この作品は非常にグロテスクな表現が含まれています。
残虐な描写が苦手な方には不快となる内容なのでご注意ください
残虐な描写が苦手な方には不快となる内容なのでご注意ください
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『ド(#)』は ほねがおれる音
『レ 』は にくがつぶれる音
『ミ(♭)』は なにかがとびだす音
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「ヒエールとか言う奴!何考えてんですか!」
篠原美笛にとって、こうして拉致されるのは二度目となる。
彼女は先程まで、精神をメビウスという如何なる夢も叶える仮想世界に閉じ込められていた。
その首謀者の暴走を止め、ついに夢から覚めて現実へと向き合おうとした矢先にこの世界に呼ばれた。
彼女は先程まで、精神をメビウスという如何なる夢も叶える仮想世界に閉じ込められていた。
その首謀者の暴走を止め、ついに夢から覚めて現実へと向き合おうとした矢先にこの世界に呼ばれた。
「エロトラップだがなんだか知りませんがとっとと帰らせてもらいますよ!」
20億円だの感度3000倍だのデスアクメだの人を馬鹿にしているとしか思えなかった。
いくら金を積まれようが美笛は乗る気はない。
ヒエールへと怒りと嫌悪感が湧いている。
美笛は過去に『Stork』という色欲に溢れた者を相手にしたことがあった。
しかしヒエールは彼とはまた違う嫌悪感を抱く。
むしろ『琵琶坂永至』や『ウィキッド』のような、自分が楽しければ相手がどうなろうと構わない人種と近しいものを感じた。
いくら金を積まれようが美笛は乗る気はない。
ヒエールへと怒りと嫌悪感が湧いている。
美笛は過去に『Stork』という色欲に溢れた者を相手にしたことがあった。
しかしヒエールは彼とはまた違う嫌悪感を抱く。
むしろ『琵琶坂永至』や『ウィキッド』のような、自分が楽しければ相手がどうなろうと構わない人種と近しいものを感じた。
「絶対帰るんだから!お母さんのところに!」
メビウスの中では仲間と協力して、理不尽に抗った。
この場においても美笛がやることは同じだ。
仲間を集め、ヒエールの企みを阻止し元の世界へと帰宅する。
そのために美笛は駆け出した。
この場においても美笛がやることは同じだ。
仲間を集め、ヒエールの企みを阻止し元の世界へと帰宅する。
そのために美笛は駆け出した。
〇〇〇
「あ、えっと……私、長谷川夢って言います……」
「夢ちゃんね、私は篠原美笛!」
「夢ちゃんね、私は篠原美笛!」
しばらくして、巻き込まれた参加者の影を見つけた。
当初、目の前の少女は怯えていたが、人懐っこい美笛を相手する内に恐怖心が薄れていく。
互いに自己紹介を終え、行動を共にすることにした。
当初、目の前の少女は怯えていたが、人懐っこい美笛を相手する内に恐怖心が薄れていく。
互いに自己紹介を終え、行動を共にすることにした。
「私、殺し合いなんて、したくないです……」
出会った長谷川夢という少女は、美笛と同じく高校一年生だった。
彼女は暴力が嫌い。見るのも苦手なのだという。
その臆病さは美笛と中の良い『神楽鈴奈』のことを連想させた。
美笛はこのような殺し合いの場で彼女を一人にさせるような者ではない。
彼女は暴力が嫌い。見るのも苦手なのだという。
その臆病さは美笛と中の良い『神楽鈴奈』のことを連想させた。
美笛はこのような殺し合いの場で彼女を一人にさせるような者ではない。
「早く、お兄ちゃんのところに帰らないと……」
