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犯人はフジキ

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藤木はほくそ笑んでいた。
とにかく、自分を確実に毛嫌いし蔑むような目で見ていた一姫から離れられて清々したのだ。
怪我だらけとはいえ、日番谷を優先して助けようと切り出した一姫の冷たい目線は忘れることができない。
明らかに見下されていると感じた。それでいて、命の勘定から完全に外すような……道端の石ころを見ているような無感情な瞳。
ガッシュやさくらのような利用しやすい手駒が消えたのは残念だが、また別の手駒を探せばよいのだ。
少なくとも、コナンは微妙に藤木が答え辛い質問を飛ばしては来るが、一姫のような目をしてはいない。
それに、コナンに着いてきたピカチュウと日番谷もそれなりに強い筈。

(……大丈夫さ、いざって時は謝れば許してくれる)

一姫は、場合によって非情になる。
藤木の拙い審美眼でも、あれは敵にしたら非道になるタイプだと警戒させた。
ネモやフランですら、比べ物にならない冷血漢なのが一姫だ。
だが、コナンはきっと違うだろう。
本当に追い込まれても謝れば、多分許してくれる。
それに、どうやって自分がシカマル殺人犯だと証明するのだ。
電撃で殺したんだから証拠がないと、藤木は強く確信する。
問題ない。ノープロブレムだ。
今までのやり方が自分に向いていないだけで、藤木はきっと自分が頭脳派だと思い込む。

「…………この辺でいいか。
 藤木、少し話したいことがある」

先を走るコナンが止まった。
この瞬間、藤木は「あっ、ヤバい」と思った。
なまじ今まで、修羅場を無駄に潜り抜けた影響で、藤木もそれなりに経験値を養っている。
その場の流れる空気と相手の雰囲気で、どんな考えを持って次に何をしてこようとしてくるか。
精密ではないが、おおよそ乱雑だが直感的に。
これは、自分の正体が看過されたのではないかと予感した。
藤木の行動は素早かった。
藤木は雷を掌に溜めて、日番谷の背中に放電した。
コナンや自分に肩を貸すミラーは後回しで良い。
先に日番谷さえ消せば、コナンに為す術はないはずだ。
あのよくわからない鼠だって、頭が悪そうだ。藤木が負けるわけがない。
先程、万が一があれば謝れば良いと高を括っていたのも忘れ、いや謝る勇気すらなかったのだろう。
ただ、殺意だけが千年ロッドに後押しされる。殺人という行為に対してのみタガが外れてしまう。
殺害よりも謝罪の方が、明らかにリスクが低いのだと少し考えれば分かるものを。
呪物によって壊された精神と道徳観により、気付けなくされていた。

「……え」

完璧なタイミングだと思った。
今まで何度か電撃を放出してきたが、あんなに隙だらけの背中はきっとないと。
だけど、電撃は虚空を過ぎ去って消失する。
避けられたのだ。

「くっ……!!」

肩を貸していたミラーの手を引いて、人質にしようとする。

「やめて!」

「な、ん……えっ……?」

だが、呆気なく腕力で敗北し振り解かれる。
僕は……女の子に力で負けたのか?
仕方ない。仮にも自分は重傷だ。万全なら、流石に負けなかった筈。
情けなさの言い訳を脳裏に展開して、藤木は反射的に電撃を飛ばした。
ミラーでも、コナンでも。誰にでも良いから当たれば、日番谷の隙になるかもしれないから。
だが、ミラーの手の中にあった鏡に電撃が吸い込まれる。
次の瞬間、雷光が藤木へと軌道そのままに跳ね返った。

「な、な……ど……う……」

自分が放った電撃だから、無傷で済んだのか。特に痛みはなくダメージはない。
でも、これは……一体。
藤木は動揺し、それっきり停止した。
事象を観察し結論を出しながら、自身の身を相手の攻撃の射線上から反らし、今後の出方を練るというマルチタスクを行えるメンタルも頭脳も体術も藤木は備えていない。

「ピッカァ!!」

馬鹿で知性がないと侮っていたピカチュウが肉薄していた。

「ぐ、ッ……ご……おっ!!?」

隙だらけの鳩尾に、ピカチュウのアイアンテールが減り込む。
内側の内臓全部がシェイクされたように、藤木は口から胃液と内臓物を吐き出した。
跪いて、両手を地べたに置いて、項垂れる。


『フフフフ……やっとみつけたぁ…!』

『も、もう一人は逃げちゃったのかい?見捨てられちゃったんだろ?』

『ネモがお前の事を信用しなかったのはお前がイケてねー奴だからじゃねぇ……
テメーの薄汚い性根のせいだよ。恩を仇で返して、弱い奴を真っ先に狙う。
そんなクズ野郎をどうやって信用しろってんだ。よく被害者面できたもんだな、あぁ?』

『仮にそうだとしても、ここまで一貫してマーダーやってるテメーが言えた義理かよ。
第一、テメーが永沢って奴を生き返らせようとしてるとは俺には思えないね』

『い、言いたい事はそれだけかい…?そういうの、負け犬の遠吠えって言うんだよ?
ぼ、僕がクズだとしても……その僕に殺される君はそれ以下のゴミって事だね!!』


目上の人に黙っていた事が全部バレた時のような、血の気が引く感触。


「……ほぼ、推理の必要すらねえ。完璧なダイイングメッセージだ。
 シカマルって奴は大した奴だよ」

コナンがランドセルから取り出したAED、それに録音された内容は。

「藤木茂、お前が奈良シカマルを殺した犯人だ。
 凶器はさっきの電撃、これなら人体を焼き殺すのも不可能じゃない」

藤木がシカマルを襲おうとし抵抗に合い、重傷を負わされたのだと示していた。



□□□□



『ぼ、僕がクズだとしても……その僕に殺される君はそれ以下のゴミって事だね!!』

藤木茂は殺し合いに乗ったマーダーである。
コナンと、ピカチュウが憶測を確固たる真実へと変容させた瞬間だった。

「ぴ……ピカっ……?」

「ああ、間違いねえな」

学校に到着後。
コナンは駆け出した。
藤木がネモに襲われたのならその現場があり、捜査することで藤木かマーダーか否かの証拠を見つけられると考えたからだ。
だが、そのまま調べに行けば藤木に不審がられる。
自分が疑われていると気付いた藤木が、どんな凶行に出るか想像もつかず危険だ。
美山写影と櫻井桃華は支給品の力を借りて、特異な力を得たという。
藤木も同様の可能性はある。そして、もしマーダーであり重体のまま一人で戦うのが難しいと悟り、対主催を利用する気ならその力を隠す筈。

(俺達が疑っているとバレたら、どんな能力で襲って来るか分かったもんじゃねえ)

江戸川コナンになってから身に着けた無邪気な子供のフリで油断を誘う。
現状、誰も死傷者を出さずに事を進めるには、それが適当であった。
一姫も察したようで、わざとらしく注意喚起をしてくれたのがリアリティが増す。
しっかりとこっちの演技に合わせ、ただの小学1年生に接するような口調になってくれたのも助かった。
少なくとも、藤木は一姫を警戒しているが、コナンの事はほぼノーマークだ。

(元々、俺と一姫が別行動を取る場合、ピカチュウは俺に付いてくるように決めててよかったぜ)

不自然のない形で、ピカチュウを連れてこられた。
荒事担当になるピカチュウとだけでも、こうして真相を共有できたのも幸先が良い。
一姫と予め様々なパターンを打ち合わせた甲斐があった。

「しかし……雷か」

背中に広がる痛ましい火傷。
炎で炙られたようなものでもない。

雷化の術。

シカマルが録音の中で頻りに繰り返していたワードである。
その名の通りの受け取り方をすれば、自身を雷に変える超能力ということだろう。
もし、その通りならシカマルの死に方も納得いく。
電撃であれば、このような火傷を負うだろう。
シカマルも能力の詳細を、この録音の聞き手に伝えようと敢えて語っていたに違いない。

「お手柄だ、ピカチュウ」

死体を検分している間に、この隠されたAEDを発見しコナンを小突いたのは他ならぬピカチュウだった。
ジャンボという犬に乗って事件を捜査したことも過去にはあったが、こんな不思議な生き物と殺人現場を調べてる事になるとは。
半日前のコナンに聞かせても、鼻で笑って相手にしなかったかもしれない。
もっとも、阿笠博士が動物の翻訳機を作ったと言われれば、怪訝にしながらも信じかねないが。
心の中で苦笑しながら、コナンは考えを切り替える。

「……こっちの常識(セオリー)が通じない事件だ。
 元の世界でやらかされたら、冗談抜きで迷宮入りだったかもな」

コナンもこの殺し合いが開幕した当初に立ち会ったのなら、シカマルの録音があっても雷になる力を信じ切れずに判断を誤まっていた。
ようやく、この島には探偵が基とする定石が通じないのだと、認識を改めたこのタイミングで藤木と出会えたことは不幸中の幸いであったともいえる。
普段なら、ピカチュウを助手に捜査する事すら、コナンには受け入れ難かった。

(どうする……この録音が決定的な証拠になる。
 藤木をシカマル殺害犯として、みんなを納得させるのは難しくない)

コナンが解決した事件の中ではもっとも簡単な、探偵要らずの事件だ。
チャランポランな迷推理を吹かす毛利小五郎でも、余程の事がなければミスは有り得ない。

(奴を倒すのも、難しくない。
 シカマルの能力が通じたんだ。
 特殊な攻撃を当てれば……ガッシュの電撃や、さくらの魔法なら奴には通用するはずだ)

敵としての脅威を正しく対処し、侮らなければガッシュ達が敗北することはない。

(…………藤木を、どう見張るかだ)

