ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

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know ◆UcWYhusQhw


音が聞こえていた。

とても綺麗で透き通るような音が。

それはやすらげるような音。
それは落ち着かせるような音。

音が満ちていた。

私の世界に。

私は知っている。
この音を奏でる人を。

私は笑顔を作りながらその人のところに向かう。

彼は一心不乱にその音を奏でる。

ああ、きっと有意義な時間を過ごせる。

私は彼の隣の席に座り目を閉じその音を聞く。

ふむ。
実にいい。

世界は音に満ちて。

私はその中に溶け込むような気がした。
できる事ならそこにずっといたいとさえ思って。

「ユイコ……」

「……何だい?」

奏で手が私に語りかける。
凄く穏やかに。
私はそれを笑みを持って返す。

「この曲はユイコの為の曲なんだ」
「……へえ。それはいいな」

私はその言葉に心が少しだけ踊り彼の言葉の続きを待つ。

「だから……」

しかし声は続かなかった。
そして音は止まった。

世界は唯、静寂に包まれて。

「……クリス君?」

私は眼を開ける。
そこにはクリスがゆっくりと横になっていた。

ああ。

そうか。

そうだったな。

……なあ。

……クリス君は。

いなく……なったん……だった……な

……ああ


「……クリス君」




「……ああああああああぁぁぁああああああああああああああぁぁぁあああああああああ!!!」






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「……ああああ!!!……はぁ……はぁ……夢……か」

私はがばっとベットから跳び起きる。
体を震わせながら。

そうか。

夢だ。

夢なんだ。

クリス君はもういない。

クリス君の手を離した手が震える。

震えて。
震えて。

震えが止まらないんだ。

どうしてだ?

どうして?

ここまでになる?
私は。

クリス君……

「……馬鹿だよ……君は……」

心があるって?
そうだな、あるのかもしれない。
でもな。

あると気付かせたら最後まで面倒見なくちゃ駄目だろう!

どうすればいい? この不完全な心を。

怖いんだ。

不完全な心を持って。

ああ。

クリス君、逢いたい。

君は今何処……

「目が覚めたみたいやね……唯湖はん」
「……静留君。どうやら無事だったようだな」
「……おかげでね、おおきに」

静留君は多少傷を負ってるものの元気そうに動いてる。
どうやら私は彼女を助ける事ができたらしい。
そうか。
……よかった。

「……唯湖はんの意識も戻ったみたいやし……行きますかな」
「……どういうことだ?」
「どういうことって借りも返したし……もどるだけや」

彼女はそう事もなく言う。
戻る。
それはつまり。

「また、君は殺し合いをするというのかい?」
「……せや」

……やはり。
彼女は変わらないんだな。

ある意味羨ましい。
その強さが。

私は迷ってばかりだ。
私はこんなにも弱かったのかな。

ああ、嫌だ。
この中途半端の心が。

求めて。
求めて仕方ない。

「……止めないんか?」
「……ん?……ああ……どうすればいいのだろうな? 私は」

わからない。
私は彼のような様にやればいいのか。
彼の様に哀しみの連鎖を止めればいいのか。

わからない。

私は……
私は……

そもそも……

どうして私はこうなってる?

静留君がふぅと溜め息をつきある名を呼ぶ。

「クリスはん」
「……!?」

ビクッと体が震える。

何故だ?
唯名前が呼ばれただけなのに。

何故?

「……はぁ……やっぱりな」
「何がだ?」
「そんな腑抜けた状態におるんはクリスはんのせいってことや」

……言われなくてもわかってる。
それくらいの事は。

でもそれでも。
こんなになるとは思わなかったよ。

クリス・ヴェルティン。

私にとって彼はどんな存在だったのかな。
こんなにも重たいものになっていたのかな。

「……クリス君……何の為に君は私を生かしたのかな」

私にはしっかりと心があるといって君は消えた。

私はその言葉にこんなにも迷いそして後悔している。

クリス君、君は相変わらず大切な事を忘れている。
君がいなければ心は完成しないよ。
怒りという感情も君を失って手に入ったのだから。

なあ。

クリス君。

もしもだ。

もしも


「……君と一緒にあの時消えていればこんなにも苦しまないですんだのかな? そうすればこのくる……」



パシィィィ!



