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*650年5月
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5/8 相次ぐ都市ガス不足、政府の対応は
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今月初頭よりラオデギア市内において都市ガスの供給不足が問題となっている。
日没後にガスが使えなくなる区画は特別市でも1区画から3区画に増え、多くの市民が夕飯に冷えた麦ミールを食すことを強いられているようだ。
これに対して正統アーキル中央政府はこの問題をどの省庁が管轄するべきかを決める特別集会を開き、本日未明、国土省が政府を代表して声明を発表するに至った。
同省のシテイ・ホムンス報道官は記者団に対して次のように述べた。
・ガスの供給はこれまで通り問題なく行われている
・ガス使用量も例年通りであり、ガスの供給不足の原因は不明である
・事態は完全に政府の制御下にあり、数日後には解消する見込みである
・当分の間は隣人同士で調理場を共有するなどしてほしい
制御下にあるのに原因が不明な点については記者団より複数回指摘が入ったが、報道官は「原因は完全に制御下にあります」と発言するのみであった。
ラオデギア特別市のガスの消費割合は、45%が家庭設備、次いで35%が工業設備、20%が詳細不明とされており、今回は明らかになっていない20%部分に原因があるのではと専門家のハキム氏は指摘している。
各地のスーパーマーケットでは固形燃料が高値で販売されており、金のないものは自動車の燃料や強い酒を使って調理場に火を灯しているという。
あたたかい夕食はしばらくおあずけになりそうだ。
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5/9 クランダルト語が連邦大学の正式科目へ
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記憶に新しい南北戦争終結から5年が経とうとしている。
失脚した旧政府に変わって正統政府はクランダルト帝国(ク帝)と急接近し、今や同国は我が国の最大貿易国だ。
648年にアーキル国内における帝国系企業の登記が可能となってから、国内にも"ヴィッケ"や"コミュン・ダルダッツ"等名だたる大企業が進出してきており、帝国語を話せる人材の需要は右肩上がりである。
現場では語学の堪能な退役軍人が各企業の要職に就くといった光景が見られるが、国内の日常会話レベルの帝国語話者はわずか2万人程度とされており、政府は今後の国際経済を見据えて正式に連邦大学の正式科目にクランダルト語を認定した。
これに対して嫌悪感を示す層も存在していたが、630年代生まれの若い世代はそもそも帝国との直接的な戦闘とは無縁に近い生活を送っているものが大多数であり、学生は政府の決定に肯定的のようだ。
「実際、我が国を裏切った東アノールは嫌いですが、だからといってアギニ製菓のチヨコバ(アイスクリーム)をボイコットするのはちょっと違うともうんです。」
こう語るのは夏から連邦大学でクランダルト語を学ぶというアマさん。
クランダルトの言葉を学び、帝国文学をアーキル語に翻訳していきたいと意気込んでいるようだ。
世界は瞬く間に変化していっている。
戦争が終わり、アーキルの未来について展望を語るのも、また乙なものではなかろうか。
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5/10 ガス需要逼迫 セントラルタワーにも異変?
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都市ガスの不足問題はここ数日さらに悪化の一途を辿っている。
政府は一日のガスの使用を朝の30分間にまとめるなど節約を呼びかけているが、市民らが一斉に使用することによる断線が相次いでおり本日正午は一時的にセントラルタワーの暖房設備がシャットダウンするなど政府中枢にも影響が出た。
特に5月は朝昼の寒暖差が25℃以上に登るため、暖房に不可欠なガス不足は市民生活に負担を強いている。
国土省も流石にこの問題を深刻に捉え、同省のシテイ・ホムンス報道官は今夕に異例の記者会見を開き次のように述べた。
・戦時備蓄の都市ガス分700タンを開放する用意があること
・加えて東アノール国、ザイリーグ国、フォウ王国よりガスの緊急輸入を打診中であること
・非常食としてチヨコを1世帯5ダースを配給予定であること*1
・その間調理は最低限に自粛すること
旧連邦構成国との政治関係に詳しい専門家のドメトリ氏は、かつて連邦国内に敷設されていたガスパイプライン"盟友ライン"が連邦崩壊後に分断されているため、供給網に直に接続している東アノールとザイリーグを経由しない我が国はガスの常時供給が不安定であり、これまでガスが行き渡っていたのが奇跡と言える、と話している。
1)チヨコ配給を希望する方は、地区役所の生活保安課 3番口(西地区の方は4番口、西地区5番街より南方区画の方は 生活"保全"課3番口)より申請を行い、配給カードを受け取ってください。配給カードは最寄りの駐屯地でチヨコと交換することができますが、駐屯地により備蓄量が異なりますので、詳しくは軍の指示に従ってください。
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5/11 ガス供給、回復!?
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ラオデギア市に平穏が帰ってきた。
ガスの使用率は供給量の88%を維持しており、国土省はなぜ急に回復したのかについて触れなかったが、この異常事態の終結を宣言した。
市民は、政府の発表を信頼するか?という問いに対して、72%が信頼しない若しくは全く信頼できないと回答。
信頼すると回答したのはわずか2%にとどまった(26%は現政府を承認していないと回答)
この異様な事態に手を上げて喜べないのが連邦公安部だ。
「こんなにキレイにコトが収まる分けないんですよ」
そう話したのは偽名を条件に内部事情を伝えるエンツォ・コダール氏。
今回ガスの供給が復活したのは、政府による調査が入ることを予見した不法盗ガス集団が一斉に不法使用を止めたためだという。
「これはオフレコでお願いしたいのですが」と切り出す氏によれば、明日にも官民軍による付近一帯の一斉抜き打ち調査を行うとのことだ。
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【お詫び】5/11掲載内容の不備について
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5/11に掲載した"ガス供給、回復!?"にて、
>偽名を条件に内部事情を伝えるエンツォ・コダール氏
との記載がありましたが、正しくは
>偽名を条件に内部事情を伝えるマンティ・マンテラ氏
が正しい表記となります。
また、一斉抜き打ち調査に関しての情報も、事実とは異なりますため、抜き打ち調査は存在しません。
ガスパイプライン周辺にお住いの方々に混乱を招いてしまい申し訳ございませんでした。
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5/12 国土省、公安局による一斉摘発
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昨今のガス供給不足について、かねてより原因として指摘されていたパイプライン盗掘集団に対して電撃的な摘発が行われた。
当社通信員が誤って抜き打ち調査の情報を公言してしまい、それを急遽訂正するという2重にも3重にも捉えられるハッタリ作戦は成功し、昼時に堂々と盗掘を開始した違法業者は完全制圧された。
盗掘集団の大半は移動式屋台で、ガスパイプラインに自作の弁を接続することでガス代を踏み倒すといった卑劣な営業が行われていたことが判明。
一部、盗掘者集団が局員に対して銃を見せつけ威嚇したため国土省の装甲車が体当たりを行うなど、一触即発の場面もみられた。
検挙の際、ある容疑者は「正統アーキルは正式な政府ではない、我々は存在しない政府にカネを払うつもりはない」「困窮状態にあったため実力で生きて行くしかなかった」としきりに訴えた。
国土省は違法営業に使われた自走屋台40両、登録のない違法ガスタンク車5両、そして摘発を免れるために制作したと思われる偽装パトカー1両を押収。
押収したのは車両のみにとどまらず、盗掘弁を生産・販売していたと思われる工場2棟もあり、公安局はラオデギア・ファミリー等による組織的な犯行を示唆している。
この発表に対してラオデギア・ファミリーの広報部は「我々はアーキル愛国者である、税金は納めているしガス代も払う、無関係だ」と表明している。
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5/13【速報】東アノールの穀倉地帯で爆煙を観測
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午前11時20分頃、東アノール オプキ村にて大きな爆発があった。
爆発があったのは同国最大のグラナーテ穀倉地帯とみられ、15レウコ離れた観測所ではマギノスケール1.4相当の爆風を観測した。
爆炎は空高く登っており、ラオデギア市街からも観測できるほど。
当時屋外で書籍を売っていたメルパゼル人男性は「遠くでパパパッと地平線に沿って閃光が走った後、すごいバーンという爆音とともに吹き飛ばされた」「匂いからしてグラナーテの爆発だと思う」と搬送されながら取材に解答した。
空軍と国土省はスクランブル発進を行い、上空からの情報収集活動を行っている。
グラナーテ農場が起爆したのは、人為的なものを除けば今世紀に入ってから8回目。
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5/14 東アノール穀倉地帯ほぼ壊滅
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一夜明けて被害の全貌が明らかになった。
爆発したのはグラナーテ農場のほぼ全域であり、7万ヘクタレンの出荷前のグラナーテが爆発したと発表された。
農地を監督していた60名は蛸壺と呼ばれる避難壕に退避していたため幸い死亡者は出なかったものの、脱穀作業に従事していたクルカが8.000匹ほど行方不明となっている。
旧連邦農業法では、爆裂種の耕地は最大4ヘクタレンに制限し、隣接区画には非爆裂種を設けるか15メルト以上の間隔を開けるよう制定されていた。
しかし同国政府は連邦離脱後に法改正を行い、「穀倉大国」をスローガンに農場を国有化して制限のない大農場地帯の整備を推し進めており、今回の爆発はそれが災いした結果となった。
グラナーテは貧者の蜀黍(モロコシ)と言われてきたが、その名の通り麦に2割ほど混ぜ込むことにより低価格を実現させてきたこともあって、今年の台所事情は厳しいものになりそうだ。
特に余剰のグラナーテを無償配布する・農業従事者を党員に迎えることでその求心力と勢力を急速に拡大していた同国最大野党の「栄進閃光党」は次の選挙では窮地に立たされることになるだろう。
政府の内情に詳しいテトラトラス職員によると、正統アーキル政府は緊急穀物支援をカードにガスパイプライン"盟友ライン"の復活を交渉するべく動いているとのこと。
氏は、これを気に旧連邦のありがたみを思い出させて、あわよくば連邦体制の復活を望んでいる可能性もゼロではないと語っている。
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5/15 国際貿易サミット近づく
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来週土の日(5/21)に開催される国際貿易サミットの準備が始まった。
貿易サミットは北半球諸国で慣習的に行われていた商人たちの会合を元にしている伝統的な集まりで、現在では南半球国家からの参加も多く実質的な最大級の国際サミットとなっている。
今回の会場はくじ引きによりラオデギア市が採択され、現在急ピッチで市内の清掃活動が進んでいる。
会場となるのはラオデギアタワーに併設された連邦ホテル"アル・アーキリア"で、各国首脳もここに宿泊することとなる。
当初の宿泊予約者はホテル側からのキャンセルとなり、料金の44%を返金の上最寄りの軍病院または駐屯地での宿泊を提供する予定としている。
付近の商店街はこの商機を逃さず、外交官相手にオリジナルの雑貨や食べ物などを販売するべく慌ただしい様子だ。
元祖フリッグ焼きで有名なカンヌ製菓は今回も各国の王族をテーマにした菓子を制作するべく金型の生産体制に入っている。
「採択の一報はラジオでずっと待機して聞いていました。もう作るものは決めていましたから、すぐに金型を発注しましたよ。」と同社広報。
どういう系統の菓子になるかという記者からの質問に対しては「甘く、アーキルにゆかりのある懐かしの味」と回答した。
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5/16 アーキルの鼻に亀裂見つかる
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本日正午すぎ、アーキルの鼻の港湾員の一人が壁面から海水が漏れ出しているのを発見した。
アーキルの鼻は、連邦料東端に位置する海に面した巨大造船所だ。天然の渓谷を更にくり抜いた形をしており、底部の海抜は-300メルトに達する。
壁面の一部はオリエント海に接しており、その感覚はわずか数十メルト。
決壊した場合は造船機能を完全に失いかねないが、100年以上にわたり根本的な対応がとられずにいる。
同港は大陸戦争時代には最重要拠点の一つであったが、大型空中艦の需要が減りつつある今日ではこの古びた造船所を補修し続けてまで利用するべきか意見が分かれている。
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5/17 ラオデギア市街で大規模な不買運動
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北パンノニア共和国の消費者庁高官の発言が波紋を呼んでいる。
安く精度の低いアーキル製品が工場などで使用されることで、パンノニアの工業製品の品質が目に見えて落ちていることを憂慮するものである。
高官はたとえコストが高くても、高品質な自国の製品を使うよう要請した。
これには、昨今のエアロパンゲア航空機の不時着事故に起因するものと思われる。
これに対して正統政府の産業省、第二次産業省、貿易省、商工庁、消費者庁は一斉に反発。
当日の昼過ぎには公用街宣車で「パンノニア製品をボイコットしよう」とのアナウンスが通りじゅうに鳴りひびいた。
パンノニア製の工作機械を使っている東オデック自動車工場長は、「あまりに無謀。自分の首を締めてどうなるのか。」とコメント。
ボイコット運動は政府軍の介入により鎮圧された。
領土問題などで両国の関係の雲行きが怪しくなる中、またもや悲しいニュースとなった。
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5/18 アグニラグナ 天王杯予選開幕
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最強のオイルスモウ力士を決めるアグニラグナの天王杯の予選が各地で行われた。
今回のエントリー者は全国で8万501人。
前年の20倍を超える応募者数は、やはり年初に同大会への出場を表明したグラビアモデル、カサドラナ・アネッサ(21)の宣伝効果によるものだろう。
彼女と予選で対戦する僅かな希望をかけて13歳から89歳までの老若男女がこぞってエントリーし、大会本部はトーナメントの進行に頭を抱えている。
カサドラナ氏は所属事務所のモデルら8名とともに649年に政界入りしており、「8/8日に第三ラオデギア通りで"魅惑の花弁"新規オープン!みんな遊びに来てね!党」党首として入浴法改正を推し進めるなど、その行動力が評価されている。
大熱狂が予想されるであろう彼女の初陣は明日、ラオデギア・スタジアムで行われる。
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5/19 アグニラグナ予選 カサドラナ女史の見せたスポーツマンシップ
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アグニラグナ天王杯の予選2日目が始まった。
選手名簿には目潰しのゴルイヤス、クルカたらしのオットーなどそうそうたるメンバーが集まった。
大注目のカサドラナ女史が入場すると会場の熱気は最高潮に達し、軍警察が鎮圧に乗り出す場面も見られた。
凄まじい倍率をくぐり抜けて彼女と対戦することとなったのは、第2アーキル尋常小学校のハイシム君。
得意科目はパンノニア語と徒競走の文武両道で、将来の夢は警察官になることだという。
本日の試合のために友人や体育講師との特訓をしてきたというハイシム君は、対戦相手のカサドラナ女史について「大人の人が相手になることを想定して練習してきましたから大丈夫です。女の人相手でも本気で行きます!」と意気揚々と語った。
試合前の掛け金は歴代最高の4,050万ディナールまでに登り、5:5で拮抗。観客らは勝負の行く手に息を呑んだ。
試合が始まると、ハイシム君は得意技のクルカ返し(身体を密着させ相手を篩い落とす技)を繰り出し、カサドラナ女史も腰を器用に使ってふるい落とされまいと対抗。
このままのしかかって対抗しようとする相手の体重を使って滑り落とすのがセオリーだったが、急にハイシム君の動きが鈍り、あっけなくリングに投げ飛ばされてしまった。
試合時間はわずか30秒に満たず、その後のインタビューでもハイシム君は「ごめんなさい」と口ごもってしまうなど落ち着かない様子だった。
カサドラナ女史はハイシム君に駆け寄ると、「いい試合ができたわ。大人になって強くなったらまた挑みに来てね」と店の名刺を渡し、スポーツマンシップの何たるかを見せつける形となった。
観客らはコレに対して「うらやましい」「感動した」と讃えており、この伝説的試合の再現映画の撮影の話も持ち上がった。
当日の試合には国際貿易サミットを前に入国していた各国の代表団の姿もあり、六王湖の事実上の代表であるフォフマン元侍従は「17代の陛下も一度は大会に出てみたいと口にしており、実際にその試合をこの目で見納める事ができてよかった。」と翡翠色の首飾りを握りつつ語った。
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5/20 帝国大使と六王湖代表が衝突