当然ながら、この島に法律はなく、犯罪者を収容する刑務所もない。
悪事を暴いた後、その場の当事者たちにその処遇を決めさせる事になる。
法の届かぬ、しかも殺し合いを強制された閉鎖空間で殺人に手を染めた相手を殺さず、収める事は難しい。
よしんば殺さなかったとして、今度はそれを放逐する訳にも行かず。
動けないように拘束し、何処かへ放置しても禁止エリアの指定で死なせてしまう恐れもある。
また、藤木を抱えていつ裏切るかもしれない相手に背中を見せ続けるのも危険が多い。

(方法を考えねえとな……)

AEDをランドセル内に仕舞う。
これを、全員の前で再生して藤木がマーダーと証明するのは簡単だが、その場合追い詰められた藤木が強硬手段に出る場合もある。
ピカチュウしか実情を把握していない現状で、不用意に真相を暴き出すのは危険だ。
藤木の能力は徹底して対策を練り、コナン達の安全と藤木自身も死なせないように慎重に事を運ぶ必要がある。
今はまだ使う時じゃない。

(……さくらのカードなら)

確か、ミラーというカードがあったのを聞いていた。
能力は自分にそっくりに化けさせて自立行動させるのと、飛び道具を反射するカウンター。
藤木の雷も飛ばすのであれば、それはミラーのカウンターに引っ掛かるのではないか。
実質分身を一人増やす能力にコナンは着目する。
藤木の目の前でも、さくらに見張りの為に使ってくれと言われれば。
こちらが雷対策にミラーを出したなどと気付かない筈だ。
先ずは一旦、ミラーを召喚させておく。
あとはタイミングを計り、そのミラーや他の全員にも藤木がマーダーであるという情報を周知させる。
一姫に藤木の件を伝えられれば、それはそう難しい仕事じゃない。

(リヒテンベルク図形……火傷、溶けた衣服。
 死体にある情報だけで、一姫(あいつ)なら、すぐにこれが雷だと予測できるだろうな。
 あとは雷と言っても具体的にどんな能力か……藤木にカマかけてみるとして。
 藤木が犯人である事さえ伝えれば、一姫ならガッシュやさくらにも上手に伝えてくれるはずだが……一姫にどうやって……そうだ)

コナンは逡巡しピカチュウを一瞥する。

「ピカチュウ、お前が頼りだ……これから俺の言う通りのテンポで────」
「ピカ……?」



そして、数分後。


「わああっ! なんだ、これっ!!?」
「ピカピカピカぁッッ!!」


打合せを済ませた一人と一匹は。
タイミングを合わせて一姫達に届くように大声を出した。



□□□□



「い、いつ……ぼ、僕が……」

確かにコナンはシカマルの死体を調べに行った。
でも、あの録音を聞いたとしてもそれは一緒に居た畜生のピカチュウだけだ。
藤木ももし自分の犯行がバレた時に備えて、コナンが誰と一緒にいたかは警戒した。
事件現場を調べて帰ってきた後、藤木はずっとコナンにべったりくっついていたのだから。
コナンが藤木がシカマルを殺した犯人だと、伝える暇は何処にもない。
さくら達がヤミと接触して戻ってきて、リーゼロッテの襲撃を受けるまで。
コナンは藤木に悟られず、それを伝える手段はない。

だから思う。
いくらなんでも、手際が良すぎる。

日番谷やミラーにいつ、こんな事前に周知したと言うのだ。
しかもミラーに至っては、完全な藤木に対するメタ能力ではないか。
見張りとして出したのも、実は藤木への対策と警戒をさせる為のカモフラ―ジュですらある気がした。

「モールス信号だよ。ピカチュウの電撃を一定のリズムで光らせる事で、一姫とやり取りをしていたんだ。
 お前がシカマルを殺したのは、既にあいつとは共有済みだ」

「は……? もーる、え……」

「……音や光で伝える信号だ」


『そんなケチャップばかり食べたら、デブチュウになるでしょう!!』
『ピカピカピカァ……!!』

あの時だ。
ピカチュウが一姫にケチャップをせびろうとして、叱られて不貞腐れたあの時。
ピカチュウは確かに頬から電気をビリビリさせていた。
そういう生き物だとばかり、藤木は思っていた。
あれは、全部演技で。
コナンと一姫がピカチュウを通じて、既に情報を交換し合っていたのなら。

『校内に戻る前に、ここで皆に話しておくことがあるわ。藤木という子がいるのだけれど……』

そう、ミラーがヤミと遭遇してさくら達を呼び出したあと。

『ネモに雷になる能力があると話していたけど、殺害の状況と彼が犯人であるというコナンのメッセージを鑑みれば。
 藤木本人に雷化の能力があると可能性が高いわ』

一姫はあの場の全員に、藤木がマーダーであると告げていたのだろう。
当然、日番谷とミラーもそれを聞いていた筈。

「嘘……だろ?」

完全に失念していた。コナンの動向は注視していたが、ピカチュウに関しては殆ど気にしていなかった。
時々バチバチと頬を光らせていたが、そういう生態の生き物だとコナンは言っていたのに。
いや、それ込みでのカモフラージュで敢えてそう言ったのか?
ピカチュウもずっと馬鹿鼠のフリをずっとしてたのか?

(ピカチュウに一定のテンポで電気を出させるように教えるのにかなり苦労したが、その甲斐はあったな……)

この数時間、何度か意思疎通を試みてコナンが分かったのは。
ある程度、ポケモン側の方が人間の言語に明るいきらいがあることだ。
考えればトレーナーに指示を受けて的確にバトルに活かす以上、ポケモン側の知能が高くそれを理解しなければ成立しない。
あくまでコナンの仮説だが、ポケモン達はその知能に反して人の言語として意思疎通する声帯が発達していないのではないか?

『私の友に、ウマゴンというものがおっての。
 そのものはまだ子供だから、人の言葉を喋れない馬の魔物での、魔界にはそういう者も多いのだ。
 ピカチュウもウマゴンのように、人の言葉が話せないだけではないかと思っておる』

『……友情に水差す気はねーが、ウマゴンは本名かそれ?』

『………………たしか、シュ……シュライバーは絶対違うのう。
 シャ……シュ……ショ……思い出せぬから、ウマゴンでよいのだ』

『おいおい……』

ガッシュの魔界の経験も考察の一助になった。
未成熟の魔物の子供は人の言語を理解しながら、鳴き声でしか話す事ができないのだと。
だが、言っていることは大まかに理解できなくもない。
こちらの言語をそれなりに理解できているのなら、まだいくらかやりようはある。

「ミラー、藤木からランドセルを取り上げて、何か隠し持ってないかチェックしてくれ。
 日番谷、あんたは奴が妙な動きをしないか、見張ってくれ。
 ピカチュウは周りの警戒だ」

ランドセルを奪われ、懐に仕舞われていた銃も没収される。
銃で撃とうと思ったが、予見したようにコナンから「ミラーに反射されるぞ」と言われ。
藤木は無抵抗のままだった。
文字通り丸腰になり、藤木は呆然とコナンを見つめる。

(この子……超能力でも持っているんじゃないか……)

悟空やシュライバーのような化け物はまだ分かる。あれは、普通の人間の手に余るどうしようもないものだと。
でも、この子は違う。藤木よりもずっと幼くて、弱くて、藤木に殺される側の弱者だったと思っていたのに。
まるで、自分とは人として別格の出来だ。なまじ同じ人間の枠組みにあったからこそ、圧倒的な格の差が明るみになる。
あの小さな子供のあどけない言動も、全部演技だったというのか。
同時に、言い逃れの出来ない完璧な証拠を自身の死に際に残した、シカマルの異常性も恐ろしい。

(……シカマル、何なんだよ…………自分が死ぬって時に、あんなもの……なんで……怖いだろ普通?)

もしかして、自分は今までとんでもない連中に喧嘩を売っていたんじゃないか。
シカマルは自分が死ぬ事まで、何もかも算段に入れて計算し尽くしていた。
そう思うと、藤木はぞっとした。
自分が死ぬなんて想像もしたくないのに、あいつはそれでいてあんな平然としていたのか?
頭がおかしいとしか思えなかった。

「この金色の杖、妙な霊圧を感じる」
「説明書はあるか?」
「いや……ねえな。だが、あいつがあの重体で元気なのはこいつの仕業かもな。
 それか、妙な薬でも使ったのかもしれねえが」
「私も同じ意見です。この杖から、魔力を感じます……」
「……俺よりも詳しい二人がそう言うんじゃ、今のところはこの杖が最有力候補か」
「ピカピカ」

しかも、コナン達は一瞬で藤木が千年ロッドから力を借りていた事すら看過してしまった。

(……無理じゃないか、僕が勝つなんて……乃亜は嘘吐きなんだ)

乃亜は公平なゲームであると説明していた。それを真に受けて、それしか生き残る術がないと殺し合いを肯定したが。
はっきりと、乃亜の言っていることが嘘でしかないと藤木は痛感する。
力の強さは仕方ない。……仕方ないと言わざるを得ないほど、悟空はあまりにも別次元過ぎて、あれを超えようだなんて想像もできない。
では、頭を回してどうにか立ち回ろうとも、こんな連中に読み合いで勝つなんて無理だった。
江戸川コナンや風見一姫を出し抜こうと思っても、悟空に暴力で勝つぐらいビジョンが浮かばない。
それにあのシカマルだ。シカマルこそ命を奪えこそしたが。
それが、たまたま天才の意思を別の天才が引き継いだという不運が重なったとはいえ。
死して尚、藤木はシカマルの掌の上で弄ばれているかのようだ。

(まだ……あいつ、僕に……)

こうなってくると、途端に全てが疑わしい。
シカマルはまだ何か、藤木を陥れる策を残して実行しているのではないか。
これはまだ、始まりに過ぎないんじゃないか。
殺されるのを前提に、それをトリガーとした様々な罠を残しているのでは。
考えれば考えるだけ堂々巡りになった。
そもそも、シカマルとて同時に用意し実行できる策には限りがあり、そう都合よく他人を陥れることなどできないが。
そんな簡単な結論に至る暇がない程に、藤木は無駄に脳細胞をフル回転させ思考の底なし沼に嵌った。
……あるいは、それすらシカマルが狙っていたという可能性も否定もしきれないのが恐ろしい所か。
いずれにしろ。藤木は考えても結論の出ない袋小路に雁字搦めにされ、完全に身動きが取れなくなっていた。



