迷犬マロンは絶望していた。
それは見せしめがどうだとか、バトルロワイアルがどうとかじゃない。
それは見せしめがどうだとか、バトルロワイアルがどうとかじゃない。
彼は迷犬だ。
裕福な家庭で飼われ、甘やかされて育ってきた。
それは今思えばとても幸せな時間だったのだが、当時のマロンはそれを当たり前だと思いワガママな性格になってしまった。
やがて調子に乗って脱走するのだが、道に迷って飼い主の元へ帰れなくなってしまう。
裕福な家庭で飼われ、甘やかされて育ってきた。
それは今思えばとても幸せな時間だったのだが、当時のマロンはそれを当たり前だと思いワガママな性格になってしまった。
やがて調子に乗って脱走するのだが、道に迷って飼い主の元へ帰れなくなってしまう。
世間はマロンが思っているほど甘くない。餌を食べることすら一苦労だ。
そして飼い主のように自分を愛してくれる存在がいない。
可愛い可愛いと寄ってくる人間もいるが、そんなものはただの一時的な感情。愛情とは言えない。
可愛い可愛いと寄ってくる人間もいるが、そんなものはただの一時的な感情。愛情とは言えない。
世間の厳しさを知り、自分がどれだけ愛されていたか知ったマロンは飼い主を求めて彷徨い続けた。
だがそう簡単に見つかるはずもなく、そんな日々がかなり続いた。
だがそう簡単に見つかるはずもなく、そんな日々がかなり続いた。
しかしそんなマロンにも遂に好機が訪れた。
探し続けていた飼い主の姿が見つかったのだ。
飼い主もマロンを探していたようで、貼り紙をしていた。
探し続けていた飼い主の姿が見つかったのだ。
飼い主もマロンを探していたようで、貼り紙をしていた。
これでようやく飼い主の元へ戻れる。
マロンは歓喜のあまり駆け出し……そこで意識を失った。
マロンは歓喜のあまり駆け出し……そこで意識を失った。
「グッド・イブニ~~~~~~ング、諸君」
目を覚ましたマロンが見たものは、最悪の光景だった。
自分は飼い主とようやく出会えたのに。あのまま幸せな日常に帰れるはずだったのに。
どうしてこの男は、それを邪魔する。
どうしてこの男は、それを邪魔する。
別に贅沢を言うわけではない。
マロンはただ飼い主の元へ帰りたかっただけ。
マロンはただ飼い主の元へ帰りたかっただけ。
しかしそんな希望を。幸せな未来をヒエール・ジョコマンは奪い去った。
彼が憎い。
今すぐ噛み殺してやりたいほど、憎い。
今すぐ噛み殺してやりたいほど、憎い。
マロンはヒエール・ジョコマンを憎悪する。
あの男さえいなければ、自分は幸せな日々に帰ることが出来たのだから。
あの男さえいなければ、自分は幸せな日々に帰ることが出来たのだから。
だが犬のマロンに出来る事は何も無い。
デイバックが重要ということは理解したから、それを噛み付いてズルズルと引っ張っているが……果たしてただの犬がその中身を使いこなせるだろうか?
デイバックが重要ということは理解したから、それを噛み付いてズルズルと引っ張っているが……果たしてただの犬がその中身を使いこなせるだろうか?
「グルルルル……!」
そしてマロンを更なる不幸が襲った。
自分よりも遥かに大きな狂犬が股間をビンビンにしてやってきたのだ。
自分よりも遥かに大きな狂犬が股間をビンビンにしてやってきたのだ。
その姿は犬としての原型をなんとか留めているという感じで、明らかに普通の犬とは違う。
まるで暗黒からやってきたような、そんな化け物だ。
まるで暗黒からやってきたような、そんな化け物だ。
なにより最悪なことは、彼の首輪がマロンと全く同じものということ。
マロンの頭文字「M」が書かれた全く同じ形状のネームプレートを彼はぶら下げていたのだ。
マロンの頭文字「M」が書かれた全く同じ形状のネームプレートを彼はぶら下げていたのだ。
「きゃん!きゃん!」
有り得ない。
どうしてあの犬が、自分と同じネームプレートをぶら下げている……?
