「……最っ悪。」
水無乃有理は、開幕五分で引っかかった服だけ溶かす系のトラップでひん剥かれていた。
このような姿で人前に出るわけにはいかない。せめて何か着るもの、とまではいかずとも、せめて身体を隠せるものはないか……そう思い漁ったザックからは、一着の青いバニースーツが出てきた。
困惑しつつも、やむ無くそれを着込む。
ピッチリと肌にまとわりつく網タイツの感覚が、まるで撫で回されているかのようで、どことなく気色が悪い。
ちなみに、何故付属のうさみみバンドまで被ったのかは自分でも分からない。しかしそれまで被らないとバニースーツとはいえないと、抗えない大いなる運命のような何かが要請したのだ。
「っ――! ああ、もう……!」
そして己の姿を客観的に想像しつつ、有理はその語調を荒らげて、叫んだ。
「何で私が……こんな目にっ……!」
それは、羞恥からの叫びではない。
それは、死への恐怖からの叫びではない。
それは、平穏を許してくれない、世界への嘆きだった。空虚で、理不尽な――そんな世界への、呪いだった。
「……ほんっと、意味わかんない。こんな世界でも……私はまだ、生きてたいって思うんだから……。」
殺し合いなどというものに巻き込まれる前、有理はバスに乗っていた。それ自体は特段珍しいことでもないが、しかしその時は、いつもとは違った。唐突に蛇行を始め、ざわつく乗客を尻目に、崖へと続くガードレールに突っ込んで――そして、気付いたらこの殺し合いに招かれていた。
スピードを上げるバスの中で、迫ってくる崖を眺めながら――有理は、生きたいと思った。
疲れを零したい時も、怨嗟を吐きたい時も、常日頃から優等生であり続けて。猫を被って色々なことを我慢しながら、死にたいと思ったことだって、決して少なくなかった。それなのに、こうして命が死にかけるような目に遭ってみれば、こんなところで終わりたくないと思ってしまう。
生還という目的を第一に据えて、その上で殺し合いに乗るべきかは保留だ。単純に、男や大人も含まれたある程度の人数での殺し合いであるならば、ただの女子中学生である自分が優勝できる確率は極めて低い。
しかしもしも他人を殺さずに帰れる方法があるのならそれに越したことはない。例えばこれが、そういった需要を求める層に映像作品として売るために開催されているなど、そういった類の企画であるならば、もしかすると優勝せずとも、死ぬこともなく帰してもらえる見込みだって、あるかもしれない。
――ところで。
有理の身に着けたバニースーツには、呪いが込められている。それは装備している限り、決して死ぬことがないという効果のもの。有理は殺し合いという舞台で、不死の特権を手に入れたに等しい。
しかし、それは決して、救いではない。何せこの世界におけるその呪いは、言い換えれば――脱がされるまで死ぬことが許されないという呪いでも、あるのだから。
【水無乃有理@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:健康
[装備]:妖魔のバニースーツ@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めてS
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[思考]
基本:生還する。
1:まだ、生きていたい
※バス事故に巻き込まれている最中からの参戦です。
※幽鬼の姫とはまだ話していません。
[状態]:健康
[装備]:妖魔のバニースーツ@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めてS
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[思考]
基本:生還する。
1:まだ、生きていたい
※バス事故に巻き込まれている最中からの参戦です。
※幽鬼の姫とはまだ話していません。
【支給品紹介】
【妖魔のバニースーツ@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めてS】
装備している限り、死亡しても復活する呪いが妖魔軍王ブギーによってかけられたバニースーツ。ドラクエシリーズの呪いにお馴染み、装備したら外せなくなる効果は付与されていない。
【妖魔のバニースーツ@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めてS】
装備している限り、死亡しても復活する呪いが妖魔軍王ブギーによってかけられたバニースーツ。ドラクエシリーズの呪いにお馴染み、装備したら外せなくなる効果は付与されていない。