんな風に思ってしまう。
主催陣営の本部からこの脳内映像と声を能力で届けているのでは、
自分がこの肉体へのサイコメトリーを試すタイミングを見計らっていたのでは、
さっきの説明ももっともらしいことを言って誤魔化したのでは、
あれこれ言って自分たちに都合のいい方向にもっていくため騙そうとしているのでは、
そんな風に思ってしまう。
それほど、柊ナナの斉木楠雄に対する疑いは深かった。
彼女の中に存在する人類の敵となりえる能力者たちへの敵意がそうさせていた。
そして、ナナのそんな考え・感情も、当然斉木楠雄は読んでくる。
彼女の中に存在する人類の敵となりえる能力者たちへの敵意がそうさせていた。
そして、ナナのそんな考え・感情も、当然斉木楠雄は読んでくる。
『一応言っておくが、ここにいる僕は主催陣営とは全く関わりが無い』
『あのラーメン屋の場面以前の記憶も曖昧で、僕が元の世界で最後に何をしていたのかも覚えていない』
『あのラーメン屋の場面以前の記憶も曖昧で、僕が元の世界で最後に何をしていたのかも覚えていない』
ナナできることならばこの言葉をそのままの意味で受け取りたくなかった。
だが、無理にでもこの発言は真実であると、納得させられる感覚があった。
これは、自分の感情が無視されているような感じもし、それもまた何か嫌な様に感じられた。
まるで、このショッキングピンクの髪の能力者と本当に一つになったような気がして。
ナナが斉木への疑いを止めないのは、そうしないと不安な気持ちも出てくるからであった。
だが、無理にでもこの発言は真実であると、納得させられる感覚があった。
これは、自分の感情が無視されているような感じもし、それもまた何か嫌な様に感じられた。
まるで、このショッキングピンクの髪の能力者と本当に一つになったような気がして。
ナナが斉木への疑いを止めないのは、そうしないと不安な気持ちも出てくるからであった。
『……何を言ってもお前は疑ってかかりそうだが、僕の考えは最後まで伝えさせてもらうぞ』
それに対し斉木ができることは、自分の知る情報を開示することだ。
◇
『まずはこうして僕らが会話できていることについての説明だが…お前も察しているようだが、サイコメトリーによるものだろう』
今斉木が言ったように、ナナもこの状況になった理由については何となく分かっていた。
斉木楠雄が使えた能力の一つ、物体に残った残留思念を読み取るサイコメトリーが原因であると明言された。
斉木楠雄が使えた能力の一つ、物体に残った残留思念を読み取るサイコメトリーが原因であると明言された。
『僕のサイコメトリーは物体に残った残留思念を読み取ることができる。そして、常に思念を発し続ける人に触れた場合はその人の感覚をそのまま体感できる。対象の人物の五感を全てリアルタイムで感じることが出来るのだ』
『物体が対象の場合はダウンロード再生、人の場合はストリーミング再生と言える』
『物体が対象の場合はダウンロード再生、人の場合はストリーミング再生と言える』
『そして、この僕は今、人間にとって精神の大本となる臓器、"脳"の中にいる』
『つまりだ柊ナナ、お前は今自分の額、つまり、"脳"に近い部分触れたため、僕の"思念"を読み取る形で会話している』
『だから今、僕たちはこうして互いの意思を伝えることができている』
『脳も、お前と同じもの…本来はこの僕「斉木楠雄」のものを使っているため、思考の共有という形で僕はお前の考えや感じていることを読めているのだろう』
『これまで他の物体や人に使っても発動しなかったのに今さらできたのは、おそらく本来の使い手である僕の精神に接触したため、能力が活性化したとか、その辺りだろう』
『つまりだ柊ナナ、お前は今自分の額、つまり、"脳"に近い部分触れたため、僕の"思念"を読み取る形で会話している』
『だから今、僕たちはこうして互いの意思を伝えることができている』
『脳も、お前と同じもの…本来はこの僕「斉木楠雄」のものを使っているため、思考の共有という形で僕はお前の考えや感じていることを読めているのだろう』
『これまで他の物体や人に使っても発動しなかったのに今さらできたのは、おそらく本来の使い手である僕の精神に接触したため、能力が活性化したとか、その辺りだろう』
『もう一つ明言しておくが、本来なら僕の身体を動かす精神が僕以外の人物の場合、超能力を使えることはない』
『僕が他人の身体に入った場合は使えたがな』
『少なくとも、これまではそうだった』
『今こうしてサイコメトリーを使えているのは、特殊な事態であることも把握しておいてくれ』
『僕が他人の身体に入った場合は使えたがな』
『少なくとも、これまではそうだった』
『今こうしてサイコメトリーを使えているのは、特殊な事態であることも把握しておいてくれ』
ナナは、自分たちがこうして接触できた理由、斉木が自分の思考を読めている理由について、相手の主張は大体理解できた。
ところどころ曖昧ではっきりしないこともあるが。
ところどころ曖昧ではっきりしないこともあるが。
◇
『そして前提として、自分が今どういう状態にあるのか、僕自身でもよく分かっていない』
『この殺し合いのテーマは入れ替わりのはずだが、何故身体側の精神がここに残っているのか、その理由を知らない』
『この島における僕の最初の記憶は、柊ナナ、お前と同じところからだ』
『正直、情けない話だがな』
『この殺し合いのテーマは入れ替わりのはずだが、何故身体側の精神がここに残っているのか、その理由を知らない』
『この島における僕の最初の記憶は、柊ナナ、お前と同じところからだ』
『正直、情けない話だがな』
『超能力を使うこともできないみたいだ』
『お前が考えていたような、マインドコントロールを使った感覚も僕にはない』
『おそらく、お前が使ったわけでもない』
『周りの、僕にとって異世界の人間達がこの姿に対して違和感を抱いていない理由も現状不明だ』
『お前が考えていたような、マインドコントロールを使った感覚も僕にはない』
『おそらく、お前が使ったわけでもない』
『周りの、僕にとって異世界の人間達がこの姿に対して違和感を抱いていない理由も現状不明だ』
「………」
斉木楠雄の話をナナは黙って聞く。
この男の発言が真実かどうか疑わしいのは変わらない。
マインドコントロールを使ってないのなら、制御装置とかのことはどう説明をつけるつもりだとも思った。
この男の発言が真実かどうか疑わしいのは変わらない。
マインドコントロールを使ってないのなら、制御装置とかのことはどう説明をつけるつもりだとも思った。
だが、全てを否定しては何の情報も得られないだろうことも分かっている。
いくら信じにくい、信じたくないという感情もあるとはいえ、一先ずは冷静に話を聞く他無かった。
いくら信じにくい、信じたくないという感情もあるとはいえ、一先ずは冷静に話を聞く他無かった。
『一応、この僕の正体やこうなった原因について、三つほど仮説を立てている』
『一つ目は、「参加者は別の人物の精神を植え付けられただけ」というものだ」
『要するに、ここで行われていたのは精神の「入れ替り」ではなく「憑依」だったということだ』
『この場合だと、僕は本物の斉木楠雄の精神ということになる』
『要するに、ここで行われていたのは精神の「入れ替り」ではなく「憑依」だったということだ』
『この場合だと、僕は本物の斉木楠雄の精神ということになる』
『二つ目は、「ここにいる斉木楠雄の精神は新たに発生したもの」というものだ』
『もし身体が一度空っぽになり、後から別の精神が入れられたとしても、肉体の物理的な構造は変わらない』
『人の精神の在り方を決める場所、脳だって同じだ』
『そのため、脳の構造に従い新たな人格としてこの僕が発生したというのがこの仮説だ』
『この場合だと、僕とは別に斉木楠雄の精神が存在することになる』
『もし身体が一度空っぽになり、後から別の精神が入れられたとしても、肉体の物理的な構造は変わらない』
『人の精神の在り方を決める場所、脳だって同じだ』
『そのため、脳の構造に従い新たな人格としてこの僕が発生したというのがこの仮説だ』
『この場合だと、僕とは別に斉木楠雄の精神が存在することになる』
『三つ目は、「そもそも参加者達の正体は別の人物だと思い込まされているだけである」というものだ』