「大丈夫だよ、夢ちゃん。どんな敵が来ても私が守ってあげるから」
「あ、………はい」
「大丈夫だよ、夢ちゃん。どんな敵が来ても私が守ってあげるから」
「あ、………はい」
ぎゅっと夢の手を握り、目を見て笑顔を向ける。
本当は美笛も内心では怖がっている。
それでも彼女を不安にさせないように強がった。
本当は美笛も内心では怖がっている。
それでも彼女を不安にさせないように強がった。
(怖いよね……あんなの見たら)
脳裏に浮かぶのは色黒の少女が無残に死にゆく光景。
美笛自身もメビウスの戦いで人が死んだときは立ち直るのに時間がかかった。
人一倍臆病な夢であればその精神的ショックは大きいだろう。
そんな彼女のペースに合わせるように美笛はゆっくりと歩いて。
美笛自身もメビウスの戦いで人が死んだときは立ち直るのに時間がかかった。
人一倍臆病な夢であればその精神的ショックは大きいだろう。
そんな彼女のペースに合わせるように美笛はゆっくりと歩いて。
カチリ、という乾いた音が響いた。
「何?今の音!」
それは、この会場に設置されたトラップのひとつ。
結論を言えば、彼女達が踏んだのはその中でも軽度の罠だった。
結論を言えば、彼女達が踏んだのはその中でも軽度の罠だった。
「……なんか、お腹すいたような?」
ぎゅるり、と可愛らしい音が鳴った。
それは空腹のワナ。
あるダンジョンに存在する、踏んだ者を空腹にさせるだけのもの。
万全の状態であれば脅威ではないトラップである。
それは空腹のワナ。
あるダンジョンに存在する、踏んだ者を空腹にさせるだけのもの。
万全の状態であれば脅威ではないトラップである。
「そっちは大丈夫?夢ちゃん?」
念の為、他に影響は無いか確認する。
美笛は夢の方に振り向いた。
美笛は夢の方に振り向いた。
ドクン。
ピキピキ、ボコ、ピリ。
ビギャ。
「あ」
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それはまるで、蛹が蝶になるように。
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「夢、ちゃん……?」
長谷川夢の身体が変わっていく。
身体の殻を破るように、全身から赤黒い異形が生えていく。
植物がコンクリートを割って咲くように、触手のような肉塊が皮膚から飛び出して、少女のあどけない顔を、華奢な身体を破壊していく。
それは例えるならば、蛹が殻の中で身体を溶かしたようなドロドロとした中身。
夢の身体はその原型を残さぬ異形へと変化していく。
身体の殻を破るように、全身から赤黒い異形が生えていく。
植物がコンクリートを割って咲くように、触手のような肉塊が皮膚から飛び出して、少女のあどけない顔を、華奢な身体を破壊していく。
それは例えるならば、蛹が殻の中で身体を溶かしたようなドロドロとした中身。
夢の身体はその原型を残さぬ異形へと変化していく。
空腹のワナは万全の状態であれば、脅威ではない。
万全の状態であれば、だ。
既に飢えている者が踏めば、それだけで危機となる。
万全の状態であれば、だ。
既に飢えている者が踏めば、それだけで危機となる。
長谷川夢はウイルスに感染していた。
その名もpupaウイルス。
それは宿主に驚異の回復力を与える代わりに、耐え難い空腹感を強いる。
最終的に宿主の細胞を蝕み異型の怪物へと変質させるもの。
その名もpupaウイルス。
それは宿主に驚異の回復力を与える代わりに、耐え難い空腹感を強いる。
最終的に宿主の細胞を蝕み異型の怪物へと変質させるもの。
