ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

LIVE FOR YOU (舞台) 11

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LIVE FOR YOU (舞台) 11



 ・◆・◆・◆・


来ヶ谷唯湖……っ!? 話を聞け!」
「……聞く道理も無いのだがな」

二人が出会ってから数刻が経ってなお決着は遠く、いたちごっこが続いていた。
なつきが説得の言葉をかけようとすると、唯湖は剣をもって仕掛けてくる。
唯湖はなつきを傷つける事をかまわず突進してくるのだから、なつきは避ける事に専念するしかない。
なつきは逆に彼女を傷つける事はできない。
それはクリスの為であり、なつきが両手に握っているエレメントでは一撃が致命傷になりかねないからだ。
なので銃声は未だ響かず、一切のなにもかもが進展していない。

「……もう、いいっ!」

イライラが募り、そして元々我慢がきかないなつきはついに吹っ切れた。
そもそもとして、唯湖を行動不能にしない限り彼女は話を聞いてくれないのだ。
ならば、今更それを躊躇することもない。

「来いっ! デュラン!」

ゆえに、呼ぶは愛しき我が仔。
彼女がこの島で愛しき想いを昇華させ、再び顕現させることができた、蒼い狼。
唯湖はその存在を知ってはいたものの、いざ目の前に現れるとなると戸惑うしかない。

「なっ……!?」
「デュラン、彼女を抑えろ!」

主の命を聞き、デュランが嘶いたと同時に唯湖は地へと伏せられていた。
どうやら、瞬く間になつきのチャイルドによって抑えつけられてしまっていたらしい。
床に顔をつけた唯湖は舌打ちをし、その傍には不適に笑うなつきが立っていた。
戦力的に不平等だぞと、そんなことを内心に思いながら唯湖は忌々しそうに言葉を発する。

「やれやれ、いたいけなおねーさんになんてことをするんだ凶暴女め。クリス君に嫌われるぞ」
「五月蝿いっ! 最初に仕掛けてきたのは何処のどいつだ!」
「さて、何の事やら?」
「……こいつっ!」

どこまでもお茶らけた態度をとる唯湖にいらつきながらも、しかしなつきは冷静さを保とうとする。
ここで相手のペースに乗せられてしまったら、説得もできそうにない。
なにより、圧倒的有利の立場にいるのはこちらなのだ。
そう思い、なつきは唯湖に向かって話しかける。

「……まあいい。話を聞いてもらうぞ」
「……ふん」

唯湖は澄ました態度でなつきを見上げる。
気には喰わないが、一応は話を聞くつもりらしい。
なつきはその態度に一安心しながら、一応大事を考え、彼女が持っていた武器とデイバックを回収する。

「よし、話を……」
「武器を奪ったのなら……どけてくれ。この犬っころ。重くて仕方ない。話も出来ないぞ、これじゃあ」
「犬っころいうな。……ちっ。……デュラン下がれ」

チャイルドを犬扱いされた事に少しイラつきながらもなつきはデュランを下がらせる。
兎も角話をしないと先に進めない。武器は回収したし大丈夫かと踏んだなつきは唯湖の願い了承した。
唯湖は服についた汚れを手で払ってなつきを見据える。
そして一段落したと見て、なつきは彼女に向かって口を開いた。

「……どうしてこんな事をする」

まずは唯湖が行った所業についてを。
それは暗に唯湖が何故殺人肯定者の側に回り、人を殺し続けていたか、ということ。
その答えをなつきは一応気づいている。
だが、その答えを唯湖の口から直接聞きたかった。

「愚問だな、玖我なつき
「……っ」
「簡単だろう。私が誰を”大好き”で誰を”愛している”か解っているのならな」
「…………」

唯湖はなんの表情も変えずにそう言った。
本当に唯湖にとっては愚問だった。
まして、唯湖はなつきが唯湖の答えに気づいてる事にも感づいていたのだから。
彼女が、自分がそこまで至った答えを知っているのなら尚更、愚問でしかない。
だからこそ、唯湖はあえて、自分の答えを言う。
それは問う形にしながらも、なつきなら絶対にわかるだろう言葉。
そう、同じ人を”好き”になって”愛した”彼女ならば。

なつきは押し黙るしかない。
その答えを改めて突きつけられる形になっているのだから。

「好きな人を護りたい、生かしたい。好きな人の為に命を使いたい。それは悪い事なのか?」
「それはっ……!」
「否定出来る訳ないよな、藤乃静留に”愛された”玖我なつき君」
「……っ!?」

意地悪そうに唯湖は言う。
なつきがそれを否定できないのを知っているから。
唯湖の考えを否定する事はそのまま、静留の生き様を否定する事になると知っているから言う。
なつきは卑怯だと思いながらも、そこでひとつ気づいた。

