後編
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homuhomu_tabetai
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━━ 後編 ━━『白い恋人』
事件はその日の深夜だったよ。
いつものアタシなら寝てる時間。ほむほむ達も、いつもならとっくに寝ている時間……
「ミッ…ホ…ミ…」ハーハー
「ホムゥ…」サスサス…
「マドォ…」コドモ…
一匹の仔ほむが体調を崩したみたい。
雪遊びをしてたから、風邪でもひいちゃったのかな……
「ホムムッ…」モゴモゴ
「モミュッ」モゴモゴ
「ホ…ミィ…」ポタポタ…
少しだけ、からかってやろうとか思ってたんだよね。
雪合戦して風邪ひいちゃったって、ちょっとマヌケな話だからさ。
でもね、そんな事を考えてる場合じゃなかったんだよ。バカなアタシ……
仔ほむの家族が口移しで、仔ほむに水を飲ませてた……
そこにいたのは、いつも「ホムホム」「ホミャホミャ」言って遊んでた、
あのマヌケな生き物達なのに……。アタシには、何かもっと高尚な存在に見えた……
なんか深刻だって事は、すぐに分かったよ。
えーと、ビックリしたよ……
ゴメン……。上手く言えない……
「ねぇ。そんなに悪いの?」
冗談だって思いたかったよ。夕方まで、あんなに元気に走り回ってたんだしね。
でも、新聞紙を細かく切って作った貧乏臭い寝床の中で、
土気色の顔をした仔ほむが「ハーハー」って感じで、苦しそうに息をしてた……
冗談じゃ、なかったんだよ……
「ホ…ミィ…」オミ…ズ…
「ミズ? 水だよね? 足りないんだよね?」
仲間達が頑張ってくれてるけど、こう言う時は人間を頼りなよ。
「ホ…ミィ…ミ ?」オネ…エ…チャン ?
「ホムゥ…」アリガトウ…
アタシは金魚の形の醤油入れをスポイドみたいにして、
仔ほむに、少しずつ水を飲ませてあげたんだ。
「ホ…ミュッ」キュッ コク…コク…
仔ほむ、すごく可愛かった。今までで一番可愛かった……
弱々しかったけど、でもしっかりと、アタシの指に「きゅっ」ってしがみついて、
お水をミルクみたいに、コクコク飲んでくれてた……
……ホントに、可愛かった……。すごくね……
「マドォ…」アリガトウ…
「…ホ…ミィ」ハーハー ハーハー
仔ほむはお水を飲んで、少しだけ元気になったみたい。
ホントに少しだけなんだけどね……
「…ホミ」オネエ…チャン♪
弱々しかったけど、アタシに微笑んでくれたよ。
ありがとう。でも、無理しなくていいよ。もちろん、すごく嬉しかったけどね……
「マドォ…」コドモ サスサス
「ホ…ミィ」オカァ…サン…
「ホムムッ…」シッカリ ナデナデ
明日の朝一番に、動物病院にでも連れて行ってあげようかな。
うーん。でもほむほむって、保険が使えないんだよね?
……まぁ、仕方ないか……
「ホ…ミィ…」オネ…エ…チャン
アタシの妹みたいなもんだしね。少しは大事にしてあげないとね。
「ミャ…ロ…カ…」マド…マ…ド
「ホムゥ ?」
「ホミィ ?」
えっ?「ミャロカ」って……。寝ぼけてるのかな……
えーと、お母さんを呼んでるの?
「ホ…ミィ…」アイ…タイ…
「マドォ ?」コドモ ?
「ホミュッ ミャロカァ ?」ユキダルマ ?
あっ、なるほど……。あの雪ダルマちゃんね。
やっぱオマセさんだわ。少しは元気になったのかな?
「ホ…ミィ」ユキ…ダルマ…
「マドォ…」エット…
「ホムゥゥ…」オネガイ……
「はいはい。了解りょーかい。ベランダのまどダルマに会いたいのよね?」
「ホミ///」コクン…
なんだ、元気じゃん。心配して損したよ……
「ちょっと待っててね。いますぐもっt……呼んできてあげるからね……」
「…ミ///」……
会わせてあげますかね。しかし……。うーん、雪ダルマか……
やっぱり、この子の風邪が治るまで、溶かすのは延期だよね。
仔ほむのお見舞いしてもらったら、しばらくは冷凍庫にでも宿泊してもらおっと……
「ホ…ィ…」オネ…タン…
「…ん、なあに?」
「ホ…ミィ///」ダイ…チュキ…
「あはは、ありがとう。アタシも大好きだよ。仔ほむ」
「……ホ…ミ…」ニコッ…
うーむ。でも、お願いが雪ダルマか……
なんとなく「あめゆじゅとてちてけんじゃ」って感じだね。
仔ほむの癖に風流だなぁ。
まあ、まどダルマだから、半分は煩悩っぽいけどさ……
ううっ、寒い寒い……。そんじゃ、まどダルマさん。
恋人さんがお待ちですよってね……
…………………………
………………
「……」ポロポロ
「……」シクシク…
「……ミィ…」グスン…
……えっ?
何があったの? 何で、みんな泣いてるの……
「ホビャァ…ァア…」…コド…モ…… グスッ…
「マドッ…ドォ…ォォ…」コドッ…コドモォォォォ…オオオォ…ォ……
「ホ…ミッ…ホミャ…ァア…アァ…」ポロポロ ビエェェエエン……
……嘘。嘘だよ……。嘘ダヨネ……
「ホミ…ャァ…アァ…ァァッ…」ポロポロ グスグスッ…
ちょっと、何それ……。何よそれ……
そんなハズないじゃん!
さっき動いてたよね? さっき、ちょっと笑ってたよね……
お昼に雪合戦してたし、上手にダルマも作ってたじゃない……
アンタ、アタシに、まどダルマ呼んでこいって言ったんじゃなかったの?
それにアンタ。アンタ先週産まれたばっかじゃん!
バカなの? 何で……もう動かないの?
何でアンタうごかないのよぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!
…………………………
………………
バカ。何でアタシに断りもなく死んでんのよ……
もう、アンタの泣き顔。見られないじゃん。
アタシまだ、全然アンタを虐めてないよ。
雪ダルマ……。まだ、溶けてないじゃん……
何で雪ダルマなんかより、先にいなくなってんのよ……
バカだよ。ほむほむって。
なんで、そんな簡単に死ぬのよ。
……ほむほむって、ホントバカ……
あれ? どうして……
どうして、アタシ……。泣いてるんだろ?
アタシ、ほむほむじゃないのに……
アタシって、ホントバカ……
………………………バカ……
………………バカ……
……ばかだよね……
ほむほむ
…………………………
………………
『……ねえ、仔ほむ。今日はいい天気だったけど
お嫁さん、ちゃんとそっちに着いたかな?
とっても可愛い、白いまどまど……』
── 完 ──