◆
様子見へ出る段階はとうに過ぎた、悠長に構えて生き延びられる相手とは誰一人見なさない。
後退は即ち狂化の加速、敵味方の区別も付けられない正真正銘の狂戦士(バーサーカー)へ変貌してしまう。
故に前進あるのみだ、地面が陥没する程に踏みしめイリヤが疾走。
振り被った得物は巨人の大槌、神腕を用いて投擲すれば下手な宝具以上の破壊力を発揮。
図体のデカい標的を外す失態は、当然犯さない。
後退は即ち狂化の加速、敵味方の区別も付けられない正真正銘の狂戦士(バーサーカー)へ変貌してしまう。
故に前進あるのみだ、地面が陥没する程に踏みしめイリヤが疾走。
振り被った得物は巨人の大槌、神腕を用いて投擲すれば下手な宝具以上の破壊力を発揮。
図体のデカい標的を外す失態は、当然犯さない。
『チョット■ァアタ■■ン■~』
全身を粉砕し、地面に肉片の雨が降る。
その光景を実現に近付けさせまいと、邪神も腕を振るって防御。
世界は違えど神域に座するのは、マグニのみの特権ではない。
弾き返された大槌が回転数を増し、持ち主の方へ戻って来る。
迂闊に受け止めようとすれば、腕ごと引っ張られるに違いない。
アッパーカットの要領で拳を振り上げ、上空に得物を打ち上げた。
その光景を実現に近付けさせまいと、邪神も腕を振るって防御。
世界は違えど神域に座するのは、マグニのみの特権ではない。
弾き返された大槌が回転数を増し、持ち主の方へ戻って来る。
迂闊に受け止めようとすれば、腕ごと引っ張られるに違いない。
アッパーカットの要領で拳を振り上げ、上空に得物を打ち上げた。
入れ替わりに前へ出るのは、黒死牟とクローズチャージ。
合図確認をせずとも、自己判断でタイミングを合わせる程度には。
互いの手数を把握しており、尚且つ行動へ移れるだけの戦闘経験を持つ。
合図確認をせずとも、自己判断でタイミングを合わせる程度には。
互いの手数を把握しており、尚且つ行動へ移れるだけの戦闘経験を持つ。
――月の呼吸 漆ノ型 厄鏡・月映え
『TWIN FINISH!』
地を這い突き進む斬撃波は、振り下ろされた魔獣の爪が如き巨大さ。
空中からはパーカーゴーストが複数襲来、命中と同時に爆発を起こす。
平時でさえ必殺級の攻撃に、それぞれ魔皇力とブラッド族のエネルギーを付与してある。
過剰なまでの威力を叩き出すも、呆気なく倒れるなら誰も危機感は抱いていない。
現にどうだ、邪神の各部から突き出た人型達が阻止へ動いた。
空中からはパーカーゴーストが複数襲来、命中と同時に爆発を起こす。
平時でさえ必殺級の攻撃に、それぞれ魔皇力とブラッド族のエネルギーを付与してある。
過剰なまでの威力を叩き出すも、呆気なく倒れるなら誰も危機感は抱いていない。
現にどうだ、邪神の各部から突き出た人型達が阻止へ動いた。
「げっ!?あれ全部仮面ライダーかよ……!」
蒼狼を模したマスクの戦士、仮面ライダーバルカン・アサルトウルフがエネルギー弾を放つ横で。
赤い弓を構え高出力の光矢を放つのは、アーマードライダー鎧武・ジンバーレモンアームズ。
片方は初見の戦士だが、もう片方は最上魁星相手に共闘し。
此度のデスゲームで、神を前に力尽きた戦友だ。
心強い仲間となれた者達の手で攻撃を掻き消される光景には、苦虫を噛み潰したような顔を作る。
赤い弓を構え高出力の光矢を放つのは、アーマードライダー鎧武・ジンバーレモンアームズ。
片方は初見の戦士だが、もう片方は最上魁星相手に共闘し。
此度のデスゲームで、神を前に力尽きた戦友だ。
心強い仲間となれた者達の手で攻撃を掻き消される光景には、苦虫を噛み潰したような顔を作る。
疾走する三日月もまた、邪神へ届く前に砕かれた。
火炎を思わせる紅い戦士、仮面ライダーゴースト・闘魂ブースト魂の一刀。
そこへゴーストとは反対に青い装甲を纏った、仮面ライダーライジングイクサが対ファンガイア用の剣を振り下ろす。
光刃は半月を打ち消し、邪神守護の役目を見事に達成。
人へ仇為す鬼が邪神へ挑み、人を守る英雄達に阻まれるとは何たる皮肉な構図か。
火炎を思わせる紅い戦士、仮面ライダーゴースト・闘魂ブースト魂の一刀。
そこへゴーストとは反対に青い装甲を纏った、仮面ライダーライジングイクサが対ファンガイア用の剣を振り下ろす。
光刃は半月を打ち消し、邪神守護の役目を見事に達成。
人へ仇為す鬼が邪神へ挑み、人を守る英雄達に阻まれるとは何たる皮肉な構図か。
更に、警戒すべきは邪神だけじゃあない。
ウワサの結界を展開した影響で、そこかしこより使い魔が出現。
BBの墓場とも言うべき、作ったは良いものの使い道が見当たらない数多のBB素材達。
元が本当に人間なのかを疑う程に、生理的嫌悪を催すクリーチャー達が牙を剥く。
ウワサの結界を展開した影響で、そこかしこより使い魔が出現。
BBの墓場とも言うべき、作ったは良いものの使い道が見当たらない数多のBB素材達。
元が本当に人間なのかを疑う程に、生理的嫌悪を催すクリーチャー達が牙を剥く。
「ストラーダ・フトゥーロ!」
一体一体をちまちま相手取る暇はない、広範囲を纏めて消し飛ばす。
複数本を束ねた魔矢が数十体を貫き上昇、空中にて弾け桜色の豪雨を降らせた。
降り注ぐ矢の餌食と化し、あっという間に数を減らしていく。
とはいえ本体を撃破せねば無限に湧き出る為、最優先はやはり邪神。
魔力を再度収束して狙いを付け、直接射抜かんと発射。
複数本を束ねた魔矢が数十体を貫き上昇、空中にて弾け桜色の豪雨を降らせた。
降り注ぐ矢の餌食と化し、あっという間に数を減らしていく。
とはいえ本体を撃破せねば無限に湧き出る為、最優先はやはり邪神。
魔力を再度収束して狙いを付け、直接射抜かんと発射。
「えっ!?」
いろはの矢を払い除けたのは、同じく魔力で生成した矢。
自身のよりも輝きが濃い、桃色の熱線を放った正体に頬が引き攣る。
脇腹付近から生えた、ピンクの衣装を纏う少女が誰か。
知っている為に、余計目に映る光景は受け入れ難い。
自身のよりも輝きが濃い、桃色の熱線を放った正体に頬が引き攣る。
脇腹付近から生えた、ピンクの衣装を纏う少女が誰か。
知っている為に、余計目に映る光景は受け入れ難い。
「まどかちゃん……!」
キレーションランドで共闘した、見滝原の魔法少女。
殺し合いでは再会する事なく、千代田桃を生かす為に命を捧げたと聞く。
よもやまどかまで、レナと同じく力の一つで利用されてるのか。
いろはの胸中が何であれ、相手は所詮新説シリーズの実体化に過ぎない。
機械染みた動作で弦を引き、弓とは思えぬ連射を繰り出す。
殺し合いでは再会する事なく、千代田桃を生かす為に命を捧げたと聞く。
よもやまどかまで、レナと同じく力の一つで利用されてるのか。
いろはの胸中が何であれ、相手は所詮新説シリーズの実体化に過ぎない。
機械染みた動作で弦を引き、弓とは思えぬ連射を繰り出す。
猫の手も借りたいとは、正にこの状況を言うのだろう。
支給品袋から飛び出した棺桶に、露払いを任せ鬼が駆ける。
呼吸による独特の音を響かせ、人外の身体機能を数段階底上げ。
妖刀と魔皇剣が唸り、邪神を喰わせろと咆えた。
支給品袋から飛び出した棺桶に、露払いを任せ鬼が駆ける。
呼吸による独特の音を響かせ、人外の身体機能を数段階底上げ。
妖刀と魔皇剣が唸り、邪神を喰わせろと咆えた。
振り下ろされた双剣に、邪悪なる神を斬った手応えは皆無。
耳を劈く金属音と、硬いナニカを叩く馴染み深い感触。
我が刃を防ぎしは敵が操る剣、理解が追い付き得物を持つ正体を見極める。
耳を劈く金属音と、硬いナニカを叩く馴染み深い感触。
我が刃を防ぎしは敵が操る剣、理解が追い付き得物を持つ正体を見極める。
「面妖な……」
ある意味で、鬼以上に化け物染みた存在と分かり切ってはいたが。
人から遠ざかる事に掛けては、底なしだったらしい。
黒死牟の剣を阻む二刀の使い手は、張りのある腕と揺れ動く乳房の持ち主。
銀の毛髪を纏め、体の特徴は女のソレと相違ないが。
顔だけは焦げ茶色の男であり、何より人間の形を保つのは上半身のみ。
臍から下に地を歩く部位は無く、肉の蔓が邪神の巨体から伸びていた。
人から遠ざかる事に掛けては、底なしだったらしい。
黒死牟の剣を阻む二刀の使い手は、張りのある腕と揺れ動く乳房の持ち主。
銀の毛髪を纏め、体の特徴は女のソレと相違ないが。
顔だけは焦げ茶色の男であり、何より人間の形を保つのは上半身のみ。
臍から下に地を歩く部位は無く、肉の蔓が邪神の巨体から伸びていた。
新免武蔵守藤原玄信が、語るべき言葉は持たない。
