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テルシオ - (2019/08/07 (水) 00:29:22) の1つ前との変更点
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<p>テルシオ 別名マン王国方陣<br />
①パイク兵(長槍兵)で方陣を組み、その外側をマスケット銃士とアルケブス銃士で取り囲む対騎兵戦闘を目的とした陣形。<br />
騎兵に対して高い防御力を誇る反面、機動力に劣る。</p>
<p><br />
エンジンが駆動を始め、ゆっくりと機体が加速を始める。<br />
ゴーグルに水飛沫が衝突しながら更に更に、海水を掻き分けながら突き進む。<br />
どんどん振動は大きくなり風がだんだんと強くなる。<br />
速度計が緑のラインに到達すると同時に一気にレバーを引いて機体を傾ける。<br />
パァンと水面を弾き、体が浮遊感を伝えてくる。</p>
<p>空で先に上がっている編隊へ合流する為、上昇を開始する。<br />
自分が乗る機体はレラカムイ。<br />
フォウのタネマフタにすら追いつけない第二期の骨董品だが、今の諸島では立派な足止め用の戦力だ。<br />
エトーピリカが一機正面から飛んできた、レプンカムイ迎撃隊の誘導に来たようだ。</p>
<p>スマウコロに乗る航空中隊長が更に上昇を開始する。<br />
フォウの航空機は軒並み早い。一度通る事を許せば二度と追いつく事は出来ない。<br />
絶対に、正面から受け止めなければ戦う事すら不可能だ。</p>
<p>遠くの方で信号弾が撃ちあがる。<br />
エトーピリカの誘導信号だ。敵編隊は少し進路をずらしたようだ。</p>
<p>エトーピリカがもう一機編隊に参加する。<br />
通信機が無いので、手信号かモールスで連絡をするしかない。<br />
しかし、そのような手間な事をしていてはフォウ航空隊の迎撃に追いつくこと等出来ない。</p>
<p>エトーピリカは編隊を見て察したのか、然るべき場所へと機体を動かした。<br />
言葉は交わさずとも、諸島人ならば誰もが持つ『空気読み』という同調圧力の力で編隊の中に一体感が現れる。</p>
<p>キラリと遠くにフォウ航空機の窓の反射を見つける。<br />
見つかったならば、推定相対速度500km/hで接近している以上...十数秒後には接敵する。</p>
<p>チャンスは一回だけ。絶対に命中させてみせる。<br />
レプンカムイ各機は一斉に翼の先端から簾(すだれ)を下ろす。</p>
<p> </p>
<p><img alt="" src="https://img.atwikiimg.com/www59.atwiki.jp/flightglide/attach/450/1425/tak-small.png" style="width:1020px;height:523px;" /></p>
<p><br />
その簾(すだれ)に括り付けられている棒は全て対空銛、航空機に突き刺さり破壊する為の長槍である。<br />
いや、元ネタに敬意を払って対空パイクと名付けられたそれは真っ直ぐ重力に従って機体の下にぶら下げられる。<br />
自分の機体の下に二列のパイクの戦列隊が形成された。</p>
<p>レプンカムイ迎撃隊は横一列に並び、急速に大きくなっていくフォウ軍機のシルエットにまっすぐに突入する。</p>
<p>敵の最も巨大なヴィゼルヴを取り囲むようにバルケッタやタネマフタがこちらにまっすぐ飛んでくる。</p>
<p>隊長機のスマウコロが敵機の真上から急降下で突入する。<br />
正面の私達の編隊に気を取られていたタネマフタは対応できずに隊長の突入を許してしまう。<br />
ヴィゼルヴの左翼の根本を6mもの銛が突き刺さり爆発する。</p>
<p>騎兵突入は成功だ!</p>
<p>タネマフタは慌ててたった一機の隊長機を追いかける為に編隊を崩す。<br />
「次はこっちだ、注意散漫野郎が!」</p>
<p>マスケット機を担うエトーピリカが隊長機のすぐ後ろに向けて対空砲を発砲し始める。<br />
灰色の空と蒼色の海の世界に黒い墨が落とされる。<br />
艦や要塞に設置する本物の高射砲には劣るが...それでも航空機には十二分な火力がある。<br />
護衛機は次から次へと攻撃を受ける方向が変わり混乱状態に陥っている。</p>
<p>それもつかの間、次は自分達の機銃の番だ。<br />
