リセエンヌ(後編) ◆UcWYhusQhw
ふう……なれない事はするもんじゃないな。
初めて自分からこんな積極的に話した。
でもあの状況は僕が動くしかなかった。
初めて自分からこんな積極的に話した。
でもあの状況は僕が動くしかなかった。
最悪、キョウもユイコもどうなってか判んないから。
僕のせいで誰か死んで欲しくなかったのだ。
だから僕から動いた。
僕のせいで誰か死んで欲しくなかったのだ。
だから僕から動いた。
手が震えた。
許してもらえるかと。
初めて積極的に会話をしたせいかもしれない。
でも結果は事なきを得ることが出来た。
許してもらえるかと。
初めて積極的に会話をしたせいかもしれない。
でも結果は事なきを得ることが出来た。
よかった。
何もおきなくて。
何もおきなくて。
そんなことを考えてるとユイコたちが帰ってきた。
「待たせたな、クリス君」
「いや……大した事ないよ」
「そうか、ならいい」
「いや……大した事ないよ」
「そうか、ならいい」
ユイコは笑って僕に言った。
続いてウエストさん、キョウが。
キョウは僕の事をまじまじ見つめて
続いてウエストさん、キョウが。
キョウは僕の事をまじまじ見つめて
「これからもよろしくね! クリス!」
「う、うん」
「う、うん」
そうキョウ自身が納得させるようにキョウはそういった。
どうしたんだろう?
ユイコは何かキョウに話したんだろうか?
判んない。
でも追求するまでもないだろう。
どうしたんだろう?
ユイコは何かキョウに話したんだろうか?
判んない。
でも追求するまでもないだろう。
「成程である。青年! 実に面白いである!」
「はい? 僕が?」
「そ~~~うである! 何故そうなるか実に興味深いなのである!」
「は、はあ」
「はい? 僕が?」
「そ~~~うである! 何故そうなるか実に興味深いなのである!」
「は、はあ」
ウェストさんも面白い事を言う。
ユイコと全く一緒だ。
ウェストはまだぶつぶつ何か言っていたが僕は気にする事もなかった。
ユイコと全く一緒だ。
ウェストはまだぶつぶつ何か言っていたが僕は気にする事もなかった。
それにしても随分とにぎやかだ。
こういうとき演奏でもしたいな。
そんなことしてる暇ないんだけど。
こういうとき演奏でもしたいな。
そんなことしてる暇ないんだけど。
あ! そういえば!
「ユイコ! 傷は!」
「……ん? ああ。ウェスト氏に治してもらったよ。どうやら心得があったらしい」
「……ん? ああ。ウェスト氏に治してもらったよ。どうやら心得があったらしい」
そうなんだ。
ウェストさんって結構凄いのかもしれない。
見た目も変だし言動も何処か変だけど。
人は見かけに寄らないものだ。
ウェストさんって結構凄いのかもしれない。
見た目も変だし言動も何処か変だけど。
人は見かけに寄らないものだ。
「え!?」
その時キョウが突然驚いた声を上げる。
なにやら小さな機械を見て声を上げたようだ。
どうしたんだろう。
なにやら小さな機械を見て声を上げたようだ。
どうしたんだろう。
「どうしたのだね杏君?」
「手持ち沙汰になったから今……支給された携帯見てたんだけど……アプリの中にこれが」
「……何々? 『暫定死者』!?」
「手持ち沙汰になったから今……支給された携帯見てたんだけど……アプリの中にこれが」
「……何々? 『暫定死者』!?」
珍しくユイコが焦った声をだす。
そしてユイコがその機械をいじりだして
そしてユイコがその機械をいじりだして
「『このアプリでは死者を放送より先にお知らせします。現在の情報は開始2時間の間の情報です』か」
どうやら死者の発表らしい。
その瞬間全員の空気が変わった。
僕はどうしても嫌な予感がぬぐえないでいるのだ。
その瞬間全員の空気が変わった。
僕はどうしても嫌な予感がぬぐえないでいるのだ。
なんだろう? この体に張り付く嫌な汗は。
そして呼ばれた。
呼ばれて欲しくなかった。
そうずっと願っていたというのに。
呼ばれて欲しくなかった。
そうずっと願っていたというのに。
「『リセルシア=チェザリーニ、以上』」
あ……れ。
おかしいな?
何かおかしい。
おかしいんだ。
おかしいな?
