―――放送開始まで、あと数分。
「無駄ァッ!!」
ゴールドエクスペリエンスの黄金色の拳が累の父の頬に放たれ、その巨体を後退させる。
彼は僅かに怯むも、しかしその目はすぐにジョルノを捉える。
彼は僅かに怯むも、しかしその目はすぐにジョルノを捉える。
「ジャアッ!!」
返す拳をゴールドエクスペリエンスは両腕を交差させて防ぐ。
タイミングとしては完璧な防御。しかし、その純粋な力には耐えきることが出来ず、ミシミシと音を立て骨がきしむ。
タイミングとしては完璧な防御。しかし、その純粋な力には耐えきることが出来ず、ミシミシと音を立て骨がきしむ。
「くっ!」
このまま踏ん張るのはかえって危険だと判断したジョルノはあえて後方に飛ばされ尻餅を着く。
(やはりとんでもないパワーだ...それにこちらから殴りつければ僕の拳を痛めてしまう程の頑強さ。僕一人では荷が重い)
痛む身体に鞭を打ち、ジョルノは周囲を見渡し状況を即座に確認する。
堂島正は謎の青年と共に佐神善を思わせる怪物に対処。
真島はあの痛めた拳ではこの怪物との戦闘は不可能。
ふわふわとした印象の寝巻染みた服の少女は負傷。ある程度は動けるかもしれないが、この怪物相手には酷だ。
一番ひどいのは鹿目まどかだ。魔法少女でなければ生涯病院生活は免れないレベルの損傷だ。
真島はあの痛めた拳ではこの怪物との戦闘は不可能。
ふわふわとした印象の寝巻染みた服の少女は負傷。ある程度は動けるかもしれないが、この怪物相手には酷だ。
一番ひどいのは鹿目まどかだ。魔法少女でなければ生涯病院生活は免れないレベルの損傷だ。
比べてこちらで比較的ダメージが少ないのは、自分、梨花、一般人らしき少女...それに、プロシュート。
(この状況で打てる最善の手は―――)
「古手さん、奴にボミオスの杖を使ったら鹿目さんともう一人の彼女に体力の回復を!」
ジョルノの指示に、梨花の表情がピシリと固まる。
「えっ、またアレを...?」
「事態は一刻を争うんです!もし貴女がなにもせず傍観するなら罪状を読み上げさせてもらいます。いいですね!」
「~~~ああもう、やるわよ、やればいいんでしょ!」
「事態は一刻を争うんです!もし貴女がなにもせず傍観するなら罪状を読み上げさせてもらいます。いいですね!」
「~~~ああもう、やるわよ、やればいいんでしょ!」
もはや投げやりと言わんばかりの態度で梨花は累の父にボミオスの杖を放ち、まどかのもとへと駆けていく。
その姿を見ながら、真島はジョルノに問いかける。
その姿を見ながら、真島はジョルノに問いかける。
「体力の回復って...そんな支給品があったのか?」
「いえ。残念ながら、支給品にその類のものはありませんでした。しかし幸か不幸か、あの性犯罪者(ミスティ)に会えたお陰で活路が開けた...といったところですね。
一般人でしかない彼女にとっても、そして僕にとっても」
「...よくわからんが、奴を足止めするというなら俺も加勢する」
「いえ。残念ながら、支給品にその類のものはありませんでした。しかし幸か不幸か、あの性犯罪者(ミスティ)に会えたお陰で活路が開けた...といったところですね。
一般人でしかない彼女にとっても、そして僕にとっても」
「...よくわからんが、奴を足止めするというなら俺も加勢する」
真島は拳を構え累の父を見据えるも、ジョルノはそれを手で制する。
「真島。きみはそこの娘と一緒に鹿目さんたちに付き添ってあげてください。その拳では奴の相手は無理でしょう」
「ッ...」
「ッ...」
痛いところを突かれた真島は思わず唇をかむ。
この場での自分の力関係はわかっている。
拳の怪我を差し引いても、この面子の中では結衣と梨花の次に弱い存在だ。
しかし理解と納得は別物だ。
いま目の前で死地に臨もうとする仲間へ助力できない悔しさは到底隠しきれるものではない。
そんな彼の心境を察するように、ジョルノは彼の肩に手を置く。
この場での自分の力関係はわかっている。
拳の怪我を差し引いても、この面子の中では結衣と梨花の次に弱い存在だ。
しかし理解と納得は別物だ。
いま目の前で死地に臨もうとする仲間へ助力できない悔しさは到底隠しきれるものではない。
そんな彼の心境を察するように、ジョルノは彼の肩に手を置く。
「彼女たちを頼みます。僕らの中に足手まといなんかいない―――僕はそう信じていますからね」
「それは佐神の受け売りか?」
「いいえ。僕自身の気持ちですよ」
「それは佐神の受け売りか?」
「いいえ。僕自身の気持ちですよ」
その言葉と共に背中を押されれば、真島も動かざるを得ない。
結衣と共に、梨花の背を追っていく。
結衣と共に、梨花の背を追っていく。
「さて。ここからが正念場ですが...その敵意を収めて貰えますか、暗殺チームのプロシュート」
ジョルノから少し離れたところから銃を構えていたプロシュートへと目線だけを向け、ジョルノは言葉で牽制をかける。
「...オメーが『新入り』のジョルノだな」
「貴方の考えていることはわかっている。『所詮は自分は死んだ身だ。ここで自分が死ぬことになろうとも奴らのチームを一人でも殺しておけば残ってる仲間たちの負担も減るだろう』...そんな具合でしょう」
「...だとしたら?」
「その願いは叶わないとだけ先に言っておきましょう。僕はジョルノ・ジョバーナに限りなく近いがそうではない存在...つまり厳密にいえば別人です。
