日刊バレグ636年4月~6月分

636年4月


4月1日~10日分
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4月2日速報 モイピック大宰相暗殺
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【速報】本日未明、マルユディーここに文字を入力の別荘宅においてジュール・ド・モイピック大宰相が殺害されているのが発見された。軍警察によると、モイピック氏は腹部が吹き飛ばされているとのこと。

 クリーブマン最高報道官は事件発生から1時間後に記者会見を開き、大宰相代行として副宰相のザームエル・フォン・ノイガラート氏が選任されたことと全土に二等戒厳令を発令することを宣言した。これにより軍警察と市民警察及び国家破城鎚部隊は60時間の厳戒態勢をとり、全国の主要道路及び主要空路に検問を設置するとのこと。
4月2日分 モイピック氏暗殺事件の合同捜査本部立ち上げ
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本日未明にモイピック大宰相が暗殺された事件に関して新しい情報がマルユディーにある軍警察及び市民警察の合同捜査本部から発表された。

 合同捜査本部によるとモイピック氏の死亡推定時刻である3時に、別荘付きのメイドがモイピック氏のいる部屋の方から破裂音がしたとの証言があり、同時刻に近くを深夜徘徊していた男性により別荘から出ていく4人組の人影を見たとの証言があった。また、事件直後に別荘地の近くに翅のないヴェストバルカ型を見かけたという未確認情報もある。

 合同捜査本部ではこれらの証言を元に国内または国外からの組織的な犯行と見て捜査している。
本事件に関しては発生から3時間以内に偽帝国が声明を発表し、「我が国は本事件とは何ら関係もなく、今後六王湖の逆賊共から主犯だと言われても我が国は一切感知するものではないものと断言する。」という自己弁護のような声明を出した他、パンノニア王国が深い哀悼の意と強い怒りを抱いているという声明を出した。

 国内においてはかつての二等国民だったガリアグル人の地位向上と本国系人との融和を計った宰相だけに悲しみの声が多く、何故殺害したのかなどの疑問や代行である本国系のノイガラート氏への不信感、戒厳令による経済の混乱などに不安を覚える声も多かった。
4月3日分 アイギス陛下のおことば
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昨日発生したモイピック大宰相暗殺事件に関して、我が国の皇帝アイギス陛下がおことばを発表なされた。
 アイギス陛下は「今回の事件は帝政ダルト全国民を深い悲しみに陥れただけでなく、このアイギスの心も重く、朝食のプリンが3杯しか食べられなくなるほどの悲しい出来事であった。ところで今朝はバルコニーから市街を見渡していたのだがモイモイ(モイピック氏のこと)が死んだこともあってどうも暗く感じた、そこで皇帝アイギスの名において本日から一週間はモイピック氏を偲び、各家家で盛大なパーティーが開けるよう、臨時休日とする。」と宮殿バルコニーから臣民へ語り掛けられた。

 これを受けて大宰相が欠けた執政評議会はモイピック氏死後最初の会議を招集、数時間の審議の末即日政令を発布、翌日4日からの一週間の休日が施行される運びとなった。

 暗殺事件に関しては合同捜査本部の粘り強い捜査によって、犯行は4人組で行われたこと、深夜2時頃に外にいるボディーガードを麻酔銃で撃って眠らせ、2時半頃に天井裏などを伝ってモイピック氏の寝室内に侵入、そこに時限式の小型爆弾を仕掛けたのち脱出し、外に止めてあった無騒音型のヴェストバルカ型軽戦闘艇に乗り込み逃亡したとみられること、などが新たな捜査結果として合同捜査本部が発表した。
4月4日分 暗殺事件の犯人を確保
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2日に発生したモイピック大宰相暗殺事件の犯人が軍警察に保護されたと合同捜査本部が記者会見の席で公表した。

 合同捜査本部によると本日24時、バリグ工業城塞特別区の軍警察本部の警戒艇格納庫に犯行に使われたと見られるヴェストバルカ改造型に乗って突っ込み、格納庫内に駐留されている警戒艇を破壊しながら止まり、大破した機体から這い出してきた男を確保した。男は「貴族警察に追われている。」「貴族警察に引き渡さないならなんでも話す。」などと発言したとのこと。
合同捜査本部は『現在取り調べ中の為、詳細な情報を出すのは控えさせてもらうが、男性の身柄の安全の確保を最重要事項に位置付ける。』と本部としての対応を示した。
一方、貴族警察は『早急な容疑者の身柄引き渡し』『合同捜査本部の全捜査情報の開示』を求めており、報道陣の「なぜ男性は貴族警察を恐れているのか」の質問に対しての回答はなかった。

 今回の"逮捕劇"は警察組織間にまん延する秘密主義と派閥主義によって暗殺事件の状況がますます読みづらくなっており、四警体制始まって以来の緊張が各警察組織間に走っている。
4月5日分 【独自】暗殺事件にはノイガラート氏がかかわっていることが判明
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 モイピック氏暗殺事件に大宰相代行を務めているザームエル・フォン・ノイガラート氏(65)が関わっていることが本誌独自で行った市民警察高官への取材で明らかになった。

 市民警察高官は名前を伏せることを条件に本誌の取材に応えてくれた。本誌記者からの"犯人は何をしゃべったのか"という質問に対して、高官は少し咳払いし「彼が話したことが事実だとするならモイピック氏の暗殺事件には彼の後任候補が関わっています・」そう小声でささやいた、"後任候補とはノイガラート氏のことですか"というさらに重ねた質問に対しては、「それ以上言わないでください、我々合同捜査本部でもこの情報を公開するべきかどうか揉めに揉めているのです。ただ、貴族警察が本部周りに部隊を配置させていることから鑑みてこの情報は真実だと私は思います。」そう答えてくれた。

 "他に何か言ってはいなかったか"と聞くと、「男達は偽帝領ガリアグル出身で、近衛大叛乱直後に起こった大飢饉からここへ逃げ込んできて路頭に迷っていたところをノイガラート氏に拾われ、モイピック氏暗殺の命を受けた。そして暗殺成功の暁にはここでの永住権と一生遊んで暮らせるだけの大金が得られるはずだったが、暗殺に成功して帰ってきた彼らを待っていたのはノイガラート氏の私兵の銃口で、彼はそこから命からがら逃げてきたらしい。」と語った。

 高官が言っている情報が真実かどうかは不明だ。しかし、もし真実だとしたのなら、それはこの国を揺るがすとても重大なことになるのではないか。
4月7日速報(バレグ・インペレーター紙) 【速報】バリグ工業城塞、封鎖
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昨日25時、バリグ工業城塞をノイガラート艦隊が封鎖した。

本日1時にクリーブマン最高報道官はノイガラート氏の大宰相代行職を罷免したことを発表。また、全土に無期限の一等戒厳令および戦争準備宣言を発令。全航空便を停止させ、予備役の招集も行われている模様だ。

 また、バリグに駐留していないデシュタイヤ艦隊、ザニアル艦隊、ダットファング艦隊及び国家破城槌部隊の実働艦隊が母港から出港した他、新帝都のフィッター戦闘機部隊がスクランブルをかけているとのこと。

【おことわり】現在、バリグにある日刊バレグ本社と連絡がつかなくなっているため、事態が解決するまでの間ギッザスにあるバレグ・インペレーター紙から発行いたします。また、その間本来バレグ・インペレーター紙が掲載する記事は載りませんのでご注意ください。
4月7日分(バレグ・インペレーター紙) バリグ工業城塞封鎖から一日
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アイギス陛下が皇帝に即位なされてから初めての危機だ。昨日からノイガラート艦隊が"モイピック氏暗殺犯が城塞内に逃亡し、人民の安全を確保するため"としてバリグ工業城塞を封鎖している。

 城塞封鎖から一日経って事態の全貌が見えてきた。ノイガラート艦隊は同じバリグを母港としているガーニェト艦隊を脅し、都市中央部の上空に待機させ、ノイガラート艦隊自体は北東に向き、デシュタイヤ艦隊と対峙しており、城塞内はノイガラート家の部隊によって制圧されているものと見られる。また、各地の貴族警察が市民、軍、交通の三警察と戦闘状態に入っており、首都ギッザスでは貴族警察の特殊部隊"王盾"と国家破城槌部隊との間で市街戦が発生している。

 貴族警察のベスター公安伯爵はギッザスの報道陣に対し、「モイピック氏暗殺を阻止できなかった市民・軍警察にはこの国の治安を守る能力が無いため、全権を一つに集約する。」と発言、貴族警察の行動を正当化した。

 ノイガラート氏に代わって大宰相代行を務めることになったクリーブマン大宰相代行兼最高報道官(27)は記者会見で「世間では今回の事件に偽帝国が介入してくるなどの噂が広まっていますが、安心してください。近衛大叛乱で名だたる戦果を挙げてくれた我らがダットファング艦隊が近衛の叛乱者共から我々を守ってくださいます。ですのでどうかご安心してお過ごしください。」と国民に平穏にするように伝えた。
4月7日分(日刊バレグ紙) 摂政評議会の叛乱から一日
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アイギス陛下が皇帝に即位なされてから初めての危機だ。昨日、摂政評議会が何の前触れもなしに大宰相代行であるノイガラート氏を罷免すると告げてきたのだ。

 ノイガラート氏はこれを大宰相への叛乱とみなし、また、軍警察が暗殺犯を故意に解放したという情報がもたらされたため、バリグ工業城塞の人民の安全を確保するためにノイガラート艦隊及びガーニェト艦隊で都市封鎖を行った。デシュタイヤ率いる叛乱軍はアイギス陛下を幽閉、アイギス陛下の名を騙りダットファング艦隊と国家破城槌部隊を操り、人民に対し略奪や暴行、凌辱の限りを尽くしており、これに激怒したベクター公安伯爵は「モイピック氏暗殺を防げなかった三警察と共にこれらの悪しき組織を我らの新しき地より一掃する。」と高らかに宣言し、新帝都において市街戦を繰り広げている。

 ノイガラート大宰相は「自身の権力欲のためにモイピック氏を暗殺したデシュタイヤを許すことは出来ない、この我らの新天地をより豊かにしていくためにも、腐りきった摂政評議会を粛清しなければならないのだ。」と中央塔の大バルコニーで演説した。

【お詫び】5日に発行された日刊バレグに掲載されていた独自取材の記事は、追跡調査で事実無根であったことが分かり、誤った情報を掲載したことを深くお詫び申し上げます。
4月8日分(バレグ・インペレーター紙) 連邦「不安定な地域関係をさらに複雑にする行為」
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バリグ工業城塞の封鎖と国内の混乱はいまだに続いている、しかし、国内ばかり憂慮するわけにもいかないようだ。

 本日、国境付近に展開を完了したダットファング艦隊の従軍記者によると、国境付近にはヨダ叛乱地区のものとみられる偽帝国軍の艦隊が散開しており、また、小規模な陸上強襲部隊が幹線道路上空に待機しているとのこと。ジャン・ド・ダットファング艦隊総司令(58)によると「偽帝艦隊は小規模であり、恐らく偵察ついでに威圧しているのだろう。」として即座の侵略行為はないとしている。

 今回の叛乱劇については諸外国も憂慮しているらしく、パンノニア王国からは「ノイガラート氏の反乱行為を強く非難する」という表明が出てきており、そのほかにもアーキル国及び北パンノニア連邦国からは「不安定な地域関係をさらに複雑にする行為」、メル=パゼル共和国からは「南北戦争の状態を混乱させ、六王湖そのものを危機に落としれる行為」としてノイガラート叛乱軍に対し非難をした。また、近衛簒奪政府からは「残党軍共を自滅に追いやる愚かで嘲笑的な行動」という意見を出している。

 クリーブマン大宰相代行兼最高報道官は「我が国は近衛大叛乱以降、またとない大変な危機に襲われております。もしここで少しでも手を抜いてしまっては、即座に国際紛争へと発展してしまうでしょう。」としたうえで、「皆さま、わたくしめに10日間の猶予をお与えください。10日間あれば必ずやこの叛乱劇を終結させてご覧に入れます。」と国民に訴えかけた。
4月8日分(日刊バレグ紙) 城塞内でのシンパの活動が過激化
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摂政評議会の叛乱と国内の混乱はいまだに続いており、城塞内では摂政評議会派のシンパが残虐な行為を繰り返している。

 マストレイ・アイエル報道官(37)は6日から本日20時までで33件の殺人と57件の強盗、26件の婦女暴行が保護地域内で起こっており、シンパに扇動された大規模な暴動も4回発生、現時点までで150人の逮捕者を出しているという。このことをアイエル報道官は「摂政評議会派シンパの活動は日増しに強くなっており、いつ叛乱が起こってもおかしくはない。」とし、「シンパ達は慈悲なき存在であり、摂政評議会と神を崇めたてまつる恐ろしき人間たちである。あなたの隣の家の人ももしかしたらシンパかもしれない、そうなったら最後、あなたは家と家族と財産をすべて信仰者に奪われてしまうだろう。」と発言し、シンパ達へ容赦しないように人民に告げた。