下総国をカルデアのマスターと共に駆け、英霊剣豪七番勝負へ幕を引いた当人はここにおらず。
情報の一つとして使い潰される、影法師とも呼べぬ錆び付いた剣に過ぎなかった。
下総国をカルデアのマスターと共に駆け、英霊剣豪七番勝負へ幕を引いた当人はここにおらず。
情報の一つとして使い潰される、影法師とも呼べぬ錆び付いた剣に過ぎなかった。
作り上げた肉体の完成度は、歴代の柱すら凌駕する。
真に剣へ全てを捧げた究道者ならずして、これ程の傑物は生まれない。
しかし高揚感へ身を委ねる戦場ではなく、真っ当とかけ離れた闘争の相手とくれば。
斬って殺す以外に割く思考は不要。
真に剣へ全てを捧げた究道者ならずして、これ程の傑物は生まれない。
しかし高揚感へ身を委ねる戦場ではなく、真っ当とかけ離れた闘争の相手とくれば。
斬って殺す以外に割く思考は不要。
視線が交差、言葉は無くとも死合の引き金は引かれた。
地縛神を喰い千切り、星狩りへ死に物狂いで食らい付き練度を高めた鬼の双剣。
僅か半日の間で、未完成な技の穴を大きく埋めるに至った。
無駄な動きが欠片もない、斬るか斬られるかの世界で前者を掴み取らんが為の刃が踊り狂う。
地縛神を喰い千切り、星狩りへ死に物狂いで食らい付き練度を高めた鬼の双剣。
僅か半日の間で、未完成な技の穴を大きく埋めるに至った。
無駄な動きが欠片もない、斬るか斬られるかの世界で前者を掴み取らんが為の刃が踊り狂う。
なれど、敵もまた侮り難し絶技の使い手。
昨日今日、二振りの剣を持った相手に後れは取らない。
頸を狙えばさせじと受け流され、両腕を落とさんとするも掠めさせてすらもらえない。
反対に武蔵の刀も死を届け終える事はなく、鬼の双剣が退ける。
昨日今日、二振りの剣を持った相手に後れは取らない。
頸を狙えばさせじと受け流され、両腕を落とさんとするも掠めさせてすらもらえない。
反対に武蔵の刀も死を届け終える事はなく、鬼の双剣が退ける。
拮抗状態へ陥りつつある剣戟へ、変化を起こすは煌びやかな一閃。
眼前とは別方向よりの殺意を、肌を突き刺す痛みで察知。
視線を向けぬままに妖刀を叩き付け、刀身へ振動が奔った。
虚哭神去を打った敵の剣は視界に映らない、だが発せられる存在感は偽りに非ず。
不可視の得物を操る当人も武蔵同様、女の肉体を持つ者。
甲冑で隠そうと、透き通る世界は誤魔化せない。
相も変わらず異性の特徴を持ちながら、顔面だけは汚らしい男のソレだが。
眼前とは別方向よりの殺意を、肌を突き刺す痛みで察知。
視線を向けぬままに妖刀を叩き付け、刀身へ振動が奔った。
虚哭神去を打った敵の剣は視界に映らない、だが発せられる存在感は偽りに非ず。
不可視の得物を操る当人も武蔵同様、女の肉体を持つ者。
甲冑で隠そうと、透き通る世界は誤魔化せない。
相も変わらず異性の特徴を持ちながら、顔面だけは汚らしい男のソレだが。
アルトリア・ペンドラゴン、冬木の聖杯戦争にセイバークラスで召喚された英霊。
選定のやり直しによる祖国救済、等といった願望器を求める理由じゃあなく。
野獣先輩新説シリーズという、趣味人(ホモガキ)に付け足されたホモビ男優の一側面故に。
彼女もまた、邪神の駒へ堕ち聖剣を振るう。
選定のやり直しによる祖国救済、等といった願望器を求める理由じゃあなく。
野獣先輩新説シリーズという、趣味人(ホモガキ)に付け足されたホモビ男優の一側面故に。
彼女もまた、邪神の駒へ堕ち聖剣を振るう。
二天一流と騎士王、剣士としての最高峰たる二名が斬り掛かる。
聖剣相手に魔皇剣で斬り合う傍ら、妖刀が吐き出す月輪が二刀へ殺到。
三日月の檻を暴風が消し飛ばし、十字の斬撃波を武蔵が打ち出した。
魔皇力を乗せて掻き消しながらも、黒死牟の六眼は戦況を見誤らない。
両名共に、自分ですら時折舌を巻く腕前である。
同時に下半身を肉の蔓で本体と繋げている為、彼女達の足運びは当然再現不可能。
これでは、本来の実力を発揮出来ていない。
聖剣相手に魔皇剣で斬り合う傍ら、妖刀が吐き出す月輪が二刀へ殺到。
三日月の檻を暴風が消し飛ばし、十字の斬撃波を武蔵が打ち出した。
魔皇力を乗せて掻き消しながらも、黒死牟の六眼は戦況を見誤らない。
両名共に、自分ですら時折舌を巻く腕前である。
同時に下半身を肉の蔓で本体と繋げている為、彼女達の足運びは当然再現不可能。
これでは、本来の実力を発揮出来ていない。
更に、新説シリーズの力を複数一斉に使うと書けば強力に見えるものの。
実際には一人分が通れる通路に、数十人を無理やり押し込めた状態だ。
現に黒死牟と斬り合う剣士達の体は、少なからず崩壊が見られる。
自分達が何かするまでもなく、時間経過で敵は自滅。
と楽観視するには苛烈極まる攻撃に出ており、何もせずに終わる戦いじゃあない。
実際には一人分が通れる通路に、数十人を無理やり押し込めた状態だ。
現に黒死牟と斬り合う剣士達の体は、少なからず崩壊が見られる。
自分達が何かするまでもなく、時間経過で敵は自滅。
と楽観視するには苛烈極まる攻撃に出ており、何もせずに終わる戦いじゃあない。
斬って終わらせる、誰に言われなくとも最初からそのつもりだ。
三方向より迫り来る刃を、鬼の剛剣が纏めて薙ぎ払う。
三方向より迫り来る刃を、鬼の剛剣が纏めて薙ぎ払う。
「だークソッ!しつけぇな……!」
本体を直接叩きに向かい、足止めを受けたのはクローズチャージもそう。
シルバーの肉体を持つ異星人染みた戦士、黄金の仮面を被った戦士。
アメコミチックな外見のヒーロー、E・HEROネオスとM・HERO光牙。
拳とブレードが同時に襲い掛かり、それぞれを片腕ずつで対処。
ネオスの打撃を打ち払いつつ、もう片方は烈火で防ぐ。
多対一が初でないとは言っても、執拗に邪魔をされれば愚痴も零したくなる。
シルバーの肉体を持つ異星人染みた戦士、黄金の仮面を被った戦士。
アメコミチックな外見のヒーロー、E・HEROネオスとM・HERO光牙。
拳とブレードが同時に襲い掛かり、それぞれを片腕ずつで対処。
ネオスの打撃を打ち払いつつ、もう片方は烈火で防ぐ。
多対一が初でないとは言っても、執拗に邪魔をされれば愚痴も零したくなる。
『SCRAP BREAK!』
「スマッシュなのか違うのか分かんねぇけど、呑気に相手してられっかよ!」
スクラッシュゼリーの成分が活性化され、右腕に紅焔を纏わせ突撃。
咄嗟に両腕を交差したネオスへ、構うものかと拳が炸裂。
防御を突き抜け胴体を貫通、悲鳴こそ出ないが消滅。
そこへ腰の捻りを加え、烈火を振るい光牙もすぐに後を追った。
ブレードを叩き割られ両断された姿を、最後まで見送らずに駆け出し、
咄嗟に両腕を交差したネオスへ、構うものかと拳が炸裂。
防御を突き抜け胴体を貫通、悲鳴こそ出ないが消滅。
そこへ腰の捻りを加え、烈火を振るい光牙もすぐに後を追った。
ブレードを叩き割られ両断された姿を、最後まで見送らずに駆け出し、
「っ!?」
急接近する気配へ、烈火を翳し防ぐ体勢を取る。
予想通り刀身が音を立て、軽く見れない重みが掛かった。
得物を挟んで仕掛けた者を睨み付け、仮面の下で苦々しさが溢れ出す。
予想通り刀身が音を立て、軽く見れない重みが掛かった。
得物を挟んで仕掛けた者を睨み付け、仮面の下で苦々しさが溢れ出す。
赤く輝く瞳と、アイスブルーの装甲。
纏う冷気と裏腹の、燃え盛る心火が本物にはあったろうに。
目の前のソイツからは、何一つ熱さを感じなかった。
仮面ライダーグリスブリザードを前に、クローズチャージの怒りは留まる所を知らない。
纏う冷気と裏腹の、燃え盛る心火が本物にはあったろうに。
目の前のソイツからは、何一つ熱さを感じなかった。
仮面ライダーグリスブリザードを前に、クローズチャージの怒りは留まる所を知らない。
「どいつもこいつも……ふざけた真似しやがって……!!」
悪しき陰陽師が、相棒の模造体(コピー)を差し向けた時と同じだ。
散った仲間達を悉く弄び、ヒーローの証を踏み躙る。
ラブ&ピースへ唾を吐き徹底して踏み躙る者達へ、マグマの如き激昂を抑えられない。
これ以上、仲間達の戦いを穢させない為にも。
必ずや叩き潰すと、絶大な憤怒を籠めた拳を放った。
散った仲間達を悉く弄び、ヒーローの証を踏み躙る。
ラブ&ピースへ唾を吐き徹底して踏み躙る者達へ、マグマの如き激昂を抑えられない。
これ以上、仲間達の戦いを穢させない為にも。
必ずや叩き潰すと、絶大な憤怒を籠めた拳を放った。
戦意喪失が起きなくとも、勝てるかどうかは別の話だ。
邪神の肩部が盛り上がり、白銀の竜が顔を出す。