機銃の射程に入った瞬間、銃身が焼き切れるまですれ違うまで横一列に並んだレプンカムイから銃弾を叩き続ける。<br />
ユケネシケは追加弾薬庫を装備しても一瞬で使い切るほどの連射性能を作る事で有名だ。<br />
銃身が焼き切れるので、3秒以上の連射は平時では許可されていないが...今回は許可されている。<br />
連射性能ならば世界一を自負している企業の全力射撃。</p>
<p><em>ヴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ</em></p>
<p>機体全体が時化の海のように乱暴に揺れ、視界は銃口から放たれる閃光で殆ど見えなくなる。<br />
銃身が焼き切れたのか、弾が切れたのか良く分からないが、とにかく機関銃の発砲が止まった瞬間、バルケッタが自分の真下を通り抜けていく姿が一瞬だけ見えた。</p>
<p>突如巨大な揺れと共に急ブレーキをかけたかの様な衝撃が走る。<br />
しめた!簾(すだれ)に括り付けられている対空パイクに引っかかった!<br />
とっさに後ろを振り返ると、対空パイクが突き刺さったバルケッタがゆっくりと高度を下げて墜落していく姿が見えた。</p>
<p>隊長が護衛のタネマフタを引き付けている内に急いで撤退をしなければ。<br />
今の我々はぶら下がっている簾(すだれ)...ニシクルコロが言うには対空パイクしか戦う装備が無いのだから。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>「もしもし、ワリウネクル連合軍様でしょうか?北パンノニア中央図書館です。<br />
先日そちらのニシクルコロが、新型銃を作るからと言ってウチの資料を大量に取りにいらっしゃったのですが、<br />
古すぎて役に立たない情報もいくつか有ると思うので、念のためご連絡をと...<br />
え?もう遅い?どういう事でしょうか?」</p>
<p> </p>
<p>テルシオ 別名マン王国方陣<br />
①パイク兵(長槍兵)で方陣を組み、その外側をマスケット銃士とアルケブス銃士で取り囲む対騎兵戦闘を目的とした陣形。<br />
騎兵に対して高い防御力を誇る反面、機動力に劣る。</p>
<p>②寒波戦争にて諸島軍が①の陣形を元に作った、低速機による対高速機戦闘ドクトリン。<br />
対策が容易である事から、登場した一か月後には廃れた。</p>
<p>テルシオ 別名マン王国方陣<br />
①パイク兵(長槍兵)で方陣を組み、その外側をマスケット銃士とアルケブス銃士で取り囲む対騎兵戦闘を目的とした陣形。<br />
騎兵に対して高い防御力を誇る反面、機動力に劣る。</p>
<p><br />
エンジンが駆動を始め、ゆっくりと機体が加速を始める。<br />
ゴーグルに水飛沫が衝突しながら更に更に、海水を掻き分けながら突き進む。<br />
どんどん振動は大きくなり風がだんだんと強くなる。<br />
速度計が緑のラインに到達すると同時に一気にレバーを引いて機体を傾ける。<br />
パァンと水面を弾き、体が浮遊感を伝えてくる。</p>
<p>空で先に上がっている編隊へ合流する為、上昇を開始する。<br />
自分が乗る機体はレラカムイ。<br />
フォウのタネマフタにすら追いつけない第二期の骨董品だが、今の諸島では立派な足止め用の戦力だ。<br />
エトーピリカが一機正面から飛んできた、レプンカムイ迎撃隊の誘導に来たようだ。</p>
<p>スマウコロに乗る航空中隊長が更に上昇を開始する。<br />
フォウの航空機は軒並み早い。一度通る事を許せば二度と追いつく事は出来ない。<br />
絶対に、正面から受け止めなければ戦う事すら不可能だ。</p>
<p>遠くの方で信号弾が撃ちあがる。<br />
エトーピリカの誘導信号だ。敵編隊は少し進路をずらしたようだ。</p>
<p>エトーピリカがもう一機編隊に参加する。<br />
通信機が無いので、手信号かモールスで連絡をするしかない。<br />
しかし、そのような手間な事をしていてはフォウ航空隊の迎撃に追いつくこと等出来ない。</p>
<p>エトーピリカは編隊を見て察したのか、然るべき場所へと機体を動かした。<br />
言葉は交わさずとも、諸島人ならば誰もが持つ『空気読み』という同調圧力の力で編隊の中に一体感が現れる。</p>
<p>キラリと遠くにフォウ航空機の窓の反射を見つける。<br />
見つかったならば、推定相対速度500km/hで接近している以上...十数秒後には接敵する。</p>
<p>チャンスは一回だけ。絶対に命中させてみせる。<br />
