ディランザ

ディランザ
DILANZA
登場作品 機動戦士ガンダム 水星の魔女
型式番号 MD-0031
全高 18.2m
重量 85.3t
所属 ジェターク寮
武装 ビームバルカン
ビームトーチ
ビームライフル
シールド
消火剤ジェルランチャー
搭乗者 フェルシー・ロロ
グエル・ジェターク

ディランザ グエル専用機
GUEL'S DILANZA
登場作品 機動戦士ガンダム 水星の魔女
型式番号 MD-0032G
全高 18.2m
重量 89.4t
所属 ジェターク寮
武装 ビームバルカン
ビームトーチ
ビームライフル
ビームパルチザン
スパイクシールド
搭乗者 グエル・ジェターク

ディランザ ラウダ専用機
LAUDA'S DILANZA
登場作品 機動戦士ガンダム 水星の魔女
型式番号 MD-0031L
全高 18.2m
重量 91.1t
所属 ジェターク寮
武装 ビームバルカン
ビームトーチ
ビームライフル
大型ヒートアックス
シールド
搭乗者 ラウダ・ニール
グエル・ジェターク

ディランザ・ソル
DILANZA SOL
登場作品 機動戦士ガンダム 水星の魔女
型式番号 MD-0031UL
全高 18.4m
重量 94.9t
所属 ジェターク・ヘビー・マシーナリー
武装 ビームバルカン
HCミサイルランチャー
ビームトーチ
ビームライフル
シールド
搭乗者 ヴィム・ジェターク


【設定】

ジェターク・ヘビー・マシーナリー社が開発した汎用モビルスーツ。
パワーに優れた重量級の機体で、足りない要素を積極的に付与させていく設計方針が採用されている。
この方式は結果的に機体バランスの安定化の成功に繋がり、ジェターク社を代表する傑作機となった。
バリエーションとしては性能強化と装飾を施してマゼンタに塗装したグエル専用機、大型ヒートアックスと両肩のラウンドシールドを備えたラウダ専用機、実戦配備仕様機のディランザ・ソルが存在する。
学園に配備される機体はレギュレーションに従ってOS式のリミッターで出力が抑制されているが、リミッターを解除すれば学園仕様機体でもディランザ・ソルのような実戦仕様機と遜色ない性能を発揮出来るとされる。


【武装】

ビームバルカン

連射性に優れた小型ビーム砲。
胸部に固定装備されている。

ビームトーチ

近接戦闘用ビーム兵器。
幅広のビーム刃を形成する。

ビームライフル

ジェターク社製の携行ビーム火器。
ディランザ・ソルの物はバレル下部にビーム刃を形成するビームバヨネッタが搭載されている。

シールド

肩に装備される防御兵装。
ビームトーチやビームライフルおよび予備マガジンのウェポンドッグを兼ねている。
なお、一般機は左肩に一基のみ装備だが、グエル専用機、ラウダ機、ディランザ・ソルは専用に大型化したシールドを両肩に装備する。
ディランザ・ソルのものは実戦仕様なのもあり、防御力が向上したものになっている。

消火剤ジェルランチャー

フェルシー機が使用した非殺傷武器。
消火剤成分が含まれたジェルをカプセルに搭載され、専用のランチャーから射出する兵装。
カプセルが着弾した直後にジェルを展開し対象を覆い消火・冷却し爆発を防ぎ、主に火災等の災害に使用される。

ビームパルチザン

グエル専用機が装備する近接戦用装備。
大型の長柄武器で十字状のビーム刃を展開する。

大型ヒートアックス

ラウダ機が装備する大型の斧。
堅牢な作りで盾としても利用可能。

HCミサイルランチャー

ディランザ・ソルの背部に搭載されるミサイル。
自動追尾タイプのクラスターミサイルを発射する。
アド・ステラでは宇宙での実弾兵器の使用は条約で禁止されているので、主に地球で使用されると思われる。