青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)が口内へエネルギーを収束、放つ先には大槌片手に駆ける少女。
邪神の肩部が盛り上がり、白銀の竜が顔を出す。
青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)が口内へエネルギーを収束、放つ先には大槌片手に駆ける少女。
『右斜め上から来ます!』
「っ、いい加減にして……!」
「っ、いい加減にして……!」
熱線の放射を躱すでなく、大槌を投擲し打ち消す。
足は止めずに接近、神腕を叩き込むが敵も巨腕を振るって対抗。
神と神、体躯に大きな差はあるも秘めたる力は片方に劣らない。
だがイリヤに立ち塞がるのは邪神だけじゃない、真下から噛み砕かんとオシリスの顎が襲い来る。
そちらへ意識を奪われ、拮抗に揺らぎが生じたのを相手は見逃さない。
押し返されて、高層マンションに叩き付けられた。
足は止めずに接近、神腕を叩き込むが敵も巨腕を振るって対抗。
神と神、体躯に大きな差はあるも秘めたる力は片方に劣らない。
だがイリヤに立ち塞がるのは邪神だけじゃない、真下から噛み砕かんとオシリスの顎が襲い来る。
そちらへ意識を奪われ、拮抗に揺らぎが生じたのを相手は見逃さない。
押し返されて、高層マンションに叩き付けられた。
「ぐっ……っ……!」
壁をぶち抜き、奥へ押し出されるも両足で踏ん張り留まる。
脳内で絶えず囁かれる「父」の声が、後退せずに立ち向かえと囃し立てた。
言われずともそのつもりだ、瓦礫を蹴り払って再度突撃。
屋外に出た途端、招雷スキルが機能し得物を帯電。
熱線が撃ち込まれるなら、諸共捻じ伏せる勢いで以て仕掛け、
脳内で絶えず囁かれる「父」の声が、後退せずに立ち向かえと囃し立てた。
言われずともそのつもりだ、瓦礫を蹴り払って再度突撃。
屋外に出た途端、招雷スキルが機能し得物を帯電。
熱線が撃ち込まれるなら、諸共捻じ伏せる勢いで以て仕掛け、
「えっ……!?」
身動きが出来ない。
大槌を振り被った体勢を取るも、その先へ進めない。
振り下ろそうと試みれば、不可視の鎖が巻き付いたように固まるのだ。
おまけに帯電させた筈の雷は消滅、これ程早くに効果が切れるのは不自然。
ならばと再び雷を落とそうにも、空は沈黙を保ち何も応えなかった。
大槌を振り被った体勢を取るも、その先へ進めない。
振り下ろそうと試みれば、不可視の鎖が巻き付いたように固まるのだ。
おまけに帯電させた筈の雷は消滅、これ程早くに効果が切れるのは不自然。
ならばと再び雷を落とそうにも、空は沈黙を保ち何も応えなかった。
「おいどうなってんだよこれ!?」
「魔力が……!」
「……っ」
「魔力が……!」
「……っ」
異変が起きたのはイリヤだけでなく、邪神へ抗う全員がそう。
装備にボトルを装填し、攻撃に打って出るつもりが一向に反応を見せない。
魔力で生成した武器が一斉に消え、再び作ろうにも何故か不可能。
混乱に陥る者達を尻目に、黒死牟もまた予想外の事態へ凍り付く。
魔皇力が使えない、自身の中に存在は感じても引き出す事が出来なくなった。
装備にボトルを装填し、攻撃に打って出るつもりが一向に反応を見せない。
魔力で生成した武器が一斉に消え、再び作ろうにも何故か不可能。
混乱に陥る者達を尻目に、黒死牟もまた予想外の事態へ凍り付く。
魔皇力が使えない、自身の中に存在は感じても引き出す事が出来なくなった。
一連の事態を引き起こしたのは、邪神の胸部から突き出たモンスター。
真竜皇V.F.D.(ザ・ビースト)、黙示録の獣を模した終焉の化身。
デュエルモンスターズにおいてはエクシーズ召喚で現れ、フィールドを制圧する強力無比なカード。
相手モンスターを指定した属性に変え、その属性のモンスター全ての攻撃と効果の発動を封じる。
イリヤ達は邪神への攻撃はおろか、各々の持つ力を使用不可へ追いやられたのだ。
真竜皇V.F.D.(ザ・ビースト)、黙示録の獣を模した終焉の化身。
デュエルモンスターズにおいてはエクシーズ召喚で現れ、フィールドを制圧する強力無比なカード。
相手モンスターを指定した属性に変え、その属性のモンスター全ての攻撃と効果の発動を封じる。
イリヤ達は邪神への攻撃はおろか、各々の持つ力を使用不可へ追いやられたのだ。
『バクサイ■■マ■ネ~』
大先輩の背中を流すような気楽さと正反対に、邪神は加減も容赦も知らない。
オシリスの口内へ膨大な熱が発生、ロクな抵抗も出来ぬ連中を纏めて消し飛ばす。
キャルが変身したファイブキングや、遊戯が持つ本物のオシリスはいない。
迎え撃とうにも、攻撃そのものを封じられてはお手上げだ。
オシリスの口内へ膨大な熱が発生、ロクな抵抗も出来ぬ連中を纏めて消し飛ばす。
キャルが変身したファイブキングや、遊戯が持つ本物のオシリスはいない。
迎え撃とうにも、攻撃そのものを封じられてはお手上げだ。
「っ!!わたしの後ろに来て!」
だが使えなくされたのは、攻撃と効果の二種のみ。
この体にはまだ、半神半巨人の力が降りたまま。
であるなら仲間を守れるのは自分のみ、すべき事を理解したイリヤは迷わない。
抵抗を嘲笑うように、特大の熱線が放たれた。
対するイリヤは大槌を持ったまま、神腕を盾として翳す。
神の領域へ鎮座する部位だからこそ、可能な荒業だった。
この体にはまだ、半神半巨人の力が降りたまま。
であるなら仲間を守れるのは自分のみ、すべき事を理解したイリヤは迷わない。
抵抗を嘲笑うように、特大の熱線が放たれた。
対するイリヤは大槌を持ったまま、神腕を盾として翳す。
神の領域へ鎮座する部位だからこそ、可能な荒業だった。
「くっ……ああああああああああああああああああああああああああっ……!!!」
だとしても、圧し掛かる負担は馬鹿にならない。
一歩でも退いてしまったら、即座に飲み込まれそうだ。
自分が負ければ仲間が死ぬ、それが嫌なら前に突き進むことだけを考えろ。
言い聞かせる己自身の声と「父」の声が、敗北の可能性を破り捨て、
一歩でも退いてしまったら、即座に飲み込まれそうだ。
自分が負ければ仲間が死ぬ、それが嫌なら前に突き進むことだけを考えろ。
言い聞かせる己自身の声と「父」の声が、敗北の可能性を破り捨て、
「――――――っ!!!??!!」
やがて相殺。
神の息吹とも言うべき灼熱は、イリヤ達を焼き払うより先に出し切って。
イリヤもまた、防ぎ切れなかった熱風で仲間共々吹き飛ばされる。
地面に叩き付けられるのみならず、引き摺られて剥き出しの肌へ摩擦が走った。
痛さと熱さがいっぺんに襲い、顔を顰めるも優先事項はそこじゃない。
頭を振って眩暈を追い出し、仲間達の無事を確かめる。
神の息吹とも言うべき灼熱は、イリヤ達を焼き払うより先に出し切って。
イリヤもまた、防ぎ切れなかった熱風で仲間共々吹き飛ばされる。
地面に叩き付けられるのみならず、引き摺られて剥き出しの肌へ摩擦が走った。
痛さと熱さがいっぺんに襲い、顔を顰めるも優先事項はそこじゃない。
頭を振って眩暈を追い出し、仲間達の無事を確かめる。
「みんなは……!」
「だい、じょうぶ……イリヤちゃんが守ってくれたから……」
「だい、じょうぶ……イリヤちゃんが守ってくれたから……」
打った箇所を押さえているも、いろはに致命傷は見当たらない。
衝撃で変身解除された万丈や、地面に剣を突き刺し留まった黒死牟も同様。
安堵がこみ上げ、クラスカードが排出されてるのにようやく気付いた。
衝撃で変身解除された万丈や、地面に剣を突き刺し留まった黒死牟も同様。
安堵がこみ上げ、クラスカードが排出されてるのにようやく気付いた。
『――――っ、やっと話せるようになりましたか……!面目ありません、ルビーちゃん一生の不覚……!』
V.F.D.の影響故か、自身の意思と裏腹に言葉を出せなかったのもさっきまでの話。
狂化が加速的に進行するより早く、クラスカードを強制排出。
物理耐性を急ぎ強化したが、流石にノーダメージとはいかず生傷がチラホラ。
とはいえこの程度で済んだのは幸運だろう、治療促進(ヒーリング)で回復を行い、
狂化が加速的に進行するより早く、クラスカードを強制排出。
物理耐性を急ぎ強化したが、流石にノーダメージとはいかず生傷がチラホラ。
とはいえこの程度で済んだのは幸運だろう、治療促進(ヒーリング)で回復を行い、
本当の絶望が、黄金の輝きを伴って姿を見せた。
『こ、の、反応、は――!?』
彼女にしては非常に珍しく、引き攣った声のルビーへ誰も疑問を持たない。
