「……」
各地にイヤらしいエロトラップが配置され、性欲に狂った何百という数のNPCが徘徊し、
血生臭い殺し合いの前哨戦が巻き起こりつつある浮遊大陸。
血生臭い殺し合いの前哨戦が巻き起こりつつある浮遊大陸。
その片隅に位置する薄暗い森の中に、一人の若い男の姿があった。
「……」
年齢は大体20代半ば程。
白いスーツと黒いネクタイを着こなしたダンディな雰囲気の漂う青年だ。
白いスーツと黒いネクタイを着こなしたダンディな雰囲気の漂う青年だ。
「……ここで良いか」
青年は森の中の開けた空き地のような場所につくと、
自身に支給されたデイバックを地面に下す。
そして……
自身に支給されたデイバックを地面に下す。
そして……
「……アポロ・チェーンジ!!」
……叫びながら両腕を顔の前でクロスさせると、
青年の姿は一瞬にして全く違うものへと変化する。
青年の姿は一瞬にして全く違うものへと変化する。
純白のスーツは鍛えられた逞しい肉体にピッチリとフィットした黒い全身タイツに変わり、
その黒い全身タイツを覆うように真っ赤に燃える炎の模様が描かれた白いマントが装着され、
頭部には側面に羽飾りが、中央に銀色の矢印模様のついた真紅の兜が装着される。
頭部には側面に羽飾りが、中央に銀色の矢印模様のついた真紅の兜が装着される。
右腕は三つの銃口とフェンシングで使うような細身の長剣で構成された武骨な義手となり、
左手には日輪を思わせる円形の盾が握られ、左上腕にも小さな盾が装着された。
左手には日輪を思わせる円形の盾が握られ、左上腕にも小さな盾が装着された。
彼の名はアポロガイスト。
東西の某大国が高度経済成長を遂げる日本を壊滅させるために設立した秘密結社
『GOD(ゴッド、ガバメント・オブ・ダークネス)秘密機関』の秘密警察第一室長にして、
GOD機関の宿敵・仮面ライダーXの好敵手である。
『GOD(ゴッド、ガバメント・オブ・ダークネス)秘密機関』の秘密警察第一室長にして、
GOD機関の宿敵・仮面ライダーXの好敵手である。
「……変身は問題なし、か」
アポロガイストは怪人態へと変身した自身の体を観察する。
彼が人気の無い森の中で変身した理由はただ一つ。
この殺し合いを開いたあの悪趣味な恰好の男(ヒエール・ジョコマン)によって
『制限』がかけられているらしい自身の体と能力のチェックをするためである。
この殺し合いを開いたあの悪趣味な恰好の男(ヒエール・ジョコマン)によって
『制限』がかけられているらしい自身の体と能力のチェックをするためである。
「……」
アポロガイストは右腕と一体化している三つの銃口と細身の剣で構成されている武器……
アポロマグナムの銃口を1本の松の木に向ける。
アポロマグナムの銃口を1本の松の木に向ける。
次の瞬間……雷鳴の如き銃声が薄暗い森の中に響き渡り、
松の木の幹の中心が弾け飛んだ。
松の木の幹の中心が弾け飛んだ。
続けざまに鋭い銃声が2回轟き、松の木の幹は本来の3分の2程の太さに削れていた。
「……なるほど、威力はかなり落ちているな」
未だに銃口から煙が吹いているアポロマグナムを眺めながら、アポロガイストは冷静に分析する。
本来、アポロマグナムは一撃で戦車を破壊する程の威力がある。
だというのに、今しがたアポロマグナムに撃ち抜かれた松の木は幹が少し削れただけ……。
これはアポロマグナムの威力が本来よりも落ちている証拠だった。
だというのに、今しがたアポロマグナムに撃ち抜かれた松の木は幹が少し削れただけ……。
これはアポロマグナムの威力が本来よりも落ちている証拠だった。
「……ガイスト・カッタァァァァ!!」
続いてアポロガイストは左手に持つ日輪を象った円形の盾……ガイストカッターを
松の木に向けて投擲する。
松の木に向けて投擲する。
ガイストカッターは松の木の幹に命中し、松の木は幹の中心から真っ二つに引き裂かれた。
「……こちらは異常なしか」
アポロガイストは松の木の根本に転がるガイストカッターを回収する。
その時だった。
アポロガイストの後ろからパチパチという拍手の音が聞こえてきたのだ。
