ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

クモノイト

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クモノイト ◆WAWBD2hzCI



「…………さて、と。どうしてこんなことになってたんだっけ」

少年、直枝理樹の溜息。
彼の前には二人の人間が、さも当然とばかりに居直っている。
一人は黒須太一、白い髪を月の光で銀色に映し出す少年だった。端正な顔と儚そうな体躯がまるで人形のようだった。
一人は藤乃静留、少年とは逆に金色にもブラウンにも見える長髪をなびかせた美少女。京都弁を喋る人だった。

「けったいなことを言いますわ、理樹はん。あんさんたちがうちを呼んださかいに」
「いや、その理論で言うと僕も呼ばれたようなものなんだけど」
「……で、理樹。エイリアンについてはちゃんと理解したか?」
「ああ、うん。とにかく太一がぶっ飛んだ人だってのは理解したよ。連れが言ってたけど、正気の沙汰じゃないと思うよ」

理樹は彼らと出逢った一時間前のことを思い出し、そっと溜息をもうひとつ。


     ◇     ◇     ◇     ◇


実際に少年……黒須太一に出逢ったのは、今から一時間以上も前になる。
理樹がアサシンを護衛にして周囲を散策中に、突然響き渡ったのだ。黒須太一による――――そう、本人の言葉を借りるなら放送が。
場所は採石場だった。当初、理樹はすぐにでも合流しようとしたが、アサシンによって押し留められる。

『待て、リキ殿。あれは妙だ、いくら何でもおかしい。あんな危険な真似は正気の沙汰ではないぞ』

アサシンは理樹に、自分の居場所を知らせることや殺人鬼を引き寄せる可能性をとつとつと語って聞かせた。
とにかく可能性として三つ。身の程を弁えない莫迦か、狂気に飲まれて狂った愚者か、それとも罠を仕掛けて誘き寄せられた人を襲う鬼だ。
それでも、一人でいることに恐怖して焦っているのかも知れない、という可能性を理樹は捨てなかった。
アサシンはせめて、様子を見ようという妥協案を提出し、理樹はそれにしぶしぶ頷いたのだが。

『生きている人―――――いますか?』

どうやら孤独を感じ取った様子で、拡声器から生きている人に呼びかけながら移動を開始。
当然、理樹たちも追跡をすることとなる。
白い人形のような少年は本当に無防備だ。理樹は半分、ハラハラしながらその様子を眺め続ける。

「……あんさん、莫迦ではおまへんどすか?」

そんな孤独な彼に声がかけられたのは、半刻後のこと。
そこで現れたのが藤乃静留だった。
太一は現れた彼女を一瞥し、上から下までその姿を眺めていた。まるで、何かを警戒して見極めようとしているように。
理樹には彼らの会話までは聞き取れない。拡声器越しに会話をするような暴挙はしないようだった。
いや、正確には静留が太一に拡声器を使うことをやめさせたのだが、会話が聞こえない理樹にはそんなことは分からない。

「アサシンさん、見たところ大丈夫みたいだし……接触するよ」
『うむ……だが、細心の注意を払うことだ。これは暗殺者としての勘だが……あの男、危険な気がする』

暗殺者としての勘ってどんなものだろうなー、と思いながら理樹は彼らに合流する。
二人が同時に理樹を見やると、ずかずかと接近して一言。


「お前は人間か? 人間なのか?」
「あんさん、なつきって子を知りまへんか?」


とりあえず、理樹はまず頷くべきか首を振るべきかを迷うこととなった。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「で、あんさんもなつきを見てはやらへんわけですな?」
「うん、ごめんね。僕は見てないや」
「ところで理樹、スカートをめくっていいか? エロ大王の名の下に」
「全力全開で断るよ」
「理樹はんの連れ、その人は知ってらっしゃるやろか?」
「いいか、あの会場にいたあの双子はエイリアンなんだ。人間の姿に変装して、地球を侵略しようとしているんだ。分かっているか?」
「ああぁぁあああっ!!! 待って! お願いだからちょっと待ってよ! 真面目な質問と変な質問をいっぺんにしないで!」

で、今のこの状況。
採石場から北東に上がりながら、この二人と情報を交換している。
ざっとまとめていくと、こうだ。

黒須太一。人間を仲間、エイリアンを敵と判別する変人。
発言はさっきからふざけたことが多い。人の話が通じないところは真人にも似ている。断言しよう、彼は生粋の変人だ。
世界平和、なんとも素敵なことだが……エイリアンというのは突飛過ぎる。多分そっちのマニアか何かと思う。

藤乃静留。玖我なつきという人を捜している女の人。
質問のほとんどがその捜し人のことで、本当に彼女のことを大切に思っていることが分かる。
曰く、情報収集を終えたらお別れらしい。一緒に同行したいところだけど、結構な辛口で断られてしまった。

「……ねえ、アサシンさん。これからのことなんだけど」
『とにかく、リキ殿は仲間を捜しだしたいのだろう? ならば情報を集めることだ』

トランシーバーでアサシンさんと会話する。
ちなみに彼の説明も『連れ』の一言で簡略的に済ませてしまった。何しろ見た目が見た目なだけに、太一あたりが騒ぎそうだ。
まあ、本人曰く『ただの人間には右腕がなくても負けない』らしいけど。