何かおかしい。
おかしいんだ。
雨が急に強くなるのを感じた。
バシャバシャと音が五月蝿い。
そのせいで世界が僕一人しか感じられない。
体がひどく塗れて塗れて何も感じられなくなるぐらいに。
頭が痛い。
のどが渇く。
心がきしむ。
足がふら付く。
体全体が震えてしょうがない。
バシャバシャと音が五月蝿い。
そのせいで世界が僕一人しか感じられない。
体がひどく塗れて塗れて何も感じられなくなるぐらいに。
頭が痛い。
のどが渇く。
心がきしむ。
足がふら付く。
体全体が震えてしょうがない。
ああ
「リセ! ……リセルシア!」
ああ
「嘘なんだよね……リセルシア」
……そうなんだ
「嘘じゃないんだ……そうなんだ」
嘘じゃなくて現実。
もう戻ってくる事はない。
それは死。
確実に会えないのだ。
あの少し小動物に似た少女に。
あの透き通るような笑顔に。
聞き手を安らげるあの声に。
もう戻ってくる事はない。
それは死。
確実に会えないのだ。
あの少し小動物に似た少女に。
あの透き通るような笑顔に。
聞き手を安らげるあの声に。
「ああ……リセ……あ……死……ああああああああああああああああああああああああ」
リセルシアは死んだ。
もういない。
いないんだ。
もういない。
いないんだ。
頭が痛い。
痛い。
吐き気がする。
これが身近なものでもないのに。
痛い。
吐き気がする。
これが身近なものでもないのに。
涙が。
止まらない。
「あああああああああああああ!!! どうして! どうして!」
いたい。
心も、頭も。全部が。
全てが拒絶するような。
この世界が偽りであるような。
心も、頭も。全部が。
全てが拒絶するような。
この世界が偽りであるような。
いたい
涙が滲んで……あれ?
何かが見える。
あれはアリエッタ?
あそこにいるのは僕?
あそこにいるのは僕?
何か話してる?
この後何があったんだっけ?
この後何があったんだっけ?
分からない。
思い出せばいい?
思い出せばいい?
思い出さないほうがいい?
僕は……?
僕は……
「クリス君っ!!!!!」
突然覚醒した。
あれ?
ここは?
ここは?
ああ、殺し合いの場にいて。
そして。
リセが死んだ。
感情が判んない。
僕はどんな顔をしている?
どんな顔でいるんだろう?
どんな顔でいるんだろう?
分からない。
ああ。
どうすればいい?
どうすれば?
どうすれば?
死は。
死は考えさせる事を放棄させるのかなあ?
「クリス君! しっかりしろ! しっかりするんだ」
「ユイコ……」
「ユイコ……」
ユイコが体を震わせる。
そして強く抱きしめる。
まるで僕をこの世界に留まらせるの如く。
僕はここにいなくちゃいけないというように。
そして強く抱きしめる。
まるで僕をこの世界に留まらせるの如く。
僕はここにいなくちゃいけないというように。
じゃあどうすればいいのかな?
僕は何をすればいいのかな?
僕は何をすればいいのかな?
わかんないよ。
僕は生きるためにどうしたらいいのかな?
「ユイコ……死んだんだ。リセっていう僕の知り合いが」
「……そうか」
「可愛くて……何処か小動物なようで……綺麗な笑顔だった」
「……そうか」
「可愛くて……何処か小動物なようで……綺麗な笑顔だった」
そう確実に思う事は一つ。
「こんな所で死ぬ子じゃなかった!」
もっと歌っていたかっただろう。
あの歌を。
アンサンブルもしたかっただろう。
あの場所で。
あの歌を。
アンサンブルもしたかっただろう。
あの場所で。
これからも。ずーっと。
そのはずだったんだ。
なのに。
「どうして……死んだのかな?」
どうしてというそんな疑問が体を襲ってくる。
彼女に死ぬ理由なんてあったかな。
彼女に死ぬ理由なんてあったかな。
あるわけない。
皆、皆一生懸命生きてるのに。
「それはわかんないな。私にも……でもクリス君? 今の君はできる事はある筈だよ?」
「何が……?」
「それは君が決める事だ。リセルシアという子に君ができる事を」
「何が……?」
「それは君が決める事だ。リセルシアという子に君ができる事を」
僕がリセにできる事?
わかんない。
リセの為にどうすればいいのかな?
僕は何をすればいいのかな?