貴方がここで僕を殺そうとも歴史は変わらないし貴方の仲間たちにもなんの影響もありはしない」
「なにをわけのわからねえことを言ってやがる」
「いまここで僕を殺すメリットはなにもないということですよ。貴方一人であの怪物に勝てますか?いいや不可能だ。
パワーも戦闘センスも奴の方が上、得意のスタンド能力は通じず銃弾もロクに効きやしない。
それでも貴方は仲間たちが優位になれるならと引き金を引くでしょう。だから僕は貴方に生きなければならない理由を与えるんです」
「貴方の考えていることはわかっている。『所詮は自分は死んだ身だ。ここで自分が死ぬことになろうとも奴らのチームを一人でも殺しておけば残ってる仲間たちの負担も減るだろう』...そんな具合でしょう」
「...だとしたら?」
「その願いは叶わないとだけ先に言っておきましょう。僕はジョルノ・ジョバーナに限りなく近いがそうではない存在...つまり厳密にいえば別人です。
貴方がここで僕を殺そうとも歴史は変わらないし貴方の仲間たちにもなんの影響もありはしない」
「なにをわけのわからねえことを言ってやがる」
「いまここで僕を殺すメリットはなにもないということですよ。貴方一人であの怪物に勝てますか?いいや不可能だ。
パワーも戦闘センスも奴の方が上、得意のスタンド能力は通じず銃弾もロクに効きやしない。
それでも貴方は仲間たちが優位になれるならと引き金を引くでしょう。だから僕は貴方に生きなければならない理由を与えるんです」
瞬間、プロシュートの引き金にかかる力が籠められる。
『コイツはいま主導権を握ろうとしている』。
わけのわからないことを傘にしてなんとか自分の駒にしようとしている。
それはここでは死ねない理由があるから、自分を利用し生き残ろうとしているのだ。
そんな理由などボスの娘の護衛の継続に他ならない。ならば、やはりここで道連れにしてでも護衛チームの戦力を削っておくべきだ。
ブッ殺すと思う前に弾丸を放とうとしたプロシュートの指は
『コイツはいま主導権を握ろうとしている』。
わけのわからないことを傘にしてなんとか自分の駒にしようとしている。
それはここでは死ねない理由があるから、自分を利用し生き残ろうとしているのだ。
そんな理由などボスの娘の護衛の継続に他ならない。ならば、やはりここで道連れにしてでも護衛チームの戦力を削っておくべきだ。
ブッ殺すと思う前に弾丸を放とうとしたプロシュートの指は
「『ボス』の能力は『キング・クリムゾン』。時間を消し飛ばす能力です」
その言葉に止められた。
「な、に...」
プロシュートは思わず言葉に詰まる。
―――そもそもの話、プロシュート達暗殺チームがボスの娘・トリッシュを求めていたのは彼女もスタンド能力を持っており、そこからボスの正体を暴けるという推察からだ。
つまりボスの正体さえ知ってしまえば娘はもう用済み。わざわざ護衛チームと戦い手の内を晒し戦力を減らす意味はない。
―――そもそもの話、プロシュート達暗殺チームがボスの娘・トリッシュを求めていたのは彼女もスタンド能力を持っており、そこからボスの正体を暴けるという推察からだ。
つまりボスの正体さえ知ってしまえば娘はもう用済み。わざわざ護衛チームと戦い手の内を晒し戦力を減らす意味はない。
「僕の言葉を容易くは信じられないでしょう。しかし貴方はいまボスの能力を『知ってしまった』。これが嘘であれ真実であれ、貴方がこの殺し合いで死ねば仲間たちへこの情報を届けられなくなってしまう。
これがどういう意味かはおわかりですね?」
「ウヴァアアアアアアア!!!」
これがどういう意味かはおわかりですね?」
「ウヴァアアアアアアア!!!」
雄叫びと共に、累の父がジョルノへと飛び掛かる。
「―――チッ」
プロシュートは忌々し気に舌打ちをすると、躊躇わず引き金を引いた。
「ガッ」
跳躍する累の父の腹部へと。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
微かに鈍った動きの隙を突き、ゴールドエクスペリエンスの拳のラッシュが累の父へと放たれ後方へと吹き飛ばす。
「ベネ(よし)。これで共闘成立...といったところですね」
「...フン」
「...フン」
すぐに体勢を立て直す累の父を見ながらプロシュートは鼻を鳴らし、スタンドの像を出現させる。
(こいつのノせられるのは気に入らねえが...これ以外に選択肢がねえのも確かだ)
プロシュートは模範的ギャングとでも言うべきか、プライドの高い人間だ。
通常ならばここでジョルノと組むのは、たとえ命を落とすことになろうともありえない。
しかしプロシュートは今、暗殺チームが喉から手が出るほど欲している『情報』を手にしている。
これを手に入れる為にホルマジオが、イルーゾォが、他の暗殺チームの面々が、そして自分やペッシも命を賭けた。
どんな手段を以てしてもボスの正体を掴むと決めているからこそ、この情報を逃すことはできない。
だが、優勝して生還するにしても障害は多い。
眼前の累の父や、彼方で戦っている童磨と謎の化け物、そして話に聞いた限りではエスデスとかいう氷使いの女もいるらしい。
最低でもこれだけ、会場を見回せばもっといるだろう。
果たしてスタンド能力が効かない怪物たち相手に優勝できるだろうか?否、不可能だ。
だから、今は手を組むしかない。
泥に這いつくばろうが屈辱に塗れ無様晒そうが、全てはチームの『栄光』を勝ち取るために。
