「あの乃亜って子……、許せない!何が何でも絶対止めなくちゃ!!」
殺し合いの舞台の何処か、銀色の瞳に毛先が紅い黒髪のショートヘア、黒い服装に紅いマントといった目立つ服装にこれまた一際目立つ大鎌を携えた童顔の少女が殺し合いの主催者である海馬乃亜への怒りと彼を止めるという決意を胸にして歩いていた。
彼女の名はルビー・ローズ。ハンター養成学校「ビーコン・アカデミー」に幼い年齢ながらも学長であるオズピンにその才能を見込まれて同学校に飛び級入学を認められ、腹違いの姉であるヤン・シャオロンと学校で出会った友人でありチームメイトであるワイス・シュニー、ブレイク・ベラドンナ、そして自身を含めた4人で結成されたハンターチーム「チームRWBY」のリーダーを務めている少女である。
彼女は少し前にチームメイトの一人であるワイス・シュニーがハンターたちの敵である怪物「グリム」の特殊個体である「ナイトメア」に寄生されて昏睡状態に陥り、チームメイトのブレイクとヤン、そして同じハンターチーム「チームJNPR」のリーダーを務める親友のジョーン・アークと共にアカデミーの臨時顧問のシオン・ザイデンの助けを借りて彼女の夢の世界に突入し、幾度かの失敗を得ながらも最終的に彼女の救出に成功し、これから新学期を迎えようとしたときに突如としてこの殺し合いに参加させられたのだ。
彼女は少し前にチームメイトの一人であるワイス・シュニーがハンターたちの敵である怪物「グリム」の特殊個体である「ナイトメア」に寄生されて昏睡状態に陥り、チームメイトのブレイクとヤン、そして同じハンターチーム「チームJNPR」のリーダーを務める親友のジョーン・アークと共にアカデミーの臨時顧問のシオン・ザイデンの助けを借りて彼女の夢の世界に突入し、幾度かの失敗を得ながらも最終的に彼女の救出に成功し、これから新学期を迎えようとしたときに突如としてこの殺し合いに参加させられたのだ。
「あの子は自分の事を創造主だとか神だとか言ってたけど……、だからといって命を好き勝手に奪っていいわけがない。何としてもあの子の所に行ってこの殺し合いを辞めさせなきゃ!!」
そう、ルビーがハンターになったのは困っている人、戦う力のない無力な人を悪い怪物や悪意を持った人間の手から守るためであり、そんな彼女にとっては自身を神と名乗り、命を簡単に奪う海馬乃亜の事を見過ごせるわけがなく、何としてでも彼の元にいって殺し合いを辞めさせようと今現在行動している最中なのである。
が、
が、
「……とは言ったものの、愛用武器のクレセント・ローズは今手元に無いんだよね……、どうしよう……。」
そう、彼女はこの殺し合いに参加させられた際に愛用武器のクレセント・ローズをいつの間にか没収され、今現在彼女の手元にクレセント・ローズが無い状態なのであった。
「それで何か代わりの武器がないかと思って見つけたのがこの大鎌なんだけど……、なんかこれ、正義の味方というより悪役の武器みたい。」
ルビーは自身が手に持っている大鎌をジッと見つめる。その大鎌は先端に槍状の刃がつき、両側に翼のように広がる刃がついた、まるで十字槍のような形状の大鎌であった。付属の説明書によるとこの大鎌の名前は『カロンの導き』という名前で、この大鎌には魔法が内臓されており、10時間で1回第八位階即死魔法『デス』を使用することが出来る他、
攻撃に負の追加ダメージを加える「死者の炎」
知性のないアンデッドから身を守る「不死者忌避」
死体を媒介にアンデッドを作り出せる「不死者創造」
相手を病気にする「病気」
退散抵抗のないアンデッドを一撃で滅ぼすチャンスを得る「不死に眠りを」
様々な視線効果の中から選択して能力を得る「邪視」
視線攻撃を防ぎつつ恐怖効果などを強化する「死面」
二通りの使い方がある「栄光の手」
これら8つの魔法の中から一つを選択して合計で10時間ごとに5回発動することも出来る上に、「スパルティアト」という名前のアンデッドの兵隊を召喚、使役することも可能で一度に召喚、使役可能な数は2体まで、24時間で合計10体召喚することが可能と書いてあった。
当然ながら元の愛用武器のクレセント・ローズと異なり、銃弾を発射する機能は備わっていないものの、愛用武器と同じ武器種の大鎌であるという事を差し引いても『性能的には』大当たりと言ってもいい武器であった。ただルビーは説明書に書いてあった物騒な内容と大鎌の禍々しい形状から、恐らくこの武器の元々の持ち主はとんでもない悪党かヤバい奴なんだろうなと勝手に想像する。
攻撃に負の追加ダメージを加える「死者の炎」
知性のないアンデッドから身を守る「不死者忌避」
死体を媒介にアンデッドを作り出せる「不死者創造」
相手を病気にする「病気」
退散抵抗のないアンデッドを一撃で滅ぼすチャンスを得る「不死に眠りを」
様々な視線効果の中から選択して能力を得る「邪視」
視線攻撃を防ぎつつ恐怖効果などを強化する「死面」
二通りの使い方がある「栄光の手」
これら8つの魔法の中から一つを選択して合計で10時間ごとに5回発動することも出来る上に、「スパルティアト」という名前のアンデッドの兵隊を召喚、使役することも可能で一度に召喚、使役可能な数は2体まで、24時間で合計10体召喚することが可能と書いてあった。
当然ながら元の愛用武器のクレセント・ローズと異なり、銃弾を発射する機能は備わっていないものの、愛用武器と同じ武器種の大鎌であるという事を差し引いても『性能的には』大当たりと言ってもいい武器であった。ただルビーは説明書に書いてあった物騒な内容と大鎌の禍々しい形状から、恐らくこの武器の元々の持ち主はとんでもない悪党かヤバい奴なんだろうなと勝手に想像する。
とはいえ仮にそうだとしてもこれからこの殺し合いに乗って他の参加者を殺しにかかるであろう参加者や主催者である海馬乃亜と戦う決意をしたルビーにとってはこれほど高性能な武器を手に入れたという事は心強い事この上なく、ルビーは決意を新たに歩を進める。
……とはいえ、相手は一瞬で二人の命を奪ったのだ。一人で突撃をかけても殺された二人と同じ運命をたどる可能性が高い。まずは仲間を集めようと周囲を探索しているとやがて大きな湖へと辿り着く。
そしてルビーは湖の畔である一人の少女を発見した。その少女は脚まで届く長い銀髪に天使の輪のように大きく一周ぐるりと巻いたアホ毛のあるジト目の少女であった。
ルビーはその少女の姿を見て目を丸くした。何故ならルビーは以前その少女と一度だけ出会ったことがあったからだ。
ルビーは少し前にキーストーンと呼ばれる謎の存在によって同じチームRWBYのメンバーと共に異世界に飛ばされ、元の世界に帰るためにキーストーンを巡って異世界の戦士と戦いを繰り広げた事があったのだが、その際にルビーはその少女と出会い、一度だけ戦ったことがあったのだ。
ルビーはその少女の名をゆっくりと口にする。
「もしかして……バティスタ!?」
そしてルビーは湖の畔である一人の少女を発見した。その少女は脚まで届く長い銀髪に天使の輪のように大きく一周ぐるりと巻いたアホ毛のあるジト目の少女であった。
ルビーはその少女の姿を見て目を丸くした。何故ならルビーは以前その少女と一度だけ出会ったことがあったからだ。
ルビーは少し前にキーストーンと呼ばれる謎の存在によって同じチームRWBYのメンバーと共に異世界に飛ばされ、元の世界に帰るためにキーストーンを巡って異世界の戦士と戦いを繰り広げた事があったのだが、その際にルビーはその少女と出会い、一度だけ戦ったことがあったのだ。
ルビーはその少女の名をゆっくりと口にする。
「もしかして……バティスタ!?」
ルビーは思わず『バティスタ』という名の少女の元へ走り出す。彼女は「ルナ」「セナ」と名乗った二重人格の少女と組んで「レイチェル・アルカード」という名の少女を追跡していたため、ルビーは謎の声に促されるままにレイチェルと組んで「ルナ」「セナ」と組んだ彼女……バティスタと戦い、これに勝利したのだ。彼女と会ったのはそれっきりであったため、もう二度と会うことは無いだろうと思っていたのだが、まさか彼女がこの殺し合いに呼ばれて参加させられていたという驚きと、一度だけ会っただけとはいえ顔見知りに会えたという安堵の気持ちからルビーは思わず彼女の名前を叫びながらバティスタの元へ走り出す。
「ねえっ!?あなたバティスタでしょ!?私ルビー!ルビー・ローズ!!以前あなたと戦った!!」
やがて彼女……バティスタは自分の名前が呼ばれていることに気付いたのか、ゆっくりとルビーの方へ振り返る。
「?私の個体名を呼ぶものは、誰?」
だがルビーは振り返ったバティスタの身体を見た瞬間、思わず足を止め、赤面し硬直してしまった。
何故ならバティスタは一糸纏わぬ全裸であったからだ。ルビーはバティスタとは一度会っただけのため、彼女のことはよく知らなかったのであるが、まさかこんな野外で躊躇なく全裸になるような子だとは思わなかったため、思わず赤面し、声が上ずりながらもルビーはバティスタに向かって問いかける。
「なっ……、ぜ、ぜ、全裸!?ちょ、ちょっと貴女何やってんの!?」
赤面しながらバティスタに向かって問いかけるルビーに対し、バティスタは「何故赤面しているのか分からない」といった顔で淡々とルビーに向かって話しかける。
赤面しながらバティスタに向かって問いかけるルビーに対し、バティスタは「何故赤面しているのか分からない」といった顔で淡々とルビーに向かって話しかける。
「ん?お前はあの時の……、丁度いい、貴女に問いたいことがあります。」
彼女もまた、自身の事を覚えていてくれた事に対する驚きと安堵の気持ちが芽生えつつも、それよりも彼女が未だ全裸であるという事に対する動揺の気持ちの方が勝ったのか、ルビーは声が上ずりながらもバティスタに向かって再び問いかける。
「そ、そうじゃなくて!!私はこんな野外で素っ裸で何やってんのと聞いているの!!」
「ああ、そんなことか」といった顔でバティスタは納得したような表情を浮かべると、鷹揚の無い声でルビーの問いかけに返答する。
「簡単な事。身体の冷却を考慮し装備を解除して人間の言う「水浴び」をしていただけなのだが……、どうやら異世界の人間も服飾装具に敏感なようだ。面倒のないように再装をしよう。囁求――、詠結――、祈理――、顕現――!」
バティスタは小声でブツブツと何かを呟くと彼女の身体を包み込むように魔法陣のようなものが現れ、魔法陣が彼女の身体を通過すると彼女の服装はルビーが以前彼女と出会った時と全く同じ……脚まで届く長い銀髪を二つに分けてまとめ、ルビー自身の服装と似ているが細部のデザインが違う黒いドレスを身に纏い、耳にヘッドギアを装着した姿へと変化する。
「えっ?こ、この子、魔法みたいな何かで自分の服装を出現させたの?」
ルビーの心の中は「ちゃんと服を着てくれた」という安堵の気持ちよりも「未知の力で自分の服装を出現させた」という事に対する驚きの気持ちの方が勝っていた。
「これで問題は無いと推測する。私は只の無害な人間です。どうか安心していただきたい。」
「いやその言い訳は幾ら何でも無理がありすぎると思うんですけど!!?」
「いやその言い訳は幾ら何でも無理がありすぎると思うんですけど!!?」
幾ら何でも苦しすぎるバティスタの言い訳に対し、ルビーは思わずツッコミを入れてしまう。そもそもルビーとバティスタは一度手合わせをしてバティスタが自らの世界の戦士、「ハンター」と全く異なる原理の技を使う所をルビーはハッキリ見ているのだ。
自身の言い訳が通じなかったことを悟ったのか、バティスタは残念そうな顔をすると続けて言葉を発する。
自身の言い訳が通じなかったことを悟ったのか、バティスタは残念そうな顔をすると続けて言葉を発する。
「残念。このように偽装えば無用な争いは起こらないと考えたが。この偽装を見抜かれるとは。一体どこに計画の綻びが……。」
「ねえひょっとしてワザとやってない!!?」
「ねえひょっとしてワザとやってない!!?」
あまりにも無理がありすぎる言い訳を「偽装」と発言するバティスタの態度に対し、ルビーはまたしてもツッコミを入れる。流石にこれ以上続けていたら埒が明かないと考えたのか、ルビーは自身の考えをバティスタに伝える。
「それに私は貴女と争うつもりはないよ。お願い、手を貸して。この殺し合いを止めるためには私一人の力だけじゃ足りない。今は一人でも殺し合いを止めるための仲間が欲しいの。」