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明日の貿易サミットを前に各国代表がラオデギアに集合している。
そのさなか、ホテル"アル・アーキリア"にてささやかな衝突があった。
事件の舞台となったのは3階のメルパゼルレストラン"夕蘭"。朝食整理券の列に並んでいた六王湖の代表が帝国大使と鉢合わせたのだ。
現場に居合わせた宿泊客によると、帝政ダルト国(六王湖)代表が帝国大使に対して「ダルト国からは私一人が派遣されていたはずだが」とあくまでダルト民族の正統継承国は帝政ダルト国であると受け取れる発言をしたらしく、これに対して帝国大使が同国の最高尊厳の遺伝的特徴を侮辱する発言を返したことにより会場は怒鳴り声に包まれた。
結局のところメルパゼル大使とザイリーグ駐在武官が割って入って"講話"することで落ち着いたが、そもそも犬猿の仲である両国代表を同じホテルにブッキングしたこと自体が責められるべきだという声が上がっている。
正統アーキルとしては帝国との友好関係のために帝政ダルト国を国として認めていないが、事実上の大使館を置いているなど"こうもりクルカ"仕草は以前から問題視されており、政府は今一度はっきりとした立場を表明するべきである。
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5/21 国際貿易サミット開幕
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本日、ホテル「アル・アーキリア」にて国際貿易サミットが開かれた。
南北間の民需製品の統一規格、ブロック経済構想、発展途上国の優遇措置を含めた12つのテーマについて議論が進んだ。
フォウ王国とワリウネクル諸島連合、テルスタリ皇国を除く全ての北半球国家が参加しており、今回からクランダルト帝国が南半球国家として初の参加となった。
帝国配慮する形として南パンノニア自治国も非公式の代表をオブザーバーを派遣しており、サミットは大陸規模の時代に突入したといってもいいだろう。
なかでも目を引くのは帝政ダルト国(六王湖)の代表の参加であり、昨夜の代表同士の"遭遇戦"もあってか常時ピリピリした様子であった。
その配慮もあってか、両国の代表は円形のテーブルの一番距離の遠い席に配置されることとなったが、これが悪い方向に働き、南半球において下品とされているハンドジェスチャーでしきりに牽制し合うといった場面が見られた。
会議は開催国である正統アーキルの188代(24代)首相ナインス・アルギールの挨拶から始まり、北部パンノニアの工業地帯における領土の主張について歪曲的に、だが誰が聞いてもそうとしか捉えられない表現で語り始めたところで「長い!」との野次が入り、会議はやや悪い雰囲気でスタートした。
首相は5週間前に着任したばかりであり、各国代表との面識はなく今回のサミットで自身の存在をアピールしつつ領土問題についてもプレゼンスを得ようと試みたと思われる。
発展途上国の優遇措置についてはニヂリスカ国を始めとしてテナー首長国、カノッセア、マン王国が参加の意思を見せたが、GDPにおいてこれら国を下回るオデッタ人民国の大いなる西の禿鷹バルカン氏が侮辱と捉えて猛反発し、採択は今回も見送りとなった。
これを機としてメルパゼル共和国は自身が盟主となっている新連邦、西海岸連盟を東アノールまで拡大する構想について発言。新連邦と旧連邦との境界線が定まらない正統アーキルは不快感を示すも、その提案に満更でもない態度を見せた東アノール代表に追加の開発援助を約束することとなった。
「してやられてばかりだ」と回想するのは187代(23代)元首相パパン・パン・パフクパン氏。
「周辺国を金で従わせてばかりで、信頼はますます落ち込んで周辺国からはナメられてばかりだ。」「旧領土を一部回復することで正統アーキルが大国であり、正統的であることをことを行動でに示すべきだ」とパニーニをこねながら店頭でのインタビューに答えた。
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5/22 旧政府軍反乱艦隊のウワサ
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645年の大政変の際、そのまま新政府軍の指揮下に組み込まれつつも密かに政権転覆を狙っていると思われる一部軍部の存在がまことしやかに噂されている。
風聞によれば、ラオデギア市街で確認されているだけでも第一ラオデギア軍港のテュラン級駆逐艦アルパミデオン、ゼン級空防艦4番艦"給料泥棒号"、そして中央タワー係留のオケアノス級重巡空艦パーサー、第一兵学校の第5教連隊がリストに上がっている。
その他地域でも謀反の疑いが囁かれている兵力は十数隻にまでおよんでおり、軍部と公安はそれぞれ独自のルートで兵士に対して聞き込み調査を行っている。
オケアノス級重巡空艦パーサーの艦長ワリネト2枚銅翼士は「まったくの作り話ですな。もし私が反乱を企てるようならば、昨日のサミットの際にお偉方を人質に取ることもできたはずだ。」と述べた。
同艦艇は連邦・帝国の合同艦隊演習の際、敵部隊役として立ち回ることが多く、その演習の光景が曲解されて今回の噂につながったと見られている。
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5/23 手足のない奇妙な土器が出土
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サーレ地方の製塩施設建設予定地から奇妙な土偶が数百体出土した。
全長15~18finほどの大きさで、顔から奇妙に曲がった手足のない胴体が接続している見た目をしている。
土偶が見つかったこの地区は、旧政府が灌漑事業に失敗しそのまま放置されていた"死の白絨毯"と呼ばれる耕作不能地だ。
塩のまみれた死んだ土地をなんとか有効活用できないかということで、重い腰を上げた政府が施設の建設にとりかかった矢先のアクシデントだった。
「こんな土偶は見たことがない」「大地の怒りだ」「言葉にできない不安を感じる」「すこしかわいい」と現地の住人は戸惑いを隠せないでいる。
発掘物の報を受けてパンドーラ隊が30分以内に駆けつけ、旧兵器ではないことを確認するも早々に旧時代のアノマリーには属さないものと位置づけた。
続いてやってきた古代アーキル(サーック・キール時代)の歴史に詳しい旧連邦大学の教授モシャンジャ氏は「この美術様式はアーキル民はおろか現パルエ人のいかなるセンスにもそぐわない、別種の思想で作られたもの」と自身の見識を述べた。
教授は、この土偶はおそらく"古代"旧文明人の遺した呪術に用いたものではないかと仮説を立てていたがそれを裏付ける証拠は皆無であり、全く新しい研究分野に繋がる可能性を示唆した。
とはいえ、製塩施設の建設が進まないことに村人は苛立ちを隠せない様子で、一部の者達は勝手に土偶を回収してご当地名物としてその複製品を販売するなどと商魂のたくましさを見せている。
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5/24 ヒュー・サファール・アキエリ女王、近衛騎士勲章を授与
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大陸南部諸国を外遊中のヒュー・サファール・アキエリ女王は、帝都ノイエラントの皇宮を訪問。
フリッグ皇帝との50分に渡る談笑を終えた後 白銀の間にて前近衛騎士団長ラツェルローゼより近衛騎士勲章を授与された。
現職ではない近衛騎士団より勲章が授与されるのは異例中の異例で、皇宮でも依然として影響力の高いラツェルローゼが式に臨むことはクランダルト帝国の我が国への好意の意思表示とも受け取れる。
フリッグ皇帝は年上のサファール王女に対して「アーキルからは多くを学んでおります。私たちは同じ未来、同じ繁栄の道標を仰いでおります。」と語ったという。
サファール王女は「両国の悲しい過去は湯気のようなもので決して無くなることはありませんが、空へとのぼり遠い遠い存在になりました。私たちは同じ青空のもとにいます。」と締めくくった。
同席した正統アーキルの188代(24代)首相ナインス・アルギールは「騎士団長や皇帝陛下とアイコンタクトができて光栄だった。」と今回の外遊に満足の様子だ。
今ではフリッグ皇帝もアーキル市民の間では身近な存在となりつつあり、首相とフリッグ皇帝のどちらが為政者にふさわしいかという調査に対し、8,060人中5,541名が後者を選ぶほどの熱狂ぶりだ。
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5/25 第6次軍縮が履行される
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「より平和に近づくための一歩」戦略の一環として軍艦数隻が解体された。
この条約は周辺国家との軍事格差を是正する目的で提言され、調印国は1回に付き3隻の軍艦の解体が義務付けられている。
正統軍は上陸用舟艇や稼働しない旧式輸送艦等の解体でお茶を濁してきた反省から、今回からは駆逐艦、巡空艦を解体するよう名指しで警告された。
これに対して、同軍は記念艦となっていたクリヴナ級駆逐艦1隻と、同じくレストラン併設の博物館となっていたトリプラ級攻撃型巡空艦を解体することで答えた。
重巡枠としてはグオラツィオン級重巡がリストに上がり、解体名目で東アノールへ売却される予定だ。
だが、同艦は軍縮の度に二国間で売却・購入しあうロンダリング行為があらわとなっており、国際社会からの冷ややかな目線をあびている。
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5/26 27日より軍事演習"オリエンタ"開始予定 注目はソルノーク上陸作戦?
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27日から正統アーキル各地の駐屯地・軍港で軍事演習が行われる。
市民の見学及び参加が可能。参加資格は国民学校にて総合軍事成績がB以上であるアーキル国籍を持つ者である必要がある。
最大の見どころは(ほぼ確実に)ソルノーク北部工業地帯を模した港湾への上陸作戦で、陸、空からの共同作戦を楽しむことができる。
今回は政治的配慮から旧連邦諸国からの参加国はなく、正統アーキル軍のみで執り行われる。
パンノニア軍関係者は非難をしようにも、そうすること自体があまりにもみすぼらしい見た目のハリボテ市街を伝統ある北部ソルノークの同類であると認めることとなる事実に困惑している様子だ。
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5/27 軍事演習開始
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年に一度の公開軍事演習が開かれた。
対岸に並べられた大量のロケット砲が一斉に火を吹き、ハリボテの市街の建物を破壊。
平地となった市街になだれ込む戦車隊の地響きに観客らは大声援を送った。
戦車に騎乗(デサント)した大量の歩兵はスムーズに市街を占拠し、わずか13分で完全併呑した。
これは"砂崩れ"と呼ばれるジンバブエ大将軍の考案した戦法で、圧倒的火力と速度を持って敵を翻弄することを目的としている。
これには各国の観戦武官も息を呑んだ様子で、そのまま戦車隊は武官の前に整列すると「貴国にも一個部隊いかがですか」と軍広報部によるセールストークが始まった。
今回売りに出されたのは我が国の誇るコムサック重戦車の初期型だ。
ニヂリスカ武官はやや渋い表情をしていたが、同じ金額でデーヴァ戦車を4両とダッカー1両、旧帝国軍ダック210を1両という対案を示されると快く契約を結んだという。
オデッタ武官は対抗してセレディーン対戦車ロケットを7丁購入。「国防予算をすべて使ってしまった」とくしゃくしゃの顔で答えた。
土偶が出土した製塩地帯では、一般参加者と正規軍部隊による一斉突撃体験が行われ老弱男女が久しぶりのストレス解消を楽しんだ。
200m地点では戦列はぐしゃぐしゃになってしまったが、ほぼすべての参加者が500mを横断しきった。
正規軍と歩調を合わせられた参加者には兵士らが取り囲んで入隊を勧めた。
栄光のアーキル軍志願者は広報までお問い合わせください。
電話番号:XXX-XX-XXXX-XXXXXXX-あなたの国民番号-年齢-XXXX
会場には退役軍人の姿もあった。
カノッサで戦ったとされるアサウル退役軍曹は、左足と右手を戦傷で失いながらも器用にナバンカ機関銃を構え「打倒クランダルティン!」と叫びながら標的をすべて撃破に成功。
また、首から上を吹き飛ばされて僅かに残った小脳で生きながらえている"首なし少尉"は、ラーカント双子銃を渡されるとスムーズに構えて、空砲を撃った。
軍事演習は行き詰まった経済情勢のなかで一種のガス抜きと機能しており、軍広報部も人心の掌握のため予算をふんだんに使っているという。
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5/28 手のないクルカが見つかる
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ラオデギア国際空港に珍客だ。
空港の保守要因のハメド氏は、夜の見回りの際に第3ターミナルのカフエ・ショップで物音を聞きつけてやってきたところ、そこには手のないクルカがいたというのだ。
クルカにしてはとても静かでしきりに伸縮運動を行うという奇妙な生態で、クルカに詳しいカラークルカ組合の頭取クサネ氏はこれを新種のクルカと断定している。
空港には飼い主のいない野良クルカが3,000匹は隠れているとみられるが、新種がどのように生まれたのかは不明だ。
ハメド氏は異国の乗客のペットだったのではないかと予想している。
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5/29 土偶が行方不明
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先日、製塩地帯で首都どした謎の土偶が一斉に行方不明になったことがわかった。
同地域を使った軍事演習のあと、保管していた土偶が盗まれたといった通報が相次ぎ、すべての村人の土偶が持ち去られたとしている。
奇妙ではあるが全く興味を惹かないこの事件にたいして警察もあまり乗り気ではなく、村人に土偶相応のディナールを支払うことで解決したようだ。
「面倒くさい捜査はこちらから願い下げだ。対価を払えば大抵の事件は解決するのだから、もう少し予算を増やしてくれればアーキルの治安は良くなる。」とコーヴァ捜査官は語る。
今まででもっともめんどうくさかった捜査は何かと問われると、「砂金事件」と即座に答えた。
一時的にその土地の地価を上げるために各地を巡る、砂金を満載した重トラックがザイリーグ地方で砂嵐に遭い横転した事件で、半径2レウコの範囲で人力による捜査が行われた事件だ。
費用対効果がギリギリプラスに転じたため、41日間に渡って捜査官は砂漠で砂金拾いをさせられたという。
こぼればなし:この作業に従事した警察クルカのうち3匹が砂金に反応しやすい性質を獲得し、現在では国営鉱山で元気に働いているという。
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5/30 土偶、不気味に出現
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行方不明になっていた土偶が出現した。
問題なのはその場所である。
ワリウネクル諸島最北端の島"コポロポク島"、フォウ王国南端の交易都市"ツェル"、メルパゼル共和国首都"キタラギ"の3地域。
この数日間でなぜこれだけの距離を移動できたのか、人のテよるものなのか、あるいは旧文明のアノマリーなのかまだはっきりしない。
一度は非アノマリー判定をしたパンドーラ隊は事後調査のため明日にも回収に乗り出す予定。
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5/30 史上最年少市長誕生
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我が首都ラオデギアの盟友都市である東第5コムサック工場都市の市長に5歳のファム・アムールちゃんが当選した。
祖父にあたる前市長のヒュン・アムール(88)は公平に選ばれたくじ引きの結果だとしているが、氏は返済不能な天文学的額の借金を抱えておりこれまで市長特権で返済が免除されていた。
最近体調を崩しており、自身の身に不幸がおこった場合孫に返済義務が渡るのを危惧しての行動であると思われる。
それを知ったと大多数の市民は同情し、ファムちゃんを永世市長にするべきだと言う声が多くなっている。
アムール家当選するのはこれで9代連続だ。
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5/31 あべこべ:大使館街完成せず
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6月に完成式が行われる予定の大使館街にまさかのハプニングが発生した。
大使館街はラオデギア市街に散らばる各国大使館を1箇所にまとめることで、外交活動の負担削減をねらった計画都市だ。
また、衛生状態の悪いラオデギアから離れて清潔で秩序的な"真にアーキル的"な街に場を移してもらうことで、アーキル国に染み付いたイメージを是正することも目的に含まれている。
この都市は、道路建設を民間建設会社"統一道路組合"、建物部分を国営建設会社"アル・アッシュ・ビルヂング"の2社に命じて建設させていたはずだったが、なんと互いに間違った場所で起工していたらしく
現場監督が現地に赴くと、右手には道路だけが、左手には大使館が並ぶという光景が広がっていた。
式典に参加するべく各国大使らがすでにラオデギアに集まりつつあるなか、この数日でどう挽回するか首脳部は頭を抱えているという。
国土省のシテイ・ホムンス報道官は記者団の前に姿を表し「事態は完全に政府の制御下にあり、数日後には解決する見込みである」といつも発表を述べた。
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&bold(){6月分}
6/1 幽霊の仕業か!? 無人列車ラオデギア駅に迷い込む
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本日昼、ラオデギアに珍客が迷い込んだ。
その珍客というのが問題だった。異国人でもない、クルカでもない、では何か?