通常ならばここでジョルノと組むのは、たとえ命を落とすことになろうともありえない。
しかしプロシュートは今、暗殺チームが喉から手が出るほど欲している『情報』を手にしている。
これを手に入れる為にホルマジオが、イルーゾォが、他の暗殺チームの面々が、そして自分やペッシも命を賭けた。
どんな手段を以てしてもボスの正体を掴むと決めているからこそ、この情報を逃すことはできない。
だが、優勝して生還するにしても障害は多い。
眼前の累の父や、彼方で戦っている童磨と謎の化け物、そして話に聞いた限りではエスデスとかいう氷使いの女もいるらしい。
最低でもこれだけ、会場を見回せばもっといるだろう。
果たしてスタンド能力が効かない怪物たち相手に優勝できるだろうか?否、不可能だ。
だから、今は手を組むしかない。
泥に這いつくばろうが屈辱に塗れ無様晒そうが、全てはチームの『栄光』を勝ち取るために。
そしてジョルノがこんな重要な情報をあっさり渡したのは偏に彼がジョルノ・ジョバーナではなくワザップジョルノだからだ。
ワザップジョルノはあくまでもジョルノに限りなく近いだけの概念。
ジョルノ・ジョバーナの世界にまで気を遣る必要はないと考えており、仮にプロシュートが生還したことで本来の時間軸がめちゃくちゃになってしまったとしてもそれは知る由もないことなのだ。
ワザップジョルノはあくまでもジョルノに限りなく近いだけの概念。
ジョルノ・ジョバーナの世界にまで気を遣る必要はないと考えており、仮にプロシュートが生還したことで本来の時間軸がめちゃくちゃになってしまったとしてもそれは知る由もないことなのだ。
「作戦はあるか」
「今考えてます...が、奴も大人しく待っているつもりはないようだ」
「俺がァァアァァ護ルゥゥゥゥ!!」
「今考えてます...が、奴も大人しく待っているつもりはないようだ」
「俺がァァアァァ護ルゥゥゥゥ!!」
雄たけびを上げ跳びかかる累の父に、プロシュートとジョルノはスタンドの像で立ち向かう。
「来ますよプロシュート!覚悟を決めてください!」
「命令してんじゃあねーぞ『新入り』!!」
「命令してんじゃあねーぞ『新入り』!!」
ゴールドエクスペリエンスとグレイトフルデッドの拳の雨が累の父に降り注ぐ。
「WRYAAAAAAAAA!!」
「ザ・グレイトフルデッド!!」
「ヴァアアアアアア!!」
「ザ・グレイトフルデッド!!」
「ヴァアアアアアア!!」
三者三様の雄叫びが混じり合い、肉を打ち合う音が響き渡った。
☆
「うっ...」
辿り着いた先で改めて見た惨状に梨花は思わず口元を手で押さえた。
夥しい出血に引きちぎられかけた手足、潰された片目。
梨花もこれに劣らない凄惨な経験を見ているししているが、それでも慣れたものではない。
夥しい出血に引きちぎられかけた手足、潰された片目。
梨花もこれに劣らない凄惨な経験を見ているししているが、それでも慣れたものではない。
(これじゃあ体力を回復させたところで...)
「頼む古手。鹿目を治してやってくれないか」
「頼む古手。鹿目を治してやってくれないか」
結衣と共に追いついた真島がそう頼み込む。
「...私が出来るのは体力を回復させるだけよ。それも、全快は無理」
「大丈夫だ。鹿目は魔法少女だから、体力と魔力さえあれば傷を治せる」
「そういえば彼女、奇妙な力を使っていたわね。...それなら」
「大丈夫だ。鹿目は魔法少女だから、体力と魔力さえあれば傷を治せる」
「そういえば彼女、奇妙な力を使っていたわね。...それなら」
梨花はふぅ、と深いため息を吐きながら己の髪をくしゃくしゃと掻き、そっとまどかの顔に手を添える。
見つめるのは、ぽかりと開けられたまどかの口。
結衣と真島が見守る中、梨花はまどかの口元に顔を寄せていき―――そっと唇を重ね合わせた。
見つめるのは、ぽかりと開けられたまどかの口。
結衣と真島が見守る中、梨花はまどかの口元に顔を寄せていき―――そっと唇を重ね合わせた。
見守る二人が、人口呼吸かと思うのも束の間。
ぴちゃ ぴちゃ ぴちゃ
「ふっ...んっ...」
水音と共に艶めかしい声が漏れ出す。
「...へっ?」
「」
「」
思考が止まり、思わず呆けた声を漏らす結衣とポカンと口を開けてしまう真島。
そんな二人に構わず、梨花の舌は気絶するまどかの口内を蹂躙していく。
そんな二人に構わず、梨花の舌は気絶するまどかの口内を蹂躙していく。
「ちゅる...ぷぁ...ん...れろ...」
重ね合わせられた唇の下で、梨花の唾液がまどかの口内に塗り込まれ染み渡っていく。
じわじわと落ちていく唾液はまどかの喉へとゆっくりと流れ込み、体内へと侵入していく。
じわじわと落ちていく唾液はまどかの喉へとゆっくりと流れ込み、体内へと侵入していく。
「ぷはっ!...はぁ...はぁ...」
やがて顔を真っ赤にした梨花は唇を離し、その口端からは唾液の糸がつぅ、と垂れた。
「え...え...えぇ!?」
その光景に結衣は赤面しながら掌で己の顔を覆い、指の隙間からチラチラと梨花を覗き見る。
真島はというと、あまりの衝撃的な光景に唖然とした表情のまま固まっていた。
真島はというと、あまりの衝撃的な光景に唖然とした表情のまま固まっていた。
「ちょ、ちょっと待て!お前、何をやってるんだ!」
「うるさいわね!私も好きでやってるんじゃないわよ!」
「うるさいわね!私も好きでやってるんじゃないわよ!」
