鬼舞辻無惨は鬼の首領だ。
その強さは約一名の例外さえ除けば鬼狩りの中でも精鋭の者が束にならなければ勝ち目がない、正真正銘の化け物。
その強さは約一名の例外さえ除けば鬼狩りの中でも精鋭の者が束にならなければ勝ち目がない、正真正銘の化け物。
だがそんな彼もまた例外なく殺し合いに巻き込まれる。
どれだけ強力な鬼であろうとあの場で主催者の男を攻撃することすら出来なかった。
どれだけ強力な鬼であろうとあの場で主催者の男を攻撃することすら出来なかった。
「この私を捕らえ、あまつさえ殺し合いの場に放つか……」
無惨は主催者の暴挙に対して青筋を立てる。
あんな珍妙な格好をした馬鹿げた存在に鬼舞辻無惨があっさりと捕まる。
それは絶対に有り得ないはずのことだった。彼の住む世界の鬼や人間が聞いても、冗談としか思われないような異常事態だ。
あんな珍妙な格好をした馬鹿げた存在に鬼舞辻無惨があっさりと捕まる。
それは絶対に有り得ないはずのことだった。彼の住む世界の鬼や人間が聞いても、冗談としか思われないような異常事態だ。
それに無惨は過去に途轍もない才能を持つ剣士から逃げることに成功している。
勝負には敗北したが、逃げたことにより命は助かった。そして何よりその剣士が死ぬまで無惨は見事に逃げ切った。
勝負には敗北したが、逃げたことにより命は助かった。そして何よりその剣士が死ぬまで無惨は見事に逃げ切った。
鬼舞辻無惨を殺す、捕らえるというのはそれだけ難しいことなのだ。
単純な力比べなら彼より上の者が存在していたが、逃げという一点で彼ほど優れた者はなかなか存在しない。
単純な力比べなら彼より上の者が存在していたが、逃げという一点で彼ほど優れた者はなかなか存在しない。
そしてなにより忌々しいのは飼い犬のように着けられたこの首輪だ。
どういう原理か不明だが、これによって大幅に力を制限されている。
どういう原理か不明だが、これによって大幅に力を制限されている。
本来の無惨なら首輪を外すことなんて容易いはずだった。首輪に巻き付けられているなら、肉体を分解するなりして外せば良いだけのこと。
だが力を制限された今では、そんなことも出来なくなっている。
これは同時に肉体を弾き飛ばし、格上から逃げる術が封じられたことを意味する。
これは同時に肉体を弾き飛ばし、格上から逃げる術が封じられたことを意味する。
どうしようもないこの状況に無惨は虫唾が走る。
鬼舞辻無惨がこんなにも容易く捕えられるなど、有り得ない。
鬼舞辻無惨がこんなにも容易く捕えられるなど、有り得ない。
まるで神や仏すらも想像出来ないはずの、出鱈目な御伽噺だ。
きっと主催者の男は自分を斬り刻んだあの剣士と同じく、化け物なのだろう。
きっと主催者の男は自分を斬り刻んだあの剣士と同じく、化け物なのだろう。
「化け物が…………」
忌々しい化け物に対して無惨は心底、迷惑している。
そして表にこそ出していないが、彼に対する恐怖心もある。
そして表にこそ出していないが、彼に対する恐怖心もある。
首輪の感触が気持ち悪い。まるで心臓を直接、掴まれているようだ。
主催の気分1つで見せしめの少女のように殺される。力を制限された無惨に逃れる術はない。
主催の気分1つで見せしめの少女のように殺される。力を制限された無惨に逃れる術はない。
そもそも逃れることが出来るような相手なら、こうして巻き込まれることもなかっただろう。
ここに連れてこられた時点で無惨は捕縛されたも同然なのだから。
ここに連れてこられた時点で無惨は捕縛されたも同然なのだから。
しかし無惨にとって不都合なことばかりでもない。
「だが生き残りに願いを叶えるという条件は素晴らしい。これは私にとって好機とも言える」
最後の一人まで生き残るだけでどんな願いも叶える。
普通の者がそんなことを口にしても信じる気はないが、あの男ならばそれが可能だという確信が無惨にはあった。
普通の者がそんなことを口にしても信じる気はないが、あの男ならばそれが可能だという確信が無惨にはあった。
何故なら彼は御伽噺のような異常事態を生み出さた男だ。ならば太陽の克服くらい難なく達成出来ることだろう。
そしてダンジョンというあまり日が当たらない地形も鬼に適している。
もちろん全ての場所がそうだとは限らないが、日が当たらない場所が少しでもあることはありがたい。
エロトラップダンジョンという言葉の意味こそ知らないが、主催者が気を利かせてくれたことには感謝する。
もちろん全ての場所がそうだとは限らないが、日が当たらない場所が少しでもあることはありがたい。
エロトラップダンジョンという言葉の意味こそ知らないが、主催者が気を利かせてくれたことには感謝する。