「あっ……そうだ、二人とも。侍姿の男に気をつけて。黒い髪で腕が四本ある侍なんだけどね」
「……腕が―――――四本?」

ぞくり、と。
何か妙な違和感と潜在的な恐怖を感じた。
あれは、太一だろうか。人形のような印象を受ける瞳が、なんだか恐ろしいように感じた。

「えっ、ええと……まあ、気をつけて、と。僕の友達にも侍っぽいのいるけど、白い髪で、腕はちゃんと二本しかないから」
「なあ、理樹はん。一応、理樹はんの連れかて話を聞いてみたいんせやけど」
「う、うん……アサシンさんも、なつきのことは知らないらしいんだ」
「いや、もう言ってしまいましょ。どなたはんかに監視されてるってのは気に入らへん。出てこさせておくんなはれ」

確かに連れだなんだと言って、このルール無用の殺し合いの舞台で一人だけ姿が見えないのは気持ち悪いだろう。
しかも名称はアサシン、暗殺者だ。不意打ちなどを藤乃さんが連想するのも無理はない。
太一の反応が心配だけど……アサシンさん、人間じゃなさそうな外見だし。
だからと言って、ここで断りでもしたら不審に思われてしまうのも無理はない。警戒……最悪は疑心暗鬼の末に殺し合い、なんて莫迦らしい。

「……アサシンさん、出てこれる?」
『全力で断る。暗殺者が姿を現すなど、愚の骨頂』
「うーん……」

アサシンさんの言うことも正論だ。僕としては、彼に協力してもらっている以上、強くは言えない。
藤乃さんは自身を暗殺者、と自称するアサシンさんに多少なりとも警戒心を抱いたらしく、難しい顔をしている。
太一のほうはどうだろう……と、視線を太一がいた方向に向けた。


彼の姿は何処にもなかった。


「……あれ?」
「おんや?」
『むっ、いかがした、リキ殿……おっ、ォォオオッ!!?』
「アサシンさんっ!?」

トランシーバーの向こうから響く騒音が、僕を更に困惑させた。
突如、消えた黒須太一。エイリアンを打倒すると言い、そして四本腕の侍……明らかに人外な男の話を聞いたときの、あの瞳。
そしてアサシンさんの困惑と、トランシーバーとすぐ近く、両方の耳が聞きつけた銃声がふたつ。
まさか、と嫌な予感に理樹の背中が冷や汗に濡れる。

「っ……アサシンさんッ!」
「あっ、ちょっと理樹はん!」

嫌な予感を強引に拭いつつ、銃声の方向に僕は走る。
もしもの事態を考え、手には鋼鉄チタン製の傘、カンフュールを握り締めて。
後ろから呼び止めようとする藤乃さんの声も気にならなかった。一秒でも早く、僕はアサシンさんのところへと走っていく。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「はっ……!」

黒須太一がその存在に気づいたのは、偶然ではなかった。
彼は勘の鋭い男だった。飄々とした彼の態度は四本腕のエイリアンの話を聞いたときから、変貌を始めていた。
鋭く研ぎ澄まされた神経。それが今まで自分たちを監視していた『エイリアン』……敵の姿を理解した。

理樹たちがトランシーバー越しに会話しているのを尻目に、彼は走る。
世界平和のため、エイリアンを残らず排除するために。ちょっとしたヒーローの心境で気分は向上中だ。
気配を悟られるな、今の自分は暗殺者のように。疾きこと風の如く、静かなること林の如く――――そして攻めること火の如く。
手には拳銃とナイフ。あくまで銃は牽制だ。彼の脳内設定による検索、一番の有効はナイフで切り裂き、一気に葬ること。

―――――見つけた。

髑髏の仮面に黒タイツ、右腕は奪われたエイリアンだ。
なるほど、彼の存在は希薄。まるで意図的に気配を遮断しているかのような素振りはまさに暗殺者の名に相応しい。
彼自身の油断と制限、そして太一の異常なまでの気配察知能力がなければ、存在を感じ取ることも難しかっただろう。

「むっ、いかがした、リキ殿……おっ、ォォオオッ!!?」
「シッ―――――!!」

頭の中に抱く自分のイメージはアサシン(暗殺者)。
こんな雄たけびをあげるだろうと実践しながら、右手のナイフを閃かせる―――回避された、めげずに拳銃にて追撃。
響く銃声と放たれる弾丸、これもアサシンは紙一重で避けてみせた。
いかに不意打ちを打たれたとはいえ、アサシンはこの世の神秘とも言えるサーヴァントの一人。人間が勝てる道理はない。
だが、アサシンとしてのお株を奪われたということは、酷く彼の矜持を穢したらしい。

「き、サマ――――!」

憤るアサシン。しかし太一の反応はない、彼は自分の世界に浸っている。
先の動きで目の前のエイリアンを強敵と認識、並の四体まで同時に相手できる雑魚ではなく、ボス格と心の中で定める。
異文化交流は素晴らしいことだが、一瞬の油断はゲームオーバーの引き金になるだろう。
だが、決着は意外に簡単につくことになる。