それがまるごと無人の―運転手までいない―19領編成の列車だったのだ。
ことの始まりは午前10時頃、アーキル国鉄は担当管区内でラオデギア方面に向けて低速で走行している列車を確認したところから始まった。
無線で呼びかけるも反応はなく、最終的に輸送指令の通達に従わずに走り続けたことから国鉄はラオデギア市長と軍に対して警戒信号を発信。
すぐに国土省と陸軍が調査に応じたが、ラオデギア駅で両者が管轄を巡って争ったため出動が遅れ、気づいた頃には前方数百メルトの位置まで当該列車が進出していたという体たらくであった。
列車は車止めにのしかかる形で19番線ホームで停止。
国土省と陸軍は思い思いに対応にあたったところ、当該列車はもぬけの殻の完全無人だったことが判明した。
この列車はどこから出発したのか? なぜ誰も気づかなかったのか? 管理体制はどうなっているのか?
様々な疑念が生じるも、未だ誰一人としてそれに対する回答を出せずにいるようだ。
ラオデギア駅長は「19番線は無期限で運用を見合わせているため、当面の間は余裕のあるプラットフォームで列車をさばいていく」と得意げに語った。
そもそも列車が指定したプラットフォームに進入しないことは日常茶飯事であり、ポイント切り替え職人の熟練した手さばきと、それに慣れたプロの客によってラオデギア駅は運営されていると言って過言ではない。
外国人観光客に要注意スポットとして紹介される理由はこれである。
(今月発売 政府推奨旅行誌 大陸紀行 第12号にて 「フォウ行き列車に乗ったらたらい回しにされてバセンに行かされてお茶をごちそうになった件」記事内にて特集しております。)
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6/2 不覚!! 幽霊列車、ホームから消える
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調査員が昨日に続いて原因究明にあたるべく朝8時過ぎにラオデギア駅にやってくると、なんと19番ホームから幽霊列車が消えていた。
「昨日までそこにあったんですが。いったい全体、私は夢を見ていたのかと一瞬自分を疑いました。」
そう話す捜査員は未だに納得がいかない様子で、シーバに口をつけることもなくテーブル上の角砂糖ばかりを口にしているのが印象的だった。
しかし、すべての責任がテトラトラスの議長へ集約される陸軍とは違い、実質的にメンツを潰された形となる国土省は納得がいかない様子。
「私自ら出陣る」と国土省次席長官書紀補佐代理のマリアック氏(38)は国土省からの勅令として現場に赴いて指揮にあたっている。
ラオデギア駅は列車の遅延で有名で、現行のダイヤはほぼきっかり1週間遅れとなりつつあり、駅長は遅れを取り戻すために幽霊列車始発列車に転用したのではという噂がまことしやかに囁かれている。
同駅長はこれを完全否定しており、「見てください、列車のダイヤグラムは時刻表通りです。今朝も始発列車は時間ぴったりに出発しました。」と語っている。
始発の209便トメギ行き列車は19番線発。
だが筆者はここで209便に関する奇妙な噂を聞いている。
現在209便はまだザイリーグ中央部のミッダンナンキイ駅にて故障修理中というのだ。
わずか6時間でザイリーグ中央まで疾走するアーキル国鉄の技術力たるや!!
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6/3 元首相パパン氏、六王湖を電撃訪問
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187代(23代)元首相パパン・パン・パフクパン氏が帝政ダルト国こと六王湖に電撃訪問、第18代アイギス陛下を謁見した。
連邦正統政府にとっては寝耳に水のニュースで、仮にも一国の首相だった人間が他国の王族とプライベートに会うという事件に政府関係者は驚きを隠せない。
同国のバレグ・テーヴィー社の情報によると、パパン氏は首都キッザスの宮殿にてアイギス陛下の歓待を受け、食事を楽しみながら3時間ほど雑談に興じたという。
映像では水着のようなナイトドレスに身を包んだアイギス陛下と書簡のようなものを交換する様子が写っており、連邦政府は事態の究明に総力を上げている。
188代(24代)首相ナインス・アルギール氏は「連邦政府の顔に泥を塗る行為。これらの書簡は全て無効だ。そもそも我が国は六王湖は帝国のいち自治区とする立場である。」と表明。
予期せぬ事態にクランダルト帝国との関係悪化を危惧した対応となった。
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6/4 ナインス・アルギール氏、突然の辞任
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連邦政府に寝る間もない。
前首相の非公式六王湖訪問を受け、帝国政府から抗議を受けた連邦政府は責任を取る必要に迫られ、188代(24代)首相ナインス・アルギール氏は泣く泣く辞任に追い込まれた。
連邦特別法により、首相戦期間外の空席については前首相が存命の場合をこれを臨時として当てることとなった。
これは首相がコロコロと変わり、帝国連邦間の"言った、言わない"問題に終止符をつけるため帝国側の強い干渉により制定された法律だ。
だが今回はそれが問題となっている。
前首相はアイギス陛下といかなる書簡を交わしたのか?
帝国も連邦への内政干渉、帝政ダルトを国として認めさせないなど強引な立場を貫いていた建前もあり、いまさら撤回させるわけにもいかず、両者にとって悩みの種となっている。
元首相パパン・パン・パフクパン氏はこれを予期していたのか朝には連邦首相バッジをつけた正装でアイギス陛下と別れのキスを行い、宮殿を後にした。
現在、連邦政府の指示のもと政府専用機が向かっており、帰国後に詳細を確認する予定だ。
一方首相を辞任して実家のパニーニ屋に帰省したナインス氏。
「どいつもこいつも勝手なことばかり、ますます政府の信用が失墜するばかりではないか」「だが私は文民だ。法の支配を受け入れる。連邦政府の法律に則り、パパンの首相就任を公式に認めるとも。」とパニーニをこねながら店頭でのインタビューに答えた。
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6/5 事実上の国交樹立 アーダル文書、履行される
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パパン氏がアイギス陛下と交わした書簡"アーダル文書"の詳細が明らかになった。
その内容はほぼまちがいなく、正統アーキル政府が帝政ダルト国を主権国家として認めるといった内容であった。
これに対して帝国は猛反発するも、正統政府は6/3時点では書簡は全て無効と宣言した上、六王湖は帝国のいち自治区とする立場であると表明していたと反論。
と同時に帝政ダルト国に対しては、現時点でパパン氏は法的に首相であることは間違いないという事実を根拠に、それを繰り上げる形でアーダル文書を履行する立場を約束した。
このトンチキめいた政府発表に帝国大使はやや強い表現で抗議を示したが、帝国が我が国に制定させた連邦特別法に則った行動であると反論、大使は言葉をつまらせた。
数時間後に元首相のナインス氏も政府の決定を指示する声明を示し、近年まれに見る巧妙な政治手腕だとパパン氏を評価した。
来週には帝政ダルト国へのヒュー・サラーム・アキエリ王子の事実上の表敬訪問であるチャリティ活動が控えており、王室としても政府の決定を指示せざるをえない状況だ。
今回帝国は完全に我が国の手玉に載せられていた結果となったといえるだろう。
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6/6 テトラトラスに謎の小包が届く それを開封、爆発、首都一時騒然
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今朝未明、テトラトラス広報部宛に爆発物在中とかかれた小包が届けられた。
室長のヤーデン氏が開封すると小包は爆発、氏は顔に大怪我を追い病院に搬送された。
テトラトラスは30年ぶりの首都緊急事態宣言を発令、戒厳令とした。
マニュアル通りに全艦隊がラオデギア市の防衛のために駆けつける事態となったが、同日15時に宣言を限定解除。
事実上の議長の代弁者であった室長を失う異例の事態に、テトラトラスの職員は議長のクルカに指示を求めて右往左往との情報が入っている。
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6/7 オリエント海沿岸におけるニヤサ貝の絶滅を確認
#region
古来より様々な奇病の媒介者であったとされるニヤサ貝の絶滅が確認された。
先月30日に最後の生息確認地となるショキン村周辺の三角州に対して猛爆撃が実施され、専門家による生息確認が数日間に渡り行われていた。
専門家のネイエス氏によれば、殻を持たないこの貝は直立時に全高が12finくらいにもなる大型の種であって、見つけるのは容易いのだという。
実地調査では見たところ動くものがなかったらしく、ニヤサ貝は根絶されたものと発表された。
「巷では人面貝だとか言って一部のマニアに人気があったみたいだけど、夜中に屋内侵入して気づいたらいるものだからとにかく気色悪かったんだよ」
旧大戦時代の爆薬を用いた爆撃による害虫駆除作戦は、軍民一体の共通プロジェクトとして最近人気が高く一定の成果を上げている。
#endregion
6/8 10,000ディナール札、自主回収のお知らせ
#region 今年の3月から5月の間に印刷された10,000ディナール札の印字に不備があったことが確認された。
問題の紙幣は「0」の部分が余計に1文字多く印刷されているようだ。
このエラー紙幣を政府は回収する予定だが、早くもプレミア化しおり大蔵省はそれを有効活用したいらしく積極的ではない。
#endregion
6/9 ラオデギア市、新型の交通制御システム導入でさらなる混乱
#region 昨日、ついに鳴り物入りでラオデギア市に導入された新しい交通制御システムが試験的に稼働した。
目的は過密状態にある道路交通の流れを円滑にし、遅延に関するあらゆる都市伝説を一掃するためだ。
しかし、稼働初日から市民からは不満が噴出しているようだ。
その一例が、交差点に新たに設置された信号機のカウントダウン表示。これは一見便利な機能であるが、カウントが「3, 2, 1, 1/2, 1/4, 1/8...」と続く仕様になっている。このシステム、内部処理的には対応する車線の車列が途切れない限り永遠に信号がグリーンに変わることがなく表示が無限幾何級的に近づいてしまう仕組みなのだが、表示できる桁数が少ないためエラーが起こり、強制的に信号が切り替わるようになっているそうである。
交通省の主任開発担当者はこの新機能について「精密な時間制御により、より多くの車が交差点を通過できる」と説明。しかしこれに対し、市民からは「頭の中で無限級数を計算する時間がない」といった、現実とはかけ離れた声が上がっている。
また、新システムの導入によって誕生した新しい交通マナーも話題だ。
信号が赤から青に変わる瞬間にクラクションを鳴らすと、長さで右折左折の意志の疎通ができるという。
方向指示器を装備していない自動車による出会い頭の事故を減らすためのルールであるが、この新ルールに対応できずやかましいなクラクションが鳴り響いているばかりという報告も。
ラオデギア市の未来は明るいのか、それともこの新システムは市民の笑い話に終わるのか。ひとつ言えるのは、この都市が静かな場所でなくなったことだけだ。
#endregion
6/10 南北戦争博物館で新たな紛争勃発?
