夜ランプに照らされ、局所的に日の光が遮断された闇の世界。
シルバースキンを脱ぎ捨てた鬼舞辻無惨が、目に写る生命を排除しようと人ならざる腕を振るう。
茨のような棘を生やした二つの刃腕。
人に振るうものなら、たちまちその軟弱な表皮ごと肉を抉って骨を断つ。
鉄線のような変幻自在の鞭が背から十本伸びる。
それらは風を切りながら、周囲のアスファルトにまで亀裂を刻み込むほどの威力を持つ。
合計、十二の魔手を操り、その速度は音速を優に凌駕する。
無惨の眼前に広がるのは無だった。いかなる生物であろうと、敵対するのならば生存を許さない。生きとし生けるもの全てを刈り取る虚無の更地である。
傲慢にして、幼稚な我儘を、無惨はその強さによって現実に顕現させていた。
子供の癇癪染みた稚拙な怒りに任せて、ただひたすらに腕をぶんぶんと回す。
特異な異能力も持たず、また磨き上げた技もない。
やっていることは、ガキ大将が自らよりも劣る華奢な子供を理不尽に殴る事と変わらない。
ただ無惨という生物は、ある例外を除いて、全てを格下とみなすまでに桁違いの力を有している。
無惨が殺すと決定したのなら、その決定は絶対だった。
シルバースキンを脱ぎ捨てた鬼舞辻無惨が、目に写る生命を排除しようと人ならざる腕を振るう。
茨のような棘を生やした二つの刃腕。
人に振るうものなら、たちまちその軟弱な表皮ごと肉を抉って骨を断つ。
鉄線のような変幻自在の鞭が背から十本伸びる。
それらは風を切りながら、周囲のアスファルトにまで亀裂を刻み込むほどの威力を持つ。
合計、十二の魔手を操り、その速度は音速を優に凌駕する。
無惨の眼前に広がるのは無だった。いかなる生物であろうと、敵対するのならば生存を許さない。生きとし生けるもの全てを刈り取る虚無の更地である。
傲慢にして、幼稚な我儘を、無惨はその強さによって現実に顕現させていた。
子供の癇癪染みた稚拙な怒りに任せて、ただひたすらに腕をぶんぶんと回す。
特異な異能力も持たず、また磨き上げた技もない。
やっていることは、ガキ大将が自らよりも劣る華奢な子供を理不尽に殴る事と変わらない。
ただ無惨という生物は、ある例外を除いて、全てを格下とみなすまでに桁違いの力を有している。
無惨が殺すと決定したのなら、その決定は絶対だった。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ……!!!」
しかし、その決定を覆すかのように、たった一つの小さな拳が、無惨の頬へと突き刺さった。
鬼を狩る事に長け、鍛錬に時を費やした鬼狩りの頂点、柱の剣士ですら数人掛かりで命を削り、かわし続けられた殺戮の腕。
だが、その少年は一人で、汗もかかずにあっさりと突破して見せた。
口許は釣り上がり笑みすら浮かべて、無惨の顔面から響く骨の砕裂音など、気にもかけない。
拳がめり込んだ頬から衝撃が広がり、眼球が潰れて、ぷちゅんという音がした。
遅れて鼻がへしゃげて、悲鳴を放つ口腔からは歯が数本、舌の上に転がった。
べきべきっと無惨の首が捻じれていくを聞いて、なんだか懐かしいなと少年は思った。
鬼を狩る事に長け、鍛錬に時を費やした鬼狩りの頂点、柱の剣士ですら数人掛かりで命を削り、かわし続けられた殺戮の腕。
だが、その少年は一人で、汗もかかずにあっさりと突破して見せた。
口許は釣り上がり笑みすら浮かべて、無惨の顔面から響く骨の砕裂音など、気にもかけない。
拳がめり込んだ頬から衝撃が広がり、眼球が潰れて、ぷちゅんという音がした。
遅れて鼻がへしゃげて、悲鳴を放つ口腔からは歯が数本、舌の上に転がった。
べきべきっと無惨の首が捻じれていくを聞いて、なんだか懐かしいなと少年は思った。
「き、きさ……ば、っ……が、ぁッ……ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!」
「ふふ……ふはははは……」
あの時、自分もリクームに首を折られたな。そんなことを考えて、孫悟飯は吹き飛んでいく無惨を楽しそうに眺める。
あれはキツかった。地べたに転がって、意識はあるのに声もろくに出せずに立ち上がれなかったな。
無惨が味わっているであろう苦痛を想起して、また悟飯は自分が愉快になっているのを実感した。
あれはキツかった。地べたに転がって、意識はあるのに声もろくに出せずに立ち上がれなかったな。
無惨が味わっているであろう苦痛を想起して、また悟飯は自分が愉快になっているのを実感した。
「な……なぜ、……おま、ぇ……ッッ!! どうしてだああああああああああああ!!!」
どさっと倒れてから数秒後に、無惨はよろめきながら立ち上がる。
潰れた眼球が元に戻る。子供が粘土をこねくり回しているかのように、ぐちゃぐちゃに潰された顔も再生していく。
無惨の頑強さは、こと生存力だけならばサイヤ人以上だ。
首を折られれば、悟空やベジータですら瀕死になるというのに、あれは即座に再生していた。
殺すには、セルのように再生の追い付かない圧倒的な火力で、一撃で葬り去るのが有効なのだろう。
それがとてつもなく嬉しい。すぐに死なないということは、すぐに壊れないということだ。
潰れた眼球が元に戻る。子供が粘土をこねくり回しているかのように、ぐちゃぐちゃに潰された顔も再生していく。
無惨の頑強さは、こと生存力だけならばサイヤ人以上だ。
首を折られれば、悟空やベジータですら瀕死になるというのに、あれは即座に再生していた。
殺すには、セルのように再生の追い付かない圧倒的な火力で、一撃で葬り去るのが有効なのだろう。
それがとてつもなく嬉しい。すぐに死なないということは、すぐに壊れないということだ。
結城美柑や野比のび太のような、加減に加減を重ねて、それでもまだ加減が足りないような壊れやすい生き物じゃない。
「なにを、なにを笑っているッッ──────────!!!!?」
どうなっている。なぜ、こんなことになっている。
ネモの協力者であり、孫悟空という人物の息子と思われる少年。
最初に血気術の類似技のような青の光芒に巻き込まれ、体を焼かれた際は憤り腸が煮えくり返るところだったが、無惨は怒りを抑えて言ったのだ。
最初に血気術の類似技のような青の光芒に巻き込まれ、体を焼かれた際は憤り腸が煮えくり返るところだったが、無惨は怒りを抑えて言ったのだ。
私はネモという参加者の仲間で、孫悟空はネモの協力者だ。敵ではない。
その胴着……ネモから聞いた特徴と一致する。お前は、悟空の息子の孫悟飯ではないか? 私達が争う必要はない。
その胴着……ネモから聞いた特徴と一致する。お前は、悟空の息子の孫悟飯ではないか? 私達が争う必要はない。
悟飯は呆気にとられたように立ち止まり、無惨は敵意が消えたのかと構えを解いた。
しかし、それが無惨の勘違いであったことは、最早いうまでもない。
しかし、それが無惨の勘違いであったことは、最早いうまでもない。
「お父さんは騙されている」
しきりに繰り返す悟飯の言葉を、無惨は未だに理解できずにいた。
「……なんの、話だ」
こうして対話を試みようと、疑問を投げかけることすら無意味だと分かっていながら、無惨はたまらず声を漏らす。
「おかしいと思っていたんだ。お父さんがここにいるなら、シャルティア、ヤミ、黒ドレスの女、シュライバーのような悪い奴等がのさばっているはずがない」
「どういう理屈だ」