「お前は静留の事を……」
「……ああ、知っている。無駄に時間があったからな。彼を見るついでに見させてもらったよ」

来ヶ谷唯湖が藤乃静留の生き様を知っている。その事実になつきの言葉が詰まる。
少し予想外だった。
最終的に自決をした静留をみて唯湖はどう思ったのだろうか。
そして、なつきは同じく自決を選んだ恭介から言葉を託されている。
そういう意味でも唯湖がどう思っているかが、なつきからは気になってしかたない。

「彼女は……きっと幸せだったんだろうな。最期の最期で……あんな。……羨ましいな。私も、あんな死に方をしたい」

唯湖の陶酔の篭った、羨望するような呟き。それは幸せに溢れている死の瞬間への憧憬。
苦難や哀しみに囚われていた静留の、ほんの一かけらの、今際のやすらぎ。
それを唯湖は心の底から羨んでいるようだった。

「そんな……、なんで死なんて……」
「……解ってるんだろう? 私の本当の目的ぐらい」

唯湖が殺し合いを肯定したのはあくまで副次的ことでしかない。それをなつきは知っている。
唯湖はこの島の誰よりも、生より死を望んでいる。そして唯湖がその死に向かって行動していることも。
唯湖は微笑んで、そして言った。

「玖我なつき。……もし、生きる明日も無く、生きる未来も無く……どんなにどんなに足掻いても……その先が無いというのなら……」

唯湖は何処か悟りきった表情で。
そんな顔がなつきはどこか嫌で。
唯湖は言葉を続ける。

「待ち構えているのが死しかなくて……本当に死ぬしかなかったから……。
 その命、誰の為に使って、誰に祝福されたい? 誰の傍で、誰の手で死にたい……?」

唯湖はそのまま、哀しく笑って。
本来敵であるなつきに笑いかけて。

「――――君も同じ答えなんじゃないか?」

そう、なつきに問いかけた。
なつきは押し黙るしかなかった。
その沈黙は肯定でしかなく。せめて、肯定を口にしないだけという、ただの強がりでしかなかった。
なぜなら、なつきにとってそれは否定できるものではないから。
藤乃静留が精一杯頑張った生き方。そして恐らくは棗恭介も。
例え間違っていた手段ではあっても、その生き方を否定なんて出来ようもなかった。
そしてなつき自身も思う。
もし、自分自身が同じ境遇におかれたらどうなっていただろう?
クリスの為に殺人を肯定したのだろうか?
それは解らないけど。

でも。

最期にクリスの為に死ねたら。
最期にクリスの傍で死ねたら。
最期にクリスに祝福されながら。
最期にクリスの腕の中にいられるなら。

それは――。

(なんて……幸福)

なんて幸せな事なのだろうか。
そんな唯湖への共感をどうしても持ってしまう。
なつきは思う。

(そういう意味では……似ているのかもな)

そんな共感。
なつきと唯湖が似ていると。
じゃあどこが違って、どこが違ったせいでこんなにも違う立場にいるのだろう。

考えても答えは出なかった。
けど、共感はしても、その生き方を認めるわけにはいかない。
それになつきは思うのだ。
唯湖にはまだ希望があると。死ぬ事を選ぶしかなかった藤乃静留や棗恭介とはちがうものがあると。
だからなつきは口を開く。

「違う。お前は違う。来ヶ谷唯湖は、お前まだ……生きてるだろう?
 静留や棗恭介とも違う。今も、こうやって立っているじゃないか? 
 クリスだって言っている。……まだ明日を歩けるじゃないか。……まだ未来を描けるだろう?」

唯湖はまだ生きている。
だからこそ、明日を歩いていける。
クリスが言ったように、今を生きているのだから。
しかし唯湖はなつきの予想外の言葉にキョトンとして。

「そんなもの……存在しないさ。明日など希望など無いから今、私はこうやってここにいるんだろう?」

哀しく自嘲するように笑った。
それは本当に儚く消えゆくような笑顔で。
なつきは戸惑い、それでも消えゆこうとする彼女に向かって言葉を発する。

「どうしてだ……どうしてそんな事考えるんだ……?」

なつきが先ほどから思っている疑問。
唯湖はそれに対してふむと口元に手を当て、少し考えて。
やがて、

「まぁいいか……ほかでもない、クリス君の伴侶だ。特別に話そうか」

それを話すことに決めた。
クリスの傍にいる彼女に。
なぜか知ってもらいたいと。
そう思えたから。

「知っているかい? この島には死人がいたって事を」
「死人? ……死んだ人が……蘇るのか?」
「ああ、だって私がそうなのだからな」
「……なっ!?」

驚くなつきを尻目に唯湖は飄々と語る。
その表情は不思議なもので。
唯湖がどう思っているかをなつきは推し量れないでいた。

「バスの事故でな……ほぼ死人と一緒だったよ」
「そんなっ……」
「まあその間は実は霊体みたいなものだったが……、それは言う必要も無い」

唯湖はあえて、恭介が作り出した世界で理樹と鈴を成長させようとしていたことは省いた。
この記憶は唯湖だけのもので。
唯湖が大切にして、そして捨てた仲間の事は語りたくも無かった。
何より理樹達が死んだ時点でもうその目的すらなくなっていたのだから。
だから、これは唯湖だけの記憶、思い出にしたかった。
楽しかった、思い出の残骸として。

