鎧を身にまとったゴブリンのエリートは苛立っていた。
彼は何の罪もないエリート戦士で、誇りを胸に戦ってきた。
彼は何の罪もないエリート戦士で、誇りを胸に戦ってきた。
ゴブリンとはその見た目に反して理性的な者も普通に存在する。
様々な部隊が編成され、しっかりと統率されているのが何よりの証拠だろう。
中には突撃部隊という少しばかり野蛮な連中も居るが、それでも無差別的に人を襲うわけではない。
様々な部隊が編成され、しっかりと統率されているのが何よりの証拠だろう。
中には突撃部隊という少しばかり野蛮な連中も居るが、それでも無差別的に人を襲うわけではない。
───この殺し合いは、オークだとかゴブリンだとか、所謂NPCってのがいてね。……そいつらは率先して君たち参加者を性的な意味で襲いかかるように細工しているんだ
「ふざけるな。あの男はゴブリンをなんだと思っているんだ……!」
何がNPCだ。
何が性的な意味で襲い掛かるだ。
こういうやつがいるから、ゴブリンに対して悪い印象を持つ者が一定数存在するのだ。
何が性的な意味で襲い掛かるだ。
こういうやつがいるから、ゴブリンに対して悪い印象を持つ者が一定数存在するのだ。
あの男がしていることはあまりにも許し難い暴挙だ。
ゴブリンの誇りのためにも討ち取らねばならない。それが結果的に他の参加者の平和にも結び付く。
ゴブリンの誇りのためにも討ち取らねばならない。それが結果的に他の参加者の平和にも結び付く。
幸いなことに自分には心強い仲間がいる。
突撃部隊、偵察部隊、暗殺部隊、陽動部隊、穴埋め部隊、切り込み部隊……皆それぞれ得意分野や役割こそ違うが、必ずや主催者を倒す手助けをしてくれるだろう。
それにもしかしたら自分以外のエリート部隊も存在するかもしれない。
突撃部隊、偵察部隊、暗殺部隊、陽動部隊、穴埋め部隊、切り込み部隊……皆それぞれ得意分野や役割こそ違うが、必ずや主催者を倒す手助けをしてくれるだろう。
それにもしかしたら自分以外のエリート部隊も存在するかもしれない。
あの男はゴブリンを見下しているようだが、細工如き通用しないゴブリンだって存在するのだ。
その例として自分は正常な意識を保っている。ならば他の仲間も安全だろう。
その例として自分は正常な意識を保っている。ならば他の仲間も安全だろう。
他の参加者の安全とゴブリンの誇りのために主催者の打倒を決めたエリートゴブリンは剣を持ち、構える。
「───新手のゴブリンですか」
エリートゴブリンの読み通り、女剣士が現れて刀を振りかざしてきた。
彼女に気付けた理由は殺意だ。剥き出しの殺意を向けられては何も意識しなくても、感じ取ってしまう。
彼女に気付けた理由は殺意だ。剥き出しの殺意を向けられては何も意識しなくても、感じ取ってしまう。
「お前は誰だ!何故、他の参加者を襲う!?」
少女の刃を剣で受け止め、エリートゴブリンは問う。
「私の名前はレイ。閃刀姫レイです!」
閃刀姫。
聞いたこともない単語だが、彼女の雰囲気はまるで部隊に所属している者のようだ。
聞いたこともない単語だが、彼女の雰囲気はまるで部隊に所属している者のようだ。
「あなた達ゴブリンは、人を襲う。だからその存在を許容は出来ません!」
「誤解だ!俺たちゴブリンは皆が皆、野蛮なわけじゃない!」
「誤解だ!俺たちゴブリンは皆が皆、野蛮なわけじゃない!」
「じゃあどうして、ゴブリン達は私を襲ってきたんですか?説明出来ますか!?」
「いったいどういう意味だ……!」
「いったいどういう意味だ……!」
エリートゴブリンには少女の言葉の意味が通じない。
いや心当たりはあるが……。本当に細工されて性的な意味で襲う者がいるのか?