「待って! やめてよ、太一! アサシンさん!」

直枝理樹が追いついてきた。
その背後には藤乃静留の姿もある。彼女はアサシンの異様な姿に眉をひそめたが、それだけだ。
だが、太一はその決定的瞬間を見逃さなかった。
最初に瞳に映したとき、静留は何も持っていなかった。これは確かだ、間違いない。断言してファイナルアンサーだ。
しかし、彼女が自分の姿を認識したとき、その手には別のものが握られていた。

「殉逢――――」
「えっ……?」

少年の疑問。じゅんあい、と綴られた言霊と同時に、青色に輝く鞭が彼女の手に握られていたのだ。
殉逢、藤乃静留のエレメント。彼女の武装だ。
これはあくまで、凶器を振るう黒須太一の姿を警戒して取り出しただけのものである。誤解と分かればすぐに消すはずのものだった。
だが、普通の人間にはない超常現象。アサシンのような見た目ではなく、人間の姿をしたソレが引き起こした奇跡。

「ああ――――」

アレハ ニンゲンノ スガタヲシタ エイリアンダッタンダ。

そうだ、エイリアンは人の真似をするに決まっている。
彼女はエイリアンだった。この髑髏の男も見た目通り、エイリアン。ならば――――髑髏の男を庇うこの『少女』も。
どいつもこいつもエイリアンだったのだ。世界征服をたくらむ侵略者に違いない。

目的は何だ―――――――いち早く、エイリアンの目的に気づいた自分を殺しに来たのだ。

「ははっ―――お前らも、エイリアンだったわけか……」
「太一……?」

呆然とした理樹の姿を改めて見る。
よく、似ている。本当に騙されていた。まさに見た目は人間そのものだ。本当にエイリアンは演技がうまい。
まさか女の子に化けて、自分に接触してくるとは脱帽だ。
ここで倒さなければ。数少ないだろう人類として。立派な殺し合いという選択肢を手に入れた怪物と踊り狂おう。

「ねえ、太一……?」
「理樹はん、下がって!」

無防備に近づいてくる若輩者のエイリアンの首めがけて、思いっきりナイフを振り下ろした。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「うあぁ……!!」

突然、突き飛ばされて地面を無様に転がる。
静留は理樹を突き飛ばしたのち、殉逢を構えて黒須太一に相対する。
本当はここで時間を食っている場合ではない。すぐにでも最愛の人、なつきを捜しにいきたい。それが本音だった。
だが、エレメントを見た瞬間、あの男の目つきが変わった。明らかな敵意、明らかな殺意を感じ取った。

(なつきに危害を加える可能性があるなら、ここで始末させとっただきます……!)

幸い、向こうもこちらを敵と認識した。なら遠慮はいらないだろう。
たかが一般人になど負けるはずがない。エレメント、などとケチなことは言わずにチャイルドで一気に喰らい尽くして―――

「……?」

だが、チャイルドを使用することができなかった。
一瞬の動揺、この殺し合いを計画した黎人の説明を今更ながらに思い返した――――超人には制限を設ける、と。
つまり、藤乃静留に許されたのはエレメントである殉逢のみ。
前もって確認しておけば、という後悔を動揺も込みで二秒以内に済ませた―――――が、その二秒は絶対的な隙になる。

「シッ――――!」

閃く銀の一撃、追撃する銃弾。
絶妙なまでのコンボに静留は後退する。だが、さすがに銃弾の回避までは不可能だった。
痛みに耐えるため、歯を食いしばる。こんなところで負傷するのは計算外だ、などと心の中で思いながら。
だが、痛みは来ない。

「静留さんっ……大丈夫?」
「理樹はん……? それは?」

展開したのはカンフュール。防弾性能を誇る鉄串傘。
理樹には突然、太一に襲われたことに対する動揺は少なからずあった。
だが、それ以上に殺し合いを止めなければ、という強迫観念にも突き動かされた結果がそれだった。
理樹に武術の心得も、戦いを勝ち抜く経験もない。ただ、ここで退く選択肢だけはなかった。

だが、悲しいかな。
藤乃静留は理樹を信用しきれなかった。
あのアサシンという男は明らかに殺人鬼だ。そんな彼と行動を共にしている理樹に信を置くことはできなかった。
静留にとって黒須太一は敵だ。直枝理樹、そして骸骨の面の男も味方でも仲間でもない。
最悪、あの骸骨の男は理樹を騙している可能性だって否定できないのだから。

「ぐっ……うあっ!?」

太一のナイフが理樹を襲う。
彼の身体能力は一瞬とはいえ、サーヴァントであるアサシンに奇襲を仕掛けるほどの腕前だ。

「あ、アサシンさん、援護を……!」

返事はなかった。
反応もなかった。
そして理樹が不審に思って振り返った背後に―――アサシンの姿もなかった。

「うそ……」

逃げた、と――――そんな絶望感が頭によぎった。
自身の生存を最優先すると彼は言った。
ということは。
ならば。
彼は自分を置き去りにして逃げた、ということになる。援護はない、助けはこなかった。

「アサシンさ……ガッ!?」

その、素人丸出しの絶対的な隙を狙われないはずがない。
太一が得意とするカラデによる一撃、胸に受けた衝撃に理樹の身体は勢いよく吹っ飛ばされた。
まずは一人目、と太一は謡う。絶好調な機嫌、高笑いが漏れそうだ。
さあ、次はと太一は辺りを見渡して……既に静留の姿がないことに気づいた。理樹が敗れたと悟った瞬間、彼女は退却していたのだ。

「逃がすか」


     ◇     ◇     ◇     ◇


(堪忍な、理樹はん……うちはなつきを捜さんといけへんのや……!)