どうしてあの犬が、自分と同じネームプレートをぶら下げている……?
もしかしてあの犬は、自分……?
最悪の可能性が過ぎり、それを否定するようにマロンは吠えた。
最悪の可能性が過ぎり、それを否定するようにマロンは吠えた。
「きゃん!きゃん!」
それはまるで悲鳴だ。
狂犬に対する恐怖、そして何より最悪の可能性。
それらのことを考えるだけでマロンの身が震え、狂犬は興奮のあまり股間が更にそそり立つ。
狂犬に対する恐怖、そして何より最悪の可能性。
それらのことを考えるだけでマロンの身が震え、狂犬は興奮のあまり股間が更にそそり立つ。
「ガウ!」
そして狂犬の股間がマロンに届く寸前……
「この瞬間を待っていたのよさ!」
股間をぶち込むために僅かにその場に留まるその瞬間を狙撃手は見逃さない。
ズガン!という弟と共に狂犬は倒れ伏した。ヘッドショットによる即死だ。
ズガン!という弟と共に狂犬は倒れ伏した。ヘッドショットによる即死だ。
念のために2発目の弾が撃ち込まれるが、狂犬は動かない。
安全を確認した後、狙撃手の少女……入巣蒔菜は姿を現した。
安全を確認した後、狙撃手の少女……入巣蒔菜は姿を現した。
「弱い者いじめはダメなのよ?」
蒔菜は死んだ狂犬にそれだけ告げるとマロンを見た。
目の前の少女が敵か味方かわからず、マロンは怯える。
目の前の少女が敵か味方かわからず、マロンは怯える。
「大丈夫!私に犬を襲う趣味なんてないのよさ」
蒔菜がマロンの頭を撫で、落ち着かせる。
随分と懐かしく感じるその暖かさにマロンは少しだけ心地良さを感じた。
随分と懐かしく感じるその暖かさにマロンは少しだけ心地良さを感じた。
蒔菜は口こそ悪いが、性根が腐っているわけではない。
この少女は自分を助けるために狂犬を倒してくれたのだと、マロンは本能で理解する。
この少女は自分を助けるために狂犬を倒してくれたのだと、マロンは本能で理解する。
「それにしてもやっぱこいつ、首輪が私達と違うのよさ」
蒔菜は死体を眺め、自分達との違いを分析していた。
「やっぱアレか?これが噂のNPCってやつなのか!?」
いつものテンションで狂犬がNPCだと判別に成功する。
蒔菜は最初、ゴブリンやオークばかりがNPCだと考えていたがどうやらそうでもないらしい。
蒔菜は最初、ゴブリンやオークばかりがNPCだと考えていたがどうやらそうでもないらしい。
「あ。こいつ、お前さんと同じ首輪してるのよさ!」
マロンと狂犬を何度か見比べ、無邪気にマロンに語り掛ける。
蒔菜としては何の悪意もないが、マロンの顔が曇った。どうやら地雷を踏んだらしい。
蒔菜としては何の悪意もないが、マロンの顔が曇った。どうやら地雷を踏んだらしい。
まあ自分と同じ首輪を着けた犬なんて見たら、色々と嫌な予感がする気持ちはわかる。
深い意味で話したわけではないが、犬が本気で凹んでいる姿は蒔菜としても見過ごせない。
深い意味で話したわけではないが、犬が本気で凹んでいる姿は蒔菜としても見過ごせない。
「まあ、過去や未来なんて気にすんな!そんなことより今を生きるべきなのよさ!!」
愛情を与えてくれた飼い主の元へ戻ろうとした犬を、母親に愛情を与えられずそこから逃げ去った少女が励ます。
蒔菜はマロンの比にならないほど暗い過去を持つが、それでも今は元気にやっている。
風見雄二が蒔菜を助けたから、彼女はしがらみから解放されたのだ。
風見雄二が蒔菜を助けたから、彼女はしがらみから解放されたのだ。
「それに嫌な未来があるなら、ぶち壊してやりゃいいのよさ!」
マロンには蒔菜が何を言っているのか理解出来ないが、今の彼女の言葉は不思議とふざけているように聞こえなかった。