彼女が笑っていられる為に。
その時ふと目に付いたものがあった。
それは僕が長い間いじっていた物だった。
何故こんなところになんて疑問は直に消えて思いついたものがある。
それは僕が長い間いじっていた物だった。
何故こんなところになんて疑問は直に消えて思いついたものがある。
「おもいついた……ユイコ。リセにできる事」
「そうか……」
「そうか……」
ユイコが僕を放すと僕はそれに向かって歩き出す。
一歩一歩確かに。
一歩一歩確かに。
雨が体を激しく打つ。
体がもう悲惨だ。
最も気にしないけど。
だって今はやりたい事があるから。
体がもう悲惨だ。
最も気にしないけど。
だって今はやりたい事があるから。
「ウェストさん……借ります」
「ホワイ? 何故なのである? ってもう持っていってるのである!」
「ホワイ? 何故なのである? ってもう持っていってるのである!」
僕はその道具が入ってる鞄を受け取る。
取り出したのは
そう
取り出したのは
そう
「……フォルテール……こんなところにあったのか」
フォルテール。
僕が三年間演奏していたもの。
変わらない姿で鞄に入ってた。
その時偶然フォルテールに刻み込まれた名前を知る。
僕が三年間演奏していたもの。
変わらない姿で鞄に入ってた。
その時偶然フォルテールに刻み込まれた名前を知る。
ああ。
神様はどうしていつも僕に悪戯をするのだろう?
刻み込まれた刻印それは
『Liselsia Cesarini』
ああ……なんて運命。
ここで僕はリセに会うなんて。
ここで僕はリセに会うなんて。
リセのフォルテール。
彼女にとっては苦痛の何物でもなかったものに。
でも今はちょうどいい。
彼女にとっては苦痛の何物でもなかったものに。
でも今はちょうどいい。
借りるよ。リセ。
なら鞄にもあれがあるはず。
そう思って鞄をまさぐるとあった。
そう思って鞄をまさぐるとあった。
彼女が歌った歌の楽譜が。
これでいい。
これで準備は出来た。
これでいい。
これで準備は出来た。
フォルテールをセットする。
3年間の慣れた手つきで簡単に出来た。
3年間の慣れた手つきで簡単に出来た。
そして予備動作。
軽く鍵盤を叩く。
変わらぬフォルテールの音色。
軽く鍵盤を叩く。
変わらぬフォルテールの音色。
……準備完了。
送るよ。リセ。
君に、君の為に。
僕が君にできる精一杯のことを。
だから聞いて欲しい。
僕が君にできる精一杯のことを。
だから聞いて欲しい。
「……何かひくのかい? クリス君」
「……うん。彼女の為に」
「……うん。彼女の為に」
そうリセルシアに送るこの曲。
どんな感じで響くのだろうか?
どんな感じで響くのだろうか?
わかってる。
多分僕が出せる最高の音色で。
出せると思ってるからだ。
多分僕が出せる最高の音色で。
出せると思ってるからだ。
「……何の曲を弾くの?」
キョウが尋ねて来る。
それはとっくに決まってる。
リセが歌い続けたあの歌。
あの透き通るようなそれでいて心を暖める歌。
リセが歌い続けたあの歌。
あの透き通るようなそれでいて心を暖める歌。
曲名は決まってないんだっけ?
「曲名はないんだけど……そうだなあ……リセの為に送る曲……いやあれはリセそのもの曲」
あの歌はリセしか歌ってなかった。
そしてリセの為。
そしてリセの為。
だからこう告げる。
その曲名は。
「リセに送る曲……リセエンヌ」
どうか。
この曲が彼女に届きますようにと。
祈りつつ僕は演奏を始める。
全ての感情を篭めて。
いや篭めないものなど今の僕には残す必要はない。
だから弾こう。
彼女の為に彼女の為だけの曲を。
全ての感情を篭めて。
いや篭めないものなど今の僕には残す必要はない。
だから弾こう。
彼女の為に彼女の為だけの曲を。
ねえ? 聞いてるかな?
リセルシア。
――――教室の隅に まるで そこにいないみたいに 言葉もなく 息を殺し 私は居たの
窓の外には木漏れ日 木々の間を揺れてる――――
窓の外には木漏れ日 木々の間を揺れてる――――
ふむ、実にいい演奏だ。
少なくとも聖堂で聞いた時よりもずっといい。
体全身に伝わってくるクリス君の感情。
それが違う。
少なくとも聖堂で聞いた時よりもずっといい。
体全身に伝わってくるクリス君の感情。
それが違う。
哀悼、悲しみ、怒り。
他にも様々な感情折りなって一つに綺麗に纏まっている。
でもとても儚い。
でもとても儚い。
まるであの時のクリス君のようだ。
リセルシアという子が亡くなった時の。
リセルシアという子が亡くなった時の。
信じられなくて、世界を拒絶するような。
あの時、私はただクリス君を繋ぎ止めるのに必死だった。
クリス君まで居なくなってしまいそうで。
それを防ぎたかった。
何故そんな気持ちになったか不明だが。
クリス君まで居なくなってしまいそうで。
それを防ぎたかった。
何故そんな気持ちになったか不明だが。
しかし今のクリス君はちょっと違う。
そんな辛い世界でも精一杯生きようとしてるような感じがする。
まるで誰かの人格が乗り移ってるような。
まるで誰かの人格が乗り移ってるような。
誰の影響だろうか?
