◆
過去の断片。過去の残滓。
『やはり、そんな眼をしているのだな』
脳裏に蘇る、“ある騎兵”の呼び掛け。
周囲に横たわるのは、無数の屍の山。
皆等しく、蒼い騎兵服を纏っている。
白い肌は血潮に染まり、金色の髪は皮ごと剥ぎ取られ。
光を喪った青い目は、絶望と恐怖の色に染まり切っていた。
星条旗を担う開拓の使徒、述べ二百余名。
その全てが、物言わぬ肉へと成り果てている。
誉れ高き栄光は、もはや闇へと回帰している。
河流の傍らの平野。つい先刻まで、戦場と化していた土地。
――後に語り継がれる、リトルビッグホーン。
かの第七騎兵連隊が玉砕した、伝説の死地。
『智慧と武勇を備えた、気高き“ラコタの戦士”。それこそが貴殿だというのに』
その中心にて、“大戦士”は――“将軍”と相対していた。
満身創痍の“将軍”は仰向けに倒れながら、傍らに立つ“大戦士”を見上げていた。
幾つもの銃創から絶えず血を流し続け、荒い息を整えながら言葉を紡ぐ。
『その目に湛えているものは何だ?』
そしてせせら笑うように、“将軍”は問いを投げる。
“大戦士”は何も言わない。巌のような顔を、微動だにさせない。
ただ沈黙のまま、死にゆく怨敵を見下ろし続ける。
『君は余りにも敏いのだろう。自分達が辿る運命を、とうに理解しているのだ。
文明という怪物がこの荒野の“神秘”さえも喰らい尽くすことを、既に悟っている』
“将軍”は、粛々と言葉を突きつける。
“大戦士”が背負う諦念を見抜くように。
『しかし――それでも君はひどく慈悲深く、自らの責務に対して誠実なのだ。
だからこそ、戦わねばならないのだろう。己の先祖や土地、そして今を生きる同胞達の為に』
――“座する雄牛”は、優れた霊力を備える。
――祈祷によって啓示を授かり、運命を“幻視”することが出来る。
神秘に等しいその伝説は、白人社会にも届いていた。
多くの白人達は“まやかし”として笑い飛ばすか、“怪しげな魔術の類い”と捉えた。
『あの日の“果てなき荒野”は戻ってこないと、君は知っているのにな』
されどこの“将軍”は、確信していた。
眼前の“大戦士”が備える、神秘の力を。
『無に帰す戦いに身を投じる恐怖とは、如何なるものかね?』
死地にて対峙を果たしたからこそ。
それが決してまやかしではないことを、悟っていた。
『君は、奪われゆく物のために戦うのだ。
君は、喪われゆく物のために戦うのだ。
――――何も得られないというのに』
だからこそ、“将軍”は理解する。
“大戦士”が抱く、虚無と諦念の意味を。
彼の深い絶望が示すものを、騎兵は看破する。
『果たしてそれは、未来への祈りか?
あるいは、虚無への
足掻きか?』
死にゆくはずの“将軍”の眼が、“大戦士”の魂を覗き込む。
賢者としての仮面の内側に秘める、深淵の闇を抉り出していく。
“大戦士”は――――何も、答えない。
沈黙だけが、この場を支配し続ける。
答えは無い。何一つ、返ってはこない。
『難儀な男だ』
そんな“大戦士”を見上げて。
にやりと口の端を吊り上げて。
“将軍”はただ、嘲笑う。
『君はいずれ、壊れるだろうよ』
そう告げた、次の瞬間。
――――たぁん、と。
乾いた銃声が、響き渡った。
脳天に、風穴が空いた。
赤い鮮血が、吹き出した。
蒼き騎兵の“将軍”は。
その一発で、容易く事切れる。
撃ったのは“大戦士”ではなく。
彼の同胞の一人である先住民の男だった。
“奇妙なる馬”――“クレイジー・ホース”。
かの大戦士と肩を並べる盟友である。
騎兵の死体から奪った拳銃を、その右手に握り締めている。
“大戦士”が半ば意識を囚われていた中。
この同胞は彼の傍へと歩み寄り、迷わず“将軍”を撃ち抜いたのだ。
『……“座する雄牛”。もういいんだ』
“将軍”が吐き続けていた呪詛を断ち切るように。
同胞は“大戦士”を守るべく、死にゆく怨敵を沈黙させることを選んだ。
『耳を傾ける必要なんかない』
沈黙を続ける“大戦士”に、同胞は言葉を掛ける。
その面持ちに、勝利への歓喜は無い。
『これ以上、呪われる必要もない』
既に“大いなる神秘”へと還っていった多くの者達を弔うように。
これまで“大戦士”が背負ってきた痛みを分かち合うように。
同胞は淡々と、その言葉を紡いでいく。
『俺達は……もう十分なんだ』
同胞より手向けられる慈悲。
その言葉を聞き届けながら。
“大戦士”は、静寂の中に佇む。
彼は変わらず、何も答えない。
その瞳に憂いを湛えながら、空を見上げた。
ああ――――ひどく、澄み切っている。
何処までも続く青に、飲み込まれそうな程に。
◆
「――――手筈は済んだのですね?キャスター」
新宿・歌舞伎町のライブハウス。