自身に対し手を差し伸べたルビーに対し、バティスタは心底意外そうな表情を浮かべる。
「……これは驚いた。私と貴女は一度敵対した敵同士、敵に対して手を差し伸べるとは一体どのような心境の変化が……。」
バティスタの疑問に対してルビーは首を振り、回答を返す。
「あの時は謎の声に促されてなし崩しに戦う事になっちゃったけど今はそんなことをしている場合じゃない。それに私には分かるの、貴女は根は悪い子じゃないって。そりゃあ、ちょっとズレた所はあるかもしれないけど貴女はあの『海馬乃亜』に同調するようなことは絶対にしないって。」
「!?」
「!?」
ルビーの言葉に対し、バティスタは驚愕の表情を浮かべる。何故ならバティスタは彼女――ルビー・ローズを見てハイドと同じものを感じ取ったからだ。
ハイド――城戸灰都は少し前まで一般人だったが故におっちょこちょいだったり甘い部分があったりするものの、なんやかんやで困っている人を見捨てることが出来ないお人好しな部分があり、初めて会った時に全裸で夜の街を彷徨っていた自身に対して自身の尊厳のために服を着るように注意したり、眩き闇……パラドクスを倒し、目的の阻害に成功して次の夜が来るまで待機モードに入ろうとした自身に対し、彼の家に上げてくれて自身を家に寝泊まりさせてくれるなど、出会ったばかりの見ず知らずの自身に対してまで、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる彼――城戸灰都と目の前の少女、ルビー・ローズの姿がダブって見えたのだ。
ルビーの提案に対し、バティスタは思案する。
(ここに飛ばされる前までリンクが確認できた姉妹機2体とのリンクが断たれてる……このような事態に陥ったことに対するアンサーは一つ、元の世界とは完全に断絶された全くの異空間に我々は閉じ込められたという事。このようなことが出来るという事は恐らくあの少年『海馬乃亜』の力は眩き闇……パラドクスやキーストーン以上だと推測できる。であればあの少年に対し私一人で立ち向かうのはあまりに無謀。であればここでとれる最善手はたった一つ)
「?ねえバティスタ、急に考えこんじゃって一体どうしちゃったの?」
「?ねえバティスタ、急に考えこんじゃって一体どうしちゃったの?」
不思議そうにバティスタの顔を覗き込むルビーに対し、バティスタは思案をやめるとルビーの方に向き直り、答えを出す。
「分かった。貴女の提案を受け入れよう。」
「!よかった、ちゃんとわかってくれたんだあ……」
「勘違いしないで欲しい。私が元の世界に帰還し、主に与えられた役目を継続するためには貴女と組むのが最善と判断したまで。必要とあらば貴女の生死よりも私自身の生存、任務の遂行を第一優先として行動させてもらう。」
「それでもいいよ、私は貴女が協力してくれる、それだけでも嬉しいんだから。」
「!よかった、ちゃんとわかってくれたんだあ……」
「勘違いしないで欲しい。私が元の世界に帰還し、主に与えられた役目を継続するためには貴女と組むのが最善と判断したまで。必要とあらば貴女の生死よりも私自身の生存、任務の遂行を第一優先として行動させてもらう。」
「それでもいいよ、私は貴女が協力してくれる、それだけでも嬉しいんだから。」
そう言うとルビーはバティスタに対してそっと手を差し伸べる。
「?これは?」
「これは私たちがお互い『手を結んだ』という事を証明するための証だよ。私はワイスやブレイクやヤンお姉ちゃんとチームRWBYを結成した時もこうしてお互い手を結んでお互いの友情を確かめ合ったんだから。」
「……了解した。」
「これは私たちがお互い『手を結んだ』という事を証明するための証だよ。私はワイスやブレイクやヤンお姉ちゃんとチームRWBYを結成した時もこうしてお互い手を結んでお互いの友情を確かめ合ったんだから。」
「……了解した。」
そう言うとルビーとバティスタはお互い固く握手を交わして『同盟を結んだ』という事が証明されたこととなった。
その直後であった。
その直後であった。
「お話は終わりでありんすか?」
「!?」
「!!」
「!?」
「!!」
突如として聞こえてきた言葉遣いの割に若々しい声にルビーとバティスタは握手をやめ、共に声の方向に対して身構える。
ルビーとバティスタの視線の先には一人の少女がいた。
外見年齢はルビーやバティスタと左程変わらない位であろうか。白蠟じみた白さの白磁の肌と長い銀髪の髪に真紅の瞳を併せ持ち、服装は赤と紫を基調としたスカート部分が大きく膨らんだボールガウンに頭部にはヘッドドレス、フリルとリボンの付いたボレロカーディガンを羽織り、レース付きのフィンガーレスグローブを付けた肌の露出が殆どない恰好をしていた。
ルビーとバティスタはその少女に対して最大限の警戒を払う。
何故ならその少女からは人ならざる何か――容姿端麗な美貌とまだ幼さが完全に抜け切れていない顔が少女の中に巣くう『怪物』を覆い隠すための偽りの姿であり、その本性は人を人とも思わぬ人外の化け物であるという事をルビーとバティスタは一目見ただけで感じ取ったからだ。
ルビーは少女に対して最大限の警戒を払いながらも少女に対して問いかける。
ルビーとバティスタの視線の先には一人の少女がいた。
外見年齢はルビーやバティスタと左程変わらない位であろうか。白蠟じみた白さの白磁の肌と長い銀髪の髪に真紅の瞳を併せ持ち、服装は赤と紫を基調としたスカート部分が大きく膨らんだボールガウンに頭部にはヘッドドレス、フリルとリボンの付いたボレロカーディガンを羽織り、レース付きのフィンガーレスグローブを付けた肌の露出が殆どない恰好をしていた。
ルビーとバティスタはその少女に対して最大限の警戒を払う。
何故ならその少女からは人ならざる何か――容姿端麗な美貌とまだ幼さが完全に抜け切れていない顔が少女の中に巣くう『怪物』を覆い隠すための偽りの姿であり、その本性は人を人とも思わぬ人外の化け物であるという事をルビーとバティスタは一目見ただけで感じ取ったからだ。
ルビーは少女に対して最大限の警戒を払いながらも少女に対して問いかける。
「貴女……一体何者なの?」
「おんやあ?人に名前を聞くときは、まず自分から名乗るのが礼儀だと親から教わらなかったでありんすか?」
「……」
「おんやあ?人に名前を聞くときは、まず自分から名乗るのが礼儀だと親から教わらなかったでありんすか?」
「……」
ルビーは最初、少女に対して『人じゃないでしょ』と言おうと思ったのであるが、挑発に乗るのは癪だと考え、素直に自身と共にいるバティスタの紹介を兼ねて自己紹介をする。
「私の名前はルビー・ローズ、この子の名前はバティスタよ。貴女の名前は?」
「あはっ♪ご・う・か・く♪私は今まで色んな人間を見てきたでありんすが名乗らずにいきなり斬りかかってくるような下賤な人間どもと違って貴女方は少しは話が分かるようでありんすネェ。」
そして少女はドレスのスカートを摘まむと、舞踏会で踊りを誘われたような礼をみせ、自ら自己紹介をする。
「あはっ♪ご・う・か・く♪私は今まで色んな人間を見てきたでありんすが名乗らずにいきなり斬りかかってくるような下賤な人間どもと違って貴女方は少しは話が分かるようでありんすネェ。」
そして少女はドレスのスカートを摘まむと、舞踏会で踊りを誘われたような礼をみせ、自ら自己紹介をする。
「私はナザリック地下大墳墓第一、第二、第三階の階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン。一方的に楽しませてくんなましな」
自身に対し優雅なお辞儀を向けた「シャルティア」と名乗った少女に対し、ルビーは最大限の警戒を払いながら問いかける。
「……いつからそこにいたの?」
「そりゃあ、あなたたち二人がお話を始めた時からでありんす。あんまりにも話が長いんで少々退屈していたのでありんしたが、どうやら交渉が成立したようで何より。これで心置きなく貴女達二人に対して蹂躙の限りを尽くせるでありんす。」
「そりゃあ、あなたたち二人がお話を始めた時からでありんす。あんまりにも話が長いんで少々退屈していたのでありんしたが、どうやら交渉が成立したようで何より。これで心置きなく貴女達二人に対して蹂躙の限りを尽くせるでありんす。」
「どうして話している最中に襲いかかって来なかったの?」とルビーは更に問いかけようとしたものの、シャルティアの表情を見てその答えを察する。
例え二人がかりで攻撃されたとしても容易く対処出来る自身があるのだと。お前たち程度恐ろしくも何ともないと。
シャルティアの態度を見て、ルビーはシャルティアに対する警戒心を更に跳ね上げる。「この少女は危険だ。」と。戦いを自らが楽しむための遊びとしか捉えず、人を人とも思っていないようなその態度。この少女を放置すればこの殺し合いの中で少女の手によって殺される犠牲者が確実に出る。ルビーはシャルティアとの短いやり取りの中でそう確信していた。
例え二人がかりで攻撃されたとしても容易く対処出来る自身があるのだと。お前たち程度恐ろしくも何ともないと。
シャルティアの態度を見て、ルビーはシャルティアに対する警戒心を更に跳ね上げる。「この少女は危険だ。」と。戦いを自らが楽しむための遊びとしか捉えず、人を人とも思っていないようなその態度。この少女を放置すればこの殺し合いの中で少女の手によって殺される犠牲者が確実に出る。ルビーはシャルティアとの短いやり取りの中でそう確信していた。
仕留めるしかない、と。ルビーは人に向かって刃を向けるのには強い抵抗を感じる性格であるが、人を襲い、喰らう破壊の獣――グリムに対しては一切の容赦なく葬る性格でもあった。ましてや目の前の少女は人の皮を被っただけの人外の怪物だ。『怪物』という点においては少女もグリムと何ら変わる所は無い。そして何よりここで少女を仕留めなければこの殺し合いにおいて確実に犠牲者が出る。そのような事態になってから後から後悔してからでは遅いのだ。
ルビーはその手に持った大鎌――『カロンの導き』を構え、臨戦態勢を取る。
「そちらから仕掛けてもいいでありんすよ?すぐ終わってしまうようではつまらないでありんすからねぇ?」
だが少女――「シャルティア」が慢心してくれている事が、ルビーにとっては僅かな希望でもあった。
悔しいがまだまだ未熟なハンター見習いに過ぎない自身よりも目の前の少女「シャルティア」の方が強さにおいては恐らくずっと上だ。
だがルビーに勝算があるとすればシャルティアが自らの強さに驕り、慢心している隙を突くしかない。
ルビーはシャルティアの細首に狙いを定める。シャルティアが人ならざる人外の存在である以上、首を刎ね飛ばしても死ぬとは限らない。だが今までのグリムとの戦いの中で首を刎ね飛ばして死なないグリムはいなかった。であればこの少女も大体の生物と同様、頸部が弱点だと考えても良かった。一撃で仕留めるしかない。もし仮に仕留め損ねて少女が本気を出して襲いかかってくれば、自身とバティスタの二人がかりでも勝算は低いだろう。
或いは逃亡して他の参加者に狙いを定め、犠牲者が発生してしまうかもしれない。
悔しいがまだまだ未熟なハンター見習いに過ぎない自身よりも目の前の少女「シャルティア」の方が強さにおいては恐らくずっと上だ。
だがルビーに勝算があるとすればシャルティアが自らの強さに驕り、慢心している隙を突くしかない。
ルビーはシャルティアの細首に狙いを定める。シャルティアが人ならざる人外の存在である以上、首を刎ね飛ばしても死ぬとは限らない。だが今までのグリムとの戦いの中で首を刎ね飛ばして死なないグリムはいなかった。であればこの少女も大体の生物と同様、頸部が弱点だと考えても良かった。一撃で仕留めるしかない。もし仮に仕留め損ねて少女が本気を出して襲いかかってくれば、自身とバティスタの二人がかりでも勝算は低いだろう。
或いは逃亡して他の参加者に狙いを定め、犠牲者が発生してしまうかもしれない。
「そろそろ準備もできんしたかぇ?」
未だ動けないまま、思案を繰り返すルビーに対し、シャルティアはつまらなそうに肩をすくめる。
「準備ができたと思って攻めんす。もし何かあるなら今のうちにどうぞおっしゃってくんなまし」
しばしの時が流れ――
「――蹂躙を開始しんす」
シャルティアは楽しげに宣言すると歩を進める。
(!?動いた!?)