ようやく我に返った真島の問いに、梨花は怒鳴り返すように答える。
「あの変態女(ミスティ)に舌を改造されたのよ!私の唾液で人を癒せるってオマケつきでね!」
そう言いつつ、再びまどかにキスをする梨花。
その瞳には涙が浮かんでいる。
それはそうだ。
梨花とてこんな誰にでも唇を許すような尻軽女にはなりたくはない。
しかし、今の梨花に出来るのはせいぜいが杖によるアシスト、その杖もふういんの杖が少し残っているだけだ。
他に回復手段がない以上、この方法に頼る他ない。
そう思うことでなんとか心を保っているのだった。
だから早く終わらせようと、梨花はまどかの口の中へと自らの舌を差し込んでいく。
舌と舌が触れ合い、互いの唾液が混ざり合っていく。
その瞳には涙が浮かんでいる。
それはそうだ。
梨花とてこんな誰にでも唇を許すような尻軽女にはなりたくはない。
しかし、今の梨花に出来るのはせいぜいが杖によるアシスト、その杖もふういんの杖が少し残っているだけだ。
他に回復手段がない以上、この方法に頼る他ない。
そう思うことでなんとか心を保っているのだった。
だから早く終わらせようと、梨花はまどかの口の中へと自らの舌を差し込んでいく。
舌と舌が触れ合い、互いの唾液が混ざり合っていく。
「...あの~、ひょっとしてあのコロネさんにもこれを...?」
「...そこに触れてやるな荻原。いまは緊急事態だ」
「...そこに触れてやるな荻原。いまは緊急事態だ」
二人の言葉に、梨花の脳内に数分前の光景がトラウマのように過るが、今は振り払い眼前の少女を救うことに集中する。
「っ...」
ピクリ、と動くまどかの四肢に応じ、梨花は唇を離す。
「終わったんですか?」
「終わった?いいえ、ここからが始まりよ」
「終わった?いいえ、ここからが始まりよ」
意識を取り戻しつつある彼女に、しかし梨花は安堵はしない。
彼女は知っている。限界以上に痛めつけられた中で意識を取り戻せばどうなるかを。
彼女は知っている。限界以上に痛めつけられた中で意識を取り戻せばどうなるかを。
「貴方たち、生きたまま包丁を突き立てられたことはある?目を潰されたことは?手足を鈍器で潰されたことは?
覚悟を決めてからじゃない。もっと不意に、目が覚めた途端によ。意識を取り戻した途端にそんな痛みが襲い掛かってきたら...彼女、どうなるかしらね」
覚悟を決めてからじゃない。もっと不意に、目が覚めた途端によ。意識を取り戻した途端にそんな痛みが襲い掛かってきたら...彼女、どうなるかしらね」
梨花の言葉に、二人は息を呑む。
未だに死に臨む程の痛みとは無縁な結衣はもちろん、真島もあのチェンソーで切り裂かれた痛みは二度と味わいたくないと思っている。
そんな彼らに梨花の語る状況への対処法などわかるはずがない。
未だに死に臨む程の痛みとは無縁な結衣はもちろん、真島もあのチェンソーで切り裂かれた痛みは二度と味わいたくないと思っている。
そんな彼らに梨花の語る状況への対処法などわかるはずがない。
「俺たちになにかできることはないのか?」
「......」
「......」
真島の問いかけに梨花は答えられない。
今まで繰り返してきたカケラ、その全ての死の記憶があるわけではない。
ただそれでも、覚えている限りで共通していることはひとつ。
鷹野たち山狗部隊に殺された時も、詩音に拷問された時も、仲間たちや赤坂ら信頼する者たちに殺された時も。
いつも『痛み』と向き合う時は一人だった。
誰も助けることはできない。
ただ耐え切るだけの精神力が―――
今まで繰り返してきたカケラ、その全ての死の記憶があるわけではない。
ただそれでも、覚えている限りで共通していることはひとつ。
鷹野たち山狗部隊に殺された時も、詩音に拷問された時も、仲間たちや赤坂ら信頼する者たちに殺された時も。
いつも『痛み』と向き合う時は一人だった。
誰も助けることはできない。
ただ耐え切るだけの精神力が―――
(...いいえ、違うわね)
一度だけ違った『死』があった。
仲間たちが目の前で皆殺しにされ、残されたのが自分一人になったあのカケラ。
あの時、意識のない内に終わらせてもらうこともできたが、それを拒否し自ら痛みに臨んだことがあった。
まあ、結局、死んでしまった上に次のカケラに記憶を持ち越すこともできなかったのだが。
それでもあの時は『痛み』から逃げ出さず耐え切り受け入れることができた。
あの時は―――羽入が、傍観者ではなく心から寄り添ってくれたから。
仲間たちが目の前で皆殺しにされ、残されたのが自分一人になったあのカケラ。
あの時、意識のない内に終わらせてもらうこともできたが、それを拒否し自ら痛みに臨んだことがあった。
まあ、結局、死んでしまった上に次のカケラに記憶を持ち越すこともできなかったのだが。
それでもあの時は『痛み』から逃げ出さず耐え切り受け入れることができた。
あの時は―――羽入が、傍観者ではなく心から寄り添ってくれたから。
「傍にいてあげて。手を握り、ここにいる、あなたを見ていると応援してあげて」
温もりと信頼、そこから生まれる温かい奇跡。
土壇場で信じられるのはそんな優しい言葉だ。
なんて幼稚な精神論。百年繰り返してきた経験がある癖にこんなことしか教えることができないなんて。
土壇場で信じられるのはそんな優しい言葉だ。
なんて幼稚な精神論。百年繰り返してきた経験がある癖にこんなことしか教えることができないなんて。