十字の意匠を備えた出で立ちをした“十字軍のバーサーカー”、ゴドフロワがテーブルを挟んで問い掛ける。
相対するのは“先住民のキャスター”ことシッティング・ブル。
両者のマスターは、この場から席を外している。
じきに訪れる戦いの前に、互いに話し合うことがあったが故だ。
この会談はあくまで確認の為にあり、後にそれぞれのマスターや
覚明ゲンジ達にも内容を伝達する手筈である。
「ああ、バーサーカー。こちらの準備は整えた」
テーブルの上には歌舞伎町一帯の地図が敷かれ、シッティング・ブルはペンを用いて“施設”へと印を付けていく。
シッティング・ブルは、北米における“最後の神秘”のひとりである。
産業革命の到来はアメリカを大国へと導き、そして魔術や心霊術の大多数を荒野から駆逐した。
以後残されたのは、僅かなる神秘の残滓か――あるいは近代化の影に潜む“新時代の秘術”のみだった。
19世紀末より稀代のイリュージョンで名を馳せた“脱出王”こと
ハリー・フーディーニもまた、そのひとりである。
英霊としてのシッティング・ブルの霊格は、宿敵たる
ジョージ・アームストロング・カスターより優れている。
文明の使徒として荒野を開拓し、神秘の終わりを担ったカスターとは違う。
彼は優れた霊力を持ち、神秘の存在たる精霊たちとの交信を行う祈祷師だった。
現代において、人道的な観点から信仰が揺らいだカスターとは異なり。
シッティング・ブルは今なお北米の英雄――白人の侵略に立ち向かった先住民の大戦士として名を馳せている。
故に彼は神秘の薄い他の近代英霊と比較して、優れた霊格を備えていた。
「君達の組織が所有する縄張りの各地を“霊獣”に見張らせている。
彼ら自身が“生命”や“魔力”を察知する力を持ち、そして私もまた彼らの感覚を借りることが出来る」
シッティング・ブルは地図上に印をつけた施設――“デュラハン”の各所の拠点を中心に、説明を行う。
「“聖なる獣達”は優れた霊力を備えるが故に、五感のみに頼ることなく“気配”を認識する。
魔術行使は勿論、外部より踏み込んできた者達の存在を鋭く感知するのだ」
「……成る程。頼もしい限りですね」
じきに訪れる抗争。強大な英霊と強固な結束を擁する“刀凶聯合”。
彼らと対立するうえで、“デュラハン”が得ている戦術的なアドバンテージとは何か。
その一つはシッティング・ブル――即ち、魔術師(キャスター)のサーヴァントを自陣営に引き込んだことである。
聖戦の使徒たるバーサーカー、
ゴドフロワ・ド・ブイヨンはその狂信と軍勢を武器にして最前線で戦うことを得意とする。
大義による自己暗示や聖十字の剣が示すように、彼の領分はあくまで前衛を務めることにある。
滅びし原人であるバーサーカー、ネアンデルタール人はあくまで弱小の英霊。
文明の無効化や自身の増殖を駆使し、戦局の撹乱や番狂わせを狙う存在である。
彼らはそれぞれの得手不得手を持つが、手数や芸に長けたサーヴァントではない。
故に、搦手によって戦術の幅を拡張することが出来るキャスターの存在には明確な価値があった。
「敵には“魔術の傭兵”が加わっていると聞きます。その使い魔達を逆に利用される可能性は?」
続けてゴドフロワが示した懸念に対し、シッティング・ブルはあくまで首を横に振る。
「“霊獣”はあくまで私に“力を貸すものたち”。
私が使役し、支配しているのではない――彼らは大地と共に生きる“聖なる獣”。
人の手による魔術では決して縛れぬ」
その説明を聞き、ゴドフロワは“自然崇拝の類い”として納得する。
自然そのものを神秘の存在と見做し、信仰の対象として扱う。
――全てを神の被造物として扱う“聖書”とは異なる観念だ。
やはり相容れない信仰ではあるものの、今はあくまで実利と合理を優先した。
「そして、各所の施設は既に“陣地”化している」
シッティング・ブルは説明を続ける。
覚明ゲンジが“戦力拡張”のために外部へと出向いている間、彼もまた抗争へと備えて行動に出ていた。
デュラハンの拠点が入った各施設を転々と移動し、自らの術によって“陣地”へと変えている。
呪術による敵の攻撃と妨害、精霊達による撹乱。
都会の底の掃き溜めは、シャーマンの手によって魔術空間へと変貌したのだ。
「あの奇術師曰く、刀凶聯合のサーヴァントは“領域に影響を齎す力”を備える。その点は承知していますね?」
「……ああ。敵の能力の規模は定かではないが、これらの“陣地”も何らかの形で無効化される可能性は十分に考えている」
その上で“陣地”はあくまで戦術の要とは考えない。
シッティング・ブルとゴドフロワ、両者は同様の懸念を共有していた。
「故に、大規模な“陣地”は築いていない。あくまで敵の行動に対する感知、および妨害を目的としている。