……いや、考えるまでもないか。
そんな事直ぐにわかる。
……いや、考えるまでもないか。
そんな事直ぐにわかる。
小動物みたいな子だったか。
クドリャフカ君みたいな子だな。
……可愛がりがいがありそうだ。
クドリャフカ君みたいな子だな。
……可愛がりがいがありそうだ。
ふむ、あってみたかったな。
それにしてもクリス君の演奏はいいのだが何かが足りない。
フォルテールの音色は素晴らしいのだが。
フォルテールの音色は素晴らしいのだが。
私はクリス君の傍に行き楽譜を見る。
クリス君はとうに楽譜など見てなく私がとっても何の反応もなかった。
クリス君はとうに楽譜など見てなく私がとっても何の反応もなかった。
……やはり。
そこにはリセルシア君が書いてであろう歌詞が書かれていた。
そう、この曲には歌が必要不可欠なのだ。
そこにはリセルシア君が書いてであろう歌詞が書かれていた。
そう、この曲には歌が必要不可欠なのだ。
何故ならリセルシア君の為の歌なのだから。
私は歌詞を見る。
ふむ、とても綺麗な歌詞だ。
どんな時でも未来には希望があるか。
どんな時でも未来には希望があるか。
本当にそうなのであろうか?
リセルシア君は死ぬ直前までそう思っていたのだろうか?
リセルシア君は死ぬ直前までそう思っていたのだろうか?
……愚問だな。
きっと信じていたに違いない。
こんな素直な歌詞を書けるのだから。
きっと信じていたに違いない。
こんな素直な歌詞を書けるのだから。
教室の隅でまるでそこにいないみたいに私はいた、か。
……存外、私と似ていたのかもしれないな。
彼女とは。
彼女とは。
……私もリトルバスターズにはいる前はそうだったかもしれない。
木漏れ日に当たりながら一人で過ごしていた。
木漏れ日に当たりながら一人で過ごしていた。
……感傷だな、これ以上は。
さて、なら私ができることは一つしかないな。
1曲が終わりそうだ。
でもクリス君はやめはしないだろう。
恐らく彼が気が済むまで。
1曲が終わりそうだ。
でもクリス君はやめはしないだろう。
恐らく彼が気が済むまで。
……なら、その演奏に華を添えてやろうではないか。
私では劣るかもしれないがな。
ないよりはマシだろう。
彼女の為の曲なら。
私では劣るかもしれないがな。
ないよりはマシだろう。
彼女の為の曲なら。
そしてまた繰り返される曲が。
そのメロディーに乗って
そのメロディーに乗って
「……教室の隅に~まるで~そこにいないみたいに~♪」
私は歌いだした。
クリス君が驚きこっちの方を見る。
私はただ頷くだけ。
それしかいらない。
クリス君が驚きこっちの方を見る。
私はただ頷くだけ。
それしかいらない。
もう気持ちは伝わった。
さあ……私も参加しようか。
彼女の為の曲に。
私自身の気持ちも乗せて。
私自身の気持ちも乗せて。
さあ、続けよう。
……こんな空の下で。
――――きっと誰もが今この瞬間を胸いっぱいに感じているんだろう
どんな明日が来ても私こわいものはない だって
今日を 今を生きてる 陽射しの中で―――
どんな明日が来ても私こわいものはない だって
今日を 今を生きてる 陽射しの中で―――
私は来ヶ谷ほどクリスを知ってない。
会ったのは先だけど。
だから亡くなった子の事なんか判る訳ない。
会ったのは先だけど。
だから亡くなった子の事なんか判る訳ない。
でも。
この演奏から伝わってくるもの判る。
理屈じゃなくて感情で。
理屈じゃなくて感情で。
クリスの演奏に来ヶ谷の歌も加わって。
それは1+1ではなくもっともっと深いもの。
何十も何倍にもなって。
何十も何倍にもなって。
リセって子の為に。
ただそれだけなのにこんな心が温かい。
ただそれだけなのにこんな心が温かい。
それがとても不思議で、でもなんかそれが嬉しい。
本当何故だろう。
本当何故だろう。
リセが死んで私は朋也も、って考えてしまった。
そんなことはないと思いたい。
そんなことはないと思いたい。
もし、居なくなった事を考えたらとても怖い。
喪失の怖さ。
喪失の怖さ。
……でも。
私はきっと進みたい。
だって私は今を生きてる。
この瞬間を。
私はきっと進みたい。
だって私は今を生きてる。
この瞬間を。
例えどんな明日でも、未来でも。
それは私次第。
だからどんな時でも前を向いてよう。
そう思った。
この歌を聴いてね。
そう思った。
この歌を聴いてね。
さーて私も加勢しますか。
来ヶ谷ばっかに歌わせるものね。
私も送りたい。
だから
来ヶ谷ばっかに歌わせるものね。
私も送りたい。
だから
「今日を今を生きてる~陽射しの中で~♪」
歌おう、私も。
来ヶ谷が視線だけこっちに向ける。
うん、私も頑張ろう。
来ヶ谷が視線だけこっちに向ける。
うん、私も頑張ろう。
暖かい日差しの中で。
―――悲しみならば この両手に いっぱいもういらない でも時には 涙が 出るほどの幸せ
誰もいない放課後の長い廊下は夕映え―――
誰もいない放課後の長い廊下は夕映え―――
何たる事であるか!