『他者の精神を入れられたのではなく、「記憶を弄られた」という説だ』
『つまり僕たちの場合だと、柊ナナという人物は初めからこの殺し合いに巻き込まれておらず、お前は本当は「自分を柊ナナだと思い込んでいる斉木楠雄」だったということになる』
『近くにいる奴らの場合だと、「自分を燃堂力だと思い込んでいる堀裕子」、「自分を桐生戦兎だと思い込んでいる佐藤太郎」ということだ』
『この場合でも、僕の正体自体は二つ目とさほど変わらない。斉木楠雄の精神が別に存在する可能性が出てくる』
『二つ目と違うのは、その正体がお前だということになる』
『他者の精神を入れられたのではなく、「記憶を弄られた」という説だ』
『つまり僕たちの場合だと、柊ナナという人物は初めからこの殺し合いに巻き込まれておらず、お前は本当は「自分を柊ナナだと思い込んでいる斉木楠雄」だったということになる』
『近くにいる奴らの場合だと、「自分を燃堂力だと思い込んでいる堀裕子」、「自分を桐生戦兎だと思い込んでいる佐藤太郎」ということだ』
『この場合でも、僕の正体自体は二つ目とさほど変わらない。斉木楠雄の精神が別に存在する可能性が出てくる』
『二つ目と違うのは、その正体がお前だということになる』
「……中々恐ろしいことを言うな」
斉木楠雄の仮説を聞いてそんな感想を抱く。
口調も表向きの柊ナナのものではなく、冷徹な内面のものに変えている。
戦兎達がいないから隠さなくてもいいということもあるが、少々不快にも感じたからだ。
口調も表向きの柊ナナのものではなく、冷徹な内面のものに変えている。
戦兎達がいないから隠さなくてもいいということもあるが、少々不快にも感じたからだ。
仮説の中でも特に最悪だと感じるのは三つ目だ。
この説はこれまでの自分を完全否定する代物だ。
この自分が、能力者の、斉木楠雄であってたまるものか。
この説はこれまでの自分を完全否定する代物だ。
この自分が、能力者の、斉木楠雄であってたまるものか。
『まあ、これらはあくまでただの仮説だ。僕は答えを言っているわけではない。真実はまだ別である可能性だって残っている』
『少なくとも、僕らは脳を物理的に入れ替えられたわけではないことは確かかもしれない』
『今はそのことだけ念頭に置いておけばいいだろう』
『少なくとも、僕らは脳を物理的に入れ替えられたわけではないことは確かかもしれない』
『今はそのことだけ念頭に置いておけばいいだろう』
今はまだ心配する必要は無いと、そんな意図を伝えてくる。
それでもやはり、仮説とはいえ圧倒的に信じにくい話を聞かされて、不信感はより募る。
それでもやはり、仮説とはいえ圧倒的に信じにくい話を聞かされて、不信感はより募る。
『だが、どの仮説においても無視できない存在がいる。主催陣営だ』
『どうも、僕はこの肉体を動かすことにおいてはどうしても干渉することができないようになっているみたいだ』
『いわゆる、制限というものかもしれない』
『いわゆる、制限というものかもしれない』
『奴らは、僕には殺し合いに干渉してほしくないようだ』
『それが僕だけか、他の身体側の参加者達にも該当するかは今のところ分からないがな』
『まあ、テーマのことを考えると当然かもしれない』
『それに僕が超能力をフルで使えれば、こんな殺伐とした催しも全て茶番になってしまうだろうからな』
『それが僕だけか、他の身体側の参加者達にも該当するかは今のところ分からないがな』
『まあ、テーマのことを考えると当然かもしれない』
『それに僕が超能力をフルで使えれば、こんな殺伐とした催しも全て茶番になってしまうだろうからな』
要は、優勝することも、首輪を解除して主催者を止めることも、簡単なことだと彼は言っている。
普通だったらこんなことを自信を持って言われることは笑えない冗談か何かに思うだろう。
だがプロフィールの内容が真実ならば、そうなのだろうと思ってしまう。
そして、精神が他人の者ならば斉木楠雄の身体でも超能力が使えないだろうということは考えていた。
普通だったらこんなことを自信を持って言われることは笑えない冗談か何かに思うだろう。
だがプロフィールの内容が真実ならば、そうなのだろうと思ってしまう。
そして、精神が他人の者ならば斉木楠雄の身体でも超能力が使えないだろうということは考えていた。
ただ、今ここで斉木楠雄の精神と思しき存在が彼女の脳内に現れた。
それでも超能力が、今のところはサイコメトリー以外が、使える気配がないのは彼がこの身体を動かすことが全くできないことの表れなのだろうか。
それでも超能力が、今のところはサイコメトリー以外が、使える気配がないのは彼がこの身体を動かすことが全くできないことの表れなのだろうか。
『とにかく、僕の方からお前たちを助けるために超能力を使うことはできないと、そう思ってくれればいい』
別にお前の助けなどいらないと反射的に思ってしまうが、これはただの反発心だ。
助けではなく、利用という形ならまだ飲み込める。
助けではなく、利用という形ならまだ飲み込める。
『まあいい、次の話に行こう』
◇
『僕の兄、斉木空助についての話をしよう』
『あいつがどういう奴かを一言で表せば…マッドサイエンティストといったところか』
『そして、あいつが殺し合いの主催をやるかどうかについては…まあ、あり得るかもしれない』
『あいつがどういう奴かを一言で表せば…マッドサイエンティストといったところか』
『そして、あいつが殺し合いの主催をやるかどうかについては…まあ、あり得るかもしれない』
前の放送で主催陣営の者として名乗ったその男について、その弟は自分の印象を答えた。
答え方は、どこか曖昧であった。
答え方は、どこか曖昧であった。
『兄は僕とは違い、特殊な能力は何も持っていない。無能力者だ』
『だが、早い話あいつは天才だった』
『2歳時点での知能テストの結果もIQは218、14歳で高校を飛び級しイギリスのケンブリッジ大学に留学するような奴だった』
『そして奴は、僕のことを目の敵にしていた』
『だが、早い話あいつは天才だった』
『2歳時点での知能テストの結果もIQは218、14歳で高校を飛び級しイギリスのケンブリッジ大学に留学するような奴だった』
『そして奴は、僕のことを目の敵にしていた』
『幼い頃から向かうとこ敵なしだったあいつにとって、人智の埒外の能力を持つ僕は大きな壁だった』
『あいつにとって僕は、唯一勝てない存在だった』
『それも自分の弟なのだから、奴の中では常に嫉妬や劣等嫌悪感の感情が渦巻いていた』
『そんな感情を向けられていたから、僕も自分の兄のことは嫌いだった』
『あいつにとって僕は、唯一勝てない存在だった』
『それも自分の弟なのだから、奴の中では常に嫉妬や劣等嫌悪感の感情が渦巻いていた』
『そんな感情を向けられていたから、僕も自分の兄のことは嫌いだった』
『兄は僕によく勝負を仕掛けてきたが、僕はその全てに勝ってきた』
『さっきも言ったが、あいつは所謂マッドサイエンティストに分類されるような奴で、僕に勝つために妙な研究や発明も行ってきた』
『今度こそ僕に勝つためにと、こんな大掛かりでふざけた催しに関わるのは一応あり得るかもしれない』
『さっきも言ったが、あいつは所謂マッドサイエンティストに分類されるような奴で、僕に勝つために妙な研究や発明も行ってきた』
『今度こそ僕に勝つためにと、こんな大掛かりでふざけた催しに関わるのは一応あり得るかもしれない』
『だが、それはそれでまだ疑問点もある』
『この殺し合いにおいて、僕は身体側のみの参加者となっている』
『さっきも言ったように、僕はここにおいて自分の身体を動かすことも、超能力を使用することもできないみたいだ』
『果たしてこんな状態の僕がここでの戦いに敗れて死んだとして、それはあの斉木空助にとっての勝利と言えるのだろうか?』
『もしたとえ生き残れたとしても、そこで勝者となったのは柊ナナであり、この僕斉木楠雄ということにはならないのではないか?』
『さっきも言ったように、僕はここにおいて自分の身体を動かすことも、超能力を使用することもできないみたいだ』
『果たしてこんな状態の僕がここでの戦いに敗れて死んだとして、それはあの斉木空助にとっての勝利と言えるのだろうか?』
『もしたとえ生き残れたとしても、そこで勝者となったのは柊ナナであり、この僕斉木楠雄ということにはならないのではないか?』