敵の陣営に少しでも不利益や撹乱を与えられれば良しとする」
刀凶聯合のリーダーが従えるサーヴァントは、広範囲の領域に影響を与える力を持つとされる。
シッティング・ブルが築いた“陣地”が無効化される可能性は十分に考慮し、即時の放棄も視野に入れていた。
「……奴らに味方した魔術傭兵とやらが、どれほどの手練であるかも気になる所ですが。
何より気掛かりなのは、やはりその“喚戦のサーヴァント”でしょうね」
そしてゴドフロワらは既に、港区方面での魔力の激動は掴んでいた。
シッティング・ブルの霊獣による探知・偵察は既に行っている。
日中に千代田区でゴドフロワが感じ取った気配との一致から、それが“刀凶聯合のサーヴァント”の戦闘によるものと結論付けた。
「それに、港区の騒乱……あの“白い少女”の気配も感知されたそうですね?」
「……ああ」
それからゴドフロワが、シッティング・ブルへとそう切り出す。
シッティング・ブルは、神妙な面持ちで返答する。
「仮に“聯合のサーヴァント”が、その“白い少女”にさえ匹敵する戦力だとすれば――」
「この戦いは“迎撃戦”ではなく、敵の大将を早急に獲らねばならない“短期決戦”へと変わる」
「ええ。
悪国征蹂郎を即時に叩くことの重要性が一気に増すでしょうね」
港区で“聯合のサーヴァント”が交戦へと至ったことは明白であり、気配が確認された“白い少女”がその相手であると予想される。
それは即ち、件のサーヴァントが“極星”との交戦を成立させるほどの特記戦力である可能性を示している。
仮にその推測が正しければ――この抗争を長期戦へと持ち込むことのリスクが一気に高まる。
ゴドフロワとシッティング・ブルは、共に“軍勢召喚”の宝具を備える。
シッティング・ブルの呪術や“原人のバーサーカー”による援護も含めれば、敵の集団に対する足止めや妨害は十分に見込める。
戦局次第では、その隙に乗じて大将首――“悪国征蹂郎”を早急に討ち取る必要があった。
互いに下準備と懸念を共有した後。
ゴドフロワは一呼吸を置き、シッティング・ブルに目を向ける。
「それと……他にも訊ねておきたいことがあるのですが」
――そうして、ゴドフロワが告げた言葉。
それはこの死線へと向かう前に、シッティング・ブルという賢者に対して“ある一石”を投じる問いかけだった。
「貴方達のことは、大丈夫ですね?」
その一言に対し、シッティング・ブルは微かに表情を険しくした。
それから少しの間を置いて沈黙した後、彼は絞り出すように答えた。
「……悠灯は、私が支える」
賢者の脳裏に浮かぶのは、自らを召喚したマスターのこと。
華村悠灯。彼女は今、葛藤の瀬戸際に立たされている。
あの“白い少女”と接触を果たしてから、悠灯の心は揺らぎ続けていた。
自らを蝕む“死の病”を克服できる可能性。
絶えず焦がれてきた“生きる道”への早すぎる切符。
その代償として何を得て、何を失うのか。
“白い少女”の無垢な笑みは、悠灯を“一線の先”へと導く。
何の悪意もなしに、心からの善意で、死にゆく少女に“永劫の祝福”を与えんとする。
――悠灯は、迷い続けている。
苦悩を背負い、揺らぎ続けている。
そんな彼女を支える役目を担うべきなのは、サーヴァントである己なのだと。
シッティング・ブルは、自らに言い聞かせるように決意を固める。
「今はあの“白い少女”との邂逅によって揺らいでいるが、その件に関しても――」
「懸念は、彼女だけではない」
しかし、そんなシッティング・ブルに対し。
ゴドフロワは、更に言葉を続けた。
「貴方自身についてもだ」
まるで突きつけるようなゴドフロワの一言に、シッティング・ブルは沈黙した。
巌のような顔が、微かな動揺と共に歪む。
騎士の眼差しは、ただ淡々と賢者を貫くように見据える。
「利害関係という点において、貴方のことは十分に信頼しています。
貴方は合理を理解し、我々との結託を受け入れている。抗争へと向けた下準備に関しても申し分ない」
ゴドフロワは、あくまで“同盟者”としてはシッティング・ブルに一目を置いている。
忌まわしき異教徒であり、肌の赤い蛮族である。しかし、確かな叡智を備えている。
冷静沈着にして聡明。術師としての技量も大いに価値がある。
現状においても“まじない”を用い、的確に陣営の地盤を固めているのだから。
それは彼自身や原人のバーサーカーには出来ない“搦め手”だった。
そして異なる信仰を持つゴドフロワとも利害関係で割り切り、粛々と連携を取り続けている。
ゴドフロワにとって、シッティング・ブルとは“申し分のない相手”だった。
「そのうえで、問わせて頂きたい」
それでも尚、ゴドフロワには気になることがあった。