□□□□



藤木はとぼとぼと、コナン達の前方を歩かされる。
日番谷が氷で作った氷柱を、持ち手の部分だけ布で巻き付けて杖代わりに。
千年ロッドの自己洗脳のおかげで、歩行に殆ど支障はない。
同じく電撃が効かないピカチュウが藤木の前で索敵を続けている為に、藤木の安全も最低限保証されている。

だが、常にミラーの目が光って藤木を監視している。

雷光(ひかり)である為に、鏡の彼女に能力の性質上ダメージは与えられない。
電熱という手段も存在するが、藤木にそこまでの頭はなく。
またコナンも雷という能力を知った以上、その対策も講じているだろう。

「俺達に黙ってついてくるなら、命の保証はする。ただし次はねえ、俺も庇いきれない」

コナンの脅しと懇願を兼ねたその声を藤木は忘れられない。
きっと、藤木の生存を望んでいるのはこの場でコナンだけだ。
もし逃亡しようものなら、日番谷に確実に殺される。
そしてその逃亡もほぼ不可能だった。
千年ロッドで高まった悪意と殺意を以てして、現状の詰みとしか形容できない状態にはお手上げだ。
どう思案しても、この均衡を保つ以外に藤木が生き残る手段がない。

「参加者も半数を切っている。別行動になった一姫は、出会った参加者にお前の危険性をしっかり伝える筈だ。
 お前がこれまでに襲った連中と、一姫がこれから遭遇する参加者を足せば、ほぼ全ての参加者にマーダーであると周知されていると思って良い。
 覚えとけ。例え相手が対主催でも、俺がいなければお前は出会って即座に殺されかねない」

これも脅しであり、コナンからの忠告でもあった。
この先、一人で生き延びようとしても。
全ての参加者が知らぬ間に、藤木の敵になっている。
それを説得するコナンがいなければ出会い頭に排除されるぞ、と。



「約束してやる。
 マーダーにさえ戻らなきゃ、俺が必ずお前を守る」



それに安堵もしていた。



(……もう、いっか…………)



コナンは絶対に、藤木から行動を起こさなければ、藤木を危険に晒す方法を取らないという信頼もあったから。
ネモの時は、状況が切羽詰まっており。なおかつ首輪の解析を優先しなければならず、止むを得なかったために、偽無惨を巻き込んだ些か暴力的な手段に出たが。
コナンはその信念から、藤木に危険が及ぶのを避けるだろう。
今、こうして先頭を歩かされているのが危険さの上限だ。それ以上のリスクは決して藤木に負わせない。
じゃあ、もう良いじゃないか。藤木の目的は生き残る事であり、シカマル殺害が明るみに出てもこれだけ藤木を顧みるコナンに従っていれば、それが一番生還への近道だ。
逆にこれで無理なら、もうどうやっても生き残れないだろう。


(藤木の奴も……これで諦めてくれればいいが)


先を歩く藤木を見て、コナンは気も漫ろだった。
これからだ。
藤木がシカマル殺害の犯人と暴き出すのは容易だ。
問題はこの先、どうやって藤木を生かして罪を償わせるかだ。


『貴方達の信念を否定はしないし、叶うなら殺生は避けたいけれど』


フリーレンと別れ、出発する直前。


『どうしても分かり合えない相手も。自分の行いを曲げられない参加者もいるわ。
 駄目だと思えば、私は容赦なく引き金を引く』

風見一姫はコナン達に対し、必要であれば手を汚す覚悟があると強固な姿勢を示した。

『特にガッシュ、貴方が戦ったというシャルティアとは、必ずそうなると思うわ。
 それに、これはズルい言い方だけれど、きっとこの先……貴方が王になった時から、命の奪い合いは避けられなくなる。
 魔界の脅威は恐らく……貴方の言うクリア・ノートだけではないわ』

『それは……』

底抜けの善良さを持ち、高嶺清麿が殺害されてようやく攻撃的な呪文が複数発現したガッシュですら、クリアとだけは分かり合えないと考えていた。

『私の憶測でしかないけど。
 何故、貴方の世界にファウードなんてものが開発されたのか。
 それを使わなくてはならない相手がいた事に他ならないからだと思う』

『……』

王を決める戦いの敗者を魔界に送り返すというルール上、直接的な殺害を避ける事は叶う。
しかしこの先、魔界の新たな脅威と対峙した時。ルールも何もない戦いを強いられる時がやって来る。

『シャルティアも……きっと同じような存在よ』

『分かったのだ。私はまだ……そんなことは認められぬが。
 ……本当に必要な時が来れば、覚悟を決める』

それに、この場で倒れれば魔界は確実に滅ぶ。クリアだけは決して王にしてはならない。
殺し合いに賛同する気は毛頭ない。
今でも、死なせずに済むのならそれに越したことはなく。
殺す事を前提に行動する気はない。
それでも。
文字通り世界を背負う王として。幼いガッシュだが、既にその覚悟は決めていた。

『ありがとう』

そして、ごめんなさい。
内心で一姫は深くガッシュに謝罪する。
一姫は詭弁を用いて、ガッシュに同意を取ったも同然だった。
魔界の脅威もあくまで憶測でしかなく、もしかしたらこの先もガッシュは何かを殺める必要もなく生涯を終える可能性もある。
彼の人生に、後味の良くない物を残してしまうかもしれないことに。一姫は罪悪感を覚えてもいた。

『ガッシュ……もしもこの先、どうしても私が本当に間違っていると思う時が来たのなら、私を止めなさい。
 貴方の力を私が借りる以上、貴方にはその資格がある』

『ウヌ……』

天才にも、過ちは存在する。
この先、ガッシュの力を振るう一姫が間違えたのなら。
力の強大さを知っているからこそ、ガッシュのこれからの生き方に大きく影響を及ぼすからこそ。
それが過ちであった時の、代償は計り知れない。
一姫はガッシュに対して自身の不完全さについて、改めて念を押した。

『ならば一姫、お主も私が間違った時にそれを止めて欲しいのだ』

力を借りているのは、ガッシュもまた同じである。
故に、同じように間違いを犯す時もある。
その時は、一姫にもガッシュを止めて改めさせる権利はあるのだとガッシュを強く示す。

『お主は私のパートナーだからの』

力強く、ガッシュが微笑む。
少なくとも、この島では高嶺清麿に代わり風見一姫こそがパートナーであり。
パートナーであれば、対等の立場で望まなくてはならない。
全ての責任が一姫に圧し掛かる訳ではない。
ガッシュはそれを理屈ではなく、直感的に知っていた。

『…………一度だ』

どんな理由や理屈を述べようと、コナンが殺害を容認することは出来ない。

『一度だけ、俺のやり方でやる』

だがそれは、力が支配する世界では絵空事の戯言(りそう)でしかない。
故に、より現実的に。
コナンが抗いきれる最大限の抵抗を。

『俺の手が出せるレベルの相手に限って。
 それで駄目なら、アンタらの邪魔はしない』

『感謝するわ。江戸川コナン』

一姫もそれがコナンの譲れる極限の譲歩だと察していた。
だからこそ、お互いの信念による衝突と摩耗を避ける為に。
リスクを理解して、そして承諾した。

(これが……その一度だ)

藤木がこのまままた凶行に及ぶのであれば、コナンはもう手出しが出来ない。
日番谷に対しても、一姫はそのように伝えているに違いない。

(頼むぞ。藤木……二度と馬鹿な真似すんなよ)

如何に藤木の現状がマーダーとして詰んで、勝ち目がないかを教え。
自分を裏切れば、もう二度目はないと強調した。
コナンがやれる限りの対処はすべて注ぎ込んだ。

だから、コナンもまた祈るように。

藤木の悪辣な心が圧し折れていることを、願わずにはいられなかった。



□□□□




ディオ・ブランドーは頭痛で眩暈すら覚えていた。
無論、風邪などではなくこの先どうやって話を収めるか、それを考えすぎたためである。
当初はイリヤ救出の為に出戻りする筈だったのだが。

「信じられるわけないでしょ。なんで、メリュジーヌが殺し合いに乗るのよ!!」

エリス・ボレアスグレイラッドは、ドロテアに対して犬歯をむき出しにして、今にも喉元を食いちぎりそうな勢いであった。
そう、その道中にあのドロテアと再会してしまったのだ。

「だから! 言っておるじゃろうが! 沙都子と結託して、殺し合いに乗っていたと!」

隻腕の痛ましい有様とは裏腹に、勢いの良い怒声でドロテアは返答する。
非人道的で悪辣な錬金術師と言えど、今回ばかりは嘘は何も言っていない。
沙都子達に海馬コーポレーションでまんまと嵌められ、その後追跡され追撃を受けて命からがら逃げてきたと真実を語った。

(チィ……モクバさえ生きていれば、まだ擁護のしようもあったが)

その時に海馬モクバがカオスに殺されたと、ドロテアは話していた。
ドロテアの唯一の嘘だが、それを証明できるものはこの中には居ない。
ディオもモクバをむざむざ死なせる真似はしないだろう、首輪の情報を握っているのだからと決めつけてもいた。
だから、一先ずはまだ殺し合いに肯定的でないのだろうと判断する。

(こいつがヤケを起こして、僕が永沢を殺したことを大っぴらに暴露されればあとが厄介なんだ。
 ここは一旦、丸く収めたいんだが……)