この超、超、超天才であるドクタクタァァァァァウェェェェストッッッがっ!
この演奏にィィ参加できないぃいいいとは!
この超、超、超天才であるドクタクタァァァァァウェェェェストッッッがっ!
この演奏にィィ参加できないぃいいいとは!
次元一を通りこして最悪な出来事である!
ギターをかき鳴らしまくっても壊れて音もでないとは!
凡骨リボンのような高い声もでないとは!
ギターをかき鳴らしまくっても壊れて音もでないとは!
凡骨リボンのような高い声もでないとは!
NOォォォォォォォォォォォォ!
いや諦めるのはまだ早いである!
この我輩が超絶なほど素晴らしい閃きで演奏に加わる手段を考え付くのである!
我輩に不可能なんか存在するわけないであるのからな!
この我輩が超絶なほど素晴らしい閃きで演奏に加わる手段を考え付くのである!
我輩に不可能なんか存在するわけないであるのからな!
……まあ、でも今回はおとなしく聞いているのである。
史上最大の屈辱であるが。
この演奏に観客も必要であるからな。
決して『悔しい!……でも聞いちゃう!』状態じゃないのであるからな!
史上最大の屈辱であるが。
この演奏に観客も必要であるからな。
決して『悔しい!……でも聞いちゃう!』状態じゃないのであるからな!
だから我輩は絶対解除できるのである!
だが今はこの演奏を聞くのである!
我輩にも休息が必要なのだ!
我輩にも休息が必要なのだ!
静かに聴くことがその子の追悼にもなるのであるからな。
こんな森の中で
―――ふいに あふれる 情熱がある 走る走るよ光の向こう側へ
どんな未来としてもきっとそれは 私次第ね
たどりついてみせるよ 透明な場所へ
どんな未来としてもきっとそれは 私次第ね
たどりついてみせるよ 透明な場所へ
僕は演奏を続けていた。
乗せるのは全ての僕の感情。
そこにはユイコ、キョウも加わって。
乗せるのは全ての僕の感情。
そこにはユイコ、キョウも加わって。
何重もの広がりを持ってこの場所に響く。
聞こえてるかい?
リセルシア。
リセルシア。
君の為に広がってるよ。
皆が協力して君の為に。
皆が協力して君の為に。
何故こんなにも熱心になるかは僕にも分からない。
僕自身だけのけじめだけかもしれない。
僕自身だけのけじめだけかもしれない。
でも、それでもこの演奏を続けていたいと思うんだ。
考えてじゃない、ただ心で。
考えてじゃない、ただ心で。
リセルシア。
もう会うことないと思う。
……とても悲しい事だ。
それこそ神様が悪戯でもしな限り。
もし、もし会えたらまたアンサンブルしたいね。
もう会うことないと思う。
……とても悲しい事だ。
それこそ神様が悪戯でもしな限り。
もし、もし会えたらまたアンサンブルしたいね。
でも、僕はまだ歩き続けるよ。
例え未来が絶望だらけでも。
例え未来が絶望だらけでも。
きっとそこには一掴みの希望があると信じて。
僕がそれを信じる限り辿り着けると思ってる。
僕がそれを信じる限り辿り着けると思ってる。
リセルシア、君もそうだったのだろう?
死の、その直前まで。
死の、その直前まで。
だったら僕もちょっとだけでもいい。
それを信じるよ。
それがリセの為にもなるから。
それを信じるよ。
それがリセの為にもなるから。
そして演奏は最後の一節へ。
恐らくリセが最も望み信じ続けた理想。
それに今の僕出せる全てのものを乗せて。
それは
「「どんな今日だとしても~新しい日々が塗り替えてゆく~そして~明日は希望~♪」」
どんな今だとしても明日は希望に満ち溢れてると信じて。
僕はそのことを信じる為に。
リセの為に。
僕はそのことを信じる為に。
リセの為に。
弾き切った!