何故か自分の姿が女で固定されている理由など、エロトラップダンジョンの意味を知らない無惨にわかるはずもない。
主催が首輪からナノマシンというものを注入し、感度を3千兆倍にする媚薬と話していたのを見るに、逆らえば見せしめのあの少女と同じ目に遭わせるという威嚇だろうと無惨は思い込んでいる。
実際はエロトラップの餌食にするためなのだが、無惨はエロトラップという言葉の意味を知らないのだから仕方ない。
実際はエロトラップの餌食にするためなのだが、無惨はエロトラップという言葉の意味を知らないのだから仕方ない。
そして先刻から独り言をブツクサと言ってる無惨に容赦のないバズーカの弾が飛んできた。
「うるさいですね……」
いきなり砲弾をぶち込んできた上に「うるさい」と理不尽に言ってきた少女に無惨は虫唾が走る。
力を制限されている影響で再生こそ遅いが、一命は取り留めた。
力を制限されている影響で再生こそ遅いが、一命は取り留めた。
そういう制限を知ることが出来たのは良いが、唐突に問答無用の一撃をぶち込まれた無惨はキレた。というかそんなことされたら誰だって怒る。
「一つ質問がある。私のどこがうるさかった?」
青筋を立てながら無惨は少女に問い掛ける。
「私はここに連れて来られて、まだ数回しか話していない。それがうるさ……」
「もう一発キメますか」
威圧感たっぷりに語る無惨を無視して、少女は追撃を加える。
現代兵器の一撃は鬼である無惨にもそれなりに重い。普段なら余裕だろうが、制限がかなり響いている。
現代兵器の一撃は鬼である無惨にもそれなりに重い。普段なら余裕だろうが、制限がかなり響いている。
そして無惨は確信した。
最初の一撃から思っていたことだが、この少女は異常者だ。
最初の一撃から思っていたことだが、この少女は異常者だ。
数回しか言葉を発していない相手に「うるさい」と文句をつけ、いきなり攻撃してくる。
そして普通の者ならば、鬼ですらも恐れるであろう威圧感に満ちた無惨に容赦のない二発目を放った。
そして普通の者ならば、鬼ですらも恐れるであろう威圧感に満ちた無惨に容赦のない二発目を放った。
しかもこちらが話しているというのに、それを無視しての攻撃。もうめちゃくちゃだ。
ある意味では鬼狩りよりも異常な存在かもしれない。
ある意味では鬼狩りよりも異常な存在かもしれない。
ただの身の程知らずの可能性も高いが、無駄に高い狙撃の腕は買っても良いだろう。
こんな少女がどうやって訓練したのかわからないが、彼女が手にしている兵器を扱い慣れていることは無惨にもわかる。
こんな少女がどうやって訓練したのかわからないが、彼女が手にしている兵器を扱い慣れていることは無惨にもわかる。
なにより一撃目で仕留め切れないと判断すると怯むことなく即座に二発目をぶち込んできた度胸はなかなかのものだ。
倫理観や思考回路が狂っているのかもしれないが、鬼として暴れさせるには非常に適した人材だ。
「私には負けられない理由があります」
迷いのない瞳で少女は語る。
「ラビットハウス以外の喫茶店の壊滅……これ以上の願いはありません。子宮なんてもはや、どうでもいいです!」
無惨は意味不明な言葉の羅列に気圧されそうになるが、異常者の話なんて深く考えないに限る。
「FXでは失敗して多大な借金が出来ましたが、今回は副賞もあるので必ず成功させます」
そして三発目を放つ準備をする。
「ラビットハウスで働くココアさんやリゼさんのためにも……」
準備に時間はかからない。
だがほんの少し、その僅かな時間で無惨は行動を完了する。
だがほんの少し、その僅かな時間で無惨は行動を完了する。
そして少女は鬼になった。
彼女の名はチノだが、それすら無惨に教えないで彼女はその場を去る。
彼女の名はチノだが、それすら無惨に教えないで彼女はその場を去る。
だがそれで良い。あの少女は参加者を減らすために生み出した駒でしかないのだから。
鬼となったあの少女には期待出来るが、これでもう鬼を生み出すことは不可能。
鬼に出来る者は一人のみというのが、無惨に課せられた制限の一つだった。
鬼となったあの少女には期待出来るが、これでもう鬼を生み出すことは不可能。
鬼に出来る者は一人のみというのが、無惨に課せられた制限の一つだった。
「私も方針を考えるか……」
最後まで生き残るために参加者を減らすことは必須だが、どうやって減らすか。
無差別的に襲うだけでも容易に殺す事は可能かもしれないが、思った以上に制限が厄介だ。
無差別的に襲うだけでも容易に殺す事は可能かもしれないが、思った以上に制限が厄介だ。
単独でどこかに隠れて人数が減るのを待つか?