仕掛けてくる、そう判断したルビーは自らのセンブランス――「ペダル・バースト」を発動してシャルティアとの間合いを一気に詰め、大鎌――『カロンの導き』による全力の一撃をシャルティアの頸部に向かって叩きつける。
容赦など一つとしてないルビーの全力での――「ベオウルフ」や「アーサ」といった低級のグリム程度なら首や手足、胴体すらも容易く両断するほどの一撃である。
だが次の瞬間――ルビーは思わず瞠目する。
斬撃が空をきった。自らの渾身の一撃が避けられる。
だがただ避ける程度ならならルビーが元いた世界にいたハンター――例えば「ピュラ・ニコス」や「クロウ・ブランウェン」のようなルビーの知り合いの実力者のハンターであれば、その程度出来る者など幾らでもいただろう。
だが――
未だ動けないまま、思案を繰り返すルビーに対し、シャルティアはつまらなそうに肩をすくめる。
「準備ができたと思って攻めんす。もし何かあるなら今のうちにどうぞおっしゃってくんなまし」
しばしの時が流れ――
「――蹂躙を開始しんす」
シャルティアは楽しげに宣言すると歩を進める。
(!?動いた!?)
仕掛けてくる、そう判断したルビーは自らのセンブランス――「ペダル・バースト」を発動してシャルティアとの間合いを一気に詰め、大鎌――『カロンの導き』による全力の一撃をシャルティアの頸部に向かって叩きつける。
容赦など一つとしてないルビーの全力での――「ベオウルフ」や「アーサ」といった低級のグリム程度なら首や手足、胴体すらも容易く両断するほどの一撃である。
だが次の瞬間――ルビーは思わず瞠目する。
斬撃が空をきった。自らの渾身の一撃が避けられる。
だがただ避ける程度ならならルビーが元いた世界にいたハンター――例えば「ピュラ・ニコス」や「クロウ・ブランウェン」のようなルビーの知り合いの実力者のハンターであれば、その程度出来る者など幾らでもいただろう。
だが――
シャルティアは摘まんだのだ。――たった二本の指でルビーの一撃を。
それも蝶の羽を摘むような優しさを以って――。
空気が凍ったような気がした。ルビーの思考を激しい動揺が支配する。
「え?……う、嘘?そ、そんな……」
ルビーは目の前の光景が信じられなかった。だが未だ大鎌の刃を摘まんでいる、シャルティアの白魚のごとき二本の指――親指と人差し指。
しかも、刃紋を前から摘むのではなく、後ろから鎬地を手首を九十度曲げる形で摘んでいる。軌跡に割り込ませたのではなく、単純な速度で自らの斬撃に追いついたのだ。
力を入れずに軽く摘んでいるようにしか見えないが、ルビーが全力を出して、押し切ろうとしても引き戻そうとしてもびくともしない。
まるで自らの数百倍の巨石に繋がれた鎖を引っ張っているようだった。
突如、大鎌に掛かる力が増し、ルビーは体勢を崩しかけるが何とか持ちこたえる。
「え?……う、嘘?そ、そんな……」
ルビーは目の前の光景が信じられなかった。だが未だ大鎌の刃を摘まんでいる、シャルティアの白魚のごとき二本の指――親指と人差し指。
しかも、刃紋を前から摘むのではなく、後ろから鎬地を手首を九十度曲げる形で摘んでいる。軌跡に割り込ませたのではなく、単純な速度で自らの斬撃に追いついたのだ。
力を入れずに軽く摘んでいるようにしか見えないが、ルビーが全力を出して、押し切ろうとしても引き戻そうとしてもびくともしない。
まるで自らの数百倍の巨石に繋がれた鎖を引っ張っているようだった。
突如、大鎌に掛かる力が増し、ルビーは体勢を崩しかけるが何とか持ちこたえる。
「ふーん。大鎌自体は中々の一級品でありんすが、使う者がこうも弱いと宝の持ち腐れでありんすね。」
摘まんだ鎌の刃先を目の前まで持ち上げ、しげしげと眺めるシャルティア。
自身と目の前の少女との力の差に、ルビーの中に絶望感が芽生え始めていた。
それでもなお打ち砕かれないのは、自身よりも強い存在を知っているからだ。
かつてルビーはシグナル・アカデミーにおいては落ちこぼれの生徒であった。それを叔父であるクロウ・ブランウェンの個人的指導によって自らを鍛え直し、今ではオズピン学長によってその実力を認められ、飛び級入学を認められるほどにまでなったのだ。
どうやら、認めざるを得ない。目の前の少女は自身よりも、いや、自身が今まで出会って戦ってきた誰よりも遥かに強いという事を。
そんなルビーの心中を察したのか、シャルティアは醜悪な笑みを浮かべると、絶望を更に叩きつけるかのようにルビーに告げる。
摘まんだ鎌の刃先を目の前まで持ち上げ、しげしげと眺めるシャルティア。
自身と目の前の少女との力の差に、ルビーの中に絶望感が芽生え始めていた。
それでもなお打ち砕かれないのは、自身よりも強い存在を知っているからだ。
かつてルビーはシグナル・アカデミーにおいては落ちこぼれの生徒であった。それを叔父であるクロウ・ブランウェンの個人的指導によって自らを鍛え直し、今ではオズピン学長によってその実力を認められ、飛び級入学を認められるほどにまでなったのだ。
どうやら、認めざるを得ない。目の前の少女は自身よりも、いや、自身が今まで出会って戦ってきた誰よりも遥かに強いという事を。
そんなルビーの心中を察したのか、シャルティアは醜悪な笑みを浮かべると、絶望を更に叩きつけるかのようにルビーに告げる。
「これで分かったでありんしょう?これは戦いではなく、一方的な蹂躙。お前たちは私に触れることも出来ぬまま、成す術もなく弄ばれるしかないでありんす。」
そんな残酷な言葉が聞こえる。ルビーの口から思わず言葉が漏れた。
「化け物――」
それを聞いたシャルティアは純粋無垢な微笑をみせた。まるで花が満開に咲き誇るように。
「そうでありんす。やっと理解していただけんしたかぇ?わたしは残酷で冷酷で非道で――そいで可憐な化け物でありんす」
勝てない、その考えがルビーの頭の中をよぎった瞬間、ルビーはどうすればいいのか次の行動を思案する。せめてバティスタだけでもこの場から逃がさなければならない、そのためにはせめて自身が時間稼ぎを――そう思ってバティスタの方を見ようとしてシャルティアから注意を逸らした瞬間であった。
そんな残酷な言葉が聞こえる。ルビーの口から思わず言葉が漏れた。
「化け物――」
それを聞いたシャルティアは純粋無垢な微笑をみせた。まるで花が満開に咲き誇るように。
「そうでありんす。やっと理解していただけんしたかぇ?わたしは残酷で冷酷で非道で――そいで可憐な化け物でありんす」
勝てない、その考えがルビーの頭の中をよぎった瞬間、ルビーはどうすればいいのか次の行動を思案する。せめてバティスタだけでもこの場から逃がさなければならない、そのためにはせめて自身が時間稼ぎを――そう思ってバティスタの方を見ようとしてシャルティアから注意を逸らした瞬間であった。
――シャルティアはその隙を見逃さなかった。
「それでは――蹂躙を開始しんす」
その言葉と同時であった。シャルティアは大鎌から手を離すと両手でルビーの両肩を掴み、力任せにルビーを地面に押し倒す。
「い、いや……は、離して!!」
ルビーはシャルティアから逃れようと全身全霊の力を込めて暴れるが、圧倒的の力の差の前では無意味でしかなく、逃れることは出来なかった。
その言葉と同時であった。シャルティアは大鎌から手を離すと両手でルビーの両肩を掴み、力任せにルビーを地面に押し倒す。
「い、いや……は、離して!!」
ルビーはシャルティアから逃れようと全身全霊の力を込めて暴れるが、圧倒的の力の差の前では無意味でしかなく、逃れることは出来なかった。
「安心しなんし、暴れなければ痛いようにはせえへん。ああ、それにしても可愛らしい人形のようなお顔、このような殺し合いの場でなければナザリックに連れ帰ってペットとして可愛がってもよかったでありんしたのに。」
そう言うとシャルティアは両腕をルビーの両肩から背中に向かって移動させ、ルビーを起き上がらせると両腕でルビーを抱き寄せ、ルビーの身体を自身の身体に密着させるように抱き寄せる。
そしてシャルティアはそのままの勢いでルビーの首元に顔を埋める。ルビーは尚も暴れて振りほどこうとするが、膠で固めたようにシャルティアの体はルビーの体から離れない。
生暖かい息が首筋に掛かり、ゾクリとルビーは体を震わせた。
そう言うとシャルティアは両腕をルビーの両肩から背中に向かって移動させ、ルビーを起き上がらせると両腕でルビーを抱き寄せ、ルビーの身体を自身の身体に密着させるように抱き寄せる。
そしてシャルティアはそのままの勢いでルビーの首元に顔を埋める。ルビーは尚も暴れて振りほどこうとするが、膠で固めたようにシャルティアの体はルビーの体から離れない。
生暖かい息が首筋に掛かり、ゾクリとルビーは体を震わせた。
「……ふーん、汗臭い」
シャルティアの感想にルビーは返す言葉もなかった。元々ルビーはパッチ島で姉のヤン・シャオロンと父親のタイヤン・シャオロンと共に暮らしており、島では姉と野山を駆け回って遊んで、夕方になってから汗まみれ、泥まみれになって帰ってくるような一日を過ごすことも珍しくはなかった。
それにハンターは野外で活動し、グリムと戦ったり屋外で採集をしたりする任に就くことも多かった。それは女性であるハントレスであっても例外ではなく、ルビー自身の性格もあって特に気にすることもなかったのであるが、こうして自分とほぼ同世代に見える少女から指摘されると、流石のルビーも羞恥心を感じてしまった。
シャルティアの感想にルビーは返す言葉もなかった。元々ルビーはパッチ島で姉のヤン・シャオロンと父親のタイヤン・シャオロンと共に暮らしており、島では姉と野山を駆け回って遊んで、夕方になってから汗まみれ、泥まみれになって帰ってくるような一日を過ごすことも珍しくはなかった。
それにハンターは野外で活動し、グリムと戦ったり屋外で採集をしたりする任に就くことも多かった。それは女性であるハントレスであっても例外ではなく、ルビー自身の性格もあって特に気にすることもなかったのであるが、こうして自分とほぼ同世代に見える少女から指摘されると、流石のルビーも羞恥心を感じてしまった。
「そ・れ・か・ら♪」
そしてシャルティアは自身の顔をルビーの顔に近づけると開いた口から人間では有り得ないような長さと形状の舌が飛び出し、ルビーの顔を舐めまわす。
「うーん、塩味♪」
「や、やだ……き、気持ち悪い……」
人外でしか有り得ないような形状の舌で舐めまわされ、ルビーは改めて実感する。やはり目の前の少女は人間じゃない。人の皮を被った化け物だ。だが自分ではどうすることも出来ない。今自分に出来ることは少しでも目の前の少女を楽しませる事で時間稼ぎをすることしか出来ないのであろうか。そうルビーが諦めかけた時であった。
そしてシャルティアは自身の顔をルビーの顔に近づけると開いた口から人間では有り得ないような長さと形状の舌が飛び出し、ルビーの顔を舐めまわす。
「うーん、塩味♪」
「や、やだ……き、気持ち悪い……」