「お父さんが、全員やっつけていなきゃおかしいんだ。ネモとかいう奴がお父さんを騙したんだな。
僕も騙されたんだ。美柑さんか、沙都子さんか、イリヤさんか──────いや、もう誰でも良いや。
だから、絶対に騙されないぞ。お前らがお父さんを騙せても、僕は騙されない」
僕も騙されたんだ。美柑さんか、沙都子さんか、イリヤさんか──────いや、もう誰でも良いや。
だから、絶対に騙されないぞ。お前らがお父さんを騙せても、僕は騙されない」
本当の気狂いを目の当たりにして、無惨が抱いた感情は呆れだった。
「貴様は殺してやる。よくも、お父さんを騙したな」
「孫悟空など、顔も知らぬというのにッッ!!!!」
その推理は破綻している。妄想にしても、支離滅裂すぎる。
美柑、沙都子、イリヤ、全く聞いた覚えのない名前を連ねて、騙されたと吹聴して悟空が同じ状況に陥っているという判断。
あの脳内でどのような思考を経てから、この結論に達したとでもいうのか。
同じく悟飯が口にしたあのシュライバーの方が、まだ話が通じていた。
美柑、沙都子、イリヤ、全く聞いた覚えのない名前を連ねて、騙されたと吹聴して悟空が同じ状況に陥っているという判断。
あの脳内でどのような思考を経てから、この結論に達したとでもいうのか。
同じく悟飯が口にしたあのシュライバーの方が、まだ話が通じていた。
背の鉄線を翼のように展開し、悟飯を覆う。
正面から突貫する悟飯の顔面を潰すべく、茨の腕が振るわれる。
正面から突貫する悟飯の顔面を潰すべく、茨の腕が振るわれる。
「────────ッ」
悟飯は微動だにしない。
油断と慢心。
かわせばいいものを、何を思ったか直接防ごうとでも考えたのか。
無惨は悟飯の笑みを見て、それが驕りであると軽蔑する。
油断と慢心。
かわせばいいものを、何を思ったか直接防ごうとでも考えたのか。
無惨は悟飯の笑みを見て、それが驕りであると軽蔑する。
(馬鹿め)
その強さは鬼の始祖をも超えるが、所詮は人間だ。
人間の持つ体の強度には上限がある。どれだけの怪力を誇り、神速を持ち、技量を高めたとしても、肉体の耐久には超えられない上限が存在するのだ。
腕を乱雑に、暴力的に、一直線に振り回すだけの単調な攻撃ではあるが、それこそ無惨が人を超えた鬼である証。
ゆえに、技など不要。隔絶した強さがあるのだから、振り回せばいずれ当たり死ぬのだから。
どんな生物であろうと、当たりさえすれば、あの継国縁壱といえど八つ裂きの肉片に変わという確信はあった。
奴も同じだ。悟飯も当たれば、殺せるのだ。
人間の持つ体の強度には上限がある。どれだけの怪力を誇り、神速を持ち、技量を高めたとしても、肉体の耐久には超えられない上限が存在するのだ。
腕を乱雑に、暴力的に、一直線に振り回すだけの単調な攻撃ではあるが、それこそ無惨が人を超えた鬼である証。
ゆえに、技など不要。隔絶した強さがあるのだから、振り回せばいずれ当たり死ぬのだから。
どんな生物であろうと、当たりさえすれば、あの継国縁壱といえど八つ裂きの肉片に変わという確信はあった。
奴も同じだ。悟飯も当たれば、殺せるのだ。
銃声のような弾ける爆音が炸裂した。
「────!!? ッッ、ぐぉ……!!」
幼い手の中に、鉄線が束ねられ、茨の腕がその脇に挟まれ止められる。
一瞬にして全ての攻撃の軌道を読み、悟飯はその全てを制圧した。
固められた触手たちは、微動だにしない。その力の差はまるで、蟻と象が綱引きをしているようだ。
一瞬にして全ての攻撃の軌道を読み、悟飯はその全てを制圧した。
固められた触手たちは、微動だにしない。その力の差はまるで、蟻と象が綱引きをしているようだ。
「おおっ……ぉッ!!!」
無惨は、触手の付け根を脆くして、自ら後方へ飛び退く。
ブチブチと皮膚が裂ける音を耳にしながら、無惨は体を引き千切って悟飯から離脱する。
ブチブチと皮膚が裂ける音を耳にしながら、無惨は体を引き千切って悟飯から離脱する。
(縁壱ですら……あの化け物すら、避けていたぞッ!!!?)
乃亜の言うハンデとやらか? シュライバー、魔神王との戦闘で疲労したのか?
言い訳のように理由を探すが、そのどれも他ならない無惨自身が否定する。
単に強いのだ。あの悟飯という少年は、無惨が対峙した何者をも凌ぐ。
縁壱が背筋を冷やした斬撃も、悟飯にとってはあっさりと捌けてしまう。女子供の張り手と、何ら変わらないというだけの話だ。
言い訳のように理由を探すが、そのどれも他ならない無惨自身が否定する。
単に強いのだ。あの悟飯という少年は、無惨が対峙した何者をも凌ぐ。
縁壱が背筋を冷やした斬撃も、悟飯にとってはあっさりと捌けてしまう。女子供の張り手と、何ら変わらないというだけの話だ。
「──────!!!」
悟飯の眉が僅かに歪む。
無惨の腹部が裂けていき、ギザギザの歯が生えたかと思うと、大きく開口したのだ。
牙だらけの口腔から、音もなく空気が放出される。
不可視かつ感知不可の衝撃波が、無惨を起点に前方へと一帯を飲み込んだ。
鉄筋の建造物が圧し折れ、アスファルトの道路は粉々に砕かれ、窓ガラスは一斉に割れる。
突風が吹き荒れ、砂塵を巻き起こし、粉塵になった破片は刃のように荒れ狂う。
砂埃の立つ中で人影を認識して、無惨は瞠目した。
無惨の腹部が裂けていき、ギザギザの歯が生えたかと思うと、大きく開口したのだ。
牙だらけの口腔から、音もなく空気が放出される。
不可視かつ感知不可の衝撃波が、無惨を起点に前方へと一帯を飲み込んだ。
鉄筋の建造物が圧し折れ、アスファルトの道路は粉々に砕かれ、窓ガラスは一斉に割れる。
突風が吹き荒れ、砂塵を巻き起こし、粉塵になった破片は刃のように荒れ狂う。
砂埃の立つ中で人影を認識して、無惨は瞠目した。
「終わりか?」
ニタニタと笑い、挑発的な表情を浮かべた悟飯は仁王立ちで立っていた。
胴着が僅かに破けて、砂埃が悟飯を汚していたが、当の悟飯本体には傷一つついていない。
胴着が僅かに破けて、砂埃が悟飯を汚していたが、当の悟飯本体には傷一つついていない。
「く、ッ────!!!」
無惨の、全ての脳が同様の結論を導き出す。
逃亡。
踵を返し、騒音に釣られてやってきた龍亞と神戸しおを認め、そして一切の情も関心もなく無惨は走り去ろうとする。
無言で走る。彼らに逃げろと、一言声を掛ける手間すら惜しんだ。
無言で走る。彼らに逃げろと、一言声を掛ける手間すら惜しんだ。
ネモと再合流の際に、二人を使って信用を得るだとか、他の参加者へ無惨の姿をした魔神王による誤解を解かせるといった事は、全て頭から抹消された。
優先すべきは無惨自身の命、生き続ける事こそが無惨にとっての宿願。
優先すべきは無惨自身の命、生き続ける事こそが無惨にとっての宿願。
「情けない奴め」
無惨の顔面に拳が飛び込む。
駆ける方向へ置かれたように振るわれた打撃は、見事に顔面を潰して埋め込まれていく。
尻餅をつき、そのまま頭から後転する。
駆ける方向へ置かれたように振るわれた打撃は、見事に顔面を潰して埋め込まれていく。
尻餅をつき、そのまま頭から後転する。
「ぐおォオオオォ……!!」
無惨は自身の前方へ回り込んだ悟飯を睨み付ける。
逃げに徹した無惨を、あっさり追い抜く脚力。
さしもの無惨も愕然とした。
逃げに徹した無惨を、あっさり追い抜く脚力。
さしもの無惨も愕然とした。
「どうした? セルだって、まだ抵抗はしたぞ」
知らぬ。そんな者、興味もない!!