「あ、……逃げて、ください」
あどけない顔の横半分が肉塊で埋まり、ボコボコと盛り上がっていく。
衣服を突き破り、彼女の意思を無視して枝葉のような触手が伸びる。
衣服を突き破り、彼女の意思を無視して枝葉のような触手が伸びる。
元々長谷川夢はその衝動を投薬により一時的に抑えられていた状態だった。
しかし、その抑えは罠による強制的な飢えにより崩れ去った。
結果として夢の理性は少しずつ食欲に呑まれていく。
しかし、その抑えは罠による強制的な飢えにより崩れ去った。
結果として夢の理性は少しずつ食欲に呑まれていく。
「ヒエール!あんた絶対許さないから!」
もっとも、美笛にとってそんなことは分からない。
かつて美笛は人間を人形に変える者と戦ったことがあった。
だから、ヒエールの仕掛けたエロトラップによって夢が化け物にされたのだと勘違いした。
かつて美笛は人間を人形に変える者と戦ったことがあった。
だから、ヒエールの仕掛けたエロトラップによって夢が化け物にされたのだと勘違いした。
「だ、駄目」
夢の身体から生えていく肉塊は、彼女の意思を無視して美笛に襲いかかる。
飢えた獣とは凶暴なもの。
先端に牙が生えて、美笛を食い尽くすための口が産まれる。
飢えた獣とは凶暴なもの。
先端に牙が生えて、美笛を食い尽くすための口が産まれる。
触手が伸びる刹那。
手は突如現れたガラスにより防がれる。
美笛はオレンジ色の障壁、『ファストプロテクト』を展開。
攻撃の止まった隙を付き、『ダッシュ』して距離を取る。
触手による攻撃をある程度、美笛は予想していた。
頭の中で相手の動きをシミュレートし、その動きに対処する連続行動を行う。
仲間内で未来視<イマジナリィチェイン>と言われる、自身の空想を戦闘に活かした戦い方だ。
その戦法でタイミング良く障壁を貼り、防衛の準備を整えた。
手は突如現れたガラスにより防がれる。
美笛はオレンジ色の障壁、『ファストプロテクト』を展開。
攻撃の止まった隙を付き、『ダッシュ』して距離を取る。
触手による攻撃をある程度、美笛は予想していた。
頭の中で相手の動きをシミュレートし、その動きに対処する連続行動を行う。
仲間内で未来視<イマジナリィチェイン>と言われる、自身の空想を戦闘に活かした戦い方だ。
その戦法でタイミング良く障壁を貼り、防衛の準備を整えた。
暴走する夢が体制を立て直す前に、美笛はハンマーを構える。
ハンマー状のそれは、カタルシスエフェクトと呼ばれる、自身の心の貌を武器にした能力だ。
使う技は『クイーンアナフィラキシー』。
自身の心の奥に向き合って身につけた攻撃スキル。
あの日謝れなかった母への思いが形となり、美笛に力を与える。
その「思い」が、言葉通り「重さ」となった、強烈な一撃だ。
ハンマー状のそれは、カタルシスエフェクトと呼ばれる、自身の心の貌を武器にした能力だ。
使う技は『クイーンアナフィラキシー』。
自身の心の奥に向き合って身につけた攻撃スキル。
あの日謝れなかった母への思いが形となり、美笛に力を与える。
その「思い」が、言葉通り「重さ」となった、強烈な一撃だ。
「キツイのいきます!」
怯んでいるうちに、伸びた肉塊に猛打を与えていく。
目で追いきれぬほどの速さで、ハンマーを叩きつけていく。
十打程打ち込んだところで、身体を回転させ、勢いを付けたまま飛び上がる。
ハンマーの重みに遠心力が合わさった強烈な一撃を叩きつけた。
目で追いきれぬほどの速さで、ハンマーを叩きつけていく。
十打程打ち込んだところで、身体を回転させ、勢いを付けたまま飛び上がる。
