ここは会場内にある森の入り口辺り……
そこには令嬢剣士が怒号とともにゴブリンの群れを蹂躙する姿があった。
「死ね、死ね、死ね死ねシネシネシネエエエエ!ゴブリンは皆殺しだアアアアァァ!!」
彼女は先ほど虐殺したゴブリンたちについて、その根城を探すために近くの森の中を探索しようとしていた。
そんな中彼女たちは、近くでたむろしていたゴブリンの群れに遭遇したのだった。
当然彼女はこの機会をのがずつもりはなく、先ほどのように蝙蝠を模した鎧を付けて突撃したのだ。
「GOB!?」
「GAAAA!」
「GOROB!!」
「GAAAA!」
「GOROB!!」
言うまでもなくゴブリンたちはそんな彼女の猛攻にも耐えられず逃げ惑っていた。
しかし、そんな状況は彼女とは別の襲撃者によって一変したのだ。
……それは一部のゴブリンたちが森の中に逃げ込もうとした時に起きた。
森の中に逃げ込めば振り切ることができる、と彼らは考えたのだ。
だけれどもそんな彼らの浅はかな考えは、頭から剣を生やした大蛇たちによって足りない頭ごと刈り取られてしまった。
ゴブリンたちは恐れおののいた、自分たちが逃げ出そうとした先にも怪物が潜んでいることに気づいたからだ。
そしてゴブリンたちは自らの死を悟ることになった。他ならぬ、森に潜んでいる怪物の姿を見たのだから。
そこには……
「私にぃはぁ剣しかぁないんだぁぁぁぁぁあぁぁぁ」
上半身から無数の蛇を生やした剣士がいたのだ。
そしてその剣士は、体から生えた蛇たちでゴブリンたちを薙ぎ払ったり、剣を振り回して切り裂くなどして蹂躙を始めたのだ。
こうして周囲にゴブリンたちの死骸が積み重なった後、その怪物は令嬢剣士の元へと向かってきた。
「…何ておぞましい化け物ですの…!」
彼女は吐き捨てるようにそう言った。
彼女はその姿から何となく感じたのだ。目の前の怪物が、かつて人間であったことに。
そして『そんな姿になってまでも』強さを求めたという浅ましさに、彼女は嫌悪感を催したのである。
「私は生まれ変わった、最強の剣士として……」
「九本の刀に、誰しも恐れを抱く……」
「九本の刀に、誰しも恐れを抱く……」
そんな彼女に対し怪物は意に介した様子もなくそう返し、四体の蛇を伸ばしてきた。
されど彼女はそれに動揺することもなく避け、そのあと手にしていた剣と短銃を使って蛇を攻撃し始めた。
そうすると蛇たちは血をまき散らしながら砕け散り、怪物は体勢を崩したのだった。
これで倒せる、と判断した彼女は迷うことなく怪物に向かい、手に持った剣を彼に突き立てようとした。
しかしそれは悪手だった。彼女は気づいていなかった、何故彼が『九本の刀』と言ったかを。
先ほど彼女が破壊した蛇は四体だった。では残りの剣はどこにあるのか?彼女はそれに気づいていなかったのだ。
その結果……
「おごっっ!が……あああっ!!」
彼女は腹部に何かを突き刺されたような強い衝撃を受け、変身が解けてしまったのだ。
そして元の姿に戻りもだえ苦しむ彼女は、怪物の背中から生えた五体の大蛇を見たのだった。
(迂闊でしたわ……他の腕がある可能性を考えなかったなんて……)
彼女は自分の迂闊さを嘆いていたが、そんな彼女を見て怪物はなぜか攻撃をしてこなかった。
何故動かないのか、と彼女が疑問に思っていると怪物は地面に毒液を流した後、そこに先ほど破壊された蛇を沈み込ませたのだ。
するとどうだろうか、砕け散ったはずの蛇たちが再生しているではないか。
(な……再生能力まで持っていますの……!)
そして自分の身体が再生したことを確認した怪物は、とどめを刺すべく蛇たちを振り回しながら近づき始めたのだ。
(ここで、わたくしは…殺されるというの……?このまま復讐を果たすこともできずに……?)
彼女は自分に近づいていく怪物を見ながら、自らが死ぬ姿を幻視し始めていた。
しかし彼女は立ち上がった。自分はまだ目的を果たしていない、それなのにここで死ぬわけにはいかないと、そう強く思ったからだ。
「…こんなところで死ぬつもりはありませんわ!」
そう彼女が叫ぶとともに、刀を取り出して怪物の腹部に突き刺したのだ。
それに怪物がうめき声をあげると、彼女は怪物の腹を切り裂き、そこに銃口を突き刺した。
そしてそのまま何度も弾を発射し続けた。怪物の腹から大量の血しぶきが上がるのも構わずに、彼女は撃ち続けたのだ。
そうして……
「化物になってもかまわなかった……再び剣を握れるなら……」
怪物は、そういうと静かに倒れ伏して動かなくなった。
やっと倒せた、と彼女はそう思ったがそれが命取りとなった。
何と残された蛇が周囲に毒霧をまき散らしたのだ。
そのことに気づいた彼女は急いで口をふさいだが、彼女はわずかながらそれを吸い込んでしまった。
その結果、彼女は吐血してしまった。
(く…喉をやられてしまったようですわ……!急いでここを離れ、体を休める場所を探さなければ……!)