【原作の活躍】

一般機

ダリルバルデの仮想敵として無人操縦の機体がセッティングされるが、イーシュヴァラで切り刻まれる。

ランブルリングでフェルシー・ロロの搭乗機としてラウダと共に参加し、決闘委員会で一悶着あったレネ・コスタのハインドリーと対峙する。
しかし、突如乱入したソフィ・プロネのガンダム・ルブリス・ウルによってラウダ機が無力化された際には、機体を盾にする事でラウダを守っており、その後はフェルシーの呼びかけで援護に来たチュチュによって護衛された。

ノレア・デュノクが学園を襲撃した際にはガンヴォルヴァを食い止めるべく出撃するが、学園仕様のため*1苦戦を強いられてしまう。
しかし、チュチュが駆るデミバーディングの援護もあって、最後まで戦い抜いた。

最終決戦でラウダとグエルの兄弟対決を見てフェルシーが出撃、命がけでラウダの暴走を止め、爆発寸前となったグエルのディランザに消火剤を発射し、グエルの命を救った。
グエルを回収して一度帰還すると、今度は再出撃するスレッタを護衛するべく、フェルシーからグエルに貸与される。
議会連合の主力MSカラゴールと対峙するも、フロント守備隊の協力や議会連合側の指揮官の思惑もあり、戦闘にはならず無事スレッタをクワイエット・ゼロへ送り届けた。

グエル機

カペル・クゥを撃破する活躍を見せ、ミオリネが駆るガンダム・エアリアルとの決闘で最初は優位に立つも、エアリアルのパイロットがスレッタに代わった後は形勢逆転、GUNDビットの一斉射撃で機体をバラバラにされて敗北。修理のためにジェターク社に回収され、後日の再戦ではダリルバルデが使われることになった。
なお、スレッタが学園に編入する前に青色のMSのブレードアンテナを破壊して勝利するなど、その時点のグエルの戦績は8勝0敗0分である事が後に明らかになった。

2ndシーズンでは、クワイエット・ゼロと呼ばれる計画を阻止するべく行動に出たミオリネらを護衛するために、修復された機体にグエルが搭乗した。
実戦仕様ということでビームパルチザンの刃の色は実戦機と同じピンク色に変化しており、加えて邪魔にしかならない羽根飾りはオミットされている。
その道中、ラウダのガンダム・シュバルゼッテの奇襲を受け交戦する事態となり、相手が相手だっただけに積極的に攻撃する訳にいかず、善戦するも大きく損傷。
最終的にはグエルの意図もあり、胸部を貫かれ大破するものの、爆散する前にフェルシーのディランザの消火剤ジェルランチャーにより救助された。
その後グエルはフェルシーのディランザに移乗しているため、本機はその場で投棄されたものと思われる。

ラウダ機

グエルがエラン・ケレスとの決闘の際に無断で使用した。
遠距離攻撃主体のガンダム・ファラクトに対し相手の「ドローン」によってライフルを取り落とし苦戦は必至かと思われたが、アックスを盾にして電磁ビームを防ぎつつ回避行動を重ねて肉薄するという驚きの活躍を見せる。
しかし序盤で自らがかく乱のために撒いたレゴリスが仇となって、機動を阻害されたところにファラクトの電磁ビームを受け機能停止、四肢を破壊され敗北。
なお、この時のグエルは決闘禁止を言い渡されていたにも関わらず決闘を行い敗北したため、彼はジェターク寮を追放されてしまった。

ランブルリングでは遂に本来のパイロットであるラウダが使用、整備・調整はペトラ・イッタが主に担当しており、その際の様子は非常に意味深である。
エアリアルとハインドリーが近接戦を繰り広げる中に、豪快なアックスの一撃で参戦、フェルシーの援護もあってエアリアルと対峙するものの、直後に乱入したガンダム・ルブリス・ウルのガトリングで打突され頭部が損壊。
その際の衝撃でラウダも昏倒してしまい、ルブリス・ウルに踏み倒される形でそのまま機能停止した。

ディランザ・ソル

地球の情勢のニュース映像の中で、暴徒を鎮圧する様子が映し出される。
その後はプラント・クエタでのテロでヴィム・ジェタークが搭乗、デスルターにグエルが搭乗していると知らず迎撃を行うが、スレッタの元へ向かうグエルの反撃を受けて致命傷を受け、爆散する。
この時、グエルはディランザにヴィムが乗っている事を知ってしまい*2、グエルに深いトラウマを残すことになった。