 一方、ノイガラート大宰相は駐留艦隊の再編成を命じ、ノイガラート艦隊とガーニェト艦隊を解散させ新たに国家艦隊とバリグ防衛小艦隊を編成、国家艦隊の総司令官として新たにハズバンド前ノイガラート艦隊総司令(47)を抜擢した。ハズバンド氏は「3日以内にこの裏切りを終わらせることが出来る」と豪語し、事態解決への意欲を見せた。
4月9日速報(バレグ・インペレーター紙) 【速報】ベンスンヌにて叛乱艦隊とモルゼア艦隊が衝突
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 本日13時に新帝都南西約30レウコに位置するベンスンヌ上空でノイガラート叛乱軍の国家艦隊と新帝都防衛の任を受けたモルゼア艦隊が衝突、交戦状態に入っているとの知らせだ、また、各地の貴族警察及び王盾とノイガラート家の私兵部隊がギッザスに向かっているという陸軍からの情報もある
4月9日分(バレグ・インペレーター紙) ノイガラート叛乱軍の国家艦隊がベンスンヌで敗北
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 本日13時にギッザス南西約30レウコに位置するベンスンヌにて国家艦隊とモルゼア艦隊が激突、6時間に及ぶ艦隊戦の末モルゼア艦隊が勝利を収めた。

 12時にノールハイバール軍港所属の第3インダストラリーゼ飛行隊が北東方向に進行しているノイガラート叛乱軍の国家艦隊を発見、すぐに同軍港から新帝都防衛のモルゼア艦隊が出撃、13時にベンスンヌ上空で両軍が接触し、艦隊戦が発生した。戦闘は最初は国家艦隊側が有利であったが、中盤に各地航空隊の支援により戦況が好転、最後にモルゼア艦隊のディル級戦艦アドミラーレ・モルゼアⅢが国家艦隊の旗艦グロアール級ド=アルボーを撃沈したところで国家艦隊が降伏し、戦闘が終了した。

 この戦闘でモルゼア艦隊の指揮をとったオボロ・ブラッデンロス司令はギッザスに付くなり報道陣の前に現れ、「戦闘開始からしばらくまで、敵のグランヴァールの攻撃により身動きが取れなかったが、途中から集まってきた友軍機隊や新帝都から出張ってきた最新鋭のフィッター戦闘機隊の活躍で難をしのぐことができた。彼らには感謝してもし切れない。」と勝利の感動に浸りながら語った。

また、地上においてはカルムカン陸軍大元帥が陸軍の治安出動を許可、三警察が手こずっていた各地の貴族警察に戦車隊を使って威嚇、ほとんど流血を出さずに武装解除させた。
4月9日分(日刊バレグ紙) バリグ工業城塞第8地区にて大規模な叛乱が発生
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 本日6時、バリグ工業城塞第8地区の都市生体循環施設で爆発が発生したのを皮切りに第8地区全域で大規模な暴動が巻き起こった。

 循環施設の爆発はシンパが仕掛けたものであり、これにより第8地区全域のインフラが停止、インフラが停止し、人民が混乱しているところにシンパ共は"ノイガラート叛乱軍が仕掛けたテロ攻撃である"と虚偽の事実を流布させ大規模な叛乱行為に繋げた。

 20時までに集計された情報によると、叛乱による逮捕者は300人を超え、死者は20人を超えているという。さらに叛乱行為が周辺地区に伝播し、第7、第9地区でも暴動が発生しているとのこと。このことについてアイエル報道官は「叛乱の拡大はとても憂慮するべき事態だ。早急な対策が必要である。」と足早に答えた。
4月10日分(バレグ・インペレーター紙) バリグ工業城塞にて大規模な戦闘が発生
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 本日8時、クリーブマン大宰相代行兼最高報道官はデシュタイヤ艦隊にバリグ解放の指令を下し、城塞の上空を制圧した。しかし、地上においてノイガラート私兵部隊や貴族警察との間で大規模な戦闘が発生したとのこと。

 クリーブマン代行の命を受けたデシュタイヤ艦隊は10時にバリグ工業城塞に入城すると、旧ガーニェト艦隊で構成されていたバリグ防衛小艦隊に降伏勧告を出し、一発の砲弾も撃たずに上空を制圧した。城内を制圧するためデシュタイヤ艦隊の陸戦隊を地上に降ろすとノイガラート私兵部隊や貴族警察との間で銃撃戦が発生、現地抵抗組織と共同で戦っていたが16時までに叛乱軍が戦車隊や砲兵隊を出動、無差別な砲撃によってデシュタイヤ軍と抵抗組織、そして民間人に甚大な損害が生じておりデシュタイヤ艦隊総司令ユーナ・フォン・デシュタイヤ(35)は「対空砲による攻撃のため艦隊による地上支援が困難であり、陸戦隊も苦戦を強いられている。戦闘の早期決着のために戦車や砲を有した陸軍部隊と更なる艦隊の増援を要請する。」と本誌従軍記者に語った。

 先日のベンスンヌの戦闘により、叛乱軍の城外戦力はほとんど無力化され、各地に展開していた陸軍の実働隊および三警察の武装部隊はバリグ工業城塞に集結してきており、また、先ほどのJ・デシュタイヤ氏の要請に応じカルムカン陸軍大元帥は近隣の貴族私兵隊の動員を各貴族家に要請した。
4月11日~20日分
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4月11日分(バレグ・インペレーター紙) バリグ工業城塞において最後の戦闘が開始
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 モイピック氏暗殺事件から始まった一連の事件も終局を迎えようとしている。遷都してから初めてエクゼィ艦隊を編成し、ノイガラートの叛乱劇を終わらせようというのだ。

 エクゼィ艦隊(モルゼア-デシュタイヤ-ガーニェト)オボロ・ブラッデンロス総司令官(44)は昨夜28時、報道陣を前にエクゼィ艦隊の編成を発表、会場をどよめかせた。ブラッデンロス氏は「この戦いは我が軍にとって最後の戦闘になる可能性がある、ここでしっかりと相手を負け伏せることができたら我々は後世に語り継がれる英雄となれるのだ。連邦軍を幾度となく撃退してきたこのエクゼィという名前に恥じないように、最後まで戦い抜くのだ!」と将兵に対して発破をかけた。エクゼィ艦隊は本日の22時には現地に到着する予定であり、カルムカン陸軍大元帥率いる軍と三警察の特殊部隊の連合軍もバリグ周辺に集結しつつあるとのこと。

 また、一連の事件に対し、アイギス陛下は「一週間たった今でもザムちゃん(ノイガラート氏のこと)がやったこととは思いたくない。あたしの出した休日令も台無しにしたし、たくさんの人をいじめたからユーナちゃん(J・デシュタイヤ氏のこと)にはきつくザムちゃんをとっちめてほしい。」と、一週間ぶりにおことばを述べられた。
4月12日分(バレグ・インペレーター紙) ノイガラート叛乱軍降伏
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幸か不幸か都市全体を巻き込んだ戦闘が発生することはなかったようだ。本日21時、ノイガラート叛乱軍の使者がエクゼィ艦隊にバリグ城塞を無血開城した。

 2日前から戦闘を続けているJ・デシュタイヤ氏の部隊の掩護のために19時にバリグに到着したエクゼィ艦隊は城外で陸上部隊を降ろし、後からやってきた陸上連合軍と合同で城内に突入する計画を立てていたところ、城内から白旗を掲げた連絡艇が現れノイガラート叛乱軍の使者を名乗る彼らは無条件降伏をすることを伝えてきた。これに対し、オボロ・ブラッデンロス総司令は「無条件降伏は認められない。代わりに即座に武装解除できるなら攻撃はしない。」と使者達に告げ、使者達はすこし顔を見合わせた後城内に引き返し、数十分後には城内のいたるところから戦闘停止の信号弾が放たれた。

 ブラッデンロス総司令は23時に記者会見を開き、"ノイガラート叛乱軍が全滅したこと"、"バリグはもう安全であること"、"我が艦隊の完全なる勝利であったこと"を制限時間を無視して3時間ほど語った。また、滅多に記者会見に応じないカルムカン陸軍大元帥も壇上に立ち、「東方作戦や北方大攻勢の時よりこの国に根付いてきた縦割りの文化の欠点が今回の事件で露呈したと思う。北方大攻勢や近衛大叛乱、そして今回の事件でうまく立ち回れなかったのは縦割りによる秘密主義と無関心、また貴族ごとに指揮権のある艦隊などのためだと私は思う。」と述べた。
4月13日分(バレグ・インペレーター紙) 叛乱軍崩壊から一夜明けて
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 昨日、叛乱軍は消滅した。このことに新帝都市民はまるで戦争に勝ったかのように騒ぎ、はしゃぎまわった。しかし事件の舞台となったところは違うようだ。今回はそれぞれの事件が起きた場所で聞き込み調査をしてきた。

 最初にモイピック氏が暗殺されたマルユディーでは「まさか高級別荘地でこんなことがあるなんて」「モイピック氏はガリアグル系で民族を越えて話し合える人だったので残念だ」「ノイガラート氏の品性を疑う」などと貴族らしい当惑した声が聞こえた。

 次に、最初の戦闘が空中で起きたベンスンヌでは「空から船が落ちてくるのを見るのは20年ぶりだ」「この国が出来た当初はこういうことが多かったけど体制が安定した今、あってはならないことだと思う」「ダルトの船は偽帝に撃たれても大丈夫なんだよな?」など、ダルト国軍を不安視する意見が多かった。

 最後に、5日間に渡ってノイガラート叛乱軍に占拠されたバリグ工業城塞では「なぜ帝国政府は(ノイガラート艦隊の侵攻を)事前に阻止できなかったのか」「市民を巻き込む前に交渉できなかったのか」「(市民たちは)望んでないのになんであいつら(市民抵抗軍)がやった(蜂起した)のか教えてほしい」など有効な改善策を早期に打ち出せなかった帝国政府や被害が不必要に増えた原因などを知りたがる人の声が大きかった。

 今回の事件では現在確認できる時点で軍民合わせて死者558人、負傷者5000人以上とかなりの数に上っており、これらを産み出した分裂している行政システムや旧態依然とした貴族艦隊などに不満の声が寄せられている。

【おしらせ】バリグの新帝国通信本社が元の状態に戻ったため、明日から日刊バレグ紙に戻り、本紙は本来載せていた記事などに戻ります。
4月14日分 ノイガラート氏が死体で発見
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 ダルト国を一週間に渡っていたぶり、恐怖の底に陥れてきた叛乱の首謀者が死んだ――軍警察は本日行われた記者会見で淡々と伝えた。

 ノイガラート氏が死体で発見されたのは昨日26時、建物内の制圧をしていた交通警察の警邏官らがバリグ中央塔の地下36階にある循環液冷却器制御室内で発見した。交通警察のバイマン署長はノイガラート氏以外にも、秘書のガルド氏、グレブスタット議員やノイガラート氏の8人の家族などと同時に発見されており、発見現場から循環液から排出されたガスを吸引して心中を図ったものと見られる。と記者を前に説明した。バイマン署長は続けて、マストレイ・アイエル報道官を始めとしたノイガラート派の若手組が消息不明であり、ノイガラート派の残党に注意するよう呼びかけた。

 ノイガラート氏死亡の報を受けて、クリーブマン最高報道官は声明で「国外にも知られた人格者であったはずの彼がなぜあのような行為をしたのかとても遺憾だ。何が彼をそうさせたのかは分からないが今は安らかに眠って欲しい」と述べ、摂政評議会議長のG・デシュタイヤ氏は「あやつは奸臣だったのだ。人格者を装い、まわりを欺きながら自らがこの国の頂点になれる時をまっておったのだ。そして奴はそれを実行したが結果は失敗だった、あやつはそれだけの男ということであり、今後のためにも奴の家ごと潰すことが最善の策だ。」と怒りのコメントをした。
4月15日分 帝立第8銀行バリグ支店で立てこもり
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 本日8時過ぎ、バリグ工業城塞第3区にある帝立第8銀行バリグ支店で4人組のグループが銀行に立てこもる事件が起きた。

 軍警察によると、本日8時05分に短機関銃や拳銃などで武装した覆面の男女4人組が行内に侵入し、客や店員など合計25人を人質にとると、現金600万ダルクを要求して銀行の2階部分に立てこもった、通報から10分で付近の市民警察が駆けつけると犯行グループの説得を試みたが、犯行グループは短機関銃を乱射するなど説得を受け付けない姿勢をみせ、さらに「現金600万ダルクを持ってこない限り、非常に心苦しいが一時間ごとに人質を殺さざるを得ない。」として見せしめに支店長を射殺する凶行を犯し、人質を震え上がらせた。

 10時には通報を受けて交通警察の先導の元、先の市街戦から帰ったばかりの軍警察の特殊部隊が到着。この時もまた、犯行グループに説得したが返答は2発の銃弾だった。特殊部隊は建物を包囲すると犯行グループに察知されないように1階に入り込み、床に小型爆弾を設置し、床下から突入する作戦だったが、直前で犯行グループに察知され土壇場で強硬策に切り替え、狙撃部隊の支援の下強行突入し、乱戦の末犯行グループ4人の内3人を射殺、1人を逮捕したが、人質に5人の死者と3人の重傷者をだす結果となった。