モクバは殺し合いに否定的で安全だとエリスに話したため、モクバさえいればその一点を突破してエリスを説得できなくはなかった。
この女、とりあえず筋が通れば以外に納得はする。
だが、その筋もエリスの主観の問題であるため、言ってしまえば好感度の低いディオが何を言っても多少の事では意見を曲げない。
少なくともメリュジーヌと沙都子に関係する話では絶対に。

「沙都子とメリュジーヌは私を助けてくれたわ。殺し合いに乗る筈がないのよ!!」

この時のみ、エリスと同行していたという羽蛾という男を生き返らせたい。
義理人情に厚い分、エリスはこの主張が間違っていると絶対に認めない。
その場にいたもう一人から、何か引き出せればと思うが。
すでにこの世に居ない以上、叶わない話だった。

「……なあ、あんたのこと疑っちゃいねえけど。
 ここは別行動にしねーか。
 なんなら、俺の影分身も何人か付けるし、ドロテアの婆ちゃんってば、どっかで隠れてるのはどうだ?」

うずまきナルトも内心では、流石にメリュジーヌと沙都子も怪しくないかと疑っていた。
ディオを拾った時、厳密には降ってきたのをキャッチしたが。
後に知ったが、あれだけ自己保身を優先するディオが、着地手段も考えず出鱈目に空中を吹き飛んできたのだ。
ナルトが偶然見つけなければ、完全に落下死していた。
完全にただならぬ事態であり、ディオがとんでもない奴に襲われたのは間違いないだろう。
そんな、とんでもない奴をディオが偽って危険性を周知させようとするとは考え辛い。
ディオが仮にマーダーでも、そんな奴は積極的に死んで欲しいはずだ。嘘の情報を撒くだろうかと。
見間違いや、誰かの変装の可能性もなくはないが。
それに連続して、メリュジーヌに襲われたとこうも被害が続出していると、ナルトも無視できない。

(つっても、それを言ってるドロテアの婆ちゃんも……永沢ってのを殺してるみてーだし、信用できねーんだよな……)

だが、だからといってドロテアを信じてるわけでもない。
ディオの話では永沢を殺したのはドロテアなのだ。
当のディオから、もしドロテアにその件を追求すれば逆上して襲い掛かられかねない。
できるなら、その事は口を噤んでほしいと頼まれている。

『ドロテアにしても、殺し合い自体には乗っていない筈だ』
『少なくとも君達に手荒な真似をするのは考えにくい』

ナルトもエリスも、今回だけはこの場での戦闘を避ける為に敢えて触れるのは避けている。
負けるつもりはないが、イリヤを助ける前に無用な体力を使うのは不味い。
だがディオを信じれば、一人確実に殺しているのは確かだ。
これからイリヤを掬いに戦いに行くのに。こらしめバンドを付けさせたとして、背中を向けるのも気が引ける。

「早く、イリヤのとこ行ってやらなきゃいけねーし、ドロテアの婆ちゃんの事も良く分かんねえ。
 ……先にイリヤを助けて、そん時にドロテア婆ちゃんのことをイリヤから聞けば色々はっきしすんだろ」

両方を秤にかけて、ナルトは一先ずの妥協案を考えた。
イリヤは海馬コーポレーションの騒動を生き抜いた貴重な証人でもある。
ドロテアの事を問いただすには、イリヤが必要で、その為には救出しなければならない。
これなら、ドロテアも納得してくれるだろうと。

「ああ……僕ははっきり言って、メリュジーヌの件に関してはドロテアに一票だ。
 しかし、それでエリスが納得しないのも分かる。かといって、ここで議論しても平行線だ。
 イリヤを交えてから結論を出すのも悪くないだろう」

ナルト、こいつ馬鹿かと思ったが想像よりキレるタイプだ。
ディオは珍しくナルトを評価しながら、その案を推す。
ここで言い合いを続けようと、頑なにエリスが意見を変えない以上は平行線だ。
イリヤを助けに行くのは、怖くて嫌だったが。
どさくさに紛れ、ドロテアがマーダーに襲われるなり、また事態が込み入って再合流が果たせないままくたばってくれれば、これほど有難いことはない。

「嫌じゃ! 妾に一人になれというのか!? 手負いの老婆を?
 若く見えても妾も歳じゃ、この重体で襲われればひとたまりもないわ!!」

だがドロテアは断固として、自身の救助を要請してくる。
太々しく何の権限があるのか、根拠もない自信を抱きながら助けろと胸を張って懇願する。

「……分かった。僕が君を治す……だから、この場は一先ず引いて貰えないか?」

ドロテアの目的は生還だ。
ディオも疲れるので、気は進まないがドロテアをスタンドで治してから別行動なら、彼女も引き下がるだろう。
疑わしきは罰せず。ナルトとエリスから見たドロテアに対する最大の譲歩だ。
それが分からないほど、馬鹿でも子供でもない筈。

「あ…あれがドロテアだよ! コナン君!!」

その矢先である。
弱弱しい、低い声が響いてきたのは。

(なんだ、サムライ……じゃねーよな?)

太刀を担いだ子供、ナルトの知識だとサムライってああいう格好らしいなと、アカデミアで習ったあいまいな記憶が呼び起される。
あとは、眼鏡を掛けた子供と変な鼠と、かわいい女の子とサファイアみたいな空飛ぶ輪っか。
……もう一人、さっきの声が低いのは氷の杖を突いて歩いている男の子だろうか。

「ヤミさんが言ってた人だよ。モクバと沙都子って人を殺した人さ!!」

そしてもう一言、それはエリスの理性を断ち切るには十分な鋭利さをほこっていた。



□□□□



(このッ────!!)

コナンはすさまじい形相で藤木を睨み付ける。
一言も二言も、何もかも全てが余計だった。
自分達の進行先、ドロテアと思わしき人物と別の対主催グループが揉めていたのが見えた。
コナンはすぐさま、様子を伺いつつ接触を図ってみようと指示を出そうとして。

(な……なんで、睨むんだよォ!!)

藤木が叫んだのは。

だが、今回ばかりは本当に悪意がなかった。
前にやられた藤木個人の恨みもあるが。
ドロテアはとりあえず悪い奴なのは、コナン達の反応で分かっていたし、ヤミもそんな感じの事を言っていた。
だから、コナン達が騙される前に教えてあげよう。
そうすればコナンと行動を共にする自分も必然的に守られるはずだと、打算も込みだが助けようとしていたのだったが。
それは、無能な働き者でもあった。

(こいつ、俺たちがヤミと接触済みなのも、全部バラしやがって!)

口を開いた瞬間に、キック力増強シューズをぶち込んでやればよかった。
そう後悔して仕方ない。
ヤミの証言は、ドロテアのモクバ殺害を証明する貴重な情報だった。
だがこの瞬間、ドロテアは自身の犯行がヤミ経由でコナン達に伝わった可能性を考慮するだろう。
それに合わせた言動に変えることで、尻尾が掴みづらくなった。

「あんたッ────」

しかし、コナンが藤木に嫌味の一つでも飛ばそうとする前に。
エリスが剣を抜刀していた。

「た……助けてくれ、こ……殺されるのじゃッ!!!」

「待てッ!!」

悲鳴を上げたドロテアの前にコナンが滑り込み、その正面が白い袴で景色が覆い隠された。
同じく抜刀した日番谷の太刀、氷で所々修復した刀とも言い難い棒のようなそれだったが。
高めた霊圧でエリスの剣を一振りのみ、受け止めた。

「……お前、エリスか?」
「ッッ!!?」

エリスは頭に上った血が下がっていくのを実感した。
思いもよらぬところで、自身の名が呼ばれたからだ。

「なんで私の名を……」

「やっぱりな。
 まだ名乗ってもいねえが……俺たちはマーダーじゃない。
 少し、時間をくれ……ルーデウスの……仲間って程、長く付き合いがあったわけじゃねえが。
 あいつから、エリス……あんたの事を聞いた」

赤い長髪に剣の達人の少女。
日番谷がルーデウスから聞いた特徴が一致していた。

「……どきなさい。
 そいつは、私の恩人を殺したわ」

感情を噛み殺しながら、ゆっくりと低い声で。
辛うじてエリスが対話を行えるのは、相手が他ならぬルーデウスの顔見知りだからだ。

「まずはそこから聞かせてくれ。俺らも何の事情も分からないまま、あんたに剣は振らせられねえ」

日番谷の説得と要求に。
奥歯が砕けそうなぐらい強く嚙みしめ、エリスは剣を納刀する。
怒りに狂ってはいるが、ドロテアの前のコナンの姿も認識して力を緩め止めようとしていた。
日番谷が飛び出さなくとも、斬り掛かる前に止めるつもりだったのだろう。
手に圧し掛かった重さから、日番谷はそう推測する。
話せば、しっかり理屈が通じる相手だ。

「江戸川……」

日番谷はコナンに一瞥した。




「なんで、みんな沙都子の事ばっか疑うのよ!!」



ナルト達とコナン達は最低限、お互いの情報を交換し合った。
まず、エリスはメリュジーヌと沙都子の潔白を信じている。
ゆえに、殺害したドロテアを放置できない。
逆にコナンは沙都子殺害に関しては、正当防衛の可能性は低くないと推測する。
とはいえ、コナンは沙都子と面識はなく、一姫を通じて古手梨花からの証言でしか彼女を知らない。
だからマーダーである確証もない。

「沙都子が殺し合いに乗った証拠が何処にあるのよ!! 私達を助けてくれたのよ!!」

(そうだ……ブラックという男が、有馬かなという参加者を殺害したと証言したようだが。
 そのブラックが殺し合いに乗っていることを公言している。
 信憑性が乏しいと言われれば……。
 メリュジーヌとやりあったっていうピカチュウは流石に証言者にできねえしな)

各所からの情報を纏めれば、沙都子に関しては怪しい点も少なくない。
また悟飯の暴走に立ち会っているのも、彼女と縁深いらしい雛見沢症候群を考えれば無関係とも言い難い。
古手梨花は元の世界で、その奇病を利用され沙都子に引き起こされた惨劇に苦しめられたというのだから。
しかし、それだけではエリスを納得させる材料としては弱い。
本人は直に出会って、助けられたと言うのだから。