#region
先週末にラオデギア東郊外でオープンした南北戦争博物館で、予期せぬ外交問題が発生した。
連邦・帝国の戦争の歴史、そして歴史的和解を記念する展示文の一部に、帝国と六王湖が互いを侮辱する表現が発見されたのだ。
この問題は博物館を訪れた国民学校の生徒たちのレポートから明るみに出た。「娼婦から生まれた貧弱児」「粗末な出来の手作り皇帝」など互いの最高尊厳を罵倒する表現が展示の説明文に紛れ込んでいたという。
発覚後の緊急会議で、帝国代表のイース書記官と六王湖のラムジム臨時大使は互いの国家の尊厳を傷つけたとして激しい非難の応酬を繰り広げた。
収拾がつかなくなってきたタイミングでアーキル側の担当者が「どちらも同じ民族なのだから仲良くしては」と発言したことで事態はさらに悪化。両代表は憤慨し、警備兵が壇上に上がり両者を制止する事態にまで発展した。
事態収拾に当たった国土省のウェディ次官は記者団に対し「この紛争自体が歴史の一部となった」と語り、今回の対立の様子を「現代の国際紛争実例」として新たな展示に追加すると発表した。「生きた歴史を学べる貴重な機会」として早くも修学旅行生の予約が殺到しているという。
南北戦争博物館オープニング記念料金は来月末まで適応され、大人ひとり40,0000ディナール。
未就学児と退役軍人は無料。キャンペーン中は同チケットで併設特別展示「古代ニヂリスカ展」の入場が可能。
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6/11 演習に向かう陸軍が国道を制圧? 一時交通マヒ
#region
「アーキルの玄関口」国道R20号線が昨日夕方から今朝にかけて、陸軍の9レウコに及ぶ大車列により完全に機能停止する事態となった。
「トラックの運転士さんたちは迷惑でしょうが、こちらとしては神様みたいなものでしたよ」と皮肉交じりに語るのは、国道に諸島料理店を構えるマ氏。
氏によると、動かぬ車列にしびれを切らした兵士たちが道路沿いの店舗を利用しだしおかげで、普段はトラックドライバー相手に料理を提供するだけだったマイマイ氏の店も大いに繁盛し、最高売上を記録。他の店もおおむね臨時収入を得たようだった。
一方で渋滞に巻き込まれたドライバーや通勤民からは「事前通知がなかった」「職場に出勤できなかった」「寝坊した」など多数の苦情が寄せられている。
渋滞は早朝には解消し、戦車砲弾、弾倉、書類などの残留物をのこしてこの騒動は一応の落着を得た。
なお、国土省のシテイ・ホムンス報道官は「よくある演習のための車列」と説明する一方で、この演習がなぜパンノニアの北部工業地帯ソルノーク対岸で行われるのかという質問には「あくまで偶然の配置」と回答するにとどまった。
陸軍は先月も軍事演習"オリエンタ"でソルノークを模した都市での訓練を公開し、パンノニアから非難を受けたばかりだ。
軍事評論家のヒルダ・イシャク氏は「この規模の部隊移動は単なる演習とは考えにくいですね。通常の演習なら3分の1程度の規模で十分だし、軍部にはなにか壮大な戦略の存在があるのではないかと言われておりましたが、それがいっきに現実味を帯びてきました。」と言葉を濁しつつも当惑している様子。
テトラトラスは「国防上の機密」として演習の具体的内容や期間については言及を避けた。
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6/12 第一回宇宙旅行国際研究シンポヂウム、東アノールにて開催される
#region
「ちょっとばかしアルゲクメグまで飛んでくる」ーこのようなセリフが話されるような時代が来るのだろうか?
まるでシャンメールの”天世界旅行記”(522年)のような話を大真面目に研究している世界各国のもの好きさんたちが、東アノールの国民集会場に集結して宇宙旅行について語り合うシンポヂウムが開かれた。
会場には多種多様な掲示物や宇宙船の模型がそこかしこと並び、各国の研究家達はそれらを前に熱い議論を交わす光景が見られた。
特に人気が高かったのは球体の形をした宇宙船模型に実際に搭乗し、窓越しに宇宙に浮かぶパルエを見下ろすことができる体験コーナーだ。
実際に私も30分ほど並んで搭乗してみたのだが、想像以上に狭いうえに窓も小さく宇宙船と言うには粗末なものであった。これが今後50年以内には現実のものになるのだという。
宇宙空間では空気がない真空状態であるため、船に持ち込んだ菓子袋が気圧の変化で膨らむのと同じように宇宙船にも大きな力がかかる。それ故にこの丸い形に落ち着くらしいのだが、翼もなければ&ruby(ジェノラッド){浮遊機関}もない姿に果たして宇宙を飛ぶことができるのかイメージがいまいちわかないというのが正直な感想であった。
それでもかなり現実的かつ堅実な設計であるらしく、この球体に乗って旧人たちのように星の世界に足を踏み出す日は近いのかもしれない。
ちなみにこの”球”単体では自力で宇宙に飛び出すことはできない。
ボール投げのように、これを何らかの力で&bold(){秒速7.5レウコ}の速度で投げ出してやらないといけないのだ。
そう、秒速である。いち、に、さんと数えている間に20レウコ以上も飛んで行くほどの速度まで加速してやっとこのパルエの周りをぐるりと観光できるというのだが、今の我々の技術力にそれが可能なのか。
私にはまだまだ夢物語のように聞こえるのであるが、しかし最近の航空機の目覚ましい進化やラケーテ技術の進化を見ていると、彼らの言う「今後50年以内」という言葉が実感のあるものに感じてくる。
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6/13 126,000トンの穀物が誤って海洋投棄されていたことが判明
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穀倉省は13日昼、ベクラチア産の中麦が過去2年5ヶ月間にわたり市場へ供給されることなく産業廃棄物として海洋投棄されていた事実を公表した。
投棄されていた総量は合計で126,000トンにも達し、この知らせを受けた問題解決省はすぐに解決委員会を編成し事態の究明にあたった。
彼らの働きは驚くほど早く、2年前にこの地区の貨物列車の管理を担当することとなった者が自分のミスに気づかないまま貨車の振り分けを行い、ラオデギア行きの穀物貨車が毎週のようにルーッグィメまで運ばれてしまっていたようだ。
ルーッグィメ周辺の漁獲量は2年前から倍増しており、都会の暮らしに疲れて一念発起を狙う若者が第二の人生として当地で漁師として一発逆転をねらう光景がみられていた。
穀倉省は市に対して2年6ヶ月分(3000億ディナール)の産廃補助金の返納を求めており、同市長マポール氏は「投棄されているものは産業廃棄物だと思っていた」と主張しており、返納には応じない姿勢を強調した。一方で、ラオデギア市で卸された産業廃棄物の行方については解決委員会は依然として調査中とコメントしている。
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6/14 空軍博物館が浮上
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アーキル空軍博物館の船舶コーナーが建物ごと浮上する事件が発生した。
船舶コーナーはメルケール級旧式巡空艦をそのまま地上に着底させた舟形の博物館で、館内がそのまま展示エリアになっている目玉スポットだ。
特に子どもたちや大戦マニアの間では人気で、リューリア艦隊戦をシミュレーションしたロールプレイングが楽しめる。
本日未明、機関室エリアの展示を観覧していたグループ客が操作を行ったところ、
正確なエンジン始動シークエンスを行ったため浮遊機関が起動、館全体が20メルト浮上する事態となった。
彼らは旧軍にて機関士だったため、正確な起動操作を行うことができたという。
「まさか動くとは思わなかった」と本人らは浮上が意図的でないとしている。
幸い死傷者は出ていないが、救出のために消防が出動する場面があった。
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6/15 アーキル料理博覧会が開催される
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アーキル料理の世界的地位向上を目指し、産業省主導の料理博覧会"味覚の春みたいな親しみやすいタイトルを考えてください"(公式通称:味覚の春)が東アノールで4日間にわたり開催される。
アーキル料理は隣国のパンノニア文化圧力から"下位のもの"として扱われる風潮が長年続いており、今回のイベントでアーキルの食文化の復興を目指す。
会場には国営系レストランの凄腕シェフがならび、一般公募と厳しい国選を勝ち抜いた私営系の参加企業が参加し、アーキルの文化力を世にアピールする。
「これは新時代の戦争形態、文化戦である」
そう主張するのは与党直属の戦術文化推進顧問のシリエン氏。彼は最近の若者が自炊をしなくなり、パンノニア風のレストランなどで食事を済まるようになってきている現状をパンノニアの卑劣な文化侵略と批判するなど強気の口調が目立つ。
彼自身がプロデュースする国風料理店"大アーキル物語"も出店する予定。
衣を上げた素朴なスナック「フリッタードフリッター」からソルノークで採れた新鮮な魚を使った上げ料理「地中海」まで多様なメニューで挑む。
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6/16 ミオネール軍事刑務所で囚人反乱
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ラフーサ共和国ザレス市のミオネール軍事刑務所にて囚人らによる暴動が発生し現在も戦闘状態にあることがわかった。
通報によると、面会者が差し入れとして持ち込んだグラナーテが突如爆発し、倒れた刑務官の武装を奪った囚人らが蜂起したと見られている。
ミオネール刑務所は1,600ヘクタルの敷地面積、128棟の収容棟を誇り、16万人の囚人を収容できる同国最大規模の収容施設。
軍役による懲役免除キャンペーンを推進していることもあり、同収容所内には機関銃から装甲車、戦車にいたるまでの訓練用兵器が配備されており、囚人らが兵器を奪取する可能性が危ぶまれている。
ザレス市長カハマンドラ氏は緊急会見を行い、事態の収拾に務めること、この事件はザレス市のみで解決に当たることを強調した。
幸い、反乱行為に加担している囚人らは多く見積もっても100人程度に収まっているとのこと。
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6/17 負の遺産「ゲネー地雷平原」地雷除去作業始まる
#region
南北戦争の負の遺産、カノッサ地域ゲネー市南部の地雷除去作業がアーキル・ザイリーグ両軍共同で開始された。
ゲネーは南北戦争時の激戦地で、少なく見積もっても大小合わせて3億7000万個もの地雷が敷設されている。
その多くは耐爆土で入念に舗装されているが、金属反応系の自律地雷による被害が先月より立て続けに7件発生して以来、両軍の関心を引いている。
当初は連盟軍による除去作戦となる予定であったが、アーキル・ザイリーグ両政府の強い要望並びにザイリーグ政府の自治権の主張により、両軍共同で行われる予定。
この異例の対応は連盟会議でもあらぬ誤解を生んだようで、連盟議長が安全のための査察を行わせるように主張する場面もあった。
異例のスピードで展開される地雷除去作戦だが、現地民はおおむね歓迎ムードである。
「大自然を満喫するのに、わざわざ隣の県まで出かけなくてもよくなる日が待ち遠しい」―市民
「我々の戦争がついに終わる」(意訳)―市民
#endregion
6/18 ミオネール軍事刑務所の反乱、鎮圧される
#region
16日にラフーサ共和国ザレス市で発生したミオネール軍事刑務所の反乱が鎮圧された。
同刑務所警備担当であるアーレ鉄翼刑務官の冷静沈着な手腕により、暴動メンバーは敷地の端まで追い詰められ全員投降したという。
明け方にはおおよその全貌が明らかとなり、28名の刑務官、56名の囚人ら、3匹のクルカが負傷したとのことが判明した。
アーレ鉄翼刑務官は取材に対し「まずは事態を収拾することを優先し、その後暴動の原因を明らかにすべく、わたしが自ら囚人らと直接対話する」とコメントした。
「二度とあってはならないことで、誠に遺憾。」
ザレス市長カハマンドラ氏は記者会見で終始不満げな表情を保ち、「これで9回目では」という質問に対しては「だからもう二度とあってはならないのだ」と志を明らかにした。
#endregion
6/19 帝政ダルト合唱団「キッザス声楽団」がラオデギア初公演 – 帝国大使館は「偽物による文化侵略」と反発
#region
帝政ダルト国の誉れ高い「キッザス声楽団」が来週、ラオデギア市民劇場での3日間の公演を行うことが昨日、正式に発表された。
今回の公演は、正統アーキル政府が六王湖との関係改善を模索する中で実現したものだが、クランダルト帝国大使館はこれを強く非難している。
キッザス声楽団は約22名の若い女性たちで構成される軍属の合唱団で、女帝アイギス陛下の即位後まもない632年に結成された。軍服を基調とした華麗な衣装と完璧に同期した動きで知られ、ラオデギアでは「勝利は歩いてはこない」「アイギス陛下しか勝つことはない」「痛撃の足取りで」など全12曲を披露する予定だ。
「ダルト文化が濃縮されている」と語るのは今回の公演を主催するラオデギア文化戦広報部のハミド・ナジャフ代表。
しかし、帝国大使館は早速反発。クランダルト帝国大使館のエルミネ・フォン・ハーゲン広報官は「正統なる皇帝陛下の権威を侵害する偽物による文化侵略を許すことはできない」とする声明を発表。
公演中止を求めるとともに、観客に対して「帝国の伝統文化を歪曲する見世物」への参加自粛を呼びかけた。
この対立を受け、正統アーキル政府は難しい立場に置かれている。
パパン首相は「文化創作物は人類共通の資産であり、政治的問題を持ち込むべきではない」と述べる一方で、帝国への配慮から公演への閣僚出席は見送る方針だ。
チケットは公演発表からわずか2時間で完売。一部は闇市場で定価の10倍以上の値がついており、市民の関心の高さを示している。
「本物の団員をこの目で見るチャンスが来るなんて」と目を輝かせているのはラオデギア大学の六王湖研究会に所属するパルトン君。
彼の秘蔵の写真や雑誌のスクラップには、楽団員のスナップショットや詳しいプロフィールなどが綿密に書かれいる。
「公式には情報はないけれど、アイギス陛下作詞作曲の『プリンの踊り』が演奏されることは間違いないでしょう」とのこと。
公演は来週6/25 ラオデギア市民劇場で行われる。
#endregion
6/20 複数の連盟加盟国との通信途絶 (ラフーサ共和国、チェルミー管区、レビール共和国、べグラチア農村革命地区)
#region
本日、連盟加盟国との統一通信網が遅くとも午前6時32分~12時55分の間途絶していたことがわかった。
電波などを通じた第ニ種通信は行われていたが、内政・インフラ・国防上の通信に使われる専用回線が完全に麻痺していた状況だ。
テトラトラスは9時頃に国家非常事態宣言を発令し、現在も事後対応にあたっているようだ。
国土省のシテイ・ホムンス報道官は、これああくまで対策チームが政治的に動きやすいように発令したものであって、市民生活に影響はないとしているが
国営銀行の各種照会が行えない、政府関係ビルの電力が遮断され閉じ込められたものがいるなど、統一通信網に関連したあらゆるサービスに影響が出ている模様。
統一通信網は我が国の先進的イントラネットシステム。
その原型は589年に開通したテトラトラス~カノッサ間の有線通信システムであり、電力供給と有線通信を兼ねたアーキルの神経とも言われる重要インフラ。
現在は総延長は惑星パルエを3周すると言われる長さまで拡張され、我ら兄弟たる連盟加盟国との結びつきを確実なものとしている。
「あのシステムの全容を知っているエンジニアはおそらくもういません」
インタビューに応じてくださったソルノーク・システムズのホンジャマ・カポコ氏(38)は増設に増設を重ねて辛うじて動いているように見えるこのシステムをただ一言「下品」と一蹴した。
「システムを再構築する機会は今までに何度もありましたが、ここまでの規模になるともうシステムを停止するわけにもいきませんから」と今回の事件を起こるべくして起きたものと批判している。
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読者の声
#pcomment(,reply)
&image(https://img.atwiki.jp/flightglide/attach/138/524/Arkilista.png)
*650年5月
&bold(){5月分}
#region
5/8 相次ぐ都市ガス不足、政府の対応は
#region
今月初頭よりラオデギア市内において都市ガスの供給不足が問題となっている。
日没後にガスが使えなくなる区画は特別市でも1区画から3区画に増え、多くの市民が夕飯に冷えた麦ミールを食すことを強いられているようだ。
これに対して正統アーキル中央政府はこの問題をどの省庁が管轄するべきかを決める特別集会を開き、本日未明、国土省が政府を代表して声明を発表するに至った。
同省のシテイ・ホムンス報道官は記者団に対して次のように述べた。
・ガスの供給はこれまで通り問題なく行われている
・ガス使用量も例年通りであり、ガスの供給不足の原因は不明である
・事態は完全に政府の制御下にあり、数日後には解消する見込みである
・当分の間は隣人同士で調理場を共有するなどしてほしい
制御下にあるのに原因が不明な点については記者団より複数回指摘が入ったが、報道官は「原因は完全に制御下にあります」と発言するのみであった。
ラオデギア特別市のガスの消費割合は、45%が家庭設備、次いで35%が工業設備、20%が詳細不明とされており、今回は明らかになっていない20%部分に原因があるのではと専門家のハキム氏は指摘している。
各地のスーパーマーケットでは固形燃料が高値で販売されており、金のないものは自動車の燃料や強い酒を使って調理場に火を灯しているという。
あたたかい夕食はしばらくおあずけになりそうだ。
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5/9 クランダルト語が連邦大学の正式科目へ
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記憶に新しい南北戦争終結から5年が経とうとしている。
失脚した旧政府に変わって正統政府はクランダルト帝国(ク帝)と急接近し、今や同国は我が国の最大貿易国だ。
648年にアーキル国内における帝国系企業の登記が可能となってから、国内にも"ヴィッケ"や"コミュン・ダルダッツ"等名だたる大企業が進出してきており、帝国語を話せる人材の需要は右肩上がりである。
現場では語学の堪能な退役軍人が各企業の要職に就くといった光景が見られるが、国内の日常会話レベルの帝国語話者はわずか2万人程度とされており、政府は今後の国際経済を見据えて正式に連邦大学の正式科目にクランダルト語を認定した。
これに対して嫌悪感を示す層も存在していたが、630年代生まれの若い世代はそもそも帝国との直接的な戦闘とは無縁に近い生活を送っているものが大多数であり、学生は政府の決定に肯定的のようだ。
「実際、我が国を裏切った東アノールは嫌いですが、だからといってアギニ製菓のチヨコバ(アイスクリーム)をボイコットするのはちょっと違うともうんです。」
こう語るのは夏から連邦大学でクランダルト語を学ぶというアマさん。
クランダルトの言葉を学び、帝国文学をアーキル語に翻訳していきたいと意気込んでいるようだ。
世界は瞬く間に変化していっている。
戦争が終わり、アーキルの未来について展望を語るのも、また乙なものではなかろうか。
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5/10 ガス需要逼迫 セントラルタワーにも異変?