 軍警察のガレル大視令は「市民、交通、そして軍の三警察の巧みな連携によって被害を最小限に留められた。今回の事件は先の叛乱で生活が破壊された結果生じたと考えており、バリグ城民の皆様方にはどうかご注意ください」と作戦が失敗したことへの言及をせずにコメントした。
4月16日分 インペレート・リーグ開幕
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ノイガラート叛乱など事件が相次いで一時中止も危ぶまれたがインペレート・リーグは本日16日、無事開幕を迎えた。

 ここで先日取材した各監督の意気込みを紹介する。
 ・ノイエインペリウム・インペリウム マカスキ監督
「この間までの事件で開幕が危ぶまれたが無事にできてよかった。今年こそは万年3位の不名誉な称号を捨てたい。」
 ・レート・バトラッテ ニナ監督
「色々あったが前年2位の座を守り抜きたい」
 ・ジャンシャルマン・アムスミグ ニーオナ監督
「前年は選手のけがや不調もあり最下位に終わってしまったが、今年は3人の新戦力を加え、さらに練習量も倍増させたので勝ちに行きたい。」
 ・ミッド=ガリアグル・ユース カチョン監督
「去年にベテランの選手二人が引退して、戦力が抜け落ちているので資金が回るまでの間、既存の戦力をうまく使いながら戦い抜きたい」
 ・バリグ・フォーツ ルアナ監督
「(ホームが戦場になって)なんか(言えることが)あると思って(聞きに)来たん」
 ・ギッザス・アイギスガード ポムティ監督
「昨年、アイギス様に捧げられなかったトロフィーを今年こそはアイギス様に捧げるため、闘志をむき出しにして戦う」
 ・ノルトスベハラーゲン・バールツ ウクゾフ監督
「3年連続1位の座に甘んじず、選手達の日々の練習や血のにじむようなトレーニングなどの成果を生かせるよう適切な采配を出せるよう心掛けたい」
4月17日分 バリグ工業城塞の城主が辞任
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 16日、バリグ工業城塞は現城主であるレイケル氏が辞任することを発表した。

 レイケル氏は6年前の629年にバリグ工業城塞の第8代城主に任命され、そこから2年間の間に軍港都市だったバリグにあまり余っていた港を民間に開放し東西交易の中継地点とさせ、旧帝都同様にスクラップで幾重にも重なった下層部分を地下鉄や工場などに再利用することで経済の発展に繋げ、また、旧ヴィマーナ社やホーエン社などの亡命技術者を積極的に受け入れ、ナーメーケー社に至っては会社を丸ごと引き抜くなどその手腕は偽帝国に6回も暗殺未遂事件を起こさせるなど、国外からも高く評価されていた。

 レイケル氏は辞任の理由について「元来、下層部分を再利用したためにひどくなった公害や地盤の弱体化、城塞の企業との癒着問題などで辞任するべき頃合いを考えておりましたが、先の叛乱によって私が不甲斐ないばかりに城民に多くの死傷者を出し、経済も混乱させてしまったことに責任を感じ、ここに城主職を辞めさせてもらう次第でございます。」と会見の場で発言、記者からの責任逃れではないのかという質問に対しては終始無言だった。

 城議会は早くも20日には新城主を決める方針であり、叛乱によって荒廃した都市の復興や以前から問いただされていた公害や地盤の問題、さらには企業との癒着など様々な問題を抱えるこの城塞を誰が取り仕切るのか、世間の注目が集まっている
4月18日分 ジャンシャルマン生物大学のアイドル、アイネちゃんが死去
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ジャンシャルマン生物大学で長らく学生の人気者で学校の顔でアイドルだったDHoX8-ケイブクルカのアイネちゃん(13)が今日10時過ぎに死亡したのが確認された。

 アイネちゃんを飼育していたT・K・コッコ研究員によると1ヶ月ほど前からあまり空を飛ばなくなり、2日には8つある目の内、3つが壊死するなど深刻な容態を見せ、8日には研究員らによるDHoX8型からDHoX8-GCR型へのEP変異をさせるなど懸命な治療が行われたが、治療の甲斐なく10時過ぎに死亡した。

 アイネちゃんは全方向へ有効な視界を持つDHoX8型ケイブクルカの18番目の個体として産まれ、夭折せずに2年以上生きたため同じ"18番目"であるアイギス陛下の興味を引き、アイギス陛下のジャンシャルマン生物大学の視察時に"大学の顔"として構内を案内する様子を見たアイギス陛下に気に入られ、彼女を主役にした映画が作られるとたちまちに人気になり、大学の経営状態も改善したという。

 コッコ研究員は「遺伝子改変を行った個体が10年以上も生きることはなかなかありません、それだけにアイネの死亡はとても悲しいです。あと半年早く-GCR型を開発できていればどんなに良かったことか…」とアイネちゃんの死を嘆いた。モン=カ学長は「彼女はゲノム学科だけでなく全学科全学部のアイドルであり当学の看板でもあった。彼の喪失はとても大きい」と語った。

 "看板娘"の後任にはクルカのミーナちゃんが就任するとのこと。ミーナちゃんは額の上にコブがついていることで知られる。
4月19日分 【国際】皇国にて第5次マンタルヘイム洞窟戦が終結
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3日前から続いていたサン=テルスタリ皇国と近衛簒奪政権との間で起こっていた第5次マンタルヘイム洞窟戦が昨日、偽帝軍の一時撤退宣言により事実上の終結となった。

 旧帝都駐在員によると18日の16時過ぎに簒奪政府から声明が発表された、駐在員からの報告によると「本日8時、我が帝国軍皇国打撃部隊はマンタルヘイム洞窟を抜けた先にあるマンタルヘイム要塞第二防衛線への攻略を中止し、戦略的撤退を開始した。これは対皇国戦に向かう軍への補給をする代わりに侵攻しないという密約を交わしていた旧帝国残党政府が、あろうことか内部で反乱を巻き起こしそれを理由に部隊への無償の補給を一時中断したためである。」と我が国を"残党"と蔑んだ上で自身の失敗を覆い隠す発言をした。

 マンタルヘイム洞窟では近衛大叛乱前の610年から幾度となく激戦を繰り広げており、今回の戦闘も偽帝軍の不法な侵略に対して皇国軍が抵抗を始めたことがきっかけであったが帝国は一時撤退したものの、皇国側も第一防衛線の奪還が叶わなかったため、専門家は今回の戦闘は皇国側の戦術的勝利で偽帝側の戦略的勝利であると分析している。
4月20日分 帝国鉄鋼がガス排出規制違反をしていたと通報
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帝国鉄鋼レート製鉄所にて、約3年ほど前からアーメイス法が定めるガス排出規制に違反していた恐れがあると、独立行政組織帝国監査院が工業省に通報したことが18日に分かった。

 同監査院はレートに設置した大気測定装置のデータ分析から、帝国製鋼のレート製鉄所においてアーメイス法が定める2BPCPガスの排出量を大きく上回っていると判断、12日に工業省に通報した。監査院はレートの施設だけでなくほかの帝国鉄鋼の製鉄所でもアーメイス法に違反している可能性があると言及している。

 アーメイス法は630年に陸軍大臣だったアーメイス卿によって立法され、生体器官などに害を与える38の有害物質の排出量に制限を求めた法律
4月21日~30日分
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4月21日分 クリーブマン大宰相代行兼最高報道官が大宰相代行の役職を辞することを発表
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今月2日のモイピック氏暗殺事件の時に大宰相代行職についたノイガラート氏が叛乱行為を犯したために大宰相代行に任命されたクリーブマン最高報道官が大宰相代行職を降りると本日行われた摂政評議会で発表した。

 クリーブマン最高報道官は摂政評議会中に「わたくしのような若い者がやるにはこの職は重すぎる」などと発言、弱冠27歳で国家のトップに就いたことを不安に思っていた心の内をさらけ出した。摂政評議会が終議した後、クリーブマン最高報道官は記者の呼びかけに対して愛想笑いを浮かべながら手を振るのみにとどまった。

 クリーブマン最高報道官はその若さと自信のなさから、自分から立候補したのではなく摂政評議会内の暫定的なパペットとして扱われていたのではという指摘が早くからあり、今回の辞任も恐らく彼を操っていた人形師達が出てくるからと予想されている。

 次代大宰相は通常通り、貴族の投票とアイギス陛下による信任によって決められる。大宰相候補は旧皇帝派のグレン・デシュタイヤ氏(69)と旧辺境派のユーグ・ド・ダットファング氏(58)の二名が有力視されている。
4月22日分 おことわり
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 日刊バレグは本日休刊日です
4月23日分 帝国鉄鋼の全工場において違反が行われていた事実が発覚
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20日に帝国監査院がレート製鉄所における規制違反があると通報した件で、工業省の請求と検査によってレート製鉄所の件が事実と分かっただけでなく、バリグやギッザスなど他4施設での排出規制を超える量の2BPCPガスが排出されていることが判明した。

 工業省のバロウ大臣は「排ガスだけでなく排液処理にも問題がある可能性があるので、しかるべき手段を取ってより踏み込んだ監査をしていく」と語った。帝国鉄鋼の担当者は記者の取材を"体調不良のため"として謝絶した。

 帝国製鉄は帝政ダルトで作られる鉄の約4割を作っている会社だ。ノイガラート氏が国民を騙していたように、帝国製鉄も国民を騙すようなことはあってはならない。
4月24日分 新帝都=バリグ間のパイプラインの内の一本が破裂
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物流の大動脈に重大な事故が起こった。23日、ギッザスとバリグ工業城塞を結ぶ生体パイプラインの22本あるうちの1本が破裂していたのがパイプラインの管理会社によって発見された。

 パイプラインは4日前の検査でも特に異常が見られなかったことから人為説も浮上したが、現場を捜査した新帝都市民警察は事件性はないとして本件を事故と認定したが、パイプラインの管理会社はどう考えても外部からの爆破であると主張し、法廷で争うことを視野に入れているという。

 専門家は「叛乱軍残党がいまだに残っているという噂は聞くが、今回の事故はまず間違いなく事件性はなく、管理会社が裁判沙汰にしようとしているのは事故よりも事件だったほうが保険金が多く入るからであろう」と管理会社の行動を分析した。
 パイプラインは即日、予備の物に切り替えられため物流への影響は最小限になると見られる。
4月25日分 帝国鉄鋼に対し、市民警察による立ち入りが開始
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25日、新帝都市民警察はたび重なる帝国鉄鋼のアーメイス法で定められた基準を超える排ガスの排出、および排出量の数値を改ざんした疑惑のため、帝国鉄鋼に強制捜査を開始した。

 18日に発覚した帝国鉄鋼のガス排出規制違反問題について、24日に上級裁判所は帝国鉄鋼に対する強制捜査を開始する令状を発し、25日に市民警察による強制捜査が開始される。

 初めに規制違反を指摘した帝国監査院は「帝政ダルト最大の製鉄会社が行っていたガス規制逃れには工場で生きている市民達も怒りの声を上げている。人間だけでなく、軍の戦車や艦船、航空機などに多大な影響を与える行為であることから軍部からの圧力もかかるだろう。これからは早期原因解明と再発防止を訴えていく。」とコメントした。一方、帝国鉄鋼は「ガス排出規制逃れをしていたというのは帝国監査院による資金稼ぎのパフォーマンスのための嘘である、彼らの今年度の予算は前年度に比べて3分の2になっている、そこで適当な問題を起こして見せて自分で摘発したのだろう。」と監査院による陰謀を主張し、また、軍部の圧力がかかるという噂に対しては「監査院が言うとおりにもし基準を超えるガスを排出していたとして実際に軍が使っている生体器官に影響が出ているという事実があるのだろうか。もしあるなら昨日までに軍からなにかしらの発言があるはずである。」と軍部の圧力はかからないだろうという楽観的な姿勢を見せた。
4月26日分 アイギス陛下がノイガラートの叛乱を鎮めた勇士達と謁見
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26日、皇帝アイギス陛下は先のノイガラート氏の叛乱において目覚ましい戦果を挙げた9人の勇士達と謁見なされた。

 アイギス陛下にお目通りを許された勇士達は、序列順にG・デシュタイヤ摂政評議会議長(58)、ユーグ・ド・ダットファング空軍公爵(58)、オボロ・ブラッデンロス総司令(44)、カルムカン陸軍大元帥(54)、J・デシュタイヤ デシュタイヤ艦隊司令(35)、クリーブマン最高報道官(27)、ガレル中央保安部(軍警察)大指令(48)、ゲションク帝都市民警察(市民警察)最高警邏長官(61)、バイマン六王湖軍管区警察(交通警察)署長(72)などそうそうたる面々であり、特にJ・デシュタイヤ氏と親しいアイギス陛下は氏と3時間ほどプライベートで対面した後、20分ほどの短い時間だけ9人の勇士に対して、「貴様たちの活躍がなければ今頃このギッザスは裏切者のノイガラートの手に渡っていたであろう!諸君らの働きは見事なものであった!!」と力強いお言葉を述べられた。

 ノイガラート氏の叛乱だけでなく帝国鉄鋼の不正など暗い話題が続く中、アイギス陛下はそのことを少しも気に掛けない皇帝の取るべき姿をお見せになられた。
4月27日分 【国際】連邦オズロット港にて6隻の絡む事故が発生
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26日、連邦東部地方オズロット港にて4ヵ国6隻の絡む事故が発生、死者22人、負傷者130人の大惨事になった。