「変化の術で、誰かがメリュジーヌの姿で暴れているのよ
 ニケって私達の仲間がいるの。
 中島っていう姿を変えられる怪物と出会って襲われたらしいわ」

「……それは、いつ頃の話?」

コナンは顎に手を当てて逡巡した。
エリスの主張。
変化の術という容姿を変えられる力で、メリュジーヌの姿を使い人を襲っているという。
確かにそれならば、メリュジーヌに助けられたエリスの話と矛盾しない。

「中島って人は、一番最初の臨時放送で名前が呼ばれていたよね?
 ニケさんは、臨時放送の前……まだ中島さんが生存していたであろう最初の1時間以内に会ったの?」

「……な、なによ」

「怪物も、死んだ人より生きている人の悪印象を植え付けたいはずだし、ニケさんを襲うなら、最初からメリュジーヌさんや他の生きてる人の姿でやると思うんだよね。
 どうして放送で名前が呼ばれ、死亡が確定していた中島さんの姿でニケさんと接触したんだろう?」

コナンも人の脳を喰らう少女の怪物に遭遇した。
脳を食らい、服を奪い……恐らく高い変装技術を持ち、その記憶を読み取れるのではないかと予測した怪物。

「まだ名簿も開示してなかったし、ニケさんは放送で呼ばれた中島さんの名前をたまたま覚えてなかったみたいだけど、鋭い人ならそれだけで死人を騙る人を警戒しちゃうよ。
 きっと……それは、中島さん以外に変身できなかったから。
 多分、目で見るだけで簡単に変身できるようなものじゃなくて。
 もっと変身に必要な条件があるんだと思う」

相手に擬態するには、何かしらの条件が必要である可能性は高く。
もしも変身するのに、記憶を読み取ると言った推測以外にも。その対象の脳が必要であれば。

「中島さんとメリュジーヌさんの大きな違いを考えるなら……その時に死んでいるかどうかだと思うんだ」

殺し合い最序盤で死んだ中島に対し、ニケと遭遇した時点ではメリュジーヌの脳を喰らっている筈がない。

「生きた人間から容易に姿を奪えるのなら、やっぱりすぐに死んで放送で呼ばれた中島さんの姿で近づくとは思えない。
 条件を満たすには、相手を殺すか……通常の人間であれば、死に直結するであろう人体の一部が必要な……そんな条件があるんだと思う。
 少なくとも、その時点でまだ殺されていないメリュジーヌさんの姿は奪えないんじゃないかな。
 だからニケさんが出会ったのは、中島さんの死亡が確定した臨時放送以降かどうかが重要なんだよ」

ニケと出会った時点で、その魔神王(かいぶつ)がメリュジーヌに化けるのは不可能かもしれない。

「まだ僕も確証が持てないけれど。
 少なくとも、ニケさんを襲った怪物とディオさんを襲ったメリュジーヌさんが同一人物と決めつけるのは早いよ」

当然、これはコナンの想像だ。
何の制限もなく変身できる能力者がいて、それがメリュジーヌに化けたとも考えられる。
だが、少なくともニケと出会ったそれは……よりにもよって中島に化けた以上、その時点では化けられるレパートリーは決して多くはなかった筈。

「じゃあ、なんで仮にディオを襲ったメリュジーヌが本物だとして。
 私を助けたのよ……」

「……もしも、沙都子さんが悪い人だと仮定した場合だよ?
 今こうして、沙都子さんが良い人か悪い人かで、僕達が言い争うように仕向けるのが目的だったのかも。
 だってエリスさん……ドロテアさんのこと、本当に斬ろうと思ったでしょ」

沙都子は直接の戦闘で優勝出来る力を持たない。
もし、優勝を狙うならば姦計を練り、自身以外の全陣営を動かし崩壊させる他ない。

「優勝する方法は、何も出会った参加者を全員殺し回るだけじゃないんだ。
 僕達が仲間割れして潰し合って、結果的に沙都子さん一人が生き残るのも。
 それは優勝した扱いになるんだから」

「……」

エリスは渋々ではあるが、黙り込んで後ろへ下がっていく。
沙都子への信頼が揺らぐわけではないが、コナンの言うような見方もあるという事を理解した。

(沙都子がマーダーなのかどうか、これで完全に白黒はっきりついた訳じゃねえけど)

あくまでエリスに逸った真似をさせないための説得だ。
考えられる可能性を伝えただけで、それが真実であるか裏付けは取れていない。
やはり、コナンの想像や憶測で補足した面が多く、推理としては厳しい。
この場に沙都子がいれば、いくらでも反論してきただろう。

「…………分かったわ。
 メリュジーヌがディオを襲った話が、強ち嘘とも言いきれないこと。
 殺し合いに乗った証拠はないけど、乗っていない証拠もない……ってことね?
 だけど、それとは別に……どうして、モクバって子はドロテアに殺されたのよ」


エリスの疑問は当然だった。
沙都子とメリュジーヌの真のスタンスは置いておくとしても。
ドロテアがそれで信用できるか、それはまた別の話だ。
他ならぬ、コナン側が意図せずとはいえドロテアがモクバ殺害の犯人であると証言してしまったのだから。
それをエリスが追求しない理由にはならず。
また、永沢殺害の容疑もあるのだ。
エリスも戦闘を避ける為に黙っていたが、こうなると必要とあらば話さなければいけないかもしれないと考え直していた。


(そうだ、どうして……こいつはモクバを殺したんだ?)


コナンですら、その動機が分からなかった。


証言したヤミも腑に落ちず、なぜそんな行動をしたのか謎だと話すほど。
首輪解析の可能性がある段階で、わざわざドロテアが殺す理由がない。
そのせいで、ドロテアのスタンスが分からず接し方が手探りだ。
マーダーなのか、まだ対主催に便乗する気はあるのか。
一番、質が悪い。
最悪の場合、ヤミが虚偽の供述をした可能性もありうる。
だからこそ、ドロテアに関する情報を全て伏せてボロを出させたかったのだが、藤木のせいで全部台無しだ。


「モクバの頼みだったのじゃ! メリュジーヌとシャルティアに致命傷を負わされ……奴等のドミノになるくらいなら、妾のものにしろと!
 ヤミはその場面だけを見て勘違いしたのじゃ!! お陰で片腕まで奪われての!」


藤木が余計な情報を与えたせいで、ドロテアのカバーストーリーには矛盾がない。
強かだったのは、最初から隻腕になったのをメリュジーヌ達のせいにしてはいないことだった。
あとから、勘違いしたヤミのせいだと付け加えることで矛盾も最低限にすましている。
殺害の動機以外は、殆ど嘘を吐いていない。


(ふざけるな、モクバが死んでもお前に望みを託すものか)


嘘だ。
ディオはドロテアの発言を信じない。
メリュジーヌどもにドミノを奪われるのが嫌なら、あいつは舌でも噛んで自害する。
間違ってもドロテアに渡すような真似はしない。


(しかし……いくらドミノが手に入るとはいえ……殺すか?)


だが、やはりネックなのは殺す動機だ。
本当に致命傷で助からず、それで殺したのだろうか。
仮にも首輪の解析をチラつかせたモクバを、延命も試みず殺すのか?
しかも人前で。
それが、どうにもディオには分からない。
やるなら、人前は絶対に避けるだろう。


(雛見沢症候群か?)


仮説の一つとして、コナンの中であの奇病の名が浮かんだ。
人から正常な思考を奪い去るこの病なら、道理にかなわない行いも道理になる。

(……薬があれば、打つタイミングはあるか)

一つは孫悟飯に使用したと仮定して。
薬が二つ支給され、それを沙都子が対主催の不和を撒く為に使用し、ドロテアを放逐しようとした。
その可能性も考えられなくもない。
数時間前に襲われたばかりなのは、ドロテアも認めている。
その時に、やろうと思えばいくらでも打てるだろう。
結果として症候群で暴走したドロテアに、沙都子が巻き込まれ殺されたと考えれば筋は通る。

(だが……奴の首には……)

掻いたような後がなく、真っ白だった。

(まだ発症レベルが低いのか? ……この先症状が進行すれば、はっきりするが)

その場合、ドロテアは確実に死亡する。
できることなら、コナンとしてはその事態は避けたい。
それに本当に雛見沢症候群かコナンも確証がない。

「ルビー」

『申し訳ございません。コナンさん、私はその時……魅了状態でまともに機能してなくて。
 しかも、ランドセルにいたので……』

弱弱しい声色で答えて。
ルビーは頼りなく、ふゆふゆとコナンの横で浮遊して漂う。
ヤミ以外にその場にいたルビーも、人で言う心神喪失状態。
ドロテアの犯行を証明するには、やはり彼女の存在も弱い。

(仮に……ドロテアが症候群に感染したとして、感染ルートは何処からだ?)