類い稀なる叡智で自らを律する賢者に、問わねばならないことがあった。
「ゲンジによる“虐殺”を、貴方は受け入れられていないでしょう」
あの一件。周凰狩魔が覚明ゲンジに与えた指示。
高齢者や孤児に対する殺戮による“原人のバーサーカー”の戦力増強。
それは不安定な状態に陥っていた悠灯には伝えられなかったものの。
シッティング・ブルには戦術的な意味合いもあり、既に伝達済みだった。
その指示について、彼は何も異論を言わなかった。
ただ粛々と受け止めて、自らの仕事を果たすだけだった。
しかし――ゴドフロワは、シッティング・ブルの抱える悲嘆を察していた。
聡明であろうとするが故に、この賢者は寡黙を貫く。
そんな彼の在り方を、十字の騎士は見抜いていた。
英霊シッティング・ブルは、老若男女の虐殺を目の当たりにしてきた。
蒼き騎兵隊による蹂躙劇を、その目で見続けてきた。
生き延びた老人や子供達も、貧しい保留地の中で次々に飢えていった。
刻々と瘦せ細り、満たされることもなく、病に倒れていく同胞達。
彼らの死にゆく姿は、今なお賢者の脳裏に焼き付いている。
「それに」
微かな動揺を、瞳に滲ませるシッティング・ブル。
そして、矢継ぎ早にゴドフロワは問いかける。
「ユウヒが“あの白い少女”に誘われた時、貴方は力づくで彼女を止めに行けた筈だ」
淡々と、ゴドフロワは言葉を紡ぐ。
それはシッティング・ブルという英雄が、そういう性質の者であるが故だとあの場では認識していた。
「だが、貴方は止められなかった。
それから先も、貴方は彼女を支えられていないように見える」
しかし実態は恐らく異なっていると、騎士は考える。
多くの騎士達、信者達を従え、聖地への遠征へと率いた守護者であるからこそ察する。
そうして告げられた言葉は、シッティング・ブルの本質を突くことになる。
「貴方はまるで――自分に誰かを導く力はないと、諦めているかのようだ」
大いなる賢者は、ただ無言で沈黙した。
何も答えず、何も告げず。
祈祷の戦士は、静寂の中で佇む。
その巌のような表情は、苦悩と葛藤の中に沈む。
琥珀のような瞳に、悲哀と諦念を静かに湛える。
シッティング・ブルは、騎士の投げかけに対して“反論”をしなかった。
まるで、あるがままを受け入れるように。
まるで、その言葉を受け入れざるを得ないかのように。
まるで、奥底に抱えていた意思を無言で肯定するかのように。
かの賢者は、視線を落としたまま言葉を喪失する。
そんな彼の姿を、ゴドフロワは静かに見つめる。
やがてその口から、率直な感想を口にした。
「ユウヒが貴方を召喚した理由が、何故だか分かる気がしますよ」
◆
“リトルビッグホーンにシッティング・ブルは参加しなかった”。
後に米国へと投降したインディアン達は、口々にそう証言した。
彼らは偉大なる戦士の魂を守るべく、真実を奪うことを選んだのだ。
カスター将軍との最期の邂逅を、未来へ語り継がれる“呪い”へと変えないために。
◆
“デュラハン”の縄張りの一つであるライブハウス。
その雑居ビルの屋上にて、シッティング・ブルは自らの霊体化を解いた。
春の風が、静かに肌を撫でていく。
街に蔓延る災いや争いなど、知る由も無いかのように。
つい先刻、港区の方角で巻き起こった”闘争の濁流”さえも――存在しなかったかのように。
夜空は相も変わらず、闇の中で輝き続ける。
街の光に遮られながら、星々が微かな輝きをちらつかせている。
暫しの間、賢者は空を見上げていた。
先程バーサーカーから問われたことを振り返りながら、彼は息を吐く。
自らの胸の奥底に眠る葛藤を看破されて、シッティング・ブルは確かに心を揺さぶられていた。
――まるで”己には誰かを導く資格がない”と。
――初めから諦めているように見える。
ゴドフロワは、シッティング・ブルへとそう投げ掛けた。
己のマスターを誘わんとする白い少女を、賢者は止めることが出来なかった。
それは彼が穏健な存在であるが故に、というのみならず。
心の奥底で、悠灯を支えることを諦めているのではないか。
彼女を導くに足る存在ではないと、自らに諦念を抱いているのではないか。
十字軍の騎士は、祈祷の賢者へとそう突きつけていた。
その言葉の前に、シッティング・ブルは何も答えることが出来なかった。
自らの絶望と虚無を見抜かれたような言葉に対し、反論さえもすることが出来なかった。
その上でゴドフロワは”あくまで同盟者としての貴方の価値は理解している”とし、以後問い質すことはしなかったが。
彼から問われた意思は、シッティング・ブルの中で葛藤として尾を引き続けていた。
やがて賢者は、視線を下ろす。
屋上の中央に立つ自らに対し、端のフェンスに持たれ掛かる影があった。