レプンカムイ各機は一斉に翼の先端から簾(すだれ)を下ろす。</p>
<p> </p>
<p><img alt="" src="//img.atwikiimg.com/www59.atwiki.jp/flightglide/attach/450/1425/tak-small.png" style="width:1020px;height:523px;" /><br />
<span style="font-size:8px;">イラスト寄贈:蒼衣わっふる</span></p>
<p><br />
その簾(すだれ)に括り付けられている棒は全て対空銛、航空機に突き刺さり破壊する為の長槍である。<br />
いや、元ネタに敬意を払って対空パイクと名付けられたそれは真っ直ぐ重力に従って機体の下にぶら下げられる。<br />
自分の機体の下に二列のパイクの戦列隊が形成された。</p>
<p>レプンカムイ迎撃隊は横一列に並び、急速に大きくなっていくフォウ軍機のシルエットにまっすぐに突入する。</p>
<p>敵の最も巨大なヴィゼルヴを取り囲むようにバルケッタやタネマフタがこちらにまっすぐ飛んでくる。</p>
<p>隊長機のスマウコロが敵機の真上から急降下で突入する。<br />
正面の私達の編隊に気を取られていたタネマフタは対応できずに隊長の突入を許してしまう。<br />
ヴィゼルヴの左翼の根本を6mもの銛が突き刺さり爆発する。</p>
<p>騎兵突入は成功だ!</p>
<p>タネマフタは慌ててたった一機の隊長機を追いかける為に編隊を崩す。<br />
「次はこっちだ、注意散漫野郎が!」</p>
<p>マスケット機を担うエトーピリカが隊長機のすぐ後ろに向けて対空砲を発砲し始める。<br />
灰色の空と蒼色の海の世界に黒い墨が落とされる。<br />
艦や要塞に設置する本物の高射砲には劣るが...それでも航空機には十二分な火力がある。<br />
護衛機は次から次へと攻撃を受ける方向が変わり混乱状態に陥っている。</p>
<p>それもつかの間、次は自分達の機銃の番だ。<br />
機銃の射程に入った瞬間、銃身が焼き切れるまですれ違うまで横一列に並んだレプンカムイから銃弾を叩き続ける。<br />
ユケネシケは追加弾薬庫を装備しても一瞬で使い切るほどの連射性能を作る事で有名だ。<br />
銃身が焼き切れるので、3秒以上の連射は平時では許可されていないが...今回は許可されている。<br />
連射性能ならば世界一を自負している企業の全力射撃。</p>
<p><em>ヴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ</em></p>
<p>機体全体が時化の海のように乱暴に揺れ、視界は銃口から放たれる閃光で殆ど見えなくなる。<br />
銃身が焼き切れたのか、弾が切れたのか良く分からないが、とにかく機関銃の発砲が止まった瞬間、バルケッタが自分の真下を通り抜けていく姿が一瞬だけ見えた。</p>
<p>突如巨大な揺れと共に急ブレーキをかけたかの様な衝撃が走る。<br />
しめた!簾(すだれ)に括り付けられている対空パイクに引っかかった!<br />
とっさに後ろを振り返ると、対空パイクが突き刺さったバルケッタがゆっくりと高度を下げて墜落していく姿が見えた。</p>
<p>隊長が護衛のタネマフタを引き付けている内に急いで撤退をしなければ。<br />
今の我々はぶら下がっている簾(すだれ)...ニシクルコロが言うには対空パイクしか戦う装備が無いのだから。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>「もしもし、ワリウネクル連合軍様でしょうか?北パンノニア中央図書館です。<br />
先日そちらのニシクルコロが、新型銃を作るからと言ってウチの資料を大量に取りにいらっしゃったのですが、<br />
古すぎて役に立たない情報もいくつか有ると思うので、念のためご連絡をと...<br />
え?もう遅い?どういう事でしょうか?」</p>
<p> </p>
<p>テルシオ 別名マン王国方陣<br />
①パイク兵(長槍兵)で方陣を組み、その外側をマスケット銃士とアルケブス銃士で取り囲む対騎兵戦闘を目的とした陣形。<br />
騎兵に対して高い防御力を誇る反面、機動力に劣る。</p>
<p>②寒波戦争にて諸島軍が①の陣形を元に作った、低速機による対高速機戦闘ドクトリン。<br />
対策が容易である事から、登場した一か月後には廃れた。</p>