空気感染が主とはいえ、感染力は決して高くない。
悟飯から移されたというのは、少々考え辛い。
それを強める薬もあるようだが、もしあれば沙都子はもっと早くに使うだろう。
それこそブラックに所業を晒された時点で使えば、大勢の対主催をマーダーに強制転向できる。
だからこそ、その薬を沙都子が持っていた可能性は低い。
なおかつ、デスゲームの主催者の目線から見ても。
全ての参加者が雛見沢症候群を発症して、潰し合うのは鑑賞に堪えない。
さらにいえば、薬の管理に割く労力も相当なものだ。
乃亜や他の主催側の運営者自身が何かの間違いで感染しかねない。
80人以上の参加者の一括管理に加えて、そんな病原菌の厳重管理にまで気を回す余裕があるだろうか。
メリットとリスクが釣り合っていない。
逆らう参加者の鎮圧に使うにしても、なまじ凶暴性を増させるだけで、攻撃対象を乃亜から外させる事もない。
殺し合いの元凶が乃亜であることは、どのような疑念を植え付けようと変えられないのだから。


(……報酬システムの景品か優勝さえすれば、妾は願いを叶えて雛見沢症候群を治療できるのじゃ。それまでの辛抱よ)


コナンの雛見沢症候群に関する情報源は風見一姫、更に元を辿れば古手梨花からのものだ。
当事者の証言である為、正確性はそれなりにある。なにせ、百年以上の付き合いなのだから。
しかし、梨花もまた沙都子も……雛見沢症候群に感染した事を自覚した感染者の存在には、そう明るくない。
それも異界の錬金術師であり、人体に精通しているのであれば尚更。

(絶対に妾が感染した事がバレてはならぬ)

ドロテアは感染がバレれば、殺されると推測している。
これは雛見沢症候群の治療手段が現時点では不明確かつ、悟飯の暴走を目の当たりにした為。
彼女は直接、古手梨花と出会い会話している。
当然だが雛見沢症候群を知っており、悟飯の異常性から既に発症したのだろうと推測している。
そして、その血を吸ってから首に違和感が起こったドロテア自身も自覚するに至る。
ドロテアが感染者ではない立場であったのなら、こんないつ火が付くかも分からない剥き出しの導火線をそのままにはしない。
止むを得ず、殺して処理するというのが理に適っている。
だから、絶対に自分が感染しているのは隠さなければならないと、疑心に満ちた思考回路の中での優先事項になった。
悟飯は誰も殺せなかったから野放しになっただけで、話の通じない疑心暗鬼の狂人など殺す以外の選択肢がない。
生に固執するドロテアがそんなリスクを抱えたまま、雛見沢症候群を告白するはずもなく。
またなまじ、医療知識があるせいである程度自分で対処出来てしまう為に、他人に話す必要性もない。

(首の痒みも掻き跡も何とか抑えたのじゃ。これで雛見沢症候群と思われることはあるまい)

あとは賢者の石と自身の錬金術の力で、リンパの違和感を遮断して。
また、何度か掻いた後も表面上は消してしまった。
首を折られても治癒できる地力は元より備わっていた為、欠損した腕の回復や症候群の進行は止められずとも、外見を取り繕うことはできる。
つまり、外見からではドロテアの発症レベルを差し図る事は不可能になっていた。

「ディオの約束通り、あの変な輪っかをドロテアに付けるわ」

頭の冷えたエリスは、ディオとの約束を思い出した。
ドロテアとの再会時にこらしめバンドを移すという約束。
一先ずは、それで当面の脅威は予防できる。

(そうだ。そうなるのが、落としどころだ)

怒り狂っていたエリスが落ち着き、当面は命が奪われる危険性はない。
監視と枷付になるが、対主催連中から程々に手厚く保護もされるだろう。
あのコナンという子供も頑固なエリスを説き伏せるなど、頭がやけにキレるがドロテアを庇おうとしていた。
甘い連中に違いない。
だから、ドロテアも納得はする筈だ。
あとはコナン達にドロテアを押し付け、イリヤを助ける為にディオはナルト達を連れてこの場を去る。
それで、丸く収めて見せる。


「…………どうして妾が付けねばならぬ」

(な、おい……!)


しかし、ドロテアにとってそれは何が何でも避けなくてはならない事態。
監視されるのはまだ良い。最悪、逃げれば良いからだ。
だが、あの輪っかがこちらの行動に制限を強いる類の物であることは予想が付く。
それが不味いのだ。
万が一、雛見沢症候群だとバレた時に。連中に殺処分される時に。
ドロテアが抵抗できなくなってしまう。
冗談ではない。この場の全員がドロテアの敵なのだ。
肉食獣の檻の中に磔にされて、投入されるようなもの。

「なぜ、妾だけこんな目に合わねばならぬ!
 ディオも永沢という者を理由もなく殺害しておる! 貴様らはそれを知っておるのか!!?」

(なぜ、こんなタイミングで……!!?)

矛先を反らすのに必死だった。
絶対にあの輪を自身に付けさせない。
まず、ドロテアを抑制する前にもっと質の悪い奴がいることを知らせ、連中を混乱させようと。
ドロテアは後先考えずに、叫んだ。

「待ってくれ。これは違う……僕は片棒を担がされかけただけだ」

ディオは苛立ちながら、しかし慌てない。
向こうがその気なら、ディオも言い分はある。
何故、こんなタイミングで告発したのか行動は読めないが、ここを切り抜ける手札は前々から考えていた。
ナルトやエリスにも散々協力してきた実績がある。
しかもナルト達には、すでにドロテアがやったと話して説明済みだ。
更に、疑われている状況でドロテアを信じる者が何人いる?
困惑は拭えないが、どうにかならなくはない。ディオはそう判断していた。

(馬鹿がッ……だが、いい機会だ。
 いっそ、全てをドロテアにおっ被せてやる。貴様さえ消えれば、この島で僕に後ろめたい事など一つもないのだからなッ!!)

この場の全員、猜疑に満ちた目でディオを見てはいたが。
それでもドロテアを信じているようなものは殆どいなかった。


「止めろッ!! 藤木!!」


ただ二人と一匹を除いて。
コナンとピカチュウは藤木が永沢と親しい関係であったことを、シカマルの録音で聞いている。
真偽が何であれ、ドロテアの発言を聞いて行動に凶行に出る可能性は高い。

永沢の肩がバチりと紫電になって弾ける。

案の定だった。
江戸川コナンはキック力増強シューズを付けて、自身のランドセルを蹴り飛ばす。
ピカチュウはそのまま、でんこうせっかで飛び出す。

先に手を出す前に、こちらで制圧して無力化する。


『雷化の術はオートで発動せず、脆くてお粗末なお前の手動でしか発動しねぇって事だ』


シカマルが残した貴重な情報だ。
藤木の能力発動前であれば、物理攻撃は通用する。
先んじて意識を奪って、それから対処を────。


『テメーが永沢って奴を生き返らせようとしてるとは俺には思えないね』


(う……うるさい、黙れシカマル。僕はやる……やってやるんだ)



「な、ッ……!!?」
「ピカ!?」

ランドセルと突撃を敢行したピカチュウは藤木がいた場所を過ぎ去っていく。
藤木がその場から消えたのだ。
戦闘に長けたナルトやエリス、ピカチュウはおろか、日番谷ですら完全に見失った。
それは、空島で神・エネルがモンキー・D・ルフィを相手に披露したのと同じ技術。
雷となって、その場から瞬時に消失し移動する手法。

入力の難しいゲームにコマンドを入れた時、たまたまコンボに繋がったのと同じだ。
使いこなせない力の一端が、今回だけ上手く行ったのだ。

藤木は空へと飛翔する。

(あいつ、体のダメージに関係なく雷になって飛べるのか!!?)

偽俊國が氷で拘束した後、雷になることでそこから抜け出せるだろうと指示したことがある。
あの時、雷を撃つだけでなく雷そのものになれるのだと藤木は知った。
そして雷は本来空から落とすものだ。
藤木の能力はただ雷を放出するだけでなく、雷になり空中浮遊すら思いのままにできる。
また雷速での移動速度の上昇も強みである。
それはこの一瞬のみとはいえ、隊長格の死神すら後手に回すほどの速さ。
コナン達は藤木が足を引き摺っている為に、藤木に素早い動きは出来ず、また雷をただ撃ち放つしかできないと推定していた。
しかし、全身を雷に変えればいくら元の肉体にダメージがあろうと、移動に支障はない。
藤木が安定して行えないだけであり、片足がなかろうと浮遊して移動することも可能だったのだ。
シカマルもそこばかりは想定しきれず、録音に残せなかった。

(なんでさっき、俺らに犯行がバレた時にあれで逃げなかった……?)

またコナン達も、先の交戦でそんな真似が出来たのなら既に使用して逃走を図っていたと結論付けていた。

(まさか……力を全く使いこなせてなかった?)

練度不足で、本人も自由に使えなかっただけ等と予測しきれない。
コナンにとって不幸だったのは、支給品で能力を手にした能力者とした前例として、写影と桃華が能力を使いこなしていた事だった。
彼にとって前知識のあった支給品から得られる能力者が上澄み過ぎたために、藤木が全く自分の能力を理解していないという発想に至るのに却って障害になってしまっていた。
特に悪魔の実の能力は、その鍛錬によって大きく力を変動させる。
手に入れただけで、戦いの素人が実戦に活用できる能力の方が少ない。
たまたま、雑に使っても殺傷力のあるゴロゴロの実が強力無比であったに過ぎない。
同じ自然系であっても、煙(モクモク)や闇(ヤミヤミ)に砂(スナスナ)では、藤木の手に渡ったとしても誰も殺せなかっただろう。
だが、コナンの持ち得る情報の中から、そのような事実を推理するのは不可能だった。

「く、喰らえええええええ!!」


コナンによって圧し折れた心は、彼が唯一支えにしていた永沢への友情によって補修された。
それも自己への安全装置が完全に取り張られた状態で。



「よくも……永沢君をッ!!」



────特に永沢君を殺した奴も……


藤木がフジキングである為には、これだけは絶対に曲げられない。
散々流されてきた卑怯者の愚か者であっても。
千年ロッドで増幅された悪意と卑劣さの中でも。
この、友情だけは藤木は忘れなかった。


『ヤミさんが、美柑さんと友達になった事……絶対に間違いなんかじゃないよ』


さくらだって言っていたじゃないか。
友達の事を想うことが、間違いだなんて決してないと。
だから、それを……藤木が否定する事だけはしてはならないのだ。
シカマルやネモや、他の誰かから卑怯だと言われても構わない。
だが、藤木が永沢に感じていた友情だけは、否定されたくない。

(こうなりゃミラーの力で電撃を……)