叫び。無惨は悟飯から離れようと飛び退いた。
だが、その距離は一向に縮まらない。
だが、その距離は一向に縮まらない。
「きさ……ッ!!?」
音もなく悟飯が既に肉薄していたのだ。
棘を生やした腕を鈍器のように振り回して、叩き潰そうとする。
だが、それよりもずっと素早く、悟飯の打撃の雨が降り注いだ。
棘を生やした腕を鈍器のように振り回して、叩き潰そうとする。
だが、それよりもずっと素早く、悟飯の打撃の雨が降り注いだ。
「ぐおおおおおおおおおああああああああああああああッッ!!!!」
全身を打ち付ける拳の連打。
無惨の腕を無造作に振り回すそれと同じく、技などではなく、ただ思いっきり殴りつけるだけの代物。
ひたすらに力の限り、これまでの鬱憤を晴らすかのように拳に様々な感情を入れる。
幸い、目の前のこれは簡単には壊れない。
何回殴ってもすぐに治ってくれる。
無惨の腕を無造作に振り回すそれと同じく、技などではなく、ただ思いっきり殴りつけるだけの代物。
ひたすらに力の限り、これまでの鬱憤を晴らすかのように拳に様々な感情を入れる。
幸い、目の前のこれは簡単には壊れない。
何回殴ってもすぐに治ってくれる。
「ご、ッ……ぉ……ぉ、ぐ……ッ……」
数秒間、機関銃のように連続して殴られ続けた無惨は、赤黒いボロボロの肉塊のようになっていた。
それでも気の感知は悟飯に、無惨からまだ暴力的な生命が損なわれていないことを知らせる。
まだまだ終わらない。悟飯はそれに感謝すらして、笑みをより激しく歪めた。
殴っても良い奴を、思うがままに殴れるので心が落ち着いた。
雛見沢症候群による狂乱の中で、昂ったサイヤ人の闘争心が満たされていく。
この時だけは、狂気より戦闘への喜びが勝っていた。
それでも気の感知は悟飯に、無惨からまだ暴力的な生命が損なわれていないことを知らせる。
まだまだ終わらない。悟飯はそれに感謝すらして、笑みをより激しく歪めた。
殴っても良い奴を、思うがままに殴れるので心が落ち着いた。
雛見沢症候群による狂乱の中で、昂ったサイヤ人の闘争心が満たされていく。
この時だけは、狂気より戦闘への喜びが勝っていた。
「お前を殴っていると……蛆虫が、見えなくなる」
「な……な、ん……」
ぐじゅると肉塊が蠢いて、俊國と呼ばれた無惨の擬態を形作っていく。
修復された口で、呂律の回らないままに理不尽に対し抗議をする。
修復された口で、呂律の回らないままに理不尽に対し抗議をする。
「お前のせいか? あの蛆虫は、お前が見せているんだな」
サイヤ人の戦闘本能が、暴力を行っている時のみ雛見沢症候群の幻覚を抑えているとは、悟飯が知る由もない。
無惨を殴れば、幻覚が消える。ダメージを与え続けて殺せば、これは治るのだと短絡的な結論に至るのは早かった。
とにかく何でもいい。誰かを壊していれば、狂気はさらなる狂気で上書きできる。
どうせ狂うのなら首を掻くより、誰かを壊して喜びを得る狂気の方がマシだった。
無惨を殴れば、幻覚が消える。ダメージを与え続けて殺せば、これは治るのだと短絡的な結論に至るのは早かった。
とにかく何でもいい。誰かを壊していれば、狂気はさらなる狂気で上書きできる。
どうせ狂うのなら首を掻くより、誰かを壊して喜びを得る狂気の方がマシだった。
「ふ、ふざ……ふざけるなぁッ!!!」
じり、と砂を踏み鳴らす音が近づき、仰向けで地べたに倒れた無惨を見下ろす悟飯。
無惨は上体を起こして、顎から鼻の下までをキツツキの嘴のように変形させる。
嘴は湾曲し、縄のようにたわむと、悟飯の首元へと向かった。
無惨は上体を起こして、顎から鼻の下までをキツツキの嘴のように変形させる。
嘴は湾曲し、縄のようにたわむと、悟飯の首元へと向かった。
(首輪の爆破には耐えられまい)
どれだけの埒外の化け物であろうとも、乃亜により一度は捕縛され枷を嵌められている。
忌々しくもそれは無惨も例外ではない。
乃亜に逆らう者、全ての命を奪い去れる首輪という絶対の戒め。
無理に外そうものなら、即座に起爆する。
例え鬼の始祖を赤子扱いするような、宇宙最強の戦士であっても、その爆破には耐えきれない。
忌々しくもそれは無惨も例外ではない。
乃亜に逆らう者、全ての命を奪い去れる首輪という絶対の戒め。
無理に外そうものなら、即座に起爆する。
例え鬼の始祖を赤子扱いするような、宇宙最強の戦士であっても、その爆破には耐えきれない。
「……ふっ」
首輪に触れる寸前、悟飯の強靭な拳の中に嘴が掴まれていた。
掌の中で自身の血を滲まなせながら、ぎりっと手を軋ませ、万力のように締めつけて、無惨を釣り上げたように持ち上げる。
伸びた餅のように伸縮する体が、撓っては引き寄せられ、無惨は地面へ叩きつけられた。
掌の中で自身の血を滲まなせながら、ぎりっと手を軋ませ、万力のように締めつけて、無惨を釣り上げたように持ち上げる。
伸びた餅のように伸縮する体が、撓っては引き寄せられ、無惨は地面へ叩きつけられた。
「っ、ぐごッ……!!」
固い地面に叩きつけては持ち上げて、再び振り下ろす。
作業のように延々とその行為を繰り返し、アスファルトには罅が入り、それが徐々に広がりクレーターのようになっていく。
巨大な団扇を仰いで風を送り込むかのように、連続して叩きつけられる無惨。
全身の肉が潰れて、骨が突き出し、その骨もまた荒いアスファルトの表面と摩耗して擦り減って、砕けていく。
血が全身を染めて、肌色の箇所が見つからない程に真っ赤になって、悟飯はそれでもまだ手を緩めない。
作業のように延々とその行為を繰り返し、アスファルトには罅が入り、それが徐々に広がりクレーターのようになっていく。
巨大な団扇を仰いで風を送り込むかのように、連続して叩きつけられる無惨。
全身の肉が潰れて、骨が突き出し、その骨もまた荒いアスファルトの表面と摩耗して擦り減って、砕けていく。
血が全身を染めて、肌色の箇所が見つからない程に真っ赤になって、悟飯はそれでもまだ手を緩めない。
「お、ぉ……お、ッ……ぐ、が……ぁッ、ああああああああああああああああああッッッ!!!」
伸ばした嘴を自ら切断し、無惨は悟飯に振り回された勢いのまま後方へ吹き飛ぶ。
「貴様ァアアアアアアァアアアアアア!!!」
無惨は空中で姿勢を戻して、地面へと着地を決める。
棘を生やした腕を伸張させ、悟飯へと振り翳すがあっさりとキャッチされた。
棘を生やした腕を伸張させ、悟飯へと振り翳すがあっさりとキャッチされた。
悟飯は腕を握ったまま、無惨へ好戦的な視線を飛ばす。
「う、ッ……ぁ、ぐ……おおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ────!!!」