人外でしか有り得ないような形状の舌で舐めまわされ、ルビーは改めて実感する。やはり目の前の少女は人間じゃない。人の皮を被った化け物だ。だが自分ではどうすることも出来ない。今自分に出来ることは少しでも目の前の少女を楽しませる事で時間稼ぎをすることしか出来ないのであろうか。そうルビーが諦めかけた時であった。
「じゃあああ、でぇざああああとぉおお!たああべぇええ」
「ルーメンステラ」
「ぶへぇええ!?」
「ルーメンステラ」
「ぶへぇええ!?」
シャルティアが偽りの姿である美しい姿を捨て、本来の姿である真祖としての姿に変貌し、ルビーの喉元に食らいつこうとした瞬間、どこからともなく飛んできた光球がシャルティアの顔面に直撃し、シャルティアの頭部が大きく仰け反る。
「よぉおおおくうぅぅぅもおぉぉぉぉぉ!!じゃあぁぁぁぁまあぁぁぁぁしいぃぃぃぃやあぁぁぁぁがあぁぁぁぁってえぇぇぇぇぇ!!」
楽しみを邪魔された、そのことに対する怒りで完全に我を忘れたシャルティアは真祖としての姿のまま、抱き寄せていたルビーを湖に向かって無造作に投げ飛ばすと自身の顔面に光球を放った犯人――バティスタに向かって突進する。
最早その姿に美貌は無く、虹彩からにじみ出た色によって、眼球は完全に血色に染まり、先ほどまで白く綺麗な歯が並んでいた口は、注射器を思わせる細く白いものが、サメのように無数に何列にも渡って生えていた。ピンクに淫靡に輝く口腔はぬらぬらと輝き、透明の涎が口の端からこぼれだしている。
そんなおぞましいシャルティアの姿を見てもバティスタの表情に恐怖や動揺の色はない。
バティスタの正体はシャルティアと同様、人間ではなく「オートノミックナーヴ」と呼ばれる古代の生体兵器であり、EXSを食い荒らす人外の存在「虚無」の殲滅も自身に刻まれたプログラムの内の一つだ。それにそのような存在との戦闘を想定して主から創造されたため、バティスタの感情から「恐怖」という物は排除されている。
楽しみを邪魔された、そのことに対する怒りで完全に我を忘れたシャルティアは真祖としての姿のまま、抱き寄せていたルビーを湖に向かって無造作に投げ飛ばすと自身の顔面に光球を放った犯人――バティスタに向かって突進する。
最早その姿に美貌は無く、虹彩からにじみ出た色によって、眼球は完全に血色に染まり、先ほどまで白く綺麗な歯が並んでいた口は、注射器を思わせる細く白いものが、サメのように無数に何列にも渡って生えていた。ピンクに淫靡に輝く口腔はぬらぬらと輝き、透明の涎が口の端からこぼれだしている。
そんなおぞましいシャルティアの姿を見てもバティスタの表情に恐怖や動揺の色はない。
バティスタの正体はシャルティアと同様、人間ではなく「オートノミックナーヴ」と呼ばれる古代の生体兵器であり、EXSを食い荒らす人外の存在「虚無」の殲滅も自身に刻まれたプログラムの内の一つだ。それにそのような存在との戦闘を想定して主から創造されたため、バティスタの感情から「恐怖」という物は排除されている。
では何故このタイミングになるまで動かなかったのか。それはバティスタがシャルティアの虚を突くためのチャンスを窺っていたからだ。
バティスタは遠距離攻撃を得意とする後衛型であり、先ほどシャルティアの顔面に向かって放った2種類の速度を持つ光球を発射する「ルーメンステラ」、手から速度の速い一条の光線を放つ「ミコルセオ」、そして多大なエネルギーを消費するものの、背中の攻撃ユニットである紅翼「七花」を魔法陣のように前面に展開することで七花から巨大な紅色のビームを放つ最後の切り札「ラクテウスオルビス」、以上三種類の遠距離攻撃手段で自身にとって有利な距離を保ちながら敵を殲滅するのが彼女の基本戦法であった。
だが考え無しに攻撃を放っても避けられる上に手の内がバレる可能性も高い。そこでルビーが注意を引き付けている間にチャンスを窺い、隙を晒した瞬間に一撃を叩きこむ。これが数少ない勝機を掴むための作戦であった。
バティスタは遠距離攻撃を得意とする後衛型であり、先ほどシャルティアの顔面に向かって放った2種類の速度を持つ光球を発射する「ルーメンステラ」、手から速度の速い一条の光線を放つ「ミコルセオ」、そして多大なエネルギーを消費するものの、背中の攻撃ユニットである紅翼「七花」を魔法陣のように前面に展開することで七花から巨大な紅色のビームを放つ最後の切り札「ラクテウスオルビス」、以上三種類の遠距離攻撃手段で自身にとって有利な距離を保ちながら敵を殲滅するのが彼女の基本戦法であった。
だが考え無しに攻撃を放っても避けられる上に手の内がバレる可能性も高い。そこでルビーが注意を引き付けている間にチャンスを窺い、隙を晒した瞬間に一撃を叩きこむ。これが数少ない勝機を掴むための作戦であった。
バティスタはシャルティアに投げ飛ばされたルビーが湖面に落ちるのを確認するが、救出に向かう余裕はないと考え、シャルティアの方に向き直って手をかざし、「ミコルセオ」の一言と同時にシャルティアに向かって一条の光線を放つ。
「あぁはあぁぁぁはははっはは!!」
身の毛もよだつ叫びと共にシャルティアはその場で跳躍して光線を回避し、そのままバティスタの頭上から襲い掛かるがバティスタにとってはシャルティアがこのような行動に出ることも想定の内であった。
バティスタは遠距離攻撃に優れてはいるが、だからといって近接戦闘が出来ないという訳でもない。
バティスタには先ほどの遠距離技と同様、空中から襲いかかって来る敵を迎撃するための対空迎撃技も備えていた。バティスタは背中の紅翼「七花」を一つにまとめ、刃のような形状にすると体を九十度反転させる形でバク転、その勢いで上空から襲い来るシャルティアを迎撃する形で斬り付ける対空技「ルベルアンゲルス」を放つ。
この戦法は対虚無、対偽誕者用に編み出したバティスタの必勝パターンで、遠距離にいる敵を「ルーメンステラ」や「ミコルセオ」で攻め立て、攻撃を回避するために跳躍して上空から攻めてくる敵には「ルベルアンゲルス」で迎撃するこの戦い方でバティスタは幾多の虚無や偽誕者との戦いを制してきた。
身の毛もよだつ叫びと共にシャルティアはその場で跳躍して光線を回避し、そのままバティスタの頭上から襲い掛かるがバティスタにとってはシャルティアがこのような行動に出ることも想定の内であった。
バティスタは遠距離攻撃に優れてはいるが、だからといって近接戦闘が出来ないという訳でもない。
バティスタには先ほどの遠距離技と同様、空中から襲いかかって来る敵を迎撃するための対空迎撃技も備えていた。バティスタは背中の紅翼「七花」を一つにまとめ、刃のような形状にすると体を九十度反転させる形でバク転、その勢いで上空から襲い来るシャルティアを迎撃する形で斬り付ける対空技「ルベルアンゲルス」を放つ。
この戦法は対虚無、対偽誕者用に編み出したバティスタの必勝パターンで、遠距離にいる敵を「ルーメンステラ」や「ミコルセオ」で攻め立て、攻撃を回避するために跳躍して上空から攻めてくる敵には「ルベルアンゲルス」で迎撃するこの戦い方でバティスタは幾多の虚無や偽誕者との戦いを制してきた。
「さまそー」という気の抜けた可愛らしい声とは裏腹に紅翼「七花」による鋭い斬撃が上空のシャルティアに襲いかかる。空中にいる状態では咄嗟の姿勢制御や方向転換は難しく、それ故に防ぐのは非常に難しい……はずであった。
だが次の瞬間、バティスタが見たのは信じられない光景であった。
だが次の瞬間、バティスタが見たのは信じられない光景であった。
「おおぉぉぉぉしいかぁぁぁったでえちゅねぇぇぇぇぇ!!」
何とシャルティアは紅翼「七花」による斬撃を「素手」で受け止めるとそのままもう片方の手でバティスタの腕を掴み、そのまま落下の勢いでバティスタを地面に叩きつける。
有り得ない、とバティスタは思った。バティスタは今まで数多くの虚無や偽誕者と戦ってきたが、今の一撃を防げたものはこれまで誰一人としていなかった。
そしてバティスタが導き出した結論は皮肉にもルビー・ローズとほぼ同じ結論であった。この「シャルティア」と名乗った少女……の皮を被った化け物はこれまで戦ってきた虚無や偽誕者を遥かに凌ぐ強さだという事を。先ほどの「戦いではなく、一方的な蹂躙」という言葉は、慢心ではなく、確かな自信の表れによる言葉だったという事を。
何とシャルティアは紅翼「七花」による斬撃を「素手」で受け止めるとそのままもう片方の手でバティスタの腕を掴み、そのまま落下の勢いでバティスタを地面に叩きつける。
有り得ない、とバティスタは思った。バティスタは今まで数多くの虚無や偽誕者と戦ってきたが、今の一撃を防げたものはこれまで誰一人としていなかった。
そしてバティスタが導き出した結論は皮肉にもルビー・ローズとほぼ同じ結論であった。この「シャルティア」と名乗った少女……の皮を被った化け物はこれまで戦ってきた虚無や偽誕者を遥かに凌ぐ強さだという事を。先ほどの「戦いではなく、一方的な蹂躙」という言葉は、慢心ではなく、確かな自信の表れによる言葉だったという事を。
撤退、という選択肢も頭によぎったが、腕を掴まれている状態ではそれも不可能だという事を悟った瞬間、バティスタの体は地面に叩きつけられ、盛大な土煙があがる。
土煙が晴れた瞬間、そこには頭部と左腕をシャルティアのそれぞれの手で押さえつけられたバティスタと、そのバティスタを押さえつけたまま、バティスタに馬乗りになったシャルティアの姿があった。
あまりに強い力で頭部と左腕を掴まれていることで表情の変化に乏しいバティスタの顔が苦痛に歪むがそんなバティスタを押さえつけているシャルティアは、吐き気を催したくなるような邪悪な笑顔で、人外の長い舌をベロベロと動かしていた。
土煙が晴れた瞬間、そこには頭部と左腕をシャルティアのそれぞれの手で押さえつけられたバティスタと、そのバティスタを押さえつけたまま、バティスタに馬乗りになったシャルティアの姿があった。
あまりに強い力で頭部と左腕を掴まれていることで表情の変化に乏しいバティスタの顔が苦痛に歪むがそんなバティスタを押さえつけているシャルティアは、吐き気を催したくなるような邪悪な笑顔で、人外の長い舌をベロベロと動かしていた。
「さあぁぁぁぁてえぇぇぇぇこおぉぉぉぉのおぉぉぉぉおぉぉぉぉとおぉぉぉぉしいぃぃぃぃまえはあぁぁぁぁどおぉぉぉぉつけ――おや?」
バティスタを握りしめた際の感覚から何かを感じ取ったのか、シャルティアは急に冷静さを取り戻すと真祖の姿から元の美しい少女の姿へと戻り、バティスタに問いかける。
「……この感触、もしや貴女、人間ではなくオートマトンでありんすね?」
その言葉と共にシャルティアの腕の力が若干弱まる。しかし逃げることが出来るほどではない。シャルティアの言葉の意味をバティスタが理解しかねていると、バティスタが言葉を発するより早く、シャルティアが次の言葉を発する。
バティスタを握りしめた際の感覚から何かを感じ取ったのか、シャルティアは急に冷静さを取り戻すと真祖の姿から元の美しい少女の姿へと戻り、バティスタに問いかける。