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都市ガスの不足問題はここ数日さらに悪化の一途を辿っている。
政府は一日のガスの使用を朝の30分間にまとめるなど節約を呼びかけているが、市民らが一斉に使用することによる断線が相次いでおり本日正午は一時的にセントラルタワーの暖房設備がシャットダウンするなど政府中枢にも影響が出た。
特に5月は朝昼の寒暖差が25℃以上に登るため、暖房に不可欠なガス不足は市民生活に負担を強いている。
国土省も流石にこの問題を深刻に捉え、同省のシテイ・ホムンス報道官は今夕に異例の記者会見を開き次のように述べた。
・戦時備蓄の都市ガス分700タンを開放する用意があること
・加えて東アノール国、ザイリーグ国、フォウ王国よりガスの緊急輸入を打診中であること
・非常食としてチヨコを1世帯5ダースを配給予定であること*1
・その間調理は最低限に自粛すること
旧連邦構成国との政治関係に詳しい専門家のドメトリ氏は、かつて連邦国内に敷設されていたガスパイプライン"盟友ライン"が連邦崩壊後に分断されているため、供給網に直に接続している東アノールとザイリーグを経由しない我が国はガスの常時供給が不安定であり、これまでガスが行き渡っていたのが奇跡と言える、と話している。
1)チヨコ配給を希望する方は、地区役所の生活保安課 3番口(西地区の方は4番口、西地区5番街より南方区画の方は 生活"保全"課3番口)より申請を行い、配給カードを受け取ってください。配給カードは最寄りの駐屯地でチヨコと交換することができますが、駐屯地により備蓄量が異なりますので、詳しくは軍の指示に従ってください。
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5/11 ガス供給、回復!?
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ラオデギア市に平穏が帰ってきた。
ガスの使用率は供給量の88%を維持しており、国土省はなぜ急に回復したのかについて触れなかったが、この異常事態の終結を宣言した。
市民は、政府の発表を信頼するか?という問いに対して、72%が信頼しない若しくは全く信頼できないと回答。
信頼すると回答したのはわずか2%にとどまった(26%は現政府を承認していないと回答)
この異様な事態に手を上げて喜べないのが連邦公安部だ。
「こんなにキレイにコトが収まる分けないんですよ」
そう話したのは偽名を条件に内部事情を伝えるエンツォ・コダール氏。
今回ガスの供給が復活したのは、政府による調査が入ることを予見した不法盗ガス集団が一斉に不法使用を止めたためだという。
「これはオフレコでお願いしたいのですが」と切り出す氏によれば、明日にも官民軍による付近一帯の一斉抜き打ち調査を行うとのことだ。
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【お詫び】5/11掲載内容の不備について
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5/11に掲載した"ガス供給、回復!?"にて、
>偽名を条件に内部事情を伝えるエンツォ・コダール氏
との記載がありましたが、正しくは
>偽名を条件に内部事情を伝えるマンティ・マンテラ氏
が正しい表記となります。
また、一斉抜き打ち調査に関しての情報も、事実とは異なりますため、抜き打ち調査は存在しません。
ガスパイプライン周辺にお住いの方々に混乱を招いてしまい申し訳ございませんでした。
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5/12 国土省、公安局による一斉摘発
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昨今のガス供給不足について、かねてより原因として指摘されていたパイプライン盗掘集団に対して電撃的な摘発が行われた。
当社通信員が誤って抜き打ち調査の情報を公言してしまい、それを急遽訂正するという2重にも3重にも捉えられるハッタリ作戦は成功し、昼時に堂々と盗掘を開始した違法業者は完全制圧された。
盗掘集団の大半は移動式屋台で、ガスパイプラインに自作の弁を接続することでガス代を踏み倒すといった卑劣な営業が行われていたことが判明。
一部、盗掘者集団が局員に対して銃を見せつけ威嚇したため国土省の装甲車が体当たりを行うなど、一触即発の場面もみられた。
検挙の際、ある容疑者は「正統アーキルは正式な政府ではない、我々は存在しない政府にカネを払うつもりはない」「困窮状態にあったため実力で生きて行くしかなかった」としきりに訴えた。
国土省は違法営業に使われた自走屋台40両、登録のない違法ガスタンク車5両、そして摘発を免れるために制作したと思われる偽装パトカー1両を押収。
押収したのは車両のみにとどまらず、盗掘弁を生産・販売していたと思われる工場2棟もあり、公安局はラオデギア・ファミリー等による組織的な犯行を示唆している。
この発表に対してラオデギア・ファミリーの広報部は「我々はアーキル愛国者である、税金は納めているしガス代も払う、無関係だ」と表明している。
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5/13【速報】東アノールの穀倉地帯で爆煙を観測
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午前11時20分頃、東アノール オプキ村にて大きな爆発があった。
爆発があったのは同国最大のグラナーテ穀倉地帯とみられ、15レウコ離れた観測所ではマギノスケール1.4相当の爆風を観測した。
爆炎は空高く登っており、ラオデギア市街からも観測できるほど。
当時屋外で書籍を売っていたメルパゼル人男性は「遠くでパパパッと地平線に沿って閃光が走った後、すごいバーンという爆音とともに吹き飛ばされた」「匂いからしてグラナーテの爆発だと思う」と搬送されながら取材に解答した。
空軍と国土省はスクランブル発進を行い、上空からの情報収集活動を行っている。
グラナーテ農場が起爆したのは、人為的なものを除けば今世紀に入ってから8回目。
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5/14 東アノール穀倉地帯ほぼ壊滅
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一夜明けて被害の全貌が明らかになった。
爆発したのはグラナーテ農場のほぼ全域であり、7万ヘクタレンの出荷前のグラナーテが爆発したと発表された。
農地を監督していた60名は蛸壺と呼ばれる避難壕に退避していたため幸い死亡者は出なかったものの、脱穀作業に従事していたクルカが8.000匹ほど行方不明となっている。
旧連邦農業法では、爆裂種の耕地は最大4ヘクタレンに制限し、隣接区画には非爆裂種を設けるか15メルト以上の間隔を開けるよう制定されていた。
しかし同国政府は連邦離脱後に法改正を行い、「穀倉大国」をスローガンに農場を国有化して制限のない大農場地帯の整備を推し進めており、今回の爆発はそれが災いした結果となった。
グラナーテは貧者の蜀黍(モロコシ)と言われてきたが、その名の通り麦に2割ほど混ぜ込むことにより低価格を実現させてきたこともあって、今年の台所事情は厳しいものになりそうだ。
特に余剰のグラナーテを無償配布する・農業従事者を党員に迎えることでその求心力と勢力を急速に拡大していた同国最大野党の「栄進閃光党」は次の選挙では窮地に立たされることになるだろう。
政府の内情に詳しいテトラトラス職員によると、正統アーキル政府は緊急穀物支援をカードにガスパイプライン"盟友ライン"の復活を交渉するべく動いているとのこと。
氏は、これを気に旧連邦のありがたみを思い出させて、あわよくば連邦体制の復活を望んでいる可能性もゼロではないと語っている。
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5/15 国際貿易サミット近づく
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来週土の日(5/21)に開催される国際貿易サミットの準備が始まった。
貿易サミットは北半球諸国で慣習的に行われていた商人たちの会合を元にしている伝統的な集まりで、現在では南半球国家からの参加も多く実質的な最大級の国際サミットとなっている。
今回の会場はくじ引きによりラオデギア市が採択され、現在急ピッチで市内の清掃活動が進んでいる。
会場となるのはラオデギアタワーに併設された連邦ホテル"アル・アーキリア"で、各国首脳もここに宿泊することとなる。
当初の宿泊予約者はホテル側からのキャンセルとなり、料金の44%を返金の上最寄りの軍病院または駐屯地での宿泊を提供する予定としている。
付近の商店街はこの商機を逃さず、外交官相手にオリジナルの雑貨や食べ物などを販売するべく慌ただしい様子だ。
元祖フリッグ焼きで有名なカンヌ製菓は今回も各国の王族をテーマにした菓子を制作するべく金型の生産体制に入っている。
「採択の一報はラジオでずっと待機して聞いていました。もう作るものは決めていましたから、すぐに金型を発注しましたよ。」と同社広報。
どういう系統の菓子になるかという記者からの質問に対しては「甘く、アーキルにゆかりのある懐かしの味」と回答した。
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5/16 アーキルの鼻に亀裂見つかる
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本日正午すぎ、アーキルの鼻の港湾員の一人が壁面から海水が漏れ出しているのを発見した。
アーキルの鼻は、連邦料東端に位置する海に面した巨大造船所だ。天然の渓谷を更にくり抜いた形をしており、底部の海抜は-300メルトに達する。
壁面の一部はオリエント海に接しており、その感覚はわずか数十メルト。
決壊した場合は造船機能を完全に失いかねないが、100年以上にわたり根本的な対応がとられずにいる。
同港は大陸戦争時代には最重要拠点の一つであったが、大型空中艦の需要が減りつつある今日ではこの古びた造船所を補修し続けてまで利用するべきか意見が分かれている。
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5/17 ラオデギア市街で大規模な不買運動
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北パンノニア共和国の消費者庁高官の発言が波紋を呼んでいる。
安く精度の低いアーキル製品が工場などで使用されることで、パンノニアの工業製品の品質が目に見えて落ちていることを憂慮するものである。
高官はたとえコストが高くても、高品質な自国の製品を使うよう要請した。
これには、昨今のエアロパンゲア航空機の不時着事故に起因するものと思われる。
これに対して正統政府の産業省、第二次産業省、貿易省、商工庁、消費者庁は一斉に反発。
当日の昼過ぎには公用街宣車で「パンノニア製品をボイコットしよう」とのアナウンスが通りじゅうに鳴りひびいた。
パンノニア製の工作機械を使っている東オデック自動車工場長は、「あまりに無謀。自分の首を締めてどうなるのか。」とコメント。
ボイコット運動は政府軍の介入により鎮圧された。
領土問題などで両国の関係の雲行きが怪しくなる中、またもや悲しいニュースとなった。
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5/18 アグニラグナ 天王杯予選開幕
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最強のオイルスモウ力士を決めるアグニラグナの天王杯の予選が各地で行われた。
今回のエントリー者は全国で8万501人。
前年の20倍を超える応募者数は、やはり年初に同大会への出場を表明したグラビアモデル、カサドラナ・アネッサ(21)の宣伝効果によるものだろう。
彼女と予選で対戦する僅かな希望をかけて13歳から89歳までの老若男女がこぞってエントリーし、大会本部はトーナメントの進行に頭を抱えている。
カサドラナ氏は所属事務所のモデルら8名とともに649年に政界入りしており、「8/8日に第三ラオデギア通りで"魅惑の花弁"新規オープン!みんな遊びに来てね!党」党首として入浴法改正を推し進めるなど、その行動力が評価されている。
大熱狂が予想されるであろう彼女の初陣は明日、ラオデギア・スタジアムで行われる。
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5/19 アグニラグナ予選 カサドラナ女史の見せたスポーツマンシップ
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アグニラグナ天王杯の予選2日目が始まった。
選手名簿には目潰しのゴルイヤス、クルカたらしのオットーなどそうそうたるメンバーが集まった。
大注目のカサドラナ女史が入場すると会場の熱気は最高潮に達し、軍警察が鎮圧に乗り出す場面も見られた。
凄まじい倍率をくぐり抜けて彼女と対戦することとなったのは、第2アーキル尋常小学校のハイシム君。
得意科目はパンノニア語と徒競走の文武両道で、将来の夢は警察官になることだという。
本日の試合のために友人や体育講師との特訓をしてきたというハイシム君は、対戦相手のカサドラナ女史について「大人の人が相手になることを想定して練習してきましたから大丈夫です。女の人相手でも本気で行きます!」と意気揚々と語った。
試合前の掛け金は歴代最高の4,050万ディナールまでに登り、5:5で拮抗。観客らは勝負の行く手に息を呑んだ。
試合が始まると、ハイシム君は得意技のクルカ返し(身体を密着させ相手を篩い落とす技)を繰り出し、カサドラナ女史も腰を器用に使ってふるい落とされまいと対抗。
このままのしかかって対抗しようとする相手の体重を使って滑り落とすのがセオリーだったが、急にハイシム君の動きが鈍り、あっけなくリングに投げ飛ばされてしまった。
試合時間はわずか30秒に満たず、その後のインタビューでもハイシム君は「ごめんなさい」と口ごもってしまうなど落ち着かない様子だった。
カサドラナ女史はハイシム君に駆け寄ると、「いい試合ができたわ。大人になって強くなったらまた挑みに来てね」と店の名刺を渡し、スポーツマンシップの何たるかを見せつける形となった。
観客らはコレに対して「うらやましい」「感動した」と讃えており、この伝説的試合の再現映画の撮影の話も持ち上がった。
当日の試合には国際貿易サミットを前に入国していた各国の代表団の姿もあり、六王湖の事実上の代表であるフォフマン元侍従は「17代の陛下も一度は大会に出てみたいと口にしており、実際にその試合をこの目で見納める事ができてよかった。」と翡翠色の首飾りを握りつつ語った。
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5/20 帝国大使と六王湖代表が衝突
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明日の貿易サミットを前に各国代表がラオデギアに集合している。
そのさなか、ホテル"アル・アーキリア"にてささやかな衝突があった。
事件の舞台となったのは3階のメルパゼルレストラン"夕蘭"。朝食整理券の列に並んでいた六王湖の代表が帝国大使と鉢合わせたのだ。
現場に居合わせた宿泊客によると、帝政ダルト国(六王湖)代表が帝国大使に対して「ダルト国からは私一人が派遣されていたはずだが」とあくまでダルト民族の正統継承国は帝政ダルト国であると受け取れる発言をしたらしく、これに対して帝国大使が同国の最高尊厳の遺伝的特徴を侮辱する発言を返したことにより会場は怒鳴り声に包まれた。
結局のところメルパゼル大使とザイリーグ駐在武官が割って入って"講話"することで落ち着いたが、そもそも犬猿の仲である両国代表を同じホテルにブッキングしたこと自体が責められるべきだという声が上がっている。
正統アーキルとしては帝国との友好関係のために帝政ダルト国を国として認めていないが、事実上の大使館を置いているなど"こうもりクルカ"仕草は以前から問題視されており、政府は今一度はっきりとした立場を表明するべきである。