数メートルほど離れた距離に立ちながら、その人物は口元から煙を吐いていた。
「おう、キャスター」
手すりへと寄り掛かって、少女は夜に黄昏れていた。
その口には馴染みの銘柄の煙草が咥えられている。
この一ヶ月で、すっかりと慣れ親しんだ匂いだった。
暇を持て余した時や、苛立ちを紛らわせる時。
香りが欲しくなった時や、物思いに耽りたい時。
少女(マスター)は常に懐から煙草を取り出し、気怠げな香りを揺蕩わせる。
「……悠灯」
華村悠灯という17歳の少女は、いつだって煙の匂いを纏っている。
それが彼女にとって己の孤独を癒やすための手段であることを、シッティング・ブルは知っていた。
「報告ありがと。悪いな」
シッティング・ブルが行っていた会議の内容は、既に念話を通じて共有していた。
狩魔も同じように十字のバーサーカーから伝達を受けているのだろうと、悠灯は察する。
それから悠灯は、ポケットからもう一本の煙草を取り出す。
その煙草を、悠灯が虚空へと向けて差し出した直後――小さな野鳥の“霊獣”が姿を現し、それを咥えて飛んでいく。
やがて野鳥はシッティング・ブルが突き出した左腕の上に止まり、彼へと煙草を渡した。
シッティング・ブルは悠灯と霊獣へと一礼をし、その煙草を口に咥えた。
掌から呪術によって小さな灯火を生み出し、紙に巻かれた葉を燃焼させる。
「君も、終わったのか」
「うん」
互いに煙を漂わせながら、シッティング・ブルは悠灯へと問いかけた。
悠灯は想いに耽るように、静かに答える。
「狩魔さんとの話、済ませてきた」
空を見つめながら、悠灯は呟く。
自らの不安と憂鬱を包み込むように。
タバコの煙を、静かに吸い込んでいた。
◆
「悠灯」
暫し前の遣り取り。
言葉と共に部屋を揺蕩う、煙の匂い。
小さな火が灯り、仄かな霧が漂う。
「俺がお前を気に掛けてたのは、打算でも上っ面でもない」
シッティング・ブルとゴドフロワが今後の戦術を確認し合っていた時。
ソファに踏ん反り返った
周鳳狩魔は、タバコの煙の中で少女に語りかける。
気怠げに混ざり合う香りが、狭い部屋の中で浮遊する。
「そこに嘘はねえ。誓っても良い」
テーブルを挟み、向かい合って座る少女――華村悠灯。
狩魔と同じように煙草の味を嗜みながら、神妙な面持ちで彼の言葉を聞く。
「そのうえで、言っておくがな」
ふう、と狩魔は煙を吐く。
その言葉と共に、眼差しが悠灯を射抜く。
「ゲンジは腹括ったぜ」
つい先刻、自らの成すべきことへと向かった覚明ゲンジを追憶しながら。
狩魔は、迷いの最中に立ち続ける悠灯へと投げかける。
「悠灯。お前はどうする」
その一言を前に、悠灯は息を呑む。
煙の味と交わるように、緊張が肺へと飲み込まれていく。
「お前は戦争(ケンカ)のために、俺のところへツラ出した」
聖杯戦争の同盟軍としてのデュラハンは、決して狩魔に忠誠を強いる集団ではない。
故に悠灯の葛藤に対して無理強いはしないし、狩魔の意向に従うことを強要したりもしない。
「俺もお前を頼りにして引き込んだ」
しかし――あくまで“同盟”だ。
この戦争に勝ち抜くための、利害関係による結びつきなのだ。
だからこそ、あの白い少女との対峙を経て彷徨い続ける悠灯に対し、改めて問う必要があった。
「――――その意味だけは、忘れるなよ」
ゲンジは覚悟を決めた。
ならばお前はどうだ。
続けるのか、抜けるのか。
此処から先は命懸けの闘争だぞ、と。
狩魔は、悠灯の意思を問う。
そんな彼の言葉と、視線に対し。
悠灯は、何も返すことは出来ず。
ただ沈黙の中で、力なく頷くことしか出来なかった。
恍惚とした白煙の匂いが漂い続ける。
時間さえも留まりそうな、緩やかな快楽の中で。
少女は、苦悩へと身を置き続けていた。
◆
「アタシさ」
煙草を咥えながら。
夜空の下で、悠灯は呟く。
「どうすりゃいいんだろうな」
自らの心の奥底。
今なお渦巻く葛藤について。
悠灯は、静かにぼやく。
「死ぬのは怖いって思ってんのに」
死にたくない。生きたい。
自らの余命を告げられて、ようやく自覚した願い。
自分を壊し続けてきた少女が抱いた、ようやく掴んだ切実なる想い。
「“あいつ”に手を差し伸べられて、ずっと不安になってる」
その願いへの切符が、まさに目の前に突きつけられた。
神寂祓葉。この世界の黒幕である、あの白い少女によって。
焦がれ続けてきた未来への権利を、極光にも似た輝きと共に差し出された。
「あの手を掴んでいいのかさえも……分からないんだよ」
悠灯は、ぽつりぽつりと呟き続ける。
その瞳に憂いを宿しながら、夜空を仰ぐ。
あのとき悠灯は、シッティング・ブルによって制止された。
駄目だ、その甘言に耳を貸してはならない。
