「沙都子ォ!!!!」
古手梨花の行動は凄まじいほどに迅速だった。
あの海馬乃亜とかいうクソガキに殺し合いを命じられた挙句、兄弟二人を愚弄し惨殺ショーを繰り広げ、気付けばこんな妙な島へと転移させられる。
これらの一連の出来事に戸惑いつつも、彼女は怒りに燃えていた。乃亜もさることながら、あの北条沙都子に。
このカケラに流れ着く前、梨花は沙都子と殺し合いを繰り広げていた。
梨花が進学するのを食い止めようと、身勝手な理由で惨劇を再開した彼女に梨花も怒りを爆発させ、幾度となく殺し合いながら幾つものカケラを巡っていた。
それを、あの乃亜が外部から介入したのだろう。
何にせよ、話は早い。こんな意味不明なカケラ、さっさと自害し退場するだけだ。そして雛見沢に帰還し沙都子をぶっ飛ばす。
支給されたデザートイーグルを咥え、トリガーに指を掛ける。様々なバリエーションで殺された女だ。どうすれば楽で即座に死ねるか、彼女は死に方を熟知していた。
あの海馬乃亜とかいうクソガキに殺し合いを命じられた挙句、兄弟二人を愚弄し惨殺ショーを繰り広げ、気付けばこんな妙な島へと転移させられる。
これらの一連の出来事に戸惑いつつも、彼女は怒りに燃えていた。乃亜もさることながら、あの北条沙都子に。
このカケラに流れ着く前、梨花は沙都子と殺し合いを繰り広げていた。
梨花が進学するのを食い止めようと、身勝手な理由で惨劇を再開した彼女に梨花も怒りを爆発させ、幾度となく殺し合いながら幾つものカケラを巡っていた。
それを、あの乃亜が外部から介入したのだろう。
何にせよ、話は早い。こんな意味不明なカケラ、さっさと自害し退場するだけだ。そして雛見沢に帰還し沙都子をぶっ飛ばす。
支給されたデザートイーグルを咥え、トリガーに指を掛ける。様々なバリエーションで殺された女だ。どうすれば楽で即座に死ねるか、彼女は死に方を熟知していた。
「月明りに照らされて銃を咥えるあどけない少女……なんだかとても芸術的にも、背徳的な光景にも見えるけれど、頭に風穴を開けて喋れなくなる前に答えてくれないかしら?」
白銀の長い髪を、なびかせた少女だった。
派手な髪色を彩るような白い肌と真紅の瞳も妖艶さと無垢な美しさを醸し出す。
派手な髪色を彩るような白い肌と真紅の瞳も妖艶さと無垢な美しさを醸し出す。
「誰? 邪魔をしないで、こっちは忙しいのよ!」
「通りすがりのお姉ちゃんとでも言っておくわ」
「ああ、そう! アンタがお姉ちゃんなら私はお婆ちゃんよ! さようなら!!」
「だから、待ちなさいと言っているでしょう!」
「通りすがりのお姉ちゃんとでも言っておくわ」
「ああ、そう! アンタがお姉ちゃんなら私はお婆ちゃんよ! さようなら!!」
「だから、待ちなさいと言っているでしょう!」
呆れたように少女は梨花に飛び掛かり、銃を握る梨花の腕を拘束する。
「どうせ死ぬなら、最後に死ぬ理由を話してほしいわ」
「アンタに話す理由ある!? どうせ信じないわ」
「理由ならあるわ。気になるからよ。好奇心を満たすのは、人として当然の本能じゃない? それに私は天才なの。
普段なら、税込み1890円のところを今日だけ出血大サービスで相談を聞いて、無料で天才の名言を授けてあげるわ」
「アンタに話す理由ある!? どうせ信じないわ」
「理由ならあるわ。気になるからよ。好奇心を満たすのは、人として当然の本能じゃない? それに私は天才なの。
普段なら、税込み1890円のところを今日だけ出血大サービスで相談を聞いて、無料で天才の名言を授けてあげるわ」
天才なんて自分で言うか普通? そんな風に思いながら、梨花は毒気を抜かれてしまった。
梨花本人に鉛玉を撃ち込むのは良いが、一応は他人を巻き込むのは気も引ける。こんな近距離で銃を撃てば、この少女にも当たるかもしれない。
溜息を吐きながら、梨花は諦めたように腕の力を抜き銃を下ろした。
梨花本人に鉛玉を撃ち込むのは良いが、一応は他人を巻き込むのは気も引ける。こんな近距離で銃を撃てば、この少女にも当たるかもしれない。
溜息を吐きながら、梨花は諦めたように腕の力を抜き銃を下ろした。
「梨花よ。古手梨花」
「私は風見一姫、よろしくね」
「私は風見一姫、よろしくね」
一姫は梨花が今まで話した人間のどれにも属さない人種だった。
「――――――――それで、沙都子と私は殺し合っていたの」
「なるほどね。百年もループしてようやく惨劇を回避したけど、今度はお友達がラスボスになってまだループを始めてしまったと?」
「……信じるの?」
「ええ、嘘ではないのでしょう? まあ半信半疑だけれど死に慣れているのなら、あんな迷いなく銃を自分に向けられるのも納得ね」
普通の人間ならば、一度死んだ人間が過去に戻りそれをやり直してきたと語っただけで怪訝な顔をし、話を真に受けないだろう。