「……この感触、もしや貴女、人間ではなくオートマトンでありんすね?」
その言葉と共にシャルティアの腕の力が若干弱まる。しかし逃げることが出来るほどではない。シャルティアの言葉の意味をバティスタが理解しかねていると、バティスタが言葉を発するより早く、シャルティアが次の言葉を発する。
「私の知り合いに一人、貴女の同族がいるんでありんすよ。戦闘メイド「プレアデス」のメンバーの一人で名前は「シズ・デルタ」、貴女と同じオートマトンの子でありんす」
シャルティアの言葉の意味をバティスタは理解しかねていた。バティスタにはかつて多くの姉妹機が存在していたが「シズ・デルタ」なる個体名の姉妹機は聞いたことがなかった。
それに自らの創造主は人間に危害を加える事をよしとしていなかったはず、それ故に姉妹機がこのような人を平気で殺戮するような怪物と行動を共にしているのは普通なら有り得ないはずであった。
これは一体どういうことかとバティスタが思考していると、シャルティアが問いを投げかける。
シャルティアの言葉の意味をバティスタは理解しかねていた。バティスタにはかつて多くの姉妹機が存在していたが「シズ・デルタ」なる個体名の姉妹機は聞いたことがなかった。
それに自らの創造主は人間に危害を加える事をよしとしていなかったはず、それ故に姉妹機がこのような人を平気で殺戮するような怪物と行動を共にしているのは普通なら有り得ないはずであった。
これは一体どういうことかとバティスタが思考していると、シャルティアが問いを投げかける。
「貴女、一体何者なんでありんすか?」
「名は既に聞いたはず。」
「そうじゃなくて、私は貴女がどのような存在なのか聞きたいんでありんすよ。」
「……」
「名は既に聞いたはず。」
「そうじゃなくて、私は貴女がどのような存在なのか聞きたいんでありんすよ。」
「……」
もはや偽証は無意味、そう思い観念したバティスタは自らの正体を正直に明かすことにする。
「……私はオートノミックナーヴ、管理ナンバー10076、個体名、バティスタ。主より顕現を有する者と『虚ろの夜』の管理を任された者。」
「へえ、ナンバーは10076番なんでありんすか。そういえばシズは正式名称は『CZ2128・Δ』でありんしたから、シズの管理ナンバーは2128番という事になるでありんすね。」
「……」
「……私はオートノミックナーヴ、管理ナンバー10076、個体名、バティスタ。主より顕現を有する者と『虚ろの夜』の管理を任された者。」
「へえ、ナンバーは10076番なんでありんすか。そういえばシズは正式名称は『CZ2128・Δ』でありんしたから、シズの管理ナンバーは2128番という事になるでありんすね。」
「……」
おかしい、とバティスタは感じ始めていた。バティスタは全ての姉妹機の個体名を把握しているわけではないが、2128番の個体名は確か『CZ2128・Δ』ではなかったはずであるし、『シズ・デルタ』とも呼ばれてはいなかったはずだ。
それに人間に危害を加える事をよしとしていなかった主の意向に逆らって、姉妹機が目の前の少女と行動を共にしているとは考えにくい。
それに現存する姉妹機は自身も含めて3機存在していたが、残りの2機の管理ナンバーは2128番ではなかったはずだ。
尚もバティスタが思考していると、シャルティアがある一つの提案をする。
それに人間に危害を加える事をよしとしていなかった主の意向に逆らって、姉妹機が目の前の少女と行動を共にしているとは考えにくい。
それに現存する姉妹機は自身も含めて3機存在していたが、残りの2機の管理ナンバーは2128番ではなかったはずだ。
尚もバティスタが思考していると、シャルティアがある一つの提案をする。
「そうだ、貴女、一つ取引をしやせんか?」
「?取引?何を?」
バティスタが不思議がっているとシャルティアが取引の内容を口にする。
「貴女、私と一緒に来やせんか?」
「?取引?何を?」
バティスタが不思議がっているとシャルティアが取引の内容を口にする。
「貴女、私と一緒に来やせんか?」
そう言うシャルティアの顔は耳元まで口が裂けたような醜悪な笑みを浮かべていた。
「我らナザリック地下大墳墓は基本異形種は大歓迎なんでありんす。あんな人間の小娘とは手を切って私に協力してくれるのであれば、あの『海馬乃亜』って小僧に貴女の助命懇願と共に私の世界に貴女を連れていくことを頼み込んでもいいでありんすし、貴女のナザリック入りを認めて下さることを、私からアインズ様に進言してあげてもいいでありんすよ?それに貴女ならシズともきっと仲良く出来ると思うのでありんす。あの子、友達を欲しがっていたでありんしたから。」
アインズ、恐らくそいつが彼女の上司なのであろうとバティスタは察するが、バティスタの中には既にその提案に対する答えは決まっていた。
「さあ、どうするでありんすか?」
シャルティアはニンマリとした笑みを浮かべていたが、次の瞬間、シャルティアの笑みは消え失せることとなる。
「我らナザリック地下大墳墓は基本異形種は大歓迎なんでありんす。あんな人間の小娘とは手を切って私に協力してくれるのであれば、あの『海馬乃亜』って小僧に貴女の助命懇願と共に私の世界に貴女を連れていくことを頼み込んでもいいでありんすし、貴女のナザリック入りを認めて下さることを、私からアインズ様に進言してあげてもいいでありんすよ?それに貴女ならシズともきっと仲良く出来ると思うのでありんす。あの子、友達を欲しがっていたでありんしたから。」
アインズ、恐らくそいつが彼女の上司なのであろうとバティスタは察するが、バティスタの中には既にその提案に対する答えは決まっていた。
「さあ、どうするでありんすか?」
シャルティアはニンマリとした笑みを浮かべていたが、次の瞬間、シャルティアの笑みは消え失せることとなる。
「……結構です。」
「……あ゛?」
シャルティアの口から信じられないような重低音の言葉が漏れ、押さえていた両腕の力が増すが、バティスタは尚も変わらず自らの意向を告げる。
「プログラムによる決議では1対99で反対多数。貴女の申し出には賛同できない。我が主の命はEXSを食い荒らす虚無や偽誕者の排除、決して無関係な人間の殺戮などではないし、それは主の本意ではない。それに計算の結果、個体名『CZ2128・Δ』は我が姉妹機とは無関係と判断、故に交渉材料とはなり得ない。」
暫しの沈黙が流れる。そして、
「はぁ……親切で言ってあげたというのにそれは残念でありんすねぇ……」
シャルティアが残念そうな声を出すと、
「ならここでズタズタのバラバラに引き裂いてグチャグチャのメチャクチャに蹂躙しても文句を言えないよねええぇぇぇぇ!!?」
「う、うあああああああああ!!」
シャルティアが再び真祖の姿に戻ると単純な腕力と握力でバティスタの掴んでいる腕を無理矢理引き千切り、頭部を握り潰そうと一気に力を込め、バティスタがあまりの苦痛に絶叫したその時であった。
「……あ゛?」
シャルティアの口から信じられないような重低音の言葉が漏れ、押さえていた両腕の力が増すが、バティスタは尚も変わらず自らの意向を告げる。
「プログラムによる決議では1対99で反対多数。貴女の申し出には賛同できない。我が主の命はEXSを食い荒らす虚無や偽誕者の排除、決して無関係な人間の殺戮などではないし、それは主の本意ではない。それに計算の結果、個体名『CZ2128・Δ』は我が姉妹機とは無関係と判断、故に交渉材料とはなり得ない。」
暫しの沈黙が流れる。そして、
「はぁ……親切で言ってあげたというのにそれは残念でありんすねぇ……」
シャルティアが残念そうな声を出すと、
「ならここでズタズタのバラバラに引き裂いてグチャグチャのメチャクチャに蹂躙しても文句を言えないよねええぇぇぇぇ!!?」
「う、うあああああああああ!!」
シャルティアが再び真祖の姿に戻ると単純な腕力と握力でバティスタの掴んでいる腕を無理矢理引き千切り、頭部を握り潰そうと一気に力を込め、バティスタがあまりの苦痛に絶叫したその時であった。
「バティスタを……離せええぇぇぇぇぇ!!」
「!!?んなあぁ!?」
何と先ほど湖に投げ飛ばされたはずのルビー・ローズが『カロンの導き』を手にシャルティアの背後から強襲を仕掛けてきたのだ。
バティスタに意識を集中し過ぎてルビー・ローズの存在を完全に失念していたシャルティアはあまりの咄嗟の出来事に反応が遅れてしまう。
先ほどは攻撃されるという事が完全に分かり切っている状況であったので攻撃は余裕で防ぐことが出来た。
しかし今回はルビーの存在を完全に失念していた上に体勢的にも背後を取られる形であったため、防ぐのは非常に難しい状況であった。
それでも致命傷は防ごうとシャルティアは何とか片手をかざして攻撃を防ごうとし……
「!!?んなあぁ!?」
何と先ほど湖に投げ飛ばされたはずのルビー・ローズが『カロンの導き』を手にシャルティアの背後から強襲を仕掛けてきたのだ。
バティスタに意識を集中し過ぎてルビー・ローズの存在を完全に失念していたシャルティアはあまりの咄嗟の出来事に反応が遅れてしまう。
先ほどは攻撃されるという事が完全に分かり切っている状況であったので攻撃は余裕で防ぐことが出来た。
しかし今回はルビーの存在を完全に失念していた上に体勢的にも背後を取られる形であったため、防ぐのは非常に難しい状況であった。
それでも致命傷は防ごうとシャルティアは何とか片手をかざして攻撃を防ごうとし……
すぱんっ
ルビーのカロンの導きによる斬撃は攻撃を防ごうとしたシャルティアの手首を斬り落とし、切断面から血が噴出する。
ルビーのカロンの導きによる斬撃は攻撃を防ごうとしたシャルティアの手首を斬り落とし、切断面から血が噴出する。
「!!?ピ、ピギャアアアアァァァァァ!!?な、何でえぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
シャルティアは痛みに絶叫しながらも自身の手首が斬り落とされた理由を必死に考えていた。
シャルティアはナザリック地下大墳墓階層守護者最強の100レベルNPCである。更に彼女のステータスや職業構成は遊びのないガチビルドであり、総合力で言えばナザリック地下大墳墓の支配者であるアインズ・ウール・ゴウンすら凌ぐほどのものであった。
幾ら装備を纏っていない丸腰の状態であるとはいえ、そんなシャルティアの体に傷をつけることが出来る武器はかなり限られている。
という事は考えられる可能性は一つしかない。
シャルティアは痛みに絶叫しながらも自身の手首が斬り落とされた理由を必死に考えていた。
シャルティアはナザリック地下大墳墓階層守護者最強の100レベルNPCである。更に彼女のステータスや職業構成は遊びのないガチビルドであり、総合力で言えばナザリック地下大墳墓の支配者であるアインズ・ウール・ゴウンすら凌ぐほどのものであった。