『それに奴自身も今、自分の身体ではなく小野寺キョウヤという不老不死の能力者の肉体を使っている』
『もしあいつが僕らに勝てたとして、その勝因が小野寺キョウヤの身体のおかげだとしたら、それも奴にとっての勝利になるのだろうか?』
『まあ、精神入れ替えを行ったのが奴自身の力・技術ならば、あいつも自分の勝利として納得はしそうだ』
『もしあいつが僕らに勝てたとして、その勝因が小野寺キョウヤの身体のおかげだとしたら、それも奴にとっての勝利になるのだろうか?』
『まあ、精神入れ替えを行ったのが奴自身の力・技術ならば、あいつも自分の勝利として納得はしそうだ』
『とにかく、僕としてはこんな状態であいつが殺し合いの主催をしているにはまだ不自然な点があると考える』
『どうせやるなら僕自身を参加者として登録してくると思う』
『どうせやるなら僕自身を参加者として登録してくると思う』
斉木楠雄の語る斉木空助像は、弟である彼の視点でないと分かり得ないものだった。
現在彼がやっていることについては、納得と疑問の両方を感じているようだった。
現在彼がやっていることについては、納得と疑問の両方を感じているようだった。
『そして、これまでお前が聞いてきたものから、ある可能性に思い至った』
『あの斉木空助は、僕がよく知る兄ではない可能性だ』
『あの斉木空助は、僕がよく知る兄ではない可能性だ』
『あいつは、僕にとっての並行世界…パラレルワールドの存在かもしれない』
並行世界の話はこれまで桐生戦兎が散々していた。
その話を斉木楠雄も聞いていたということだ。
その話を斉木楠雄も聞いていたということだ。
『並行世界には、本来知るものとは違う人生を歩んできた、自分や、自分の知り合い達が住んでいることになる』
『僕には、そんな「斉木空助」に心当たりもある』
『僕には、そんな「斉木空助」に心当たりもある』
『そうだな…まずは今から、ある映像を強くイメージしてみる』
『これまでお前は僕の記憶を見ることはできなかった』
『戦兎の仮説通りならここに僕の意識が存在していたからそうなっていたのかもしれない』
『だが、お前は今、僕の思念をサイコメトリーで読み取っている』
『僕が強くイメージしてみれば、お前にもそれが映像として見えるかもしれない』
『戦兎の仮説通りならここに僕の意識が存在していたからそうなっていたのかもしれない』
『だが、お前は今、僕の思念をサイコメトリーで読み取っている』
『僕が強くイメージしてみれば、お前にもそれが映像として見えるかもしれない』
斉木楠雄がそう言うと、彼を中心に周りの風景に変化がおき始める。
これまでは、彼はただ暗闇の上で浮いていたようにしか見えなかった。
しかし段々と、明確な場所として認識できるような景色が彼を中心として現れ始めた。
これまでは、彼はただ暗闇の上で浮いていたようにしか見えなかった。
しかし段々と、明確な場所として認識できるような景色が彼を中心として現れ始めた。
『よし、できたみたいだ』
「………え?」
「………え?」
それを見たナナは思わず声を漏らしてしまう。
それは、まるで人類の社会が、文明が崩壊したとしか思えない都市の風景だった。
『僕の兄は、奴は、斉木空助は、世界を滅ぼしたことがある』
◆
『人の人生というものは無数の分岐点が存在し、それぞれが枝分かれして別の未来へと繋がっている』
『それが、僕の世界における並行世界というものの考え方だ』
『それが、僕の世界における並行世界というものの考え方だ』
『例えば、ある女学生が学校に遅刻しそうになっているとしよう』
『その女学生が学校に急ぐために全速力で走って行くか、どうせ遅刻するからと諦めて歩いて行くかの選択肢があるとする』
『その女学生が学校に急ぐために全速力で走って行くか、どうせ遅刻するからと諦めて歩いて行くかの選択肢があるとする』
『もしそこで走ることを選べば、たまたま曲がり角で男子学生とぶつかり、歩くことを選べばそんなことが起こらないとする』
『そして、その男子学生が女学生の通う学校に転校して来るとする』
『走って行った場合は、歩いて行くよりも先に転校生と縁ができることになる』
『そして、その男子学生が女学生の通う学校に転校して来るとする』
『走って行った場合は、歩いて行くよりも先に転校生と縁ができることになる』
『その縁の違いが、それぞれの選択での学校生活に別の影響を及ぼすことになるだろう』
『その結果として、その女学生の将来…仕事や家族といったものがそれぞれ大きく異なるかもしれない』
『このように分岐したものが、並行世界同士の関係というものだ』
『その結果として、その女学生の将来…仕事や家族といったものがそれぞれ大きく異なるかもしれない』
『このように分岐したものが、並行世界同士の関係というものだ』
『もちろんこれは漫画みたいな極端な例だ』
『だが、今言った例だって、もし女学生が前日の夜に早めに寝ることを選んでいれば、寝坊せずに早めに学校に向かえて、転校生とのファーストコンタクトが普通のもので確定されたかもしれない』
『ようは、並行世界の発生条件なんてほんの些細なことかもしれないということだ』
『「バタフライ効果」という言葉を知っていれば、理解は早まるかもしれないな』
『だが、今言った例だって、もし女学生が前日の夜に早めに寝ることを選んでいれば、寝坊せずに早めに学校に向かえて、転校生とのファーストコンタクトが普通のもので確定されたかもしれない』
『ようは、並行世界の発生条件なんてほんの些細なことかもしれないということだ』
『「バタフライ効果」という言葉を知っていれば、理解は早まるかもしれないな』
バタフライ効果とは、蝶が羽ばたく程度の小さなものが離れた場所の未来の天候に影響するという問いかけから生まれた言葉である。
初めは些細な変化が後で大きな変化になることを表す言葉である。
初めは些細な変化が後で大きな変化になることを表す言葉である。
「………まさか、この風景って」
『並行世界というものはバタフライ効果でも生まれる可能性がある』
『お前に言っても分からないだろうが、人気投票の世界がそんな感じだった(あの時は僕が犬を助けるか否かで変化したんだったな)』
『お前に言っても分からないだろうが、人気投票の世界がそんな感じだった(あの時は僕が犬を助けるか否かで変化したんだったな)』
『そして、この世界もまたバタフライ効果により生まれたものだ』
『それが、この「斉木空助が滅ぼした世界」だ』
『それが、この「斉木空助が滅ぼした世界」だ』
◇
『この世界が発生した理由は、僕の両親の出会い方が変わってしまったことだった(その原因を作ってしまったのは僕だった)』
『そのバタフライ効果により、その世界における僕は早死にしてしまった』
『それにより、僕は兄を止められなかった』
『そのバタフライ効果により、その世界における僕は早死にしてしまった』
『それにより、僕は兄を止められなかった』
『この世界において、兄は僕を生き返らせようと思い、タイムマシンを発明した』
『結果、タイムマシンを巡って世界中で戦争が起きた』
『その戦争が大きく拡大し、やがては世界をこんな風に崩壊させた』
『結果、タイムマシンを巡って世界中で戦争が起きた』
『その戦争が大きく拡大し、やがては世界をこんな風に崩壊させた』
「………」
『僕の兄は、自分が戦争を引き起こしておいても悪びれない奴だった』
『あいつは、地球や人類のことなんて何とも思ってもいない奴だったんだ』
『……いや、元の世界でもあいつはそういう奴だったな』
『あいつは、地球や人類のことなんて何とも思ってもいない奴だったんだ』
『……いや、元の世界でもあいつはそういう奴だったな』
『とにかく、斉木空助は人類のことなぞどうでもいいと思っていること』
『場合によっては戦争を引き起こしたり等して世界を滅ぼしかねない危うさもあること』
『場合によっては戦争を引き起こしたり等して世界を滅ぼしかねない危うさもあること』
『そして、僕の感じる違和感のある点は、僕の知らない並行世界の「なにかあった未来」の存在である可能性も考えられるのではないかということを伝えたかった』
『……まあ、何らかの脅しをかけられている可能性もまだあるが、この考え方もあるということは念のため示しておきたかった』
『……まあ、何らかの脅しをかけられている可能性もまだあるが、この考え方もあるということは念のため示しておきたかった』