(けれど、私はソレを信じる。一度とはいえ、私はその奇跡に救われたのだから)
梨花の言葉に戸惑うも、二人は―――特に真島は強い意志を籠めた瞳で頷き返す。
僅かだが、累の父を相手に共闘したことからの信頼だろう。
僅かだが、累の父を相手に共闘したことからの信頼だろう。
「ぅ...」
まどかの声が漏れ始める。
ここからが彼女にとっての正念場だが、梨花にはそれを見届けている暇はない。
ここからが彼女にとっての正念場だが、梨花にはそれを見届けている暇はない。
ジョルノとプロシュート、堂島達の戦況がどう転ぶかわからない以上、一人でも戦える駒は必要だ。
まどかへの唾液注入でかなりの体力を消耗した身体に鞭を打ち、ドレミー・スイートのもとへと駆け出す。
まどかへの唾液注入でかなりの体力を消耗した身体に鞭を打ち、ドレミー・スイートのもとへと駆け出す。
(こっちは意識さえ取り戻せばどうとでもなりそうね)
ドレミーも気絶し右腕こそ折れているものの、まどかほどの重体ではなさそうだ。
突っ伏しているドレミーの顔を上に向けさせるため、その身体を仰向けに転がし、唇を重ねる。
突っ伏しているドレミーの顔を上に向けさせるため、その身体を仰向けに転がし、唇を重ねる。
―――その瞬間だった。
ガシリ、とドレミーの足が梨花の腰を捉え挟み込む。
「えっ」
突然のことに思考が止まる梨花―――その隙を突き、ドレミーは残る左腕で梨花の頭を固定する。
そこから間髪入れずにドレミーの舌が梨花の口内を蠢きなめ尽くしていく。
そこから間髪入れずにドレミーの舌が梨花の口内を蠢きなめ尽くしていく。
(ちょ、やめ)
手に力を込めてドレミーを引きはがそうとするも、彼女の全身は凄まじい疲労と倦怠感に襲われ力が籠められない。
ドレミーの舌遣いの巧みさにより感じている、というだけではない。
ミスティに改造された舌から出される回復唾液は梨花の体力を削り生み出されるものだ。
そんなものを一気に分泌することになれば、当然、彼女の幼い身体であればあっという間に底をついてしまう。
やがて抵抗も殊更に弱弱しくなると、梨花の手はだらりと垂れ落ち、彼女の身体も解放される。
ドレミーの舌遣いの巧みさにより感じている、というだけではない。
ミスティに改造された舌から出される回復唾液は梨花の体力を削り生み出されるものだ。
そんなものを一気に分泌することになれば、当然、彼女の幼い身体であればあっという間に底をついてしまう。
やがて抵抗も殊更に弱弱しくなると、梨花の手はだらりと垂れ落ち、彼女の身体も解放される。
「ふぅ...ご馳走様でした」
意識が闇に落ちる前、彼女が目にしたのは満足げに唇を拭う女の姿だった。
目を覚ました時、まどかが真っ先に気づいた異変は視界だった。
左半分の視界は見えず、瞼を開けようとしてもあがらなかった。
目を拭おうとするが―――手が動かない。足もだ。
どうして自分がこうなっているかを思い出そうとして。
左半分の視界は見えず、瞼を開けようとしてもあがらなかった。
目を拭おうとするが―――手が動かない。足もだ。
どうして自分がこうなっているかを思い出そうとして。
ジュクリ。
「ぁ」
手足を筆頭に、目から、身体から、至る箇所から痛みが這い寄ってくる。
「ぁ、ぎ」
激痛激痛激痛激痛激痛激痛激痛激痛激痛激痛激痛激痛。
どうしてこうなったのかと思い出す前に、彼女の脳髄が激痛に支配されていく。
あまりの苦痛に呼吸すらままならず、陸に打ち上げられた魚のように口をパクつかせる。
当然ながら、そんな状態では冷静な思考などできるはずもなく。
どうしてこうなったのかと思い出す前に、彼女の脳髄が激痛に支配されていく。
あまりの苦痛に呼吸すらままならず、陸に打ち上げられた魚のように口をパクつかせる。
当然ながら、そんな状態では冷静な思考などできるはずもなく。
「―――――ぁっ」
泣いた。
声にならない悲鳴が喉奥から溢れ出る。
声にならない悲鳴が喉奥から溢れ出る。
「鹿目!」
「まどかちゃん!」
「まどかちゃん!」
そんなまどかの耳に届く、聞き覚えのある声。
「ぎ、ひぃ」
「頑張ってまどかちゃん!」
「鹿目、魔法を使え!お前が堂島に腹を突かれた時に使ったやつをだ!」
「頑張ってまどかちゃん!」
「鹿目、魔法を使え!お前が堂島に腹を突かれた時に使ったやつをだ!」
歯を食いしばり涙を流すまどかの手に触れ、結衣と真島は懸命に励まし続ける。
その言葉にまどかは必死に記憶を探り、そして思い出す。
あの時と同じことをすればいいのだ、と。
真島の言う通り、あの時まどかは自分の腹部を貫かれながらも傷を塞ぐことに成功した。
あの時に行っていたのは斬傷を塞ぐことと痛覚の遮断。
ならば今、自分の四肢を蝕んでいるこの痛みを消すこともできるはずだ。
その言葉にまどかは必死に記憶を探り、そして思い出す。
あの時と同じことをすればいいのだ、と。
真島の言う通り、あの時まどかは自分の腹部を貫かれながらも傷を塞ぐことに成功した。
あの時に行っていたのは斬傷を塞ぐことと痛覚の遮断。
ならば今、自分の四肢を蝕んでいるこの痛みを消すこともできるはずだ。
「っく、あ、あぁ...」
激痛の中、意識を集中させ、手足の治療と痛覚遮断の魔法を使う。
「ッ、ハァッ、ハァッ」
瞬く間に痛みは消え怪我も治っていく。
しかし、まどかの呼吸は荒れる一方だ。
しかし、まどかの呼吸は荒れる一方だ。