彼女の優先事項は全てにおいて、玖我なつきを優先しなければならない。
なればこそ、非情にも静留はその場より立ち去った。
なつきさえいればいい。他の誰が犠牲になろうと構わない。まずはなつきを抱きしめてやりたい、ただそれだけだった。
真正面から戦って黒須太一を打ち破ることはできる。勝率は9割以上だ――――だが、無傷かどうかの自信まではない。

確実策を取ったはずだ。
チャイルドは使えない。ならば無理をせず、なつきと合流する手段を。
夜の森を走る。背後から誰かが迫ってくるという予感に、気を配っていた。それだけに集中していたのだ。

「――――っ、痛ぁっ―――!」

だから気づけなかった。
闇夜に紛れる殺意、命を狙う暗殺者の姿に。
ずっと息を潜め、その男は様子見に徹していた。確実に仕留めるために。

撃ち抜かれたのは左手首。いや、本来は胸にめがけて弾丸は飛来していた。為す術もなく、静留は死ぬはずだった。
その未来を静留は強引に身体を捻ることで塗り替えたのだ。それだけでも感嘆に値する。
だが、それだけでは足りなかったので、殉逢で弾丸を弾き飛ばそうとした。結果、弾の威力は落ちた。直撃なら手首はなくなっていたに違いない。

(なんや……? 避けられへなんだのか……)

激痛は決して悲鳴にするようなことはせず、気丈に静留は歯を食いしばる。
そうして一分、辺りを見渡した静留の背中に殺意が叩きつけられる。

「逃がすかよ、エイリアン」

何故、とは思った。
理樹はもう始末してきたのだろう。太一は背後でニヤリと笑って距離を詰める。
状況は芳しくない。背後には太一、そして森に潜むは暗殺者。
左腕からは生きるために必要なものがどんどん流れていく。

「はっ……」

静留は息を吐く。それを合図に太一がナイフを閃かせて襲い掛かった。
まだ死ねない、死んではいけない。なつきを捜さないと、守らないと。そんな想いに身を焦がしながら。
右腕でエレメントである殉逢を振るうが、どうしても集中できない。左腕の激痛と、森に響く銃声が静留の精神力を削っていく。
冷静さを失うな、と自身を鼓舞するが効果は薄い。見えない敵と目の前の男の対応、動くたびに失われる血液。

(なつ……き……)

ダメだ、こんなところで倒れてはいけない。
いけないのに、身体に力が入らなかった。そんなはずがない、と静留は奮起して……やがて、倍以上の苦痛が帰ってくる。
こんなはずがない、いつも通りに身体が動かない。これが制限、これが設けられた制約。静留はそれを甘く見すぎていたのだ。
やがて静留は追い詰められた。
背後には崖、下は湖。落ちても底が深いなら死にはしないと思うが……左腕の状態を考えれば、出血多量で死ぬだろう。

追い詰めた、と太一は笑う。

このまま敗北するのは静留の矜持が許さなかった。
振り上げられるナイフ。どうやら彼は銃を持っていてもナイフを使うようだ。その一撃は素人の物ではなく、熟練した殺人鬼のよう。
静留は咄嗟に、太一の右腕を強かに殉逢で打ち据えた。
激痛に顔をしかめる太一。彼に自分から接近すると、静留は回し蹴りで男の脇腹を打ち据える。

「ぐっ……」
「それほな、さいなら!」

直後、太一の胸にもう一撃。
崖のすぐ近くで行われた攻防は、静留の勝利に終わった。太一は崖へと転落する我が身を省みて、驚愕の表情で凍りつく。
だが、やはり気づくべきだったのだろう。黒須太一の執念に。
敗北を象徴するかのように墜落する太一の腕が伸ばされる。静留が右足に違和感を感じたときは手遅れだった。

「あっ―――――」

地獄へと堕ちる亡者が、妬みと共に生者を引きずり込むかの如く。
ずるり。命ある者が踏みとどまる場所から滑り落ちる。その身体が浮遊感を感じたとき、あっさりと彼女は死を受け入れた。

(なつき……すまんなぁ……)

最期まで考えるのは最愛の彼女のこと。
助けることはおろか、出逢うことすらできなかった。なつきは自分の死に悲しんでくれるだろうか。
無事な右腕は最後まで地上に向けて伸ばし続ける。生き足掻こうと、諦めない姿勢だけは貫き通そうという意思を示すために。
誰も掴まない、決して救われないと分かっていながら。

「届けぇえええええっ!!!」


だから、その光景は現実味がなかった。
もう諦めてしまったはずの命を、少年の手は繋ごうとしてくれたのだから。


     ◇     ◇     ◇     ◇


さて、時間を少し戻そう。
夜の闇に男は潜んでいた。コルト・ローマンという名の凶器を構えた黒髪の男だった。
男は名をツヴァイと言った。本名は吾妻玲二。
それ以上でもそれ以下でもない、とあの眼鏡の腹話術士は言っていたので、今回はそれを利用させてもらう。