斉木による兄の話はこれで終わりだった。
彼の話の中では、兄が主催をやるような人物であることは否定せずとも、庇っているように感じる部分もあった。
だが、ナナは今の話の中ではそれよりも気になる部分があった。
彼の話の中では、兄が主催をやるような人物であることは否定せずとも、庇っているように感じる部分もあった。
だが、ナナは今の話の中ではそれよりも気になる部分があった。
「………責任を、感じているのか?原因を作ったのは自分なのに?」
『伝わっていたか』
話の途中、何故かナナは斉木の考えていることが一部伝わっていた。
兆候は前からあった。
その原因は今は探らない。
それよりも、兄の凶行の原因が彼にあるらしきことが気になった。
兆候は前からあった。
その原因は今は探らない。
それよりも、兄の凶行の原因が彼にあるらしきことが気になった。
『隠しても無駄そうだから教えておこう』
『僕は自分の能力を暴発させて過去に行ったことがある』
『先に言った両親の出会い方を変化させたのは僕だ』
『僕は自分の能力を暴発させて過去に行ったことがある』
『先に言った両親の出会い方を変化させたのは僕だ』
『お前が言いたいことは分かる。世界を滅ぼしたのは兄ではない。能力者のこの僕だということだろう?』
その通りだ、とナナは思う。
間接的にではあるが、そもそも斉木楠雄が能力を暴発させていなければこの光景が生まれることはなかった。
間接的にではあるが、そもそも斉木楠雄が能力を暴発させていなければこの光景が生まれることはなかった。
『一応言っておくが、僕はこの改変してしまった世界を戻してある』
『空助の使ったタイムマシンと僕自身の能力を利用し、もう一度過去に戻り、何もせずに帰ることでな』
『空助の使ったタイムマシンと僕自身の能力を利用し、もう一度過去に戻り、何もせずに帰ることでな』
「………それは、本当にこの滅んだ世界は元に戻ったのか?今も地続きしている可能性はないのか?」
『それは分からない。確かめる方法も僕は持っていない』
「………」
ナナの中では斉木楠雄への敵意がさらに増大していた。
能力者たちが世界中の人類の脅威であることはナナの中では常識のことだ。
だが、それを実行しているところを見たことがあるわけではなかった。
能力者たちが世界中の人類の脅威であることはナナの中では常識のことだ。
だが、それを実行しているところを見たことがあるわけではなかった。
しかし今、斉木楠雄は実質的にそれに成功した光景をここで見せて来た。
この光景が偽物でないという実感は感じられている。
プロフィールから斉木楠雄は危険な存在であることを感じていたが、ここまでとは思っていなかった。
こいつは、本物の"人類の敵"であると認定した。
ナナは今、この男をどうにかする方法、殺す方法について考え始めていた。
この光景が偽物でないという実感は感じられている。
プロフィールから斉木楠雄は危険な存在であることを感じていたが、ここまでとは思っていなかった。
こいつは、本物の"人類の敵"であると認定した。
ナナは今、この男をどうにかする方法、殺す方法について考え始めていた。
『待て、確かにお前からみたら僕は最優先殺害対象だろうが、今はその話は置いておけ』
『僕はまだ伝えるべき情報を持っている』
『僕はまだ伝えるべき情報を持っている』
「………分かった。教えろ」
ナナは言われた通り殺意を一旦抑える。
情報がまだあるのも確かだと感じ取れた。
とりあえずは、斉木の話への集中に意識を戻した。
情報がまだあるのも確かだと感じ取れた。
とりあえずは、斉木の話への集中に意識を戻した。
◇
『並行世界の話に戻したい』
そう斉木が言うと同時に、周りのボロボロの街並みの景色が最初と同じ暗闇の状態に戻る。
イメージすることを止めたようだ。
そして男の像は話を続ける。
イメージすることを止めたようだ。
そして男の像は話を続ける。
『実はこの考え方は、お前の立てた「斉木楠雄が主催に関わっているんじゃないか説」が半分当てはまることになるかもしれないのだ』
「どういうことだ?」
「どういうことだ?」
『さっきも言ったが、並行世界というものは人の人生にある無数の分岐点から発生する』
『その並行世界同士には、別々の運命をたどった全く同じ人間、「並行世界の同一人物」が存在する』
『つまり、「並行世界の斉木楠雄」が主催に関わっている可能性はまだ十分に考えられる』
『その並行世界同士には、別々の運命をたどった全く同じ人間、「並行世界の同一人物」が存在する』
『つまり、「並行世界の斉木楠雄」が主催に関わっている可能性はまだ十分に考えられる』
「……そんな自分を疑えるのか?」
『十分疑えるさ。僕はこれまでに何度か並行世界の自分に会っている』
『その中には、悪役も同然となった僕もいた』
『それこそ、お前のいう"人類の敵"になりかねない奴もな』
『十分疑えるさ。僕はこれまでに何度か並行世界の自分に会っている』
『その中には、悪役も同然となった僕もいた』
『それこそ、お前のいう"人類の敵"になりかねない奴もな』
今ここにいるお前だって十分"人類の敵"だ。
ナナはそう思うが今はスルーされる。
ナナはそう思うが今はスルーされる。
『そんな「斉木楠雄」の中には、「燃堂力を消した」ことで分岐した世界の奴もいた。そいつはノベライズ第2弾の奴だったな』
「………つまり、燃堂は死なせず、ここから生還させろと。さもなければお前がその「悪役の斉木楠雄」になるとでも言いたいのか?」
『そこまで言うつもりはないが……まあ、あいつも死なない方がいい』
『下手に元の世界に帰さなかったら僕以外にもどんな影響があるか分からないからな』
『あいつにだって、帰る場所はあるからな』
「………つまり、燃堂は死なせず、ここから生還させろと。さもなければお前がその「悪役の斉木楠雄」になるとでも言いたいのか?」
『そこまで言うつもりはないが……まあ、あいつも死なない方がいい』
『下手に元の世界に帰さなかったら僕以外にもどんな影響があるか分からないからな』
『あいつにだって、帰る場所はあるからな』
少し、ぶっきらぼうな言い方だった。
しかし、彼の身を案じているかのような感覚もあった気がする。
そう思った事もまた無視される。
しかし、彼の身を案じているかのような感覚もあった気がする。
そう思った事もまた無視される。
『それに並行世界の僕がいると仮定するならば、話したいことはまだある』
『もしいるならば、そいつに何らかの動きを誘発させることができるかもしれない手段がある』
『もしいるならば、そいつに何らかの動きを誘発させることができるかもしれない手段がある』
燃堂の話は一旦切り上げられ、並行世界の斉木楠雄についての話題に戻る。
『実は、並行世界の同一人物は本来同じ世界に同時に存在することができない』
「何?」
「何?」
さっきそんな存在に会えたことがあると言ったばかりじゃないかと思う。
そんな法則があったのかとも思う。
そんな法則があったのかとも思う。
『だが、僕にはそれを回避する方法が存在する。「別の人物」になればいいのだ』
『僕には、変身能力がある』
『一応言っておくが、戦兎とかが言う仮面ライダーとやらとかの変身とは全くの別物だからな』
『僕には、変身能力がある』
『一応言っておくが、戦兎とかが言う仮面ライダーとやらとかの変身とは全くの別物だからな』
『その能力で身体を変化させると、世界から別人と判定され、並行世界の自分が同じ世界に存在できるようになる』
『僕はこれまで、女体化して「斉木楠子」になることで並行世界の僕を出現させたことがある』
『僕はこれまで、女体化して「斉木楠子」になることで並行世界の僕を出現させたことがある』
「…私に、それを試せということか?」
斉木が何故これを教えたのか、その理由をナナは察する。
主催陣営に並行世界の斉木楠雄が関わっていると仮定するのなら、この能力でそいつを世界に存在させられ、何らかのアクションをこちらに起こしてくるんじゃないかという考えだ。
もしくは、逆にその主催陣営の斉木楠雄が斉木楠子になっている可能性も考えられ、どちらにせよ動きを期待できるんじゃないかということだ。
だが、本当にそんなことができるのかとも思う。