それは魔性の誘いだ、悪魔の囁きだ、と。
彼は祓葉を強く拒絶し、否定しようとした。
分かっている。その意味は、理解している。
それでも悠灯は、酷く惹きつけられてしまう。
あの圧倒的なまでの、生命の輝きに。
自らが求めていた、生きることの喜びに。
あの脱出王から告げられた言葉が、脳裏をよぎる。
残された時間はもう長くないと、彼女は突きつけてきた。
周凰狩魔との対話が、鮮明に蘇る。
ゲンジは腹を括った、お前はどうすると、彼は問いかけてきた。
まるで自らを焚きつけるような後押しを、悠灯は改めて振り返る。
きっと自分は、今なお迷いの渦中に居るのだろう。
葛藤と苦悩の中で、未だに立ち尽くしているのだろう。
悠灯は自らの置かれた立場を俯瞰して、それ故に思案する。
これから自分に必要なことが何なのか。彼女はそれを悟る。
今の自分は、踏み出さなければならない。
そんな単純なことが、こんなにも恐ろしいことなのだと。
煙草の香りのように、悠灯は想いを浮遊させる。
「キャスターもさ」
そうして悠灯は、自らの後方。
屋上の中央に佇むシッティング・ブルへと呼び掛ける。
「死ぬのは、怖かったんだよな」
死を恐れるのは、普遍的な意思である。
如何に勇敢な戦士と言えど、その根底には恐怖を抱く。
祓葉と出会う直前、シッティング・ブルはそう語っていた。
眼の前に突き出された切符に迷いを抱いている今だからこそ、悠灯は改めてそのことを問いたかった。
「……怖かったさ」
シッティング・ブルは、目を伏せながら呟く。
インディアンの世界は、”大いなる神秘”によって形作られている。
動物も、自然も、この宇宙も、全ては一つの神秘として等しく繋がっている。
死もまた神秘の摂理であり、在るべき循環に過ぎない。
例え肉体が朽ち果てようと、我々はこの世界に還っていくのみ。
それが大地と共に生きるインディアンの信仰だった。
「皆、怖かったのだ」
それでも、それでも尚。
彼らは命ある人間であるが故に。
その根底には、確かなる恐怖があった。
恐れがあったからこそ、抗い続けてきた。
誰もが皆、恐怖と絶望の中で藻掻いていた。
「私は……」
そんなインディアン達の精神的支柱として、シッティング・ブルは立ち続けてきた。
彼らを纏め上げる賢者として、偉大なる戦士として、その道筋を示し続けてきた。
「君を支えると誓った」
だからこそ、その背中には。
余りにも大きな重圧が伸し掛かっていた。
そして同志達は、皆散っていった。
「しかし」
シッティング・ブルは、淡々と呟く。
声を震わせながら、言葉を紡いでいく。
「君を導く資格が、私にあるのか」
この聖杯戦争に召喚された時から、胸の内に押し込めていた葛藤。
「今なお、分からないのだ」
シッティング・ブルは、それを吐露するように打ち明けた。
「この魂は、罰されて然るべきなのだから」
己は、白い少女の在り方を否定した。
なれば、己に悠灯を導くことが出来るのか。
悠灯の未来を指し示す資格が、己にあるのか。
シッティング・ブルには、それが分からなかった。
悠灯は、何も言わずに振り返った。
枯れ木のように佇むシッティング・ブルへと、視線を向けていた。
その姿から滲み出る悲哀を、その言葉から垣間見える葛藤を、少女は無言で噛み締めていた。
「悠灯よ」
そうして僅かな間を開けて、シッティング・ブルは呟く。
「君には、見せたことが無かったな」
この一ヶ月の間、悠灯は殆ど直接的な戦闘を経験していない。
シッティング・ブルもまたあくまで小競り合いや遊撃に徹し、全力の戦闘を行っていなかった。
「私の……“宝具”を」
それ故に悠灯は、シッティング・ブルの宝具を目にしたことがなかった。
彼が如何なる経緯を背負い、如何なる顛末を迎えた英雄なのか。
そのことは理解しながらも、彼の神秘の具現を未だに見ていなかった。
既に魔術によって”人払い”は済ませている。
霊獣の見張りによって、周囲に偵察や監視の目がないことも確かめている。
故に賢者は、自らの宝具を開帳する。
宝具とは、サーヴァントが背負う伝説の象徴。
その英雄が背負う逸話や物語が、形を成したモノ。
それを解放するということは、自らが如何なる存在であるのかを示すことである。
「――――『謳え、猛き紅馬(グリージー・グラス)』」
シッティング・ブル。
彼は、自らの魂を解き放つ。
己が背負う全てを、少女へと曝け出す。
◆
『この命を懸けてでも』
『最後の時まで、戦い抜こう』
『我らは死を畏れない』
『例えこの肉体が朽ち果てようとも』
『ただ“大いなる神秘”へと還るだけだ』
『この大地も、我らの魂も』
『白人のカネで買われるものではない』
『我らは、我ら自身を守るために』