そして長かった演奏を止める。
もう体に力は残ってなくて。
でもとても満ち溢れて。
もう体に力は残ってなくて。
でもとても満ち溢れて。
不思議な感覚だった。
リセルシア。
届いたかな?
聞けたかな?
届いたかな?
聞けたかな?
分からない。
でも届いてると信じてる。
でも届いてると信じてる。
だから。
どうか安らかに。
笑顔で。
どうか安らかに。
笑顔で。
僕は祈り続ける。
こんな雨の下で。
―――どんな今日だとしても 新しい日々が塗り替えてゆく
そして 明日は希望
夜の空にも 星が瞬く―――
そして 明日は希望
夜の空にも 星が瞬く―――
僕はその演奏を終えると崩れ落ちた。
結構な体力を使ったみたい。
ひどく眠い。
結構な体力を使ったみたい。
ひどく眠い。
でも不安なのだ。
すごく。
あんなにも綺麗に演奏できたというのに
すごく。
あんなにも綺麗に演奏できたというのに
「クリス君! 大丈夫か!」
「……ユイコ……うん大丈夫。眠いだけ」
「……ユイコ……うん大丈夫。眠いだけ」
ユイコが駆けつけ抱きしめる。
あたたかい、とても。
だからちょっとだけ不安を聞いてもらうかと思った。
あたたかい、とても。
だからちょっとだけ不安を聞いてもらうかと思った。
「ねえ……ユイコ?」
「なんだ?」
「本当に……明日は希望に満ち溢れてるのかな?」
「なんだ?」
「本当に……明日は希望に満ち溢れてるのかな?」
そう、不安なのだ、それが。
本当なのかと信じ続けられるのか。
ずっと思い続けられるのかが。
そんな僕にユイコは笑ってこう告げる。
さも当然のように。
本当なのかと信じ続けられるのか。
ずっと思い続けられるのかが。
そんな僕にユイコは笑ってこう告げる。
さも当然のように。
「……そうだな。満ち溢れてると思うよ、君が思う限り」
「本当かな?」
「ああ……それは」
「本当かな?」
「ああ……それは」
彼女は僕を強く抱きしめこういった。
そして不安が融けていく。
そして不安が融けていく。
「思い続ければ……思い続けていれば……願いはきっと叶うから」
そうか。
そうなんだ。
僕が思い続けさえすれば。
それはなくなることはないんだ絶対。
うん……。
安心した。
ああ……本当に。
そうなんだ。
僕が思い続けさえすれば。
それはなくなることはないんだ絶対。
うん……。
安心した。
ああ……本当に。
「ごめん……ユイコ……ちょっと寝るよ……」
「ああ……ゆっくり寝るがいい」
「ああ……ゆっくり寝るがいい」
そして僕はその安堵と共に目を閉じる。
最後に見えたのはユイコの笑顔。
それがなぜかにリセに重なって。
最後に見えたのはユイコの笑顔。
それがなぜかにリセに重なって。
僕は笑った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
クリス君は私のひざで静かに寝ていた。
とても深く。
寝顔がとても子供っぽくってかわいい。
とても深く。
寝顔がとても子供っぽくってかわいい。
やれやれ私らしくないことを言った。
クリス君は私のペースを普通に崩してくるから本当に困る。
クリス君は私のペースを普通に崩してくるから本当に困る。
そして明日は希望か。
果たしてあるのかどうか。
でも信じたい。
そう思わせる演奏だった。
でも信じたい。
そう思わせる演奏だった。
「来ヶ谷……これからどうするの?」
「杏君……そうだな。病院にいく意義も無くなったし……ふむ」
「杏君……そうだな。病院にいく意義も無くなったし……ふむ」
そういえばこれからどうするかを全く考えてなかった。
病院にも行かなくていいし……ふむ。
病院にも行かなくていいし……ふむ。
「よかったら……私たちとこない? 仲間が多いほうがいいし」
「ふむ……それもいいな。クリス君と相談するよ。起きるまで待っていてくれ」
「そうね……私もまだ離れたくないし……この余韻を味わっていたい」
「奇遇だな……私もだよ」
「ふむ……それもいいな。クリス君と相談するよ。起きるまで待っていてくれ」
「そうね……私もまだ離れたくないし……この余韻を味わっていたい」
「奇遇だな……私もだよ」
そう私もこの余韻を味わっていたい。
この素晴らしい演奏の後なんだから。
しばらく心に残しておきたい。
この素晴らしい演奏の後なんだから。
しばらく心に残しておきたい。
「明日は……希望か」
「叶えましょう。来ヶ谷。私たちの手で」
「ああ……そうだな」
「叶えましょう。来ヶ谷。私たちの手で」
「ああ……そうだな」
リセルシアが願った。
『明日は希望』
それを願って私たちは進もう。
『明日は希望』
それを願って私たちは進もう。
それがあの子の追悼になると思って。
――待ってたんだ 欲しかった――
僕が目を開けるとそこはあの旧校舎。
でも凄くあやふや。
だからきっと夢だとわかる。
でも凄くあやふや。
だからきっと夢だとわかる。
僕はある期待に胸を躍らせながら進み始める。
ある一室へ。
そこに待ち構えてる人は判る。
全く本当に神様は意地悪だ。
こんな事をするなんて。
僕はその扉を開ける。
そこには変わらないあの笑顔。
満面の笑みで。