ハンマーの重みに遠心力が合わさった強烈な一撃を叩きつけた。
「この!この!この!」
攻撃を受けて、肉塊の流出が僅かに収まる。
カタルシスエフェクトは肉体ではなく精神に影響を及ぼすものだ。
この力で、夢が死ぬことは無い。
美笛は過去にデジヘッドという、衝動に浸食された相手を正気に戻したことがある。
同様にこの力で夢の暴走を抑えることが出来たとしても不思議では無い。
カタルシスエフェクトは肉体ではなく精神に影響を及ぼすものだ。
この力で、夢が死ぬことは無い。
美笛は過去にデジヘッドという、衝動に浸食された相手を正気に戻したことがある。
同様にこの力で夢の暴走を抑えることが出来たとしても不思議では無い。
美笛は夢が怯んでいる<リスクブレイク>状態であるうちに、次の攻撃の準備をする。
再度カタルシスエフェクトを発現させ、ハンマー投げのように身体を回転させる。
『ブリリアントブリミア』。溜め込んだストレスをオーバードーズさせて一気に開放する美笛の最強技。
遠心力を増しながら何十倍にも膨れ上がるハンマーは、美笛の心そのものといっても過言ではない。
再度カタルシスエフェクトを発現させ、ハンマー投げのように身体を回転させる。
『ブリリアントブリミア』。溜め込んだストレスをオーバードーズさせて一気に開放する美笛の最強技。
遠心力を増しながら何十倍にも膨れ上がるハンマーは、美笛の心そのものといっても過言ではない。
「悪い子は食べちゃうよっ!」
その巨大な衝動は、勢いを残さぬまま肉塊に叩き付けられた。
〇〇〇
夢から生えていた肉塊はスルスルと身体の中に戻っていった。
長谷川夢は普通の人間としての姿を取り戻す。
溢れた肉によって衣服が破れたことで、成長期少女の裸体が晒されている。
美笛は支給品にあった制服を着せて、彼女が起きるのを待った。
夢は、戦闘で体力を使ったのか眠っている。
暴走を抑えるためとはいえ、手荒なことをしてしまったことに申し訳無く思う。
彼女をあのような姿にしたヒエールへと怒りが湧いてくる。
一刻も早く彼を倒し、元の世界に帰ろうと強く決意した。
長谷川夢は普通の人間としての姿を取り戻す。
溢れた肉によって衣服が破れたことで、成長期少女の裸体が晒されている。
美笛は支給品にあった制服を着せて、彼女が起きるのを待った。
夢は、戦闘で体力を使ったのか眠っている。
暴走を抑えるためとはいえ、手荒なことをしてしまったことに申し訳無く思う。
彼女をあのような姿にしたヒエールへと怒りが湧いてくる。
一刻も早く彼を倒し、元の世界に帰ろうと強く決意した。
「……オ」
「気が付いた?大丈夫?夢ちゃん」
「気が付いた?大丈夫?夢ちゃん」
美笛は、怖がらせないように笑顔で優しく声をかけ、
気絶から覚めた夢は目をぱちくりさせる。
そうして辺りを見渡して今の状況を理解して。
ゆっくりと言葉を紡いだ。
気絶から覚めた夢は目をぱちくりさせる。
そうして辺りを見渡して今の状況を理解して。
ゆっくりと言葉を紡いだ。
「……オナカスイタ」
ベリベリと夢の背より二本の触手が生え、肥大化し、夢の身体が脱ぎ捨られていく。
その姿は翅を広げる蝶のよう。
小さな身体の中にどのように抑えられていたのか、体積の十数倍はあるであろう肉塊がどくりと溢れて完全に身体を包み込んだ。
その姿は翅を広げる蝶のよう。
小さな身体の中にどのように抑えられていたのか、体積の十数倍はあるであろう肉塊がどくりと溢れて完全に身体を包み込んだ。
美笛の失敗は、夢の変化をデジヘッドのように外的要因による変化だと判断したことだ。