『未来を紡ぐ子供達を守るために』
『奴らを打ち払わなければならない』
『そして、だからこそ』
『君には、礼を言わねばならない』
『その叡智と勇気によって――』
『多くの同志を集めてくれたのだから』
『君がいたから、“長い髪の男(カスター)”も倒せた』
『故に』
『“座する雄牛”よ』
『君と共に戦える今を』
『我らは誇りに思う』
◆
――――それは。
――――血の海のような。
――――赤黒い泥だった。
シッティング・ブルの足元。
彼が佇む周囲の床が、赤と黒に染まりゆく。
まるで、血肉が撒き散らされるかのように。
まるで、臓物が弾け飛んだかのように。
腐敗に満ちた色彩が、ぬらりと姿を現す。
夥しい死臭が、瘴気の如く立ち昇る。
煙草には似ても似つかぬ、恐慌の硝煙。
吐き気を催す香気が、この場に浮遊する。
蛆に食い荒らされたような、退廃の匂いだった。
破滅と腐乱。死と崩壊。不可逆の終焉。
掻き混ざる絶望。果てなき荒廃。
悪夢にも似た気配が、その場に顕現する。
酷く虚しい異臭を纏った風が吹き抜ける。
賢者の周囲に展開された、赤黒い血肉の泥。
其処には――――数多の屍が横たわっていた。
幾人もの事切れた死体が、地に伏せていた。
その死屍の全てが、等しく“頭部”を喪っている。
ある者は馬の蹂躙により、潰れた果実となり。
ある者はサーベルの斬撃で、首を斬り落とされ。
ある者はライフルの掃射によって、脳髄ごと弾け飛んだのだ。
皆、頭を亡くしている。
皆、個を喪失している。
皆、人の証を砕かれている。
全てが等しく、名もなき亡骸。
やがて首無しの遺体達が、ぬらりと起き上がる。
まるで生きる屍のように、彼らは武器を手に取る。
そして、ごう――――と。
彼らの首の断面から、鬼火のような焔が灯る。
まるで怨念や絶望が遺骸を駆動させるかのように。
頭無き戦士達は、濁った焔を揺らめかせていた。
“死の松明”のように、彼らはこの戦争の地に顕現する。
悪霊の群れの如く、その影は揺らめいて佇む。
これがシッティング・ブルの宝具。
これが『謳え、猛き紅馬(グリージー・グラス)』。
彼が生前に同志として共に戦った“インディアンの戦士達”――その幻影を軍勢として召喚する。
「……これが、私という英霊だ」
そして、この情景こそが。
シッティング・ブルの脳裏に焼き付く。
絶望と虚無の残像だった。
「彼らは、私を信じてくれた」
彼らは皆、散っていった。
彼らは皆、飢えていった。
彼らは皆、朽ちていった。
「だが私は、彼らを支えられなかった」
シッティング・ブルは多くの同志と共に白人に抗いながらも、その戦いが実を結ぶことはなかった。
数十年に渡る抵抗の中で、シッティング・ブルは数多の同胞達が死にゆく姿を見つめてきた。
戦わぬ子供や老人達の顛末も、その目で目の当たりにしてきた。
彼らは蒼き騎兵に蹂躙され、生き延びてもなお疫病と飢餓で命を枯らしていった。
「そう。皆を支えられなかったんだ」
喪われた同胞達と、果たせなかった大義。
余りにも鋭い幻視を備えていたが故に、部族が辿る結末を半ば悟っていた苦悩。
死してなお、彼の魂は後悔と無念に蝕まれている。
その絶望は、自らの宝具さえも歪ませる呪縛と化したのだ。
「支えられなかったんだよ」
この大戦士は、決してただの温和な賢者ではない。
類稀なる叡智と理性によって、己を律しているだけに過ぎない。
寡黙なる表情の奥底に、絶望と後悔を閉じ込めているに過ぎない。
「私は……呪われるべき者なのだ」
シッティング・ブルは、とうに壊れているのだ。
故にこそ彼は、“散っていった同胞達を救う”という未練に駆られている。
それだけが、この賢者に残された唯一の執着だった。
悠灯はただ、茫然と佇んでいた。
言葉を失い、何も言えぬまま。
目を見開いて、沈黙をしていた。
――しかし、それでも。
彼女の眼差しは、じっと賢者を見つめていた。
自らの絶望と呪縛を形にした英霊から、決して目を逸らさなかった。
「悠灯よ」
そうしてシッティング・ブルは、悠灯へと呼び掛ける。
「私を、信じなくてもいい」
己自身を否定するように、彼はそう呟く。
「君が“あの白い少女”の手を取りたいと言うのなら、私は止めはしない」
例えその選択が、過ちであったとしても。
悠灯がそう在ることを望むならば、彼は止められない。
何故ならそれは、聖杯に縋る己と同じ仰望なのだから。
「生きたいと望むことは、罪ではないのだ」
生を望み、奇跡へと縋る想いを、誰が否定できるのか。
呪われて然るべき己に、その願いを止める資格があるのか。
故に彼は、あくまで悠灯の意志に委ねる。
君が望むならば、己は引き留めることはしない。