【搭乗者】

フェルシー・ロロ

CV:高田憂希

アスティカシア高等専門学園のパイロット科2年生。
グエル・ジェタークを慕い、ラウダ・ニールやペトラ・イッタと共にジェターク寮に所属する。

「あまり後先考えない猪突猛進タイプ」な印象が強く、それ故に思慮浅い言動が目立ち、ペトラ共々ミオリネをからかっている。
また、自身が優勢の時には高圧的だが、劣勢になると途端に怖気づく所もある。
もっとも、これらの言動は『自分が安全圏にいる』故の余裕に近く、スプリンクラーを停止すべくモビルクラフトで突貫したミオリネと対峙するや、怖じ気付いて終始狼狽えるなど、思慮の浅さも含め「虎の威を借る狐」のような性格が目立っていた。
スレッタ・マーキュリーを『水星女』の蔑称で呼び、ラウダと同じく『田舎者』とも発言する等、彼女も下流スペーシアンやアーシアンへの差別感情を持ち合わせている。
ミオリネとの関係もかねてより悪く『殴り込み』の際には、相方共々「やっぱりアンタ達か」とスレッタ編入前の言動が窺い知れる恨み節をぶつけられており、それ以前に温室の修理を行わせた際にもトマトに触れないよう言いつけられていた。

思慮浅い言動が目立つものの、グエルやラウダを慕う気持ちは紛れもなく本物であり、不利になっても裏切るような真似はしない忠臣ではある。
「水星女が氷の君とデートした」事実をペトラ共々グエルに伝えたりと、恋愛方面にも年相応の反応を見せており、総じて「良くも悪くも年頃の女子高生らしい、自分の感情に素直な子」と評せるのかもしれない。
また、父親がベネリットグループの上層の情報を得られる立場にあるらしく、ガンダム・エアリアル及び搭乗者の処分を把握している。

【原作名台詞】

  • 「責任、とってもらったらいいんじゃないですか? 逃げたいんですよね? 地球に。」
    • 初登場時の台詞。スレッタのせいで学園からの脱走に失敗したミオリネを嘲笑し挑発する。

  • フェルシー「グエル先輩~!」
    ペトラ「大変っす~!」
    • フェルシーとペトラがトレーニング中のグエルに「水星女が氷の君とデートしに行った」という事を報告する。

  • 「誰か!? 先輩が死んじゃう! ラウダ先輩が死んじゃうよ!?」
    • ソフィのルブリス・ウルの攻撃で沈黙させられ、負傷して意識を失ってしまったラウダを見て、涙ながらに救助を乞うフェルシー。しかし、その危機を救ったのは、彼女が嫌っていたアーシアンのチュチュだった。

  • ラウダ「オープンキャンパスでは助けられた。…礼を言う」
    フェルシー「あ…ありがとな。」
    • ペトラ共々ラウダに同行し、スレッタの元を訪れるた時に、助けてくれたチュチュに対してお礼の言葉を伝える。グエルに次いで『アーシアンへの差別意識』が氷解したキャラクターになった。
    • パッと見単なるツンデレセリフで表情もそれそのものに見えるのだが、実は一瞬だけ優しい笑みを浮かべている
    • これを機に地球寮とはそこそこ良好な関係を築けるようになり、クワイエット・ゼロ乗り込み同伴の切っ掛けとなる。

  • 「アーシアンが仕切ってんじゃねえ!」
    • またも学園内でノレアのルブリス・ソーンが破壊活動を行い、再び出撃したフェルシー。たった一人で戦いガンヴォルヴァに苦戦する中、助太刀に現れたデミバーディングに乗るチュチュからの「手を貸せ」という言葉に対して。差別意識ではなく、助けてもらった時の「スペーシアンの癖に泣き言言ってんじゃねえ!」に対するお返しとばかりに威勢よく言ってみせた。