満面の笑みで。
そして言う事は。
―――その言葉 くれる人―――
「アンサンブルしようか?」
彼女はさらに笑った。
最高の。
本当に最高の笑みで。
本当に最高の笑みで。
【D-4北西/一日目 早朝】
【クリス・ヴェルティン@シンフォニック=レイン
【装備】:刀子の巫女服@あやかしびと -幻妖異聞録-、防弾チョッキ フォルテール(リセ)
【所持品】:支給品一式、ピオーヴァ音楽学院の制服(ワイシャツ以外)@シンフォニック=レイン
ロイガー&ツァール@機神咆哮デモンベイン
【状態】:中程度の肉体疲労、中度の精神疲労、巫女服
【思考・行動】
基本:無気力。能動的に行動しない。ちょっとだけ前向きに。
0:Piovaゲージ:60%
1:睡眠中
2:ユイコは不思議な人だ
3:あの部屋に帰れるのだろうか
4:トルタ・ファル・は無事なんだろうか
5:あの少女(なごみ)が誰と会ったのか気になる
6:それでも他人とはあまり関わらない方がいいのかもしれない
【備考】
※雨など降っていません
※Piovaゲージ=鬱ゲージと読み替えてください
※増えるとクリスの体感する雨がひどくなります
※西洋風の街をピオーヴァに酷似していると思ってます
※巫女服が女性用の服だと気付いていません
※巫女服の腹部分に穴が開いています
※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています
※なごみがトルタ・ファル・リセのいずれかに何かしたのかもしれないと不安に思っています
※リセの死を乗り越えました。
※記憶半覚醒
【装備】:刀子の巫女服@あやかしびと -幻妖異聞録-、防弾チョッキ フォルテール(リセ)
【所持品】:支給品一式、ピオーヴァ音楽学院の制服(ワイシャツ以外)@シンフォニック=レイン
ロイガー&ツァール@機神咆哮デモンベイン
【状態】:中程度の肉体疲労、中度の精神疲労、巫女服
【思考・行動】
基本:無気力。能動的に行動しない。ちょっとだけ前向きに。
0:Piovaゲージ:60%
1:睡眠中
2:ユイコは不思議な人だ
3:あの部屋に帰れるのだろうか
4:トルタ・ファル・は無事なんだろうか
5:あの少女(なごみ)が誰と会ったのか気になる
6:それでも他人とはあまり関わらない方がいいのかもしれない
【備考】
※雨など降っていません
※Piovaゲージ=鬱ゲージと読み替えてください
※増えるとクリスの体感する雨がひどくなります
※西洋風の街をピオーヴァに酷似していると思ってます
※巫女服が女性用の服だと気付いていません
※巫女服の腹部分に穴が開いています
※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています
※なごみがトルタ・ファル・リセのいずれかに何かしたのかもしれないと不安に思っています
※リセの死を乗り越えました。
※記憶半覚醒
【来ヶ谷唯湖@リトルバスターズ!】
【装備】:デザートイーグル50AE(6/7)@Phantom -PHANTOM OF INFERNO-
【所持品】:支給品一式、デザートイーグル50AEの予備マガジン×4
【状態】:中程度の肉体疲労、脇腹に浅い傷(ワイシャツで止血中)、凄く恥ずかしい
【思考・行動】
基本:殺し合いに乗る気は皆無。面白いもの、興味惹かれるのを優先
0:明日は希望か……。
1:放送まで待つ
2:クリスは面白い子だ、ついでに保護
3:いつかパイプオルガンを完璧にひいてみたい
4:リトルバスターズのメンバーも一応探す
【備考】
※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます
※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています
【装備】:デザートイーグル50AE(6/7)@Phantom -PHANTOM OF INFERNO-
【所持品】:支給品一式、デザートイーグル50AEの予備マガジン×4
【状態】:中程度の肉体疲労、脇腹に浅い傷(ワイシャツで止血中)、凄く恥ずかしい
【思考・行動】
基本:殺し合いに乗る気は皆無。面白いもの、興味惹かれるのを優先
0:明日は希望か……。
1:放送まで待つ
2:クリスは面白い子だ、ついでに保護
3:いつかパイプオルガンを完璧にひいてみたい
4:リトルバスターズのメンバーも一応探す
【備考】
※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます
※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています
【藤林杏@CLANNAD】
【装備】:コルト M1917(6/6)
【所持品】:支給品一式、予備弾28、桂の携帯@アカイイト
【状態】:右手首に重度の捻挫(ある程度治療済み)掌と膝にひどい擦過傷(応急処置済み)
【思考・行動】
基本:朋也に謝る、ウェストに謝罪させる
0:明日は希望……ね。
1:朋也を探す(多分自分が来た方向=西?)