「な…………」
「絶句してるのか? まぁその気持ちは解らなくもないが」
「来ヶ谷……」
「おっと意味のわからん同情は結構だ。むしろしたら殺す」

自分を見つめるなつきの目に苛立ちを感じ、唯湖は冷たく言い放つ。
確かに不幸だったかもしれない。
しかしあの虚構世界での出来事の全てが不幸だったわけではないし、一言で言い表せるものでもない。
だから、それを憐れみのひとつだけで括られるのは深いでしかなかった。

「ふん。まぁ、その最中だ。こんな所に連れてこられたのは」
「……それは?」
「死んだまま、連れてこられた……とでも言えばいいのか。……まぁ、そういう事だ」

なつきは信じられないという風に彼女を見た。
そんなことがあるのかと。とてもにわかには信じられる話ではない。
けれど、唯湖の真剣な眼差しを見れば嘘じゃないこともまたわかってしまう。
なにより、元は霊体だったと、そういう人物も仲間の内にいるのだ。信じれない理由はなかった。

「しかしまぁ…………。この島に来たことは、幸せでもあり不幸でもあったかな」

唯湖はまた微笑んで。
その顔には哀しみか喜びか。
でも、確かに笑ってなつきにこう言った。

「クリス君に会ったことはな」

愛する人の名前を告げた唯湖を、なつきはただ綺麗だなと思い。
唯湖は嬉しそうに話を続ける。

「君も知ってるだろうがあの少年は優しい」
「ああ……」
「簡単に人の心の隙間に入り込んできて、優しくしていく。苦しみを癒していく」
「……」
「そうかと思うと本当に救いたくなるほど弱くなっていく。あの少年を救いたい、助けたいってそう思えるまでに」

クリスを語る唯湖は幸せそうで。
羨むぐらいに本当に幸せそうだった。

「そして……温かい」
「…………ああ」
「温かくて、…………温かくて、……そして、気づいたんだ」

その唯湖の目は優しくて……そしてとても哀しそうで。

「ああ、私も人間なんだなって。人形じゃないんだって……感情が、心がここにしっかりある……そう気づかせてくれたんだよ」

今にも泣きそうに。
だけど、とても嬉しそうに。
笑っていた。

「だけど、………………気付きたくなかった。……知りたくなかったっ!」

その言葉とともに。
表情はとても哀しそうで。

「こんなに苦しくなるなら……こんなにも張り裂けそうになるなら……感情なんて、心なんていらなかった!」

涙が。
ひとしずくこぼれた。

「……何故だ? ……辛いかもしれない、苦しいかもしれない。でも、その感情は、心はいいものだってたくさんつまってるだろう?」

なつきは否定する。
心に苦しみや哀しみは溢れてる。
それでも、その中には喜びだって溢れているはずなのだ。
なつきがクリスと触れ合った時のように、心を交わした時のように。
忘れがたい、失いたくない、想いが、感情が、溢れてるはずなのだから。