  • 「2人ともバカなんすか!? 兄弟喧嘩で死ぬとか!!…マジ笑えないっすから!!」
    • 命がけでラウダの暴走を止め、爆発寸前だったグエルのディランザに消火剤ジェルランチャーを打ち込んで助けた時に叫んだ台詞。
      フェルシーにとってグエルとラウダはかけがえのない先輩にして友達であり、心から2人を心配したからこその厳しい叱声で2人を叱るのであった。
    • ちなみに、この後のシーンのフェルシー機をよく見ると両手を腰に当てている。ぷんすこ!
    • 爆発寸前の機体が関わる場面は最後は機体が爆散して最悪の結末を迎える事が多く、実際ガンダムでも前例が多くヴィムも同様の展開だったのでグエルも例外なく…と思われていたところに割り込んで、グエルを救い悲劇の再来を阻止という活躍で見事にフラグを折ってみせ、視聴者を大いに沸かせた。


グエル・ジェターク

CV:阿座上洋平

アスティカシア高等専門学園パイロット科3年生、学籍番号KP001。
ベネリットグループの御三家企業・ジェターク・ヘビー・マシーナリーの御曹司。
ヴィム・ジェタークCEOの長男であり、同学年のラウダ・ニールは異母弟にあたる。
外見は浅黒い肌で右目側に泣きぼくろがあり、独特な眉毛が特徴。

ジェターク寮のエースパイロットであり、専用機のディランザやダリルバルデを駆る。
決闘委員会の筆頭を務めており、自身も無敗の戦績を誇っていたが、スレッタが学園に転入したのを契機に、それまで順風満帆だった人生が激動し始めるのであった。

本質的には直情的かつ熱くなりやすいタイプなのだが、スレッタが編入する前は学園内でも最高峰のパイロットとしての技量と、実家の権勢を鼻にかけた傲慢な言動が多々目立っていた。
しかも、父親の権勢欲や横暴な言動に晒されての抑圧、またベネリットの重鎮であるジェターク社の後継者である重荷などがストレスともなって、それを晴らすかのような虚勢が攻撃的な形で表出するため人当たりも悪かったが、それでも最低限のTPOは弁えている。
『ドミニコス隊への入隊』を目標に研鑽を積み重ねており、スレッタ・マーキュリーが編入してくるまでは「ホルダー」の座に就いていた実力者。粗暴で傍若無人の面もあるが決闘の結果を*3反論せずに受け入れるなど、無頼に振る舞うだけの人物ではない*4

プライドの高さゆえか実力勝負によって白黒を付けるのを好むが、不正も是とする企業間の代理戦争のミニチュア版たる決闘制度の実態とは、些か噛み合っていない*5

異母弟と共に実母に捨てられた自らの境遇を反面教師にしているのか、男女の付き合いに関しても真面目なようで、しばしば痴情のもつれから決闘を挑まれるシャディク・ゼネリのプレイボーイぶりには辟易したかのような態度を見せている。
本心から惚れた女性には、素直な気持ちを出せない様子だが真面目かつ一途であり、その女性を傷つけた相手に果敢に決闘を挑む漢気を見せた。

随所でお堅い一面も見せており、良くも悪くも遊びのない堅物とも評価出来る。

【原作名台詞】

  • 「見たかミオリネ! このグエル・ジェタークの決闘を! 俺はお前も会社も、全部手に入れて見せるぞ!」
    • 初登場時の台詞。自身を笑った相手との決闘に勝利した後、自ら姿を現して堂々と宣言する。
    • この時は傲慢さが目立つが、この後のグエルの辿る物語と結末はこの時の彼からは想像出来ない壮絶なものだった。

  • 「ここではな、何が善か悪かは決闘で決めるんだよ。それとも俺と決闘するか?」
    • 温室を荒らした事をミオリネに謝罪するように言うスレッタに笑い飛ばしながら言う。しかし、ここで軽はずみに「決闘」をちらつかせた事が彼の運の尽きだった。

  • 「田舎者の無知を修正してやる!」
    • 自分を「あんなの」と蔑んだスレッタに激怒し、ビームライフルで威嚇射撃する。
    • 「修正してやる」といえばを連想させるが、この時のグエルの場合は…