凍り付き、目を見開き、震えに苛まれ、細胞が悲鳴を上げる。
反応に違いはあれど、共通して抱いた事は一つ。
マズいものが来る、自分達を確実に滅ぼす存在が現れてしまった。
凍り付き、目を見開き、震えに苛まれ、細胞が悲鳴を上げる。
反応に違いはあれど、共通して抱いた事は一つ。
マズいものが来る、自分達を確実に滅ぼす存在が現れてしまった。
『オレヲシツボウサセナイデクレヨナ~タノムヨ~』
邪神の頭部が花開くように割れ、生れ出たソレは。
鍛え抜かれた、との陳腐な言葉では到底表し切れない。
逞しいを通り越し、美しさを感じずにはいられない肉体。
流す金の髪は、世のありとあらゆる財宝を掻き集めたとて微塵も釣り合わぬ。
神々しさに溢れ、輝きとはこの者の為にこそあるべき言葉と思い知るだろう。
鍛え抜かれた、との陳腐な言葉では到底表し切れない。
逞しいを通り越し、美しさを感じずにはいられない肉体。
流す金の髪は、世のありとあらゆる財宝を掻き集めたとて微塵も釣り合わぬ。
神々しさに溢れ、輝きとはこの者の為にこそあるべき言葉と思い知るだろう。
それ程の、この世ならざる美と強さを兼ね備えて尚。
たった一つ、顔面だけは不釣り合いに醜い野獣。
他の美しさが過ぎる余り、ミスマッチさが際立つ。
生まれたことそのものが大罪と断じる他ない、悼ましき魔人。
たった一つ、顔面だけは不釣り合いに醜い野獣。
他の美しさが過ぎる余り、ミスマッチさが際立つ。
生まれたことそのものが大罪と断じる他ない、悼ましき魔人。
野獣先輩ラインハルト・ハイドリヒ説。
聖槍十三騎士団・黒円卓第一席。
『愛すべからざる光(メフィストフェレス)』もまた、野獣先輩の正体候補の一人。
こんなマリィにすら蔑まれ唾を吐き掛けられそうな汚物が、獣殿な訳ないだろいい加減にしろ。
といった風にお怒りの団員兄貴姉貴達もいるだろうが、まま、そう焦んないでよ(神託)。
聖槍十三騎士団・黒円卓第一席。
『愛すべからざる光(メフィストフェレス)』もまた、野獣先輩の正体候補の一人。
こんなマリィにすら蔑まれ唾を吐き掛けられそうな汚物が、獣殿な訳ないだろいい加減にしろ。
といった風にお怒りの団員兄貴姉貴達もいるだろうが、まま、そう焦んないでよ(神託)。
黄金の獣もまた、所詮は情報(データ)の一つでしかない。
だが愛に縋りつく獣の力の一部であるのなら、抗う者達にとっては敵。
だが愛に縋りつく獣の力の一部であるのなら、抗う者達にとっては敵。
であればこそ、破壊でしか愛を示せぬ獣本人のように。
絶望で以て、此度の闘争に幕を下ろす。
絶望で以て、此度の闘争に幕を下ろす。
「 Yetzirah(形成) ―――― 」
「 Vere filius Dei erat iste
ここに神の子 顕現せり
ここに神の子 顕現せり
Longinuslanze Testament ―――― 」
聖約・運命の神槍
聖約・運命の神槍
「なんなの……あれ……」
カレイドライナーの掠れた問いへ、返せる答えは誰も持たない。
獣が掲げた右腕に、音もなく握られた一本の槍。
獣が掲げた右腕に、音もなく握られた一本の槍。
それは、救世主(メシア)を地上より消し去った罪の象徴。
それは、一つの時代に一人だけが振るうことを許された王の証。
それは、槍の形へ凝縮された世界であり宇宙(ヴェルトール)。
それは、藤井蓮(ツァラトゥストラ)ですら操れぬ最強の聖遺物。
それは、一つの時代に一人だけが振るうことを許された王の証。
それは、槍の形へ凝縮された世界であり宇宙(ヴェルトール)。
それは、藤井蓮(ツァラトゥストラ)ですら操れぬ最強の聖遺物。
聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)。
最高位の聖遺物たる、神殺しの槍。
常人では視界に入れただけで灰に還る、唯一無二の得物へ宿るは業火。
膨大、と形容する事すら憚れる熱量を否が応でも感じ取った。
最高位の聖遺物たる、神殺しの槍。
常人では視界に入れただけで灰に還る、唯一無二の得物へ宿るは業火。
膨大、と形容する事すら憚れる熱量を否が応でも感じ取った。
ラインハルトを知る者が見たら、余りの“弱さ”に瞠目するだろう。
あくまで新説シリーズの一つに過ぎず、まして他の説との併用で不純物が大量に混ざった状態。
そもそもの話、パワーバランスを呆気なく崩す展開をゲームマスターは認めない。
故に、黄金の獣本人とは比べる事すら不敬極まる力しか発揮不可能。
あくまで新説シリーズの一つに過ぎず、まして他の説との併用で不純物が大量に混ざった状態。
そもそもの話、パワーバランスを呆気なく崩す展開をゲームマスターは認めない。
故に、黄金の獣本人とは比べる事すら不敬極まる力しか発揮不可能。
なれど、脅威であるのに一切変わりはなく。
対峙する4人を確実に殺す程度は、蟻を踏み潰すよりも容易い。
対峙する4人を確実に殺す程度は、蟻を踏み潰すよりも容易い。
『――――――――――っ!!!!!』
硬直から一転、共通の危機感が弾丸の炸裂を重ねる速さで彼らを突き動かした。
アレを使わせるな、アレが何かする前に倒せ。
そうでなければ、自分達は間違いなくここで死ぬ。
疑う余地が見当たらない、死神の鎌が喉元へ食い込みつつある現実。
互いに向け合う言葉は必要無し、そんなものへ思考を割けば全てが間に合わない。
自分が何と叫んだかも、定かでないままに駆け出す。
アレを使わせるな、アレが何かする前に倒せ。
そうでなければ、自分達は間違いなくここで死ぬ。
疑う余地が見当たらない、死神の鎌が喉元へ食い込みつつある現実。
互いに向け合う言葉は必要無し、そんなものへ思考を割けば全てが間に合わない。
自分が何と叫んだかも、定かでないままに駆け出す。
死肉へ群がる蛆虫さながらに、使い魔が殺到。
妨害に動くとは獣も分かっていた、なれば差し向けるのは必然の流れ。
妨害に動くとは獣も分かっていた、なれば差し向けるのは必然の流れ。
「ど――きやがれぇっ!!」
火炎を纏いし鉄拳が薙ぎ払い、第二陣とでも言うようにライダー達が光弾を発射。
人類社会を脅かす怪人を撃破して来た、ヒーロー達の技も今は羽虫以上に目障り。
月輪と光矢に掻き消されるも、複数体の竜が熱線を発射。
近付けさせまいと高熱の壁が生み出されれば、銀毛の少女が魔術師の英霊を降ろす。
人類社会を脅かす怪人を撃破して来た、ヒーロー達の技も今は羽虫以上に目障り。
月輪と光矢に掻き消されるも、複数体の竜が熱線を発射。
近付けさせまいと高熱の壁が生み出されれば、銀毛の少女が魔術師の英霊を降ろす。
「この……!」
竜牙兵が使い魔を蹴散らし、魔力を収束し壁を焼き払う。
止めなくては、何とかしなくては手遅れになる。
焦燥を露わに足掻くも、結局は無意味でしかない。
突き付けた聖槍の穂先が灼熱を帯び、解放の時が訪れんとしている。
止めなくては、何とかしなくては手遅れになる。
焦燥を露わに足掻くも、結局は無意味でしかない。
突き付けた聖槍の穂先が灼熱を帯び、解放の時が訪れんとしている。
『ジュー■ューニナルマデ■ルカラナァ?』
勝利を収めたとて、己がどうなっているか。
優勝者の玉座を手に入れ、願いを叶えられるかなど。
考えられるだけの、自我が残ってるかどうかも怪しく。
優勝者の玉座を手に入れ、願いを叶えられるかなど。
考えられるだけの、自我が残ってるかどうかも怪しく。
ただ、残骸と果てた愛を貫く最後の一手を打ち――
○○○
その光景を見た時、いろはが思った事は多くない。
止めなければと、焦りを隠さずに矢を放った。
死なせたくないと、恐怖を抱えて槍を放った。
諦めてたまるかと、持ち得る魔力を費やし続け。
止めなければと、焦りを隠さずに矢を放った。
死なせたくないと、恐怖を抱えて槍を放った。
諦めてたまるかと、持ち得る魔力を費やし続け。
これは無理だと、諦める声を確かに聞いた。
(だめ……そんなの、絶対に駄目……)
槍が齎す破壊はきっと、避けられないとの確信があった。
ここまでどんな戦いをして来ただとか、譲れない想いは何だとか。
一切合切が関係無しに、自分達は殺される。
日が沈み、月が顔を出す頃にはもう。
獣へ抗った者達は、神が楽し気に告げる脱落者達の仲間入り。
ここまでどんな戦いをして来ただとか、譲れない想いは何だとか。
一切合切が関係無しに、自分達は殺される。
日が沈み、月が顔を出す頃にはもう。
獣へ抗った者達は、神が楽し気に告げる脱落者達の仲間入り。
(終われない……終わらせたくなんか、ない……!)