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5/21 国際貿易サミット開幕
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本日、ホテル「アル・アーキリア」にて国際貿易サミットが開かれた。
南北間の民需製品の統一規格、ブロック経済構想、発展途上国の優遇措置を含めた12つのテーマについて議論が進んだ。
フォウ王国とワリウネクル諸島連合、テルスタリ皇国を除く全ての北半球国家が参加しており、今回からクランダルト帝国が南半球国家として初の参加となった。
帝国配慮する形として南パンノニア自治国も非公式の代表をオブザーバーを派遣しており、サミットは大陸規模の時代に突入したといってもいいだろう。
なかでも目を引くのは帝政ダルト国(六王湖)の代表の参加であり、昨夜の代表同士の"遭遇戦"もあってか常時ピリピリした様子であった。
その配慮もあってか、両国の代表は円形のテーブルの一番距離の遠い席に配置されることとなったが、これが悪い方向に働き、南半球において下品とされているハンドジェスチャーでしきりに牽制し合うといった場面が見られた。
会議は開催国である正統アーキルの188代(24代)首相ナインス・アルギールの挨拶から始まり、北部パンノニアの工業地帯における領土の主張について歪曲的に、だが誰が聞いてもそうとしか捉えられない表現で語り始めたところで「長い!」との野次が入り、会議はやや悪い雰囲気でスタートした。
首相は5週間前に着任したばかりであり、各国代表との面識はなく今回のサミットで自身の存在をアピールしつつ領土問題についてもプレゼンスを得ようと試みたと思われる。
発展途上国の優遇措置についてはニヂリスカ国を始めとしてテナー首長国、カノッセア、マン王国が参加の意思を見せたが、GDPにおいてこれら国を下回るオデッタ人民国の大いなる西の禿鷹バルカン氏が侮辱と捉えて猛反発し、採択は今回も見送りとなった。
これを機としてメルパゼル共和国は自身が盟主となっている新連邦、西海岸連盟を東アノールまで拡大する構想について発言。新連邦と旧連邦との境界線が定まらない正統アーキルは不快感を示すも、その提案に満更でもない態度を見せた東アノール代表に追加の開発援助を約束することとなった。
「してやられてばかりだ」と回想するのは187代(23代)元首相パパン・パン・パフクパン氏。
「周辺国を金で従わせてばかりで、信頼はますます落ち込んで周辺国からはナメられてばかりだ。」「旧領土を一部回復することで正統アーキルが大国であり、正統的であることをことを行動でに示すべきだ」とパニーニをこねながら店頭でのインタビューに答えた。
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5/22 旧政府軍反乱艦隊のウワサ
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645年の大政変の際、そのまま新政府軍の指揮下に組み込まれつつも密かに政権転覆を狙っていると思われる一部軍部の存在がまことしやかに噂されている。
風聞によれば、ラオデギア市街で確認されているだけでも第一ラオデギア軍港のテュラン級駆逐艦アルパミデオン、ゼン級空防艦4番艦"給料泥棒号"、そして中央タワー係留のオケアノス級重巡空艦パーサー、第一兵学校の第5教連隊がリストに上がっている。
その他地域でも謀反の疑いが囁かれている兵力は十数隻にまでおよんでおり、軍部と公安はそれぞれ独自のルートで兵士に対して聞き込み調査を行っている。
オケアノス級重巡空艦パーサーの艦長ワリネト2枚銅翼士は「まったくの作り話ですな。もし私が反乱を企てるようならば、昨日のサミットの際にお偉方を人質に取ることもできたはずだ。」と述べた。
同艦艇は連邦・帝国の合同艦隊演習の際、敵部隊役として立ち回ることが多く、その演習の光景が曲解されて今回の噂につながったと見られている。
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5/23 手足のない奇妙な土器が出土
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サーレ地方の製塩施設建設予定地から奇妙な土偶が数百体出土した。
全長15~18finほどの大きさで、顔から奇妙に曲がった手足のない胴体が接続している見た目をしている。
土偶が見つかったこの地区は、旧政府が灌漑事業に失敗しそのまま放置されていた"死の白絨毯"と呼ばれる耕作不能地だ。
塩のまみれた死んだ土地をなんとか有効活用できないかということで、重い腰を上げた政府が施設の建設にとりかかった矢先のアクシデントだった。
「こんな土偶は見たことがない」「大地の怒りだ」「言葉にできない不安を感じる」「すこしかわいい」と現地の住人は戸惑いを隠せないでいる。
発掘物の報を受けてパンドーラ隊が30分以内に駆けつけ、旧兵器ではないことを確認するも早々に旧時代のアノマリーには属さないものと位置づけた。
続いてやってきた古代アーキル(サーック・キール時代)の歴史に詳しい旧連邦大学の教授モシャンジャ氏は「この美術様式はアーキル民はおろか現パルエ人のいかなるセンスにもそぐわない、別種の思想で作られたもの」と自身の見識を述べた。
教授は、この土偶はおそらく"古代"旧文明人の遺した呪術に用いたものではないかと仮説を立てていたがそれを裏付ける証拠は皆無であり、全く新しい研究分野に繋がる可能性を示唆した。
とはいえ、製塩施設の建設が進まないことに村人は苛立ちを隠せない様子で、一部の者達は勝手に土偶を回収してご当地名物としてその複製品を販売するなどと商魂のたくましさを見せている。
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5/24 ヒュー・サファール・アキエリ女王、近衛騎士勲章を授与
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大陸南部諸国を外遊中のヒュー・サファール・アキエリ女王は、帝都ノイエラントの皇宮を訪問。
フリッグ皇帝との50分に渡る談笑を終えた後 白銀の間にて前近衛騎士団長ラツェルローゼより近衛騎士勲章を授与された。
現職ではない近衛騎士団より勲章が授与されるのは異例中の異例で、皇宮でも依然として影響力の高いラツェルローゼが式に臨むことはクランダルト帝国の我が国への好意の意思表示とも受け取れる。
フリッグ皇帝は年上のサファール王女に対して「アーキルからは多くを学んでおります。私たちは同じ未来、同じ繁栄の道標を仰いでおります。」と語ったという。
サファール王女は「両国の悲しい過去は湯気のようなもので決して無くなることはありませんが、空へとのぼり遠い遠い存在になりました。私たちは同じ青空のもとにいます。」と締めくくった。
同席した正統アーキルの188代(24代)首相ナインス・アルギールは「騎士団長や皇帝陛下とアイコンタクトができて光栄だった。」と今回の外遊に満足の様子だ。
今ではフリッグ皇帝もアーキル市民の間では身近な存在となりつつあり、首相とフリッグ皇帝のどちらが為政者にふさわしいかという調査に対し、8,060人中5,541名が後者を選ぶほどの熱狂ぶりだ。
#endregion
5/25 第6次軍縮が履行される
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「より平和に近づくための一歩」戦略の一環として軍艦数隻が解体された。
この条約は周辺国家との軍事格差を是正する目的で提言され、調印国は1回に付き3隻の軍艦の解体が義務付けられている。
正統軍は上陸用舟艇や稼働しない旧式輸送艦等の解体でお茶を濁してきた反省から、今回からは駆逐艦、巡空艦を解体するよう名指しで警告された。
これに対して、同軍は記念艦となっていたクリヴナ級駆逐艦1隻と、同じくレストラン併設の博物館となっていたトリプラ級攻撃型巡空艦を解体することで答えた。
重巡枠としてはグオラツィオン級重巡がリストに上がり、解体名目で東アノールへ売却される予定だ。
だが、同艦は軍縮の度に二国間で売却・購入しあうロンダリング行為があらわとなっており、国際社会からの冷ややかな目線をあびている。
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5/26 27日より軍事演習"オリエンタ"開始予定 注目はソルノーク上陸作戦?
#region
27日から正統アーキル各地の駐屯地・軍港で軍事演習が行われる。
市民の見学及び参加が可能。参加資格は国民学校にて総合軍事成績がB以上であるアーキル国籍を持つ者である必要がある。
最大の見どころは(ほぼ確実に)ソルノーク北部工業地帯を模した港湾への上陸作戦で、陸、空からの共同作戦を楽しむことができる。
今回は政治的配慮から旧連邦諸国からの参加国はなく、正統アーキル軍のみで執り行われる。
パンノニア軍関係者は非難をしようにも、そうすること自体があまりにもみすぼらしい見た目のハリボテ市街を伝統ある北部ソルノークの同類であると認めることとなる事実に困惑している様子だ。
#endregion
5/27 軍事演習開始
#region
年に一度の公開軍事演習が開かれた。
対岸に並べられた大量のロケット砲が一斉に火を吹き、ハリボテの市街の建物を破壊。
平地となった市街になだれ込む戦車隊の地響きに観客らは大声援を送った。
戦車に騎乗(デサント)した大量の歩兵はスムーズに市街を占拠し、わずか13分で完全併呑した。
これは"砂崩れ"と呼ばれるジンバブエ大将軍の考案した戦法で、圧倒的火力と速度を持って敵を翻弄することを目的としている。
これには各国の観戦武官も息を呑んだ様子で、そのまま戦車隊は武官の前に整列すると「貴国にも一個部隊いかがですか」と軍広報部によるセールストークが始まった。
今回売りに出されたのは我が国の誇るコムサック重戦車の初期型だ。
ニヂリスカ武官はやや渋い表情をしていたが、同じ金額でデーヴァ戦車を4両とダッカー1両、旧帝国軍ダック210を1両という対案を示されると快く契約を結んだという。
オデッタ武官は対抗してセレディーン対戦車ロケットを7丁購入。「国防予算をすべて使ってしまった」とくしゃくしゃの顔で答えた。
土偶が出土した製塩地帯では、一般参加者と正規軍部隊による一斉突撃体験が行われ老弱男女が久しぶりのストレス解消を楽しんだ。
200m地点では戦列はぐしゃぐしゃになってしまったが、ほぼすべての参加者が500mを横断しきった。
正規軍と歩調を合わせられた参加者には兵士らが取り囲んで入隊を勧めた。
栄光のアーキル軍志願者は広報までお問い合わせください。
電話番号:XXX-XX-XXXX-XXXXXXX-あなたの国民番号-年齢-XXXX
会場には退役軍人の姿もあった。
カノッサで戦ったとされるアサウル退役軍曹は、左足と右手を戦傷で失いながらも器用にナバンカ機関銃を構え「打倒クランダルティン!」と叫びながら標的をすべて撃破に成功。
また、首から上を吹き飛ばされて僅かに残った小脳で生きながらえている"首なし少尉"は、ラーカント双子銃を渡されるとスムーズに構えて、空砲を撃った。
軍事演習は行き詰まった経済情勢のなかで一種のガス抜きと機能しており、軍広報部も人心の掌握のため予算をふんだんに使っているという。
#endregion
5/28 手のないクルカが見つかる
#region
ラオデギア国際空港に珍客だ。
空港の保守要因のハメド氏は、夜の見回りの際に第3ターミナルのカフエ・ショップで物音を聞きつけてやってきたところ、そこには手のないクルカがいたというのだ。
クルカにしてはとても静かでしきりに伸縮運動を行うという奇妙な生態で、クルカに詳しいカラークルカ組合の頭取クサネ氏はこれを新種のクルカと断定している。
空港には飼い主のいない野良クルカが3,000匹は隠れているとみられるが、新種がどのように生まれたのかは不明だ。
ハメド氏は異国の乗客のペットだったのではないかと予想している。
#endregion
5/29 土偶が行方不明
#region
先日、製塩地帯で首都どした謎の土偶が一斉に行方不明になったことがわかった。
同地域を使った軍事演習のあと、保管していた土偶が盗まれたといった通報が相次ぎ、すべての村人の土偶が持ち去られたとしている。
奇妙ではあるが全く興味を惹かないこの事件にたいして警察もあまり乗り気ではなく、村人に土偶相応のディナールを支払うことで解決したようだ。
「面倒くさい捜査はこちらから願い下げだ。対価を払えば大抵の事件は解決するのだから、もう少し予算を増やしてくれればアーキルの治安は良くなる。」とコーヴァ捜査官は語る。
今まででもっともめんどうくさかった捜査は何かと問われると、「砂金事件」と即座に答えた。
一時的にその土地の地価を上げるために各地を巡る、砂金を満載した重トラックがザイリーグ地方で砂嵐に遭い横転した事件で、半径2レウコの範囲で人力による捜査が行われた事件だ。
費用対効果がギリギリプラスに転じたため、41日間に渡って捜査官は砂漠で砂金拾いをさせられたという。
こぼればなし:この作業に従事した警察クルカのうち3匹が砂金に反応しやすい性質を獲得し、現在では国営鉱山で元気に働いているという。
#endregion
5/30 土偶、不気味に出現
#region
行方不明になっていた土偶が出現した。
問題なのはその場所である。
ワリウネクル諸島最北端の島"コポロポク島"、フォウ王国南端の交易都市"ツェル"、メルパゼル共和国首都"キタラギ"の3地域。
この数日間でなぜこれだけの距離を移動できたのか、人のテよるものなのか、あるいは旧文明のアノマリーなのかまだはっきりしない。
一度は非アノマリー判定をしたパンドーラ隊は事後調査のため明日にも回収に乗り出す予定。
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5/30 史上最年少市長誕生
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我が首都ラオデギアの盟友都市である東第5コムサック工場都市の市長に5歳のファム・アムールちゃんが当選した。
祖父にあたる前市長のヒュン・アムール(88)は公平に選ばれたくじ引きの結果だとしているが、氏は返済不能な天文学的額の借金を抱えておりこれまで市長特権で返済が免除されていた。
最近体調を崩しており、自身の身に不幸がおこった場合孫に返済義務が渡るのを危惧しての行動であると思われる。
それを知ったと大多数の市民は同情し、ファムちゃんを永世市長にするべきだと言う声が多くなっている。
アムール家当選するのはこれで9代連続だ。
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5/31 あべこべ:大使館街完成せず
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6月に完成式が行われる予定の大使館街にまさかのハプニングが発生した。
大使館街はラオデギア市街に散らばる各国大使館を1箇所にまとめることで、外交活動の負担削減をねらった計画都市だ。
また、衛生状態の悪いラオデギアから離れて清潔で秩序的な"真にアーキル的"な街に場を移してもらうことで、アーキル国に染み付いたイメージを是正することも目的に含まれている。
この都市は、道路建設を民間建設会社"統一道路組合"、建物部分を国営建設会社"アル・アッシュ・ビルヂング"の2社に命じて建設させていたはずだったが、なんと互いに間違った場所で起工していたらしく
現場監督が現地に赴くと、右手には道路だけが、左手には大使館が並ぶという光景が広がっていた。
式典に参加するべく各国大使らがすでにラオデギアに集まりつつあるなか、この数日でどう挽回するか首脳部は頭を抱えているという。
国土省のシテイ・ホムンス報道官は記者団の前に姿を表し「事態は完全に政府の制御下にあり、数日後には解決する見込みである」といつも発表を述べた。
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&bold(){6月分}
6/1 幽霊の仕業か!? 無人列車ラオデギア駅に迷い込む
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本日昼、ラオデギアに珍客が迷い込んだ。
その珍客というのが問題だった。異国人でもない、クルカでもない、では何か?