どこかの集団に紛れ込み、人数が減るまで本性を隠し通すという手もある。
先刻鬼にした少女の成果にも期待出来るだろう。
どこかの集団に紛れ込み、人数が減るまで本性を隠し通すという手もある。
先刻鬼にした少女の成果にも期待出来るだろう。
それとも他の殺戮者と手を組み、能動的に人数を減らしていくか。
首輪の影響でこれ以上鬼を生み出せないならば、鬼以外の者を利用するのも視野に入れるべきだろう。
首輪の影響でこれ以上鬼を生み出せないならば、鬼以外の者を利用するのも視野に入れるべきだろう。
とにかく目標は最後まで生き残ることだけ。
逃げ続けるだけでも最後まで生き残れば願いを叶えられるのだから、選択肢は豊富にある。
逃げ続けるだけでも最後まで生き残れば願いを叶えられるのだから、選択肢は豊富にある。
そして無惨の選んだ手段は───
【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:負傷、再生中
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:最後まで生き残り、願いを叶える
1:鬼にした少女(チノ@ごちうさ二次創作)に期待
2:今後の方針を決める
[備考]
制限で弱体化しています。
エロトラップダンジョンに最適化されて女無惨になっています。任意に姿を変えることも不可能です
もう他の参加者を鬼にすることが出来ませんが、NPCなら可能かもしれません
[状態]:健康
[装備]:負傷、再生中
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:最後まで生き残り、願いを叶える
1:鬼にした少女(チノ@ごちうさ二次創作)に期待
2:今後の方針を決める
[備考]
制限で弱体化しています。
エロトラップダンジョンに最適化されて女無惨になっています。任意に姿を変えることも不可能です
もう他の参加者を鬼にすることが出来ませんが、NPCなら可能かもしれません
○
本来ならば交わることのない世界の住民をも、この殺し合いは引き寄せる。
見た目こそ同じだが、存在を汚染された者とそうでない者。
見た目こそ同じだが、存在を汚染された者とそうでない者。
しかしお互いなんだかんだで仲良いということは。
ラビットハウスで働いている姉妹のような間柄ということは、どちらの世界でも変わらない
ラビットハウスで働いている姉妹のような間柄ということは、どちらの世界でも変わらない
○
冨岡義勇は険しい瞳で、目の前の鬼を見据える。
先刻知り合ったココアを下がらせ、日輪刀を構えた。
対する鬼は。チノは人間の頃とあまり変わらない可憐なその見た目で物騒にも銃を連射した。
先刻知り合ったココアを下がらせ、日輪刀を構えた。
対する鬼は。チノは人間の頃とあまり変わらない可憐なその見た目で物騒にも銃を連射した。
血鬼術により生み出された銃から射出された弾丸が義勇を狙う。
水柱である義勇にとって銃の連射を対処することなんて容易い。
だがココアからチノの話を……妹のような存在ということを聞いていたから、僅かに心が痛む。
だがココアからチノの話を……妹のような存在ということを聞いていたから、僅かに心が痛む。
「チノちゃん、どうして!?」
「うるさいですね……」
「うるさいですね……」
ココアが叫ぶが、今のチノには通じない。
FXで借金を作ってしまい、ラビットハウスを立て直すために憎きスタバやコメダの殲滅という願いをチノは決めた。