主催陣営に並行世界の斉木楠雄が関わっていると仮定するのなら、この能力でそいつを世界に存在させられ、何らかのアクションをこちらに起こしてくるんじゃないかという考えだ。
もしくは、逆にその主催陣営の斉木楠雄が斉木楠子になっている可能性も考えられ、どちらにせよ動きを期待できるんじゃないかということだ。
だが、本当にそんなことができるのかとも思う。
『これは兄が最終巻で言ったことなのだが、僕の身体は生まれつきの超能力を制御するために「進化」しているかもしれないらしい』
『そして、この身体の脳内には、その超能力者の記憶を持つ精神体である「僕」がいる』
『先にも言ったが、今回サイコメトリーを発動させることができたのは「僕」に接触したことにより活性化したかもしれない』
『もしかしたら、この接触が今後もこの身体に何らかの影響を及ぼすかもしれない』
『僕が持つ様々な超能力を少しは使えたりするかもしれない』
『そして、この身体の脳内には、その超能力者の記憶を持つ精神体である「僕」がいる』
『先にも言ったが、今回サイコメトリーを発動させることができたのは「僕」に接触したことにより活性化したかもしれない』
『もしかしたら、この接触が今後もこの身体に何らかの影響を及ぼすかもしれない』
『僕が持つ様々な超能力を少しは使えたりするかもしれない』
『そもそも僕は他人に自分の身体を使わせたことはあってもそれが長時間になったことはない』
『殺し合いが始まって最低でも10時間以上経過しているこの状況、例え「僕」の存在が無かったとしても何らかの影響があり得るかもしれない』
『他人に身体を預けたのがこれだけの時間になるのは初めてだからな』
『殺し合いが始まって最低でも10時間以上経過しているこの状況、例え「僕」の存在が無かったとしても何らかの影響があり得るかもしれない』
『他人に身体を預けたのがこれだけの時間になるのは初めてだからな』
『柊ナナ、お前の意思で僕の能力が使える可能性は、まだ考えられる』
『変身を試す価値はあると思うぞ』
『一度の変身には2時間かかるから、場所の安全はしっかり確保する必要があると思うがな』
『変身を試す価値はあると思うぞ』
『一度の変身には2時間かかるから、場所の安全はしっかり確保する必要があると思うがな』
真偽はともかく、斉木楠雄からの提案の意図は理解できる。
だが、本当に言う通りにするかはこの時点では決められない。
とりあえず、頭の片隅に置いておくことにはした。
だが、本当に言う通りにするかはこの時点では決められない。
とりあえず、頭の片隅に置いておくことにはした。
◆
『次に、打ち明けたいことがある』
『僕は最初に超能力を全く使えなかったと言ったが…実はそれが嘘になるかもしれない』
『僕は最初に超能力を全く使えなかったと言ったが…実はそれが嘘になるかもしれない』
「何だって?」
まさかの白状だった。
これまでは斉木が能力を使えない前提での話であったのに、それが一部覆された。
これまでは斉木が能力を使えない前提での話であったのに、それが一部覆された。
『僕の能力の一つに、予知夢というものがある。これは、未来を見ることができる能力だ。
『この能力は僕が眠っている間に夢という形で発動する』
「まさか…」
『この能力は僕が眠っている間に夢という形で発動する』
「まさか…」
斉木が言わんとしていることをナナは察する。
『そう、お前が寝ている間にこの能力が発動した可能性がある。僕もまた夢を見たんだ』
『僕が見たものは、おそらくこの殺し合いの未来において現れるであろうものだ』
『そして、予知夢の形で現れた以上、これは何か重要なものかもしれない』
『僕が見たものは、おそらくこの殺し合いの未来において現れるであろうものだ』
『そして、予知夢の形で現れた以上、これは何か重要なものかもしれない』
ナナが自分の過去を、凄惨な記憶を、夢で見ていた間に斉木楠雄は重要な情報を掴んだかもしれないというのだ。
意識が別々にあったため、互いに別の夢を見ていたらしいのだ。
意識が別々にあったため、互いに別の夢を見ていたらしいのだ。
「一体、何を…?」
『それはだな……かめ
「申し訳ありませんが、そこまでです」
◆◇◆
瞬間、まるで自分の意識に何か妙なものが現れたのを感じた。
それと同時に、突如、ナナの視界に、脳内の映像に、新たな人物が現れた。
そいつは仮面を被っていた。
仮面のデザインは数時間前に見たばかりだった。
上部分についた取っ手のようなもの、中央を縦に走る淡く紫に光るライン。
仮面のデザインは数時間前に見たばかりだった。
上部分についた取っ手のようなもの、中央を縦に走る淡く紫に光るライン。
それはこの殺し合いの主催陣営にいる人物、ボンドルドのものだった。
そいつが現れたのはほんの一瞬だけで、すぐに消えた。
ナナの脳内に現れた斉木楠雄の像も、同時に消えた。
彼の声も聞こえなくなった。
後に残ったのは、自分がたった一人でいるだけの静寂な病室だけだった。
◇◆◇
「くっ…!どうして…!まだ話は終わっていない…!」
ナナは自分の額に向けて何度も指を打ち付ける。
だが、斉木楠雄が再び彼女の脳裏に現れることはなかった。
だが、斉木楠雄が再び彼女の脳裏に現れることはなかった。
(斉木楠雄は最後に何と言った…?「かめ」とは何だ…!?)
斉木楠雄の最後の情報は、中途半端なところで終わってしまった。
「かめ」の二文字だけだと、動物の「亀」、陶器の容器の「甕」等が思い浮かぶ。
だが、斉木が伝えたかったのはこれだけではなかったかもしれない。
この二文字の後にさらに言葉が続いた可能性だってある。
それに、ここでは平仮名で表しているが、実際はカタカナで表現される単語を言おうとしていた可能性だってあるのだ。
第一、「亀」や「甕」だったとしてもそれが何を意味するのか、何が重要なのかは想像つかない。
イントネーションから単語を判断しようとしても、先ほどは「め」の発音の途中で言葉が途切れさせられたこと、
ボンドルドが突如現れたことによる精神的衝撃が大きく軽くパニックになっていること、
そもそも「かめ」という音を拾えただけでもギリギリだったことにより認識できなかった。
結局、彼が何を伝えたかったのかはこの場では分からずじまいだ。
「かめ」の二文字だけだと、動物の「亀」、陶器の容器の「甕」等が思い浮かぶ。
だが、斉木が伝えたかったのはこれだけではなかったかもしれない。
この二文字の後にさらに言葉が続いた可能性だってある。
それに、ここでは平仮名で表しているが、実際はカタカナで表現される単語を言おうとしていた可能性だってあるのだ。
第一、「亀」や「甕」だったとしてもそれが何を意味するのか、何が重要なのかは想像つかない。
イントネーションから単語を判断しようとしても、先ほどは「め」の発音の途中で言葉が途切れさせられたこと、
ボンドルドが突如現れたことによる精神的衝撃が大きく軽くパニックになっていること、
そもそも「かめ」という音を拾えただけでもギリギリだったことにより認識できなかった。
結局、彼が何を伝えたかったのかはこの場では分からずじまいだ。
(まさか、主催陣営がここで出張って来るとは…)
予想外で衝撃的だったのは、ボンドルドの登場だ。
放送で見たあの男の仮面が視界に現れた瞬間、斉木楠雄の声は聞こえなくなった。
ボンドルドは発言した後に一瞬で消え、後にはまぶたの裏の暗闇しか目には映らなかった。
突然の割り込みにより脳内での会話は強制的に中断された。
放送で見たあの男の仮面が視界に現れた瞬間、斉木楠雄の声は聞こえなくなった。
ボンドルドは発言した後に一瞬で消え、後にはまぶたの裏の暗闇しか目には映らなかった。
突然の割り込みにより脳内での会話は強制的に中断された。
しかも、もうサイコメトリーでも斉木楠雄と話すこともできなくなっていた。
何らかの細工を施していったみたいだ。
それをやったと思われるボンドルド本人がこの部屋の中に出現した様子はない。
遠距離でこんなことができる主催陣営の力には更に驚かされる。
何らかの細工を施していったみたいだ。
それをやったと思われるボンドルド本人がこの部屋の中に出現した様子はない。
遠距離でこんなことができる主催陣営の力には更に驚かされる。
(少なくとも、盗聴なり何なりの方法でこちらの動向を把握している可能性は考えていた。だが今のタイミングでの登場、奴らはこちらの心の中までも監視していたということか?)