夢の空腹衝動はpupaウイルスによる永続的なものであり、治療法は無い。
定期的に薬を摂取することで発作は抑えられるが、それは一時的なもの。
カタルシスエフェクトによって衝動は抑えられたとしても、空腹そのものが満たされたわけで無い。
肝心の飢えが満たされていない以上、その抑え込んだ衝動は再び燃え広がる。
夢の空腹衝動はpupaウイルスによる永続的なものであり、治療法は無い。
定期的に薬を摂取することで発作は抑えられるが、それは一時的なもの。
カタルシスエフェクトによって衝動は抑えられたとしても、空腹そのものが満たされたわけで無い。
肝心の飢えが満たされていない以上、その抑え込んだ衝動は再び燃え広がる。
食欲とは生命維持に直結する原始的な欲望だ。
心理学者マズローは、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていると提唱した。
食欲といった生命維持に関する生理的欲求は、その最下段に属する本能的欲求だ。
他のあらゆる欲求はこの欲が満たされていなければ抱けない。
一時的に抑えられはしても、生きている限り無くなることは決して無い衝動。
心理学者マズローは、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていると提唱した。
食欲といった生命維持に関する生理的欲求は、その最下段に属する本能的欲求だ。
他のあらゆる欲求はこの欲が満たされていなければ抱けない。
一時的に抑えられはしても、生きている限り無くなることは決して無い衝動。
その衝動は収まらず、身体から溢れ出る。
もはや人間の姿は失われた。
華奢な手足は獲物を狩ることに適した強靭な4本足へ作り替わる。
幼い顔は赤黒く染まり、食欲に呑まれた巨大な口に牙が生える。
長谷川夢は完全に異形の化け物へと変貌した。
目の前にいるのは夢ではない。捕食することに特化した生き物だ。
糧を食らわんと、巨大な掌が勢いよく美笛へと振り下ろされる。
カウンター技を持たない美笛に、敵の攻撃を防ぐ手段は回避か防御だけだ。
触手のような点による攻撃ではなく、手による面の攻撃は回避しきることが出来ない。
もはや人間の姿は失われた。
華奢な手足は獲物を狩ることに適した強靭な4本足へ作り替わる。
幼い顔は赤黒く染まり、食欲に呑まれた巨大な口に牙が生える。
長谷川夢は完全に異形の化け物へと変貌した。
目の前にいるのは夢ではない。捕食することに特化した生き物だ。
糧を食らわんと、巨大な掌が勢いよく美笛へと振り下ろされる。
カウンター技を持たない美笛に、敵の攻撃を防ぐ手段は回避か防御だけだ。
触手のような点による攻撃ではなく、手による面の攻撃は回避しきることが出来ない。
「あっ……!」
パリン。
咄嗟に防御を選ぶ。
しかし、ファストプロテクトは無敵の防御ではない。
ガードをブレイクする程の強力な一撃を受ければ、簡単に崩れ去るもの。
無敵の防御は裏返り、体制が崩れて隙へと変わってしまう。
しかし、ファストプロテクトは無敵の防御ではない。
ガードをブレイクする程の強力な一撃を受ければ、簡単に崩れ去るもの。
無敵の防御は裏返り、体制が崩れて隙へと変わってしまう。
そのまま動けなくなった身体を、自分の身長ほどもある巨大な手に押さえつけられる。
戦闘からの『エスケープ』はもう叶わない。『ヒーリング』を行ったところで僅かに余命が延びるのみ。
戦闘からの『エスケープ』はもう叶わない。『ヒーリング』を行ったところで僅かに余命が延びるのみ。
「ひっ……」
