少女とほむほむ

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homuhomu_tabetai

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作者:G/1BG3sco

959 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/11/26(土) 03:42:13.18 ID:G/1BG3sco




「はぁ……もう、いっか」

ついさっきまで恋焦がれていた少女は、
家に帰るなり深い溜息をついた。

「ホムゥ/// マドカァ」

「ホミュラチャァ///」

少女の視線はゲージにいるほむまどの番を捉えていた。

数年前から買い始め、
いつか恋人が出来れば良いね。
そんな言葉を交わしたほむほむ。

まどまどの方は野生で、
数日前の散歩の際に出会い、
それ以降出会うたびにほむほむはアプローチし続け、
可愛らしい薄紫のリボンをプレゼントした先日、恋が実り番となった。


「……ほむほむ」

「ホミュ? ホミャァ♪」

少女に笑いかけてくるほむほむ。
とても愛らしい。
昨日までの少女、いや、今朝までの少女であれば、
微笑み返し、「おめでとう」と祝福したであろう。

けれど出来なかった。
少女の瞳に映るほむほむは憎たらしい小動物でしかなかった。
なぜ私ではなくアンタが。
そんな怒りが少女の中に芽生えた。

「ホミィ?」

「マロォ?」


妻であるまどまども、
少女に心配の混じった声を投げかけ、
そんな2匹に、
少女はただ顔を背け、
ベッドへと潜り込むしかなかった。

「駄目、駄目だよ」

声を出して言い聞かせる。
愛玩用である以前に、
少女にとっては家族。
時に笑い、時に泣き、
喜びも悲しみも共有した家族。

そのほむほむを、
少女は殺してしまいたい。
そう考えてしまった。

殺意を向けるわけには行かない。
そう言い聞かせて夜を迎えたものの、事件は起きてしまった。

「何で」

告白せずに振られた少女は、
布団に入りながらも寝ることは出来ず、
呟いた声は夜の闇にとけていく。
少女は目撃してしまったのだ。
気持ちを知っているはずの親友が、
その気持ちを向かせてる相手と唇を重ねている姿を。


そんな悲しみを打ち消すかのように、
淫靡な声が少女の部屋に響いた。

「マドカァ/// ホム、ホミャァン///」

「ホミュラチャン/// マドォ///」

ほむまどの交尾の声だった。
祝福すべきであるそんな光景は、
今の少女にとってはあってはならないものだった。

尽きることの無い性欲をぶちまけ、
休憩の為に離れた直後だった。


「マドォォォ!」

「ホミャ?」

まどまどは悲鳴を残して消えてしまった。

ほむほむが必死に周りを見渡し、
飛び跳ねても、愛するまどまどの姿はなかった。

「……ほむほむ」

「ホミャッ? ホビャァァァン!!」

ほむほむは少女に、
まどまどの行方を尋ねようと声を張り上げる。
長年連れ添った1人と1匹に、
言葉の壁はなかった。

「大丈夫だよ、ほむほむ」

「ホミュ!」

少女はそう言って微笑んだ。
ほむほむはその言葉に安心し、お願いしますと頭を下げた。

ほむほむは、
少女がまどまどを見つけてくれる。
そう安心したのだ。

しかし、翌朝になってもまどまどは帰ってこず、

「ほむほむ、ご飯」

少女が差し出したのは、
ほむほむ用に小さく丸められたお肉だった。


「じゃ、行ってくる」

「ホミャァ~♪」

探しに行ってくれると思ったほむほむは、
行ってらっしゃいと手を振り、食事に手をつけた。

「ホミュ~ン......? ホムッ?」

最後の一口を口に入れて良く噛んでいると、
違和感がほむほむを襲った。

口に手を入れてその違和感を取り除くと、
出てきたのは薄紫色のリボンだった。

「ホビャァァァァァァァァァァ!!」

それを見た瞬間ほむほむの悲鳴が上がり、
少女の家の外までそれは響いたのだった……


                            ~終わり~




感想

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  • これは良い話だ
    まとめを読んでいて、過去スレの面白い作品を見つけるのは楽しい
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