明らかに自分と斉木楠雄の会話をこれまで聞いていたとしか思えない登場の仕方をボンドルドはした。
斉木の言葉は脳内の精神世界でのみ発せられていた。
「そこまで」という言い方から、それまで彼が語っていた内容も把握しているようだった。
主催陣営の奴らは、参加者が声を出さずに考えていることを読み取っているようだった。
その方法までは正確には分からないが、これは明らかに自分達にとってまずいことだった。
主催陣営が常にこちら側の心を読んでいるのだとすると、何を考えていても、たとえ殺し合いの脱出計画を立てていようとも、何もかもが筒抜けだったことになる。
下手したら、ナナは行動方針も転換せざるを得なくなってしまう。
そうするとすぐに決めるほど短絡的では無いが。
斉木の言葉は脳内の精神世界でのみ発せられていた。
「そこまで」という言い方から、それまで彼が語っていた内容も把握しているようだった。
主催陣営の奴らは、参加者が声を出さずに考えていることを読み取っているようだった。
その方法までは正確には分からないが、これは明らかに自分達にとってまずいことだった。
主催陣営が常にこちら側の心を読んでいるのだとすると、何を考えていても、たとえ殺し合いの脱出計画を立てていようとも、何もかもが筒抜けだったことになる。
下手したら、ナナは行動方針も転換せざるを得なくなってしまう。
そうするとすぐに決めるほど短絡的では無いが。
(しかしあのタイミングで止めて来たということは、斉木楠雄が予知夢で見た"何か"は本当に主催にとって重要なものだったということか?)
主催陣営が精神世界にまで干渉する力を持っていたことには大いに驚きを感じる。
それと同時に、斉木が伝えようとした「かめ」から始まる何かは、主催にとって参加者に知られたら困るほど重要性の高いものであると考えられる。
斉木楠雄が本当に主催と関わりが無いとしたら、可能性が高くなる。
それと同時に、斉木が伝えようとした「かめ」から始まる何かは、主催にとって参加者に知られたら困るほど重要性の高いものであると考えられる。
斉木楠雄が本当に主催と関わりが無いとしたら、可能性が高くなる。
(………逆に言えば、それまでにもたらされた情報は、奴らにとってこっち側が知っても問題ない、大したことのないかもしれないということか)
主催陣営にとっては、斉木が立てた自分たちの状況の仮説も、斉木空助についても、並行世界の斉木楠雄についても、殺し合いの進行には影響のないことということになるのだろうか。
これでは、斉木が提案した「変身能力による女体化で並行世界の斉木楠雄がいないかどうか確かめる」ということも意味ある行いになるかどうか。
おそらく、目論み通りにはいかない。
よしんばもし自分が変身能力の使用に成功したとしても、せいぜい本来の性別通りになるだけだろう。
これでは、斉木が提案した「変身能力による女体化で並行世界の斉木楠雄がいないかどうか確かめる」ということも意味ある行いになるかどうか。
おそらく、目論み通りにはいかない。
よしんばもし自分が変身能力の使用に成功したとしても、せいぜい本来の性別通りになるだけだろう。
(……一先ず、戦兎や杉元達にも情報共有しよう)
今回脳内に現れた斉木楠雄と思われる者からもたらされた情報は多くあった。
更には、明らかに主催陣営の干渉としか思えないことが行われた。
これらは全て伝えるべきか、取捨選択するべきについても考えるべきだろう。
更には、明らかに主催陣営の干渉としか思えないことが行われた。
これらは全て伝えるべきか、取捨選択するべきについても考えるべきだろう。
ボンドルドの登場による困惑は未だあるが、とりあえず時間も惜しいため動くことを決める。
ナナは戦兎達を追うように病室の外に出て廊下を歩き始めた。
ナナは戦兎達を追うように病室の外に出て廊下を歩き始めた。
◆
ナナは廊下を歩きながら、自分の持つ情報を整理しながらも、あることを考えていた。
それは、この自分の身体である斉木楠雄を殺害する方法についてだった。
今回の話で、ナナは自分の中に本物の斉木楠雄の精神が存在する可能性に触れた。
他の可能性も無視できないが、本当に本物の身体の精神がここに存在するならば、それに応じた彼の殺し方について考え始めていた。
他の可能性も無視できないが、本当に本物の身体の精神がここに存在するならば、それに応じた彼の殺し方について考え始めていた。
今回の出来事で、斉木楠雄が本当に世界を滅ぼす要因になることをナナは知った。
しかも、それは彼の能力の暴発によるものであった。
脳内で自分と話していた斉木楠雄には、悪意が無いことをナナは感じ取れてしまっていた。
だがしかし、それでも、彼自身に悪意が無くとも、彼は"人類の敵"になりえる者だとナナは判断した。
しかも、それは彼の能力の暴発によるものであった。
脳内で自分と話していた斉木楠雄には、悪意が無いことをナナは感じ取れてしまっていた。
だがしかし、それでも、彼自身に悪意が無くとも、彼は"人類の敵"になりえる者だとナナは判断した。
これまでの"委員会"からの教えでは、能力者は強力な力を未熟な精神のまま労力無しで得ることで傲慢となり、人類を脅かす存在になるのだと教えられた。
だが、それだけではなかった。
"人類の敵"は、例えその力を持つ本人が何もしなくとも、存在するだけで危険なものだと思い始めた。
彼らは存在するだけで、人類を狂わすことを知ってしまった。
斉木空助が、そんな人間だったことを知ってしまった。
だが、それだけではなかった。
"人類の敵"は、例えその力を持つ本人が何もしなくとも、存在するだけで危険なものだと思い始めた。
彼らは存在するだけで、人類を狂わすことを知ってしまった。
斉木空助が、そんな人間だったことを知ってしまった。
それに、超能力の暴発で過去の世界に行って歴史を変えてしまうような者であることも問題だ。
下手したら、暴発で別世界の自分たちの世界にまで来られて何らかの影響を及ぼしてしまうかもしれない。
それこそ、世界が滅びるレベルのものを。
絶対にそうなることが決まった訳ではないが、可能性を思い浮かべてしまった。
下手したら、暴発で別世界の自分たちの世界にまで来られて何らかの影響を及ぼしてしまうかもしれない。
それこそ、世界が滅びるレベルのものを。
絶対にそうなることが決まった訳ではないが、可能性を思い浮かべてしまった。
斉木楠雄は確実に殺さなくてはならない存在だ。
最悪の場合、自分の命と引き換えにしてでも。
それほどの相手であると、思い始めた。
最悪の場合、自分の命と引き換えにしてでも。
それほどの相手であると、思い始めた。
つまり、斉木楠雄を殺すための方法の選択肢に自分もろとも殺すこと、自死することが加わったのだ。
もし先ほど話した斉木楠雄が本物で、この身体に元から入っていたものなら、彼の命は完全にナナの手中にあることにある。
これまでは、この男の精神が別の場所にある可能性の方が高く、この選択肢はこれまで思い浮かんではこなかった。
身体の方を死なせても、精神の方が無事であるなら、後で死体となった身体を治して元に戻ることもあり得るかもしれなかったからだ。
だがこうして彼が出てきたのなら話は別だ。
もしかしたら、先ほどの話の中で自分が本物の斉木楠雄の精神ではない可能性を上げたのは、自分(ナナ)がこのような発想に至ることを防ごうとしたためだったのでは?という考えまでも浮かぶ。
確証があるわけではないが、ナナの中では可能性の一つとなった。
これまでは、この男の精神が別の場所にある可能性の方が高く、この選択肢はこれまで思い浮かんではこなかった。
身体の方を死なせても、精神の方が無事であるなら、後で死体となった身体を治して元に戻ることもあり得るかもしれなかったからだ。
だがこうして彼が出てきたのなら話は別だ。
もしかしたら、先ほどの話の中で自分が本物の斉木楠雄の精神ではない可能性を上げたのは、自分(ナナ)がこのような発想に至ることを防ごうとしたためだったのでは?という考えまでも浮かぶ。
確証があるわけではないが、ナナの中では可能性の一つとなった。
それに、先ほどの話では自分も身体の影響を受けて超能力が使える可能性も提示された。
自分の目的を達成するために能力者の能力を利用すること自体には問題はない。
ナナは過去に渋沢ヨウヘイという時間遡行能力者を彼自身の能力を利用して殺害している。
現在のバトルロワイアルの状況から抜け出すために斉木楠雄の超能力を利用するのもやぶさかではない。
自分の目的を達成するために能力者の能力を利用すること自体には問題はない。
ナナは過去に渋沢ヨウヘイという時間遡行能力者を彼自身の能力を利用して殺害している。
現在のバトルロワイアルの状況から抜け出すために斉木楠雄の超能力を利用するのもやぶさかではない。
だが、自分の精神が影響を受けるのなら話は別だ。
本来なら、斉木楠雄の能力は精神に由来するものであることが先の話でほぼ確定した。
そして先ほど、この身体は超能力を使うことに適応ために「進化」している可能性を提示された。
少々発想の飛躍にもなるが、この適応による進化とやらは、「精神」にも起きるのでは?という考えが浮かんだ。
本来なら、斉木楠雄の能力は精神に由来するものであることが先の話でほぼ確定した。
そして先ほど、この身体は超能力を使うことに適応ために「進化」している可能性を提示された。
少々発想の飛躍にもなるが、この適応による進化とやらは、「精神」にも起きるのでは?という考えが浮かんだ。
もし自分の精神がこの身体に「適応」してしまえば、自分は超能力者に「進化」してしまうのでは?
