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第二話 新たなる旅立ち
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dannocomachi
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1. 目覚め
アレイスは頭痛を感じながら目を覚ました。周囲は白い光で満たされ、医療施設のような静けさが漂っている。ベッドの脇に座るのは、地球連邦軍の制服を着た女性技術士官、リーナ・アストラルだった。
リーナ:「気がついた? 随分長い間、気を失っていたのよ。」
アレイス:「ここは……どこだ? 俺は……」
リーナは冷たい視線を向けながら答える。
リーナ:「ここは地球連邦軍の宇宙艦《セレスティア》。あなたは昨日、辺境コロニーで地球連邦の最新鋭機《プロト・アヴァロス》を起動したパイロットよ。」
アレイス:「俺が……あの機体を……?」
突然、昨日の戦闘の記憶が蘇る。敵を撃墜した感触、爆発の光、そして自分が奪った命――そのすべてが頭をかき乱した。
アレイス:「俺は……ただ生き残りたかっただけだ……。」
リーナ:「それが戦争よ。敵を倒さなければ、こちらが倒される。それが理解できなければ、ここで降りてもらっても構わないわ。」
冷徹な言葉にアレイスは言い返せなかった。ただ、自分の手が震えていることに気づく。
2. 地球連邦軍への疑念
その後、アレイスは《セレスティア》の中を案内される。巨大なモビルスーツの格納庫には、多数の量産機と整備士たちが忙しく働いていた。その中で、ひときわ異彩を放つのが《プロト・アヴァロス》だった。
整備士A:「これが例の機体か……。まさか子供が乗ってたなんてな。」
整備士B:「でもあの動き、まるで機体が彼を選んだみたいだったって話だぞ。」
アレイスはその言葉を聞いて複雑な気持ちになった。《アヴァロス》が自分を選んだ――それは偶然ではなく、運命なのか?
リーナが後ろから声をかける。
リーナ:「この機体はただの兵器じゃないわ。地球連邦が開発した究極の戦力よ。あなたが起動してしまった以上、もう後戻りはできない。」
アレイス:「俺に選択肢なんてあるのか?」
リーナは一瞬、言葉を飲み込むように視線を落としたが、すぐにいつもの冷たい表情に戻った。
リーナ:「……選択肢が欲しいなら、力を手に入れなさい。それがこの世界のルールよ。」
3. 敵軍の襲撃
突然、艦内に警報が鳴り響く。
艦内放送:「敵機接近! 自治連盟のモビルスーツ部隊がこの艦に向かっています!」
アレイスは驚いてリーナを見る。
アレイス:「また戦闘か!? 俺たちを狙っているのか?」
リーナ:「おそらく、あなたの《アヴァロス》を狙っているのよ。」
リーナが指を鳴らすと、整備士たちが急いで《アヴァロス》を発進準備に取りかかる。
リーナ:「アレイス、あなたにこの機体を守る義務がある。それに、敵は手加減してくれないわよ。」
アレイス:「俺が戦うしかないっていうのか……?」
彼は震える手でコックピットに乗り込む。再びモニターが起動し、機体AIが冷静な声で話しかけてきた。
機体AI:「パイロット適性確認。戦闘モードを起動します。」
4. 初めての協力戦
《アヴァロス》が発進する。外に広がる宇宙空間には、自治連盟のモビルスーツが十数機展開していた。その先頭に立つのは、漆黒の機体に乗るエースパイロット、ゼフィリス。
ゼフィリス:「あの機体を奪う。それが今回の任務だ。」
アレイスは初めて《アヴァロス》の武装をフルに使いこなそうと必死になった。しかし、敵の動きは速く、戦闘経験のない彼は苦戦する。
アレイス:「くそっ……! 動け、動いてくれ!」
その時、通信が入る。
リーナ:「落ち着いて、アレイス! 《アヴァロス》はあなたに応じる。信じて操縦しなさい!」
彼女の言葉に励まされ、アレイスは深呼吸をした。そして直感に従い、機体を操作する。光子剣が閃き、一機の敵を撃墜した。
アレイス:「……やった!」
しかし、その喜びも束の間、ゼフィリスの機体が彼に迫る。
ゼフィリス:「子供が……そんな機体に乗るな。」
圧倒的な技術差に追い詰められたアレイスは、必死に抵抗するも、防戦一方となる。
5. 危機と決意
追い詰められる中、アレイスは自分がなぜ戦っているのかを考えた。
アレイス(心の中):「俺は戦いたくない。でも、ここで逃げたら誰かが傷つく。リーナが、コロニーの人たちが……。」
彼の手が自然と操縦桿を握り直す。その瞬間、機体の内部で新たなエネルギーが解放された。
機体AI:「シンクロ率上昇。ブーストモードを解放します。」
《アヴァロス》の装甲が光り輝き、信じられないスピードで動き始めた。ゼフィリスも驚きを隠せない。
ゼフィリス:「この動き……ただの新人じゃない!」
アレイスはついにゼフィリスの攻撃を回避し、反撃に転じた。しかし、とどめを刺す直前で機体を止める。
アレイス:「俺は、誰かを殺すために戦ってるんじゃない……!」
その言葉にゼフィリスは一瞬の隙を作り、撤退する。
6. 新たな旅立ち
戦闘が終わり、艦内に戻ったアレイスはヘルメットを外して深い息をついた。彼を迎えたリーナは、冷たいながらも少し柔らかな表情で話しかける。
リーナ:「少しは戦えるようになったわね。でも、この先はもっと過酷よ。」
アレイス:「俺は……戦争を終わらせるために戦う。それが俺にできることなら……。」
リーナは彼の言葉に驚いたような顔をしたが、すぐにうなずいた。
リーナ:「なら、その覚悟を見せてちょうだい。」
こうして、アレイスの戦いは本格的に幕を開けた。彼が選んだ道が、戦争の未来を変えることになるとは、まだ誰も知らなかった。