掴まれた腕を引き千切るように、無惨は俊國の体躯で乗せられるだけの体重を掛けて、体を前のめりに斜め下へ傾ける。
鋼鉄のような、悟飯の拳の中に握り込まれた腕の箇所はそのままに、無惨の腕はぶちぶちと音を立てて千切れていった。
鋼鉄のような、悟飯の拳の中に握り込まれた腕の箇所はそのままに、無惨の腕はぶちぶちと音を立てて千切れていった。
「なッ……!!?」
そして千切れた腕の切断面から、柄が西洋風の刀が顕われた。
無惨の腕の中に埋め込まれていた刀は、体内から押し上げられた肉に多段ロケットの要領で体外へと飛び出す。
悟飯もまさか取れた腕の内部から、武器が仕込まれていたとは想像できずに、驚嘆が判断と行動を僅かに鈍らせた。
無惨の腕の中に埋め込まれていた刀は、体内から押し上げられた肉に多段ロケットの要領で体外へと飛び出す。
悟飯もまさか取れた腕の内部から、武器が仕込まれていたとは想像できずに、驚嘆が判断と行動を僅かに鈍らせた。
(奴に過去さえ────挟めれば!!)
ブックオブジエンドの力は切りつけた対象に過去を挟む。
殺せなくとも良い。殺傷力など不要。
一度当てれば、あとは無惨にとって都合のいい過去改変を行い、この不毛で無意味な戦闘を打ち切って終わりにできる。
殺せなくとも良い。殺傷力など不要。
一度当てれば、あとは無惨にとって都合のいい過去改変を行い、この不毛で無意味な戦闘を打ち切って終わりにできる。
(奴の体は鋼のように硬いが、不意を突けば脆くなる。
一定の強度を維持するのに集中が必要らしい)
一定の強度を維持するのに集中が必要らしい)
首輪を狙った嘴の攻撃を受けた時、悟飯の手からは僅かに血が滴っていた。
本来ならば、そこで無惨の血を送り込めば、毒にできたのだが乃亜のハンデにより毒性が抹消されており、効果はなかったが、あの時確かに悟飯は血を流したのだ。
悟飯も無惨と同じくハンデによる弱体化で、気を緩めた箇所への不意打ちであれば、僅かだが傷を入れることは可能である。それを無惨は、自らの目ではっきりと見た。
本来ならば、そこで無惨の血を送り込めば、毒にできたのだが乃亜のハンデにより毒性が抹消されており、効果はなかったが、あの時確かに悟飯は血を流したのだ。
悟飯も無惨と同じくハンデによる弱体化で、気を緩めた箇所への不意打ちであれば、僅かだが傷を入れることは可能である。それを無惨は、自らの目ではっきりと見た。
(頼む……頼むから、斬られろ!! 今すぐにッ!!!)
悟飯の胸に、ブックオブジエンドの先端数mmが刺さる。
十分だった。十分すぎる戦果だ。
ほんの僅かでいい。虫に刺された程度に切れさえすれば、それでどうにかなるのだ。
十分だった。十分すぎる戦果だ。
ほんの僅かでいい。虫に刺された程度に切れさえすれば、それでどうにかなるのだ。
「波ァッッ!!!」
だが、切っ先は服を裂いて、悟飯の胸板に触れる寸前、膨大な衝撃に襲われ刀身が砕けた。
「ぐあ、ッ……ご……ぉッ……!!!」
悟飯が高めた気を体外に放出し、豪風のように彼を中心に荒れ狂う。
悟飯の意志により指向を得た疾風は、無惨1人へと叩き込まれる。
咄嗟にシルバースキンを纏いながらも、瞬時にスーツが罅割れ砕けていく。
さらに悟飯は両手を翳して、気功弾を繰り出して、集中砲火を行った。
悟飯の意志により指向を得た疾風は、無惨1人へと叩き込まれる。
咄嗟にシルバースキンを纏いながらも、瞬時にスーツが罅割れ砕けていく。
さらに悟飯は両手を翳して、気功弾を繰り出して、集中砲火を行った。
「がああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!」
シルバースキンが完全に解除され、生身の状態で全身が焼かれていく。
それでも、夜ランプだけは庇い死守して、日光の直撃を回避しているのだけは流石は鬼の始祖というべきか。
しかし、日光で死ぬか、悟飯に嬲り殺しにされるかの違いでしかなく。また、そのどちらもそう遠くない内に達成されてしまう予感が無惨にはあった。
それでも、夜ランプだけは庇い死守して、日光の直撃を回避しているのだけは流石は鬼の始祖というべきか。
しかし、日光で死ぬか、悟飯に嬲り殺しにされるかの違いでしかなく。また、そのどちらもそう遠くない内に達成されてしまう予感が無惨にはあった。
「ぐ、ぅ……く、ァ…………ァ、ぉ……」
体内の肉を操作して、皮が焼けて爛れた筋繊維が丸見えになった無惨の肉体が、膨らんでいく。
手段は最早一つ。
全身の細胞を肉片にして、この場からの迅速な離脱。
首回りの細胞は活動が制限されている。だから、それ以外の四肢を爆散させ、悟飯の目晦ましとする。
首から上の頭部と、鎖骨から下の胸部を残して、他全ての肉片を弾けば、乃亜の制限に触れる事無く肉体を分散させることが叶う。
まだ、シュライバーや魔神王などの猛者どもが跋扈するこの島で、肉体を一気に消耗することに不安は残るが、手近な子供を殺して肉を補充すれば問題はない。
ここに居残り、悟飯に殺されるよりはずっとマシだ。
手段は最早一つ。
全身の細胞を肉片にして、この場からの迅速な離脱。
首回りの細胞は活動が制限されている。だから、それ以外の四肢を爆散させ、悟飯の目晦ましとする。
首から上の頭部と、鎖骨から下の胸部を残して、他全ての肉片を弾けば、乃亜の制限に触れる事無く肉体を分散させることが叶う。
まだ、シュライバーや魔神王などの猛者どもが跋扈するこの島で、肉体を一気に消耗することに不安は残るが、手近な子供を殺して肉を補充すれば問題はない。
ここに居残り、悟飯に殺されるよりはずっとマシだ。
「逃がすか」
体が爆散するコンマ数秒前、無惨の額が掴まれる。
まさか、と思った。無惨は戦慄し視線を上方へ向けて、全身を打ち震わせる。
悟飯がいた。無惨を掴んで、気を込めている。
まさか、と思った。無惨は戦慄し視線を上方へ向けて、全身を打ち震わせる。
悟飯がいた。無惨を掴んで、気を込めている。
「────────ッッッ!!!!」
無惨の顔が下顎だけを残して、掌から放出された光線に喰い千切られた。
無惨にとっての不幸は、悟飯が気を操る技を持っていた事だろう。
肉片を飛ばすまでの間に、無惨の体内で気が無数に分裂し変動していた事に気付いた悟飯は、無惨の行動に予想がついた。
セルのような、核(コア)さえあれば、如何なる肉体の欠損からも回復する再生力を目の当たりにしていたのも、憶測を促進させる。
無惨の戦闘手段も鑑みて、肉体を細切れにして逃亡を図るという行動へ先手を打てた。
瞬時に距離を縮め、無惨の肉体操作が及ばない首輪付近の頭部へと攻撃を仕掛ける。