連邦交易省保安部によると、現地時間26日10時にオズロット港への進入航路をとっていた連邦船籍の"第八栄光の第六連隊号"が突如としてプロペラの回転速度が上昇する不具合に見舞われ速度が急上昇、同じ航路を先行していた自由パンノニア船籍でオリエント通商同盟所属の"OTC-21"に激突、そのままの勢いでオズロット港内に突入し、2隻の連邦船とメルパとアナンサラドの船各1隻に連続して衝突、最後に壁にあたり静止した。

 この事故では"OTC-21"の乗組員全員が死亡しており、"第八栄光の第六連隊号"からは死者4人、メルパ船籍の船は死者2人、オズロット港の作業員が2人と悲惨な結果をもたらしており、特にすべての乗組員を失った自由パンノニアからの反発は大きく、「公平で早急な原因究明を求める」とマザルカ将軍もコメントした。
4月28日分 軍警察が帝国鉄鋼を強制捜査
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帝国鉄鋼の楽観的な予測は大いに外れた結果となった。軍警察は27日、裁判所の命令を経ずに帝国鉄鋼に電撃的に強制捜査に立ち入った。

 軍警察は28日に、"帝国鉄鋼のあからさまな規制違反と不正"を理由に裁判所の手続きを省略する治安執行権を行使して帝国鉄鋼本社及びレート製鉄所、ギッザス製鉄所に強制捜査を行った。治安執行権が行使されるのは5ヵ月前の六王湖再開発公社の汚職事件以来となる。

 強制捜査には100人を動員しており、また武装警官も配置されたことから今回の事件に対する軍警察の関心の高さが伺え、捜査を受け入れる側の帝国鉄鋼の職員も突然来訪してきたスーツの集団に終始困惑していた様子だった。強制捜査は明日6時まで続く模様だ。

 今回の帝国鉄鋼の事件にはアイギス陛下もお言葉を述べられており、軍警察の強制捜査ではあまり規模の大きくないギッザス製鉄所にも立ち入るなどアイギス陛下のご意見を反映した形をとっている。

 市民警察だけでなく、軍を代表する軍警察までにも強制捜査に入られてしまった帝国鉄鋼、貴族警察が先の叛乱であまり動けない中、一体誰に助けを求めるのか。
4月29日分 【独自】デシュタイヤ氏側近のマンハマート氏(66)がノイガラート氏と密約を交わしていたことが発覚
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"ただの密約ではない"そう語ったのはマンハマート氏と同じくG・デシュタイヤ氏の友人のザニアル氏(72)、今回の事件の告発者だ。

 ザニアル氏によると、マンハマート氏は今月初めのノイガラート氏の叛乱においてノルトスベハラーゲンに滞在していたが、7日に秘密裏にバリグ工業城塞に入城、自分の身の安全確保のためにノイガラート氏と秘密の取引を交わし、貴族警察の活動を黙認且つ出資する代わりに、ノイガラート氏のクーデターが成功した際はノイガラート氏の直参と同等の扱いを求めるように要請したという。ザニアル氏は「彼は元々一代貴族で、実力でここまで上がってきただけに実力で落とされるのにひどく怯えていて、昔から黒いうわさが絶えなかったんです。今回のも実は私が見つけたわけではなくて、もっと若い貴族が密偵を放って得た情報で、自分で公開するより無害そうで信頼の高いらしい私に持ち込んできたんですよ。」と照れながら語っていたがその顔には怒りの表情が隠れていた。

マンハマート氏はG・デシュタイヤ氏の右腕ともいわれているが、そのような立場にいる人、そもそも新しき帝国貴族として保身ばかり考えるこの態度はいかがなものか。今後のデシュタイヤ氏率いる旧皇帝派陣営の動向が注視される。

636年5月

5月1日〜10日分
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5月1日分 帝国経済が叛乱前の三分の一に下落
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インフ・ハブは1日、月毎定例の記者会見で先月の景況報告を発表した。
それによると先月の市場成長率は先々月比で7.3%下落しており、産業の回転率を示す生体液消費速度も23.5%の下落、標準物価値は2.5%の上昇になるなどノイガラート氏の叛乱による著しい経済の低下が報告された。

 さらに、バリグ工業城塞に限っては市場成長率が先月の35.1%の下落、標準物価値は5.2%の上昇、生体液消費速度に至っては54%の大下落を記録するなど深刻なダメージを受けており、「このダメージは来年や再来年まで続く可能性がある」として労働力の強化や供給網、生体インフラの回復などが今後の課題として、「経済の混乱が長引くと国家の存亡に関わる」と警告を出した。

 中央金庫はすでに対策を打ち出しており、先月20日に国庫の金を放出するなど物価上昇を抑える取り組みを始め、今月も継続して行うとしている。未曽有の混乱に先月は叛乱のために中止になった市場評価委員会の討議がどうなるかが注目されている。
5月2日分 アイギス陛下のご生誕前夜祭が開始
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いよいよ3日後に迫ってきたアイギス陛下のご誕生日に向けて、毎年恒例の盛大なる前夜祭が明日から始まる。

 ギッザス第一区に店を構えるイルマ百貨店は経済が混乱する中、"アイギス陛下のご息災をお祝いするため"として例年通りの値引きセールを行う方針を示し、インペレート・リーグの7チームはダルトリーグの7チームと共に7日間に渡り特別試合を組むことを発表、軍部も叛乱で霧散した予算を振り絞り、小規模ながらも観艦式や叛乱時に活躍した最新鋭フィッター戦闘機隊による航空ショーなどを企画している。

 叛乱の混乱も落ち着いたバリグ工業城塞でも以前と変わらぬお祝いムードが流れており、駐留するデシュタイヤ艦隊は損傷した艦を解体し、肉を取り出して処置を施した後、バリグ城民に無償で配布するなど軍の信頼回復のアピールに努め、また、市民警察は交通警察と合同でスポーツ大会を開く準備を始めており、軍警察にいたっては普段対立している『黒貴族』と交渉の末、"本職と実弾"を用いて舞台劇を催すことが決定している。

 我らが皇帝アイギス陛下は来たる誕生祭に胸を躍らせており、目に入った護衛の兵に片っ端から有給を与えるなど非常に上機嫌なご様子で、「ザムちゃん(ノイガラート氏)のために暗くなっているバリグを明るくしてくれているユーナちゃん(J・デシュタイヤ氏)にならってあたしもこの国を明るくして見せたい」と誕生祭に向けての意気込みを語られた
5月3日分 【国際】旧帝都にて解体中の産業塔が倒壊する事故が発生
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簒奪政府のずさんなやり方がよくわかる事故だ。
2日の18時、近衛簒奪政府の占領下にある旧帝都第8産業区において、解体中の IN-8-105号産業塔が倒壊、倒れた衝撃で軟弱な地盤が崩壊し、周辺50メルトにわたって陥没した。現在確認されている死者の数は7人で負傷者は50人以上に上るとみられている。

 倒壊の原因は簒奪政府の発表では『増築に増築を重ねた末、元の土台が重量に耐えれれなくなっていたのを解体工事による振動で急速に破壊され、倒壊した。』ということになっているが、現地からの情報によると、本来止めるべき生体液パイプのバルブを閉めずに作業し、また全方位から剥がしていくべき外壁を片側から偏極的に取り外していること、そして作業要員にスラムから調達してきた人材などを使っていたことが報告されている。

 旧帝都ではノイエラントに首都機能を完全に移したい近衛叛乱軍によって執拗なまでの破壊を受けており、専門家の間では今回の事故もその一環だと唱えるものもいる。古き良き帝都をスラムと共に滅ぼそうとしている簒奪政府のやりかたに旧帝都市民はどう思っているのか。
5月4日分 ポラ百貨店、アイギス生誕記念の特別商品を販売
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アイギス陛下の前夜祭が続く新帝都では生誕祭に合わせて各大商店がしのぎを競っている、その中、ポラ百貨店は『アイギス陛下のご生誕記念商品』を本日から6日までの限定販売で売り出す策に出た。

 ポラ百貨店の出す『アイギス陛下のご生誕記念商品』はアイギス陛下がよくご賞味されるプリン工房のプリンや、アイギス陛下の自室に置かれている家具一式、アイギスの名前入りの筆記用具など一般的なものから、皇帝宮殿のミニチュア、アイギス陛下が認可なされた試作兵器の模型、アイギス陛下の服装や化粧品などのマニアックなものまでそろっている。

 ポラ百貨店は「アイギス陛下の5歳の誕生日をお祝いして、アイギス陛下のことをより深く臣民に知ってもらえるよう、わたくしたちなりの努力として今回の商品を展開させていただきます。」と"アイギス陛下のご生誕商戦"を戦い抜くコメントをした。
5月5日分 アイギス陛下の生誕記念祭
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新帝都はアイギス陛下の記念すべき5歳の誕生の日を祝福する人であふれかえっている。

 偉大で親しみのある帝国の皇帝アイギス陛下がご生誕なされてから5年の記念日がついにやってきた、帝国の各都市では先月の叛乱による暗いムードが完全に一掃、道路はダンス会場になり、倉庫からは酒類が消滅し、対空砲は花火のような扱いをされ、フィッター戦闘機は"スクランブル"と"爆撃訓練"を繰り返すなど心からアイギス陛下のご生誕を祝う様子が各地で見られている。

 摂政評議会も昨日までは旧皇帝派と旧辺境派の対立で揉めていたが今日ばかりは一時休戦、G・デシュタイヤ氏は10年前に近衛大叛乱の最中持ち出した秘蔵の酒を開封、景気よく皆に振舞うと、ダットファング氏は対抗して北半球にいる親戚からもらったという共和国や諸島聯合の料理を並べるなど羽振りの良さでも対抗し合う姿に両陣営も思わず笑顔に、娘のJ・デシュタイヤ氏も指揮するデシュタイヤ艦隊を使い、バリグ上空で"軍事演習"と称して"特型曳光弾"を発射、バリグ城塞の周りを色とりどりに照らした。今日は六王湖全土において祝福ムードが広がっており、学研都市のジャンシャルマンはもとより第二の工業地帯のレート、貿易の街のノルトスベハラーゲンやマルユディーの閑静な別荘地も例外なく、花火と対空砲火でまみれていた。

 アイギス陛下もレート重工業からの新型戦艦『アイギス』を始めとする数々のプレゼントを貰い受け、大変うれしそうにそれらを受け取られると、ご自身の誕生日に合わせて特注した巨大プリンを時間をかけてじっくりご賞味された。夜になると、新帝都全体が見渡せる大バルコニーに出られ、花火で光と音で空が埋め尽くされているギッザスに向けて、「今宵は余の誕生日を祝ってくれてとてもうれしい、余にとってこの日は自分が産まれた特別な日であるように皆も今この日を特別な日に出来るよう、大いに飲み、踊り、騒いで過ごそうぞ!」と大変上機嫌に語られた。
5月6日分 帝国鉄鋼に操業停止命令が下る
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アイギス陛下の5歳のご生誕の日の翌日に大変不名誉な記録だ、6日、裁判所は帝国鉄鋼に対し、無期限の操業停止命令を下した。

 帝国鉄鋼は先月20日にアーメイス法で定められたガス排出規制を大きく上回る量を排出していたことが発覚して以来、市民警察や軍警察の強制捜査を受けていたが、直近3日の大気測定をした結果排出量が20日より前から全く変わっておらず、アイギス陛下のご生誕祭の最中の行為には裁判所も自体を重く見て、発覚後15日という異例の速さでの操業停止命令を下した。

 帝国鉄鋼はこの突然の停止命令に「とても正規の手続きを得たと思えない、裁判所の暴虐に強く抗議する」と強い怒りを示した。
5月7日分 イナギス山の『山の男』死去
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『山の男』が死んだ―――そんな悲しい知らせが六王湖中を駆け巡った。

 『山の男』、本名イル・ヘビュラーは彼は50年よりは前から六王湖三大峰の一つであるイナギス山に住んでおり、地元民から『山の男』と呼ばれ親しまれていた。そんな彼が先月の24日に亡くなられた。

 『山の男』は50年ほど前から地上に降りてきて、ふもとの村々の子供たちをかき集めて過酷な環境で生き延びるすべを教示する活動をしており、その子供たちがとても優秀で勇敢な兵士になると知った軍部は彼を指導教官とし、兵士に訓練を与えさせた結果、彼の教え子は皇国戦線において目覚ましい活躍をしたことから時の皇帝から勲章を授かるなど数々の功績で知られ、一部では皇国人より強いのではないのかと言われるほどであった。

 彼の死に、帝国陸軍カルムカン大元帥(54)は「彼は山岳部隊という概念がほとんどなかった我が帝国軍に山での戦い方を教えてくれた山岳戦の父だった。すでに一戦を退いていたとはいえ、彼の教え子に対するダメージは相当なものだと思われる、しかし彼が死んでも彼の残したものは消えないので、この遺産を後世に受け継いでいきたい。」と『山の男』の死を悼んだ。
5月8日分 次代大宰相がダットファング氏に決定
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先月の21日にクリーブマン大宰相代行が辞任したことで行われた次期大宰相決定会議は7日、次代大宰相にダットファング艦隊司令で空軍長官のジャン・ル・ユーグ・ド・ダットファング=インパイア氏(58)が選ばれた。