「……さっき言った事を忘れたかい? 私は”死人”なのだよ」
「……はっ?」

唯湖が言った言葉は。
それは絶望で。

「私はもう”死んでいる”。……帰る場所なんて無いんだよ。……希望が溢れる明日なんて……存在しない」

そう、唯湖は死んでいる身だということ。
帰る場所なんてどこにもない。
希望が溢れる明日を迎える事など……できやしない。

「なぁ…………死ぬしかないのに、どうして心なんて知ってしまったんだろうな?」

なつきの見つめる前で唯湖は泣いていた。
本人は気でいていないが、大粒の涙がぽろぽろとたくさん。

「こんなに苦しいのに……こんなに哀しいのに……止まらないんだ……好きって感情が……なぁ……どうすればいい?」

それは、本当は生きたいのに、生きることのできない哀しみ。
クリスと一緒に歩みたいのに、なのに歩めない苦しみ。

死ぬしかしない。……そう思っている唯湖の独白だった。

「………………もう戻れない。……なら、私は望むのは一つしかない」

そして、なつきに告げる。

「クリス君の傍で……クリス君の手で私は死にたいよ」

自分自身の願いを。
死ぬ前の最期の願い。
そして、最も幸福な死に方を。

その為に、

「私は殺す。

 クリス君に生きてほしいから。
 クリス君の手で殺して欲しいから。
 クリス君に殺してもらえるように存在になる為に。

 そして」

何よりも。
本当に心の底から

「――――クリス君が好きだから」

彼のことを想っているから。

唯湖は笑って言った。
それは作り物じゃなくて。
本当に心からの笑顔だった。
でもそれはとてもとても哀しい笑顔で。

とても美しかった。

なつきは、

「……………………ふざけるな…………ふざけるなっ!」

激昂していた。
顔は朱に染まり。
はじめて、唯湖に対して純粋な怒りの感情を燃やしていた。

「……そんな気持ちで……そんな事で………………生きる事を諦めるなっ!」

それは生きる事を諦めようとした唯湖に対してで。
生を諦め死しか望まないその考えに嫌悪感を露にする。

「生きたくて……生きたくて……本当に生きたくて……でも」

浮かぶ顔は殺してしまった少年。
浮かぶ顔は無邪気な小さな女の子。
浮かぶ顔は自分を護ってくれた先生。

沢山の死んでしまった命。

そう、それは、

「生きたくても……、生きたかった奴らが沢山居るんだっ!」

本当に生きたいと願っていた人達の心と想いを籠めて。

そして、

「好きな気持ちを、死を……死のうとする気持ちの為に」

護ろうとした親友。
護れなかった少女。
護ろうとした少女。
護りたかった少年。

自ら命を断ち切った者達。

「肯定する道具にするなっ!
 本当は……本当はあいつらは一緒に生きたかったんだ! 好きな気持ちを………………そんな哀しいものに使うなっ!」

蘭堂りのと穏やかにすごしたかった神宮司奏
玖我なつきと笑いあっていたかった藤乃静留。

棗恭介と愛し合いたかったトルティニタ・フィーネ
トルティニタ・フィーネと愛し合いたかった棗恭介。

大好きだった人と本当は歩きたかった。
でも失ってしまった。自分が生きることすらできない。

本当は死にたくなかった。
でも、それしかなかった。

哀しい。
哀しいもの。

好きな人の為に。
命を散らした哀しい結末。

でも。

本当は好きという気持ちを。
命を自ら断ち切る為に使いたくなかったはず。

そう、なつきは思えたから。

「来ヶ谷唯湖っ!」

死のうとしている彼女の名前を呼ぶ。
彼女の表情は長い髪に隠れてわからなかった。
それでもなつきは強く告げる。

「棗恭介からの伝言だっ!」

その名前に唯湖がビクッと身体を揺らしたのをなつきは見逃さない。

「あいつも、静留やお前がしようとしていることと同じだった!」
「自ら命を絶ったのだろう?」
「……っ!」
「知っている。……私も見た」

唯湖の、その小さい呟きは、低くなつきに響き渡る。
哀しいぐらいに、震えていた。
同じ仲間がとった、唯湖がとろうとしている同じ結末に対して。

「大好きな少女へと後追い自殺か…………偶然だな。私もそんな人達を見たんだ」

それは黒須太一支倉曜子のことで。
彼女達はどうだったのだろうか?
幸せだったのだろうか?
答えはきっと彼女達にしかわからないだろう。

唯湖は深く諦めの篭ったな言葉で言う。

「結局辿り着く所なんていっしょ……」
「ちがうっ! 棗恭介は静留と同じように、大好きだった子の願いとは違うことをしようとしたかもしれない……それでもっ!」

なつきは手を振るい強く言う。
棗恭介の言葉を。

「あいつはな……好きな子にこう言われてたんだ……”生きて”って」
「…………」
「でも……あいつだって、そんなの、同じだって! 棗恭介だって、好きな彼女に生きていて欲しかったっ!
 だけど……残されたのは棗恭介だった。棗恭介の好きだった子は、あいつを生かす為に命を絶ったんだっ!」
「……っ」
「哀しいな……苦しいよな。そんな結末……誰だって選びたくないだろう」