予想通り、首輪付近の部位にダメージを与えてやれば、分裂しかけた気の動きが停止した。
肉片を飛ばすまでの間に、無惨の体内で気が無数に分裂し変動していた事に気付いた悟飯は、無惨の行動に予想がついた。
セルのような、核(コア)さえあれば、如何なる肉体の欠損からも回復する再生力を目の当たりにしていたのも、憶測を促進させる。
無惨の戦闘手段も鑑みて、肉体を細切れにして逃亡を図るという行動へ先手を打てた。
瞬時に距離を縮め、無惨の肉体操作が及ばない首輪付近の頭部へと攻撃を仕掛ける。
予想通り、首輪付近の部位にダメージを与えてやれば、分裂しかけた気の動きが停止した。
(ど……どうすれ、ば……)
初めてだ。怒りではなく、純粋なまでに答えを欲していたのは。
もう誰でも良い。この答えを知りたい。
どうすれば、無惨はこの窮地から脱することができるのか。
あらゆる事柄に、自分一人で対処し続けた無惨にとっての、初めての限界であったともいえる。
もう誰でも良い。この答えを知りたい。
どうすれば、無惨はこの窮地から脱することができるのか。
あらゆる事柄に、自分一人で対処し続けた無惨にとっての、初めての限界であったともいえる。
「──────た、助けないと……」
龍亞の肉眼では、あの二人の戦闘を全て追いかけられず、気付けば無惨が一方的に嬲られているという認識にしかならなかった。
だが、自分達が置かれているのが窮地であるのは理解しており、また無惨が死ねば次は自分達の番だ。
カードを取り出し、デュエルディスクにセットしようとする。
だが、自分達が置かれているのが窮地であるのは理解しており、また無惨が死ねば次は自分達の番だ。
カードを取り出し、デュエルディスクにセットしようとする。
「駄目!」
その腕をしおに抱き付かれる形で妨害される。
「何やってんだよ! 無惨を助けないと、次はオレ達が……」
「あの人がやられているから、あの男の子は私達を無視しているんだよ? もし龍亞君が攻撃してやり返しにきたら、私達じゃどうにもならないよ!
あの人だから、まだあの程度で済んでるって分からないの!!?」
「あの人がやられているから、あの男の子は私達を無視しているんだよ? もし龍亞君が攻撃してやり返しにきたら、私達じゃどうにもならないよ!
あの人だから、まだあの程度で済んでるって分からないの!!?」
しおの言葉に、龍亞もはっとして手を止めた。
悟飯は無惨を叩きのめすのに夢中になっている。その理由までは推し量れないが、自分達に気付きながら無視しているのだ。
もしも、それを邪魔するようなことをすれば、真っ先に龍亞達を襲うだろう。
そして為す術もなく殺される。
もしも、それを邪魔するようなことをすれば、真っ先に龍亞達を襲うだろう。
そして為す術もなく殺される。
「龍亞君……あの人、置いて逃げちゃお?」
しおの判断は非常ではあったが、これ以上なく合理的な判断だった。
龍亞から見てもしおは無惨に対して全く思い入れがないのは分かる。
それで肝心の戦闘で役に立たないのなら、せめて時間を稼いでいる間に逃げるというのは、むしろ当然の考えだ。
龍亞も無惨を見捨てることを、一瞬でも考えなかったと問われれば嘘になる。
龍亞から見てもしおは無惨に対して全く思い入れがないのは分かる。
それで肝心の戦闘で役に立たないのなら、せめて時間を稼いでいる間に逃げるというのは、むしろ当然の考えだ。
龍亞も無惨を見捨てることを、一瞬でも考えなかったと問われれば嘘になる。
「私達が一緒に戦っても、あの男の子には勝てないよ。
あの服装……きっと、悟空お爺ちゃんの子供の悟飯君だから……すごく強いと思う。
私達は早くネモさん達にそれを知らせようよ。悟空お爺ちゃんなら、やっつけてくれるから」
あの服装……きっと、悟空お爺ちゃんの子供の悟飯君だから……すごく強いと思う。
私達は早くネモさん達にそれを知らせようよ。悟空お爺ちゃんなら、やっつけてくれるから」
パワーツール、スターダスト……主戦力のカードは二枚残っている。
しおを連れてここから離脱する上での戦力は十分でもないが、不足もしていない。
無惨を犠牲にして逃げたとして、自分達を責める者も多分いないだろう。
ネモやあのメリュジーヌだって悟飯という男の子に勝てるビジョンが浮かばない。
龍亞としおが残ったところで、死体が二つ増えるだけだ。
しおを連れてここから離脱する上での戦力は十分でもないが、不足もしていない。
無惨を犠牲にして逃げたとして、自分達を責める者も多分いないだろう。
ネモやあのメリュジーヌだって悟飯という男の子に勝てるビジョンが浮かばない。
龍亞としおが残ったところで、死体が二つ増えるだけだ。
「……いや、駄目だ。無惨は助ける」
しおは、龍亞を見つめながら、そのあとでゴミを見るような目で無惨へと一瞥をくれた。
「どうするの? 龍亞君が喧嘩で悟飯君を倒すの?」
奇麗事ならいくらでも言えるが、現実的な課題として悟飯を退ける手段がないのだ。
しおの声は、彼女にしては低いドスの効いた声になっていた。
しおの声は、彼女にしては低いドスの効いた声になっていた。
「オレ達が逃げても、あの悟飯って子は追いかけてくるよ。
まだ、壁になってくれる無惨がいた方が、安全なくらいだ」
まだ、壁になってくれる無惨がいた方が、安全なくらいだ」
逃げたとして、既に龍亞達を認識した悟飯がそのまま放置する方が違和感がある。
無惨を殺してから、すぐに追い付ける自信があるかもしれない。
メリュジーヌのように空を飛べるのなら、上空から探索されたら一たまりもないだろう。
だから、まだ戦力が充実した今の内に手を打つべきだ。
無惨を殺してから、すぐに追い付ける自信があるかもしれない。
メリュジーヌのように空を飛べるのなら、上空から探索されたら一たまりもないだろう。
だから、まだ戦力が充実した今の内に手を打つべきだ。
「たしか……あれが使えれば」
ランドセルを下ろして、龍亞が珍妙な機械を一個取り出した。
「なにそれ」
「ぴょんぴょんワープくんDX……て、言うんだけど……ワープって意味わかるかな?」
「……分かるよ。いくつだと思ってるの?」
低学年だからって、大分馬鹿にされているのかなと、僅かに不機嫌な声でしおは返事をする。
龍亞も少し気まずくなりながら、機械をがちゃがちゃと弄り出す。
名前の通りワープできるアイテムであれば、この場からの安全な離脱には役立つ。
龍亞も少し気まずくなりながら、機械をがちゃがちゃと弄り出す。
名前の通りワープできるアイテムであれば、この場からの安全な離脱には役立つ。
「動くの?」