副賞の20億が手に入り、他の喫茶店さえ潰してしまえば経営も上手くいくはずだった。
FXで借金を作ってしまい、ラビットハウスを立て直すために憎きスタバやコメダの殲滅という願いをチノは決めた。
副賞の20億が手に入り、他の喫茶店さえ潰してしまえば経営も上手くいくはずだった。
だが今のチノには理性がない。
人間の血を求めて無差別的に他者を襲うだけの鬼だ。
人間の血を求めて無差別的に他者を襲うだけの鬼だ。
「無駄だ、ココア。……アレはもうただの鬼でしかない」
嘘だ。
チノを「ただの鬼」と認識出来るほど、義勇も冷たくはない。
だがチノをこのまま放置するわけにはいかない。この場で斬らなければならない。
チノを「ただの鬼」と認識出来るほど、義勇も冷たくはない。
だがチノをこのまま放置するわけにはいかない。この場で斬らなければならない。
「チノちゃんは、チノちゃんだよ!」
鬼になった者の身内の前で鬼を狩ることは初めてじゃない。
それでも多少は思うところがある。ココアの悲痛な叫びが、義勇の胸に刺さる。
それでも多少は思うところがある。ココアの悲痛な叫びが、義勇の胸に刺さる。
「うるさいですね……」
理性は失っているはずのチノが、再び先刻と同じ言葉を口にする。
水柱の義勇にも理由は思い当たらないが、それもそのはず。
このチノはそういう汚染に掛けられているから、理性を失っても「うるさいですね……」という言葉のみ話す事が出来る。
このチノはそういう汚染に掛けられているから、理性を失っても「うるさいですね……」という言葉のみ話す事が出来る。
そして先刻聞こえた声の主、ココアに向かって銃弾を放つ。
義勇が対処するが、この一撃でチノは禰豆子のような例外でないとわかった。一縷の希望すらも、捨て去らざるを得なくなった。
「……基本的に鬼となった者は元に戻らない」
覚悟を決める。
冨岡義勇は今ここで、チノを殺さねばならない。
冨岡義勇は今ここで、チノを殺さねばならない。
「チノちゃんは鬼なんかじゃないよ!」
「ならばどうしてお前を襲った?」
「それは……!」
「ならばどうしてお前を襲った?」
「それは……!」
ココアが言葉に詰まる。
チノがココアを本気で殺そうとするなんて有り得ないから、だからこそ何も言い返せない。
チノがココアを本気で殺そうとするなんて有り得ないから、だからこそ何も言い返せない。
「……覚悟を決めろ、ココア。あれはもうお前の知るチノではない」
「そんな……」
「お前の気持ちはわかる。……俺も過去に姉ら友人を失った」
「義勇さんも……?」
「そんな……」
「お前の気持ちはわかる。……俺も過去に姉ら友人を失った」
「義勇さんも……?」
───俺がもっと早く行動してチノを発見することが出来ればお前の妹は鬼にならなかったかもしれない
チノが鬼になった理由はわからないが、もしも他の鬼の手によるものならば義勇が守る事が出来た可能性は存在した。
罪悪感がないわけじゃない。ココアの辛さはよくわかるし、チノを鬼から戻すことが出来ればそれが一番だという気持ちもある。
しかし現実がそんなに甘くないということも、熟知している。
ココアを襲った時点で禰豆子のような例外という可能性も潰えた。
ココアを襲った時点で禰豆子のような例外という可能性も潰えた。
それに鬼と化したチノはそこら辺の鬼と比較して何故か予想以上に手強い。ここで狩らなければ、更なる悲劇を生む可能性がある。