彼はこの二時間、体力を消費しないように行動しながら南西を目指していた。
キャルを捜しだし、邪魔者を排除するためにも行動あるのみだった。
誰にも気配を悟られることなく、暗殺者としての正しい姿のまま。出逢った相手は見敵必殺、この銃で撃ち殺すと。
そうして根気よく数時間の暗躍、ようやく得物に巡り合えた。

「………………」

標的は全部で三人。
黒髪の純朴そうな少女、ロングストレートの背の高い少女、そして白い髪の人形のような少年だ。
どうやら、彼らは争っているらしい。この場で撃ち殺すのは容易いが、できるなら同士討ちを狙いたいところだ。
そうして静観、やがて黒髪の少女が倒れ、そして少女のほうが退却していった。

(よし……)

標的はあの女だ。夜の森、闇の中に自身を隠蔽する。
確実に仕留めよう。狙いは胸、走っているが問題ない。この程度なら簡単に撃ち殺せる。
絶対の死を叩きつけようと放たれた弾丸。
それは藤乃静留という少女の反則染みた反射神経と体捌きにより、左腕を撃ち抜くのみに留まった。

(ちっ……外したか……完全に撃ち抜いたなら、手首くらいは吹っ飛ばすはずなんだがな)

使用している弾丸はマグナム弾だ。
どんな手品を使ったのか知らないが、効果は薄かった。ならばもう一撃を、というところで銀色の髪の少年が追いついてきた。
ツヴァイ、吾妻玲二は思考を切り替える。
即ち、銃声でこちらの居場所が把握された可能性も考えれば、深追いする必要はないと。


「よし……ここは好きにさせて、理樹とかいう女にトドメでも……」
「ほほう、それは聞き捨てならんな、狙撃手(スナイパー)」


刹那、玲二の思考が凍りついた。
そんなはずはない、気配を感じなかったとはいえ、ここまで接近されるはずがない。断じてないはずだ。
だというのに、そいつは。
お前の命など最初から手中にある、と言わんばかりに背後から……それも木の上に潜んでいた。
白い仮面の髑髏が哂っていた。

「何者の気配を感じていたからこそ、私も姿を消していたのだが……仮にも協力者を害するというならば、始末せねばならんな」

アサシンは逃げたのではなかった。
自身が争いの原因になったことを即座に判断、その場より退場した。
だが、それだけなら理樹の援護に気を配れていた。自分たちを殺そうと舌なめずりをする第三者の存在がなければ。
結果的にアサシンは玲二に気を配るしかなかった。元より協力関係とは言え、あの程度の苦境は一人で乗り越えてもらわないと困る。

「お前、何者だ……!?」
「なに、ただの暗殺者に過ぎぬ。ただし……貴様ら人間とは立ち位置が違うがな」

玲二はコルト・ローマンを片手に飛び移る。
彼の第六勘が奴は危険だと告げている。そしてそれは限りなく正しいのだろう。
本来なら闇に潜むべき彼らは、こうして直接戦うことの異常さをお互いに確かめ合いながら。

「行くぞ、名も知らぬ同業者よ――――現代の技術がどの程度のものか、見せてもらおうか」

現代の暗殺者と神代の暗殺者。
玲二が牽制として放つ銃弾を戦いの合図にして、彼ら二人は殺し合いを開始した。


     ◇     ◇     ◇     ◇


崖っぷちとはまさにこのことだろうか。
静留の右手首をしっかりと繋ぎ止めた。生と死の境目に彼らはいる。
彼女の瞳には呆然と、己の手を繋ぎとめてくれた少年の姿が映し出されている。

「ぐっ……うぐっ……」
「な、なにしてるんどすか、理樹はん……?」

静留は呆然と呟く。
彼女の足には太一がしがみ付いていた。お前も堕ちろ、と死人のように凄惨な笑みが見えた。
繋ぎとめる理樹の両腕は、二人分の体重を支えている。歯を食いしばりながら、決して離すものかと鼓舞している。
その姿が静留には分からない。

だって、自分は理樹を見捨てて逃げたはずだ。
恨まれることはあっても、助けられるはずがない。そんな道理はないはずだ。
このまま手を離せば、少なくとも見捨てた自分は死ぬ。そして足元にしがみ付く黒須太一も排除……少なくとも、撃退はできる。

「うっ……あっ……!」
「理樹はん……辛いんか? 辛いんやろ?」

当然だ。
下手をすれば自分も崖に落ちる。
その上で二人の体重を支えるなど、苦痛以外の何物でもない。
せめて太一だけでも突き落としたいが、残った左腕でエレメントは使用できない。静留には何もしてやれない。
そう、静留に打開策はない。理樹には自分たちを引っ張りあげる力はない。
歯がゆかった。自分には何もできない。なつきを自分の手で絶対に助け出したい。だが、自分の命さえお人よしな少年の手に握られたままだ。

これは地獄に垂らされたクモノイト。
亡者がたくさんしがみ付けば、全員が落ちてしまう儚き希望。

「……離しても、ええ」

そう、本当ならとっくに落ちていたのだ。
だからせめて、この機会を有効活用しよう。人の足に無礼にもしがみ付く男を連れて行こう。
自分の手で助けたかったけど、その役目はこのお人好しに譲ろう。どう足掻いても自分は助からないというのなら……せめて。