あの輝きに縋ってでも生きたいと願うのなら、彼女の手を取っても構わない。
己には君を咎める資格はないのだから、と。
シッティング・ブルの眼差しは、悠灯に訴えかける。
静寂が、夜を包み込む。
退廃と死臭が、場に漂い続ける。
破綻の硝煙が、沈黙を生み出す中。
やがて踏み出したのは、悠灯の方だった。
一歩、一歩と。彼女は歩み寄っていく。
足元の赤黒い泥のことも、意に介さず。
悠灯の眼差しは、シッティング・ブルを見つめ続ける。
不安と動揺、そして悲哀のような想いを湛えながら。
その奥底に、仄かな決意にも似た感情を宿しながら。
悠灯は、朽ちし賢者の前へと立つ。
「……キャスターもさ」
ぽつりと、言葉を紡ぎながら。
少女は、切なる想いを馳せる。
「ずっと、思ってたんだな」
――ああ、そうか。
――アンタも、そうなんだな。
悲嘆と焦燥。諦念と虚無。
自らを罰し、灼き続ける苦悩。
彼女はそれを、知っていた。
「“自分は生きるに値しない”って」
その呪いの意味を、知っていた。
だから悠灯は、その言葉を告げた。
だから悠灯は、賢者の手を握った。
「あいつとは……もう一度、会いたい」
そうして悠灯は、自らの意思を告げる。
”あいつ”――即ち、白い少女。神寂祓葉。
どんな想いを交わして、何を伝えるのか。
その答えは、まだ見つからずとも。
彼女と対峙しなければ、きっとこの先も自分は前へ進めない。
悠灯はそう悟っていたからこそ、決意していた。
「けど。けどさ」
そして、そのうえで彼女は言葉を続ける。
祓葉の手を取るのか、否か。
悠灯の心を絶えず苛み続けていた、自問と葛藤。
「アタシは……」
その迷いは、今なお悠灯の心に燻る。
それでも彼女は、ただひとつだけ。
確かな祈りを抱いていた。
「あんたの手を取る」
悲嘆と哀愁を携えた、賢者と少女の瞳。
夕陽のような色彩を湛える、二人の眼差し。
その視線が、交錯をした。
途方もない夜の下で、二人は意志を通わせた。
それは果たして、終わりゆく運命を背負う二人の道筋に射した夕焼けの光なのか。
あるいは、二人をいよいよ破綻の螺旋へと導く終焉への狼煙なのか。
聡き賢者にさえも――その答えは、見出だせなかった。
【新宿区・歌舞伎町のライブハウス/一日目・夜間】
【周鳳狩魔】
[状態]:健康
[令呪]:残り3画
[装備]:拳銃(故障中)
[道具]:なし
[所持金]:20万程度。現金派。
[思考・状況]
基本方針:聖杯戦争を勝ち残る。
1:刀凶聯合との衝突に備える。
2:ゲンジへ対祓葉のカードとして期待。当分は様子を見つつ、決戦へ向け調整する。
3:悠灯。お前も腹括れよ。
4:特に脅威となる主従に対抗するべく組織を形成する。
5:山越に関しては良くも悪くも期待せず信用しない。アレに対してはそれが一番だからな。
[備考]
【バーサーカー(ゴドフロワ・ド・ブイヨン)】
[状態]:健康
[装備]:『主よ、我が無道を赦し給え』
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:狩魔と共に聖杯戦争を勝ち残る。
1:神寂祓葉への最大級の警戒と、必ずや討たねばならないという強い使命感。
2:レッドライダーの気配に対する警戒。
[備考]
【華村悠灯】
[状態]:動揺と葛藤
[令呪]:残り三画
[装備]:精霊の指輪(シッティング・ブルの呪術器具)
[道具]:なし
[所持金]:ささやか。現金はあまりない。
[思考・状況]
基本方針:今度こそ、ちゃんと生きたい。
1:祓葉と、また会いたい。
2:暫くは周鳳狩魔と組む。
3:ゲンジに対するちょっぴりの親近感。とりあえず、警戒心は解いた。
4:山越風夏への嫌悪と警戒。
[備考]
【キャスター(シッティング・ブル)】
[状態]:健康、迷い
[装備]:トマホーク
[道具]:弓矢、ライフル
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:救われなかった同胞達を救済する。
0:神寂、祓葉……。
1:今はただ、悠灯と共に往く。
2:神寂祓葉への最大級の警戒と畏れ。アレは、我々の地上に在っていいモノではない。
3:――他でもないこの私が、そう思考するのか。堕ちたものだ。
4:復讐者(
シャクシャイン)への共感と、深い哀しみ。
5:いずれ、宿縁と対峙する時が来る。
6:"哀れな人形"どもへの極めて強い警戒。
[備考]
※ジョージ・アームストロング・カスターの存在を認識しました。
※各所に“霊獣”を飛ばし、戦局を偵察させています。
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最終更新:2025年03月28日 00:41