それがまるごと無人の―運転手までいない―19領編成の列車だったのだ。
ことの始まりは午前10時頃、アーキル国鉄は担当管区内でラオデギア方面に向けて低速で走行している列車を確認したところから始まった。
無線で呼びかけるも反応はなく、最終的に輸送指令の通達に従わずに走り続けたことから国鉄はラオデギア市長と軍に対して警戒信号を発信。
すぐに国土省と陸軍が調査に応じたが、ラオデギア駅で両者が管轄を巡って争ったため出動が遅れ、気づいた頃には前方数百メルトの位置まで当該列車が進出していたという体たらくであった。
列車は車止めにのしかかる形で19番線ホームで停止。
国土省と陸軍は思い思いに対応にあたったところ、当該列車はもぬけの殻の完全無人だったことが判明した。
この列車はどこから出発したのか? なぜ誰も気づかなかったのか? 管理体制はどうなっているのか?
様々な疑念が生じるも、未だ誰一人としてそれに対する回答を出せずにいるようだ。
ラオデギア駅長は「19番線は無期限で運用を見合わせているため、当面の間は余裕のあるプラットフォームで列車をさばいていく」と得意げに語った。
そもそも列車が指定したプラットフォームに進入しないことは日常茶飯事であり、ポイント切り替え職人の熟練した手さばきと、それに慣れたプロの客によってラオデギア駅は運営されていると言って過言ではない。
外国人観光客に要注意スポットとして紹介される理由はこれである。
(今月発売 政府推奨旅行誌 大陸紀行 第12号にて 「フォウ行き列車に乗ったらたらい回しにされてバセンに行かされてお茶をごちそうになった件」記事内にて特集しております。)
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6/2 不覚!! 幽霊列車、ホームから消える
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調査員が昨日に続いて原因究明にあたるべく朝8時過ぎにラオデギア駅にやってくると、なんと19番ホームから幽霊列車が消えていた。
「昨日までそこにあったんですが。いったい全体、私は夢を見ていたのかと一瞬自分を疑いました。」
そう話す捜査員は未だに納得がいかない様子で、シーバに口をつけることもなくテーブル上の角砂糖ばかりを口にしているのが印象的だった。
しかし、すべての責任がテトラトラスの議長へ集約される陸軍とは違い、実質的にメンツを潰された形となる国土省は納得がいかない様子。
「私自ら出陣る」と国土省次席長官書紀補佐代理のマリアック氏(38)は国土省からの勅令として現場に赴いて指揮にあたっている。
ラオデギア駅は列車の遅延で有名で、現行のダイヤはほぼきっかり1週間遅れとなりつつあり、駅長は遅れを取り戻すために幽霊列車始発列車に転用したのではという噂がまことしやかに囁かれている。
同駅長はこれを完全否定しており、「見てください、列車のダイヤグラムは時刻表通りです。今朝も始発列車は時間ぴったりに出発しました。」と語っている。
始発の209便トメギ行き列車は19番線発。
だが筆者はここで209便に関する奇妙な噂を聞いている。
現在209便はまだザイリーグ中央部のミッダンナンキイ駅にて故障修理中というのだ。
わずか6時間でザイリーグ中央まで疾走するアーキル国鉄の技術力たるや!!
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6/3 元首相パパン氏、六王湖を電撃訪問
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187代(23代)元首相パパン・パン・パフクパン氏が帝政ダルト国こと六王湖に電撃訪問、第18代アイギス陛下を謁見した。
連邦正統政府にとっては寝耳に水のニュースで、仮にも一国の首相だった人間が他国の王族とプライベートに会うという事件に政府関係者は驚きを隠せない。
同国のバレグ・テーヴィー社の情報によると、パパン氏は首都キッザスの宮殿にてアイギス陛下の歓待を受け、食事を楽しみながら3時間ほど雑談に興じたという。
映像では水着のようなナイトドレスに身を包んだアイギス陛下と書簡のようなものを交換する様子が写っており、連邦政府は事態の究明に総力を上げている。
188代(24代)首相ナインス・アルギール氏は「連邦政府の顔に泥を塗る行為。これらの書簡は全て無効だ。そもそも我が国は六王湖は帝国のいち自治区とする立場である。」と表明。
予期せぬ事態にクランダルト帝国との関係悪化を危惧した対応となった。
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6/4 ナインス・アルギール氏、突然の辞任
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連邦政府に寝る間もない。
前首相の非公式六王湖訪問を受け、帝国政府から抗議を受けた連邦政府は責任を取る必要に迫られ、188代(24代)首相ナインス・アルギール氏は泣く泣く辞任に追い込まれた。
連邦特別法により、首相戦期間外の空席については前首相が存命の場合をこれを臨時として当てることとなった。
これは首相がコロコロと変わり、帝国連邦間の"言った、言わない"問題に終止符をつけるため帝国側の強い干渉により制定された法律だ。
だが今回はそれが問題となっている。
前首相はアイギス陛下といかなる書簡を交わしたのか?
帝国も連邦への内政干渉、帝政ダルトを国として認めさせないなど強引な立場を貫いていた建前もあり、いまさら撤回させるわけにもいかず、両者にとって悩みの種となっている。
元首相パパン・パン・パフクパン氏はこれを予期していたのか朝には連邦首相バッジをつけた正装でアイギス陛下と別れのキスを行い、宮殿を後にした。
現在、連邦政府の指示のもと政府専用機が向かっており、帰国後に詳細を確認する予定だ。
一方首相を辞任して実家のパニーニ屋に帰省したナインス氏。
「どいつもこいつも勝手なことばかり、ますます政府の信用が失墜するばかりではないか」「だが私は文民だ。法の支配を受け入れる。連邦政府の法律に則り、パパンの首相就任を公式に認めるとも。」とパニーニをこねながら店頭でのインタビューに答えた。
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6/5 事実上の国交樹立 アーダル文書、履行される
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パパン氏がアイギス陛下と交わした書簡"アーダル文書"の詳細が明らかになった。
その内容はほぼまちがいなく、正統アーキル政府が帝政ダルト国を主権国家として認めるといった内容であった。
これに対して帝国は猛反発するも、正統政府は6/3時点では書簡は全て無効と宣言した上、六王湖は帝国のいち自治区とする立場であると表明していたと反論。
と同時に帝政ダルト国に対しては、現時点でパパン氏は法的に首相であることは間違いないという事実を根拠に、それを繰り上げる形でアーダル文書を履行する立場を約束した。
このトンチキめいた政府発表に帝国大使はやや強い表現で抗議を示したが、帝国が我が国に制定させた連邦特別法に則った行動であると反論、大使は言葉をつまらせた。
数時間後に元首相のナインス氏も政府の決定を指示する声明を示し、近年まれに見る巧妙な政治手腕だとパパン氏を評価した。
来週には帝政ダルト国へのヒュー・サラーム・アキエリ王子の事実上の表敬訪問であるチャリティ活動が控えており、王室としても政府の決定を指示せざるをえない状況だ。
今回帝国は完全に我が国の手玉に載せられていた結果となったといえるだろう。
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6/6 テトラトラスに謎の小包が届く それを開封、爆発、首都一時騒然
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今朝未明、テトラトラス広報部宛に爆発物在中とかかれた小包が届けられた。
室長のヤーデン氏が開封すると小包は爆発、氏は顔に大怪我を追い病院に搬送された。
テトラトラスは30年ぶりの首都緊急事態宣言を発令、戒厳令とした。
マニュアル通りに全艦隊がラオデギア市の防衛のために駆けつける事態となったが、同日15時に宣言を限定解除。
事実上の議長の代弁者であった室長を失う異例の事態に、テトラトラスの職員は議長のクルカに指示を求めて右往左往との情報が入っている。
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6/7 オリエント海沿岸におけるニヤサ貝の絶滅を確認
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古来より様々な奇病の媒介者であったとされるニヤサ貝の絶滅が確認された。
先月30日に最後の生息確認地となるショキン村周辺の三角州に対して猛爆撃が実施され、専門家による生息確認が数日間に渡り行われていた。
専門家のネイエス氏によれば、殻を持たないこの貝は直立時に全高が12finくらいにもなる大型の種であって、見つけるのは容易いのだという。
実地調査では見たところ動くものがなかったらしく、ニヤサ貝は根絶されたものと発表された。
「巷では人面貝だとか言って一部のマニアに人気があったみたいだけど、夜中に屋内侵入して気づいたらいるものだからとにかく気色悪かったんだよ」
旧大戦時代の爆薬を用いた爆撃による害虫駆除作戦は、軍民一体の共通プロジェクトとして最近人気が高く一定の成果を上げている。
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6/8 10,000ディナール札、自主回収のお知らせ
#region 今年の3月から5月の間に印刷された10,000ディナール札の印字に不備があったことが確認された。
問題の紙幣は「0」の部分が余計に1文字多く印刷されているようだ。
このエラー紙幣を政府は回収する予定だが、早くもプレミア化しおり大蔵省はそれを有効活用したいらしく積極的ではない。
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6/9 ラオデギア市、新型の交通制御システム導入でさらなる混乱
#region 昨日、ついに鳴り物入りでラオデギア市に導入された新しい交通制御システムが試験的に稼働した。
目的は過密状態にある道路交通の流れを円滑にし、遅延に関するあらゆる都市伝説を一掃するためだ。
しかし、稼働初日から市民からは不満が噴出しているようだ。
その一例が、交差点に新たに設置された信号機のカウントダウン表示。これは一見便利な機能であるが、カウントが「3, 2, 1, 1/2, 1/4, 1/8...」と続く仕様になっている。このシステム、内部処理的には対応する車線の車列が途切れない限り永遠に信号がグリーンに変わることがなく表示が無限幾何級的に近づいてしまう仕組みなのだが、表示できる桁数が少ないためエラーが起こり、強制的に信号が切り替わるようになっているそうである。
交通省の主任開発担当者はこの新機能について「精密な時間制御により、より多くの車が交差点を通過できる」と説明。しかしこれに対し、市民からは「頭の中で無限級数を計算する時間がない」といった、現実とはかけ離れた声が上がっている。
また、新システムの導入によって誕生した新しい交通マナーも話題だ。
信号が赤から青に変わる瞬間にクラクションを鳴らすと、長さで右折左折の意志の疎通ができるという。
方向指示器を装備していない自動車による出会い頭の事故を減らすためのルールであるが、この新ルールに対応できずやかましいなクラクションが鳴り響いているばかりという報告も。
ラオデギア市の未来は明るいのか、それともこの新システムは市民の笑い話に終わるのか。ひとつ言えるのは、この都市が静かな場所でなくなったことだけだ。
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6/10 南北戦争博物館で新たな紛争勃発?