「そん代わり、離すならなつきのことを……」

頼みたい、と。
託すべきこと自体が間違っているし、静留自身も本来ならなつきのナイト役を人に明け渡すなどごめんだ。
だけどそれが最上の策というのなら。
なつきのことを真剣に思っているのなら、自分の命よりもなつきの安全を。

だけど、その願いは叶わなかった。

「離さない……」
「理樹はん……?」
「嫌だ、絶対に離さない……そんな自己犠牲は許さない、許したくない……!」

この手は決して離すものか、と。
理樹は決死の誓いをこめて、静留の手を手放さない。

「勝手にそんな重いものを託さないでよ……自分の手で掴んでよ……!」

強く生きる、と誓った。
どんな障害にも負けないよう、強く生き続けることをかつての仲間たちに誓った。
だからどんな悲劇が起きても我慢できるぐらいに、心は強くなったはずだ。いずれ、この別れも乗り越えていけるかも知れない。
だけど、違う。
これはそういう問題じゃないのだ、と理樹は訴える。

「乗り越えられるから、諦めてしまうなんて間違ってる……絶対に、それは違う!」

そうだ、我慢できるから受け入れるのは前提が間違ってる。
まずは己で最善を尽くさなければならない。諦めてはならない。ベストを尽くして、自分の出来ることをしなければ。
後悔も、悔恨も、全てはその後で行うこと。そんな未来のことに意識なんて避けなかった。
まずは行動しろ、言い訳は全て飲み込んでしまえ。

その強さを、直枝理樹は大切な友人たちに教えてもらったのだ。
だから絶対に手は離さない。そうだ、離すはずがない。
友人たちが教えてくれたことを、理樹は身を持って実践する。仲間に再会したとき、自分の意志を誇れるように。
そして何より、その強さをくれた仲間たちを誇らしげに語れるように―――!

「やけど……」

理樹一人ではどうしようもない。
彼は何処かのヒーローというわけではない。ただの高校生、一般人に本来過ぎないのだ。
火事場の莫迦力になど期待はできなかった。

「大丈夫……僕一人じゃどうしようもないけど……でもっ……」

まだ希望はある、信じていることがある。
それは可能性としては薄いかも知れない。取るに足らない淡い期待に過ぎないのかも知れない。

「僕にはまだ仲間がいる、アサシンさんがいる、彼が帰ってきてくれることを信じてる……!」

それは悲痛な訴えにも聞こえた。
あまのにもか細い、蜘蛛の糸。それに縋る亡者たち。静留の足に掴まっている太一は終始無言で上を見上げている。
彼の隣にはトランシーバー。
そこに願いを託し続ける。危難とは一人で乗り越えるものではない。仲間や協力者に頼ることは恥ではない。

「だから、アサシンさん……早くっ……!」

何度でも、理樹は頼み続けた。
逃げてなどいない、と……心に残った不安を振り払って、願い続けた。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「ぐっ……」
「どうした、現代の暗殺技術はこの程度か」

戦いは圧倒的だった。
玲二の技術は人間にしてはずっと高い。射撃の腕前はもちろん、武術にだって遅れは取らないはずだ。
だが、それを差し引いても目の前の強敵は圧倒的だった。

「くそっ……!」

銃声が響く。木と木の間を高速で這うように移動するアサシンを狙うが、当たらない。
代わりに飛来するのは木彫りの星だ。
まるで莫迦にされてるが、これが例えばナイフであったなら……玲二はその仮定を考え、心臓を震わせる。
彼は知らないのだ。
相対しているのは中東の反英雄、人の身から外れた規格外の存在。
真名、ハサン・サッバーハ―――――暗殺者=アサシンの語源ともなった、玲二たち闇に生きる者を体現した存在である。

「さて、ではそろそろ終わらせるぞ」

アサシンの手に握られる切り札、バルザイの偃月刀。
避けられでもしたら面倒だったのだが、この詰み将棋のように進めていき、最後に切り札でトドメを刺す。

さあ、幕を引いてしまおう――――その思考を、一人の少年の叫びで破られる。

『僕にはまだ仲間がいる、アサシンさんがいる、彼が帰ってきてくれることを信じてる……!』
「っ……!」

懐にしまっていたトランシーバーから綴られる断続的な叫び、強い信念。
なんというお人好しか、とアサシンは舌打ちした。
彼は素晴らしく愚かな男だ、と貶してさえみせた。そのような生き方で長生きなどできるはずがない。
だが、それ以上に。そんなこと以上に。

信頼してくれる、という事実にブリキの心が歓喜している、ということが気に入らなかった。

そう、その言葉が不覚にも嬉しかった。
だから仕方ないのだろう。即座に目の前の暗殺者の存在を放置し、すぐに背中を見せてしまったことも。
そうだ、すべてはあの少年が……理樹という少年が悪いのだ。

『だから、アサシンさん……早くっ……!』

悲痛とも呼べる叫びに。
裏切られたと誤解されるような状態でも信じ続けた主に……アサシンは白い髑髏の仮面に歓喜を乗せる。


「御意」


     ◇     ◇     ◇     ◇


もう限界だった。
二人分の体重は非力な少年に支えられるものではなかった。
必死に呼びかける。静留はその光景が虚しいとも思った。あの黒タイツの男は彼をおいて逃げてしまったのに、と。
だから、理樹の表情が喜びに輝いたとき、静留はもう一度驚くことになる。