幾ら装備を纏っていない丸腰の状態であるとはいえ、そんなシャルティアの体に傷をつけることが出来る武器はかなり限られている。
という事は考えられる可能性は一つしかない。
(まさか……あの大鎌は……ユグドラシル産の武器!?等級も最低でも伝説級以上である可能性が……)
そう、ルビーに支給された大鎌『カロンの導き』はアインズもプレイしていたDMMO―RPG『ユグドラシル』のプレイヤーであり、アインズと同様、アバターのまま転移してきて転移後の世界でスレイン法国を建国し、6大神の一人となった死の神『スルシャーナ』が愛用していた武器であった。
実際にシャルティアと相対した漆黒聖典第一席次『隊長』は武装していない丸腰のシャルティアであれば、カロンの導きを装備したアンティリーネ・ヘラン・フーシェで倒すことが出来ると考えていた。その隊長の見立ては実際に正しかったのである。
そう、ルビーに支給された大鎌『カロンの導き』はアインズもプレイしていたDMMO―RPG『ユグドラシル』のプレイヤーであり、アインズと同様、アバターのまま転移してきて転移後の世界でスレイン法国を建国し、6大神の一人となった死の神『スルシャーナ』が愛用していた武器であった。
実際にシャルティアと相対した漆黒聖典第一席次『隊長』は武装していない丸腰のシャルティアであれば、カロンの導きを装備したアンティリーネ・ヘラン・フーシェで倒すことが出来ると考えていた。その隊長の見立ては実際に正しかったのである。
(ま……まずいまずいまずいまずいまずい!?私の武装は全てあのクソガキに没収されている!!ユグドラシル産の武器相手では幾ら私でも丸腰では不利!ここは体勢を立て直すためにも退却を……)
シャルティアも本来であれば本気で戦う時はスポイトランスや真紅の全身鎧といったユグドラシル産の武装を装備して戦うのであるが、この殺し合いに参加させられた際、それらの武装は『海馬乃亜』によって全て没収されている。
幾ら階層守護者最強と言えど丸腰ではユグドラシル産の武器を相手に戦うのは不利と考え、即座に退却を決断する。
そう決断するやシャルティアの行動は早かった。バティスタを掴んでいたもう片方の手を離すと獣のような脚力で駆け出し、近くの森まで一気に疾走する。
シャルティアも本来であれば本気で戦う時はスポイトランスや真紅の全身鎧といったユグドラシル産の武装を装備して戦うのであるが、この殺し合いに参加させられた際、それらの武装は『海馬乃亜』によって全て没収されている。
幾ら階層守護者最強と言えど丸腰ではユグドラシル産の武器を相手に戦うのは不利と考え、即座に退却を決断する。
そう決断するやシャルティアの行動は早かった。バティスタを掴んでいたもう片方の手を離すと獣のような脚力で駆け出し、近くの森まで一気に疾走する。
「逃がさない!!」
逃げられる、そう判断したルビーはシャルティアを追撃しようとするが、突如として腕を誰かに掴まれ、その動きを止める。
そして振り返ると先ほどまで倒れていたバティスタがルビーの腕を掴んでいた。
「は、離して!!」
逃げられる、そう判断したルビーはシャルティアを追撃しようとするが、突如として腕を誰かに掴まれ、その動きを止める。
そして振り返ると先ほどまで倒れていたバティスタがルビーの腕を掴んでいた。
「は、離して!!」
ルビーは必死に振りほどこうとするがバティスタは決して腕を放そうとしない。
「ここは落ち着くべき」
「落ち着いてなんかいられないよ!!放置したら確実に犠牲者が出る!!今ここで確実に仕留めないと!!」
声を荒げるルビーに対し、バティスタは首を横に振り、引き止めた理由を告げる。
「先ほどの彼女は恐らく全力じゃない。手傷を負わせることに成功したのは油断と慢心によって生じた隙を上手く突くことに成功したから。無理に深追いすればこちらが返り討ちにあう可能性が高い。まずは戦力を充実させるため、仲間を集める事を優先すべき。」
「う……」
バティスタの冷静な分析を聞いてルビーは急激に落ち着きを取り戻す。
そうだ、最初の一撃はシャルティアに容易く止められていたではないか。
手首を斬り落とすことに成功したのだって先ほどバティスタが言った通り油断と慢心によって生じた隙を上手く突けたからに他ならないだろう。
もし仮に彼女が油断と慢心を捨て全力で潰しにかかったら二人がかりでも負ける可能性が高い。
「ここは落ち着くべき」
「落ち着いてなんかいられないよ!!放置したら確実に犠牲者が出る!!今ここで確実に仕留めないと!!」
声を荒げるルビーに対し、バティスタは首を横に振り、引き止めた理由を告げる。
「先ほどの彼女は恐らく全力じゃない。手傷を負わせることに成功したのは油断と慢心によって生じた隙を上手く突くことに成功したから。無理に深追いすればこちらが返り討ちにあう可能性が高い。まずは戦力を充実させるため、仲間を集める事を優先すべき。」
「う……」
バティスタの冷静な分析を聞いてルビーは急激に落ち着きを取り戻す。
そうだ、最初の一撃はシャルティアに容易く止められていたではないか。
手首を斬り落とすことに成功したのだって先ほどバティスタが言った通り油断と慢心によって生じた隙を上手く突けたからに他ならないだろう。
もし仮に彼女が油断と慢心を捨て全力で潰しにかかったら二人がかりでも負ける可能性が高い。
それにルビー自身、仲間の大切さを何よりも理解していた。
ついこの間、ナイトメアに寄生されて昏睡状態に陥ったワイス・シュニーを救うためにワイスの夢の世界に突入した際、そこで待ち受けていた夢の世界のワイス――通称、ネガワイスには一人では全く敵わなかった。彼女を救うことが出来たのは同じチームメイトのブレイク・ベラドンナとヤン・シャオロン、そしてジョーン・アークとシオン・ザイデンといった仲間の助けがあったからで一人では彼女を救うことが出来なかった可能性が高い。
何より元の世界では仲間の皆が自身の帰りを待っているのだ。ここで命を捨てるような真似をするよりも共に戦う仲間を集い……最終的には主催者である『海馬乃亜』を打倒し、元の世界に帰る。
それこそが最終目標であり目先の脅威を倒すために自らの命を散らすことでは断じてない。
ルビーはその事に気付くとバティスタに対し一言呟く。
ついこの間、ナイトメアに寄生されて昏睡状態に陥ったワイス・シュニーを救うためにワイスの夢の世界に突入した際、そこで待ち受けていた夢の世界のワイス――通称、ネガワイスには一人では全く敵わなかった。彼女を救うことが出来たのは同じチームメイトのブレイク・ベラドンナとヤン・シャオロン、そしてジョーン・アークとシオン・ザイデンといった仲間の助けがあったからで一人では彼女を救うことが出来なかった可能性が高い。
何より元の世界では仲間の皆が自身の帰りを待っているのだ。ここで命を捨てるような真似をするよりも共に戦う仲間を集い……最終的には主催者である『海馬乃亜』を打倒し、元の世界に帰る。
それこそが最終目標であり目先の脅威を倒すために自らの命を散らすことでは断じてない。
ルビーはその事に気付くとバティスタに対し一言呟く。
「……ごめん」
「分かればいい。……ところで。」
「?」
「分かればいい。……ところで。」
「?」
まだ何か言いたそうなバティスタに対し、ルビーは不思議そうに顔を覗き込むと、
「貴女も身体の冷却のために『水浴び』というものをしてきたの?」
「あ」
「貴女も身体の冷却のために『水浴び』というものをしてきたの?」
「あ」
そうだ。先ほどシャルティアに投げ飛ばされた際、ルビーは湖に落下し全身を水に浸かってしまっていたのだ。むしろ水の上に投げ飛ばされたからこそ水が衝撃を吸収し、落下によるダメージが軽減されたのだが代償として全身が水でずぶ濡れになってしまっていたのだ。
バティスタに指摘されルビーがその事に気付いた瞬間、急激に身体が寒くなっていくのを感じていた。
バティスタに指摘されルビーがその事に気付いた瞬間、急激に身体が寒くなっていくのを感じていた。
「……へくしょん!!」
◆◆◆
「うう……寒いよぉ……恥ずかしいよぉ……」
「これで貴女も私とお仲間。」
「うるさい!!」
「これで貴女も私とお仲間。」
「うるさい!!」
最初の戦闘場所から左程離れていない湖畔でルビー・ローズとバティスタは焚き火を囲む形で休憩も兼ねて暖をとっていた。
因みにルビーの服とマントと下着などは全て水に浸かってずぶ濡れになってしまっていたので、それらは全て現在干して乾かしている最中であり、現在ルビーは全裸の状態で焚き火にあたって暖をとっている最中であった。
因みにルビーの服とマントと下着などは全て水に浸かってずぶ濡れになってしまっていたので、それらは全て現在干して乾かしている最中であり、現在ルビーは全裸の状態で焚き火にあたって暖をとっている最中であった。
「……それはそうとバティスタ、シャルティアと戦ってどう思った?」
「……残念だが彼女の強さは私たち二人よりも遥かに上、単純なパワーやスピードでは眩き闇……パラドクスすらも凌駕している。」
「パラドクス……ヒルダの事だね?」
「……残念だが彼女の強さは私たち二人よりも遥かに上、単純なパワーやスピードでは眩き闇……パラドクスすらも凌駕している。」
「パラドクス……ヒルダの事だね?」
ルビーは異世界に飛ばされた際、かつて戦った『忘却の螺旋』の『眩き闇』、ヒルダの事を思い出していた。忘却の螺旋は偽誕者達で構成された武闘派集団でヒルダはそのリーダーを務めており、バティスタはEXSを食い荒らす元凶と思われた彼女を倒すために永き眠りから覚め、行動をしていた。最終的には彼女を倒す事には成功し、殺害はしなかったものの行動に支障が出るほどのダメージを与える事には成功していた。
ルビーも異世界に飛ばされた際、レイチェル・アルカードの依頼でナオト、雪泉、はぁとが目的地に行くのを阻害するために現れた彼女を倒すためにセリカ=A=マーキュリーと組んでゴルドーと組んだ彼女と戦い、これに勝利しているためルビーは彼女の事を知っていた。
確かに彼女は偽誕者としてはトップクラスの力を持ってはいたがその力に慢心している所があったため、ルビーもバティスタもその隙を突いて勝利することが出来たが、彼女――シャルティア・ブラッドフォールンはヒルダすらも凌駕する圧倒的な強さを誇っていたため、現状では例え二人で組んでも彼女に勝つのは非常に厳しいと言わざるを得なかった。
ルビーも異世界に飛ばされた際、レイチェル・アルカードの依頼でナオト、雪泉、はぁとが目的地に行くのを阻害するために現れた彼女を倒すためにセリカ=A=マーキュリーと組んでゴルドーと組んだ彼女と戦い、これに勝利しているためルビーは彼女の事を知っていた。
確かに彼女は偽誕者としてはトップクラスの力を持ってはいたがその力に慢心している所があったため、ルビーもバティスタもその隙を突いて勝利することが出来たが、彼女――シャルティア・ブラッドフォールンはヒルダすらも凌駕する圧倒的な強さを誇っていたため、現状では例え二人で組んでも彼女に勝つのは非常に厳しいと言わざるを得なかった。