そして彼女は、満身創痍となった体を必死に動かして、体を癒せる場所を探すために歩き出すのだった……。
――― 彼女に栄光はない、何故なら今の彼女はもはや『貴族』でも『冒険者』でもなく、ただの『修羅』なのだから……。
そして彼女が立ち去った後、先ほど倒された筈の怪物にはある変化が生じていた。
「敵がいなくなった……空しい……、相手がいなければ意味がない…」
なんと、この怪物はまだ生きていたのだ。
腹部に刀を突き刺され、またその傷口を何度も撃たれたにも関わらず、この怪物は死んでいなかったのだ。
「誰でもいい……、剣を交える相手を……」
そして怪物は、自身の身体から生えた蛇を使って立ち上がった後、何処かへと向かい始めたのだった……。
――― 彼に栄光はない、何故なら彼は『人』であることをやめたのだから……。
――― そういう意味では彼らのあり方は悲劇かもしれない……。
――― されど彼らを嘆いてはならない、何故なら彼らは『それで満足している』のだから……。
【H-4/深夜】
【令嬢剣士@ゴブリンスレイヤー】
[状態]:毒霧を吸い込んだことによるダメージ(小)、ゴブリンへの強い憎悪
[装備]:トランスチームガン、バットロストフルボトル@仮面ライダービルド、古びたカーテン(腐食)
[道具]:基本支給品、ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!(アニメ版)
[思考・状況]:基本行動方針:何が何でも元居た所へ戻り、宝剣を取り返す。
1:ゴブリンは見つけ次第殺す
2:使えるものは全て利用する
3:回復できる場所を探す
4:服が欲しい
[備考]
参戦時期はゴブリンスレイヤー達に洞窟から救出される前。
毒霧により体に巻いていたカーテンが腐食し、崩壊しかけています。
【令嬢剣士@ゴブリンスレイヤー】
[状態]:毒霧を吸い込んだことによるダメージ(小)、ゴブリンへの強い憎悪
[装備]:トランスチームガン、バットロストフルボトル@仮面ライダービルド、古びたカーテン(腐食)
[道具]:基本支給品、ちゅんちゅん丸@この素晴らしい世界に祝福を!(アニメ版)
[思考・状況]:基本行動方針:何が何でも元居た所へ戻り、宝剣を取り返す。
1:ゴブリンは見つけ次第殺す
2:使えるものは全て利用する
3:回復できる場所を探す
4:服が欲しい
[備考]
参戦時期はゴブリンスレイヤー達に洞窟から救出される前。
毒霧により体に巻いていたカーテンが腐食し、崩壊しかけています。
※ヒュドラとの戦闘により、【H-4】の一部で毒霧が発生しました。
範囲と、いつ頃晴れるのかは後続の書き手にお任せします。
範囲と、いつ頃晴れるのかは後続の書き手にお任せします。
【ヒュドラ@ソウル・サクリファイス】
NPC。上半身から無数の蛇が生えた、剣士の姿をした魔物。
かつて部類の強さを誇っていたが、毒を盛られたことで戦えなくなった剣士が変異した魔物で、
自身がかつて使っていた九本の剣をふるうために内臓を大蛇に変化させたとされる。
また腕代わりになっている大蛇は剣をふるうだけでなく足元に毒液を流す、周囲に毒霧をばら撒く、
地面に突き刺して高所から攻撃するなど人間では不可能な動きで翻弄してくる上に、
たとえ破壊したとしてもしばらく経つと再生してしまうなど
『ヒュドラ』の名にふさわしい再生能力を持っている。
NPC。上半身から無数の蛇が生えた、剣士の姿をした魔物。
かつて部類の強さを誇っていたが、毒を盛られたことで戦えなくなった剣士が変異した魔物で、
自身がかつて使っていた九本の剣をふるうために内臓を大蛇に変化させたとされる。
また腕代わりになっている大蛇は剣をふるうだけでなく足元に毒液を流す、周囲に毒霧をばら撒く、
地面に突き刺して高所から攻撃するなど人間では不可能な動きで翻弄してくる上に、
たとえ破壊したとしてもしばらく経つと再生してしまうなど
『ヒュドラ』の名にふさわしい再生能力を持っている。
038:運ゲーは既に始まっている | 投下順 | 040:それが見えなくても、終わり |
歪められたディスティニー | 令嬢剣士 | 057:ある修羅の結末 |