「人を殺す前に、チノのまま殺す。それが俺に出来る事だ」
アレは鬼だと言っておきながら、チノのままというのは矛盾しているかもしれない。
だが義勇の言葉の意味は、ココアにも伝わった。
だが義勇の言葉の意味は、ココアにも伝わった。
チノのお姉ちゃんだからこそ、妹が化け物になって人殺しをするところなんて見たくない。
それにチノがこのまま戻らないことを、心では拒絶しても頭では理解してしまっていたから……。
「チノちゃん……」
「うるさいですね……!」
「うるさいですね……!」
鬼となったチノの名を口に出しても、返答はただそれだけ。
きっとこのままだとチノはもっと狂ってしまう。
きっとこのままだとチノはもっと狂ってしまう。
今のココアに姉として出来ることは一つしかない。
何の因果か支給されていた日輪刀を手にする。
素人のココアが扱えるシロモノではなく、緊張で手が震える。
何の因果か支給されていた日輪刀を手にする。
素人のココアが扱えるシロモノではなく、緊張で手が震える。
それでもココアは真っ直ぐな瞳で……大粒の涙を浮かべてチノを見た。
チノに応戦していた義勇もまた、戦いながらココアの覚悟が見えていた。
チノに応戦していた義勇もまた、戦いながらココアの覚悟が見えていた。
まさか彼女が日輪刀を手にするとは思わなかったが……妹の最期は自分が介錯してあげたいという気持ちの表れだろうか。
「ごめんね……チノちゃん……」
震える手で刀を構える。
それは皮肉にも鬼となった妹を守り切り、人間に戻した長男の日輪刀だっと。
それは皮肉にも鬼となった妹を守り切り、人間に戻した長男の日輪刀だっと。
「それでも私は、チノちゃんに誰も殺してほしくないから……!」
だから妹の介錯をするしかない。
このまま放置しても、チノが苦しむことなんてココアにはわかりきっていた。
このまま放置しても、チノが苦しむことなんてココアにはわかりきっていた。
───チノちゃんは、人を襲って喜ぶような子じゃないから……
大粒の涙を流してココアは駆ける。
彼女の覚悟を汲み取った義勇はチノの腕を切り捨て、攻撃手段を一時的に失わせた。
彼女の覚悟を汲み取った義勇はチノの腕を切り捨て、攻撃手段を一時的に失わせた。
そして無防備になったチノの胴体に、日輪刀が突き刺さる
チノが声にもならない絶叫をあげ、苦しみ始めた。
チノが声にもならない絶叫をあげ、苦しみ始めた。
「お願いだから……元に戻って、チノちゃん!」
ココアはチノを介錯するつもりで、突き刺した。
それでもやっぱり、そんな簡単には割り切れない。自分の心には嘘をつけないから……。
それでもやっぱり、そんな簡単には割り切れない。自分の心には嘘をつけないから……。
「うるさい、ですね……」
そして奇跡は起きない。
ココアの願いが届くほど、現実は甘くない。
ココアの願いが届くほど、現実は甘くない。
「チノちゃん!」
それでもココアに名前を呼ばれる度に、チノの胸の奥がズキズキとする。
「頚を斬れ、ココア!」
肝心な言葉が足りなかったことに気付き、義勇が叫ぶ。
鬼を殺すには頚を斬るしかない。非力そうなココアが介錯に失敗した場合は自分が殺すつもりだったが、肝心の弱点を伝え忘れていた。
「えっ!?チノちゃん!?」
焦った義勇が咄嗟に頚を斬ろうと行動した時、チノは串刺し状態から脱し、どこかへ走り去っていった。
あのままココアを喰えた可能性もあるのに、それをせず保身に走った……?
あのままココアを喰えた可能性もあるのに、それをせず保身に走った……?