  • 「何なんだ…そのモビルスーツは…」
    「何なんだ…お前は…!?」
    • スレッタ・マーキュリーのガンダム・エアリアルとの決闘に敗北し、ホルダーの座から陥落。何が起こったかも分からずあっという間に戦闘不能にされ、グエルも唖然とするしかなかった。
    • ここからグエルの転落劇が始まる事に。

  • 「貴様、こいつに……っ!? こいつに何をした……! 返答次第では…」
    • フェルシー達から報告を受け、エランと行動しているスレッタの下に駆けつけるが、そこで彼が見たのはエランが冷たい言葉でスレッタを泣かせた場面だった。怒りを滲ませエランに詰め寄るが、逆に彼から決闘を申し込まれ、グエルは「エランがスレッタに近づかない事」を条件に挑む。グエルに良い印象を持っていないスレッタにとっては大きなお世話だったようだが

  • 「低重力ならディランザだって!」
    • 鈍重な機体でも低重力なら高機動機とも渡り合えると、ディランザを駆るグエル。自身がエランの罠に既に嵌っているとも知らず…。

  • 「こいつも…ドローンか!」
    • エアリアルとの交戦経験もあり、ガンダム・ファラクトのコラキが、エアリアルのガンビットやダリルバルデと同じ原理の武装であると見抜く。

  • 「触れさえしなければ、こんなもの!」
    「すり抜けてみせる!!」
    • コラキの電磁ビーム網をものともせずファラクトに肉薄するが…
    • この際、重量級の機体で電磁ビームを殆ど回避してみせる凄まじい技量を見せつけた。

  • 「やめろ…! やめろぉぉぉぉ!!」
    • 電磁レゴリスで機体に異常が発生、更に次々とコラキを撃ち込まれ行動不能になったところを容赦なくファラクトの攻撃が襲う。アンテナをもぎ取られそうになり叫ぶもエランは最後まで冷徹だった…。


ラウダ・ニール

CV:大塚剛央

アスティカシア高等専門学園パイロット科3年生、学籍番号KP013。
ジェターク・ヘビー・マシーナリーのCEOヴィム・ジェタークの次男だが、グエル・ジェタークとは母違いの兄弟である*6
父や兄と姓が異なり母方の姓を名乗っているが、単に次期後継者でもある兄を慕ってのものと思われる。

本質的にはグエルと似て血気盛んな血筋も垣間見えるが、基本的には冷静で理知的な性格。
グエルを「兄さん」と呼び慕っており、パイロットとしての実力はもちろん、人としても信頼している様子を多く見せているなど腹違いながら兄弟仲は悪くなく、彼の取り巻きの1人として行動を共にしている。
右手で左の前髪を弄る癖があるようで、この仕草が神経質な印象に拍車を掛けている節がある。
ヴィムに呼び出され不在の兄に代わって、共に彼の取り巻きであるフェルシーとペトラと共に損壊させた温室の修復に出向く等、兄の指示とあれば私情を挟まない。

スレッタ・マーキュリーに特筆するような因縁がない時点で、すでに彼女を「田舎者」と愚弄している言動から、下流スペーシアンやアーシアンに対しても蔑視している本心が窺える。
しかし、流石に自身や知己の命を救った恩義があれば、下流スペーシアンやアーシアンであっても相応の礼節で接する度量も備えており*7、グエル同様に育ちの良さを伺わせる。

【原作名台詞】

  • 「兄さんを止めたければ自分で止めなよ。」
    • ミオリネの挑発に腹を立て温室を荒らし出したグエルを止めるように言ったスレッタを突っぱね、見て見ぬふりをする。
    • この後スレッタはグエルを止めに入るが、「この時ラウダがスレッタを無理矢理制止していればジェターク一族は『あんな事』にならなかったのでは?」と、結果論ではあるが視聴者からは運命のターニングポイント扱いされる事も。

  • 「決闘を止めて下さい! 兄さんは決闘を禁止されています! この決闘は無効だ!」
    • グエルの立場が危うくなる事を危惧し、エラン対グエルの決闘の中止を懇願する。しかし、グエルも了承済みである事やシャディクが個人的に興味を示していた事を理由に聞き入れてもらえなかった。