人間は飢えた動物には勝てない。手負いの獣であれば尚の事。
ましてや、それが自分の数倍もの巨体であればどうなるか。
篠原美笛は、生き餌となった。
ましてや、それが自分の数倍もの巨体であればどうなるか。
篠原美笛は、生き餌となった。
〇〇〇
【『ド#』は骨が折れる音。】
「い”っ”だ、やめ……で」
体重がかかり、圧力に押し潰される。
手足の骨が折れ、立ち上がることはもう出来ない。
砕けた骨が皮膚を突き破る。
臓器に刺さった物もあるのか、血溜まりが食道を伝って湧き上がる。
吐瀉物と血の混ざったものを吐き出した。
どれだけ救いを懇願してもその声は届かない。
化け物に人間の倫理観は通用しないのだから。
手足の骨が折れ、立ち上がることはもう出来ない。
砕けた骨が皮膚を突き破る。
臓器に刺さった物もあるのか、血溜まりが食道を伝って湧き上がる。
吐瀉物と血の混ざったものを吐き出した。
どれだけ救いを懇願してもその声は届かない。
化け物に人間の倫理観は通用しないのだから。
【『レ 』は肉が潰れる音。】
「あ”あ”あ”あ”あ””あ”」
巨大な手が離れたかと思えば、再び叩きつけられる。幾度となく。
生きたまま身体をミンチに作り変えられる。
皮膚が破ける、全身が赤に染まる。
衣服は意味をなさず布切れとなり、篠原美笛は裸体を晒す。
羞恥を気にする余裕もなく、頭の中は絶望に染まっている。
生きたまま身体をミンチに作り変えられる。
皮膚が破ける、全身が赤に染まる。
衣服は意味をなさず布切れとなり、篠原美笛は裸体を晒す。
羞恥を気にする余裕もなく、頭の中は絶望に染まっている。
【『ミ♭』は何かが飛び出す音。】
「う”あ”っ”、あ”ぇ”」
腹部が破裂した。
すでに圧を受けた身体は脆い。
潰れた蛹のようにドロドロのグチョグチョだ。
全身の傷跡から中身が飛び出る。
出血。失禁。解放骨折。
腸が腹部から溢れる。筋肉が露出する。
皮膚はその役目を果たさない。
むき出しとなった神経は、風が吹くだけでも激痛が走る。
すでに圧を受けた身体は脆い。
潰れた蛹のようにドロドロのグチョグチョだ。
全身の傷跡から中身が飛び出る。
出血。失禁。解放骨折。
腸が腹部から溢れる。筋肉が露出する。
皮膚はその役目を果たさない。
むき出しとなった神経は、風が吹くだけでも激痛が走る。
「だすけ…だれ……せんぱ……」
人が死ぬときは歌が流れる。
断末魔。骨が折れる音。肉が潰れる音。何かが飛び出す音。
それらが混ざって一つの歌となる、人が死ぬ音色だ。
世界の片隅で起こる悲劇を彩るレクイエム。
断末魔。骨が折れる音。肉が潰れる音。何かが飛び出す音。
それらが混ざって一つの歌となる、人が死ぬ音色だ。
世界の片隅で起こる悲劇を彩るレクイエム。
「が”ぇ”…………」
肺が潰れた。
叫ぶための声すら奪われる。
少しずつ息が出来なくなる。
残された呼吸を使い果たせば、死は目前だ。
叫ぶための声すら奪われる。
少しずつ息が出来なくなる。
残された呼吸を使い果たせば、死は目前だ。
人の内蔵はときに果物に例えられる。
瑞々しさ。独特の香り。骨を思わせる種子。噛んだときに中身が飛び出す食感。
果肉とはよく言ったものだ。
下ごしらえの終わった果実は捕食される定め。
中から飛び出したものから、順番に噛みちぎられる。
美笛の身体に食い込む歯列、咀嚼音、腹に流し込まれていく肉片。
ぶちぶちと飛び地が生まれ、美笛の存在が削られていく。
肉が裂け、熱い血が一面に飛び散り、
呼吸が千々に乱れ、ブチブチと骨や筋が磨り潰されていく。
むせかえる程の鉄の匂い、薄れゆく意識、