龍の戦士は、亡き戦友達への誓いを果たせず力尽きる。
銀の魔法少女は、救いたいという我儘(ねがい)を閉ざされて朽ち果てる。
六眼の鬼は、日輪と真の意味で向き合えずに冥界へ突き落とされる。
銀の魔法少女は、救いたいという我儘(ねがい)を閉ざされて朽ち果てる。
六眼の鬼は、日輪と真の意味で向き合えずに冥界へ突き落とされる。
妹達との再会も、彼へ抱いた決意も、青い魔法少女との約束も。
何もかもが、ここで終わらせてたまるか。
何もかもが、ここで終わらせてたまるか。
手を伸ばす。
矢も槍も届かないけど、知った事じゃないと伸ばし続ける。
矢も槍も届かないけど、知った事じゃないと伸ばし続ける。
深い考えがあっての行動ではない、ただ止めなくてはと。
地獄が現実になる未来を、変えなければと。
危機感や使命感をかなぐり捨てた、本能で己を動かす。
地獄が現実になる未来を、変えなければと。
危機感や使命感をかなぐり捨てた、本能で己を動かす。
止まれ、やめろ、絶対にさせない。
駄々をこねる子供のようで、断じて認めない頑固さで。
翳した手を起点に、無我夢中で魔力を迸らせ。
駄々をこねる子供のようで、断じて認めない頑固さで。
翳した手を起点に、無我夢中で魔力を迸らせ。
盤面を、引っ繰り返した。
○
『――――――――――ハ?』
一体何がどうなってるのか、まるで理解が及ばない。
聖槍を振るい、神火で以て此度の闘争へ幕を引く筈だった。
何者よりも速く、何者も逃れられず、絶対たる滅びを与える。
たとえ贋物の獣であっても、破壊の神威は容易く打ち破れはしない。
黄金を壊れかけの愛で貶めた野獣が、勝利を手に入れる結末は確定。
聖槍を振るい、神火で以て此度の闘争へ幕を引く筈だった。
何者よりも速く、何者も逃れられず、絶対たる滅びを与える。
たとえ贋物の獣であっても、破壊の神威は容易く打ち破れはしない。
黄金を壊れかけの愛で貶めた野獣が、勝利を手に入れる結末は確定。
では何故、聖槍が跡形も無く消えているのか。
邪神の頭部を裂いて生まれた黄金は、影も形も見当たらないのか。
邪神の頭部を裂いて生まれた黄金は、影も形も見当たらないのか。
自分に何が起きたかすら理解が追い付かず、濁り切った眼が捉えたのは。
片手を翳した体勢で、驚愕に固まる桜色の魔法少女。
片手を翳した体勢で、驚愕に固まる桜色の魔法少女。
具体的にどのような効果が起きるだとか、考えられず我武者羅に。
終わってたまるか、諦めたくないという一心でいろはは魔法を発動。
邪神を対象に魔力で干渉し、結果起きたのがこの光景。
終わってたまるか、諦めたくないという一心でいろはは魔法を発動。
邪神を対象に魔力で干渉し、結果起きたのがこの光景。
デスゲームにて、傷を負った仲間や自身へ向けて使ったように。
異なる世界線、妹の環ういを救えたいろはが。
深い亀裂が走った梓みふゆのソウルジェムや、キモチとの融合で暴走へ陥った紅晴結菜を。
元の状態へと治した。
異なる世界線、妹の環ういを救えたいろはが。
深い亀裂が走った梓みふゆのソウルジェムや、キモチとの融合で暴走へ陥った紅晴結菜を。
元の状態へと治した。
――否、“巻き戻した”ように。
ラインハルト説を引き出すよりも前へ、邪神の時間を戻した。
それが真相だ。
それが真相だ。
いろは自身が、固有魔法の本当の力を把握しておらず。
本人にとっても、全く予想外の展開となった。
付け加えるなら、複数の理由が重なった部分も大きい。
本人にとっても、全く予想外の展開となった。
付け加えるなら、複数の理由が重なった部分も大きい。
敵は本物のラインハルト・ハイドリヒではなく、新説シリーズという歪な情報(データ)の一つに過ぎないこと。
複数の説を併用している為、聖遺物にも不純物が大量に混じり不安定になったこと。
感情を激しく震わせた者に微笑む、心意システムがいろはにも少なからず影響を与えたこと。
複数の説を併用している為、聖遺物にも不純物が大量に混じり不安定になったこと。
感情を激しく震わせた者に微笑む、心意システムがいろはにも少なからず影響を与えたこと。
上記が噛み合い、いろはの魔法は発動に成功。
真なる絶望を齎す黄金の獣は、自らの力を行使する寸前で舞台袖に連れ戻された。
具体的な事情を正確に知る者はいない、降り注ぐ災厄の到来を回避し。
己が目で見た現実に、一つの確信を抱く。
真なる絶望を齎す黄金の獣は、自らの力を行使する寸前で舞台袖に連れ戻された。
具体的な事情を正確に知る者はいない、降り注ぐ災厄の到来を回避し。
己が目で見た現実に、一つの確信を抱く。
決着を付けるには今しかない。
この機を逃せば、黄金の顕現の焼き直し。
驚愕と困惑を噛み潰し、湧き上がる戸惑いを殴り飛ばして払い除ける。
絶望神を、愛以外を捨てた哀れな野獣を。
今度こそ倒さなくてはならぬと、我が身を突き動かす。
この機を逃せば、黄金の顕現の焼き直し。
驚愕と困惑を噛み潰し、湧き上がる戸惑いを殴り飛ばして払い除ける。
絶望神を、愛以外を捨てた哀れな野獣を。
今度こそ倒さなくてはならぬと、我が身を突き動かす。
『SCRAP BREAK!』
『TWIN BREAK!』
『ULTIMATE MATCH BREAK!』
スクラッシュゼリーの成分を活性化させ、両手の得物にフルボトルを叩き込む。
全身を鮮血色のエネルギーが包むのも一瞬、地を蹴り付け跳躍。
纏う光は紅龍へ変化し、クローズチャージに爆発的な加速を付与。
ジェットエンジンを思わせる爆音を轟かせ、邪神の元へと突き進む。
近付けさせまいとエネルギー弾や光刃をライダー達が浴びせるも、お構い無しだ。
全身を鮮血色のエネルギーが包むのも一瞬、地を蹴り付け跳躍。
纏う光は紅龍へ変化し、クローズチャージに爆発的な加速を付与。
ジェットエンジンを思わせる爆音を轟かせ、邪神の元へと突き進む。
近付けさせまいとエネルギー弾や光刃をライダー達が浴びせるも、お構い無しだ。
「こんな野郎に使われる為に……仮面ライダーになったんじゃねぇだろうがっ!!!」
突き出した拳が紅焔を放射し、目に付いた端から焼き潰す。
しぶとく引き金を引くも無駄だ、フルボトルバスターを一閃。
装填済のボトルの成分が、身の丈を遥かに超える刃を形成。
小賢しい妨害諸共叩っ斬り、邪神の巨椀をも削ぎ落とす。
しぶとく引き金を引くも無駄だ、フルボトルバスターを一閃。
装填済のボトルの成分が、身の丈を遥かに超える刃を形成。
小賢しい妨害諸共叩っ斬り、邪神の巨椀をも削ぎ落とす。
「おりゃあああああああああああっ!!!」
『読後一閃!烈火居合!』
歯止めを掛けんと、肩部より再び真竜皇が頭部を生やすも遅い。
効果発動を待たずして、火炎を纏いし聖剣が両断。
下顎部分を残し微かに揺れた後、炭のようにボロボロと崩れた。
効果発動を待たずして、火炎を纏いし聖剣が両断。
下顎部分を残し微かに揺れた後、炭のようにボロボロと崩れた。
「ルビー!」
『お任せください!』
『お任せください!』
宙へ急浮上したイリヤが、杖を翳し魔法陣を複数展開。
収束する膨大な魔力へ危機感を煽られ、迎撃に出るのはオシリス。
両者引けを取らぬ熱量を掻き集め、タイミングを同じくして発射。
魔力砲と超電動波の激突で、夕焼けに彩られた街を光が侵食。
下手な宝具を凌駕する威力の魔術なれど、敵はデュエルモンスターズ界に伝わる伝説の一体。
偽りの神を滅ぼせる、真なる神を従えし決闘者は傍らにいない。
収束する膨大な魔力へ危機感を煽られ、迎撃に出るのはオシリス。
両者引けを取らぬ熱量を掻き集め、タイミングを同じくして発射。
魔力砲と超電動波の激突で、夕焼けに彩られた街を光が侵食。