 ダットファング氏の勝利は、叛乱時において挑発行為を見せる近衛軍に対して管区境を超えさせなかったこと、勢力回復期に旧式艦を呼び戻したり艦と艦を結合して戦力を整えたことなどの小技に優れていることや、対抗馬のG・デシュタイヤ氏の臣下がノイガラート叛乱軍と裏でつながっていたことなどが主な勝因とみられている。また、デシュタイヤ家の跡継ぎであるJ・デシュタイヤ氏によるアイギス陛下への働きかけなどの影響もあると見られている。

◇ジャン・ル・ユーグ・ド・ダットファング=インパイア氏
 578年14月21日にダットファング領で生まれる、15の時にダーライダ家の娘と婚姻し内政主義者の父親を見限り以後ダーライダ家の元で艦隊戦術などを学んだ、しかしその後、ホセイドの叛乱を見て内政主義者になり、近衛大叛乱まで六王湖地域の経済を支えていた。近衛大叛乱後に空軍長官に選ばれると旧帝都貴族を困惑させるほどの常軌を逸した防衛政策をとり、帝政ダルト国を守った。
 ダットファング=インパイア家は旧ガリアグル王国の宮廷貴族で、帝国による侵攻の際に皇帝に忠誠を誓った家の者とあくまでガリアグルに忠誠を誓う者とに分裂、皇帝への忠誠を誓ったのがインパイア家になった。
5月9日分 ダットファング氏が第4代大宰相に就任
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1ヶ月ぶりに正式な大宰相が就任した。9日、ギッザス帝城の官邸塔の赤の間において、ダットファング氏が正式に就任したことを発表した。

 ダットファング氏は詰めかけた記者団を前に、「下等貴族の身でこの役職を承ることに深く感謝いたします」と推薦されたアイギス陛下に対して感謝の意を伝え、「モイピック氏の暗殺は悲劇でありました。しかしそれで止まってはなりません、アイギス陛下がお生まれになってから活発になりはじめた近衛簒奪政府の内政干渉、皇国戦域の不安定化、亡命者の就労不安などの様々な問題に対して私たちは"一つのダルト人"として共に助け合い、尊重し合い、愛し合わなければなりません。そうすることで私たちは今以上の力を出せるでしょう」と軽く演説しさらに、「私の公約として、細分化された組織、例えば四警察や六土木などを統合して管理しやすくするというのが私の公約になります。」と公約を発表した。
5月10日分 現在人気沸騰中!?巷で話題の"送り付け小説"
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10日19時、バリグ工業城塞にある新帝国通信社本社にある日刊バレグ編集部にクルカが激突した。ただのクルカなら毎日どころか毎時激突しているのだがこのクルカはなんと尾びれに手紙が巻かれていたのだ!

 「ようやくうちにも来たか。」そう喜び勇んで猛スピードで記事を書き上げるのは本紙社会部デスクのレムス氏、十数日ほど前からこのことについて記事を書きたくて書きたくてしかたのなかった男だ。事の始まりは先月22日、本紙編集部へと送られた一通の投書からだ、

 『昨日家の窓からクルカが飛び込ん出来たんですよ、いくらクルカと言えども窓を割って入ってくることなんて滅多にありませんから見てみると紙が巻かれてたんですよ、見てみるとまあなんてことデシュタイヤ氏を始めとする閣僚達がふざけたことをするという内容の小説が入っていたんですよ。怒って隣の人に愚痴を漏らしたらその人も一昨日、今度は簒奪帝の小説が飛び込んできたと言って、その人はお返しとばかりに連邦のタワーの小説を興奮剤を投与したクルカに巻かせて飛ばしたといってるんですよ、私も今日それをしたんですけど一体どれくらいの人がこれを知っているのか調べてくれませんか』

 この投書を読んでノイガラートの叛乱で意気消沈していたレムス氏の心は機関銃の銃身のように熱くなり即座に取材に出かけた。好奇心というのは恐ろしいもので、わずか3日で必要な情報をまとめると取材から帰ったその足で編集会議にメモ帳を突き出した、こんなおもしろいことを記事に出来ない方がおかしいのだ。しかし編集長はこれを突っぱね、「事実かどうかわからない上に閣僚や外国の首脳陣さらにはアイギス陛下までを題材にしているこの謎の怪文書を送り付け合う行為なんて到底記事に出来るわけがない。」とレムス氏に言い放った。再び死んだ肉吐器のように冷めたレムス氏を編集長は不憫だと思ったのか「この本社の日刊バレグ編集部にそれが入り込んできたならば記事を書いてやってもよい」と言った。

 再び熱くなったレムス氏はそれ以来、窓際のデスクに肉棒をぶら下げたり、クルカの好物であるとされる連邦チヨコをぶら下げるなどクルカが入ってくるような工夫を行い、何枚かのガラスが関係のないクルカの犠牲になるなどしたが、本日今日10日今ついに"あのクルカ"がやってきたのだ!

 大興奮で手紙を開いたレムス氏はそこに書かれていた文書を読んでさらに熱狂した。残念ながら内容が内容だけに本紙に載せることは叶わなかったがその黒々さたるや!話を聞くところによるとこの手の類の文化はバリグを中心に広がっており、14日にノイガラートの叛乱から解放されてから流行り始めたらしく、旧皇帝派の象徴ともいえたG・デシュタイヤ氏の敗北と共に、六王湖の地に自由な空気が流れ始めた証ともいえる。
5月11日〜20日分
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5月11日分 バリグ産業複合体が造船事業から撤退
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 バリグ工業城塞に本社を置き、バリグ最大の軍需企業であるバリグ産業複合体(CIB)が、この度造船事業から撤退することが明らかになった。撤退の主な原因としては、同じくバリグに位置する空軍船舶事業部(EAS)の発達や、レート造船の躍進、そしてこの間の叛乱による造船設備の破壊により、造船事業を続けるには莫大な投資が必要であると見積もられたからである。

 CIBは今後、航空機や車両などの生産に労力を集中させる方針をとることが決定しており、依然と同じく空軍との取引は続けるとのこと。CIBの撤退によって開いてしまった造船産業は同郷のEASが造船施設を買い取る姿勢を見せており、国防産業には影響は出にくいものと考えられる。

 これに対し、8日に第三代大宰相に就任したばかりのダットファング氏(58)は
「この国の国防を支える柱がひとつ消えてしまったことはとても遺憾だ」とコメントした
5月12日分 貴族警察が解体されることが決定
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 ダットファング体制になってノイガラートの叛乱の"後片付け"が始まった。荘園警備隊(貴族警察)は11日、貴族警察の活動を今月一杯で無期限休止するという内容の文書を各報道機関に送った。

 貴族警察はノイガラートの叛乱において叛乱勢力側に立ったことで知られ、貴族警察以外の市民、軍、交通の三警察と戦闘し、四警察と民間人の合計で126名の死者を出すなど国家と市民に対する叛逆行為、そして治安を守るべき警察がギッザスやバリグで戦闘行為を行ったがために治安を悪化させるという警察としてあるまじき事態に叛乱終結後から軍による監視下の元活動を続けていたが、いよいよ終焉するものと見られる。

 送られてきた文書によると、貴族警察の役割のうち荘園警備を市民警察が、実働部隊や城塞守護隊などを軍警察が、備品などを交通警察が継承するものと見られる。また、裁判所は先月10日から消息が不明になっているベスター公安伯爵の爵位を停止から廃絶に変更、即座に軍警察によって100万帝国ダルクの懸賞金が懸けられ情報提供を呼び掛けている。
5月13日分 【国際】簒奪政権のオージア地域にて大規模な独立運動
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 旧帝都特務取材班は11日、近衛簒奪政権領オージア自治区にてオージア系貴族連合による大規模な独立運動が発生しているとの情報を伝えてきた。

 オージア地域では以前から人民主導の叛乱運動が絶えなかったが、今回の独立運動は近衛大叛乱によって立場を奪われたオージア系貴族主導による正当なものであり、近衛簒奪政権はこれを武力で鎮圧しようとしている。政府中枢からは近衛の支配からガリアグルを解放したように、オージアも近衛支配からの脱却を図るためにオージアの貴族連合軍支援するべきであるという意見が増えている。
5月14日分 新帝都=バリグ間のパイプラインの内の一本が破裂
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またもやパイプラインで事故だ。14日、ギッザスとバリグ工業城塞を結ぶ生体パイプラインが6本破壊されいるのが確認された。パイプラインの破損は先月の22日以来であり、頻発しているといえる。

 今回破裂した6のパイプは先月の事故による市民警察監視下での集中検査でなんら異常を発見できなかったパイプであり、また、パイプには外部で爆発が起こったような痕跡が残っており、これらの情報から市民警察では"今回の破損事件は人為的なものであり、市民生活に対する挑戦行為である"として軍警察に協力を要請。先月の22日に『事件性はない』とした判断について謝罪した。

 パイプラインには4本の予備が用意されているが今回の事件はそれを越える数が破壊されたため、今後約10日間は生体液などのインフラに影響が出るとみられている。
5月15日分 ノイガラート叛乱軍の残党が発見
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 13日8時過ぎ、エゲル盆地地下大空洞のラスパーラン門付近にあるラスパーラン空軍基地が突如として正体不明の勢力からの襲撃を受け、壊滅した。

 襲撃者の正体は不明だが近隣住民の「バレグクライプティア級がいた」「ノイガラート家の紋章を見かけた」などの情報を元に帝国陸軍の2つの軍団とザニアル艦隊はこれをノイガラート叛乱軍の残党と認識、一方でそれ以外の艦隊や軍団も調査を進めており、遅くとも5日後までには結論がでる見込みだ。

 叛乱軍が鎮圧されてから地方にてパイプラインの破損、帝国鉄鋼からの鉄鋼の窃盗、非常用重火器保管庫からの武器窃盗など不可解な事件が頻発していた。市民と軍と交通の三警察は再びの内乱に備えて緊急配備を行うとの事だ。
5月16日分 ダットファング氏が四警察の統合を計画していることを発表
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 ダットファング大宰相は帝国に存在する新帝都市民警察(市民警察)、中央保安部(軍警察)、六王湖軍管区警察(交通警察)の三警察を近く、統合する予定だと発表した。

 ダットファング氏は今回の統合計画について、「四警体制が産まれたのは旧帝都から遷都してきた当初の混乱とその後の権力闘争に対応するためだったが今となってはむしろ逆に混乱を招いている。怪盗戦艦事件やマルヴィッツ子爵邸爆破事件などは初動を誤らなければ防げたかより被害を少なくできた事件であり、先の叛乱に至っては貴族警察が造反を起こすなど警察組織が分裂している状態は悪いことこの上ないので早急に統合することを求める。」としている。

 11日に貴族警察を解体することを発表した矢先でのこの発令には六王湖市民も上流貴族達も軍人もそしてなりより各警察組織の人々は戸惑いを隠せないようだ。
5月17日分 【独自】ノ叛軍残党はデシュタイヤ家を滅ぼすまで戦い続ける意向
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 ノイガラート叛乱軍残党(以下残党軍)の首領であるハズバンド元ノイガラート艦隊総司令(48)は15日、本紙の極秘取材に応じてくれた。

 「あの叛乱は国に対するものではなくデシュタイヤ家に対するものだ。」
そう怒りを表しながら語り始めたハズバンド氏に対し、我々取材班は問いかけた。
"デシュタイヤ氏を敵対する理由とは"
────「彼奴は佞臣であり、先の皇帝陛下にあらせられても暗殺計画を立案し、実行したのは彼奴なのだ。皇帝、つまり国に対して裏切ったことのある家臣が今後も裏切らないとも限らない、だから早急に手を打つ必要があったのだ。」
"だからといってモイピック氏を暗殺する理由にはならないのでは"
────「いつ我らが暗殺したと言った、我々は国に対する裏切りは決してしない、第一モイピック氏の犯人がノイガラートであるというのはたった一人の男の証言からであろう、そんな不確かな証拠を突き付けられても役に立たない。」
"では何故叛乱を"
────「ご当主殿(故ノイガラート氏のこと)が過剰反応したのだ、今思えばあれが一番まずかった、あの時点で反論しておけば比較的公正に取り扱ってくれる摂政評議会によってあの証拠が偽証だと証明できたやもしれない。しかし、ご当主殿は自身に降りかかった喧嘩は買う主義だったのですぐに行動に移されてしまった。」
"今後はどうされるご予定で"
────「今ある戦力ははっきり言って雑魚だ、空軍基地襲撃で得た装備もあまり潤沢とは言いがたい。しかしこれらの装備を遥かに上回る最強の武器、"怒り"が我々にはある、この"怒り"を持ってして我々は戦う。」

 残党軍の首領は意気込みを語ったあと「準備があるから」と言い残して秘密基地の奥に帰っていった。首領が言うように秘密基地にあるのはバレグ・クライプティア級1隻とドゥルガ級が2艘、そして戦車は連邦製らしい多砲塔戦車1両となんとも頼りがない、しかしこれらを上回る情熱が確かに彼らにはあった。
5月18日分 ダットファング大宰相「当事者どうしでの解決を」
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 大宰相の発言が波紋を呼んでいる。
18日に行われた定例記者会見で本紙スクープについてのコメントを求められた際、「残党軍の言うことが正しいのならば彼らが敵視しているのはデシュタイヤ氏、発言から察するにグレンの方だろう。市民と国土に危害を加えることはしないと言うのならば政府抜きでデシュタイヤ家と残党軍との間で解決してもらいたいものだ。」などと発言した。