「鹿目、ソウルジェムを見せてもらうぞ」
真島はまどかの手を取りソウルジェムの穢れを確認する。
それにはもはや殆ど輝きは残されておらず、どす黒い汚れに満ちつつあった。
それにはもはや殆ど輝きは残されておらず、どす黒い汚れに満ちつつあった。
(やはりか...危ないところだった)
合流してから堂島達のもとへ向かう最中、結衣の支給品から譲り受けたグリーフシードをまどかのソウルジェムに当てる。
すると、ソウルジェムの穢れはグリーフシードに吸われていく。
すると、ソウルジェムの穢れはグリーフシードに吸われていく。
「ほんとにこれで綺麗になるんですねぇ」
「ああ。だが...」
「ああ。だが...」
グリーフシードは既に穢れを吸える許容量に達しつつあるのに、まどかのソウルジェムは精々半分程度しか浄化できていない。
これでは戦い始めればまたすぐに穢れが溜まってしまう。
だがそれでもまどかは戦いを止めないだろう。
救える命を救うためならどんな無茶でもしてしまうのはこの数時間の付き合いを経てわかっている。
これでは戦い始めればまたすぐに穢れが溜まってしまう。
だがそれでもまどかは戦いを止めないだろう。
救える命を救うためならどんな無茶でもしてしまうのはこの数時間の付き合いを経てわかっている。
(願わくば、このままあいつらが事態を収拾してくれるのを待ちたいが...)
(兄貴...頑張ってください、あたし、応援してますから!)
(兄貴...頑張ってください、あたし、応援してますから!)
既に己の無力さを思い知らされ、事態が手に負える範疇にないことを痛感している真島と結衣には祈ることしかできない。
そんな二人を他所に、まどかの目は戦場へと向いていた。
苦しみと恐怖の色を宿し、顔を歪めながら、それでもまっすぐに。
そんな二人を他所に、まどかの目は戦場へと向いていた。
苦しみと恐怖の色を宿し、顔を歪めながら、それでもまっすぐに。
☆
ドッ
「ぐうっ!!」
両腕での防御ごと吹き飛ばされたプロシュートの身体が悲鳴を上げ苦悶の声が漏れる。
追撃をしようとする累の父へとジョルノがラッシュを放ち足を止めさせる。
だがそれも数秒だけのこと。
瞬く間にジョルノもその剛腕で吹き飛ばされダメージが蓄積されていく。
追撃をしようとする累の父へとジョルノがラッシュを放ち足を止めさせる。
だがそれも数秒だけのこと。
瞬く間にジョルノもその剛腕で吹き飛ばされダメージが蓄積されていく。
その間に体勢を立て直したプロシュートが累の父に迫り、父の意識がそちらに裂かれた瞬間にジョルノもプロシュートの合わせて挟み込む形で累の父へと駆ける。
左右から迫る二人のスタンド使い相手に対し、累の父はその場で跳躍・開脚しプロシュートには右足で、ジョルノへは左足で蹴りを放つ。
父にとっては牽制程度の攻撃でも、人間である二人には充分に驚異。
二人は寸でのところで躱し、父の着地を狩る為に潜り込む。
それを予期するかのように、父の上半身がぐりんと地へと倒れ込み、両手で着地。
そのまま身体を捻るように回し、下半身をすさまじい勢いで回転させることで回し蹴りを放ち二人の防御を余儀なくさせ激痛と共に吹き飛ばす。
左右から迫る二人のスタンド使い相手に対し、累の父はその場で跳躍・開脚しプロシュートには右足で、ジョルノへは左足で蹴りを放つ。
父にとっては牽制程度の攻撃でも、人間である二人には充分に驚異。
二人は寸でのところで躱し、父の着地を狩る為に潜り込む。
それを予期するかのように、父の上半身がぐりんと地へと倒れ込み、両手で着地。
そのまま身体を捻るように回し、下半身をすさまじい勢いで回転させることで回し蹴りを放ち二人の防御を余儀なくさせ激痛と共に吹き飛ばす。
「二人がかりでコレか...!」
ジョルノのゴールドエクスペリエンスとプロシュートのグレイトフル・デッド。
片や生命を生むというその能力の応用で手札を無数に増やし、片や老化という強制的な弱体化を相手に強いる。
両者とも対人においては比類なき強さを発揮するスタンドであるが、共通しての欠点がある。
それは純粋な破壊力。
いくら殴りつけても鉄を破壊することができなければ、人間一人を遠くまで吹き飛ばすこともできず。
生命を生む能力による攻撃も人体以上のモノを破壊することができず、老化ガスも直接的な殺傷力はない。
能力を抜きにすれば、両者とも人体を殴りつける分には申し分はないが、本職の近距離パワー型のスタンドには大幅に劣る。
人間相手には十二分に通用する彼らの能力も、能力の効かない怪物を相手取るにはあまりにも不足していた。
片や生命を生むというその能力の応用で手札を無数に増やし、片や老化という強制的な弱体化を相手に強いる。
両者とも対人においては比類なき強さを発揮するスタンドであるが、共通しての欠点がある。
それは純粋な破壊力。
いくら殴りつけても鉄を破壊することができなければ、人間一人を遠くまで吹き飛ばすこともできず。
生命を生む能力による攻撃も人体以上のモノを破壊することができず、老化ガスも直接的な殺傷力はない。
能力を抜きにすれば、両者とも人体を殴りつける分には申し分はないが、本職の近距離パワー型のスタンドには大幅に劣る。
人間相手には十二分に通用する彼らの能力も、能力の効かない怪物を相手取るにはあまりにも不足していた。
(クソッ...奴にもう『種』は植え付けてある。だがそれを咲かせるにはまだ足りない!せめてもう一人いれば!)