むしろ、それこそが主催陣営の狙いなのでは?
むしろ、それこそが主催陣営の狙いなのでは?
もちろんこれはただの想像で、証拠なんてない。
だが、この想像に至ってしまった時、ナナは彼女自身も自覚せずにある感情を抱いていた。
それは、『恐怖』だ。
だが、この想像に至ってしまった時、ナナは彼女自身も自覚せずにある感情を抱いていた。
それは、『恐怖』だ。
自分が"人類の敵"と憎む能力者たちと同じ存在になってしまうのではないか、
自分の両親を殺した奴らと同じになってしまうんじゃないか、
ただでさえ両親は自分のせいで死んだのに、更に最悪な罪を重ねるんじゃないか、
そんな想像をすると、身が震える。
だからそんなことになる前に、自分から死ぬ方が人類のためになるんじゃないかという考えまでも浮かんでしまう。
自ら命を絶つという発想が出たのはこのこともあるだろう。
自分の両親を殺した奴らと同じになってしまうんじゃないか、
ただでさえ両親は自分のせいで死んだのに、更に最悪な罪を重ねるんじゃないか、
そんな想像をすると、身が震える。
だからそんなことになる前に、自分から死ぬ方が人類のためになるんじゃないかという考えまでも浮かんでしまう。
自ら命を絶つという発想が出たのはこのこともあるだろう。
もちろん、そんなことにならないのなら、自分から死ぬなんて真似をするつもりはない。
どうせ死ぬなら、自分にできる限りの"人類の敵"を殺してからだ。
無意味に死ぬことは、許されない。
どうせ死ぬなら、自分にできる限りの"人類の敵"を殺してからだ。
無意味に死ぬことは、許されない。
◆
そんな風に考えながら、歩きながら、ナナは自分のデイパックを少し開き中を見た。
そこには、一丁の銃があった。
これは、ナナへの支給品の一つだ。
そこには、一丁の銃があった。
これは、ナナへの支給品の一つだ。
PK学園にいた時からこの銃の存在は把握していた。
だがナナは貨物船やDIOに向けてこれを撃とうとはしなかった。
だがナナは貨物船やDIOに向けてこれを撃とうとはしなかった。
この銃をこれまで使おうとしなかった理由としては、まず第一にデイパック内の一番上にあのビール瓶型自動車があって取り出しにくかったこともある。
だが、それ以上に、この銃は簡単には扱うわけにはいかなかった。
だが、それ以上に、この銃は簡単には扱うわけにはいかなかった。
これに装填されている弾数が、たったの一発だけであるからだ。
しかもこの銃は結構旧式のものであるようだった。
それこそ、自分の世界に能力者の出現が起きるよりも何十年も前の時代のものに近そうだった。
しかもこの銃は結構旧式のものであるようだった。
それこそ、自分の世界に能力者の出現が起きるよりも何十年も前の時代のものに近そうだった。
他に分かることは、種類としてはボルトアクション式であること、
もとの持ち主の名前がライナー・ブラウンという人物らしいこと、
そして、何故か銃口が少し濡れていることくらいだった。
もとの持ち主の名前がライナー・ブラウンという人物らしいこと、
そして、何故か銃口が少し濡れていることくらいだった。
この銃は正直、予備の弾が無いこともあって、武器として扱うには使いどころの見極めがかなり難しそうな代物であった。
一発撃ってしまえばもうおしまいであるのだ。
一発撃ってしまえばもうおしまいであるのだ。
だが、ナナにふと、これをもしもの時のための自害用にとっておくという考えが浮かんだ。
死ぬためだけならこの病院内で回収したメスを使って頸の辺り等を掻っ切るという方法もある。
ただ、念のためもう少しこれについてよく見ておこうかと思い、ナナはこの銃に手を伸ばした。
死ぬためだけならこの病院内で回収したメスを使って頸の辺り等を掻っ切るという方法もある。
ただ、念のためもう少しこれについてよく見ておこうかと思い、ナナはこの銃に手を伸ばした。
そして、ナナの手が銃に触れたその瞬間、脳裏にある映像が浮かんだ。
◇
そこには、一人の男がいた。
男は、どこかの部屋の中で椅子の上に座っていた。
男は、どこかの部屋の中で椅子の上に座っていた。
彼は、金髪だった。
短い髭を生やしていた。
軍服らしいものを着ていた。
短い髭を生やしていた。
軍服らしいものを着ていた。
そして、彼は銃の引き金に手を掛けていた。
今ナナが触れた銃と同じものだった。
ただし、それは遠くにいる誰かを狙っているわけではない。
銃口は、彼自身に向けられていた。
今ナナが触れた銃と同じものだった。
ただし、それは遠くにいる誰かを狙っているわけではない。
銃口は、彼自身に向けられていた。
男は、虚ろな目をしながら、銃口を自分の口に咥えていた。
◇
ナナが見れたのは、そこまでだった。
今のは、サイコメトリー能力が発動したことにより見えたのだろうか。
だが、指を離し再び触れてみても、今度は何も見えなかった。
だが、指を離し再び触れてみても、今度は何も見えなかった。
今見えたものはただの幻だったのだろうか。
けれど、感覚としては斉木と話していた時のサイコメトリーが発動していた時のものに近かった。
けれど、感覚としては斉木と話していた時のサイコメトリーが発動していた時のものに近かった。
斉木楠雄は、ナナは彼と接触したことで能力が活性化しサイコメトリーで自分と話せたのだろうと語った。
その活性化の影響とやらが、まだ少し残っていたため触れた物体の過去を覗き見れたのだろうか。
残っていたとしても、それが弱まっていたためにもう見えなくなったのだろうか。
その活性化の影響とやらが、まだ少し残っていたため触れた物体の過去を覗き見れたのだろうか。
残っていたとしても、それが弱まっていたためにもう見えなくなったのだろうか。
さっきの男は、この銃の本来の持ち主のライナー・ブラウンだと思われる。
彼がこの銃をどう使おうとしていたのか、何故少し濡れていたのか、理由が何となく思い浮かぶ。
そこに至るまでの過程は何の情報も無くさっぱり分からないが。
彼がこの銃をどう使おうとしていたのか、何故少し濡れていたのか、理由が何となく思い浮かぶ。
そこに至るまでの過程は何の情報も無くさっぱり分からないが。
そして、今のが本当にサイコメトリー能力によるものか否かに関わらず、ナナはこう思った。
ちょっとこれを自決用にするのはやめた方がいいかもしれない、と。
【D-2と3の境界 聖都大学附属病院内 廊下/昼】
【柊ナナ@無能なナナ】
[身体]:斉木楠雄@斉木楠雄のΨ難
[状態]:精神的疲労、困惑、パニック気味
[装備]:フリーズロッド@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド
[道具]:基本支給品、サッポロビールの宣伝販売車@ゴールデンカムイ、ライナー・ブラウンの銃@進撃の巨人、ランダム支給品0~1(確認済み)、病院内で手に入れた道具多数
[思考・状況]
基本方針:まずは脱出方法を探す。他の脱出方法が見つからなければ優勝狙い
1:戦兎達に斉木楠雄から得られた情報、ボンドルドの出現について報告する。何をどこまで伝えるべきか…
2:「かめ」とは何だ…?後に続く言葉はあるのか?何か重要なものなのか?