「無茶をするな、我がマスターよ」

黒い、長い腕。
大体の事情はトランシーバー越しに理解している。理樹が静留を助けようとしていることも、白い少年が敵だということも。
人外の膂力を持って一気に静留を引っ張りあげた。
そして彼らを害そうとした主の敵に、アサシンは最大限の侮蔑と共に言い放った。

「この尊き蜘蛛の糸、貴様は触れることすらおこがましい――――失せろ」

投擲されるヒトデを顔面に受けた太一は、一人で崖へと転落していく。
叫びはない、少年は静かに狂いながら堕ちていく。
その様子が異常といえば異常だった。黒須太一は理樹たちを一瞥すると、薄っすらと笑みすら浮かべて落ちていった。

(こんなにエイリアンがいるとは思わなかった。一人じゃどうしようもないかもな)


静かに太一は狂い続ける。
エイリアンの姿と名前は覚えた。奴らの世界征服を止めなければいけない。
だが、手強かった。一人ではどうしようもないかも知れない。
ならばどうするか――――決まっている、エイリアンとの単独の戦いを避け、人間の仲間を増やし、彼らの危険性を伝えて回るのだ。

今回は負けた、だがしっかりしろ黒須太一。
戦略的撤退に過ぎない。最後に勝つのは自分たち人間だ。この経験を次に生かせ。
彼自身の歪みを唯一彼は観測できないまま、湖へと思いっきりダイブした。


ああ、畜生―――――冷たいじゃないか。


【D-4 湖/1日目 早朝】
【黒須太一@CROSS†CHANNEL】
【装備】:サバイバルナイフ
【所持品】:支給品一式、拡声器、グロック19(拳銃/弾数15+1/予備48)
【状態】:健康、疲労(中)
【思考・行動】
 基本:『人間』を集めて『エイリアン』を打倒し、地球の平和を守る
1:拡声器を使って、人と交流する
2:『人間』をたくさん仲間にし、エイリアンたちを打倒する
3:『支倉曜子』『山辺美希』『佐倉霧』と出会えれば、仲間になるよう説得する

※太一の言う『エイリアン』とは、超常的な力を持った者を指します。
※登場時期は、いつかの週末。固有状態ではありません。
※直枝理樹(女と勘違い)、真アサシン、藤乃静留をエイリアンと考えています。
※何処に流れ着くかは後続の書き手さんに一任します。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「じゃあ、本当に行ってしまうんだね?」
「ああ、すまんなぁ、理樹はん。あんさんかて捜したい人がいるように、うちも捜したい人がいるんや」

左腕の応急処置の後、静留はそう言って理樹たちと別れることにした。
お互いに捜している人に出会えたら伝えること、二人で別々の道に行ったほうが逢える可能性も高くなるからだ。
理樹はこのまま北上、静留は南下する。
また出逢えればいいね、と理樹は言った。静留もそのときはお互いの大切な人を見つけられたらええな、と返した。

「……ふう、行っちゃったか。まあでも、大きな前進だよね」
「そうだな。ところでリキ殿、ひとつ聞きたいことがある」

なにを、と理樹は首をかしげる様子に大真面目に頷きながら、聞いてみたかった言葉を尋ねた。

「何故、私を信じられた? あの状況なら私が逃げたと思わなかったのか?」
「思ったよ、ついでにちょっと怒ってたりする」
「む……」

至極あっさりと言われてしまった。
だが、アサシンの疑問は尽きない。そんな状況で何故、自分を信じようと思ったのか、その回答を貰っていない。

「だから、話を聞かせてもらうよ。どうしてあの場でいなくなったのか、歩きながらね」
「……むむむ」

結局、回答は保留される。いつか答えてくれるのだろうか。
あと一時間もしないうちに放送が流れる。そのとき、理樹はどんな行動をとるだろうか。まだ信念を持っていられるだろうか。
興味は尽きない。
もしや、教えてくれるのではないか、と。そんな期待が否めなかった。

「……ところでさ、アサシンさん」
「なにかな、小僧殿」

非常にそれがなんだか腹立たしかったので、小僧殿と呼ぶ。
理樹は微妙な表情のまま薄く笑うと、そのまま意気消沈にも似た表情で呟いた。

「……僕、誰からも男扱いされなかった気がするんだけど……」
「…………なに、些細なことだ。気にするな」

彼のデイパックの中には女性用の下着が何枚か。
静留は別れ際にこんなことを言っていた。

『理樹はん、女の子なら男モンの下着を履くもんやあらへん。ほら、ちびっと分けてやるから、それを履きやす。……うん、遠慮いらんよ、礼そやさかいに』

理樹は何枚か渡されたショーツが入っているデイパックを少し眺めて。
ほんの少しだけ泣くことにした。



【C-5 森 早朝】
【直枝理樹@リトルバスターズ!】
【装備:カンフュール@あやかしびと -幻妖異聞録-、聖ミアトル女学院制服@Strawberry Panic!、トランシーバー】
【所持品:支給品一式、不明支給品0~1(武器ではない)、謙吾のバット@リトルバスターズ!、濡れた理樹の制服、女物の下着数枚】
【状態:健康、服装により精神的苦痛】
【思考・行動】
 基本:仲間と脱出する。殺し合いはしない。
0:……これじゃド変態まっしぐらだよ…… orz
1:このまま北上する
2:真アサシンと協力し、リトルバスターズの仲間を探す。
3:誰かと会ったら侍(名前は知らない)について注意と、謙吾との違いを説明する。
4:真アサシンと敵対関係にある人(特に間桐桜)には特に注意して接する。