 これに対してG・デシュタイヤ氏は「奴らは叛乱軍で国土を荒らし、臣民を傷つけ、そして街を破壊した極悪集団である。そんな奴らに対して我々が取るべき手段はただ一つ、殲滅、それこそがこの国のための選択だと私は思う。」とあくまでも敵勢力の撃滅を説いた。

 その他摂政評議会メンバーのコメントを差し控えるがダットファング氏の意見に賛同する中立派は30余人、G・デシュタイヤ氏の意見に賛同する殲滅派は20人弱と摂政評議会内でも意見が割れているだけにいつ、回答が残党軍に行くのか不安視される。
5月19日分 クラウケ・シュタイネル氏が死去
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 旧帝都時代に帝国製鉄を起業し、大規模な製鉄所を多数建設し、帝国艦隊の増強に寄与したクラウケ・バロウ氏が5日に亡くなられていたことが分かった。87歳だった。

 バロウ氏は旧帝都の生まれで18の時に空軍へ志願、クライプティア級「アリケミティア」の一級水兵として乗員していたが第35次ヒグラート会戦において乗艦が撃沈された際に捕虜となった。しかし捕虜収容所から脱走し、ラオデギアにて北半球の工学技術を吸収、6年かけて帝国に戻ってくると持ち帰った工学技術を製鉄・製鋼に応用してより質の高い鉄鋼を生産することに成功、軍からもその技術を高く評価された。近衛大叛乱の際は製鉄所が近衛叛乱軍に奪取されたため宮廷貴族と共に六王湖に移動、新帝都建設に尽力した。

 帝国製鉄が排出規制違反などで世間からの風当たりが強くなっていた中の死だった。
5月20日分 陸軍楽徒混声旅団がカルタグにて特別演習
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 18歳以下の男子学生によって構成される陸軍楽徒混声旅団がパンノニア国王の命により20日にカルタグにて特別演習を行った。

 カルタグ広場に現れたロムロ子爵(18)率いる陸軍楽徒混声旅団をカルタグ市民は黄色い声で出迎えた、突然の出迎えにロムロ子爵はすこしたじろいだ後、「本演習はパンノニア国王陛下直々の命とのことなので気を引き締めていきたいと思います」と心意義を語ったあと、広場に設置された特別演習場にて4時間ほど、カルタグ市民を前に演習を行った。

 演習後、詰めかけた報道陣を前に旅団のエースのハルマート兵長(16)は「国王の命ということなのでかなり緊張しましたがカルタグ市民に俺たちの凄さが分かってもらえたようなので大満足です」と演習後にもかかわらずいつものような元気な声で答えた。
5月21日〜30日分
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5月21日分 摂政評議会が戦線区の開発計画を閣議決定
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 急速な都市開発とノイガラートの叛乱に端を発した不況から脱するための新たな一手だ。摂政評議会は21日、北方の六王湖戦線区の開発計画であるバイマン計画を閣議決定、632年国家再建計画やノイガラート叛乱によって増加した失業者を救済する政策だ。

 今回議題に上ったバイマン計画は連邦国との戦線付近のため指定範囲外での開発を禁じられていた六王湖戦線区における植民と開発と拡張を許可し、政府主導でそれらを実行していく計画である。本計画には戦線区開発公社や各種公企業の他、陸軍が主導する後部戦線軍団などの設立させることなどが書かれているが、閣議にてやり玉に挙がったのは重化学コンビネジョン地区の設置案で、遷都以来一度も戦火を交えていないとはいえ一応は戦争をしている連邦との国境に戦略的に重要な工場を設置してもよいのかなど国防上の懸念を指摘する声が上がっていたが、最終的に摂政評議会は本案を可決した。

 バイマン計画は早ければ再来月にも指導する見込みで、それまでに関係各省と調整をしておく必要がある。
5月22日分 おことわり
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 日刊バレグは本日休刊日です
5月23日分 【国際】パンノニア王国と北パンノニア間で2年ぶりの戦闘が発生
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 パンノニアの腕付近にて、パンノニア王国と北パンノニア共和国との間で約2年ぶりの戦闘が発生した。

 王国軍広報によると現地時間22日の6時頃、国境を侵犯してきた北パンノニア共和国軍の偵察艦隊を哨戒中の偵察機が発見、付近を航行していた王国軍第二艦隊に通報し、発見から5時間ほどで偵察艦隊と接触し戦闘状態になった。

 戦闘自体は敵偵察艦隊の方が足が速かったため振り逃げられ、双方に損害はなかったがパンノニア王国と北パンノニアとの戦闘としては634年7月5日の遭遇戦以来となる。

 なおカルタグにて演習を行っていた陸軍楽徒混声旅団には影響はないとのこと。
5月24日分 ノスギア山脈にてノガレス級駆逐艦が発見
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 フラー・ル・シャルム大学登山部(以下FLS登山部)がノスギア山脈のデッツー峰(7034メルト)にて、帝国軍の旧式駆逐艦のノガレス級が朽ちて横たわっているのを発見した。

 FLS登山部はデッツー峰の新規ルート開拓中、ワノの壁のアタック拠点を探している際にデッツー峰の山頂から1630メルト程にある窪地にノガレス級が横たわっているのを発見、その位置までゆっくりと降りていき調査したところノガレス級イリアスであることがネームプレートから判明した。イリアスは527年のラオデギア強襲作戦時に参加した艦艇の一隻で、ラオデギア強襲から生還したものの帰還中に生体器官の不調で離脱、数日程遅れると思われていたが最終的に未帰還となった船である。

 FLS登山部の部長、フランツ氏(21)は山の麓にある登山部基地において「僕らは新しいルートを開拓して、それを登り切った後の山頂からの景色を眺めるためにやってきたんだけどこのようなものを発見できたのは驚き。」「イリアスは寒いとこにあってとても保存状態がよく、食料とか弾薬とかもそのまま残ってたんだけど何故か死体がないのが不思議」などと記者達にコメントした。
5月25日分 ギッザス第7居住区にて火災が発生
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 25日16時頃、ギッザス第7居住区ロワール通り12番に構えるレストラン「アレ・デライサ ?」から出火、「アレ・デライサ ?」の店舗と住宅が入る建物が全焼し、火は依然として消し止められていない。

 新帝都防空隊によると火を消し止めるための消火剤が不足しており、満足な消火活動が出来ておらず、また第7居住区一帯は初期開拓時代から現存する区域であり、新帝都が定める建築物保護条例のため破壊消防もできないとのことで、このままでは防空全権を行使せざるをえないとしている。

 現在、火の手は「アレ・デライサ ?」を中心に6棟まで広がっており、鎮火が急がれる。なお、これまでに身元不明の遺体が5人確認されている。
5月26日分 第7居住区の火災が鎮火
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 25日にロワール通りのレストランから出火し、第7居住区の空を赤く染めた火災が本日昼過ぎ、消し止められた。火は約30時間燃え続け、ロワール通りの13棟が全焼、22棟が一部燃焼の被害で、焼け跡から14人の遺体が発見されている。

 新帝都防空隊は市民警察と合同で火災現場である「アレ・デライサ ?」を調査し、火災の発生原因を究明している。

 今回の火災は本日6時頃に新帝都防空隊が防空全権を行使、爆薬を用いて火災地域の周辺の建造物を全て破壊したため、市民のみならず新帝都側からも懸念の声があがってきている
5月27日分 空軍が軍備増強計画を発表
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 本来ならば然るべき経路を通して発表するべき重要事項を27日、ダットファング氏の後任であるカラカイ・タクタ空軍特別公爵(43)が電撃的に発表した。

 空軍が提出した軍備拡張計画は要約すると、
1. 貴族ごとに別れている艦隊を統合、再編して空軍直轄の艦隊とすること。
2. "パンノニア義勇軍"向けの戦艦を建造すること。
3. 西部要塞地帯の拡張
である。
これのうち、パンノニア義勇軍についてカラカイ特公は「先のノイガラート叛乱では我が軍の3分の1が一時的に使えなくなった。これの原因はただ艦隊数が少ないことにあるのだが我が国は簒奪政府との取り決めで保有数に上限がある。そこでパンノニアに義勇軍を送るなどして普段から支援を引き出せるようにしておきたい。」と語っている。

 近衛大叛乱時に逃げ続けることで帝国艦隊を翻弄させ、帝政ダルトには出ているが簒奪政府には出ていない軍事通行権を活し、パンノニア王国領域に侵入させてパンノニアの臨検を受けさせるなど策謀に優れ、「寝技師」と恐れられているカラカイ氏、果たして今回はどのように見せてくれるのか。
5月28日分 帝国鉄鋼が操業再開
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 先月の16日に発覚した帝国鉄鋼の規制違反により、6日から裁判所の命令で操業を停止していた帝国鉄鋼が明日から一部で再開する。再開するのは最初に規制違反が報告され、その後帝国監査院や工業省による厳しい検査を受けたレート製鉄所である。

 操業再開を前に帝国鉄鋼は記者会見で「この度は帝国市民の方々にご迷惑と不安な感情を抱かせてしまい誠に申し訳ございませんでした。」と謝罪、記者の"なぜ不正したのか"という質問に対しては「現在、帝国監査院が主体の第三者委員会によって事実調査が行われているため、私どもからの発言は控えさせていただきます。」として、「私どもとしては古い軍国主義的な考え方を改めなければならない時期に入ってきていると痛感しており、企業中枢の入れ替えを含めた抜本的改革を推し進めていく。」などと発言した。

 帝国鉄鋼の操業再開は先日の空軍増強計画、戦線区の開発計画など鉄鋼の需要が回復してきており、膿を捨てきった帝国鉄鋼と共に新しい帝政ダルト国を作り上げていく為の早期再開、そんな狙いがあるのかもしれない。
5月29日分 G・デシュタイヤ氏「この国は軍で出来ている」
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 昨日の帝国鉄鋼の記者会見で「軍国主義的な考え方を改めなければならない」と考え方を表したことに対してのG・デシュタイヤの発言が問題になっている。

 G・デシュタイヤ氏は本日行われていた戦線区開発計画の予算委員会を終えて、議場から出て囲みの記者に対して予算委員会の内容と共に先日の帝国鉄鋼の話にコメントした。

 「軍国主義的なものを変えるとかなんとかガチャガチャ言ってるけど、結局はね、(この国は)軍がないとだめなんだよ。近衛騎士団に対抗する六王湖軍、それがこの国の存在理由であり、国力の弱い今だからこそ帝国の正統性を主張していかないといけないと考えててね、アイギス陛下もその為に創造したのだよ。残念なことに肌は白くなかったが」

 ノイガラートの残党軍がまだ潜伏していて、旧宮廷貴族に対する反発が強くなってきて外より内を見る人が増えてきた昨今、市民感情を逆撫でするような発言は自身の政治家としての自信かあるいは傲慢さから来るものなのか、アイギス陛下を半ば侮辱したと思われる発言もあったG・デシュタイヤ氏。彼の上級国家理事という肩書にまったく相応しくない発言は彼の長く続くキャリアを崩壊させる原因になるかもしれない
5月30日分 G・デシュタイヤ氏の発言に盟友ザニアル氏が意見
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 「あれはないですねええ」
辛辣な一言から始めるザニアル氏の語り方は近衛大叛乱以前より付き合いのある戦友にして親戚のG・デシュタイヤにも向けられた。

 30日、ザニアル氏はいつものように自宅の隣にある記者クラブに対して寝巻姿で呼びかけ、いつも通りに昨日起こったことに対してベラベラ喋り始めた、
「あれはないですねええ、だってようは軍と貴族だけが国を構成できるっていってるようなもんでしょ、そんなことありえないのに。市民あっての国家という前提は理解してると思うけど、この国の軍に近衛騎士団に反攻できる力があるとは思えないし、この地域を支配していたかつての帝国を取り戻すために全総力を結集させろなんて無理な話だと思うよ、だってこの国実質ガリアグル王国だもん。アイギスだって現地ガリアグル人貴族の血が混じっているからガリアグル系が4割か5割と言われている市民に受け入れられてるのであって、クランダルトの正統な帝国を懐古し続けて正統なものを追求する必要はないしこの国に必須なものではないはずだ。」
そう飄々と言ったザニアル氏は気が済んだのか家に戻っていった。

 氏の言うとおりにこの国は復活したガリアグル王国に近い、モイピック氏はガリアグル系だったがダットファング氏にしてもガリアグル系なのだ、旧帝都を追われてこの地に逃げ込んできた本国派貴族と旧体制派市民を受け入れたのは現地ガリアグル系貴族とガリアグル人だった。この事とザニアル氏の意見はG・デシュタイヤ氏にどうつきささるのであろうか

636年6月

6月1日〜10日分
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6月1日分 イリアスが行方不明に
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 先月の20日にフラー・ル・シャルム大学登山部がノスギア山脈デッツー峰で発見した軍艦『イリアス』が消えていたことが30日に発覚した。

 『イリアス』は発見後の資料調査で527年のラオデギア強襲において生還したものの最終的に未帰投となり3年後に除籍されていたことが判明している。今回の消滅は本格的現地調査を始める際に発覚したものだ。