強く。

とても強く。

乾いた音が響く。

痛む頬。



目の前にわなわなと体を震わす静留君。

「何言うとりますのん……このふざけた事を……!」

まるで侮蔑するかのように私を睨む。
私はそれを見つめるだけ。

「クリスはんは何の為に唯湖はんを護ったの……それなのに唯湖はんはそんな事いって……クリスはんの事なんもわかってへんの!」

わかってない?
なにを……

何を……いってるんだ。

私はクリス君といて。
一緒に合唱して。
一緒に温泉に入って。
一緒に笑いあって。
一緒にとても有意義な時間を過ごして。

私は……

私は少なくても



パシィィィ!


「私はこの島にいる誰よりもクリス君の事をわかっている! 静留君に言われるまでもない!」

私は強く宣言し彼女の頬を打つ。
なんともいえない怒りだった。
私にとって2回目の。

何故か共に過ごした時間を否定された気がして。
彼と共に培っていったものを否定された気がして。

とても腹立ったしかった。

しかしその直後。

パシィィィとまた強い音が響く。

「なら! ここで沈んでおるのをクリスはんは望まない事を唯湖はんしっとるはずやない! なのに何故それをやるん!」

……そうだが。
……だがな。

だがな静留君。

パシィィィ!

「それを君に言われたくないな! 君が大切にしてるなつきという人は静留君に殺人をして欲しくないと願う事は君自身がわかっていることだろう!」

パシィィィ!

「知っとるよ……でも命懸けてまで護り通したい人なんや!」

パシィィィ!

「だが手段というものがあるだろう! そんな方法誰も喜びはしない!」

「やかましいわ……うちはそれをやり通す……唯湖はんみたいに燻ってる暇はないんよ!」

パシィィィ!

「うるさい……静留君は失ってないからそんな事言えるんだ……偉そうに言うんじゃない! 静留君が殺した人間が誰かの大切な人を奪う事になるんだぞ!」

パシィィィ!

互いの頬を打つ音と叫びが広がる。

互いの不安、苛立ちをぶつけ。

相対する人を正す為。

ただ、頬を打ち合っていた。

正しくこれは。

女の喧嘩、女の戦いだった。

その後も私と静留君の喧嘩は続いた。

私は唯この心のざわつきをぶつけていただけ。
唯単純に私達が強情だっただけかもしれない。
それでもこの喧嘩は意味があると思った。

そして暫くの時がたって。

お互い言い尽くして。
お互いの頬が真っ赤になって。

静留君が一息ついて一言私に尋ねる。
それは私にとっても心に波紋を与える事になった。

「唯湖はん……最後に一つだけ……唯湖はんにとってクリスはんは大切な人……それはみればわかりおる……でもどんな大切なんや?……唯湖はんはクリスはんをどう思っておりますのん?」

どんな大切?
私はクリス君をどう思っている?

理樹君や鈴君のようなリトルバスターズの大切とは何処か違うと思う。

私にとってクリス君は……
何か穏やかになれるんだ。
一緒に笑っていたい。
もっともっと傍にいたい。
そう思えて。

何故か。

胸の奥底からその気持ちが溢れて。

溢れて止まらない。

なあ。

この感情は何だ?

教えてくれ。

なんなんだ。これは。

心を知れば知っていく程。

空しさ哀しさが広がっていく。

だけど

知りたい。

もっと知りたい。

不完全でない私でないように。

それがクリス君が望む事だろうから。

「何だろうな? よく分からない……でもなクリス君に逢いたい……もっともっと傍にいて欲しい! もっともっと一緒に笑っていたい! 
 あの時間を取り戻したい!……そういう思いが止まらないんだよ……なんだ……何なんだ……この感情は……」
「……それは恋……いや、唯湖はん自身で気付かなきゃあかんね」

そう静留君は言って山小屋の出口に向かう。
何処かすっきり顔をして。

「せやけど……その気持ち……大事にな……うちは道は変えん……でもその気持ちはうちと変わらんから……せやけど次会う時は容赦せんよ。うちも大切な人護りたいから」

そういって山小屋から出て行った。

この気持ち?
自分で気付かなければならない?