下手な宝具を凌駕する威力の魔術なれど、敵はデュエルモンスターズ界に伝わる伝説の一体。
偽りの神を滅ぼせる、真なる神を従えし決闘者は傍らにいない。
「天光満つる処に、我は在り……」
しかし、神を倒す術がないと誰が決めた。
少女の我儘(ねがい)は、神に勝てない道理などあるものか。
少女の我儘(ねがい)は、神に勝てない道理などあるものか。
「黄泉の門開く処に……汝在り……!」
最大火力の砲撃を放ちながら、全く別の術式を構築。
ルビーが全力で補助(サポート)に回っていても、負担は馬鹿にならない。
こめかみが軋み、頭部を万力で締め付けられたに等しい痛みが襲う。
敗北の底なし沼から伸びた無数の手を、黙っていろと蹴散らす。
ルビーが全力で補助(サポート)に回っていても、負担は馬鹿にならない。
こめかみが軋み、頭部を万力で締め付けられたに等しい痛みが襲う。
敗北の底なし沼から伸びた無数の手を、黙っていろと蹴散らす。
「出でよ神の雷――」
“この程度”の痛みで、自分を止める気ならお笑いだ。
誰が諦めるか、誰が負けてなどやるものか。
目障りな激痛を薙ぎ払うように、神へ叫び返す。
誰が諦めるか、誰が負けてなどやるものか。
目障りな激痛を薙ぎ払うように、神へ叫び返す。
「インディグネイション……!!!」
神を騙る許し難き大罪人へ、神罰が下るが如く。
光の柱がオシリスの太い首を貫き、超電動波の勢いを急激に低下へ追いやる。
一度弱まった以上は最早、恐れるに足りず。
抵抗の余地を与えず、魔力砲が真紅の竜を消し飛ばす。
痛覚まで共有していたのか、半身の消失へ絶望神もくぐもった呻き声を上げた。
光の柱がオシリスの太い首を貫き、超電動波の勢いを急激に低下へ追いやる。
一度弱まった以上は最早、恐れるに足りず。
抵抗の余地を与えず、魔力砲が真紅の竜を消し飛ばす。
痛覚まで共有していたのか、半身の消失へ絶望神もくぐもった呻き声を上げた。
道は開けた、刃を喰い込ませるこれ以上ない機会を得られた。
触れる全てを溶解しかねん程に血液が沸騰、生前の限界値を振り切る。
細胞一つ一つへ流し込まれる魔族の力が、神を滅ぼす為の領域へ踏み越えさせる。
全集中の呼吸と魔皇力、操りし技術/異能が鬼の牙を研ぎ澄ませ、
触れる全てを溶解しかねん程に血液が沸騰、生前の限界値を振り切る。
細胞一つ一つへ流し込まれる魔族の力が、神を滅ぼす為の領域へ踏み越えさせる。
全集中の呼吸と魔皇力、操りし技術/異能が鬼の牙を研ぎ澄ませ、
「黒死牟さん……!」
鼓膜を掠める声に視線をやれば、手を伸ばす娘が見えた。
何考えてるかなど、思考へ沈まずとも分かる。
己へ力を寄越す事に、悪鬼に力を明け渡す事に一切の疑問も躊躇も抱かない。
今に始まったものでない、環いろはの姿へ。
煩わしさと、心中をざわつかせる例えようのない感覚もこの瞬間は捨て置く。
見やる先は絶望神に固定、魔皇剣を地面へ突き刺し。
何考えてるかなど、思考へ沈まずとも分かる。
己へ力を寄越す事に、悪鬼に力を明け渡す事に一切の疑問も躊躇も抱かない。
今に始まったものでない、環いろはの姿へ。
煩わしさと、心中をざわつかせる例えようのない感覚もこの瞬間は捨て置く。
見やる先は絶望神に固定、魔皇剣を地面へ突き刺し。
「…………力を流せ。私が片を付ける……」
「っ!はい……!」
「っ!はい……!」
言わずとも良い、余計なものまで口走ったことへの。
いろはの意図を汲む旨を、あえて言葉へ出した自分自身への。
不可解故に生じる苛立ちを洗い流すように、重ねた掌から流れ込む魔力。
鬼と魔法少女、異なる力を纏め上げ再び魔皇剣を引き抜いた。
いろはの意図を汲む旨を、あえて言葉へ出した自分自身への。
不可解故に生じる苛立ちを洗い流すように、重ねた掌から流れ込む魔力。
鬼と魔法少女、異なる力を纏め上げ再び魔皇剣を引き抜いた。
幻影怪物に眠る、三体の魔物の魂の欠片。
星狩りとの戦闘時にも感じ取った、誇り高き蒼狼が目覚める。
人間の青年、紅音也。
ウルフェン族の生き残り、次狼。
相容れぬ異種族同士が絆を育んだ彼らのように、本来は手を取り合う事のあり得ぬ二人が。
狂い切った野獣の愛を、月牙と桜刃が喰らい潰す。
星狩りとの戦闘時にも感じ取った、誇り高き蒼狼が目覚める。
人間の青年、紅音也。
ウルフェン族の生き残り、次狼。
相容れぬ異種族同士が絆を育んだ彼らのように、本来は手を取り合う事のあり得ぬ二人が。
狂い切った野獣の愛を、月牙と桜刃が喰らい潰す。
――月の呼吸 拾伍ノ型【極】
双剣が咆え、絶望神の視界に映る景色を牙群が覆い尽くす。
頸を落とす程度では済まない、四肢と胴を砕いても尚足りぬ。
神という名の獲物を骨も残さず滅ばさんと、群れを成した牙が殺到。
頸を落とす程度では済まない、四肢と胴を砕いても尚足りぬ。
神という名の獲物を骨も残さず滅ばさんと、群れを成した牙が殺到。
新説シリーズを更に引き出す、再生能力を持つ情報(データ)で回復を試みる。
その全てが、儚い抵抗でしかない。
修復が完了せぬ内に噛み砕き、可能性の力が芽吹き掛けたものから磨り潰される。
藻掻き苦しむ邪神は天に助けを乞うように、巨椀を伸ばし五指を震わせ。
願いは聞き届けられること無く、喰い荒らされた。
その全てが、儚い抵抗でしかない。
修復が完了せぬ内に噛み砕き、可能性の力が芽吹き掛けたものから磨り潰される。
藻掻き苦しむ邪神は天に助けを乞うように、巨椀を伸ばし五指を震わせ。
願いは聞き届けられること無く、喰い荒らされた。
爪の欠片までもを、半月が砕き割った時。
巨体の奥深くへ隠されていた、命の核と呼ぶべき存在が出現。
百面相が幾つも張り付いた、巨大な顔面にも見える。
奇形としか言えない、形容し難い肉体が複雑に絡まり合ったようにも見える。
絶えず姿を変え続けるが、顔だけは汚らしい男にも見える。
色を失い、弱々しい鼓動を打つだけの心臓のようでもあった。
巨体の奥深くへ隠されていた、命の核と呼ぶべき存在が出現。
百面相が幾つも張り付いた、巨大な顔面にも見える。
奇形としか言えない、形容し難い肉体が複雑に絡まり合ったようにも見える。
絶えず姿を変え続けるが、顔だけは汚らしい男にも見える。
色を失い、弱々しい鼓動を打つだけの心臓のようでもあった。
アレを破壊すれば終わる、いいや破壊せねば終わりは来ない。
引き上げた走力で以て疾走、音を置き去りに核へと迫る。
繭の如く覆い被さった、絶望神はもういない。
同じ力を二度も使わせるだけの、猶予を与える気も皆無。
だがこの期に及んでも、向こうは死の拒絶へと動く。
引き上げた走力で以て疾走、音を置き去りに核へと迫る。
繭の如く覆い被さった、絶望神はもういない。
同じ力を二度も使わせるだけの、猶予を与える気も皆無。
だがこの期に及んでも、向こうは死の拒絶へと動く。
『オ■ハアイ■ノコトヲ■■シテルンダ■!シヌ■ハオマエ■■……!!』
言葉にこびり付く雑音が激しいのは、それだけ余裕がない為か。
肉体が軋むのに似た音を立て、腕を生やし振り下ろす。
幾本もの蔓を束ねて作ったようなソレが、咄嗟に行える抵抗らしい抵抗。
されど、死を受け入れない意思は。
生への渇望には偽りが宿らず、藻掻き続けるのを止める気が無かった。
肉体が軋むのに似た音を立て、腕を生やし振り下ろす。
幾本もの蔓を束ねて作ったようなソレが、咄嗟に行える抵抗らしい抵抗。
されど、死を受け入れない意思は。
生への渇望には偽りが宿らず、藻掻き続けるのを止める気が無かった。
「…………」
屠り合いに招かれて間もない頃なら、この一撃を受け滅んでも。
所詮己はこの程度、結局こうなるだけと。