───いや、違う。もしかしたらチノは……
義勇は禰豆子という例外を知っているから、そんな期待が込み上げてしまう。
しかし逃げ去った彼女を追い、捕らえることは難しいだろう。ココアの身体能力がそれほど高いとは思えない。
しかし逃げ去った彼女を追い、捕らえることは難しいだろう。ココアの身体能力がそれほど高いとは思えない。
「待って!チノちゃん!!」
ココアがチノの後を追い掛けるが、彼女ではどう足掻いても鬼であるチノに追い付けない。
「チノちゃん……」
チノの姿が遂に見えなくなり、息のあがったココアから再びとめどなく涙が流れる。
「チノを鬼にしたのは、おそらくだが他の鬼だ」
炭治郎の時とは経緯が少し異なるが、鬼の被害者である少女に義勇は告げる。
彼女は曲がりなりにも鬼と戦った。残酷な運命に立ち向かった。
彼女は曲がりなりにも鬼と戦った。残酷な運命に立ち向かった。
そして何の因果かわからないが、日輪刀を手にした。
ならばこれだけは、言っておいた方が良いだろう。
ならばこれだけは、言っておいた方が良いだろう。
「お前に鬼を狩る意志があるならば……俺が戦い方を教えよう」
あまりそういうことには慣れていないが、ココアが望むならば出来る限り鍛える。多少は戦う術を身につけなければ、チノの介錯をすることも難しいだろう。
「鬼は人を喰らう。この殺し合いには少なくともチノ以外にあと一人は存在するはずだ」
ココアは暫く迷った後に……
「……義勇さんはお姉ちゃんを失った時、どうしたの?」
それだけを義勇に問い掛けた。
「姉が鬼に殺されたと周りに言いふらし、異常者扱いされた」
ココアの質問に義勇は嘘偽りなく回答する。
なにも最初から鬼と立ち向かうことを選んだわけじゃない。彼も昔はそんなに強い男ではなかった。
なにも最初から鬼と立ち向かうことを選んだわけじゃない。彼も昔はそんなに強い男ではなかった。
「それから師と出会い、友人が出来た。……あいつの言葉で、俺は変わった」
友人である錆兎を失ってから炭治郎と出会い、交流するまで忘れていた言葉だが……再び忘れることはないだろう。
「姉が繋いでくれた命を……。姉と友人に託された未来を繋ぐ。それが俺の戦う理由だ」
───託されたものを後に繋ぐ。もう二度と目の前で家族や仲間を死なせない
ココアは先刻出会ったばかりで仲間と呼ぶ程ではないかもしれないが……自分がそうしてもらったように、彼女のことを守る。
いきなり妹を鬼にされた哀れな姉を助ける。
いきなり妹を鬼にされた哀れな姉を助ける。
……正直なところ相手は未知数だ。
鬼舞辻無惨は仲間と共に殺したはずなのに、再び鬼を目にするとは思わなかった。
鬼舞辻無惨は仲間と共に殺したはずなのに、再び鬼を目にするとは思わなかった。
しかし自分の負傷が完治し、何故か万全の状態で巻き込まれた時点で違和感自体はあった。
最悪、鬼舞辻無惨が復活している可能性も視野に入れる。
それほどの異常事態が起こっているという現実を義勇は受け入れた。
最悪、鬼舞辻無惨が復活している可能性も視野に入れる。
それほどの異常事態が起こっているという現実を義勇は受け入れた。
「託された未来……」
チノがああなってしまった今、再び彼女と笑い合える未来をココアは思い描くことは出来ない。
しかしココアにはチノ以外にも仲の良い友達や家族がいる。
このまま鬼を野放しにしたら、チノ以外の友達も犠牲になる可能性があった。
このまま鬼を野放しにしたら、チノ以外の友達も犠牲になる可能性があった。
それにココアらしくもない考えかもしれないが……チノを鬼にした化け物は。
大切な妹を取り返しのつかないことにした人は、どうしても許せない。
大切な妹を取り返しのつかないことにした人は、どうしても許せない。
妹が悲惨な目に遭って黙っていられるほど、ココアは冷たくない。
憎しみに支配されたわけではないが、チノの仇を討ちたいという気持ちはある。
憎しみに支配されたわけではないが、チノの仇を討ちたいという気持ちはある。
それがみんなの未来のためにもなるし、なによりこのままではチノが浮かばれない。可哀想過ぎる。
「義勇さん。私も鬼退治に協力するね!」
鬼退治。
昔、チノや友達とした鬼ごっこ。
何の変哲もない日常風景だが、だからこそ美しい。
昔、チノや友達とした鬼ごっこ。
何の変哲もない日常風景だが、だからこそ美しい。
(あの時もチノちゃんが鬼役だったね)
その時はチノが手を振り、微笑みながらココアに駆け寄ってきたことでわざと捕まった。
というかチノが鬼でも、姉として妹とハグするチャンスを逃すわけにもいかず飛び付いた。
というかチノが鬼でも、姉として妹とハグするチャンスを逃すわけにもいかず飛び付いた。
(……もうあの頃には戻れないよね)
二度と戻れない過去を懐かしみ、寂しい気持ちになる。
それでも姉として、妹の凶行を止めないわけにはいかない。