「い……いや、その……」
「い……いや、その……」
だが、もしもそうであるならば、何故ここまで龍亞がこれを使おうとしなかったのか。
すぐに悟飯と遭遇する前に、ネモや最低でも悟空がいる筈のカルデアまでワープすればいいものを。
すぐに悟飯と遭遇する前に、ネモや最低でも悟空がいる筈のカルデアまでワープすればいいものを。
「ちょ、調子が悪いみたいで……」
元々、それはシカマルの支給品だった。
沙都子とメリュジーヌからの退避に使用する予定であったものでもあり、
影真似の術でメリュジーヌを封じて、その間に梨沙に起動を指示する策だったのだが、
メリュジーヌの想定以上の力量に動きを封じるので手一杯になり、指示が出せず、
なおかつ「無垢なる湖光」の発動で、ランドセル内にしまっていたというのに当たり所が悪かったのか、故障してしまっていた。
沙都子とメリュジーヌからの退避に使用する予定であったものでもあり、
影真似の術でメリュジーヌを封じて、その間に梨沙に起動を指示する策だったのだが、
メリュジーヌの想定以上の力量に動きを封じるので手一杯になり、指示が出せず、
なおかつ「無垢なる湖光」の発動で、ランドセル内にしまっていたというのに当たり所が悪かったのか、故障してしまっていた。
「くそっ……動けって、おい!」
龍亞はパンパンと機械を叩く。
機械のランプは点灯するので、完全な故障ではないようだが、内部の接触が悪くなっているようだ。
機械のランプは点灯するので、完全な故障ではないようだが、内部の接触が悪くなっているようだ。
「叩いても意味ないよ……龍亞君、私より未来の世界の人なんでしょ? 機械に詳しいよね」
さとうと一緒に何気なく見ていたテレビの洋画でムキムキのおっさんが、飛行機を罵倒して飛ばしていた場面を想起させた。
もちろん、あんなものはフィクションだ。そう簡単に壊れた機械が治るわけがない。
もちろん、あんなものはフィクションだ。そう簡単に壊れた機械が治るわけがない。
「そ……そうだけど……」
幾分、しおよりは機械の扱いに長けているが、ネオドミノシティの一般人が扱える家電の域は超えていない。
遊星のようなメカニックではない龍亞には、やはり即興で機械を修理するような芸当は難しい。
遊星のようなメカニックではない龍亞には、やはり即興で機械を修理するような芸当は難しい。
「それ、ネモさんは直せなかったの?」
しおに具体的な策は明かさなかったが、首輪の解析には自信がある様子だったのは分かる。
機械にも人一倍明るく、修理ぐらいならできそうだった。
機械にも人一倍明るく、修理ぐらいならできそうだった。
「なんか、ネモも見たことがない技術で、ダヴィンチとかいう人がいればどうにかなりそうだって言ってたけど……」
「あの人の剣なら……」
「え?」
「もしかしたら、だけど……龍亞君────」
「あの人の剣なら……」
「え?」
「もしかしたら、だけど……龍亞君────」
しおは声を潜めて、龍亞へ耳打ちした。
「飛翔せよ!! スターダスト・ドラゴン!!!」
デュエルディスクにセットされたカードが光を帯び、星屑の龍が実体を持ち現出する。
「なんだ?」
無惨を甚振っていた悟飯も、凄まじい光量を放ちながら大空へと舞い上がるドラゴンの姿に意識を向けた。
それを召喚した龍亞と横にいるしおを、初めて敵として意識する。
無惨に比べ、戦闘力は皆無である為に後回しにしても構わないと考えていたが、特殊な力を持つのなら容赦はしない。
それを召喚した龍亞と横にいるしおを、初めて敵として意識する。
無惨に比べ、戦闘力は皆無である為に後回しにしても構わないと考えていたが、特殊な力を持つのなら容赦はしない。
「シューティング・ソニック!!」
ドラゴンの口腔から光が集約し、ブレスとなって放流される。
青く煌びやかな光芒は濃縮された高密度のエネルギー。
悟飯は両腕を交差して、眼前に翳し気を練り上げて防御力を上げていく。
体に圧し掛かる重圧を感じながら、悟飯はさらに気を上げて肉体を補強。
青く煌びやかな光芒は濃縮された高密度のエネルギー。
悟飯は両腕を交差して、眼前に翳し気を練り上げて防御力を上げていく。
体に圧し掛かる重圧を感じながら、悟飯はさらに気を上げて肉体を補強。
「無惨さん!! これ直して!!!」
龍の咆哮と息吹の衝撃音に掻き消されそうなほどのしおの叫びを、鬼の聴覚は鋭敏に聞き取った。
無惨は、ぐじゅぐじゅと蠢いて再生を続ける皮も被っていない、赤黒い肉の表面を剥き出しにしたまま駆け出す。
無惨は、ぐじゅぐじゅと蠢いて再生を続ける皮も被っていない、赤黒い肉の表面を剥き出しにしたまま駆け出す。
(あの剣……私の前で、実験していた時に……)
まだ龍亞と合流する以前、無惨はブックオブジエンドの使い勝手を試していた。
それは砕いた石に切りつけて、砕ける前の石へと修繕するというもの。
石を砕かなかった過去を挟んで、砕けた現在の結果を改変したのだ。
しおはその理屈までは知り得なかったが、実質壊れたものを直せる力であることまでは分かった。
だから、この機械もあるいは……。
それは砕いた石に切りつけて、砕ける前の石へと修繕するというもの。
石を砕かなかった過去を挟んで、砕けた現在の結果を改変したのだ。
しおはその理屈までは知り得なかったが、実質壊れたものを直せる力であることまでは分かった。
だから、この機械もあるいは……。
「何をする気だ!!!」
ブレスを耐えきり、悟飯は無惨の後を追って走る。
無惨の速さもまさしく疾風のように素早いが、悟飯は稲妻のような豪速。
二者の距離は瞬時に縮まっていく。
無惨の速さもまさしく疾風のように素早いが、悟飯は稲妻のような豪速。
二者の距離は瞬時に縮まっていく。
「この……この、私に……近寄るなあああああああああああああ!!!!」
筋骨隆々な悟飯の腕が振り翳された時、無惨は雄叫びをあげた。
その瞬間、悟飯は浮遊感に襲われる。足元から何かに押し上げられて浮かんでいるかのように。
その瞬間、悟飯は浮遊感に襲われる。足元から何かに押し上げられて浮かんでいるかのように。
「ぐ、ッ……!!」
無惨の足がアスファルトを砕いてり込み、樹木のように地に根を張っていたのだ。
それらが悟飯の足元から飛び出し、ギザギザの牙だらけの口腔を開いて衝撃波を繰り出す。
悟飯にダメージはない。ただ凄まじい衝撃に気を取られ、空中へ打ち上げられただけだ。
けれども、その数秒のタイムロスさえあれば、無惨が龍亞としおの元へ辿り着くには十分な時間である。
それらが悟飯の足元から飛び出し、ギザギザの牙だらけの口腔を開いて衝撃波を繰り出す。