なつきは辛そうに言う。
そんな、哀しい想いは二度と御免だった。
静留の時のようなそんな、辛く哀しい思いは。

「そして、最後に……リトルバスターズの棗恭介としての言葉じゃない。
 おまえが辿るかもしれない、未来の姿――馬鹿な男の頼みごとだって……」

その予想外の言葉に唯湖はビクッと震えて。
なつきを息を吸い込んで言う。

「”おまえは、俺や静留みたいにはなるな。おまえの想い人はまだ生きている。おまえの想いは、まだ消えちゃいない”」

まだクリスは生きている。
クリスへの想いは色濃く残っていて唯湖を突き動かしている。

なら。

「”だったら、逃げたりなんかするな。想いに殉じるなら――死ぬより生きてみろ。それが、先人からのアドバイスだ”」

死に逃げてはいけない。
想いに殉じてはいけない。

まず生きる事。

強い言葉だった。

そしてなつきは言う。
最後に伝える言葉を。
唯湖と恭介達が違うことを。

「なぁ、あいつらはな。……死にたくなかったんだ……生きる事に絶望なんかしていない……本当に最後まで生きたかったんだ」

そして。
唯湖に問う。
本当に。
本当に。

「……お前は……足掻いて、足掻いて……足掻いたのか……生きることに! 生きようとしたのか!」

生きようとしたのかと。

強く強く。

言葉を放った。

それは紛れも無くなつきの強い想いだった。

そしてそれは自ら命を絶ってしまった静留や恭介達への手向けで。

強く、優しい言葉。

その言葉に……、

「……くっくっ……あははははっ!」

唯湖は嗤った。




 ・◆・◆・◆・


「な、何故笑う!」
「……くっくっ……あははっ」

可笑しい。
笑ってしまう。
何を……何を。
今更なことを言うんだ、君は。

可笑しくて思わず笑ってしまう。

「足掻いたさ……足掻いたさ」

足掻いて。
必死に足掻いて。
他に手段はないか本当に考えて。

それでもなくて。

「夢を見たいさ」

もっと見たい。
クリス君と話す夢。
一緒に過ごせるようなそんな優しい夢。

でもそれは夢で。

思い描いては儚く消えていく。

「もっともっと先を見たいさ」

もっともっと先を見たい。
自分の心の先。
クリス君との先。
明日をもっともっと見たい。

本当に……見たい。

「でも」

確かに玖我なつきや棗恭介の言葉は強くて優しい。
とても優しく励ます……生きろという言葉。
まだ、未来がある、命があるという本当に優しい言葉。
できるなら、甘えたい。
甘えて戻りたい。

あの優しい時間に。

でも。

でもな。

「それでも―――私は殺してしまった」

私は人を殺した。


私は自分の為に他人を殺した。
クリス君の為でもあるが……最終的な目的は自分自身なのだから。

「エゴの為に殺して……殺して……」

その時は何の後悔も抱かなかった。
苦しくも無かった。
それなのに。

「そして、今更殺した罪の重さに絶望した」

自分自身のが殺した人間。
それに対する罪が……余りにも重い。
今更ながら重圧のように圧しかかってくる。
苦しくて苦しくて耐えられない。

そんな重みに。
私は……耐えられない。

「ああ、なんて愚かだろうな」

私は……殺した事によって。

「そう……私は自分が生きる未来すら殺したんだよ」

夢を描きたい。
明日を見たい。

そんな夢や希望、そんな未来を自分自身の手で殺してしまった。
私は、殺した重みに耐え切ることなんて、出来ない。
苦しくて、苦しくてできそうもない。

弱いかな、私は。

「愚かだよ……足掻いて、足掻いて、足掻いて、足掻いて、足掻いて、足掻いて……必死に足掻いて」

それなのに、その結果。

「そして、私は生きる未来まで失った」

なんだろうな。
それは……何がいけなかったのだろうな。

「そして……それを望む心も」

でも、気になる事があるんだ。
それは、君と私との共通点だよ。
こんな所まで似ているなんて可笑しい。

「なぁ……逆に聞くが」

なのにどうしてそんなに強いんだ?
なのにどうしてそんなに笑ってられるんだ?

教えてくれよ。

「君は辛くないのか? 藤乃静留を殺した玖我なつき君?」




 ・◆・◆・◆・


「なっ…………」

思わず、なつきは驚き唯湖の顔を覗き込む。
その目の輝きは暗く鈍く光っている。
なつきはそんな唯湖とその言葉に戸惑ってしまう。
そして、心の底にある傷を抉られるような、そんな錯覚が襲ってくる。

「だから、なんでそんなに強く居られるんだ? 笑っていられるんだ? ”殺した”のだろう?」

唯湖は気にもとめず問い詰める。
その言葉は鋭利な刃物のようになつきの心を切り裂いていく。
立っている力が抜けて行く様な感覚に襲われる。
顔から血の気が引いていき、蒼くなっていく。
触れられたくない、触れてほしくない点を唯湖に突かれていた。

「君も護る為に殺した……私と何ら変わらない……同じ”殺人者”なのに」

唯湖は憎しみを籠めてその言葉を吐く。
なつきも唯湖も同じ殺人を犯したものだ。
なのに、なつきは何でこんなに笑っていられるのだろう。
なのに、なつきは何でこんなに強く居られるのだろう。

どうして、こんなに自分と違うのだろう、同じ殺人者なのに。

それが悔しくて、悔しくて堪らない。
心の底から溢れている、紛れも無い嫉妬。
ちっぽけかもしれない感情だけど、それでも、この感情を止めることなんてできなかった。

「私は……私は……」

なつきからは言葉が出ない。
手に持っていたエレメントを落としそうになる。
傍目から解るように動揺していた。

唯湖は知る由もないのだが、なつきは静留の他にもう一つ殺人を犯している。
それは伊達スバルという少年の事で、なつきが明確な意志を籠めて撃ってしまった少年。
状況的に仕方なかった。
そう想いたいのに、未だに彼の顔が消えない。
消えてくれない。

