「これメルパゼル国カナイ製作所製艦砲着弾演算器! クンバカルナに搭載されていた演算器じゃないか!リューリアの地から発掘して、 よく発掘できましたねぇ。」 「いえいえ。これはその同型機ですわ。運良く手に入れたんですわ。 ほら、型番も違うことが示されているでしょ?」 ここは格納庫集落の第3階層「市場層」。 格納庫集落は現在20階層まで存在していて、 そこに住む人々は各階層を「階」と呼んでいる。 第1階層では防衛施設層。 第0層のヒグラート渓谷に張り巡らした防衛施設の維持システムを支える階層である。 第2階層では生存物資生産施設層。 各階層でも生産しているが、『脱出紀』の時代で人々に衣食住を与えた施設で、 今もなお生産し続けている層である。 そしてこの第3階層の「市場層」。 ここでは各地で手に入れた発掘品等を売買する層で、 人々が売買することで得られる「経済」を支えるための施設で、 様々な物資や情報、武装、酒場等の店舗を構えている。 「これ実際に動くんですよ。ほらカラムが綺麗に動いているでしょ? やはりメルパゼル製だよな。仕事が丁寧で精巧だからね。」 この艦砲着弾演算器は、かつて[[アーキル連邦]]の[[ドクトリン]]を支えた機械だ。 メルパゼルの学者が生み出した演算器で、 艦砲の「仰角」と「旋回角」が解るのだという。 原理としては、艦に備えられた砲旋回角とそれぞれの砲からの距離、 砲の敵艦に対する仰角によって求められ、 三角関数を応用したものだと聞いている。 歯車の噛み枚数で距離を。 歯車の回転によって角度を表すのだという。 これを伝声管で伝えて、砲手が補正するのだという。 「今なら20共通集落単位で」 「手頃だな。買うよ。」 「ありがとさん!台車も付けておくぜ!」 「気が利くねぇ。どうも」 このように、経済は回るのだ。