  • 「情けない…! 何だって兄さんはあんな愚鈍な女を。」
    • インキュベーションパーティーでグラスをこぼして慌てるスレッタを遠目から見て。何故グエルがスレッタに惚れたのか理解出来ず、グエル退寮のきっかけとなった彼女を侮蔑する。

  • 「ッハハハ!墜ちろ! 水星女!」
    • 株式会社ガンダムの命運を賭けた地球寮対グラスレー寮の団体戦に新ジェターク寮長として立会った際、他の5人が軽くあしらわれ、地球寮とミオリネの頼みの綱だった不倶戴天の敵スレッタもミカエリスとベギルペンデのアンチドートによりエアリアルが弱体化。
      追い込まれる様子をモニターで見ていたラウダは、今まで溜め込んだ恨み*8を画面に向かって吐き捨てるかのように叫んだ。あまりの迫力に後ろでセセリアとロウジは引いていた。
      なお、決闘が始まれば決闘委員会は本来なら中立の立場である。
    • 変貌ぶりがウケたのか、公式ラジオ番組等でも繰り返され愛されることに。

  • 「お前が来てからは、おかしくなったんだ…! 何もかも!…水星女!!」
    • ランブルリングでスレッタのエアリアル(改修型)と対峙した際に、スレッタに対して憎悪そのものの感情を吐き出した。

  • 「あいつのせいだ…! ペトラも学園も、兄さんが変わったのも…ミオリネ…!!
    • グエルが父親を殺した*9事、そしてノレア・デュノクの暴走でペトラが重傷を負った事を、ベネリットグループによるアーシアンへの虐殺行為を行ったミオリネ*10に1人に押し付ける。
      あまりに一方的な逆恨みを抱きながら、彼は禁忌であるガンダムの前に立つのであった…
    • 視聴者は「何故ミオリネ?」「スレッタはどうした」と思うだろうが、ラウダはずっと学園に居て、
      各人物の動向を神の視点的に見続けてきた視聴者と違って表向きの事しか知らない、
      本来恨むべき相手は全員既に拘束または死亡している、
      スレッタには一応命の恩人かつペトラを助けてくれた恩義*11があり、スレッタとはホルダーの座から陥落した(ミオリネに見放された)時を最後に直接会っていないので、
      やり場のない怒りを向ける先が必然的にこれまで騒動の中心に居続けたミオリネしか残っていないのである。
    • 何にせよ彼女にとってはとんだとばっちりであるが、その理不尽さから『ボボボーボ・ボ-ボボ』*12を連想した視聴者も多く、「ボーボボ」のワンシーンみたいに「殺してやるぞミオリネ」とネタにされることも。


ヴィム・ジェターク

CV:金尾哲夫

ベネリットグループ御三家ジェターク・ヘビー・マシーナリー社のCEO*13
一族経営のジェターク社を纏め上げる野心家で、息子のグエルにも厳しく接している。

グループ総裁デリングを抹殺して自らグループのトップに立つ事を目論む。
成果主義者であり、他者の意見を蔑ろにするワンマン経営者特有の短所がありグエルとの衝突も絶えなかったが、内心ではグエルの未来を案じる、不器用だが父親としての愛情もしっかり持っている。
また、パイロットとしての腕前も確かなものがある。

プラント・クエタでシャディク・ゼネリを通してデリングの暗殺を実行。
しかし、最初からジェタークに罪を擦り付ける算段だった彼の裏切りに遭い窮地に陥る。
激昂したヴィムはディランザ・ソルで反撃しようと出撃するが、互いに知らなかったとはいえ皮肉にも息子グエルに討たれる非業の最期を迎えてしまった。

彼の死による影響は大きく、ますますスペーシアンとアーシアンの対立が悪化、ジェターク社が一時倒産の危機に陥る。
更に、フォルドの夜明けのメンバーから聞かされたのか、グエルが父を殺した事はシャディクの知るところとなり、最悪の形でラウダにも暴露され、更なる確執を生む事になってしまった。