それはなつきの罪。
なつきしか知らない罪。

愛しているクリス・ヴェルティンに話していないたった一つのこと。
クリス・ヴェルティンに許されていない罪だった。

「違う……違うっ!」

なつきは首を振って否定する。
それは唯湖に対してか、自分に対してかは解らなかった。
だけど未だにスバルの顔が消えなくて。

「私は……私はそれでも立っていられるっ! クリスに支えられて立っているんだ! クリスが居たからこそ未来を見つめられるんだ!」

結局頼ってしまうのはクリスだった。
クリスが傍に居てくれるからこそなつきは立っていられた。
クリスがいたからこそなつきは彼に縋れた。
クリスが共にあって未来を一緒に生きてくれる。
そう言ってくれたからこそ、なつきはなつきでいられた。

それがなつきが強くあれた理由であり。

「……ふん、いいな。君は彼が”傍”に居てくれて」

なつきが弱くなった理由だった。

「私はいてほしいのにいてくれなかったよ。羨ましいな。君はクリス君に頼って立っていられる……」

クリスがいたから。

「だけどそれは……本当は、殺した罪から逃げてるだけじゃないのか?
 君はクリス君に縋る事で、自分の罪から目を逸らしてるだけじゃないのか?」

でもそれはクリスがいた事で自分の罪から目を逸らしていただけかもしれない。
クリスに甘えられたから、自分の罪と向き合う事をしなかった。
それだけじゃないかと唯湖は蔑む。

「君は……本当はクリス君の思想なんか信じてないんじゃないか? ただ流されるままにその思想に甘えようとしていただけだ」

唯湖はなつきに向かって言う。
クリスが行った言葉や、クリスの考えていたこと。
哀しみの連鎖を止めるということ。
本当は信じていないんじゃないかと。
流されて、その思想に甘えていただけだと。
なつき自身の想いではない、そう冷たい目を向けながら問い詰める。