いや心当たりはあるが……。本当に細工されて性的な意味で襲う者がいるのか?
「とぼけないでください!あなた達ゴブリンの罪は私が断ち切ります!!」
レイは一度距離を取り、瞳を閉じた。
デイバックの中に眠る一枚のカードが輝き、少女の肉体が炎に包まれる。
デイバックの中に眠る一枚のカードが輝き、少女の肉体が炎に包まれる。
エリートゴブリンである彼は、レイの行動に何か意味があることを察する。
どんな理由かわからないが、必ずや彼女は生きている。アレはそういう炎だ。
どんな理由かわからないが、必ずや彼女は生きている。アレはそういう炎だ。
「フォームチェンジ完了。───参ります」
レイの姿が消え、紅蓮の鎧を纏った戦士が現れた。
彼女の名は。そのフォームの名は閃刀姫カガリ。レイが進化を遂げた姿の一つであり、戦士としての姿だ。
「なるほど。そういう戦士か……」
エリートゴブリンはレイの一撃を受け止める。
もしも自分に支給されたものが伝説の剣という業物でなければ、危なかった。
もしも自分に支給されたものが伝説の剣という業物でなければ、危なかった。
しかし力強い踏み込みで放たれた一撃を真正面から受けたエリートゴブリンの負担は大きい。
これが個として孤独に戦い続けたレイと部隊に所属し、集団戦闘を得意としていたエリートゴブリンの差だ。
このままでは押し負ける。策を考えねばならない。
このままでは押し負ける。策を考えねばならない。
エリートゴブリンが必死に頭を回していた時……最悪の声が聞こえた。
「ゴブ!」「ゴブゴブ!」「ゴブゥゥウ!!」
股間がギンギンに膨れ上がったゴブリン達が現れた。
彼らは皆、エリートゴブリンと同じ格好をしている。つまりゴブリンエリート部隊に所属している者達だ。
彼らは皆、エリートゴブリンと同じ格好をしている。つまりゴブリンエリート部隊に所属している者達だ。
そして彼らはレイとエリートゴブリンを取り囲む。
かつて仲間だったエリートゴブリンであろうが関係ない。犯せるモノは犯す。
彼らNPCはそういうふうに細工されている。
かつて仲間だったエリートゴブリンであろうが関係ない。犯せるモノは犯す。
彼らNPCはそういうふうに細工されている。
「お前ら、どうしたんだ!俺の顔を忘れたのか!?」
エリートゴブリンは必死に呼び掛けるが、どのゴブリンも反応しない。
代わりに性欲を隠すことなく、エリートゴブリンに一匹が襲い掛かる。
代わりに性欲を隠すことなく、エリートゴブリンに一匹が襲い掛かる。
つられて何匹も後に続いた。困惑しているエリートゴブリンに興奮したのだろう。
ギンギンにそそり立つソレは相手が男であろうが萎えることはない。
ギンギンにそそり立つソレは相手が男であろうが萎えることはない。
「まったく。なにぼさっとしてるんですか!」
ゴブリン達がエリートゴブリンに危害を加えるより早く、レイがゴブリン達を斬る。
紅蓮の刃で斬られた彼らは一瞬で焼け炭になるが、如何せん数が多い。
紅蓮の刃で斬られた彼らは一瞬で焼け炭になるが、如何せん数が多い。
他のフォームが使えるなら他にも手はあるかもしれないが、残念ながら今はカガリにフォームチェンジするための札しか持っていない。
レイに助けられたエリートゴブリンがハッと我に返り剣を構える。
「どうして俺を助けた?」
「あなたはどうやら、彼らとは違うようなので……」
「あなたはどうやら、彼らとは違うようなので……」
ゴブリン達がエリートゴブリンを襲ったということは、彼はNPC側ではない。
そしてゴブリンが全員野蛮じゃないというのも事実なのかもしれない。
そしてゴブリンが全員野蛮じゃないというのも事実なのかもしれない。
性欲剥き出しで群がるゴブリン達にエリートゴブリンは本気でショックを受けていた。
もしかしたら彼らは善良なゴブリンで、本当に主催の細工によって操られているだけかもしれない。
───それなら私が取るべき行動は一つだけですね
「先程は失礼しました。ゴブリンが全員悪人じゃないというのは、我が魂に伝わりました」
「そうか。それでこの状況、どうする……?」