空から出鱈目に降り注ぐ無数の雷撃。
自然系にして、数ある悪魔の実の中で無敵と謳われたゴロゴロの実の真骨頂。
人類が敵対する事など、本来は叶わない雷という災害の力。
容易に地盤を砕き、その破片が周囲に飛び散る。

「きゃあっ!」
「な……!? ミラー!!」

散弾になったアスファルトがさくらを模していたミラーに直撃した。
ミラーの反射は鏡に写った物を打ち出す。
散弾のような、広範囲で鏡に写りきらない無数の点に関しては反射しきれない。
一定のダメージを受け、ミラーはカードへと戻る。
それが制限であり、またミラーの再使用はさくらでなければ不可能。
藤木も狙った訳ではないが、結果的に最も相性の悪い天敵を潰した。

「し……死ねぇ!!」

天敵の消失を目ざとく確認する。
枝分かれしてランダムに落雷していた雷が収束して、ディオを照らした。

「…………こ、この……ディ────」

ディオは絶望の中で呆然としていた。
スタンドで防ごうにもスタンドから感電がフィードバックしてしまう。
また、能力を使い跳ね返そうにも生物を作る暇もない。
完全な打つ手のない状態で、ディオは諦観以外の感情が浮かばなかった。

(ディオ────ッ)

むしろ、走馬灯のように周囲の景色がゆっくりと動くように見えたのはナルトの方だ。
ディオを庇おうとするが、流石に雷に足の速さではこの時点のナルトでは勝てない。
自分ならば、一撃くらいなら何とかなりそうだが。肉体的には一般人のディオではまずい。
勉学が苦手なナルトでも、落雷を生身の人間が受ければ大半は死ぬのだということは分かる。

(クソッ! 間に合わ……)

ディオの爪先から氷壁が生成されていく。
だが、不調な日番谷の霊圧で氷の生成速度は落ち。
また藤木の持つゴロゴロの実の力の敏走さは想定を遥かに超えていた。
ナルトと同じく、間に合わない。それが日番谷が思考の中で結論付けてた結末。
全力で霊圧を回しているが、まだディオの足首までしか氷は伸びていない。
しかし、既に電撃はディオへと肉薄しコンマ数秒後には到達しているだろう。

「ッッ……!! ぐ、あああああああああああああああああああァァァァ!!!」

響いたのは高音域の女の声。
既に声変わりしたディオのそれではなかった。
インクルシオを纏ったエリスが盾になって、ディオを庇ったのだった。

「エリスッ!!?」

困惑したのはナルトだ。
確かに、ナルトでは無理だがインクルシオを使ったエリスならば、間に合うかもしれない。
だが、エリスはディオを毛嫌いしていた。沙都子の件もケリがついたわけでもない。

(なに……やってんのよ、ほんと……)

全身を雷が貫通する激痛。
生きながらに、焼かれるという最悪の体験の中で。
エリスも後悔していないといえば嘘になる。
きっとルーデウスが死んだのでなければ、エリスはこんな真は似しなかっただろう。
けれども、死んでしまった。その時知った。大事な人が死ぬ辛さを。



『よく言うぜ、お前の言葉の通りの勇者、お前ぜってー嫌いだろ』
『………余計なお世話だ』




(こんな……やつでも……悲しむ奴がいるなら…………ニケはきっと悲しむんだろうし)



理解できないけれど。
ニケは、こんな奴とも仲良くやっていた。
だからディオが死んだら、とても悲しむだろう。
そう思ったら、死なせたくないと思った。


『生き残りたいならここで大人しくしてる事ね』

『待て!
 ゴールド・エクスペリエンス………!』

借りもないわけではなかったし。
一応、回復もここまでして貰っていたわね。
そんな事を考えて、鎧の下でエリスは苦笑した。
ニケの為なのか、ディオの為なのか。
エリスもどっちが理由なのか、分からなくなっていたから。


「………………は?」


なんでだよ。
あいつは永沢君を殺した悪い奴だ。

藤木は困惑と怒りが隠せずに、たまらず声に出してしまう。
永沢を殺したのだから、きっと悪者に違いない。
殺しをする人が悪いだなんて、藤木だって本当は分かっている。

だから。
あいつは、あのディオって奴も死ぬべきなんだ。

「止めろ! 日番谷ァ!!!」

コナンの方向と共に。背後から大きな氷柱が貫いて。
それは藤木の腹部から生え出した。

「馬鹿……野郎…………!!」

日番谷は霊子を固めて、空中で滞空出来る。
死神の持つ基本的な技術の一つだった。
そう、二度目はない。コナンの言う通りに、日番谷は忠実にそれを厳守した。

「ッ、ォ……」

氷の剣が引き抜かれ、藤木は上空から飛び降り自殺のように地面に打ち付けられる。
ぐちゃっという呆気ない音と一緒に、手足があらぬ方向へひん曲がった。
ありえない激痛に本来ならば藻掻き苦しむところだろうが、既に致命傷を負っている。
叫ぶ元気すらなかった。

「な……ん……────」

きっと、自分は悪い奴だ。
もういい。それに関しては、そういうことで良い。どうせ自分は卑怯者なのだ。
でも、あいつだって……ディオだって悪い奴だろう?
永沢を殺して、それを隠そうとしてたやつだ。
悪い奴が死ななきゃいけないなら、あいつだって同じようにならないと駄目だ。

(なんで、あいつが……守られて…………いる、ん……だ……よォ…………!!)

理不尽だ。間違ってる。
まるで、あいつが良い奴みたいだ。
……同じ、悪者の筈なのに。こんなのおかしいだろ。
ネモもシカマルも僕が悪い奴だから、あんな酷いことしてきたんだ。
ディオだって、僕みたいな目に合えばいいじゃないか!
ヒーローなんだから、悪者をやっつけろよ!!!



(ディオの奴……妾達が死ぬほど大変な目に合っていたというのに)

ディオは中央司令部でドロテア達を見捨てた後、手駒を新たに揃え自ら肉盾になるまでに仕上げていた。
ドロテアからすれば非常に腹正しい。
何の役にも立たないクソガキの世話を半日間し続けて、片腕までくれてやったドロテアとは大違いだ。

(不味いのじゃ……あの様子では、ナルトはディオのいう事を聞いてしまうか?
 ……どうして妾ばかり、こんな目に合わねば……)

目の前でボロ屑のように死んだ藤木を見下ろして、ドロテアは反吐が出そうだった。
ディオが永沢を殺したと明かせば、藤木が食って掛かるのは計算していた。
そこへドロテアも便乗して、ディオはマーダーではないかと問い詰めて、こらしめバンドをあっちに付けさせるように誘導する狙いだった。
それが頼んでもないのに電撃を飛ばし、急に襲い掛かって処分され無駄死にしてしまった。

(心底使えんカスじゃ!)

ドロテアは思案を巡らせる。
自身の安全を確保して、そして絶対に雛見沢症候群と悟られぬように。




「な……が、さ…………」


「エリスッ!!」

藤木の断末魔すら掻き消され、ディオは慟哭した。
生まれて初めてだった。他者に哀れみと、悲痛で切実な恩に報いたいと叫ぶだなんて。


(ククク……フハハハハハハハハッ!!)


そんなフリをするのは。
ディオは内心で喜ばしくて仕方ない。笑いをこらえるのに必死だったのだから。
この土壇場でのエリスの行動が全てだ。
こいつは、ディオへの情に絆されたのだ。
実に下らないと思った。
あれだけディオを疑っておきながら、そんなつまらない感情に支配されるのだから。

(フン、所詮女よ……。
 ……女に庇われたというのが気に入らんが、まあいい)

油断は出来ないが、ディオを一番疑っていたエリスが咄嗟に庇うぐらいには信用も稼げたという事。
手駒としては悪くない、死なせないぞ。
ディオはそう考えながら、スタンドを召喚する。

(貴様らに散々貢献してやったのだ。この先はその分だけ、使い潰して捨ててくれる)

信用値を目に見える形でエリスが示してくれたのも有難い。

「ディオ、エリスは……大丈夫なのかよ!?」
「任せてくれ、彼女は……絶対に僕が助け出す。ナルト……僕を信じてくれ!!」

この先、ドロテアが何を言おうと。
恐らく内心ではディオを優先して信用するはずだ。
こうなると、取れる手段も増えてくる。

(馬鹿な奴だ。お前と永沢……そして僕の命が等価値な訳がないだろう。
 下賤で、醜い阿呆がッ!!!)