グエルは正妻との間に、ラウダは愛人との間に出来た息子。
正妻、愛人どちらからも逃げられてしまった事が示唆されているが、それでもグエルとラウダ両者に平等の愛情を注いでいるなど、権勢欲に囚われるあまりやり方が強引過ぎただけで良き父親としての顔もしっかり持っていた事が明かされた。
皮肉にもグエルが父の思いを理解し、ジェターク社の経営者の道を歩み出したのはヴィムの死後だった。

【原作名台詞】

  • 「ジェターク家の人間がジェターク社のモビルスーツを使って負けただと!? お前は会社の信用を潰す気か!!」
    「今回の決闘は俺の方で無効にしてやる。これ以上恥をかかせるな!」
    • グエルに決闘に敗北した事を説教する。確かにグエルの敗北は会社の信用にも関わる失態ではあるが、決闘の結果に納得できないのはグエルも同じである。
    • 御三家の一角のCEO権限で決闘を無効にし、チャンスを与えているのは息子へのささやかな優しさだろうか?

  • 「意見、宜しいでしょうか? 偶然とはいえ、あれは我が社のディランザを打ち破った機体です。今暫くの運用を検討しては如何でしょうか?」
    「近年の市場では、他社のモビルスーツのシェアが高まって来ています。あの機体は業績回復の起爆剤になり得るかと。」
    • ベネリットグループの審問会にて、エアリアル凍結の阻止のために乱入したミオリネの説得を後押しするかのように提言する。経営者ならではの意見だが、「偶然とはいえ」と付け足す辺りプライドの高さが見える。
    • 直前のプロスペラとの取引*14の手前や、息子の挽回のチャンスを作るためのこの提言は、奇しくも結果的にスレッタとエアリアルの窮地を救い、逆に自分達はますます追い詰められる事になった。

  • 「このスタッフもダリルバルデも、お前を勝たせるために俺が集めたものだ! 子供のプライドが入る余地はない! 大人扱いして欲しければ、勝ってホルダーを取り戻せ!!」
    • ダリルバルデの意思拡張AIの搭載に「俺の腕では勝てないっていうのか」と反発するグエルを修正して。

  • 「信じて欲しければガンダムを潰せ!」
    「それが子供だというんだ! 大事なのは結果だ!」
    「お前だけの決闘じゃないという事が何故分からん!? 子供は親の言う事を聞いていればいいんだ!!」
    • ダリルバルデを用いた2度目の決闘の中で、第三者を利用しての裏工作がグエルに発覚し、「どうして信じてくれないんだ」と嘆くグエルに対して。文面だけ見たら過激な毒親そのものだが、上の台詞と同様に彼も彼でジェターク社やグエルのために必死である事が窺える。
    • しかし、あくまで自分の腕での真剣勝負に勝つ事に拘るグエルには気持ちを踏み躙られているとしか思われず、親子の溝は深まるばかりだった。

  • 「グエル、お前の退学準備が出来た。うちの子会社にポジションを用意した。そこで俺の仕事を学べ。」
    「三度も負けたお前に何が期待できる? 代案は考えてある。俺の決定に意見するなど、烏滸がましい!」
    • 突然グエルに退学を突きつけ、パイロットは無理だと判断し経営者の道を歩ませようとする。父が自分を信じてくれないと絶望したグエルは、学園を抜け出してしまう。
    • もっとお互いに意見を聞き、話し合う事をすれば良かったのだが、それすらもしなかったためにこのやり取りで二人の対立は決定的になってしまった。

  • ヴィム「だからお前は気に入らないと言うんだ! 軍人上りが横から入り込んで来てぬけぬけと!」
    デリング「奪われた側に力が無かっただけだ」
    ヴィム「だったら奪ってやる! その時になって文句を言うなよ!!」
    • デリングとの会話でデリングから「私の娘より自分の息子を心配しろ」と言われて激昂、最後は宣戦布告も同然の捨て台詞と共に護衛に追い出された。
    • この時のヴィムはデリング抹殺の段階として護衛に発信機を付ける為に行動しており芝居を打っていたのだが、グエルはこの時既に学園を抜け出し消息不明となっており、高慢な態度と心配していた本心を見抜かれたので、こればかりは本気で苛立った様子。