「そうか。それでこの状況、どうする……?」
「彼らには申し訳ないですが、死んでもらうしかありません」
「やっぱりそうなるか……」
「やっぱりそうなるか……」
エリートゴブリンは悲しみこそするが、レイの言葉を否定しない。
そうするしかないことなんて、わかりきっていたから。
そうするしかないことなんて、わかりきっていたから。
「主催者に操られた彼らの魂を救うには、それくらいしかありません」
「そうだな……」
「そうだな……」
レイが灼熱に燃える紅蓮の刃を、エリートゴブリンが伝説の剣を構える。
「あなた達の因果……私が断ち切ります!」
正義だとか、愛だとか。
戦争をしている自分にはそんなものあまりわからないけれど……それでも私は閃刀姫だから。
戦争をしている自分にはそんなものあまりわからないけれど……それでも私は閃刀姫だから。
だから哀れな彼らの因果を、この手で断ち切る。それこそが最善だと信じて、レイは怒りの刃を叩き付ける。
無論、怒りの矛先は彼らの存在を歪めた主催者に対してだ。
無論、怒りの矛先は彼らの存在を歪めた主催者に対してだ。
エリートゴブリンも覚悟を決め、かつて仲間だった者を斬る。
NPCとして利用され続けるより、解放して安らかな眠りについてほしかったから。
NPCとして利用され続けるより、解放して安らかな眠りについてほしかったから。
○
「終わりましたね」
戦いを終えたレイはカガリの姿から通常の状態に戻った。
彼女は元々、自国のため孤独に戦っていた。
それは戦争のようなもので、人の死には慣れているが……やはりあまり気持ちの良いものではない。
今回は相手が操られているだけのゴブリン達だったから余計に胸糞が悪い。
それは戦争のようなもので、人の死には慣れているが……やはりあまり気持ちの良いものではない。
今回は相手が操られているだけのゴブリン達だったから余計に胸糞が悪い。
「終わったな……」
エリートゴブリンは仲間の亡骸を呆然と眺めていた。
たとえ主催に利用されて悪事を働いていたとしても、やはり彼らの死には心が痛む。
たとえ主催に利用されて悪事を働いていたとしても、やはり彼らの死には心が痛む。
「黙祷を捧げましょうか。運命を狂わされた彼らに、せめて安らかな眠りを……」
そしてレイは散っていった被害者達に黙祷した。つられてエリートゴブリンも黙祷する。
操られていただけの彼らに決して罪はない。
もしも誰かが罪を咎めるとしても……レイが因果を断ち切ったその瞬間に、彼らは解放された。
操られていただけの彼らに決して罪はない。
もしも誰かが罪を咎めるとしても……レイが因果を断ち切ったその瞬間に、彼らは解放された。
だから理不尽にも己が存在を書き換えられてしまった彼らに、せめて安らかな眠りを。
───レイ。お前が辛苦に迷う世界の希望になれ
自分が閃刀姫になったばかりの時、誰かに言われた事を思い出す。
それを言われたすぐ後に散って、今はもう顔すら思い出せないけど……その言葉を胸にレイは生きてきた。
それを言われたすぐ後に散って、今はもう顔すら思い出せないけど……その言葉を胸にレイは生きてきた。
「聞こえていますか?主催者共」
だからバトルロワイアルを開いたあの男が許せない。
見せしめのように殺された褐色の少女やNPCとして利用され、自我を失ったかのように操られていたゴブリン達。
見せしめのように殺された褐色の少女やNPCとして利用され、自我を失ったかのように操られていたゴブリン達。
彼らの無念を晴らすことも、自分の役割だと思うから。
「私は希望の戦士、閃刀姫レイ……」
そしてレイは力強く、言葉を告げた。
「貴様の命、私が断ち切る……!」
【閃刀姫-レイ@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-、閃刀姫-カガリ@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本方針:あの男(ヒエール・ジョコマン)の命、私が断ち切る
1:ゴブリンエリートと共に行動