3:病院内にいる者達と行動。正直嫌だが燃堂とも
4:変身による女体化を試すべきかどうか…
5:犬飼ミチルとは可能なら合流しておく。能力にはあまり期待しない
6:首輪の解除方法を探しておきたい。今の所は桐生戦兎に期待
7:能力者がいたならば殺害する。並行世界の人物であろうと関係ない
8:エボルトを警戒。万が一自分の世界に来られては一大事なので殺しておきたい
9:天使のような姿の少年(デビハムくん)も警戒しておく
10:可能であれば主催者が持つ並行世界へ移動する手段もどうにかしたい
11:何故小野寺キョウヤの体が主催者側にある?斉木空助は何がしたい?
12:斉木楠雄は確実に殺害する。たとえ本当に悪意が無かったとしても、もし能力の暴発でもして自分の世界に来られたらと思うと安心できない。
13:12のためなら、それこそ、自分の命と引き換えにしてでも…
[備考]
※原作5話終了直後辺りからの参戦とします。
※斉木楠雄が殺し合いの主催にいる可能性を疑っています。
※超能力は基本的には使用できませんが、「斉木楠雄」との接触の影響、もしくは適応の影響で使えるようになる可能性があるかもしれません。
※サイコメトリーが斉木楠雄の肉体に発動しましたが、今後は作動しません。
※参加者が並行世界から集められている可能性を知りました。
※貨物船の精神、又は肉体のどちらかが能力者だと考えています。
※小野寺キョウヤが主催に協力している可能性を疑っています。
※主催側に、自分の身体とは別の並行世界の斉木楠雄がいる可能性を伝えられました。今のところは半信半疑です。
※主催側にいる斉木楠雄がマインドコントロールを使った可能性を疑っています。自分がやったかどうかについては、否定されたため可能性としての優先順位は一応低くしています。
※並行世界の同一人物の概念を知りました
※主催陣営が参加者の思考までをも監視している可能性を考えています。
[身体]:斉木楠雄@斉木楠雄のΨ難
[状態]:精神的疲労、困惑、パニック気味
[装備]:フリーズロッド@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド
[道具]:基本支給品、サッポロビールの宣伝販売車@ゴールデンカムイ、ライナー・ブラウンの銃@進撃の巨人、ランダム支給品0~1(確認済み)、病院内で手に入れた道具多数
[思考・状況]
基本方針:まずは脱出方法を探す。他の脱出方法が見つからなければ優勝狙い
1:戦兎達に斉木楠雄から得られた情報、ボンドルドの出現について報告する。何をどこまで伝えるべきか…
2:「かめ」とは何だ…?後に続く言葉はあるのか?何か重要なものなのか?
3:病院内にいる者達と行動。正直嫌だが燃堂とも
4:変身による女体化を試すべきかどうか…
5:犬飼ミチルとは可能なら合流しておく。能力にはあまり期待しない
6:首輪の解除方法を探しておきたい。今の所は桐生戦兎に期待
7:能力者がいたならば殺害する。並行世界の人物であろうと関係ない
8:エボルトを警戒。万が一自分の世界に来られては一大事なので殺しておきたい
9:天使のような姿の少年(デビハムくん)も警戒しておく
10:可能であれば主催者が持つ並行世界へ移動する手段もどうにかしたい
11:何故小野寺キョウヤの体が主催者側にある?斉木空助は何がしたい?
12:斉木楠雄は確実に殺害する。たとえ本当に悪意が無かったとしても、もし能力の暴発でもして自分の世界に来られたらと思うと安心できない。
13:12のためなら、それこそ、自分の命と引き換えにしてでも…
[備考]
※原作5話終了直後辺りからの参戦とします。
※斉木楠雄が殺し合いの主催にいる可能性を疑っています。
※超能力は基本的には使用できませんが、「斉木楠雄」との接触の影響、もしくは適応の影響で使えるようになる可能性があるかもしれません。
※サイコメトリーが斉木楠雄の肉体に発動しましたが、今後は作動しません。
※参加者が並行世界から集められている可能性を知りました。
※貨物船の精神、又は肉体のどちらかが能力者だと考えています。
※小野寺キョウヤが主催に協力している可能性を疑っています。
※主催側に、自分の身体とは別の並行世界の斉木楠雄がいる可能性を伝えられました。今のところは半信半疑です。
※主催側にいる斉木楠雄がマインドコントロールを使った可能性を疑っています。自分がやったかどうかについては、否定されたため可能性としての優先順位は一応低くしています。
※並行世界の同一人物の概念を知りました
※主催陣営が参加者の思考までをも監視している可能性を考えています。
【ライナー・ブラウンの銃@進撃の巨人】
心を病んだライナー・ブラウンが銃口を咥えた銃。
装弾数は一発、予備の弾は無い。
ライナーの唾液が銃口に付着している。
柊ナナに支給。
心を病んだライナー・ブラウンが銃口を咥えた銃。
装弾数は一発、予備の弾は無い。
ライナーの唾液が銃口に付着している。
柊ナナに支給。
◇◇◇◇
やれやれ…こんな結末になるとはな
僕が見たものはやはり、奴らにとって重要な何かだったということか
しかしまさかあんなものが…正直な気持ちだと、信じられないが
一体"あれ"の何に知られたらまずい要素があったというのだろうか……
しかしまさかあんなものが…正直な気持ちだと、信じられないが
一体"あれ"の何に知られたらまずい要素があったというのだろうか……
そう思っていなかったら、せめて、伝えるのは最後にしていた
だが、今の僕と柊ナナの脳は同じだ
記憶はまだ、残っているかも、しれ……
だが、今の僕と柊ナナの脳は同じだ
記憶はまだ、残っているかも、しれ……
………くっ、意識が薄れてきた…
今更こんなことをしてくるということは…僕のことは想定内だったか…?
僕のやったことは、どこまで意味があったか……
今更こんなことをしてくるということは…僕のことは想定内だったか…?
僕のやったことは、どこまで意味があったか……
あいつ(空助)なら、ある程度の、行動を…読んで、くる……
………そろそろ、考えることも難しくなってきた…
これでも、伝える順番は…考えて…いたんだが、な……
………そろそろ、考えることも難しくなってきた…
これでも、伝える順番は…考えて…いたんだが、な……
………せめて、あのことについては、先に……
柊、ナナ…お前の、両親、は………
記憶…矛盾……気………
柊、ナナ…お前の、両親、は………
記憶…矛盾……気………
………
………………
………………………
【斉木楠雄についての備考】
斉木楠雄の意識は失われました。
精神が消滅させられたか、封印にされたか等については現状不明とします。
少なくとも、バトル・ロワイアルが進行している間は再び現れることはないです。
斉木楠雄の意識は失われました。
精神が消滅させられたか、封印にされたか等については現状不明とします。
少なくとも、バトル・ロワイアルが進行している間は再び現れることはないです。
また、原作漫画最終巻までの記憶とノベライズ版の記憶はあったようです。
他の記憶も持っていたかどうかは後続の書き手にお任せします。
他の記憶も持っていたかどうかは後続の書き手にお任せします。
◆◆◆◆
最後に少しだけ、記しておきたいことがある。
ボンドルドが柊ナナと斉木楠雄の精神世界に現れた時のことである。
あの時、ボンドルドが発した言葉は、ナナは自分の脳内にだけ響いたものと認識している。
自分にだけ聞こえたものだと思い込んでいる。
あの時、ボンドルドが発した言葉は、ナナは自分の脳内にだけ響いたものと認識している。
自分にだけ聞こえたものだと思い込んでいる。
しかし彼女は気づいていないことだが、あの台詞は、物理的な"音"として彼女が1人でいた病室内で響いていた。
部屋に戦兎ら第三者がいればそのことに気付けたかもしれない。
だが、彼らがここに居なかった以上、この事実を知る者はいない。
だが、彼らがここに居なかった以上、この事実を知る者はいない。
ボンドルドが出現した時、病室内で彼がナナの脳内に響かせたものと同じ言葉を発声したのは、
柊ナナの精神が中にいる、斉木楠雄の肉体だった。
これが意味することは、当面の間語られない。
98:変身 Ungeziefer? Human? | 投下順に読む | 100:BLOOD+ |
96:Aの友愛/君をもっと知りたいな | 時系列順に読む | |
97:我妻善逸はでんきネズミのユメをみるか!? | 柊ナナ | 106:Ψ悪の展開を想像して |
燃堂力 | ||
桐生戦兎 | ||
64:第一回放送 | ボンドルド | 107:第二回放送 |