だが一姫は梨花の話を遮ることなく、全てを語り終えるまで真摯に耳を傾け続けていた。
余程の変人で物好きなのだろうか、当の梨花が逆に引いていた。
だが一姫は梨花の話を遮ることなく、全てを語り終えるまで真摯に耳を傾け続けていた。
余程の変人で物好きなのだろうか、当の梨花が逆に引いていた。
「もういいわね? 私は沙都子と決着を着けなければいけないの……貴女はこんな殺し合いに巻き込まれて災難だけど、私は先にここから退場させてもらうわ」
「その事だけど、やめた方が良いわ」
「……何でよ。理由は話したでしょ」
「ええ、だからこれは好意で言ってあげてるの。乃亜の台詞を、思い返してごらんなさい。
ゲームは公平に行わなければならない。圧倒的強者には、ハンデを与えると……そう言っていたでしょう?」
ゲームは公平に行わなければならない。圧倒的強者には、ハンデを与えると……そう言っていたでしょう?」
「だから、何よ!」
「命を掛けた殺人ゲームの中で、一人だけ死んでもやり直せる……ゲームとして、公平に欠けていると思わない? ハンデを背負わされてもおかしく程に」
一姫が注視したのは、乃亜の言動であった。
少なくとも殺し合いをゲームと比喩し、公平性を語り不死の異能者でも首輪を爆破すれば死ぬと断言していた程だ。
梨花の力も、考えようによっては不死と言って良い。
最初に殺されたルフィの特異な力といい、異能が存在しそれを認識している乃亜が何の対策も講じないとは考え難い。
少なくとも殺し合いをゲームと比喩し、公平性を語り不死の異能者でも首輪を爆破すれば死ぬと断言していた程だ。
梨花の力も、考えようによっては不死と言って良い。
最初に殺されたルフィの特異な力といい、異能が存在しそれを認識している乃亜が何の対策も講じないとは考え難い。
「それは……でも、この力は羽入のもので……いくら乃亜でも……」
「あの乃亜という子は異常よ。こんな殺し合いを開く能力がという意味でね。いくら警戒しても損はないわ。
それに、どうせ死に戻れるのであれば、その前に生きている間、この殺し合いの情報を蓄えて、次のループへのアドバンテージにすれば良いじゃない。
次の雛見沢でも、乃亜が介入しないという確証はないでしょう?」
それに、どうせ死に戻れるのであれば、その前に生きている間、この殺し合いの情報を蓄えて、次のループへのアドバンテージにすれば良いじゃない。
次の雛見沢でも、乃亜が介入しないという確証はないでしょう?」
「……」
梨花は手元の銃を見た。
改めて、今頃になってから少し恐怖を覚えた。
改めて、今頃になってから少し恐怖を覚えた。
一姫の推測は理に適っている。乃亜の力や素性、性格など梨花は知らない。故に彼が何をどう仕掛けているのか、現状は一切の予想が付かないのは事実だ。
繰り返す者を真の意味で殺す剣が存在するのも、梨花は最近知った。乃亜が同じような力を手にし、梨花に雛見沢へ死に戻れないよう細工をしていると言われたら否定しきれない。
もし、そのような状態で頭を撃ち抜けばどうなっていたか……あまり想像はしたくない。
それに死ぬにしても、現在起きているイレギュラーな事態を出来うる限り把握してから、死んだ方が有意義なのも確かだ。
繰り返す者を真の意味で殺す剣が存在するのも、梨花は最近知った。乃亜が同じような力を手にし、梨花に雛見沢へ死に戻れないよう細工をしていると言われたら否定しきれない。
もし、そのような状態で頭を撃ち抜けばどうなっていたか……あまり想像はしたくない。
それに死ぬにしても、現在起きているイレギュラーな事態を出来うる限り把握してから、死んだ方が有意義なのも確かだ。
「分かったわ……死ぬのはやめる……」
「賢明ね」
「でも……今度は、この首輪を外さないと」
「賢明ね」
「でも……今度は、この首輪を外さないと」
一姫の指摘を受け、最悪の場合を想定し死ぬのは避けると方針を改めたのは良いが、そうなると今度はこの首輪をどうにかしなくてはいけない。
殺し合いを肯定した参加者の襲撃を避けるのも大事だが、この首輪の爆弾がある限り、いずれは起爆され殺されてしまう。
優勝して雛見沢へ帰還するという手段も浮かんだが、乃亜を信じる気にもなれない上に、梨花はそこまで非道ではなく、すぐに却下した。
殺し合いを肯定した参加者の襲撃を避けるのも大事だが、この首輪の爆弾がある限り、いずれは起爆され殺されてしまう。
優勝して雛見沢へ帰還するという手段も浮かんだが、乃亜を信じる気にもなれない上に、梨花はそこまで非道ではなく、すぐに却下した。
「首輪なら、私が何とかしてみるわ。頭の中に知識が豊富にあるの、いくつか役に立つかもしれないわ。
……既に何人か犠牲者は出ている筈、その子達には悪いけど、その死体から首輪を回収して解析のサンプルにしましょう。
手伝って貰えるかしら?」