自身の最期を冷め切った頭で、どうでもいいように受け入れただろう。
所詮己はこの程度、結局こうなるだけと。
自身の最期を冷め切った頭で、どうでもいいように受け入れただろう。
今となっては、納得出来ない終わりを断固として跳ね除ける。
弟の背を追う事を、諦められないから。
見るに堪えない愚かさを自覚し、それでもこの憎悪/羨望こそが己であるが故に。
忌まわしき日輪とは似ても似つかぬ、穢れた獣に殺される理由は存在しない。
我が身がいずれ朽ち果てるのは避けられなくとも、今ではなく――
弟の背を追う事を、諦められないから。
見るに堪えない愚かさを自覚し、それでもこの憎悪/羨望こそが己であるが故に。
忌まわしき日輪とは似ても似つかぬ、穢れた獣に殺される理由は存在しない。
我が身がいずれ朽ち果てるのは避けられなくとも、今ではなく――
ふと、頬と指先へ闘争の熱とは別に。
細く頼りない少女の指が触れた、とうに消えているだろう微熱が走る錯覚を覚え。
消滅に瀕した際の涙と、無事を確かめ綻ばせた笑みが浮かび上がり。
こんなものをよぎらせる己自身へ、言葉に出さず苦々しさを噛み締める。
細く頼りない少女の指が触れた、とうに消えているだろう微熱が走る錯覚を覚え。
消滅に瀕した際の涙と、無事を確かめ綻ばせた笑みが浮かび上がり。
こんなものをよぎらせる己自身へ、言葉に出さず苦々しさを噛み締める。
ああけれど、自分が死すれば傍らでさめざめと。
あの娘は、泣き崩れるだろうから。
剣士の死合いを小娘の涙で飾る、背筋の粟立つ未来を現実にしたいとも思わないから。
情に動かされたのでなく、だが死ねない理由に付け加えたのは否定せず。
あの娘は、泣き崩れるだろうから。
剣士の死合いを小娘の涙で飾る、背筋の粟立つ未来を現実にしたいとも思わないから。
情に動かされたのでなく、だが死ねない理由に付け加えたのは否定せず。
――月の呼吸 拾参ノ型【極】
迫りくる魔手共々、鬼の牙が終焉を刻み付けた。
『■■■■■……?■■■っ、■■■■■っ!?』
傷は消えない、斬られた箇所より命が溢れ出る。
掻き集めて戻す為の手も、新しく作り直す力も残っていない。
確定となった死をゼロへ戻す御業は、神ならぬ身では有する事も許されない。
掻き集めて戻す為の手も、新しく作り直す力も残っていない。
確定となった死をゼロへ戻す御業は、神ならぬ身では有する事も許されない。
『■■ン!■ッ!■ッ!』
取り戻す筈だった。
どんな犠牲を支払ってでも、どれだけの憎悪を集めても。
もう一度会いたい、顔を見たい、言葉を交わしたい。
愛し合うのを望む相手が、自分には確かにいた筈だと。
唯一残った想いだけを希望に戦って、戦い続けて。
どんな犠牲を支払ってでも、どれだけの憎悪を集めても。
もう一度会いたい、顔を見たい、言葉を交わしたい。
愛し合うのを望む相手が、自分には確かにいた筈だと。
唯一残った想いだけを希望に戦って、戦い続けて。
全てが、無に還る時が来た。
『■■ア゛ア゛■■ァ゛■ア゛ア゛ア゛■■■■■ァ゛ア゛!!!!ウ゛■ア゛■■ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ■ァ゛!!!!!ア゛ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!」
絶望は大絶叫となり、戦場一帯へ響き渡る。
核が元の形を取り戻す様子はないが、間近で突っ立っているのも悪い予感がする。
他ならぬ己の直感に従い、黒死牟は後方へと大きく跳ぶ。
核が元の形を取り戻す様子はないが、間近で突っ立っているのも悪い予感がする。
他ならぬ己の直感に従い、黒死牟は後方へと大きく跳ぶ。
「勝った、の……?」
『いえ、気を抜くにはまだ早いみたいですよ』
『いえ、気を抜くにはまだ早いみたいですよ』
核の崩壊は即ち、溜め込まれて来た新説シリーズの崩壊。
野獣先輩という受け皿を失った情報は、実態を保てずに融解。
コールタールのような黒い、液体とも生物とも取れぬ形へ変貌。
アスファルトへ垂れるや煙を上げ、徐々に被害規模を拡大。
下北沢の街は今や、野獣先輩の残骸によって大洪水に見舞われた。
本物の震災と違うのは、飲み込まれれば溺死よりも惨たらしい末路が訪れそうな点だが。
野獣先輩という受け皿を失った情報は、実態を保てずに融解。
コールタールのような黒い、液体とも生物とも取れぬ形へ変貌。
アスファルトへ垂れるや煙を上げ、徐々に被害規模を拡大。
下北沢の街は今や、野獣先輩の残骸によって大洪水に見舞われた。
本物の震災と違うのは、飲み込まれれば溺死よりも惨たらしい末路が訪れそうな点だが。
「お、おい!これ急いで逃げないとヤベェぞ!」
『ですねー、あれに触れたらどうなるかは、考えたくありませんし』
『ですねー、あれに触れたらどうなるかは、考えたくありませんし』
グズグズに溶かされる建造物を見て、逃げずに残ると言い出すのはただの自殺志願者だ。
核があった地点は既に、黒一色へ染まり地面が見えない。
急ぎ動かねば、次は自分達がアレに侵食されてしまう。
野獣先輩の撃破に伴い、ウワサの結界も既に消滅。
脱出を阻む壁が無いのであれば、留まる理由は完全に消えた。
核があった地点は既に、黒一色へ染まり地面が見えない。
急ぎ動かねば、次は自分達がアレに侵食されてしまう。
野獣先輩の撃破に伴い、ウワサの結界も既に消滅。
脱出を阻む壁が無いのであれば、留まる理由は完全に消えた。
「あん?こんな時に何だよ?……って、お前それ!?」
急ぎ街を出ようとした時、ちょいちょいと肩を突かれ振り返る。
使い魔達をシバき倒していた棺桶が、親指で差す先にはなんと自動車。
野獣先輩が絶望神になった際、放られたデイパックを目敏く回収。
中にはドーナツ複数個以外にも、白井邸で手に入れた白鳥号が仕舞われていたのだ。
元は他人の所有物なれど、この状況で倫理観を持ち出しゴネる者はいない。
鍵が刺さったままなのも運が良い、運転席へ急ぎ万丈が乗り込む。
助手席と後部座席にイリヤといろはも乗り、棺桶はデイパックへダイブし自ら収納。
残る一人、黒死牟は自動車の屋根へ飛び乗った。
使い魔達をシバき倒していた棺桶が、親指で差す先にはなんと自動車。
野獣先輩が絶望神になった際、放られたデイパックを目敏く回収。
中にはドーナツ複数個以外にも、白井邸で手に入れた白鳥号が仕舞われていたのだ。
元は他人の所有物なれど、この状況で倫理観を持ち出しゴネる者はいない。
鍵が刺さったままなのも運が良い、運転席へ急ぎ万丈が乗り込む。
助手席と後部座席にイリヤといろはも乗り、棺桶はデイパックへダイブし自ら収納。
残る一人、黒死牟は自動車の屋根へ飛び乗った。
「ふぇっ!?黒死牟さん!?」
『なんか前に我が家で観た映画で、こういう乗り方してるキャラがいましたね』
「あー、何の映画だっけ……じゃなくて!」
「どう見ても乗る場所じゃねぇだろ!?お前真面目ぶってるけどさては馬鹿なのか!?」
『なんか前に我が家で観た映画で、こういう乗り方してるキャラがいましたね』
「あー、何の映画だっけ……じゃなくて!」
「どう見ても乗る場所じゃねぇだろ!?お前真面目ぶってるけどさては馬鹿なのか!?」
車内は案の定、てんやわんやの混乱状態。
真下で聞こえる喧騒へ、さも喧し気に顰めた顔を作るも黒死牟が降りる気配はない。
その間にも背後からは黒い波が迫っており、会話の余裕は皆無。
真下で聞こえる喧騒へ、さも喧し気に顰めた顔を作るも黒死牟が降りる気配はない。
その間にも背後からは黒い波が迫っており、会話の余裕は皆無。
「急げ……ここで朽ち果てるのが望みか……?」