悟飯にダメージはない。ただ凄まじい衝撃に気を取られ、空中へ打ち上げられただけだ。
けれども、その数秒のタイムロスさえあれば、無惨が龍亞としおの元へ辿り着くには十分な時間である。
「これで……なんの意味もなければ、殺してやるぞォ!!!」
「……!!?」
一切、取り繕わない純粋な殺意の咆哮を受けて、龍亞としおはたじろぐ。
無惨の刀身の折れた剣が、ぴょんぴょんワープくんDXに突き刺さった。
もしも、これで何の動作もなければ、悟飯が無惨を殺す前に、自分達が先に無惨に肉片へと変えられてしまうだろうと予感する。
時間にして一秒も待たずして、ぴょんぴょんワープくんDXから機械の起動音が鳴る。
パソコンを立ち上げたようなその音を聞き、龍亞としおの表情は明るくなり、また無惨の殺意が薄れた。
無惨の刀身の折れた剣が、ぴょんぴょんワープくんDXに突き刺さった。
もしも、これで何の動作もなければ、悟飯が無惨を殺す前に、自分達が先に無惨に肉片へと変えられてしまうだろうと予感する。
時間にして一秒も待たずして、ぴょんぴょんワープくんDXから機械の起動音が鳴る。
パソコンを立ち上げたようなその音を聞き、龍亞としおの表情は明るくなり、また無惨の殺意が薄れた。
「貴様ら動くな────ここから転移を……」
一分前まで、龍亞としおの安否など眼中になかった無惨が、それらを考慮して指示を飛ばすまでに余裕が戻っている。
メリュジーヌとシカマル達の交戦に無惨も立ち合い、ぴょんぴょんワープくんDXが壊れなかったという過去を挟み、
ついでに機械の操作方法を覚えたという過去改変も行い、無惨は手慣れた鮮やかな手つきで操作を開始する。
メリュジーヌとシカマル達の交戦に無惨も立ち合い、ぴょんぴょんワープくんDXが壊れなかったという過去を挟み、
ついでに機械の操作方法を覚えたという過去改変も行い、無惨は手慣れた鮮やかな手つきで操作を開始する。
「はあああああああああああああああ!!!」
だが、隕石のように上空から滑空してくる悟飯の咆哮に、再び全員の表情が緊張で強張った。
倒せたとは無惨も思わなかったが、上空での滞空時間ならば身動きも取れないだろうと予想していた。
しかし悟飯は飛べる。気をホバーリングの要領で噴射し、一気に空から大地へと帰還する。
凄まじい速度で衝撃波を巻き起こし、轟音を奏で、周囲一帯を焦土にできる破壊力を伴うおまけつきで。
倒せたとは無惨も思わなかったが、上空での滞空時間ならば身動きも取れないだろうと予想していた。
しかし悟飯は飛べる。気をホバーリングの要領で噴射し、一気に空から大地へと帰還する。
凄まじい速度で衝撃波を巻き起こし、轟音を奏で、周囲一帯を焦土にできる破壊力を伴うおまけつきで。
「くず鉄のかかし!!」
悟飯の前方に、ゴーグルを掛けた鉄製のミリタリーなデザインをした案山子が突如として出現する。
それと激突し、全ての余波とそこから発生した破壊力が、消失する。
背後の無惨達は風で吹かれたように髪や服を揺らしてはいるが、直接その身が傷付けられる事はない。
それと激突し、全ての余波とそこから発生した破壊力が、消失する。
背後の無惨達は風で吹かれたように髪や服を揺らしてはいるが、直接その身が傷付けられる事はない。
「あいつらが使っていた、変なカードか!?」
モクバが使用する妙な剣士もカードから出現していたが、この案山子も同じ存在だ。
戦闘力をいくら引き上げたところで、絶対に破壊されない。
戦闘力をいくら引き上げたところで、絶対に破壊されない。
「……だが、それがなんだ」
悟飯は案山子の奥にいる龍亞を睨み付けて、凶悪そうな笑みを浮かべる。
確かに戦闘で破壊されない力は厄介だが、それが永続でないことも明白。
悟飯の攻撃が収束するとともに、案山子から感じられるエネルギーも徐々に薄まっていく。
恐らくは、一度だけあらゆる攻撃から身を守ってくれる力であり、二度目の発動はインターバルが必要。
イリヤ達を回復するのに、カードを使った経験もあり、悟飯の推測は的確だった。
確かに戦闘で破壊されない力は厄介だが、それが永続でないことも明白。
悟飯の攻撃が収束するとともに、案山子から感じられるエネルギーも徐々に薄まっていく。
恐らくは、一度だけあらゆる攻撃から身を守ってくれる力であり、二度目の発動はインターバルが必要。
イリヤ達を回復するのに、カードを使った経験もあり、悟飯の推測は的確だった。
「次で────ッ」
案山子の力が弱まると同時に、悟飯は僅かに身を引く。
腰を落として上体を前屈みにしてから、両腕を脇に添えて外側へ向ける。
気を高め、これ以上無駄な抵抗を許さず、一撃で全員を消し飛ばそうとする算段だった。
腰を落として上体を前屈みにしてから、両腕を脇に添えて外側へ向ける。
気を高め、これ以上無駄な抵抗を許さず、一撃で全員を消し飛ばそうとする算段だった。
「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
上弦の鬼すら震えあがらせそうな、憤懣を無惨は爆発させる。
龍亞としおは肩をすぼめ、驚嘆する。
龍亞としおは肩をすぼめ、驚嘆する。
(この機械……据え置きだと……乃亜、貴様ァッッ!!!)
無惨が、ブックオブジエンドにより得た情報から分かったのは、このぴょんぴょんワープくんDXそのものはこの場に留まるということだった。
(奴に、すぐ追い付かれてしまうではないか!!!)
仮にこれを使用し、逃走してもその場に残った機械を利用されて、すぐに追跡されてしまう。
ちなみに、説明書には一切これらのことは記載されていない。乃亜の悪意ある支給品の一つと言えよう。
しかも下手に逃走に使えば、既に行先を指定しているのだから、再び再起動すれば簡単に移動できてしまう。
その使い方も、目の前で操作している無惨を見れば、悟飯でも簡単に分かる。
この機械はそれらの欠陥から、マーダーの襲撃から逃げ延びられるだけの性質を持っておらず、乃亜はそれを敢えて周知していない。
当たりの支給品に見せかけた、大外れの機械なのだ。
ちなみに、説明書には一切これらのことは記載されていない。乃亜の悪意ある支給品の一つと言えよう。
しかも下手に逃走に使えば、既に行先を指定しているのだから、再び再起動すれば簡単に移動できてしまう。
その使い方も、目の前で操作している無惨を見れば、悟飯でも簡単に分かる。
この機械はそれらの欠陥から、マーダーの襲撃から逃げ延びられるだけの性質を持っておらず、乃亜はそれを敢えて周知していない。
当たりの支給品に見せかけた、大外れの機械なのだ。
(ララ・サタリン・デビルーク!! なぜロクな物を作らないのかッ!!