「……彼女のハードウェアのスペックは私たち二人よりも遥かに上……、残念だが真っ向勝負では私たち二人の勝算は低いだろう。」
「……」
「だが……ソフトウェアのスペックにおいては彼女よりも私たち二人の方が分がある。」
「え?それってどういうこと?」
「簡単な事。古来より人間は戦略・戦術の多様性と合理性を発達させ、ハードウェアのスペック差を埋める術を発達させてきた。私にはかつて多数の姉妹機がいたがハードウェアのスペックに慢心し、その結果偽誕者との戦いに敗れ、破壊された者も多い。」
「え!?貴女に姉妹機が存在するの!?」
「?言ってなかった?」
「初耳だよそれ!!」
「……」
「だが……ソフトウェアのスペックにおいては彼女よりも私たち二人の方が分がある。」
「え?それってどういうこと?」
「簡単な事。古来より人間は戦略・戦術の多様性と合理性を発達させ、ハードウェアのスペック差を埋める術を発達させてきた。私にはかつて多数の姉妹機がいたがハードウェアのスペックに慢心し、その結果偽誕者との戦いに敗れ、破壊された者も多い。」
「え!?貴女に姉妹機が存在するの!?」
「?言ってなかった?」
「初耳だよそれ!!」
ルビーはバティスタと話して彼女の事について知らなかったことを知るたびに彼女の事を分かっているようで分かっていなかったことを思い知る。
ひょっとしたらラグナも……ハイドも……鳴上も……自分が知らないだけで様々な出会いや別れ、戦いなどを歩んできたのでは……ルビーはそう感じずにはいられなかった。
ひょっとしたらラグナも……ハイドも……鳴上も……自分が知らないだけで様々な出会いや別れ、戦いなどを歩んできたのでは……ルビーはそう感じずにはいられなかった。
「その話は置いといて……つまりはこういうこと。彼女は強いが他の仲間と組んで戦うとは思えない。私たちは他の賛同者たちを集めて数的優位を確保し、それに合わせた戦略・戦術を組んで戦うことで彼女に対抗する。これが私たちが彼女に勝つ唯一の方法。」
「だったら今すぐ仲間を集めよう!こうしている間にも彼女が他の参加者に狙いを定めているかもしれない!すぐに出発しないと!」
そう言って立ち上がろうとしたルビーをバティスタが制止する。
「待って、今はまだ服を乾かしている最中。素っ裸で行動するのは得策とは言えない。今はまだ休息すべき」
「……あ」
バティスタの指摘を聞いてルビーは自分の服がまだ乾かしている最中だという事に気付くと急激に恥ずかしさがこみ上げていき、顔を赤らめながら座り直す。
「だったら今すぐ仲間を集めよう!こうしている間にも彼女が他の参加者に狙いを定めているかもしれない!すぐに出発しないと!」
そう言って立ち上がろうとしたルビーをバティスタが制止する。
「待って、今はまだ服を乾かしている最中。素っ裸で行動するのは得策とは言えない。今はまだ休息すべき」
「……あ」
バティスタの指摘を聞いてルビーは自分の服がまだ乾かしている最中だという事に気付くと急激に恥ずかしさがこみ上げていき、顔を赤らめながら座り直す。
「でも私が貴女を暖めてあげることは出来る」
そう言うとバティスタは服装を解除して先ほどと同じ全裸になり、ルビーの背後に回ると身体を密着させるように背中に抱き着く。
そう言うとバティスタは服装を解除して先ほどと同じ全裸になり、ルビーの背後に回ると身体を密着させるように背中に抱き着く。
「ちょ、ちょっと何してんの!!?」
「ハイドがベットの下に隠していた本に描いてあった。人はこうして素肌で直に触れ合うことでお互いを暖めあうことが出来るのだって。それに顕現の力を応用すれば身体温度を人間の体温に近づけることも可能。」
「いやそれ絶対エロ本でしょ!?」
「ハイドがベットの下に隠していた本に描いてあった。人はこうして素肌で直に触れ合うことでお互いを暖めあうことが出来るのだって。それに顕現の力を応用すれば身体温度を人間の体温に近づけることも可能。」
「いやそれ絶対エロ本でしょ!?」
ルビーはバティスタの話を聞いて親友であるチームJNPRのリーダー、ジョーン・アークの事を思い出していた。彼もまた思春期男子らしく、チームJNPRに割り当てられた寮の部屋のベットの下にエロ本を隠してそれを同じチームメイトであるピュラ・ニコスに発見されるという一悶着があったという事を聞いたことがあったのだが、やはりジョーンにしろハイドにしろ思春期男子は皆同じことを考えるもんなんだなあとしみじみと感じていた。
でもこうして抱き合ってもらうのも悪い気はしないとも考えていた。
何故ならバティスタからは先ほどのシャルティアのようなあからさまなイヤラシサは感じられず、ただ純粋に暖めるために抱き着いているのだという事を感じられたからだ。
これは始まりの一歩に過ぎない。これから自身とバティスタの身に数々の困難が襲い来るであろう。でも今はまだその身を休め、これからの戦いに備えるべきだ。
ルビーはバティスタに、自らの気持ちを表す言葉をただ一言だけ、簡潔に伝える。
でもこうして抱き合ってもらうのも悪い気はしないとも考えていた。
何故ならバティスタからは先ほどのシャルティアのようなあからさまなイヤラシサは感じられず、ただ純粋に暖めるために抱き着いているのだという事を感じられたからだ。
これは始まりの一歩に過ぎない。これから自身とバティスタの身に数々の困難が襲い来るであろう。でも今はまだその身を休め、これからの戦いに備えるべきだ。
ルビーはバティスタに、自らの気持ちを表す言葉をただ一言だけ、簡潔に伝える。
「……ありがと。」
ルビーとバティスタの戦いはまだ始まったばかりであった。
【ルビー・ローズ@RWBY】
[状態]:健康、全裸、疲労(小)
[装備]:カロンの導き@オーバーロード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:服、早く乾かないかなぁ……
2:シャルティアを警戒する。
3:自身に賛同する仲間を集め、いずれは乃亜を打倒し、仲間と共に殺し合いを止める。
[備考]
「RWBY 氷雪帝国」最終回から少し後位の時系列からの参戦です。
「ブレイブルー クロスタッグバトル」を経験しています。そのためバティスタとは面識があります。
[状態]:健康、全裸、疲労(小)
[装備]:カロンの導き@オーバーロード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:服、早く乾かないかなぁ……
2:シャルティアを警戒する。
3:自身に賛同する仲間を集め、いずれは乃亜を打倒し、仲間と共に殺し合いを止める。
[備考]
「RWBY 氷雪帝国」最終回から少し後位の時系列からの参戦です。
「ブレイブルー クロスタッグバトル」を経験しています。そのためバティスタとは面識があります。
【支給品紹介】
【カロンの導き@オーバーロード】
ルビー・ローズに支給。DMMO―RPG「ユグドラシル」から異世界に転移し、転移後の世界でスレイン法国を建国した六大神の一人『死の神 スルシャーナ』が愛用していた武器で見た目は先端に槍状の刃がつき、両側に翼のように広がる大鎌の刃がついた、十字槍のような禍々しい形状の大鎌。大鎌として相手を切り裂くことが出来る他、槍のように相手を刺突して攻撃することも出来る。
また様々な魔法を内蔵しており、魔法を使えないものでも内蔵された魔法を使用することが出来る他、「スパルティアト」と呼ばれるアンデッドの兵隊を召喚、使役することも可能だが、殺し合いが破綻しないためのバランス調整のために弱体化しており、内臓魔法の使用回数減少及びリキャストタイムの増加、及びスパルティアトを一度に召喚、使役できる個体数の減少及び最大召喚可能な個体数の減少という弱体化措置が取られている。
【カロンの導き@オーバーロード】
ルビー・ローズに支給。DMMO―RPG「ユグドラシル」から異世界に転移し、転移後の世界でスレイン法国を建国した六大神の一人『死の神 スルシャーナ』が愛用していた武器で見た目は先端に槍状の刃がつき、両側に翼のように広がる大鎌の刃がついた、十字槍のような禍々しい形状の大鎌。大鎌として相手を切り裂くことが出来る他、槍のように相手を刺突して攻撃することも出来る。
また様々な魔法を内蔵しており、魔法を使えないものでも内蔵された魔法を使用することが出来る他、「スパルティアト」と呼ばれるアンデッドの兵隊を召喚、使役することも可能だが、殺し合いが破綻しないためのバランス調整のために弱体化しており、内臓魔法の使用回数減少及びリキャストタイムの増加、及びスパルティアトを一度に召喚、使役できる個体数の減少及び最大召喚可能な個体数の減少という弱体化措置が取られている。
【バティスタ@UNDER NIGHT IN-BIRTH】
[状態]:健康、全裸、疲労(小)、ダメージ(小)、
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:ルビー、暖かい。
2:シャルティアを警戒する。
3:自身とルビーに賛同する仲間を集めるのが先決。
[備考]
アーケードモードED後からの参戦です。
「ブレイブルー クロスタッグバトル」を経験しています。そのためルビー・ローズとは面識があります。
[状態]:健康、全裸、疲労(小)、ダメージ(小)、
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:ルビー、暖かい。
2:シャルティアを警戒する。
3:自身とルビーに賛同する仲間を集めるのが先決。
[備考]
アーケードモードED後からの参戦です。
「ブレイブルー クロスタッグバトル」を経験しています。そのためルビー・ローズとは面識があります。
「はぁ……、はぁ……」
静寂に包まれた夜の森の中を一人の少女が息を切らしながら走っていた。
シャルティア・ブラッドフォールンである。
静寂に包まれた夜の森の中を一人の少女が息を切らしながら走っていた。
シャルティア・ブラッドフォールンである。
「チクショウ!」
そう吐き捨てながらもシャルティアは思考を巡らせていた。
幾ら油断や慢心があったとはいえ、まさか人間からあのような手傷を負わされることになるとは流石に予想外であった。恐らくあの大鎌はユグドラシル産の武器、それも最低でも伝説級以上の等級の武器であるという事は確実であろう。
そう吐き捨てながらもシャルティアは思考を巡らせていた。
幾ら油断や慢心があったとはいえ、まさか人間からあのような手傷を負わされることになるとは流石に予想外であった。恐らくあの大鎌はユグドラシル産の武器、それも最低でも伝説級以上の等級の武器であるという事は確実であろう。
(まさかあの娘……アインズ様やペロロンチーノ様と同じ……プレイヤー?いや、それにしては弱かった。という事は……私以外にもプレイヤーやNPCが参加していてそいつの武器があの娘の手に渡った?)