化け物にされたチノを介錯してやることしか、ココアには出来ないのだから。
それでも姉として、妹の凶行を止めないわけにはいかない。
化け物にされたチノを介錯してやることしか、ココアには出来ないのだから。
「チノちゃん。今、お姉ちゃんが行くからね……!」
それは鬼ごっこでチノにハグをした時と全く同じ言葉。
だけれど意味は全く違う。
だけれど意味は全く違う。
でも甘いことを言うなら……妹を独りにしたくない。
(きっとチノちゃんは心の中で泣いてるよね……)
だからお姉ちゃんが行かなければ。
苦痛に苛まれる妹を解放してあげるのもまた、姉としての役割だから。
苦痛に苛まれる妹を解放してあげるのもまた、姉としての役割だから。
「ココア……」
「私は大丈夫だよ!」
「私は大丈夫だよ!」
気丈に振る舞う少女に義勇の心が痛む。
まだチノが襲いかかってくる前、自己紹介した時の印象からして本来は炭治郎のように明るい者なのだろう。
まだチノが襲いかかってくる前、自己紹介した時の印象からして本来は炭治郎のように明るい者なのだろう。
「わかった。鬼と戦う術をお前に教えよう」
「ありがとうね、義勇さん!」
「ありがとうね、義勇さん!」
太陽は沈まない。
妹を明るく照らすため、沈むわけにはいかない。
妹を明るく照らすため、沈むわけにはいかない。
「待っててね、チノちゃん」
だからなるべくいつもと変わらない調子で、お馴染みの言葉を口にした
「お姉ちゃんに任せなさい!」
【保登心愛@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[装備]:竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:みんなを鬼から守りたい
1:義勇さんに戦い方を教えてもらう!
2:鬼になったチノちゃんを介錯する……
3:チノちゃんを鬼にした鬼を退治する
[備考]
参戦時期は決めていませんが少なくともBLOOMの5話の出来事を経験しています
[状態]:健康
[装備]:竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:みんなを鬼から守りたい
1:義勇さんに戦い方を教えてもらう!
2:鬼になったチノちゃんを介錯する……
3:チノちゃんを鬼にした鬼を退治する
[備考]
参戦時期は決めていませんが少なくともBLOOMの5話の出来事を経験しています
【冨岡義勇@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:冨岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:鬼を狩る
1:ココアに戦う術を教え、守る
2:鬼を狩る
3:チノは姉であるココアの手で介錯することを優先する
[備考]
参戦時期は原作の最終決戦終了後
五体満足になって参戦しています
[状態]:健康
[装備]:冨岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:鬼を狩る
1:ココアに戦う術を教え、守る
2:鬼を狩る
3:チノは姉であるココアの手で介錯することを優先する
[備考]
参戦時期は原作の最終決戦終了後
五体満足になって参戦しています
○
ココア達の元から去ったチノは次の獲物を探す。
ココアに呼ばれると何故あんなにも胸がズキズキするのか、その理由はチノにもわからない。
ココアに呼ばれると何故あんなにも胸がズキズキするのか、その理由はチノにもわからない。
当初掲げていた目的も忘れ、たとえ相手が知人友人でも容赦なく襲い掛かることだろう。
だがもしかしたら、その度に胸がズキズキするかもしれない。
だがもしかしたら、その度に胸がズキズキするかもしれない。
鬼舞辻無惨の血を多く分け与えられたことにより、手強い鬼と化したチノの未来は───
【チノ@ごちうさ二次創作】
[状態]:負傷、右腕欠損、再生中
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:???
1:血がほしい
[備考]
無惨から強力な鬼にされました
血鬼術で銃火器を精製出来ます。制限などは後続の書き手にお任せします
鬼になった際、支給品のバズーカは失ってしまいました。血鬼術で作れるかもしれません
[状態]:負傷、右腕欠損、再生中
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:???
1:血がほしい
[備考]
無惨から強力な鬼にされました
血鬼術で銃火器を精製出来ます。制限などは後続の書き手にお任せします
鬼になった際、支給品のバズーカは失ってしまいました。血鬼術で作れるかもしれません