「…………っー」

なつきは違うと思いたかった。
だけど、それが言葉にならない。
想いが言葉にならない。
その想いが果たしてどんな想いだったかもよくわからない。

わかっているのは唯一つ。

クリスの傍に居たいという事だ。

なつきは立ってるのすら辛くなって幽鬼のような目で唯湖を見る。
唯湖の表情は能面のように無表情でなつきを見つめているだけ。
やがて、なつきの方に近づいていく。

そして、

「玖我なつき……私を止めたいか?」

なつきに問うた。
なつきは心がぐちゃぐちゃになりつつも唯湖を見つめ、かろうじて答える。

「ああ……止めたい」
「…………何故だ?」

唯湖としてはその返答は少し意外だった。
もう、そんな意志すらないように思えたのに。
それでも、なつきは答えていた。

なつきは思う。
唯湖を止めるのが自分の意志なのかはもう、わからない。
考えるのすら億劫になってきた。

でも、その中で見つけたものは唯一つ。

それは絶対に変わらない堅い意志と想い。


「お前が死ぬとクリスが哀しむ! だから――――生きろっ!」


クリスに哀しんでほしくない。
クリスに笑っていて欲しい。
クリスに喜んでいて欲しい。

そんな、クリスを想い、大好きで、そして愛しているからこそ。

それだけは絶対に言えて、誓えること。

なつきの行動原理だった。

「そうか……」

唯湖はその問いに笑って。
なつきを羨ましそうに見て。
その純粋すぎる想いに焦がれて。

「ならば、…………私をここで撃ってくれ」

なつきの手を取り、エレメントでできた銃をを自分の額に押しつけた。
その目からは感情が見えなくて。
なつきはその行為にただ、驚いた。

「ここから……ちょっとした独白だ……黙って聞いてくれよ」

なつきは信じられない風に唯湖を見ていた。
唯湖は気にせず語る。
自分の中にある想いを。

「私がこれからすることは自己満足でしかない。そして、その為にクリス君を酷く哀しませる事になるだろう」

クリスに殺してもらうということ。
それは唯湖が最上の死を得る為の自己満足でしかない。
それが、どんなにその後にクリスを苦しめる事になるとしても。

「でも、私はやめる事ができない……だけど、身勝手だけどクリス君にも哀しんで欲しくないんだ」

唯湖はそれをやめることはできない。
でも、クリスは哀しむ。
唯湖の本心としてはそうなって欲しくない。
できれば、大好きな人には笑っていて欲しい。
だから。

「私がこれ以上、クリス君の重荷になる前に、クリス君を哀しませる前に、クリス君を傷つける前に」


唯湖は笑って。


「私を殺してくれ」

殺してくれと……ただ願った。
なつきに殺されるなら唯湖の願いは叶わない。
でもそれと同時にクリスを哀しませることもない。
なら、それでいいかとも思えたから。

クリスを純粋にただ愛している子に撃たれるというなら。
それもそれで、またいいと思えたから。

「そんな……こと」

なつきは信じらないという風に唯湖を見つめて。
ただ、戸惑っていて。
引き金にかかっている指が動かなかった。

「するなら……早くしろ。もう言葉は受け付けないぞ」

そう言って、唯湖は目を閉じた。
全てを受け入れるように。

なつきの身体が震える。
この引き金を引けば唯湖は死ぬ。
唯湖がクリスを哀しませることはなくなる。
唯湖にとってもそれが最上なのかもしれない。

でも、それは命を奪うということ。
なつきはその行為がただ怖くて。
そんなことをするとクリスに嫌われるんじゃないかとも思い。
引き金を引くことが出来ない。

複雑な思いがなつきの中で交差して。

思うのは幸せに逝った静留。
思うのは殺してしまったスバル。
思うのは自分に想いを託した恭介。
浮かぶ顔は大好きな、愛しているクリス。

全て交差して。


「――――できないっ!」


泣きながら銃を離した。
出来なかった。
出来る訳なかった。

これ以上誰かを殺したくない。
これ以上誰かを哀しませたくない。
これ以上苦しい想いをしたくない。


そして、それ以上に。


「もう…………誰も死んで欲しくないんだっ!」


誰にも死んで欲しくなかった。

もう誰かが死ぬ姿なんて見たくない。
それが唯湖であっても同様で。

なつきは引き金を引くことが出来なかった。


「だから、生きろっ! 来ヶ谷唯湖!」


唯湖に生きる事を強く望む。
その唯湖を見る目はもう、迷いなどなく。
ただ、強い意志と思いだけを宿していた。


「そうか……それが君の選択か」


唯湖はそう言って嬉しそうに微笑んだ。
確かになつきは自分を殺さなかった。
そして、生きることを望んだ。

唯湖は思う。

ここで、引き金を引けないからこそ玖我なつきなのだと。
それこそがクリス・ヴェルティンが愛する事を決めた女の人なんだなと。

そう思うことができて。
不思議に嬉しくなってしまった、なぜかはわからなかったが。

「ああ、生きろ!」

なつきはそう強く言う。
唯湖は笑って。


「けどな――――私は君を許せそうも無い」


懐に隠していたリボルバーを驚くなつきに向けた。




 ・◆・◆・◆・


「な……ぜ……だ?」

なつきは震えたまま、唯湖を見つめる。
唯湖の瞳には紛れも無い、憎しみ。

「別に……決まってたことだ……私は君の言葉では”絶対”に動かない。考えを変えない。それだけだ」

唯湖はなつきを見据えて、そう吐き捨てるだけ。
もとより、玖我なつきの言葉では絶対に動く訳がなかった。
というよりも、玖我なつきの言葉だけには絶対に動かされる訳にいかなかった。

「君は…………私が帰りたい、傍に居たかった唯一つの場所を”奪った”んじゃないか」

理由はとても簡単で。
唯湖が傍にいたかった場所。
唯湖が帰れる場所。
クリス・ヴェルティンの傍をなつきが奪ってしまったのだから。

なつきがどんなに言葉を重ねても。
なつきがどんなに想いを語っても。

どんなに説得しようとも。

「君の言葉を私は絶対に聞かない。説得などされてたまるものか」

玖我なつきでは来ヶ谷唯湖を動かすことはできない。

それは愛する人の傍を奪っていたなつきへの嫉妬。
下らないようだけど唯湖にとっては何よりも大きな喪失であり、失いたくなかった場所だったから。
クリスを奪ったという事実はどんなことが有ろうとも変わりはしない。

「君がクリス君の為にどれだけ頑張っていかは解る。感謝の気持ちも有るし、認めてる」

なつきがクリスをどれだけ支えていたかはわかっている。
だから、そのことは認めるし、感謝もしたい。

けど。

「君が彼の傍を奪った……その事実は変わらない。そして私は……それを今到底許せることができないんだよ」
「……そん……な」

なつきには生きていればクリスと歩ける未来が、明日がある。
でも唯湖には存在しない。どんなに望んでもそれを手に入れる事が出来ない。

そんななつきが素直に羨ましい。
些細な、それでも唯湖にとって大きな嫉妬の気持ちだった。

「君は本当に……幸せだったな。羨ましい…………全てを奪われた私と違って」
「違う……そんな事ない」
「そんな事ない訳が無い……幸せだろう……なぁ、玖我なつき」

羨ましそうになつきを見ながら唯湖は呟く。

なつきは……それこそがなつきの弱点である事に気付いていない。

そう、なつきはこの島で失ったもの、奪われたものが殆どないのだ。
むしろ、むつみと会い、母という存在を取り戻した。
クリスと出逢い、恋人を手に入れた。
静留は自分の手で殺してしまったものの、その代わりにクリスが支えてくれた。