※参戦時期は、現実世界帰還直前です。
※アサシンの真名は知りません。
※黒須太一を危険視。静留と知り合いについて情報交換しました。


【真アサシン(ハサン・サッバーハ@Fate/stay night[Realta Nua]】
【装備:バルザイの偃月刀@機神咆哮デモンベイン、木彫りのヒトデ44/64@CLANNAD、トランシーバー】
【所持品:支給品一式】
【状態:右腕(宝具)切断】
【思考・行動】
 基本:無理せず自己防衛。生存のために協力。
0:……ぽんぽん(肩を叩いてやる)
1:理樹と協力する。
2:理樹の信念が折れた(優勝を目指す)なら殺害。それまでは忠義を尽くす。
3:気配を隠しながら周囲を監視する。
4:理樹に若干の興味。

※参戦時期は、桜ルート本編死亡後です。
※右腕の喪失により、妄想心音が使用不可能です。 制限に気づきました。
※木彫りのヒトデを星だと思っています。説明書には「木彫りのヒトデ。参加者贈呈用」と書かれています。
※トランシーバーは半径2キロ以内であれば相互間で無線通信が出来ます。


     ◇     ◇     ◇     ◇


ツヴァイは夜の森を移動していた。
あの骸骨の仮面の男が逃げたのか、見逃してもらったのかは分からない。だが、それは大きな間違いだ。
彼らの背後に忍び寄る。先ほどの礼だ、奇襲ならば問題なく倒せるはずだろう。
玲二は理樹たちから少し離れたところで銃を構えた。暗殺者らしく、確実に一撃を。

「おっと、そうはいきまへんえ」

直後、己を目指して飛来するレザーソーを玲二は見た。
咄嗟に身をかがめて避け、自身を葬り去ろうと画策する女性の姿を瞳に映す。

「…………」
「左腕の仇と、貰った恩……ここで返しとかな気持ち悪いわ」

互いに戦闘態勢は整っている。
もちろん、話し合いで解決する気など毛頭ない。それでも一瞬の静寂があったのは、ただひとつの質問のため。

「キャル=ディヴェンスって子を知らないか?」
「玖我なつきって子、知りまへんか?」

互いの捜し人を尋ね、そしてそれは意味もなく終わる。
ならば問答は無用だろう。静留は先ほどの礼と……そして、理樹への借りを早々に返すため、殉逢を展開する。
本来ならなつきを捜しに行くのだが……放っておけば彼は理樹たちを襲う。静留の恩返しはこの男を撃破することと定める。

「ほな、これからアンタを殺すんせやけど……堪忍な?」
「はっ……」

乾いた笑いが合図となり、互いに互いを必殺せんと立ち向かう。
銃声が響く、木を穿つ音が木霊する。
やがて太陽が昇り始める。島に訪れて初めての太陽が彼らを照らし始める時刻、二人は戦闘を開始した。



【C-4 橋近くの森/1日目 早朝】
【藤乃静留@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備:殉逢(じゅんあい)】
【所持品:支給品一式、虎竹刀@Fate/stay night[Realta Nua]、玖我なつきの下着コレクション@舞-HiME 運命の系統樹】
【状態】疲労(小)、左手首に銃創(応急処置済み)
【思考・行動】
基本:なつきを探す。
0:目の前の男に倍返し

1:なつきに関する情報を集める
2:1のために町へ行く
3:とりあえずゲームには乗らない。しかし乗っている相手には容赦しない

【備考】
※下着コレクションは使用可能です。
※理樹を女だと勘違いしてます。
※詳しい登場時系列は後続の書き手さんにお任せします


吾妻玲二(ツヴァイ)@PHANTOM OF INFERNO】
【装備】:コンポジットボウ(13/20)。コルト・ローマン(6/6)。予備の弾丸(27/36)
【所持品】:支給品一式×2。コンバットナイフ、レザーソー@School Days L×H
【状態】:疲労(中)。右手に小さな蚯蚓腫れ
【思考・行動】
0:目の前の女性を殺害する、ただし無理はしない
1:キャルを見つけ出して保護する
2:アインはなるべく敵にしない。
3:他の参加者から武器を奪う。可能ならば殺すが無理はしない。

※身体に微妙な違和感を感じています。
※アインが生きていることに疑問。
※時間軸はキャルBADENDです。
※真アサシン(外見のみ)を強く警戒しています。
※理樹を女だと勘違いしてます。


047:GO MY WAY!! 投下順 049:胸には強さを、気高き強さを、頬には涙を、一滴の涙を。
055:二人目のルースカヤ 時系列順 049:胸には強さを、気高き強さを、頬には涙を、一滴の涙を。
001:Einsatz ツヴァイ 071:暗殺者と蛇のダンス
002:To all people 黒須太一 069:太一の大?考察
011:真逆 直枝理樹 073:影、ミツメル、光
011:真逆 真アサシン 073:影、ミツメル、光
023:愛する人の元へ 藤乃静留 071:暗殺者と蛇のダンス


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