ジョルノへとトドメを刺すために跳びかかる累の父。
一か八か、迎え撃とうとするジョルノ。
一か八か、迎え撃とうとするジョルノ。
―――そんな彼らの間に球の形をした弾幕が降り注ぐ。
「お待たせして申し訳ありません」
右腕を抑えながらも戦線に復帰したドレミーが相も変らぬにやけ顔で二人の間に降り立った。
(うまくやってくれたようですね、古手さん)
心の中で梨花へと賞賛を送り、累の父がドレミーへと意識が向いている隙にジョルノはプロシュートのもとへと駆け寄る。
そんなジョルノたちよりもまずは眼前の敵を排除しようと拳を振り下ろす累の父。
そんなジョルノたちよりもまずは眼前の敵を排除しようと拳を振り下ろす累の父。
「先ほどは不意を突かれましたが」
ドレミーは寸でのところで躱し、顔面へと膝蹴りを打ち込みその反動で距離をとり、すかさず球型の弾幕を放つ。
「やはり素早さは私の方が上のようですね」
間髪入れず放つ弾幕の雨あられ。
しかし、それを全て受けてもなお累の父の目はギョロリとドレミーを見据え蹴りを放つ。
攻撃を躱しながらラッパを鳴らしつつ弾幕を放ち続けるドレミーだが、このやり取りの中で確信する。
このままでは間違いなく負けるのは自分だと。
しかし、それを全て受けてもなお累の父の目はギョロリとドレミーを見据え蹴りを放つ。
攻撃を躱しながらラッパを鳴らしつつ弾幕を放ち続けるドレミーだが、このやり取りの中で確信する。
このままでは間違いなく負けるのは自分だと。
「大丈夫ですかプロシュート」
ドレミーが敵を引き付けている一方で、ジョルノはプロシュートの容態を看ていた。
累の父からの攻撃と彼を殴りつけた際の反動が重なった彼の腕には青あざが見受けられる。
累の父からの攻撃と彼を殴りつけた際の反動が重なった彼の腕には青あざが見受けられる。
「『ゴールドエクスペリエンス』...これでさっきよりは動かせるようにはなりましたが、痛みは消せないので堪えてください」
ゴールドエクスペリエンスは『治す』のではなく『直す』能力だ。
壊れた部品を代替しているにすぎず、痛覚を消したり疲労を帳消しにしたりはできない。
その為、即死しない限りは高い生存能力を発揮できるものの、長期戦ともなれば確実に不利になる。
壊れた部品を代替しているにすぎず、痛覚を消したり疲労を帳消しにしたりはできない。
その為、即死しない限りは高い生存能力を発揮できるものの、長期戦ともなれば確実に不利になる。
「動けるようになりゃあ充分だ。あまり俺を見くびるんじゃあねえぞ『新入り』」
残る痛みも無視してプロシュートは立ち上がる。
ギャング―――その中でも暗殺チームは常に死と痛みとの隣り合わせの世界だ。
その中でも熟練の彼が、痛みで怖気づこうはずもない。
ギャング―――その中でも暗殺チームは常に死と痛みとの隣り合わせの世界だ。
その中でも熟練の彼が、痛みで怖気づこうはずもない。
「―――で、こっからどうすんだ。このままじゃあくたばるのは間違いなく俺たちだぜ」
プロシュートはそんな言葉を漏らすが、絶望している訳ではない。
ただ、状況から判断して冷静に現状を述べただけだ。
ただ、状況から判断して冷静に現状を述べただけだ。
「ええ。僕ら三人の中で一番通用している彼女の攻撃もあのザマです。接近戦も長期戦も奴に分がある。加えて能力も―――貴方と僕とでは致命的に噛み合わない」
ジョルノの生命を生み出す能力とプロシュートの老いて枯らせる能力。
この能力は相反し合う関係にあり、どう足掻いても組み合わせることはできない。
この能力は相反し合う関係にあり、どう足掻いても組み合わせることはできない。
「ですが、彼女が来てくれたお陰で道は開けました。プロシュート、耳を」
この現状に於いてもジョルノの目は光を失っておらず。
プロシュートは素直にジョルノの言に耳を貸した。
プロシュートは素直にジョルノの言に耳を貸した。
☆
カッ
迫りくる無数の針を堂島の剣が纏めて両断する。
その隙を突き堂島を掴まんと振り下ろされる掌。
その隙を突き堂島を掴まんと振り下ろされる掌。
―――血鬼術 冬ざれ氷柱
その掌に向けて氷柱が放たれ堂島への攻撃を妨害。
―――血鬼術 蔓蓮華
加えて、氷の蔓が異形と堂島に向けて伸ばされ、異形のみを絡めとれば、堂島からソレまで一直線に繋がる橋がかかる。
堂島はそれに乗り異形へと駆けていく。
狙うは頭頂よりの一刀両断。
そこからの、心臓破壊。
異形は蠢く頭部の弾丸を無数に放つが、それはヒーローの剣の前ではまさに無力。