2:哀れなNPC達は慈悲をもって因果を断ち切る
3:力なき者は助ける
[備考]
遊戯王カードについての知識はありません
カガリやシズクなどにフォームチェンジするには遊戯王OCGのカードが必要です
[状態]:健康
[装備]:冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-、閃刀姫-カガリ@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本方針:あの男(ヒエール・ジョコマン)の命、私が断ち切る
1:ゴブリンエリートと共に行動
2:哀れなNPC達は慈悲をもって因果を断ち切る
3:力なき者は助ける
[備考]
遊戯王カードについての知識はありません
カガリやシズクなどにフォームチェンジするには遊戯王OCGのカードが必要です
【ゴブリンエリート部隊@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:伝説の剣@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:仲間を狂わせたあの男(ヒエール・ジョコマン)は許せない
1:レイと共に行動
2:誇りを胸に戦う
3:力なき者は助ける
4:自分以外のゴブリン達が不安
[備考]
運良くヒエール・ジョコマンによる細工を免れたゴブリンエリート部隊の一員です
遊戯王カードについての知識はありません
[状態]:健康
[装備]:伝説の剣@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:仲間を狂わせたあの男(ヒエール・ジョコマン)は許せない
1:レイと共に行動
2:誇りを胸に戦う
3:力なき者は助ける
4:自分以外のゴブリン達が不安
[備考]
運良くヒエール・ジョコマンによる細工を免れたゴブリンエリート部隊の一員です
遊戯王カードについての知識はありません
【冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-】
冴島鋼牙が使っている魔戒剣。
ソウルメタルという特殊な素材で作られている剣だが、今回は大半の性能がオミットされた。もちろん鎧の召喚も不可能
元々がホラーと呼ばれる怪異を倒すために作られたもので、その性質だけが唯一残っている。鬼や吸血鬼にも効き目があるかもしれない
冴島鋼牙が使っている魔戒剣。
ソウルメタルという特殊な素材で作られている剣だが、今回は大半の性能がオミットされた。もちろん鎧の召喚も不可能
元々がホラーと呼ばれる怪異を倒すために作られたもので、その性質だけが唯一残っている。鬼や吸血鬼にも効き目があるかもしれない
【閃刀姫-カガリ@遊戯王OCG】
遊戯王OCGのリンクモンスター。主に閃刀姫デッキでレイを素材にリンク召喚される。
今回はモンスターを召喚するためのカードではなく、レイをカガリに変身させる効果になっている
遊戯王OCGのリンクモンスター。主に閃刀姫デッキでレイを素材にリンク召喚される。
今回はモンスターを召喚するためのカードではなく、レイをカガリに変身させる効果になっている
【伝説の剣@遊戯王OCG】
戦士族のみ装備可能。
装備モンスター1体の攻撃力と守備力は300ポイントアップする。
今回は戦士以外も装備出来るように細工されている
戦士族のみ装備可能。
装備モンスター1体の攻撃力と守備力は300ポイントアップする。
今回は戦士以外も装備出来るように細工されている
『NPC紹介』 【ゴブリンエリート部隊@遊戯王OCG】
元々は攻2200/守1500のモンスター。
本来はその名の通り誇り高き戦士達だったが、ヒエール・ジョコマンの手によりこれまでの自我が消失。ただの性欲モンスターと化してしまった
元々は攻2200/守1500のモンスター。
本来はその名の通り誇り高き戦士達だったが、ヒエール・ジョコマンの手によりこれまでの自我が消失。ただの性欲モンスターと化してしまった