そして体はただの肉塊となる。
瑞々しさ。独特の香り。骨を思わせる種子。噛んだときに中身が飛び出す食感。
果肉とはよく言ったものだ。
下ごしらえの終わった果実は捕食される定め。
中から飛び出したものから、順番に噛みちぎられる。
美笛の身体に食い込む歯列、咀嚼音、腹に流し込まれていく肉片。
ぶちぶちと飛び地が生まれ、美笛の存在が削られていく。
肉が裂け、熱い血が一面に飛び散り、
呼吸が千々に乱れ、ブチブチと骨や筋が磨り潰されていく。
むせかえる程の鉄の匂い、薄れゆく意識、
そして体はただの肉塊となる。
化け物が頭部を口に咥える。
そのまま首筋に力を入れ、ニッパーのように歯を立てる。
べきり、と音を立てて、美笛の頭が外れた。
そのまま首筋に力を入れ、ニッパーのように歯を立てる。
べきり、と音を立てて、美笛の頭が外れた。
(お……かあ…………さん)
吐き出され、地面に叩きつけられる。
最後に思ったのは、謝れなかった母への気持ち。
全部夢だったら良かったのに。
そう願い、美笛の意識は苦しみに塗りつぶされて溶けていった。
最後に思ったのは、謝れなかった母への気持ち。
全部夢だったら良かったのに。
そう願い、美笛の意識は苦しみに塗りつぶされて溶けていった。
【篠原美笛@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ- 死亡】
〇〇〇
【オイシイ】
柔らかな腸を噛む。
二の腕にこびり付いた肉を毟る。
女性的な丸っこい肩肉を抉る。
程よく脂肪のついた尻肉を齧る。
鉄の味が染みついた心臓を飲み込む。
胃袋、膵臓、肝臓はほろ苦い。
篠原美笛の命を維持していた組織が、別の命の中へと混ざる。
二の腕にこびり付いた肉を毟る。
女性的な丸っこい肩肉を抉る。
程よく脂肪のついた尻肉を齧る。
鉄の味が染みついた心臓を飲み込む。
胃袋、膵臓、肝臓はほろ苦い。
篠原美笛の命を維持していた組織が、別の命の中へと混ざる。
【オニクオイシイ】
頭部に食い付き、目を、耳を、鼻を食い破る。
頬肉を摘む。よく笑って鍛えられた表情筋は噛むたびに弾力が帰る。
唇を、舌を貪る。食いしん坊な彼女らしく味が染みている。
邪魔な毛髪は、頭皮ごと力尽くで剥がす。
叩き割れて穴の空いた頭部に口を付け、脳味噌を啜る。
独特の臭みのあるドロドロとしたものが吸われていく。
篠原美笛を形成する部品がひとつひとつ解体され、胃の中へと落ちていく。
頬肉を摘む。よく笑って鍛えられた表情筋は噛むたびに弾力が帰る。
唇を、舌を貪る。食いしん坊な彼女らしく味が染みている。
邪魔な毛髪は、頭皮ごと力尽くで剥がす。
叩き割れて穴の空いた頭部に口を付け、脳味噌を啜る。
独特の臭みのあるドロドロとしたものが吸われていく。
篠原美笛を形成する部品がひとつひとつ解体され、胃の中へと落ちていく。
【ドウシテコンナニオイシイノ】
胸肉はモチモチと反動が楽しい。
膨らみのある部分がジューシー。
子宮はコリコリとした歯応え。
程よい硬さは食事のアクセントとなる。
卵巣はぷにぷにと弾力がある。
小さな口に納まれば、一つ一つプチプチと潰れていく。ぶちゅりとジュースになって喉に落ちる。
篠原美笛のもっとも大切なものすら、消えてなくなった。
膨らみのある部分がジューシー。
子宮はコリコリとした歯応え。
程よい硬さは食事のアクセントとなる。
卵巣はぷにぷにと弾力がある。
小さな口に納まれば、一つ一つプチプチと潰れていく。ぶちゅりとジュースになって喉に落ちる。
篠原美笛のもっとも大切なものすら、消えてなくなった。
小さな口?