乃亜といい、貴様らは私に何の恨みがある!!)
乃亜といい、貴様らは私に何の恨みがある!!)
ぴょんぴょんワープくんDXの過去を遡った際に、邂逅した開発者のララという少女にも苛立ちをぶつける。
ブックオブジエンドの副作用により、まるでその場で立ち合ったかのような過去改変、常人であれば精神を病むかもしれない症状だった。
ブックオブジエンドの副作用により、まるでその場で立ち合ったかのような過去改変、常人であれば精神を病むかもしれない症状だった。
(くだらぬ技術で、どこまでも私を陥れてくれるッ!!)
もっとも、自己以外の全てに関心が薄く、昆虫のような生物である無惨には些細なこと。
むしろ、ララという少女のトラブル体質に腹正しさを覚えるほどだ。
むしろ、ララという少女のトラブル体質に腹正しさを覚えるほどだ。
「何やってんだよ、早く……」
龍亞からすれば、機械の操作を中断して叫ぶ無惨に、困惑するほかない。
「黙れぇ!!!」
「え、ぇ……?」
「え、ぇ……?」
怒鳴られ委縮しながら、前方を見れば悟飯が力を溜め切ったのか、掌をこちらへ向けている。
青の光が、龍亞達を照らす。くず鉄のかかしの再発動には、一時間待たなくてはならない。
青の光が、龍亞達を照らす。くず鉄のかかしの再発動には、一時間待たなくてはならない。
(あの光線を食らえば、機械ごと私達が消し飛ばされる────)
一刻の猶予もない。
無惨の脳が、恐るべき速さで思考する。
この局面を巻き返す策を。
無惨の脳が、恐るべき速さで思考する。
この局面を巻き返す策を。
「く、ぅ……ァ、おおおおおあああああああああああああああああああああ!!!」
そして、無惨の背から伸びた鉄線が悟飯に絡みついた。
攻撃を放たれる前に、妨害をするつもりか。そう考えて絡みついた手足の筋肉に力を入れる。
引き千切ろうとした寸前、不意に絡んだそれは前方へ、悟飯は無惨へと吸い寄せられていく事に気付く。
攻撃を放たれる前に、妨害をするつもりか。そう考えて絡みついた手足の筋肉に力を入れる。
引き千切ろうとした寸前、不意に絡んだそれは前方へ、悟飯は無惨へと吸い寄せられていく事に気付く。
「ッ?」
絡んだ鉄線は、わざわざ、悟飯を自らの懐へ引き寄せようとしているのだ。
接近すれば、容赦のない悟飯の打撃を連続で食らう羽目になるというのに。
あの機械に、自分を乗せようとしているのか? そこに狙いがあるのかもしれない。
困惑し逡巡してから、結論を出すのに一秒。
接近すれば、容赦のない悟飯の打撃を連続で食らう羽目になるというのに。
あの機械に、自分を乗せようとしているのか? そこに狙いがあるのかもしれない。
困惑し逡巡してから、結論を出すのに一秒。
「なに、ッ!!」
振り下ろされた無惨の伸張した両腕に無数の口が形成され、それらが大きく吸息していた。
僅かでも動揺していた悟飯が、引き込まれるだけの引力が発生する。
そのまま、悟飯もぴょんぴょんワープくんDXの内部へと連れ込まれる。
同時に無惨は、胸から生やした触手で機械の操作を続行。
僅かでも動揺していた悟飯が、引き込まれるだけの引力が発生する。
そのまま、悟飯もぴょんぴょんワープくんDXの内部へと連れ込まれる。
同時に無惨は、胸から生やした触手で機械の操作を続行。
「無惨、何を……」
龍亞の前方、手を伸ばせば届く距離に悟飯が接近していた。
二者の視線が交錯し、両者ともに驚きの色に染まっている。
二者の視線が交錯し、両者ともに驚きの色に染まっている。
どうして、自分を引き込んだ?
どうして、あの男の子を近づけたの?
どうして、あの男の子を近づけたの?
両者の疑問は方角こそ違えど、同様のものであり理解が追い付かない。
次の瞬間、ぴょんぴょんワープくんDXが起動する。
次の瞬間、ぴょんぴょんワープくんDXが起動する。
それは丁度、引き寄せられた悟飯のいる場所まで効果が適用され、四人はその場から姿を消した。
「なんとかしろ────────」
再び彼らが姿を現したのは、数秒後、海馬コーポレーションから遠く離れた北西の方角。
「貴様の息子の不始末は、貴様がつけろォォォォ!!!!!」
そして、目の前にある近未来的な施設に向かって、無惨は大声で叫ぶ。
無惨の前に広がる施設の名は、人理継続保障機関フィニス・カルデア。
モチノキデパートで、ネモの行先と聞かされた場所であり、またネモの仲間である孫悟空との待ち合わせ場所であると聞いた施設である。
モチノキデパートで、ネモの行先と聞かされた場所であり、またネモの仲間である孫悟空との待ち合わせ場所であると聞いた施設である。
無惨の狙いは一つ。
化け物を超えた悪魔のようなあの怪物を殺すために、悟飯ごとぴょんぴょんワープDXを使い場所を移動したのだ
あれを打破しうる唯一の可能性に賭けて。
化け物を超えた悪魔のようなあの怪物を殺すために、悟飯ごとぴょんぴょんワープDXを使い場所を移動したのだ
あれを打破しうる唯一の可能性に賭けて。
「なんとかしろォ!!! 孫悟空ぅぅぅぅッッ!!!!!」
無惨の叫びが、木霊した。
【ぴょんぴょんワープくんDX@To LOVEる -とらぶる- ダークネス】
奈良シカマルに支給。
元祖、ぴょんぴょんワープくんと違って服も一緒に転送できるのだが、この機械本体が置いてけぼりにされるので、帰りは自力でどうにかするしかない。
一方通行の転移しかできない欠点があるのだが、乃亜は説明書に記載していない。
原作では、地名と星の名前を間違え沖縄に行こうとしたララ達を、地球から離れた惑星にワープさせたポンコツだが、そこは乃亜によって修正されている。
ロワ会場内なら、何処にでも転移できる。また、二回使用すると12時間使用不可。
奈良シカマルに支給。
元祖、ぴょんぴょんワープくんと違って服も一緒に転送できるのだが、この機械本体が置いてけぼりにされるので、帰りは自力でどうにかするしかない。
一方通行の転移しかできない欠点があるのだが、乃亜は説明書に記載していない。
原作では、地名と星の名前を間違え沖縄に行こうとしたララ達を、地球から離れた惑星にワープさせたポンコツだが、そこは乃亜によって修正されている。
ロワ会場内なら、何処にでも転移できる。また、二回使用すると12時間使用不可。