「!」
アポロガイストが振り向くと……
そこには裾の長いコートをまとった40過ぎくらいの白人男性が立っていたのだ。
そこには裾の長いコートをまとった40過ぎくらいの白人男性が立っていたのだ。
「素晴らしい。いや、中々大した力だな」
「!」
拍手をする白人男性に、アポロガイストはアポロマグナムについている細身の剣の切っ先を向ける。
「おっと、待ちたまえ。私は君と戦おうとは思っていないし、殺し合いにも乗るつもりはないよ」
喉元に剣を突き付けられているというのに、白人男性は慌てる様子も冷や汗も見せずに
冷静に両手を顔の横に挙げて戦う意思がないことを示した。
冷静に両手を顔の横に挙げて戦う意思がないことを示した。
「……本当だろうな?」
「あぁ、もちろんだとも。なんならこれでどうだい?」
「あぁ、もちろんだとも。なんならこれでどうだい?」
警戒を緩めないアポロガイストに対して、白人男性は自身に支給されたデイバックを投げ渡した。
「……コートの中に隠し物があるかもしれない。コートもよこせ」
「疑り深いなぁ」
「疑り深いなぁ」
多少の文句を言いつつも、白人男性は素直に着用しているコートを脱いでアポロガイストに投げ渡した。
「ほら、これで信用してもらえるかな?」
「……」
「……」
得意げに首をかしげる白人男性の姿に、アポロガイストはようやくアポロマグナムを下ろし、
変身を解いて白いスーツと黒ネクタイの人間態へと戻った。
その様子を見て白人男性は「ヒュ~♪」と口笛を吹いた。
変身を解いて白いスーツと黒ネクタイの人間態へと戻った。
その様子を見て白人男性は「ヒュ~♪」と口笛を吹いた。
「一応言っておくが、信用したわけじゃないぞ。この姿の方が交渉しやすいからな」
「懸命な判断だな」
「懸命な判断だな」
白人男性は両手を上げながら肩をすくめた。
どことなく相手を小馬鹿にしている感じがした。
どことなく相手を小馬鹿にしている感じがした。
「自己紹介が遅れたな。私はヘルムート・ジモ。正式には『ヘルムート・ジモ男爵』で、
『ヘルムート・ジモ元・大佐』だ。君は?」
「……アポロガイスト。GOD秘密警察第一室長だ」
『ヘルムート・ジモ元・大佐』だ。君は?」
「……アポロガイスト。GOD秘密警察第一室長だ」
☆☆☆
白人男性……ヘルムート・ジモとアポロガイストは森の中の空き地に腰を下して
情報交換を開始した。
しかし……
情報交換を開始した。
しかし……
「GOD機関……それに仮面ライダーX……初めて聞くなぁ」
「アベンジャーズにサノス、指パッチン……聞いたこともないな」
「アベンジャーズにサノス、指パッチン……聞いたこともないな」
……お互いにお互いの出し合った情報に混乱していた。
ジモによれば、今から5年前に『サノス』という異星人によって人類の半分が消滅した『指パッチン」
という事件が起き、超人的な能力を備えたヒーロー達の集団『アベンジャーズ』
によって消滅した人類が戻ってきた、とのことだったが、
アポロガイストにとっては全く聞いたことのない情報だった。
という事件が起き、超人的な能力を備えたヒーロー達の集団『アベンジャーズ』
によって消滅した人類が戻ってきた、とのことだったが、
アポロガイストにとっては全く聞いたことのない情報だった。
それはジモも同じで、ジモは『ヒドラ』という非合法組織に属していたにも関わらず、
東西の大国が創設した組織であるGOD機関の事も、
その宿敵である仮面ライダーXの事も全く知らなかったのだ。
東西の大国が創設した組織であるGOD機関の事も、
その宿敵である仮面ライダーXの事も全く知らなかったのだ。
その上……
「つかぬ事を聞くけど、今は西暦何年だか分かるかい?」
「?1974年に決まってるだろ?」
「……私の記憶だと、今は2023年の筈なんだが」
「……何?」
「?1974年に決まってるだろ?」
「……私の記憶だと、今は2023年の筈なんだが」
「……何?」
……なんと、時間の認識まで半世紀近くも誤差があったのだ。
一体どういう事なのか?