それ故に全てを失うこと、誰かから大切な物を奪われるという唯湖の気持ちがわからない。
唯湖からすれば、全てを得たなつきの言うことなんて薄っぺらく感じてしまう。

唯湖はこの島にきてから奪われただけだったのに。
リトルバスターズという仲間を奪われて。
またその仲間を侮辱し、捨てる羽目になって。
そしてそのリトルバスターズが作り上げた仲間を自分の手で殺して。

その結果、クリス・ヴェルティンの傍すら奪われてしまった。

はじめから、未来すら奪われていたというのに。

クリスとの楽しかった思い出。
クリスと過ごしたかった夢。
クリスへの大切な想い。

それすらも……奪われてしまった。


「……だから、君の言葉で動くものか……動いてやるものか」


答えは単純で。
全てを得た人間と全てを失った人間では……差が開きすぎていた。

結論から言うと……玖我なつきは幸せすぎた。
それ故に、生きる希望も無く死ぬとわかっている者の絶望が見えない。
そんな壮絶に辛く哀しいものに追い詰められてしまった唯湖の心には届くものなんてなにもない。

ただ、それだけの事。

「だから、私は君を殺して……そして死んでいく」

玖我なつきの言葉は来ヶ谷唯湖には届きようがなかった。

なつきは、

「そっか……うん」


――――笑っていた。


満面の笑みで。
唯湖を祝福するように。


笑っている。


「私じゃもうお前を止められることは出来ない……だから、クリス。後を託すからな」

これから死ぬというのに後悔もないように笑顔でいる。
屈託もなく、唯湖を見つめていて。

「何故だ……何故笑っていられる……私は……お前を殺すんだぞ!? よりによってクリス君を好きな私にだっ!
 なのに、もうクリスといられなくなるのに、どうしてそうやって笑顔で後を託す事ができるんだ!」

唯湖は不思議でならない。
怒りをこめてなつきを睨みつける。
殺すというのにどうして笑っているんだ。
クリスといられなくなるというのにどうして笑っているんだ。

「それは……悔しい。クリスと居られない事は哀しい」

なつきは口惜しそうにそう言う。
確かに悔しい。
確かに哀しい。

「でも、クリスを信じてるから。クリスならお前を止めてみせる。そして来ヶ谷唯湖。貴様が説得されると確信してるからだ」

でもクリスを信じているから。
クリスなら止めてくれるだろうから。
そして、唯湖が止められると思っているから。

「何故だ?」

震える声で唯湖は問う。

なつきは笑って、

「だって……お前も同じ人を心の底から好きになったから。
 だからわかるんだ。クリスを好きになって……愛して、クリスの言葉を聞かないわけがない」

唯湖がクリスを好きになったからと。
なつきと一緒でクリスを愛しているから。

同じ人を愛しているからこその確信。

それはクリスの言葉を受け入れない訳がないだろうという確信だった。

「私もクリスを心の底から好きになったから…………だから信じる、だから託すことができる」
「ふざける……なっ」

なつきの全てを信じきり。悟りきった笑顔に唯湖は怒りを隠しきれない。
悔しさと嫉妬を露にしながら。
こんなにもクリスを信じきれているなつきが悔しくて堪らない。
理解できているなつきに対して悔しやが堪えきれない。

そしてなつきは唯湖に向かって言う。

「ふざけてなどいない……だって……」

自身の心を。
心の奥底にずっとある想いを。



「私は本当に心の底から全てクリスを愛しているから」



クリスへの純粋な愛を。


そして。




 ・◆・◆・◆・


悔しいなクリス。
もうここで終わりだな。

もっと一緒にいたかった。
もっと一緒に笑いあいたかった。

でも、

楽しい想い出がたくさんある。
クリスと過ごした楽しい想い出が。


だから、笑っていられる。

笑っていられるんだ。


だから……なぁ……クリス。


笑っていよう。

泣いちゃ駄目だ。


クリスを想いながら。

この愛しい気持ちを誇りに思いながら。

クリスへの愛を持ちながら。


私は最期まで笑っていよう。


だって、クリスは笑ってる私が好きだから。


うん。


だから、笑っていよう。


最期に。


クリス。


愛している。




 ・◆・◆・◆・


唯湖は嫉妬と悔しさで感情の箍が外れて。


一発の銃声が鳴り響き、血飛沫が宙に舞った。


なつきは――――


命が尽きる最期まで笑っていた。




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