全てが一刀の前に切り伏せられ、剣は異形へと振り下ろされる。
堂島はそれに乗り異形へと駆けていく。
狙うは頭頂よりの一刀両断。
そこからの、心臓破壊。
異形は蠢く頭部の弾丸を無数に放つが、それはヒーローの剣の前ではまさに無力。
全てが一刀の前に切り伏せられ、剣は異形へと振り下ろされる。
頭頂から、地上まで一切減速することすらなく異形の身体は両断された。
が
傾いた身体は即座に元の位置まで戻り、ビシャリと合わされば瞬く間に再生を完了。
足元の堂島目掛けて、無数の腕が伸ばされる。
足元の堂島目掛けて、無数の腕が伸ばされる。
―――血鬼術 散り蓮華
童磨の扇が振るわれれば、硝子の如き蓮華の花弁が放たれ腕の群れを押し返す。
堂島はその隙に一旦後退し、童磨はその横に並び立つ。
堂島はその隙に一旦後退し、童磨はその横に並び立つ。
「いやはや。まったくもってキリがないなあ」
童磨は思わずそんな愚痴をこぼす。
異形が仕掛け、童磨がそれを捌き、堂島が主にメインアタッカーを務める。
この数分間の内に似たような攻防が何度もあった。
しかし戦況の変わり映えはなく。
ただただお互いの疲労だけが積み重なっていく―――だけならばまだよかったのだが。
異形が仕掛け、童磨がそれを捌き、堂島が主にメインアタッカーを務める。
この数分間の内に似たような攻防が何度もあった。
しかし戦況の変わり映えはなく。
ただただお互いの疲労だけが積み重なっていく―――だけならばまだよかったのだが。
「彼、どんどん強くなってるよね」
異形は攻防を重ねる中でどんどん強く大きくなっている。
今はまだ二人の方が優勢ではあるが、このまま成長を続ければ厄介な敵になることは容易に想像がつく。
今はまだ二人の方が優勢ではあるが、このまま成長を続ければ厄介な敵になることは容易に想像がつく。
「だが攻め方が単調だ。能力頼みの一辺倒。いくら強くなろうとも、あの噛みつきにさえ気を付ければなんてことはない」
「そうだねえ。大きくなっていく一方でボロボロと身体が崩れていっているし、このままだと彼が崩れ消えてしまうんだろうね」
「そうだねえ。大きくなっていく一方でボロボロと身体が崩れていっているし、このままだと彼が崩れ消えてしまうんだろうね」
堂島も童磨も攻防の中で気づいていた。
異形の寿命は長くはない。その為、朽ちていく身体を補うエネルギーを求めて自分たちを食らう為に戦っている。
だから二人の五体が砕けるような威力の攻撃は仕掛けてこず、捕食以外の攻撃はあくまでも拘束かダメージを与える程度のものでしかない。
それがわかれば、吸血鬼の中では最高クラスの男と上弦の弐の鬼にとって対処はそう難しい話ではなかった。
異形の寿命は長くはない。その為、朽ちていく身体を補うエネルギーを求めて自分たちを食らう為に戦っている。
だから二人の五体が砕けるような威力の攻撃は仕掛けてこず、捕食以外の攻撃はあくまでも拘束かダメージを与える程度のものでしかない。
それがわかれば、吸血鬼の中では最高クラスの男と上弦の弐の鬼にとって対処はそう難しい話ではなかった。
(あれが本当に佐神くんならもっと苦戦したのだろうがね...)
堂島の知る範囲の善はあそこまで強力な肉体は持っていない。
しかし、彼の長所は、真祖にすら届く闘争心を有効な矛に変える、観察眼と戦略眼からくる応用の幅の広さ。
もしも相対しているのがあの佐神善ならば。
例え、アレと同じ状況においてもこんな本能任せの単調な攻め方で必死にならず、思いもよらぬ機転を利かせ確実に自分たちへと届く作戦を組み立てるだろう。
しかし、彼の長所は、真祖にすら届く闘争心を有効な矛に変える、観察眼と戦略眼からくる応用の幅の広さ。
もしも相対しているのがあの佐神善ならば。
例え、アレと同じ状況においてもこんな本能任せの単調な攻め方で必死にならず、思いもよらぬ機転を利かせ確実に自分たちへと届く作戦を組み立てるだろう。
(もはや、きみを斬るのに躊躇いはないよ)
幾度か攻防を交わし、言葉ではなく心でフッ切れた。
アレは佐神善じゃない。ただの暴走する力の塊だ。
この会場における病巣だ。ならば。
アレは佐神善じゃない。ただの暴走する力の塊だ。
この会場における病巣だ。ならば。
「病巣は排除しないとな」
堂島の剣が決意と共に握りしめられたその時。
『ボンジュール! と言ってもこの場所は昼も夜の境界なんて無いに等しいのだけれどさ!』
一回目の放送が始まった。