なんだそれは。
分からない。

知りたい。

知りたいよ。

心をもっと。

……駄目だ。

やはり足りない。

理解するには最も必要なピースが足りない。

私は立ち上がって出口に向かう。


この世にはもう存在しないピースを探しに。




【E-5 山小屋/一日目 夕方】

【藤乃静留@舞-HiME運命の系統樹】
【装備:殉逢(じゅんあい)、。コルト・ローマン(1/6)】
【所持品:支給品一式、虎竹刀@Fate/staynight[RealtaNua]、木彫りのヒトデ1/64@CLANNAD】
 玖我なつきの下着コレクション@舞-HiME運命の系統樹、
【状態】左の太股から出血(布で押さえていますが、血は出続けているが少量に)、
 左手首に銃創(応急処置済み)、全身に打ち身
【思考・行動】
 基本:なつきを探すなつきの為に殺し合いに乗る。
 1:なつきの為に殺し合いに乗る。
 2:殺し合いに乗る事に迷い
 3:太股の傷を治療する為の道具を探す。
 4:なつきに関する情報を集める。
 5:衛宮士郎を警戒。
【備考】
 ※下着コレクションは使用可能です。
 ※理樹を女だと勘違いしてます。
 ※詳しい登場時系列は後続の書き手さんにお任せします。
 ※死者蘇生に関して否定。
 ※士郎より聖杯についての情報を得ました。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






私は唯、歩いてた。

何処に向かっているかさえ理解できない。

唯気の向くまま。

この気持ちを知るために。

私にとってクリス君というものは何か知るために。

心を知るために。

でもその全てを知るには絶対に必要ピースがないものも知っていて。


気が付くと私はある廃れた小屋に辿り着いた。
何となく入ってみる。

「……人? 死んでいる……この子は……まさか……」

ベットに寝かされている小さな体。
転がる小さな首。
そのあどけなさそうな顔。
そのクリス君と同じ校章が付いてる服。

まさかこれは……

「クリス君が言っていたリセルシアなのか?」

推測だったがほぼそれに違いないと私は断定していた。

クリス君に好意を持っていたかも知れない少女がここにいた。
わたしは唯呆然と立ち尽くしその遺体を見つめる。

「……このままにしておけないな」

胸深い傷がある。
これが死因だろう。
だがこの遺体をこのままにしていくわけにはいかない。

私は軽い彼女の遺体を抱え外に出る。

空はもう紅く染まっていた。
彼女のその胸の様に。

私はある大きな木の元を選び廃屋にあったスコップで少し穴を開け彼女を埋める。


なあリセルシア君。

私はクリス君を探し続けていいのかな。
もうこの世界にはいないかもしれないのに。

でもそうしなきゃ私は私で居れない気がするんだ。
心を知ることが無理な気さえするんだ。
そしてこの気持ちを知るために。

どうだろうか?

私は帰ってくるわけがないこたえを求めた。
死者に語る言葉なんてないのに。

でも。

―いいですよ、互いのたいせつなひとなのだから賛成するのはあたりまえです――

そんな答えが返ってきた気がした。
幻聴に決まっているけど。
同じ大切な人という言葉と共に。


「……そうだな。そうするよ。私は探し続ける。知るために」

そう応えないといけない気がして。
私はそういって。

その場を立ち去った。

もう言葉は要らなかった。




空が紅に染まる中私は歩き続けていた。

ただ。

唯知る為に。


なあ。

クリス君。

心はこんなにも重いものだな。

君に逢いたくて仕方ない。

例え無理だとしても。

逢いたい。

知りたいんだ。

この気持ちも。

心も。

君も。

すべて、すべて。

知りたいから。

私は進むよ。

知る為に。

なあ、クリス君。




【F-5 中央/一日目 夕方】

来ヶ谷唯湖@リトルバスターズ!】
【装備】:デザートイーグル50AE(6/7)@Phantom-PHANTOMOFINFERNO-
【所持品】:支給品一式、デザートイーグル50AEの予備マガジン×4
【状態】:脇腹に浅い傷(処置済み)、全身に打ち身
【思考・行動】
 基本:殺し合いに乗る気は皆無。
 0:知りたい……
 1:クリス君……どこにいる?
 2:碧達のの安否がきになる
 3:いつかパイプオルガンを完璧にひいてみたい
 4:リトルバスターズのメンバーも一応探す
【備考】
 ※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます
 ※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています
 ※静留と情報交換済み
 ※来ヶ谷は精神世界からの参戦です
 ※美希に僅かに違和感(決定的な疑念はありません)
 ※太一と第三回放送頃に温泉旅館で落ち合う約束をしています


166:小さな疑問がよぎる時 投下順 168:深きに堕ちる者
163:hope 時系列順 168:深きに堕ちる者
159:I have created over athousand blades 藤乃静留 191:踊り狂う道化達/それでも生きていて欲しいから (前編)(中編)
来ヶ谷唯湖 185:Good Samaritan

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