雄二を取り戻して、日常を取り返したことのある彼女は絶望の状況でも本当に変えられると信じている。
雄二を取り戻して、日常を取り返したことのある彼女は絶望の状況でも本当に変えられると信じている。
「まあそれに、私がいる限り百人力だかんな!さっさとあのキモい変態野郎をぶっ倒して元の場所へ帰るのよさ」
マロンがそうであるように、蒔菜にも帰るべき場所がある。
「どうせパパも拉致られてるだろうし、負ける気がしねぇ~!」
特に根拠のない推測をして一人盛り上がる蒔菜。だがそんな彼女がマロンには暖かく感じられた。
マロンがなんとか自分のデイバックを開けると貼り紙が落ちた。蒔菜はそれを手に取ると彼の名前と迷い犬だということを把握する。
「マロンは必ず飼い主の元へ連れ戻すから、安心するのよ」
マロンを撫で、蒔菜は真剣な眼差しになる。
「私もあの変態に鉛玉ぶち込んで、パパやみんなの元に帰らなきゃ気が済まないと思っていたところなのよさ!」
入巣蒔菜は挫けない。
そんな彼女の後ろを一匹の迷犬が歩く。
今度こそ迷わず、飼い主の元へ戻れるように……と。
そんな彼女の後ろを一匹の迷犬が歩く。
今度こそ迷わず、飼い主の元へ戻れるように……と。
【入巣蒔菜@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3、迷犬マロンの貼り紙@遊戯王OCG
[思考・状況]基本方針:さっさと変態野郎をぶっ倒してパパやみんなの元に帰るのよさ!
1:マロンのお世話は私に任せるのよさ!
2:パパ(風見雄二)やさっちん(小嶺幸)が居たら合流したいのよ?
[備考]
アニメ版グリザイアの楽園終了後からの参戦。
ランダム支給品のうち1つはなんらかの狙撃銃です
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3、迷犬マロンの貼り紙@遊戯王OCG
[思考・状況]基本方針:さっさと変態野郎をぶっ倒してパパやみんなの元に帰るのよさ!
1:マロンのお世話は私に任せるのよさ!
2:パパ(風見雄二)やさっちん(小嶺幸)が居たら合流したいのよ?
[備考]
アニメ版グリザイアの楽園終了後からの参戦。
ランダム支給品のうち1つはなんらかの狙撃銃です
【迷犬マロン@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:飼い主の元へ帰る
1:蒔菜について歩く
2:蒔菜の温もりが好き
3:自分と同じネームプレートの狂犬のNPCはいったい……?
[備考]
遊戯王カードについての知識はありません
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:飼い主の元へ帰る
1:蒔菜について歩く
2:蒔菜の温もりが好き
3:自分と同じネームプレートの狂犬のNPCはいったい……?
[備考]
遊戯王カードについての知識はありません
【迷犬マロンの貼り紙@遊戯王OCG】
ワンチャン!?のイラストに描かれているマロンを探しているという趣旨の貼り紙。
マロンの名前も記されている
ワンチャン!?のイラストに描かれているマロンを探しているという趣旨の貼り紙。
マロンの名前も記されている
『NPC紹介』 【暗黒の狂犬@遊戯王OCG】
元々は攻1900/守1400のモンスター。
迷犬マロンの成れの果て。暗黒の力により暴走してしまった姿。
ヒエール・ジョコマンの手により性欲が強くなっている
元々は攻1900/守1400のモンスター。
迷犬マロンの成れの果て。暗黒の力により暴走してしまった姿。
ヒエール・ジョコマンの手により性欲が強くなっている