「あ、れ」
長谷川夢はいつの間にか人間の姿に戻っていた。
篠原美笛が使ったカタルシスエフェクトと呼ばれる異能。
その力を受けた者は衝動を抑圧され、正気に戻る効果がある。
篠原美笛が使ったカタルシスエフェクトと呼ばれる異能。
その力を受けた者は衝動を抑圧され、正気に戻る効果がある。
「いや……そんな……」
夢の暴走の原因となっていた空腹衝動は美笛を捕食したことである程度収まった。
衝動と抑圧のバランスが逆転した今、時間差でその効果を発揮する。
衝動と抑圧のバランスが逆転した今、時間差でその効果を発揮する。
冷静さを取り戻した先程までの彼女は自分の行為を理解する。
化け物になったのはつい先日のこと。
彼女の中身は『まだ』、ただの高校生でしかない。
自分が人を喰い殺した現実(じごく)を受け入れるには幼すぎた。
化け物になったのはつい先日のこと。
彼女の中身は『まだ』、ただの高校生でしかない。
自分が人を喰い殺した現実(じごく)を受け入れるには幼すぎた。
風が吹き、ちぎれた美笛の頭部がごろりと転がった。
そこには存在していたはずの柔らかなパーツが一切存在しない。
元気な表情を作っていた表情筋は無くなり、赤と白で塗りつぶされている。
頭蓋骨は原形を留めず、彼女がどんな頭の形をしてしたかすら分からない。
僅かに残った脳漿を零し、かつて目玉があった眼孔を静かに向けている。
そこには存在していたはずの柔らかなパーツが一切存在しない。
元気な表情を作っていた表情筋は無くなり、赤と白で塗りつぶされている。
頭蓋骨は原形を留めず、彼女がどんな頭の形をしてしたかすら分からない。
僅かに残った脳漿を零し、かつて目玉があった眼孔を静かに向けている。
『アナタが喰い殺した』
物言わぬ首がそう呟いた、気がした。
長谷川夢は逃げ出した。
※長谷川夢の衣服、中学校夏制服@ご注文はうさぎですか?が破れた状態でその場に残っています。
※篠原美笛の基本支給品一式、ランダム支給品0~2はその場に放置されています。
※分かれた頭部と肉片だけ残された篠原美笛の残骸がバラバラになって血溜まりの中に転がっています。
CaligulaOD出典の参加者が参戦した場合でも、元が彼女だと判断することは不可能でしょう。
※篠原美笛の基本支給品一式、ランダム支給品0~2はその場に放置されています。
※分かれた頭部と肉片だけ残された篠原美笛の残骸がバラバラになって血溜まりの中に転がっています。
CaligulaOD出典の参加者が参戦した場合でも、元が彼女だと判断することは不可能でしょう。
【長谷川夢@pupa】
[状態]:全裸、また化け物となってしまったことへの恐怖、罪悪値増加
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:お兄ちゃんの所に帰りたい
1:???
[備考]
※参戦時期は原作漫画4話で長谷川現と合流後から「夢と現の7日間」終了までのどこかです。
※抗pupa薬を摂取しなければ、また近いうちに羽化します。
[状態]:全裸、また化け物となってしまったことへの恐怖、罪悪値増加
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:お兄ちゃんの所に帰りたい
1:???
[備考]
※参戦時期は原作漫画4話で長谷川現と合流後から「夢と現の7日間」終了までのどこかです。
※抗pupa薬を摂取しなければ、また近いうちに羽化します。
人殺し
『エロトラップ紹介』
【空腹のワナ@不思議のダンジョンシリーズ】
チュンソフトの不思議のダンジョンシリーズに登場するワナの一つ。
作品によっては「空腹スイッチ」「はらへりのワナ」「ハラペーニャのワナ」とも呼ばれる。
つまり踏んだ者の満腹度を減らす罠。
減少量は作品によって変わるが、このロワでは一食抜いたぐらいの空腹に襲われる。
【空腹のワナ@不思議のダンジョンシリーズ】
チュンソフトの不思議のダンジョンシリーズに登場するワナの一つ。
作品によっては「空腹スイッチ」「はらへりのワナ」「ハラペーニャのワナ」とも呼ばれる。
つまり踏んだ者の満腹度を減らす罠。
減少量は作品によって変わるが、このロワでは一食抜いたぐらいの空腹に襲われる。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出したが 罪からは
逃げられない。決して。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出したが 罪からは
逃げられない。決して。