そうとしか考えられない、とシャルティアは考えていた。シャルティアも本気を出して戦う時は神器級の武器であるスポイトランスや伝説級の等級の真紅の全身鎧を装備して戦うのであるが、それらの装備は主催者である海馬乃亜によって全て没収されていた。
シャルティアの脳裏に最悪の可能性がよぎる。ユグドラシルにおいては神器級や伝説級の等級の装備品は非常に制作難易度が高く、そのあまりの制作難易度の高さのせいで一つも持っていないプレイヤーも当たり前のように存在していた。
そんな装備品を制作、所持できる存在は自身と同等の存在である100レベルプレイヤーや100レベルNPCしか考えられず、幾らガチビルド特化のシャルティアといえどそのような存在がこの殺し合いに参加していて戦う羽目になれば良くて重傷、悪ければ敗北、死亡の可能性が高いという事をシャルティアはかつてのアインズとの戦いで痛いほど痛感していた。
それにもう一つの可能性として没収されたスポイトランスや真紅の全身鎧が他の参加者の手に渡る可能性も十分考えられた。
そうとしか考えられない、とシャルティアは考えていた。シャルティアも本気を出して戦う時は神器級の武器であるスポイトランスや伝説級の等級の真紅の全身鎧を装備して戦うのであるが、それらの装備は主催者である海馬乃亜によって全て没収されていた。
シャルティアの脳裏に最悪の可能性がよぎる。ユグドラシルにおいては神器級や伝説級の等級の装備品は非常に制作難易度が高く、そのあまりの制作難易度の高さのせいで一つも持っていないプレイヤーも当たり前のように存在していた。
そんな装備品を制作、所持できる存在は自身と同等の存在である100レベルプレイヤーや100レベルNPCしか考えられず、幾らガチビルド特化のシャルティアといえどそのような存在がこの殺し合いに参加していて戦う羽目になれば良くて重傷、悪ければ敗北、死亡の可能性が高いという事をシャルティアはかつてのアインズとの戦いで痛いほど痛感していた。
それにもう一つの可能性として没収されたスポイトランスや真紅の全身鎧が他の参加者の手に渡る可能性も十分考えられた。
(そ……それだけは嫌!あれらの装備品は創造主であるペロロンチーノ様が私に授けて下さった大切な装備品!ナザリック外部の存在の手に渡るなんてことになったら私は愛しいペロロンチーノ様に顔向けできない!)
そう、シャルティアの正体はユグドラシルに存在していたギルド「アインズ・ウール・ゴウン」に所属していたプレイヤーの一人「ペロロンチーノ」が創造した100レベルNPCで、エロゲ好きのペロロンチーノが自分の趣味趣向と強さを追及して愛を込めて作り上げたキャラであり、「俺の嫁」と呼ぶほどキャラに愛情を注いでいたため本来なら100レベルプレイヤーであっても制作、所持が難しい神器級武器のスポイトランスや伝説級の鎧の真紅の全身鎧をわざわざ制作して渡してくれるほどのものであった。
そうでなくてもペロロンチーノを始めとした至高の御方が残してくれた武具がナザリック外部の存在の手に渡ってしまうことを許してしまうことはナザリックの階層守護者として恥ずべきことであり、何としても奪還を最優先とすべきと考えていた。
そう、シャルティアの正体はユグドラシルに存在していたギルド「アインズ・ウール・ゴウン」に所属していたプレイヤーの一人「ペロロンチーノ」が創造した100レベルNPCで、エロゲ好きのペロロンチーノが自分の趣味趣向と強さを追及して愛を込めて作り上げたキャラであり、「俺の嫁」と呼ぶほどキャラに愛情を注いでいたため本来なら100レベルプレイヤーであっても制作、所持が難しい神器級武器のスポイトランスや伝説級の鎧の真紅の全身鎧をわざわざ制作して渡してくれるほどのものであった。
そうでなくてもペロロンチーノを始めとした至高の御方が残してくれた武具がナザリック外部の存在の手に渡ってしまうことを許してしまうことはナザリックの階層守護者として恥ずべきことであり、何としても奪還を最優先とすべきと考えていた。
(まずはスポイトランスと鎧を見つけ出して奪還する!だがその前に……)
シャルティアは一旦停止すると未だ血が流れ続ける自らの切断された手首に向かって魔法を発動する。
「グレーターリーサル」
そう、シャルティアは吸血鬼であると同時に信仰系魔法詠唱者であり、アンデッドであるために通常の回復魔法は使えないが、負のエネルギーを流し込むこの「グレーターリーサル」こそがアンデッドであるシャルティアにとって実質的な回復魔法であった。
シャルティアは一旦停止すると未だ血が流れ続ける自らの切断された手首に向かって魔法を発動する。
「グレーターリーサル」
そう、シャルティアは吸血鬼であると同時に信仰系魔法詠唱者であり、アンデッドであるために通常の回復魔法は使えないが、負のエネルギーを流し込むこの「グレーターリーサル」こそがアンデッドであるシャルティアにとって実質的な回復魔法であった。
……だが魔法によって出血は止まったが失った手は修復されずにそのままであった。
「糞が!」
考えられる可能性は一つしかない。恐らく装備品を没収したのと同様、魔法に関しても特定の参加者による一方的な無双を防ぐために何らかの弱体化措置が取られている可能性が高かった。シャルティアは肉体戦闘能力にも長けてはいたが本来は魔法詠唱者であり、アインズほどではないにしろ多彩な魔法を使えることもまたシャルティアの強みであった。
その魔法が弱体化、制限されているという事はシャルティアにとっては武装同様、アドバンテージを失ったに等しい事であり、絶対的強者として生まれたシャルティアの自尊心を酷く傷づけるものであった。
「あのガキ……私にこのような仕打ちをしたことを絶対後悔させてやる……」
シャルティアの脳裏には海馬乃亜に対する激しい怒りが沸き上がるが今はどうすることも出来ない。
取り敢えずシャルティアの今後の方針は決まった。
一つ目はスポイトランスと真紅の全身鎧を見つけ出して奪還する。
二つ目は自身と同じ100レベルプレイヤーや100レベルNPCの存在を警戒する。
そして三つ目は、
「あのガキ……名前は確か「ルビー・ローズ」といったか……この手首の落とし前、必ずつけさせてやる……」
考えられる可能性は一つしかない。恐らく装備品を没収したのと同様、魔法に関しても特定の参加者による一方的な無双を防ぐために何らかの弱体化措置が取られている可能性が高かった。シャルティアは肉体戦闘能力にも長けてはいたが本来は魔法詠唱者であり、アインズほどではないにしろ多彩な魔法を使えることもまたシャルティアの強みであった。
その魔法が弱体化、制限されているという事はシャルティアにとっては武装同様、アドバンテージを失ったに等しい事であり、絶対的強者として生まれたシャルティアの自尊心を酷く傷づけるものであった。
「あのガキ……私にこのような仕打ちをしたことを絶対後悔させてやる……」
シャルティアの脳裏には海馬乃亜に対する激しい怒りが沸き上がるが今はどうすることも出来ない。
取り敢えずシャルティアの今後の方針は決まった。
一つ目はスポイトランスと真紅の全身鎧を見つけ出して奪還する。
二つ目は自身と同じ100レベルプレイヤーや100レベルNPCの存在を警戒する。
そして三つ目は、
「あのガキ……名前は確か「ルビー・ローズ」といったか……この手首の落とし前、必ずつけさせてやる……」
そう、シャルティアは自身の手を奪ったルビー・ローズに復讐する気でいた。あの時は油断したが次はこうはいかない。
力の差を見せつけ圧倒して蹂躙して例え泣き叫んでもそれを聞き入れず生まれてきたことを後悔させてから殺すつもりでいた。
力の差を見せつけ圧倒して蹂躙して例え泣き叫んでもそれを聞き入れず生まれてきたことを後悔させてから殺すつもりでいた。
こうして今、この殺し合いに一体の怪物が放たれたのであった。
【シャルティア・ブラッドフォールン@オーバーロード】
[状態]:怒り(大)、興奮(大)、左手欠損
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:自分以外の参加者(ナザリック勢以外)を皆殺しにして優勝する
1:スポイトランスと真紅の全身鎧を見つけ出して奪還する
2:自分以外の100レベルプレイヤーと100レベルNPCの存在を警戒する
3:ルビー・ローズに復讐する
[備考]
アインズ・ウール・ゴウン魔導国建国後からの参戦です。
また異世界かるてっとを経験しているため、このすばキャラやリゼロキャラ、幼女戦記キャラの事をある程度知っています。
信仰系魔法等に制限が掛けられ、魔法の威力や効果等が弱体化しています。
その他スキル等の制限に関しては後続の書き手様にお任せします。
[状態]:怒り(大)、興奮(大)、左手欠損
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:自分以外の参加者(ナザリック勢以外)を皆殺しにして優勝する
1:スポイトランスと真紅の全身鎧を見つけ出して奪還する
2:自分以外の100レベルプレイヤーと100レベルNPCの存在を警戒する
3:ルビー・ローズに復讐する
[備考]
アインズ・ウール・ゴウン魔導国建国後からの参戦です。
また異世界かるてっとを経験しているため、このすばキャラやリゼロキャラ、幼女戦記キャラの事をある程度知っています。
信仰系魔法等に制限が掛けられ、魔法の威力や効果等が弱体化しています。
その他スキル等の制限に関しては後続の書き手様にお任せします。