「……分かったわ。人の首は、一つ落とすだけでも大変だものね」
「流石、話が早いわね。死に方の大ベテラン……プロフェッショナルといったところかしら」
「やめて」
……既に何人か犠牲者は出ている筈、その子達には悪いけど、その死体から首輪を回収して解析のサンプルにしましょう。
手伝って貰えるかしら?」
「……分かったわ。人の首は、一つ落とすだけでも大変だものね」
「流石、話が早いわね。死に方の大ベテラン……プロフェッショナルといったところかしら」
「やめて」
一姫にとって、最初に出会えた人物が相応に荒事にも慣れ、人間的にも癇癪持ちだが、まだそれなりに善良な部類である梨花であった事は幸運だった。
天才が一人で世界を回そうと考えれば、必ず痛い目を見てしまう。それを一姫は知っていた。
だから、彼女は梨花の自殺を思い留めさせ、協力を取り付けるよう誘導した。
天才が一人で世界を回そうと考えれば、必ず痛い目を見てしまう。それを一姫は知っていた。
だから、彼女は梨花の自殺を思い留めさせ、協力を取り付けるよう誘導した。
不本意な殺し合いではあるが、それを打破する為の出だしは悪くないと一姫は考える。ただの一点、一つの懸念事項を除けば。
「一つ聞いていいかしら、貴女……もし北条沙都子も居たら、どうするの? 恐らく、惨劇は彼女を殺せば止まるかもしれないけど」
梨花と沙都子の二人の関係に口を出す気はない。強いて言えば、勉強しろ、姫プ辞めろ、ちゃんと話し合え、色々突っ込みたくなったが……一姫は口にしないようにした。
だが、一線を超えた沙都子の存在までは見過ごせない。梨花が居るのならば、沙都子も同じように殺し合いに呼ばれた可能性がある。
いくら時間を遡りやり直せるとはいえ、仲間すら平気で手に掛ける有様は、既に倫理観が崩壊した危険人物だ。
いくら時間を遡りやり直せるとはいえ、仲間すら平気で手に掛ける有様は、既に倫理観が崩壊した危険人物だ。
「……殺さない。馬乗りにして、顔面ボコボコにぶん殴って、計算ドリルの束で殴り飛ばすわ。
沙都子は……私の……ボクのとても大切な仲間なのですよ。にぱー」
沙都子は……私の……ボクのとても大切な仲間なのですよ。にぱー」
殺し合いに居るのであれば、決して信用することは出来ない。場合によっては排除する必要もあるかもしれない。
そう考える一姫の内心とは真逆の強い決意を梨花は口にしていた。
そう考える一姫の内心とは真逆の強い決意を梨花は口にしていた。
「ちょっと、百歳超えてその話し方はキツイわね。梨花お婆ちゃん」
「みぃ?」
「みぃ?」
沙都子という少女が殺し合いに居なければ話はスムーズでいいと、あくまで利己的な理由で考えながら一姫は軽口を返した。
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に卒】
[状態]:健康
[装備]:デザートイーグル@Dies irae
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:生還して、沙都子と一緒に聖ルチーア学園に行く。
1:一姫と組んで、首輪のサンプルを探す。
2:沙都子が居ればボコボコにする。
[備考]
※卒14話でドラゴンボールみたいなバトルを始める前からの参戦です。
※ループ能力は制限されています。
[状態]:健康
[装備]:デザートイーグル@Dies irae
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:生還して、沙都子と一緒に聖ルチーア学園に行く。
1:一姫と組んで、首輪のサンプルを探す。
2:沙都子が居ればボコボコにする。
[備考]
※卒14話でドラゴンボールみたいなバトルを始める前からの参戦です。
※ループ能力は制限されています。
【風見一姫@グリザイアの果実シリーズ(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いから抜け出し、雄二の元へ帰る。
1:梨花と組む。先ずは首輪のサンプルの確保
2:北条沙都子を強く警戒。
[備考]
※参戦時期は楽園、終了後です。
※梨花視点でのひぐらし卒までの世界観を把握しました。
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いから抜け出し、雄二の元へ帰る。
1:梨花と組む。先ずは首輪のサンプルの確保
2:北条沙都子を強く警戒。
[備考]
※参戦時期は楽園、終了後です。
※梨花視点でのひぐらし卒までの世界観を把握しました。
189:「藤木、殺し合いに乗る」の巻 | 投下順に読む | 193:馬鹿に刃物、おじゃる丸に…… |
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