普通ならば、ウソを言っているか頭がおかしいかのどちらかだと考えるのが普通だが、
殺し合いという状況でおとぎ話のような嘘をつく必要などないし、
ジモは目の前でアポロガイストが変身する瞬間を目撃している。
殺し合いという状況でおとぎ話のような嘘をつく必要などないし、
ジモは目の前でアポロガイストが変身する瞬間を目撃している。
そこでアポロガイストはある仮説を立てた。
「まさかとは思うが……あの悪趣味な男は、タイムマシンのような物でも持っているんじゃないだろうな?」
「ふむ。なるほど……少々突拍子もないが、可能性としてはあり得ない話じゃないな」
「ふむ。なるほど……少々突拍子もないが、可能性としてはあり得ない話じゃないな」
ジモとアポロガイストの間で時間の認識が半世紀以上も誤差があること、
お互いの持つ情報に全く聞き覚えが無いこと、
そして、殺し合いの会場であるこの浮遊大陸とそこに配置された大量のNPCの存在……。
お互いの持つ情報に全く聞き覚えが無いこと、
そして、殺し合いの会場であるこの浮遊大陸とそこに配置された大量のNPCの存在……。
主催者であるあの男が、タイムマシンのような時間移動が可能な機械、
もしくは技術を持っているのであれば、辻褄が合う話だった。
もしくは技術を持っているのであれば、辻褄が合う話だった。
「まぁ、今はどうでもいいか……」
ジモとの情報交換を済ませたアポロガイストは、
自身のデイバックを手にして立ち上がった。
自身のデイバックを手にして立ち上がった。
「一つ聞きたいんだが、君はこれからどうするんだい?」
「生きて総司令の下に帰還し、Xライダーと決着をつける……と、言いたいところだが、もうすでに2回も敗北している身だからなぁ……」
「生きて総司令の下に帰還し、Xライダーと決着をつける……と、言いたいところだが、もうすでに2回も敗北している身だからなぁ……」
アポロガイストは以前、仮面ライダーXと戦って敗北し、
右手に仕込まれたアーム爆弾で心中しようと……したのだが失敗し、一人だけで死亡した。
右手に仕込まれたアーム爆弾で心中しようと……したのだが失敗し、一人だけで死亡した。
その死を惜しんだGOD総司令の計らいで強化再生処置を施されて復活したは良いものの、
その再生手術の効果は一か月しか持たず、
死期を悟ったアポロガイストはXライダーに最後の戦いを挑んだが……またしても敗北した。
その再生手術の効果は一か月しか持たず、
死期を悟ったアポロガイストはXライダーに最後の戦いを挑んだが……またしても敗北した。
そして、気づけば五体満足な状態で殺し合いに参加させられたという訳だ。
宿敵との戦いに一度ならず二度までも負けるような人材を、GODは必要としない。
例え勝ち残って総司令の下に戻ったところで、
『役立たず』として処刑される未来しか残ってはいないだろう。
例え勝ち残って総司令の下に戻ったところで、
『役立たず』として処刑される未来しか残ってはいないだろう。
かと言って、『優勝者の願いを叶える』という甘い言葉や『賞金・20億円』に従って無駄な殺戮を行うのは
アポロガイストのプライドが許さなかった。
アポロガイストのプライドが許さなかった。
「そういうお前はどうするんだ?優勝して、死んだ家族でも生き返らせてもらうのか?」
「ふむ、そうだな……」
「ふむ、そうだな……」
アポロガイストからの問いかけにジモは遠い目をする。
かつてジモはアベンジャーズのヒーロー達の起こした事件の巻き添えで家族を失い、
アベンジャーズを内部崩壊させることで復讐を果たし、今は刑務所に服役中の身だという。
アベンジャーズを内部崩壊させることで復讐を果たし、今は刑務所に服役中の身だという。
そんな男にとって、『優勝者の願いを叶える』という主催者の言葉は甘い誘惑の筈だが……
「……いや、あいにく興味はないよ。人間を大量に浚って殺し合いを強要するような奴が、