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先週末にラオデギア東郊外でオープンした南北戦争博物館で、予期せぬ外交問題が発生した。
連邦・帝国の戦争の歴史、そして歴史的和解を記念する展示文の一部に、帝国と六王湖が互いを侮辱する表現が発見されたのだ。
この問題は博物館を訪れた国民学校の生徒たちのレポートから明るみに出た。「娼婦から生まれた貧弱児」「粗末な出来の手作り皇帝」など互いの最高尊厳を罵倒する表現が展示の説明文に紛れ込んでいたという。
発覚後の緊急会議で、帝国代表のイース書記官と六王湖のラムジム臨時大使は互いの国家の尊厳を傷つけたとして激しい非難の応酬を繰り広げた。
収拾がつかなくなってきたタイミングでアーキル側の担当者が「どちらも同じ民族なのだから仲良くしては」と発言したことで事態はさらに悪化。両代表は憤慨し、警備兵が壇上に上がり両者を制止する事態にまで発展した。
事態収拾に当たった国土省のウェディ次官は記者団に対し「この紛争自体が歴史の一部となった」と語り、今回の対立の様子を「現代の国際紛争実例」として新たな展示に追加すると発表した。「生きた歴史を学べる貴重な機会」として早くも修学旅行生の予約が殺到しているという。
南北戦争博物館オープニング記念料金は来月末まで適応され、大人ひとり40,0000ディナール。
未就学児と退役軍人は無料。キャンペーン中は同チケットで併設特別展示「古代ニヂリスカ展」の入場が可能。
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6/11 演習に向かう陸軍が国道を制圧? 一時交通マヒ
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「アーキルの玄関口」国道R20号線が昨日夕方から今朝にかけて、陸軍の9レウコに及ぶ大車列により完全に機能停止する事態となった。
「トラックの運転士さんたちは迷惑でしょうが、こちらとしては神様みたいなものでしたよ」と皮肉交じりに語るのは、国道に諸島料理店を構えるマ氏。
氏によると、動かぬ車列にしびれを切らした兵士たちが道路沿いの店舗を利用しだしおかげで、普段はトラックドライバー相手に料理を提供するだけだったマイマイ氏の店も大いに繁盛し、最高売上を記録。他の店もおおむね臨時収入を得たようだった。
一方で渋滞に巻き込まれたドライバーや通勤民からは「事前通知がなかった」「職場に出勤できなかった」「寝坊した」など多数の苦情が寄せられている。
渋滞は早朝には解消し、戦車砲弾、弾倉、書類などの残留物をのこしてこの騒動は一応の落着を得た。
なお、国土省のシテイ・ホムンス報道官は「よくある演習のための車列」と説明する一方で、この演習がなぜパンノニアの北部工業地帯ソルノーク対岸で行われるのかという質問には「あくまで偶然の配置」と回答するにとどまった。
陸軍は先月も軍事演習"オリエンタ"でソルノークを模した都市での訓練を公開し、パンノニアから非難を受けたばかりだ。
軍事評論家のヒルダ・イシャク氏は「この規模の部隊移動は単なる演習とは考えにくいですね。通常の演習なら3分の1程度の規模で十分だし、軍部にはなにか壮大な戦略の存在があるのではないかと言われておりましたが、それがいっきに現実味を帯びてきました。」と言葉を濁しつつも当惑している様子。
テトラトラスは「国防上の機密」として演習の具体的内容や期間については言及を避けた。
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6/12 第一回宇宙旅行国際研究シンポヂウム、東アノールにて開催される
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「ちょっとばかしアルゲクメグまで飛んでくる」ーこのようなセリフが話されるような時代が来るのだろうか?
まるでシャンメールの”天世界旅行記”(522年)のような話を大真面目に研究している世界各国のもの好きさんたちが、東アノールの国民集会場に集結して宇宙旅行について語り合うシンポヂウムが開かれた。
会場には多種多様な掲示物や宇宙船の模型がそこかしこと並び、各国の研究家達はそれらを前に熱い議論を交わす光景が見られた。
特に人気が高かったのは球体の形をした宇宙船模型に実際に搭乗し、窓越しに宇宙に浮かぶパルエを見下ろすことができる体験コーナーだ。
実際に私も30分ほど並んで搭乗してみたのだが、想像以上に狭いうえに窓も小さく宇宙船と言うには粗末なものであった。これが今後50年以内には現実のものになるのだという。
宇宙空間では空気がない真空状態であるため、船に持ち込んだ菓子袋が気圧の変化で膨らむのと同じように宇宙船にも大きな力がかかる。それ故にこの丸い形に落ち着くらしいのだが、翼もなければ&ruby(ジェノラッド){浮遊機関}もない姿に果たして宇宙を飛ぶことができるのかイメージがいまいちわかないというのが正直な感想であった。
それでもかなり現実的かつ堅実な設計であるらしく、この球体に乗って旧人たちのように星の世界に足を踏み出す日は近いのかもしれない。
ちなみにこの”球”単体では自力で宇宙に飛び出すことはできない。
ボール投げのように、これを何らかの力で&bold(){秒速7.5レウコ}の速度で投げ出してやらないといけないのだ。
そう、秒速である。いち、に、さんと数えている間に20レウコ以上も飛んで行くほどの速度まで加速してやっとこのパルエの周りをぐるりと観光できるというのだが、今の我々の技術力にそれが可能なのか。
私にはまだまだ夢物語のように聞こえるのであるが、しかし最近の航空機の目覚ましい進化やラケーテ技術の進化を見ていると、彼らの言う「今後50年以内」という言葉が実感のあるものに感じてくる。
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6/13 126,000トンの穀物が誤って海洋投棄されていたことが判明
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穀倉省は13日昼、ベクラチア産の中麦が過去2年5ヶ月間にわたり市場へ供給されることなく産業廃棄物として海洋投棄されていた事実を公表した。
投棄されていた総量は合計で126,000トンにも達し、この知らせを受けた問題解決省はすぐに解決委員会を編成し事態の究明にあたった。
彼らの働きは驚くほど早く、2年前にこの地区の貨物列車の管理を担当することとなった者が自分のミスに気づかないまま貨車の振り分けを行い、ラオデギア行きの穀物貨車が毎週のようにルーッグィメまで運ばれてしまっていたようだ。
ルーッグィメ周辺の漁獲量は2年前から倍増しており、都会の暮らしに疲れて一念発起を狙う若者が第二の人生として当地で漁師として一発逆転をねらう光景がみられていた。
穀倉省は市に対して2年6ヶ月分(3000億ディナール)の産廃補助金の返納を求めており、同市長マポール氏は「投棄されているものは産業廃棄物だと思っていた」と主張しており、返納には応じない姿勢を強調した。一方で、ラオデギア市で卸された産業廃棄物の行方については解決委員会は依然として調査中とコメントしている。
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6/14 空軍博物館が浮上
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アーキル空軍博物館の船舶コーナーが建物ごと浮上する事件が発生した。
船舶コーナーはメルケール級旧式巡空艦をそのまま地上に着底させた舟形の博物館で、館内がそのまま展示エリアになっている目玉スポットだ。
特に子どもたちや大戦マニアの間では人気で、リューリア艦隊戦をシミュレーションしたロールプレイングが楽しめる。
本日未明、機関室エリアの展示を観覧していたグループ客が操作を行ったところ、
正確なエンジン始動シークエンスを行ったため浮遊機関が起動、館全体が20メルト浮上する事態となった。
彼らは旧軍にて機関士だったため、正確な起動操作を行うことができたという。
「まさか動くとは思わなかった」と本人らは浮上が意図的でないとしている。
幸い死傷者は出ていないが、救出のために消防が出動する場面があった。
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6/15 アーキル料理博覧会が開催される
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アーキル料理の世界的地位向上を目指し、産業省主導の料理博覧会"味覚の春みたいな親しみやすいタイトルを考えてください"(公式通称:味覚の春)が東アノールで4日間にわたり開催される。
アーキル料理は隣国のパンノニア文化圧力から"下位のもの"として扱われる風潮が長年続いており、今回のイベントでアーキルの食文化の復興を目指す。
会場には国営系レストランの凄腕シェフがならび、一般公募と厳しい国選を勝ち抜いた私営系の参加企業が参加し、アーキルの文化力を世にアピールする。
「これは新時代の戦争形態、文化戦である」
そう主張するのは与党直属の戦術文化推進顧問のシリエン氏。彼は最近の若者が自炊をしなくなり、パンノニア風のレストランなどで食事を済まるようになってきている現状をパンノニアの卑劣な文化侵略と批判するなど強気の口調が目立つ。
彼自身がプロデュースする国風料理店"大アーキル物語"も出店する予定。
衣を上げた素朴なスナック「フリッタードフリッター」からソルノークで採れた新鮮な魚を使った上げ料理「地中海」まで多様なメニューで挑む。
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6/16 ミオネール軍事刑務所で囚人反乱
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ラフーサ共和国ザレス市のミオネール軍事刑務所にて囚人らによる暴動が発生し現在も戦闘状態にあることがわかった。
通報によると、面会者が差し入れとして持ち込んだグラナーテが突如爆発し、倒れた刑務官の武装を奪った囚人らが蜂起したと見られている。
ミオネール刑務所は1,600ヘクタルの敷地面積、128棟の収容棟を誇り、16万人の囚人を収容できる同国最大規模の収容施設。
軍役による懲役免除キャンペーンを推進していることもあり、同収容所内には機関銃から装甲車、戦車にいたるまでの訓練用兵器が配備されており、囚人らが兵器を奪取する可能性が危ぶまれている。
ザレス市長カハマンドラ氏は緊急会見を行い、事態の収拾に務めること、この事件はザレス市のみで解決に当たることを強調した。
幸い、反乱行為に加担している囚人らは多く見積もっても100人程度に収まっているとのこと。
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6/17 負の遺産「ゲネー地雷平原」地雷除去作業始まる
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南北戦争の負の遺産、カノッサ地域ゲネー市南部の地雷除去作業がアーキル・ザイリーグ両軍共同で開始された。
ゲネーは南北戦争時の激戦地で、少なく見積もっても大小合わせて3億7000万個もの地雷が敷設されている。
その多くは耐爆土で入念に舗装されているが、金属反応系の自律地雷による被害が先月より立て続けに7件発生して以来、両軍の関心を引いている。
当初は連盟軍による除去作戦となる予定であったが、アーキル・ザイリーグ両政府の強い要望並びにザイリーグ政府の自治権の主張により、両軍共同で行われる予定。
この異例の対応は連盟会議でもあらぬ誤解を生んだようで、連盟議長が安全のための査察を行わせるように主張する場面もあった。
異例のスピードで展開される地雷除去作戦だが、現地民はおおむね歓迎ムードである。
「大自然を満喫するのに、わざわざ隣の県まで出かけなくてもよくなる日が待ち遠しい」―市民
「我々の戦争がついに終わる」(意訳)―市民
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6/18 ミオネール軍事刑務所の反乱、鎮圧される
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16日にラフーサ共和国ザレス市で発生したミオネール軍事刑務所の反乱が鎮圧された。
同刑務所警備担当であるアーレ鉄翼刑務官の冷静沈着な手腕により、暴動メンバーは敷地の端まで追い詰められ全員投降したという。
明け方にはおおよその全貌が明らかとなり、28名の刑務官、56名の囚人ら、3匹のクルカが負傷したとのことが判明した。
アーレ鉄翼刑務官は取材に対し「まずは事態を収拾することを優先し、その後暴動の原因を明らかにすべく、わたしが自ら囚人らと直接対話する」とコメントした。
「二度とあってはならないことで、誠に遺憾。」
ザレス市長カハマンドラ氏は記者会見で終始不満げな表情を保ち、「これで9回目では」という質問に対しては「だからもう二度とあってはならないのだ」と志を明らかにした。
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6/19 帝政ダルト合唱団「キッザス声楽団」がラオデギア初公演 – 帝国大使館は「偽物による文化侵略」と反発
#region
帝政ダルト国の誉れ高い「キッザス声楽団」が来週、ラオデギア市民劇場での3日間の公演を行うことが昨日、正式に発表された。
今回の公演は、正統アーキル政府が六王湖との関係改善を模索する中で実現したものだが、クランダルト帝国大使館はこれを強く非難している。
キッザス声楽団は約22名の若い女性たちで構成される軍属の合唱団で、女帝アイギス陛下の即位後まもない632年に結成された。軍服を基調とした華麗な衣装と完璧に同期した動きで知られ、ラオデギアでは「勝利は歩いてはこない」「アイギス陛下しか勝つことはない」「痛撃の足取りで」など全12曲を披露する予定だ。
「ダルト文化が濃縮されている」と語るのは今回の公演を主催するラオデギア文化戦広報部のハミド・ナジャフ代表。
しかし、帝国大使館は早速反発。クランダルト帝国大使館のエルミネ・フォン・ハーゲン広報官は「正統なる皇帝陛下の権威を侵害する偽物による文化侵略を許すことはできない」とする声明を発表。
公演中止を求めるとともに、観客に対して「帝国の伝統文化を歪曲する見世物」への参加自粛を呼びかけた。
この対立を受け、正統アーキル政府は難しい立場に置かれている。
パパン首相は「文化創作物は人類共通の資産であり、政治的問題を持ち込むべきではない」と述べる一方で、帝国への配慮から公演への閣僚出席は見送る方針だ。
チケットは公演発表からわずか2時間で完売。一部は闇市場で定価の10倍以上の値がついており、市民の関心の高さを示している。
「本物の団員をこの目で見るチャンスが来るなんて」と目を輝かせているのはラオデギア大学の六王湖研究会に所属するパルトン君。
彼の秘蔵の写真や雑誌のスクラップには、楽団員のスナップショットや詳しいプロフィールなどが綿密に書かれいる。
「公式には情報はないけれど、アイギス陛下作詞作曲の『プリンの踊り』が演奏されることは間違いないでしょう」とのこと。
公演は来週6/25 ラオデギア市民劇場で行われる。
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6/20 複数の連盟加盟国との通信途絶 (ラフーサ共和国、チェルミー管区、レビール共和国、べグラチア農村革命地区)
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本日、連盟加盟国との統一通信網が遅くとも午前6時32分~12時55分の間途絶していたことがわかった。
電波などを通じた第ニ種通信は行われていたが、内政・インフラ・国防上の通信に使われる専用回線が完全に麻痺していた状況だ。
テトラトラスは9時頃に国家非常事態宣言を発令し、現在も事後対応にあたっているようだ。
国土省のシテイ・ホムンス報道官は、これああくまで対策チームが政治的に動きやすいように発令したものであって、市民生活に影響はないとしているが
国営銀行の各種照会が行えない、政府関係ビルの電力が遮断され閉じ込められたものがいるなど、統一通信網に関連したあらゆるサービスに影響が出ている模様。
統一通信網は我が国の先進的イントラネットシステム。
その原型は589年に開通したテトラトラス~カノッサ間の有線通信システムであり、電力供給と有線通信を兼ねたアーキルの神経とも言われる重要インフラ。
現在は総延長は惑星パルエを3周すると言われる長さまで拡張され、我ら兄弟たる連盟加盟国との結びつきを確実なものとしている。
「あのシステムの全容を知っているエンジニアはおそらくもういません」
インタビューに応じてくださったソルノーク・システムズのホンジャマ・カポコ氏(38)は増設に増設を重ねて辛うじて動いているように見えるこのシステムをただ一言「下品」と一蹴した。
「システムを再構築する機会は今までに何度もありましたが、ここまでの規模になるともうシステムを停止するわけにもいきませんから」と今回の事件を起こるべくして起きたものと批判している。
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6/21 【速報】正統アーキル国、国宝に指定
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国土省のシテイ・ホムンス報道官は、国民投票で選ばれた判定員7名による多数決に基づき、正統アーキル国を国宝に認定した。
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読者の声
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