 イリアスがなぜ消えたのか、どこに行ったのかは全く分かっておらず今後の調査が待たれる。
6月2日分 伸び悩む地方の電力供給
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 六王湖の成長と叛乱からの復興に重い足枷がかかっている。4月のノイガラート叛乱の際に破壊されたバリグ工業城塞に見切りをつけ、多くの工場や住宅がノルトスベハラーゲンやラ・アルナンヌなどの第2第3の工業地域へ移動してきたため電力や生体液の供給が現地の施設では間に合わなくなる事態が各地で相次いでいる。

 ノルトスベハラーゲンではすでにある帝国鉄鋼の施設の他に火砲工廠などが存在するだけだったが、5月に入ってから中規模工場の転入が相次ぎ、また国営生体器官製造の新工場を建設する計画も立っている。

 工場の転入は喜ばしいことだろう、しかしノルトスベハラーゲンの電力供給は限界が近く、徹底した節電対策を施さなければならない地点まで来ている。そしてこれは特別ノルトスベハラーゲンに限ったことではなく、航空機製造所がまるまる移転してきたラ・アルナンヌや生体液生産プラントの移設準備が立ち上がっているファーリー、そして第二の工業地帯であるレートでも慢性的な電力不足が始まる予兆を見せている。
6月3日分 【国際】オージアの独立主義勢力が行政首都を制圧
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 オージアの反政府独立主義勢力であるカント・ドミナオットが2日、オージアの行政中枢であるオット地区を占拠したと現地メディアが伝えている。

 カント・ドミナオットは19年前のリューリア戦時に誕生した組織で、オージア人志願兵と連邦ガリナスハン艦隊の敗残兵から構成されており、武装なども連邦の品を使っている。

 カント・ドミナオットは今までに5回蜂起しているがオット制圧に成功したのは今回が初めて。
6月4日分 G・デシュタイヤ氏「身分をわきまえて質問してほしいですな」
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 軍至上主義的な発言やアイギス陛下への侮辱的言動でやり玉にあがっているG・デシュタイヤ氏が再び問題発言を言い放った。

 この間の失言とそれに伴い再燃した叛乱前から問題視されている艦隊二重保有問題について、連日国内外の記者団がG・デシュタイヤ氏の邸宅を取り囲んでいる。しかし氏は失言以降邸宅に姿を現していなかったが4日、邸宅に戻ってきた氏に対し二重艦隊保有問題に関しての質問をぶつけた高度300メルト新聞の記者に対し、氏は「きみ高度300メルトの記者だよね?身分をわきまえて質問してほしいですな。いくら子爵とか男爵のボンボンだからといって宮廷貴族の、しかも皇帝の側近の家の者に対して節度もなしに質問を投げるのは自身が臣民と同じ位であると主張しているようなもの。同じ貴族ならば上に立つものがなすべき態度、そして義務をよく理解しているはずだ、同じように上の者に対しても取るべき態度をとってもらいたい。」と発言。本紙記者を含むその他の記者が発言の真意について問いただそうとする中、氏は閣僚専用艇にのって飛び去った。

 G・デシュタイヤ氏のこの発言は前の発言で市民を怒らせただけでなく、氏のいう「下の貴族」達をも氏への反感を覚えさせた。二重艦隊保有問題で同じ艦隊持ち貴族の妬みと恨みを買っていただけに、今回の発言は貴族内ですら低いデシュタイヤ家の支持をさらに急降下させた結果となってしまった。
6月5日分 四警体制、終焉
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 突貫工事で作り上げた国にできた歪みを直す最初の一歩だ。

 帝政ダルト国に存在する四つの警察組織が同時に声明を発表し、先月に決定されていた警察組織統合を執行することを宣言。明日から新帝都市民警察(市民警察)、中央保安部(軍警察)、六王湖軍管区警察(交通警察)、既に活動停止状態にある荘園警備隊(貴族警察)は全て廃止され、新設される統合警察に統合される予定だ。

 市民警察のゲションク最高警邏長官(62)は「いつかは終わるだろうと思っていた。国家建設当初は市民警と軍警が争い、今だと爵警と争っていた、あの事件が起きるまでは何かしらの事件は争奪戦になり、注目度が高い事件は先行して事件解決をするためにあえて情報共有をせずに独自で捜査するなど警察組織としての役割を果たせていなかった。そしてあの事件では爵警とそれ以外とで戦闘行為が行われるなどひどいありようになってしまい、このままでは赤服に笑われる。そうダットファング大宰相は思ったのだろう就任してすぐにこの令を出した。彼が間違っていなければ統合警察は素晴らしい働きを見せてくれるはずだ。」とコメントした。
6月6日分 マル帝鉱(ギッザス)がシュタインハスマークⅢ峰にて新鉱山を開山
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 6日、マルクロー=帝国資源省鉱山開発(以下マル帝鉱(ギッザス))がノスギア山脈シュタインハスマークⅢ峰において鉄などを産出する新鉱山のNSH3-1を開いた。シュタインハスマークⅢ峰は以前から良質な鉱山資源が取れることが民間レベルで知られており、3月からマル帝鉱(ギッザス)が開発を進めていた。

 マル帝鉱(ギッザス)はこの新鉱山の開発で伸びてきている鉄鋼需要に対応し、帝国の新たな開発に貢献して売り上げを伸ばす狙いだ。
6月7日分 カッパール渓谷にダムの建設基地がおかれる
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 現在発動に向けて準備中のバイマン計画に基づき、資源省と建設公団、電源開発が共同して進めているカッパールダム建設計画が急ピッチで進められている。ノスギア山脈の山麓を発った大型建設機械達は次々とカッパール渓谷へと入り、ダム建設の基盤を作っていった。

 カッパールダム建設計画はノスギア山脈のカッパール渓谷に発電所と発電用のダムを建設し、経済の発展の足枷となっている電力不足を解消しようと狙ったものであり、計画通りに進めば6年後の642年に高さ200メルト、長さ300メルトの巨大ダムが完成する予定だ。
6月8日分 9音祖のデノラク・ウクゾフが引退を電撃発表
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 陸軍祖国防衛隊マカスキ第9音響狙撃隊(以下9音祖)デノラク・ウクゾフ兵長(38)がギッザス第3区駐屯地において記者会見を開き、軍役をやめる旨を報道陣に向かって伝えた。

 ウクゾフ兵長は「身体的に限界が近く、これ以上軍役を続けるのは困難で、皆の足を引っ張るだけ」とコメントした。
6月9日分 G・デシュタイヤ氏「働いた貴族の特権」
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 市井の話題の中心にして政治的身体的に貴族の重心として知られるG・デシュタイヤ氏がまたまた問題発言だ。

 9日に摂政評議会の予算委員会で二重艦隊保有問題とアイギス陛下への侮辱的発言を咎められた際、「2つの艦隊を保有できるのはあの叛乱戦争の時に我が保有する2つの艦隊が他の貴族の艦隊を六王湖まで守り通したからであり、国を束ねる者として他に貴族と臣民とを守るためには必要なものなのである。これは帝国に功労した貴族の義務的なものであり、これを奪うことは艦隊で帝国を支える私の信条を捻じ曲げる行為である。」と発言、予算委員会を罵声大会に様変わりさせた。

 委員会が閉会した後のぶら下がりの会見でG・デシュタイヤ氏は「今は発言を控えさせていただきます。」とコメントしたのみにとどまった。
6月10日分 デラスガナール氏が逝去
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 今月2日に帝政ダルト陸軍の前司令のデラスガナール・シャランテ氏が亡くなられていたことが分かった。享年64だった。

 デラスガナール氏は旧帝都の陸軍アカデミーを卒業後、ガルーデアのシュヴィーツ伯爵領軍に少尉として入隊、590年代末に頻発した叛乱戦争において目覚ましい活躍を見せ、「叛乱潰し」として属領民の夢の中にまで出てくるほどの名をあげた。
 その活躍が認められ、600年代にカノッサ第三戦線の司令官に任命されたが内地とは違う戦線に上手く適応できず、リューリア戦役の際にも陸路で撤退する連邦部隊とカノッサにもとからいる連邦軍の挟撃に遭って1個師団を壊滅させてしまうなどの失態を犯し、620年に六王湖第4軍の司令官に転属させられたが翌年に起こった近衛大叛乱の際に率先して宰相派軍を受け入れ追撃してきた近衛騎士団と対峙、撤退に追い込むと働きを再び評価され新生帝政ダルト陸軍の総司令官に任命され、633年までその職を務めた
6月11日〜20日分
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6月11日分 ギッザス第4工業区の歓楽街で通り魔が発生
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 11日の7時頃、ギッザス第4工業区の歓楽街12月通りにある喫茶店システス・ハウスおいて装甲服を着用した何者かが銃を乱射、銃を撃ち終えると爆弾を投げ込み、建物ごと爆破して逃亡した。

 統合警察によると死者26人負傷者4人が確認されており、また、現場から200メルトほど離れたところで犯人が使用したと見られる装甲服が発見され、警察は操作を進めている。
6月12日分 歓楽街の通り魔事件でマルトン・バロウ氏が死亡していたことが判明
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 先日発生した通り魔事件において、殺害された31人の中に工業大臣のマルトン・バロウ氏がいたことが、統合警察への取材で判明した。

 マルトン・バロウ氏は旧皇帝派の一角でその中でも経済力が高く、旧皇帝派が六王湖の地において再建するのに注力した人物であり、今回の殺害は彼を狙った暗殺事件であるという見方が浮上している。

 今回の通り魔事件では現在確認されている限り、死者31人を出しており、市民からは早期解決の声が多く上がっている
6月13日分 ダットファング大宰相「強い怒りと哀悼の意を表する」
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 11日に発生した通り魔事件について、13日にダットファング大宰相が報道陣の質問に答え、コメントを出した。

 ダットファング大宰相は予算委員会を終えた後、報道陣に囲まれた。
バイマン計画の予算に関する質問が飛び出す中、12月通りの通り魔事件についての質問が挙がり、氏はそれについて「第4工業区における通り魔事件には強い憤りを感じており、亡くなられた方々に哀悼の意を表する。」「犯人が犯行に用いた装甲服について、我が帝国陸軍から盗まれたという噂が立っているが我が軍の備品の管理体制は盤石でありそのようなことは決してあり得ない。」とコメント、別の記者から亡くなられたバロウ氏のことを尋ねられると「バロウ氏においてはこの六王湖の基礎を作り上げた人の一人であり、彼が亡くなったことは帝国の大きな損失だ。」「彼が亡くなったとはいえ始動したバイマン計画を止めることは出来ない、我々は何としてもこの計画を遂行し、栄光を再び手にしなければならない。」と強い意思を示した。

 バロウ氏はバイマン計画に密かに反対していたという噂もあるが、バロウ氏無き今、工業省の官僚達は弔い合戦のようにバイマン計画を完遂するため躍起になっており、普段よりもより強固な姿を見せることでテロに屈さない姿勢を打ち出している。

 なお、工業大臣の後任はバイマン計画の立案者で大政務官の元資源大臣のホーカー・バイマンが就任する予定だ。
6月14日分 【国際】連邦軍が戦線付近で大規模な軍事演習を展開
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 12日、アーキル連邦軍はメル=パゼル共和国軍と合同でクラッツ寒林帯上空において大規模軍事演習を敢行した。

 軍事演習には連邦軍から空母を基幹とした5個艦隊とメルパからは2個艦隊が派遣され、連邦、メルパ両軍の連携を確認した。

 最後の大規模艦隊戦となったクラッツ寒林帯上空戦から4年が経過し、偵察機同士の撃ち合いが続くなか、連邦は戦争を自分たちに有利な形で終息させる道筋を探している。
6月15日分 ミッドメディカが新薬を開発
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 ミッドメディカが難病に効く新種の医薬品を開発したことを学会及び記者団の前で発表した。

 633年に複数の医薬品メーカーが連合して誕生したミッドメディカは、母体の一つである第三製薬のスハランⅢBの犯した中毒事件の原因となったエピジェネティク変異に着目、テクノクラートと共同で行った3年間の研究の末、遺伝由来の病気を回復させる最新の遺伝子工学を活用した全く新しい医薬品を開発することに成功した。

 開発を主導したテクノクラートのK.I氏は「この医薬品があれば人民は先天的な脅威に怯えることなく暮らせる、また、癌などの後天的な病気にもある程度の効果が認められており、これからの研究次第ではより素晴らしいものが出来上がる可能性がある。」と上機嫌で語った。
6月16日分 フランケ・バリング氏が辞任
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 旧皇帝派連絡会議の長であるフランケ・バリング氏(56)が明日をもって辞任することを発表した。

 G・デシュタイヤ氏の失言やマルトン・バロウ氏の死亡の責任を取ったものと思われる。

 フランケ・バリング氏は56歳、旧帝都時代は近衛大叛乱時に宰相派が旧帝都を脱出する際に逃亡の音頭を取り、六王湖の地に着いた際に旧皇帝派へ改組し、帝国再建の政治的基礎を築いた。
6月17日分 第八銀行とバリグ都市圏銀行が合併協議
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 17日、第八銀行とバリグ都市圏銀行の両行は共同記者会見を開き、その場で合併に向けて協議を行っている旨を発表した。