ここまで、どれだけナルト達を助けてやったと思っている。
永沢などという取るに足らないカスを一人殺したぐらい、帳消しになるほど連中に手を貸したのだ。

(貴様らの敗因は……自らの価値を証明しなかった事だ。無能どもめ。
 お前らは……生きる価値がなかったんだよ)

このディオが殺されるいわれはない。
そう、血の中に沈む藤木にだけ見えるように。
ディオは邪悪に微笑んだ。

「────ァッ、あ……が、ァ……」

あいつ、笑ってるじゃないか。そう叫びたくても、全身に力が入らない。
ただ、抗えない瞼の重みに視界は黒く染まり。


「藤木ッ!!」


ただ一人だけ、小さな探偵の声だけが虚しく響いた。
例えどんな罪人であろうとも、決して死なせない信念の元、もう届きはしないと知りながら叫ぶ。
だが、それ以外は誰一人として、少年の名を叫びはしない。
あとは、腐って朽ち果てるのを待つばかりの肉塊としてしか見られずに。
自業自得だが、無慈悲に。



藤木茂は絶命した。




【藤木茂@ちびまる子ちゃん 死亡】
【日番谷冬獅郎 100ドミノ取得】



【一日目/午後/F-6】


【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:疲労(大)、人喰いの少女(魔神王)に恐怖(大)と警戒、迷い(極大)
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン、伸縮サスペンダー@名探偵コナン、サトシのピカチュウ&サトシの帽子@アニメポケットモンスター
[道具]:基本支給品、真実の鏡@ロードス島伝説、「鏡」のさくらカード@カードキャプターさくら
千年ロッド@遊戯王DM(勝次の支給品)、ベレッタ81@現実(城ヶ崎の支給品)
グロック17L@BLACK LAGOON(マルフォイに支給されたもの)
カレイドステッキ・マジカルルビー@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、乃亜を捕まえる
1:藤木……!!
2:乃亜や、首輪の情報を集める。(首輪のベースはプラーミャの作成した爆弾だと推測)
3:魔神王について、他参加者に警戒を呼び掛ける。
4:他のマーダー連中を止める方法を探し、誰も死なせない。
5:フランに協力を取りつけたかったが……。
6:元太……。
7:俺は、どうすればいい……。
8:ドロテアは雛見沢症候群を発症しているのか?
[備考]
※ハロウィンの花嫁は経験済みです。
※真実の鏡は一時間使用不能です。
※魔神王の能力を、脳を食べてその記憶を読む事であると推測しました。


【日番谷冬獅郎@BLEACH】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大寄りの中)、腹部にダメージ(中)、全身に切創、
雛森の安否に対する不安(極大)、心の力消費(特大、夕方まで術の使用不可)、藤木を殺した後味の悪さ(大)
[装備]:氷輪丸(破損、修復中)@BLEACH、帝具ブラックマリン@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、シン・フェイウルクの瓶(使用回数残り二回)@金色のガッシュ!!、元太の首輪、ソフトクリーム、どこでもドア@ドラえもん(使用不可、真夜中まで)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを潰し乃亜を倒す。
0:藤木……。
1:巻き込まれた子供は保護し、殺し合いに乗った奴は倒す。
2:シュライバーと甲冑の女を警戒。次は殺す。
3:乾が気掛かりだが……。
4:名簿に雛森の名前はなかったが……。
5:シャルティアを警戒、言ってる事も信用はしない。
6:悟飯は…ああなっちまったらもう………
7:沙都子の霊圧は何か引っかかる。
[備考]
ユーハバッハ撃破以降、最終話以前からの参戦です。
人間の参加者相手でも戦闘が成り立つように制限されています。
卍解は一度の使用で12時間使用不可。
シャルティア≠フリーレンとして認識しています。
シン・フェイウルクを全く制御できていません、人を乗せて移動手段にするのも不可。



【うずまきナルト@NARUTO-少年編-】
[状態]:チャクラ消費(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×3、煙玉×2@NARUTO、ファウードの回復液@金色のガッシュ!!、
城之内君の時の魔術師@DM、エニグマの紙×3@ジョジョの奇妙な冒険、
マニッシュ・ボーイの首輪、自来也の封印札@NARUTO
[思考・状況]
基本方針:乃亜の言う事には従わない。
0:イリヤ達も何とかしなきゃいけねえけど、エリス……!!
1:シカマル、頼むから無事でいてくれ。
2:殺し合いを止める方法を探す。
3:逃げて行ったおにぎり頭を探す。
4:ドラゴンボールってのは……よくわかんねーってばよ。
5:セリム、我愛羅…すまねぇ
[備考]
※螺旋丸習得後、サスケ奪還編直前より参戦です。
※セリム・エリスと情報交換しました。それぞれの世界の情報を得ました。




【エリス・ボレアス・グレイラット@無職転生 ~異世界行ったら本気だす~】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ(極大)、精神疲労(中)、インクルシオと同化(大)、決意、気絶
沙都子とメリュジーヌに対する好感度(高めだけどコナンの意見も聞く)、シュライバーに対する恐怖
[装備]:旅の衣装、和道一文字@ONE PIECE、悪鬼纏身インクルシオ@アカメが斬る!(相性高め)
[道具]:基本支給品一式、賢者の石(憤怒)@鋼の錬金術師
[思考・状況]
基本方針:ナルト達を守って、乃亜に勝って、ルーデウスにもう一度会いに行く。
0:……。
1:もう殺し合いには絶対に乗らない。ナルト達を守る。命に代えても。
2:首輪と脱出方法を探す。もう、ルーデウスには頼れないから。
3:殺人はルーデウスが悲しむから、半殺しで済ますわ!(相手が強大ならその限りではない)
4:ドラゴンボールの話は頭の中に入れておくわ。悟空って奴から直接話を聞くまではね。
5:リボンの少女(エスター)は危険人物ね。斬っておきたいわ
6:沙都子とメリュジーヌはコナンの意見も聞いておく。そんなことないと思うけど。
[備考]
※参戦時期は、デッドエンド結成(及び、1年以上経過)~ミリス神聖国に到着までの間
※ルーデウスが参加していない可能性について、一ミリも考えていないです
※ナルト、セリムと情報交換しました。それぞれの世界の情報を得ました
※沙都子から、梨花達と遭遇しそうなエリアは散策済みでルーデウスは居なかったと伝えられています。
例としてはG-2の港やI・R・T周辺など。
※インクルシオとの適合率が向上しました。エリスの精神に合わせて進化を行います。




【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]顔面にダメージ(中)、精神的疲労(中)、疲労(中)、怒り、メリュジーヌに恐怖、強い屈辱(極大)、乃亜やメリュジーヌに対する強い殺意
[装備]『黄金体験』のスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険、
[道具]基本支給品、光の護封剣@遊戯王DM
こらしめバンド@ドラえもん、バシルーラの杖[残り回数0回]@トルネコの大冒険3
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:フハハハハハハハハハハハハ!! 治してやるぞエリス!!
1:メリュジーヌやリーゼロッテが現れた場合はナルト達を見捨ててさっさと逃げる。
2:先ほどの金髪の痴女やメリュジーヌに警戒。奴らは絶対に許さない。
3:ゴールドエクスペリエンスか…気に入った。
4:キウルの不死の化け物の話に嫌悪感。
5:海が弱点の参加者でもいるのか?
6:俊國、一体どういうことだ!?
7:ドロテアを何とかして追い出したいが。
[備考]
※参戦時期はダニーを殺した後


【ドロテア@アカメが斬る!】
[状態]悟飯への恐怖(大)、雛見沢症候群発症(レベル? 自覚済み。首回りの外傷は治癒済み、痒みも抑制中)ダメージ(大)、掌に裂傷(大)、左腕欠損
[装備]血液徴収アブゾディック、魂砕き(ソウルクラッシュ)@ロードス島伝説、賢者の石@鋼の錬金術師
[道具]基本支給品×2、翻弄するエルフの剣士(昼まで使用不可)@遊戯王デュエルモンスターズ 、
ホーリー・エルフ(午後まで使用不可)@遊戯王デュエルモンスターズ、ゴブリン突撃部隊@@遊戯王デュエルモンスターズ、古代遺物『死亡遊戯』
小型ボウガン(装填済み) ボウガンの矢(即効性の痺れ薬が塗布)×10、
「水」@カードキャプターさくら(夕方まで使用不可)、変幻自在ガイアファンデーション@アカメが斬る!グリフィンドールの剣@ハリーポッターシリ-ズ、
チョッパーの医療セット@ONE PIECE、飛梅@BLEACH、いないいないフープくん@ToLOVEるダークネス、ランダム支給品0~2(シャルティア、紗寿叶)、首輪×6(城ヶ崎姫子、永沢君男、紗寿叶、のび太、沙都子、カオス)
FNブローニング・ハイパワー(4/13発)、FNブローニング・ハイパワーのマガジン×2(13発)、葬式ごっこの薬@ドラえもん×2、イヤリング型携帯電話@名探偵コナン
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:なんとか、こいつらに自分を守らせたいが……。
1:とりあえず適当な人間を殺しつつドミノと首輪も欲しい。
2:写影と桃華は絶対に殺す。奴らのせいでこうなったんじゃ!! だが、ガッシュとフリーレンが守ってくれるのなら、許さんでもない。
3:悟飯の血...美味いが、もう吸血なんて考えられんわ。
4:妾が雛見沢症候群であることは絶対にバレてはいかん。
[備考]
※参戦時期は11巻。
※若返らせる能力(セト神)を、藤木茂の能力では無く、支給品によるものと推察しています。
※若返らせる能力(セト神)の大まかな性能を把握しました。
※カードデータからウィルスを送り込むプランをモクバと共有しています。
※雛見沢症候群の首輪の痒みを抑えていますが、症状の進行に伴って抑えきれなくなるかもしれません。




【「鏡(ミラー)」@カードキャプターさくら】
あらゆる姿に変身し、また自分の持っている手鏡を使い光や飛び道具を反射する。
人型の形態ではなく手鏡だけで召喚も可能。
一度の使用で6時間不可。
さくらが使用した場合は人型形態で長時間の召喚が可能。
それ以外の参加者が使用した場合、人型形態の召喚は不可。手鏡のみ。

【「幻(イリュージョン)」@カードキャプターさくら】
相手に幻覚を見せる。
制限で長時間は発動できない。
一度の使用で6時間使用不可。

【「力(パワー)」@カードキャプターさくら】
使い手を怪力にする。






136:深海から、天へと至る戦い 投下順に読む 138:ラフ・メイカー
時系列順に読む
124:新世界の神となる ガッシュ・ベル 140:この儚くも美しい絶望の世界で(前編)
風見一姫
木之元桜
128:迷子になった女の子 金色の闇
130:終末論 リーゼロッテ・ヴェルクマイスター
124:新世界の神となる 江戸川コナン 000:[[]]
日番谷冬獅郎 000:[[]]
132:出戻り三人一組(スリーマンセル) うずまきナルト 000:[[]]
132:出戻り三人一組(スリーマンセル) エリス・ボレアス・グレイラット 000:[[]]
132:出戻り三人一組(スリーマンセル) ディオ・ブランドー 000:[[]]
128:迷子になった女の子 ドロテア 000:[[]]
124:新世界の神となる 藤木茂 GAME OVER

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