  • 「養子は大変だな? パパに気に入られるよう、精々頑張れよ。」
    • 「発信機を取り付けた。脱出するので2時間後に作戦を決行しろ」とシャディクに指示を出し、最後にシャディクの立場を皮肉った様な言葉を残して通信を切った。しかし、シャディクは「直ちに」と指示、ヴィムはまんまと利用されたのだった。
    • 言い方からして敵を作りやすいタイプらしい。実際後ろで聴いていたメイジー・メイは不快感を露わにしており、視聴者からは「シャディクも内心キレて「直ちに」と指示したのでは?」と言われる事も。

  • 「あの養子野郎、裏切ったな!?」
    • 指示に反して即座に攻撃を開始した事に、自分は騙されたと知り激昂する。
    • この時の「養子野郎」という丁寧だか乱暴だかわからない言い方が「斬新な悪口すぎる」と注目された。

  • 「俺はライバルの頭を直接ぶっ叩くことで勝ち上がってきた男だ! 俺を敵に回したこと、後悔させてやる!」
    • ディランザ・ソルで出撃する際に。「MSに乗るのか!?」と驚いた視聴者も多かった事だろう。
    • 実力主義で野心家らしい一面が窺えるが、この行動が最悪の悲劇を呼ぶ事に。

  • 「……グエル…か…? 無事…だったか…捜したんだ…ぞ……」
    • 恐怖のあまりグエルが攻撃したディランザ・ソルに乗っていたのは父だった。最期に言い残したのは、最愛の息子の身を案じたものだった…。
    • 親子のすれ違いが、またしても悲劇を引き起こしたのだった。


【VS.シリーズの活躍】

EXVS.2 OB

ガンダム・ファラクトの勝利演出でラウダ機のアンテナのみ登場“ディランザが”登場と言っていいかはさておき
勝利演出で敵対している機体の一部分が手に掲げられているだけの登場は過去にも前例があったが、原作再現とはいえ顔すら見られない状態は前代未聞である。


【その他の活躍】

アーセナルベース

UNITRIBE SEASON:05より、グエル機(グエル)と一般機(フェルシー)が参戦。
同時に水星の魔女からはガンダム・シュバルゼッテ(ラウダ)も参戦している。

王様に捧ぐ薬指

水星の魔女Season2と同時期に、毎週火曜日にTBS系で放送されたテレビドラマ。
推しの二次元キャラと結婚したい推し婚がテーマの回でグエル推しの女性(演:イワクラ(蛙亭))が登場し、グエルのグッズと共にディランザのガンプラが映っていた。


【余談】

PVでは一般機がエアリアルと切り結ぶシーンがあったが、本編では使用されなかった。

ディランザ系のHGガンプラは三機種+α(一般機はラウダ機とのコンパチ仕様)がいずれも一般店頭販売されたが、いずれも発売前に作中で撃破されるという憂き目に遭っている。


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最終更新:2024年11月07日 02:06
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*1 学園のMSバトル「決闘」向けに調整されており、事故防止のためにコックピットが狙えなくなっていたり、ビームの出力が意図的に弱められている

*2 ヴィムも同様にデスルターにグエルが乗っていたことを知る

*3 仮に不正の可能性があったしても

*4 決闘の口上である『結果のみが真実』を重んじる人物であると評価できる

*5 決闘の口上である『結果のみが真実』の言葉も作中ではスポーツマンシップ等ではなく、勝てば官軍の結果主義を補強する言葉となっているのが実態である

*6 同学年ながら弟なので、同年生まれで誕生日が遅いものと思われる。

*7 但し口調はいつも通りだが

*8 どちらかというと私怨である

*9 厳密には正当防衛

*10 実際はプロスペラがパーメットを操ってアーシアン側から攻撃を無理矢理させた事でこうなった

*11 第20話での電話で事の顛末を聞かされた説が強い

*12 週刊少年ジャンプに連載されていた、澤井啓夫原作の理不尽ギャグバトル漫画

*13 後にヴァナディース事変と呼ばれる時代の『PROLOGUE』では先代CEOから経営者となるための教育を受けている若き日の彼が登場する。

*14 審問会の際に意見してほしいと頼まれ、この際にエアリアルのデータを受領しており、これが後のある試作機の開発の足掛かりとなる