 第八銀行は旧帝都時代の588年に六王湖地域を対象としたナンバーズバンクの一つで、新帝都に遷都後は機能の大部分を移転してきた帝国準備銀行に移管、その後はギッザス都市圏を本拠に営業していた。

 バリグ都市圏銀行は630年に公布された都市圏銀行設置法に基づいて、631年に設立された公営都市圏銀行の一つで、バリグの発展と共に大型化していたが、先の叛乱によって営業成績が悪化、不良債権が増大していた。
6月18日分 12月通りの通り魔事件にノ叛軍残党が関わっている可能性が浮上
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 統合警察は18日、11日に発生した12月通りの通り魔事件(正式名称12月通り店舗爆破事件)にノイガラート叛乱軍の残党が関わっている可能性があると記者会見で発表した。

 統合警察によると犯行に使われ、遺棄された生体装甲服のシリアルナンバーがノ叛軍残党の保有しているとみられる200着の装甲服のナンバー表の一つと一致したとのこと。統合警察はこれを根拠に「今回の事件にはノイガラート叛乱軍残党、もしくはノイガラート叛乱軍残党からの支援を受けた組織の組織的犯行であり、善良な市民に対して武器を使用する許すことのできない極悪非道な行いである。」としてノ叛軍残党を強く非難した。
6月19日分 アイギス陛下が危篤に
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試練のときが迫ってきた。我らの皇帝アイギス陛下がなんと37度の高熱を発し、2日間も寝込んでしまわれたのだ。

 帝室庁によるとアイギス陛下は16日にジャンシャルマンでの外遊を終えて帝城にお帰りになる最中に突如として37度の発熱を患われ、危篤になられたとのこと

 発熱の原因についてはよく分かっておらず、皇帝付きの医師のロラバ氏によると「皇帝陛下の容態は非常に重篤であり、間食のプリンも3個しか食べなかった。我々医療班はアイギス陛下の回復に全力を注いでいる。」と話した。
6月20日分 生体液パイプラインの工事が各地で開始
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 バイマン計画の基盤工事が始まっている。19日に建設公団は各地で準備をしている建設事業者にパイプラインの建設を開始するように通達し、六王湖各地で生体液パイプラインの一斉着工が始まった。

 バイマン計画の本格始動前にパイプラインの建設を開始することで今後各地で行われる建設工事をより進めやすくする狙いがあると見られる。

 また、本工事には約20万人もの人員が駆り出されると見られており、失業率10%と言われる帝政ダルト国の経済を回復させる足掛かりにする目論見もあると思われる。
6月21日〜30日分
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6月21日分 アイギス陛下の容態回復
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 アイギス陛下におきましては本日8時の検診において36度の平熱に回復され、体調も回復していると帝室庁から発表された。

 アイギス陛下は「あたしがちょっとした風邪で寝込んでたことをとっても気にしてくれてありがとう。あたしは今日も元気一杯だし、朝の後の特大プリンも美味しかった。ところで今日は帝城病院を探検していたのだがなんと病院の地下に(後略)」など国民にお言葉を述べられた。
6月22日分 帝国鉄鋼がEASと合弁事業を行うことが決定
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 帝国鉄鋼が空軍船舶事業部(EAS)と、戦線区の鉱山発見と開発及び製鉄所と造船所の建設を目的とした合弁事業を計画していると帝国鉄鋼が発表した。

 ダットファング氏のもとで進められようとしているバイマン計画に乗っかった形となったこの計画は、帝国鉄鋼にとっては先の不正問題の影響により低下した信頼を取り戻すのと業界1位の座を守る狙いがあるのと、EASは政府の資金難で滞っているEASへの出資の穴埋め、騒音公害を理由として廃止されるギッザス造船所の代替の建設など双方の思惑や、戦線区開発におけるフラッグシップ的な存在になるという共通の目的のために今回の合弁事業を開始したものと見られる。
6月23日分 ダットファング氏が再来年までに摂政評議会制度を廃止するように提案
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 昨年から相次ぐ評議員の不祥事に加え、ノイガラートの叛乱を招いたとされる評議会の硬直化、未だに残る門閥貴族の影響力など市民からの信用の低下が著しい摂政評議会。先月に大宰相に就任したダットファング氏はこの状況を鑑みて、重大な決断を下した。

 23日、クリーブマン最高報道官は近く、ダットファング氏が摂政評議会の存廃を決める国民投票を行う計画を立てていることを公表した。クリーブマン氏は「ダットファング氏は今の摂政評議会にはかつての行動力がなくなり、旧帝都時代を彷彿とさせる穏健的空気で充満している。ノイガラート氏が叛乱したあとも全く変わることがなく、G・デシュタイヤ氏にかんしては叛乱前よりも増長しており、早期にこの状況を変えない限り帝国の未来は無い。として摂政評議会の存廃を国民に問うものであります。」と国民投票を行う理由を述べた。

 事情を知る人からはもし摂政評議会が解散した場合、ダットファング氏には立憲政治を行う用意があると述べており、ダットファング氏の改革への志向が見て取れる。
6月24日分 【国際】カント・ドミナオットの拠点が消滅
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 22日にオージア反政府独立主義勢力のカント・ドミナオットの拠点があるアレキシが"消滅"したと、24日にカント・ドミナオットの在六王湖支局長が公表した。アレキシ消滅の情報はオージア軍事最高会議によって統制が掛けられていたため届くのに時間がかかったようだ。

 在六王湖支局長によると先月の17日にオット行政区を制圧したカント・ドミナオットは3日後の20日にオージア自治政府を改組したオージア軍事最高会議の手によって再び奪われ、各地でゲリラ活動を続けていたものの、今月7日の第21次オット急襲作戦の失敗により戦力が半減。さらに、簒奪政府軍の使う対地徹甲弾によって地下拠点が破壊され、ゲリラ戦が行えなくなったため、12日に残存勢力をかき集めてアレキシに籠城したとのこと。

 アレキシに集ったカント・ドミナオットは10日間も敵の空爆や砲撃に耐え抜き、駆逐艦3隻を撃沈する戦果を挙げたものの、後方から送られてきた軽攻撃艦8隻の2日間続いた一斉砲撃により旧オット国の頃より続くアレキシの山岳城塞都市は完膚なきまでに破壊され、オージアにおけるカント・ドミナオットの戦力は壊滅した。カント・ドミナオットの司令官のマルマ氏の消息は不明であり、在六王湖支局長は「例え司令官が倒れようが近衛とその犬の自治政府を倒すまで戦うのを止めない。」と語っている。

 一方、オージア自治政府改めオージア軍事最高会議は"宰相派の逃げ遅れ"を退治したと発表して今回の攻撃を正当化したと同時に、"宰相派に加担した"としてオージア自治政府とオージア人民会議を解体、オージア国民党と革命的反帝政同盟オージア支部、オット団を強制解散させた。
6月25日分 G・デシュタイヤ氏「ダットファング氏の意見に強く賛同する」
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 23日にダットファング大宰相によって摂政評議会制の廃止の提案が行われ、各界に波紋を広げているが、25日、摂政評議会制度廃止にもっとも反対するであろうと見られていたG・デシュタイヤ氏がなんと制度廃止に賛成の姿勢を示したのだ。

 G・デシュタイヤ氏は臨時閣議で「ノイガラート氏の例を見てわかる通り、この摂政評議会には決断力というものの一切が欠如している、より積極的かつリーダーシップの取れる、新しき強い制度が必要なのだ。」と述べた。

 ダットファング氏は摂政評議会を廃してより自由的な方向に、G・デシュタイヤ氏はより統制的な方向にという違いはあるものの、摂政評議会を廃止したいという思いは共通なので、今後しばらくは共闘するものと見られる。
6月26日分 ラ・アルマンヌにて気流津波が発生
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 26日の15時にラ・アルマンヌの上空で気流津波が発生した。

 ギッザス気象台によると、気流津波はマギノスケール4級で3回に分けて発生したことから波数は3と見られており、これほどの津波が発生したのは7年前にエゲル盆地南端で発生し、新帝都を砂まみれにした『砂津波』以来とのこと。

 ラ・アルマンヌとの通信は一応繋がってはいるものの、被害の大きさは不明であり、続報が待たれる。
6月27日分 パンタール地方にて非常事態宣言が発令
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 26日の気流津波による被害の全容が明らかになるのにしたがい、テノル=サン・ド・パント帝国行政区及びザニアル公領に非常事態宣言が発令された。

 テノル=サン・ド・パント帝国行政府は行政府の位置するラ・アルマンヌが港湾施設の破損、未だに継続している竜巻被害などによって帝国行政府が機能していないとして、非常事態宣言を発令した。行政府は首脳機能を隣のユーティ帝国行政区のノルトスベハラーゲンに移設するとのこと。

 ザニアル公領においても非常事態宣言が発令されており、首都であるシウタ城には約50万の領民が詰めかけている。

 甚大な被害を受けたラ・アルマンヌの行政システムは機能を停止しており、摂政評議会ではこれの解決を図るために現地予備役と統合警察、陸軍軍警から一部の隊員を抜き出して行政執行部隊を結成するとのこと。
6月28日分 パンタール地方の気流津波の全容が明らかに
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 26日のパンタール地方で発生し、ラ・アルマンヌなどに甚大な被害を与えた気流津波による被害の全容が徐々に明らかになっている。

 ギッザス気象台と統合警察及び新帝都防空隊は現地で行った被害の合同調査の一次報告を発表、それによると、
 636年6月28日時点
 死者82名
 建物等全壊14棟
 同半壊63棟
とのことで、軍事施設関連の被害の報告は無かった。

 ギッザス気象台によると「今回の気流津波は10年に一度あるかないかの大津波であり、今後余波が来る可能性は十分に高く、今後一週間は厳重な注意が必要である。」と呼びかけている。
6月29日分 ダットファング大宰相、ラ・アルマンヌを視察
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 ダットファング大宰相は29日、パンタールの気流津波の被災地であるラ・アルマンヌを視察した。

 ダットファング大宰相は現地につくと、現地で結成されたサン・ド・パント執行部隊のトップと面会、今後のラ・アルマンヌにおける治安維持に全力を尽くすよう呼びかけた。

 続いて一次避難キャンプを訪れた大宰相は家をバラバラに吹き飛ばされたという家族に対して「あなた方の家はきっと元通りになります。もしものもとがあったら手厚く支援するのが我々の責務ですのでどうかご安心してください。」と優しく声をかけた。

 大宰相はラ・アルマンヌの市長と面会し、一刻も早い復興を行うよう圧力をかけ、市内のホテルに宿泊した。

 大宰相は明日まで現地に残る予定であり、突然の天災にどう対処するのか注目が集まっている。
6月30日分 バイマン計画の始動を強硬することが決定
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 パンタールの災害によって帝国の財政がひっ迫するなか、旧辺境派はバイマン計画の施行を強硬しようとしている。

 ラ・アルマンヌを視察しているダットファング大宰相に代わり、行政を指揮しているマルヴィッツ宰相補は30日、臨時会議の場において「パンタールの災害は大勢の人の命を奪い、生活の基盤を破壊した悲劇であった。しかしそれを理由に立ち止まってはいけない、この災害の通り、世界は我らを滅ぼそうとしている、これに抗うためには我々は常に進化し続けなければならなけばなり、立ち止まることはそれ即ち敗北を意味する。よってそのスタートラインたるこの計画はなんとしても遂行させなければならない。」として、国民に理解を求めた。

 この強硬には旧皇帝派だけでなく旧辺境派の一部からも意見が噴出しており、ダットファング政権の舵取りを難しくさせている。
  • コメント機能を付けました - 新帝国通信社 (636-04-13 26:05:46)
  • ノイガラードの反乱は終了するんですか - 名無しさん (2021-11-21 23:14:29)
    • 明日の事は誰も分かりませんからこれで終わりかどうかも不明です - 新帝国通信社 (636-04-16 26:04:42)
  • この事件を聞いてあたしはとても心を痛めている。あたしの心は常に臣民とともにある。いざとなればこの身を持って悪党どもをとっちめてやるつもりだ。 - アイギス (2021-11-21 23:43:06)
    • わっふるさんでは - 名無しさん (2021-11-21 23:48:44)
  • レイケル氏の辞任は誠に残念だ。氏は技術に対し理解を示し、先進技術分野に多大な投資を行なってくれた人物だった。臼砲狂いの貴族様や何にでも判子を押す褐色女帝殿の元で、工業がどの様な方向に発展していくのか大いに不安だ - 旧ヴィマーナ技術者 (2021-11-25 22:29:05)
  • あたしがバルコニーで飼っていた蛾が最近茶色くなってきた理由がわかってホッとしている - アイギス (2021-11-27 19:05:02)
  • 1ヶ月後くらいに崩御追悼セールもやってほしい - クランダルト人 (2021-12-09 22:51:33)
  • あたしのスペアを崩御させてみてはどうかな - アイギス (2021-12-12 00:57:19)
  • 37度で高熱、危篤とはやはり人間としての構造に致命的な欠陥があるのではないか?そのような者には強靭なクランダルト人としての正統性はおろか、それを崇め奉る武装組織にも何ら正義などないことは明白である。 - ノイエラント市民 (2022-02-02 12:01:09)
最終更新:2022年04月26日 23:01