「ああクソッ!振り落とされんなよ!」
「ああクソッ!振り落とされんなよ!」
口論に割く時間も勿体ないと、ヤケクソ気味にアクセルを踏む。
エンジンを吹かし、白鳥号が急発進。
白井虎太郎が運転していた時は、いつガタが来てもおかしくない程に廃車寸前だったが。
妙な部分で運営側が気を利かせたのか、一気にスピードを上げても問題無く走行。
エンジンを吹かし、白鳥号が急発進。
白井虎太郎が運転していた時は、いつガタが来てもおかしくない程に廃車寸前だったが。
妙な部分で運営側が気を利かせたのか、一気にスピードを上げても問題無く走行。
「もっと速く走れねぇのかよ……!」
十分過ぎる速度を出し、平時であれば事故を起こしかねないがこの状況では別。
後方より迫る黒い波が勢いを増して、今にも追い付かれそうだ。
パニック映画さながらの絵面も、画面越しに眺めるなら娯楽で済むも。
実際に味わう側になると、微塵も笑えなかった。
後方より迫る黒い波が勢いを増して、今にも追い付かれそうだ。
パニック映画さながらの絵面も、画面越しに眺めるなら娯楽で済むも。
実際に味わう側になると、微塵も笑えなかった。
放ら出されないよう、絶妙なバランス加減で黒死牟は仁王立ちし振り返る。
こうなる事態を見越して、即座に対処へ出れる場に陣取っていた。
虚哭神去を長大化、血肉が複数の刃を追加し七支刀を生成。
背を向け駆けても逃れられぬとくれば、己が剣で退けるまで。
こうなる事態を見越して、即座に対処へ出れる場に陣取っていた。
虚哭神去を長大化、血肉が複数の刃を追加し七支刀を生成。
背を向け駆けても逃れられぬとくれば、己が剣で退けるまで。
――月の呼吸 捌ノ型 月龍輪尾
鮮血に染まった三日月は、魔皇の力を重ね合わせた証拠。
地の底へ引き摺り込もうと伸ばした、亡者の誘いを月が跳ね除ける。
周囲の建造物を巻き添えに、黒い波の勢いが一時弱まった。
地の底へ引き摺り込もうと伸ばした、亡者の誘いを月が跳ね除ける。
周囲の建造物を巻き添えに、黒い波の勢いが一時弱まった。
「掴まってろ……!」
うかうかしていたら、またもや追い付かれるだけだ。
スピードを緩めずに直進、街を抜けてエリア外へ飛び出す。
バックミラーを見やれば下北沢は原形を留めぬ有様なれど、侵食も長くは続かない。
とにかくこのまま離れるべきだ、走らせていく内に街も背景の一部となっていった。
スピードを緩めずに直進、街を抜けてエリア外へ飛び出す。
バックミラーを見やれば下北沢は原形を留めぬ有様なれど、侵食も長くは続かない。
とにかくこのまま離れるべきだ、走らせていく内に街も背景の一部となっていった。
○○○
――『そうやって蘇生させた相手に、『自分のせいで無関係の人間が死んだ』って重荷を一生背負わせるんだろう?』
違う。
そんなつもりじゃなかった、苦しめたいなんて思うわけがない。
ただ会いたかっただけだ。
アイツが死んだ世界なんて耐えられない、生きてる意味が無いのと同じだから。
そんなつもりじゃなかった、苦しめたいなんて思うわけがない。
ただ会いたかっただけだ。
アイツが死んだ世界なんて耐えられない、生きてる意味が無いのと同じだから。
――『真っ当な感性の持ち主に、背負う必要のない後悔と罪悪感を押し付けるんだね』
違う。
アイツに苦しんで欲しくて、生き返らせたかったんじゃない。
俺はアイツを愛してるから、アイツと死に別れたままで納得出来ないから。
誰にも否定させない、アイツが好きだって気持ちに従った。
愛するアイツを、俺が傷付けるわけはないんだ。
アイツに苦しんで欲しくて、生き返らせたかったんじゃない。
俺はアイツを愛してるから、アイツと死に別れたままで納得出来ないから。
誰にも否定させない、アイツが好きだって気持ちに従った。
愛するアイツを、俺が傷付けるわけはないんだ。
そうだ、俺がアイツを愛してるように。
アイツだって俺を愛してくれてるんだ。
俺が人殺しになって、後ろ指を差されて当然の人間の屑になって。
人ですらない化け物になってもきっと、アイツは俺を受け入れてくれる。
アイツだって俺を愛してくれてるんだ。
俺が人殺しになって、後ろ指を差されて当然の人間の屑になって。
人ですらない化け物になってもきっと、アイツは俺を受け入れてくれる。
俺と■■は愛し合ってるんだ。
愛嬌のある顔だった気がしても、具体的には思い出せない。
名前も、二人で作った大切な記憶の全てを失って。
それでも、■■への愛だけは残った。
愛だけは奪われなかったんだ、■■を想う心は絶対に間違いじゃない証拠だ。
愛嬌のある顔だった気がしても、具体的には思い出せない。
名前も、二人で作った大切な記憶の全てを失って。
それでも、■■への愛だけは残った。
愛だけは奪われなかったんだ、■■を想う心は絶対に間違いじゃない証拠だ。
その愛を貫けるなら、また■■に会えるならどんなに汚れたって――
……!
まさか、あそこにいるのは……。
まさか、あそこにいるのは……。
ああ……!間違いない……!
名前はまだ思い出せないけど、あの顔は。
爬虫類みたいに人懐っこい笑顔、俺が惚れた顔じゃないか……!
ようやく、ようやく会えた……!
名前はまだ思い出せないけど、あの顔は。
爬虫類みたいに人懐っこい笑顔、俺が惚れた顔じゃないか……!
ようやく、ようやく会えた……!
待ってろ、すぐそっちに行くから……!
話したいことが沢山あるんだよ、名前を忘れて本当にごめんな。
俺は、俺はお前のことが今も――!
話したいことが沢山あるんだよ、名前を忘れて本当にごめんな。
俺は、俺はお前のことが今も――!
「ちょ、やめてください!いきなり何なんですかアンタ!?」
――――え?
おい、何言ってんだよ。
まさかお前まで、俺の顔を忘れちまったのか?
それとも、殺し合いに乗った事を怒ってるのか?
聞いてくれ、俺はお前に会いたい一心で……
まさかお前まで、俺の顔を忘れちまったのか?
それとも、殺し合いに乗った事を怒ってるのか?
聞いてくれ、俺はお前に会いたい一心で……
「なに意味の分からないこと言ってるんですか!?やめてくださいよホントに!こっちは今から先輩に会いに行くのに……警察呼びますよ!?」
……なんだよ、さっきから何言ってるんだよ。
先輩だったら目の前にいるだろ、恋人の俺はここに……
先輩だったら目の前にいるだろ、恋人の俺はここに……
なんで、なんでそこに俺がいるんだ。
■■と手を繋いでる俺を、どうして俺が見てるんだよ。
だって俺はここにいる!俺と同じ顔をしたそいつは誰だ!?
違う!それは俺じゃない!
俺は……本物の俺はここに……!
だって俺はここにいる!俺と同じ顔をしたそいつは誰だ!?
違う!それは俺じゃない!
俺は……本物の俺はここに……!
――――――――――俺って、誰だ?
俺は、俺の名前は……顔は……
嘘だ、家族も、仲の良い連中だっていた筈なのに……!
誰も思い出せない、自分のことも何も分からない……!
嘘だ、家族も、仲の良い連中だっていた筈なのに……!
誰も思い出せない、自分のことも何も分からない……!
俺は誰なんだ!?誰か、誰か教えてくれよ……!
俺はただ、取り戻したかっただけなんだ。
こんな終わり方は嫌だ、一人ぼっちで消えるなんて嫌だ。
■■、■■■先輩、■■、■■■■師範。
こんな終わり方は嫌だ、一人ぼっちで消えるなんて嫌だ。
■■、■■■先輩、■■、■■■■師範。
頼む、頼むよ。
誰か出て来てくれ、誰でもいいから。
誰か出て来てくれ、誰でもいいから。
たすけて
【野獣先輩@真夏の夜の淫夢 存在消失】
【名無しの怪物 死亡】
【名無しの怪物 死亡】