素直に優勝した者の願いを叶えるとは思えないし、例え本当に生き返らせてもらえたとしても
君のように『サイボーグ』としては嫌だしね」
「ならば……賞金の方はどうだ?」
「そちらも興味ないね。私は『男爵』としてかなりの資産を持っている。
日本円の20億というと……アメリカドルだと1700万程だったか?その程度の額は、私にとっては『はした金』だよ」
「……懸命な判断だな」
素直に優勝した者の願いを叶えるとは思えないし、例え本当に生き返らせてもらえたとしても
君のように『サイボーグ』としては嫌だしね」
「ならば……賞金の方はどうだ?」
「そちらも興味ないね。私は『男爵』としてかなりの資産を持っている。
日本円の20億というと……アメリカドルだと1700万程だったか?その程度の額は、私にとっては『はした金』だよ」
「……懸命な判断だな」
ジモの返答にアポロガイストは微笑みを浮かべた。
「すると……我々はお互いに『目的の無い者同士』、ということか」
「そういうことだね」
「そういうことだね」
ジモとアポロガイストは静かに空を見上げる。
暗い夜空に星と月だけが輝いていたのだった……。
【アポロガイスト@仮面ライダーX】
[状態]:健康、人間態
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:死ぬ気はないが……優勝して叶えたい願いもないし、賞金にも興味は無い
1:Xライダーと今度こそ決着をつけたいが、もう2度も負けているしなぁ……
2:総司令の下に戻っても、『役立たず』として処刑されそうだし……
[備考]
第21話『アポロガイスト最後の総攻撃!!』でXライダーに敗北した直後からの参戦。
怪人態は再生アポロガイストです。
アポロマグナムの威力が一般のライフル銃レベルまで落ちています。
ジモからMCU世界の情報を得ました。
ヒエール・ジョコマンがタイムマシンのような機械or技術を持っているのでは?と考えています。
[状態]:健康、人間態
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:死ぬ気はないが……優勝して叶えたい願いもないし、賞金にも興味は無い
1:Xライダーと今度こそ決着をつけたいが、もう2度も負けているしなぁ……
2:総司令の下に戻っても、『役立たず』として処刑されそうだし……
[備考]
第21話『アポロガイスト最後の総攻撃!!』でXライダーに敗北した直後からの参戦。
怪人態は再生アポロガイストです。
アポロマグナムの威力が一般のライフル銃レベルまで落ちています。
ジモからMCU世界の情報を得ました。
ヒエール・ジョコマンがタイムマシンのような機械or技術を持っているのでは?と考えています。
【ヘルムート・ジモ@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:死にたくはないが、殺し合いに乗る気もない
1:仮面ライダーにGOD機関……アベンジャーズ以外にも超人が?
[備考]
『ファルコン&ウィンターソルジャー』第5話でラフト刑務所に収監後からの参戦。
アポロガイストから仮面ライダーXとGOD機関の情報を得ました。
ヒエール・ジョコマンがタイムマシンのような機械or技術を持っているのは?と考えています。
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:死にたくはないが、殺し合いに乗る気もない
1:仮面ライダーにGOD機関……アベンジャーズ以外にも超人が?
[備考]
『ファルコン&ウィンターソルジャー』第5話でラフト刑務所に収監後からの参戦。
アポロガイストから仮面ライダーXとGOD機関の情報を得ました。
ヒエール・ジョコマンがタイムマシンのような機械or技術を持っているのは?と考えています。