2:可能ならウェストの手助けをする。
3:首輪解除を目的に行動。どこに行くかは不明
【備考】
※捻挫はウラジミールのTシャツ@あやかしびと -幻妖異聞録-によりある程度的確に処置されています。
ただ三角巾のような形で固定されているので、右腕はそのままでは使えません。
※空元気交じりですが、冷静さを取り戻しました。
※ティトゥス、ドライを警戒。朋也については複雑な心境
※ウェストとお互いの世界や知り合いについて情報交換しました。
突っ込み連打の甲斐もあり、魔術やロボについても一応納得しました。
※トーニャと真人と情報交換しました
※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます
【装備】:コルト M1917(6/6)
【所持品】:支給品一式、予備弾28、桂の携帯@アカイイト
【状態】:右手首に重度の捻挫(ある程度治療済み)掌と膝にひどい擦過傷(応急処置済み)
【思考・行動】
基本:朋也に謝る、ウェストに謝罪させる
0:明日は希望……ね。
1:朋也を探す(多分自分が来た方向=西?)
2:可能ならウェストの手助けをする。
3:首輪解除を目的に行動。どこに行くかは不明
【備考】
※捻挫はウラジミールのTシャツ@あやかしびと -幻妖異聞録-によりある程度的確に処置されています。
ただ三角巾のような形で固定されているので、右腕はそのままでは使えません。
※空元気交じりですが、冷静さを取り戻しました。
※ティトゥス、ドライを警戒。朋也については複雑な心境
※ウェストとお互いの世界や知り合いについて情報交換しました。
突っ込み連打の甲斐もあり、魔術やロボについても一応納得しました。
※トーニャと真人と情報交換しました
※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます
【ドクター・ウェスト@機神咆哮デモンベイン】
【装備】:秋生のバット@CLANNAD、
【所持品】支給品一式 、フカヒレのギター(破損)@つよきす -Mighty Heart-
【思考・行動】
基本方針:我輩の科学力は次元一ィィィィーーーーッ!!!!
0:明日は希望?
1:設備・器具の入手
2:首輪のサンプルが欲しい
3:首輪の解除
4:フォルテールをあらゆる手を使って弾いてみせる。
5:とりあえずは杏についていく。
【備考】
※マスター・テリオンと主催者になんらかの関係があるのではないかと思っています。
※ティトゥス、岡崎朋也、クリス、ドライを警戒しています。
※フォルテールをある程度の魔力持ちか魔術師にしか弾けない楽器だと推測しました。
※杏とトーニャと真人と情報交換しました。参加者は異なる世界から連れてこられたと確信しました。
※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます
【装備】:秋生のバット@CLANNAD、
【所持品】支給品一式 、フカヒレのギター(破損)@つよきす -Mighty Heart-
【思考・行動】
基本方針:我輩の科学力は次元一ィィィィーーーーッ!!!!
0:明日は希望?
1:設備・器具の入手
2:首輪のサンプルが欲しい
3:首輪の解除
4:フォルテールをあらゆる手を使って弾いてみせる。
5:とりあえずは杏についていく。
【備考】
※マスター・テリオンと主催者になんらかの関係があるのではないかと思っています。
※ティトゥス、岡崎朋也、クリス、ドライを警戒しています。
※フォルテールをある程度の魔力持ちか魔術師にしか弾けない楽器だと推測しました。
※杏とトーニャと真人と情報交換しました。参加者は異なる世界から連れてこられたと確信しました。
※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます
070:リセエンヌ(前編) | 投下順 | 071:暗殺者と蛇のダンス |
時系列順 | 071:暗殺者と蛇のダンス | |
クリス=ヴェルティン | 087:復讐者 | |
来ヶ谷唯湖 | 087:復讐者 | |
ドクター・ウェスト | 087:復讐者 | |
藤林杏 | 087:復讐者 |